JPH08330199A - シリコン基板及びその製造方法 - Google Patents

シリコン基板及びその製造方法

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JPH08330199A
JPH08330199A JP15690495A JP15690495A JPH08330199A JP H08330199 A JPH08330199 A JP H08330199A JP 15690495 A JP15690495 A JP 15690495A JP 15690495 A JP15690495 A JP 15690495A JP H08330199 A JPH08330199 A JP H08330199A
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JP
Japan
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silicon substrate
oxygen
stress
silicon
vicinity
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JP15690495A
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Inventor
Katsuhiro Nishihara
克浩 西原
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 酸素を含むシリコン基板11の表面11b近
傍に1.0〜8.0×106 dyn/cm2 の引張応力
が働いているシリコン基板11。 【効果】 DZ層を形成するための特別の高温熱処理を
施すことなく、シリコン基板11における表面荒れや不
純物の混入をなくすことができると共に、LSIの製造
過程で施される通常の熱処理の際、シリコン基板11の
表面11b近傍に酸素析出やこれに伴う微小欠陥が発生
するのを確実に抑制することができる。この結果、歩留
りを高めてコストを削減することができ、高品質のLS
Iの安定的な生産を図ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はシリコン基板及びその製
造方法に関し、より詳細にはLSI等のデバイス作製用
基板として用いられ、表面近傍における酸素析出やこれ
に伴う微小欠陥の発生が抑制されたシリコン基板及びそ
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、この種のシリコン基板の大部分
は、チョクラルスキー法(以下、CZ法と記す)と呼ば
れる単結晶引き上げ法で形成された単結晶シリコン(以
下、CZシリコンと記す)を用いて製造されている。
【0003】このCZ法では石英(SiO2 )坩堝内に
充填したシリコン溶融液を回転させながらCZシリコン
を引き上げており、前記シリコン溶融液中には前記石英
坩堝より酸素が溶出している。このため前記CZシリコ
ンを引き上げる際、この固液界面において約1018at
oms/cm3 の濃度の酸素がこのCZシリコン中に取
り込まれる。
【0004】一方、LSIの製造過程で施される通常の
熱処理温度は1000℃以下であり、この温度領域にお
けるCZシリコン中の酸素の固溶度は約3×1017at
oms/cm3 以下であるので、CZシリコンから形成
されたシリコン基板中には酸素が常に過飽和状態となっ
ている。このため、前記シリコン基板に熱処理を施すと
この過飽和状態の酸素がシリコン基板中でシリコン原子
と化合してSiOX という構造で析出する(以下、この
構造変化を酸素析出、また析出したものを酸素析出物と
記す)。
【0005】シリコン基板中に前記酸素析出物が形成さ
れると、該酸素析出物の近傍に転位や酸化誘起積層欠陥
(OSF)等の微小欠陥が発生する。これらの微小欠陥
がデバイスの活性領域となる前記シリコン基板の表面近
傍に発生・存在すると、酸化膜耐圧、リーク電流等のデ
バイス特性に悪影響を及ぼし、有害となる。
【0006】この問題に対処するため、前記シリコン基
板に不活性ガスまたは還元ガス雰囲気中、高温の熱処理
等を施し、この表面近傍にいわゆるDZ(Denuded Zon
e )層を形成する方法(特開昭61−193458号公
報、特開平5−291097号公報、特開平5−477
72号公報)が採用されている。これらの方法では、前
記シリコン基板の表面近傍における酸素が熱処理により
外方へ拡散し、あるいは還元反応が促進されることによ
り、この表面近傍の酸素濃度が低下して前記DZ層が形
成される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記したDZ層を形成
する従来の方法においては、不活性ガスまたは還元ガス
中、高温の熱処理を施しており、前記シリコン基板に表
面荒れや不純物の混入等が発生して品質が劣化し易く、
製品の歩留りが低下するという課題があった。また、D
Z層の厚さを安定的に制御するのが難しいという課題が
あった。
【0008】本発明はこのような課題に鑑みなされたも
のであり、シリコン基板における表面荒れや不純物の混
入をなくすと共に、その表面近傍における酸素析出やO
SFの発生を確実に抑制することができ、歩留りを高め
てコストを削減し、高品質のLSIの安定的な生産を図
ることができるシリコン基板及びその製造方法を提供す
ることを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明に係るシリコン基板は、酸素を含むシリコン基
板の表面近傍に1.0〜8.0×106 dyn/cm2
の圧縮応力が働いていることを特徴としている(1)。
【0010】また本発明に係るシリコン基板は、酸素を
含むシリコン基板の表面近傍に1.0〜8.0×106
dyn/cm2 の引張応力が働いていることを特徴とし
ている(2)。
【0011】また本発明に係るシリコン基板の製造方法
は、酸素を含むシリコン基板を400℃以下の温度範囲
に維持し、スパッタ法またはCVD法により前記シリコ
ン基板の表面または裏面の全体あるいは一部に所定の内
部応力を有する薄膜を形成することを特徴としている
(3)。
【0012】
【作用】図1は本発明に係るシリコン基板(1)に作用
する応力分布状態を説明するために示した模式図であ
り、(a)は応力の分布図、(b)はシリコン基板の断
面図を示している。酸素を含んだシリコン基板11は厚
さがts であり、この裏面11a全体には厚さがtf
薄膜12が形成されており、薄膜12内には例えばシリ
コン基板11に平行な圧縮応力+σf が発生している。
するとシリコン基板11の裏面11a近傍にはシリコン
基板11に平行な引張応力−σs が発生する一方、シリ
コン基板11の表面11b近傍にはシリコン基板11に
平行な圧縮応力+σs /2が発生することとなり、また
裏面11aからの深さが厚さts の2/3の箇所におい
て応力のシリコン基板11に平行な成分の大きさがゼロ
となる。また図示しないが、薄膜12内にシリコン基板
11に平行な引張応力−σf が発生している場合、シリ
コン基板11の裏面11a近傍にはシリコン基板11に
平行な圧縮応力+σs が発生する一方、シリコン基板1
1の表面11b近傍にはシリコン基板11に平行な引張
応力−σs /2が発生することとなる。そしてこれら薄
膜12の内部応力σf とシリコン基板11中に発生する
シリコン基板11に平行な応力σs との関係は、下記の
数1式で示されることとなる。
【0013】
【数1】 σs =−4σf ×tf /ts また図2は本発明に係るシリコン基板(2)に作用する
応力分布状態を説明するために示した模式図であり、
(a)は応力の分布図、(b)はシリコン基板の断面図
を示している。酸素を含んだシリコン基板21は厚さが
s であり、この表面21bの一部には厚さがtf の薄
膜22が形成されており、薄膜22内には例えばシリコ
ン基板21に平行な圧縮応力+σf が発生している。す
るとシリコン基板表面21bにおける薄膜22近傍には
シリコン基板21に平行な引張応力−σs が発生する一
方、シリコン基板21の裏面21a近傍にはシリコン基
板21に平行な圧縮応力+σs /2が発生することとな
り、また表面21bからの深さが厚さts の2/3の箇
所において応力のシリコン基板21に平行な成分の大き
さがゼロとなる。また図示しないが、薄膜22内にシリ
コン基板21に平行な引張応力−σf が発生している場
合、シリコン基板表面21bにおける薄膜22近傍には
シリコン基板21に平行な圧縮応力+σs が発生する一
方、シリコン基板21の裏面21a近傍にはシリコン基
板21に平行な引張応力−σs /2が発生することとな
る。そしてこれら薄膜22のシリコン基板21に平行な
内部応力σf とシリコン基板21中に発生するシリコン
基板21に平行な応力σs との関係は、上記の数1式で
示されることとなる。
【0014】したがって、酸素を含むシリコン基板1
1、21の表面11b、21bに働いているシリコン基
板11、21に平行な応力の向きと大きさとは、この裏
面11aまたは表面21bに形成された薄膜12、22
中のシリコン基板11、21に平行な内部応力σf によ
り制御されることとなる。このシリコン基板11、21
に平行な内部応力σf の向き(引張または圧縮)と大き
さとは、形成する薄膜12、22の種類、形成条件(形
成方法、形成時の基板温度、膜厚tf 等)により制御し
得る。
【0015】一方、酸素を含むシリコン基板11、21
の表面11b、21bに1.0〜8.0×106 dyn
/cm2 の引っ張りまたは圧縮応力が働いていると、こ
の表面11b、21bに前記酸素析出や前記OSFが発
生し難くなる。この理由は定かでないが、表面近傍に所
定の引張応力が働いていると、熱処理中における格子間
酸素の外方拡散が促進されて、表面近傍の格子間酸素濃
度が低下し、表面近傍の酸素析出やOSFの発生が抑制
されると推定される。また、表面近傍に所定の圧縮応力
が働いていると、表面近傍の格子が歪んで、酸素析出や
OSFが発生する空間が減少するので、表面近傍の酸素
析出やOSFの発生が抑制されると考えられる。ただし
形成する薄膜12、22の膜厚tf 、シリコン基板1
1、21の平坦度や反り、薄膜12、22の形成時間等
の制約上、直径が約6インチ以下のシリコン基板11、
21の場合、表面11b、21bに働く圧縮応力または
引張応力の大きさは1.0〜3.0×106 dyn/c
2 の範囲が望ましい。
【0016】また、400℃を超える温度に維持したシ
リコン基板11、21に薄膜を形成させると、電気的に
活性なサーマルドナー、ニューサーマルドナー、ニュー
ドナー等がシリコン基板11、21内に発生し易く、デ
バイス特性に悪影響を及ぼすので、薄膜形成時のシリコ
ン基板11、12の温度は400℃以下が好ましい。ま
た200℃を超える温度に維持したシリコン基板11、
21に薄膜を形成させた場合、シリコン基板11、21
中に不純物としてFeが固溶し、Feと他の不純物との
複合体が形成されていると、この複合体の解離、それに
続くFeの拡散、及びFeがシリコン原子と反応してF
eシリサイドを形成する反応が促進され易い。このFe
シリサイドの析出はデバイス特性に悪影響を及ぼすの
で、薄膜形成時のシリコン基板11、21の温度は20
0℃以下が望ましい。
【0017】400℃以下の温度範囲に維持したシリコ
ン基板11、21に内部応力を有する薄膜12、22を
形成する場合、スパッタ法、CVD法、真空蒸着法等を
適用することが可能である。CVD法としては、シリコ
ン基板を400℃以下の温度範囲に維持して薄膜を形成
させることが可能なプラズマCVD法、ECRプラズマ
CVD法、光CVD法、レーザーCVD法などの低温C
VD法が好ましい。またスパッタ法は、形成する薄膜1
2、22と同じ組成のターゲットを使用し、シリコン基
板11、21を加熱する必要がなく、シリコン基板1
1、21を200℃以下の温度範囲に維持して薄膜を形
成することが可能であるため、薄膜を形成する方法とし
てもっとも望ましい。
【0018】また薄膜12、22にはSiO2 膜、Si
O−SiO2 膜、多結晶シリコン膜、アモルファスシリ
コン膜、SiC膜等のような内部応力を有する薄膜であ
れば、半導体膜、絶縁体膜、金属膜等いかなる種類の膜
でも用いることが可能である。ただし、形成する薄膜1
2、22の膜厚tf 、形成時間、デバイス特性への影響
等の制約上、薄膜12、22としては大きな内部応力を
有する窒化シリコン膜が望ましい。
【0019】上記構成のシリコン基板(1)によれば、
酸素を含むシリコン基板の表面近傍に1.0〜8.0×
106 dyn/cm2 の圧縮応力が働いているので、D
Z層を形成するための特別の高温熱処理を施すことな
く、前記シリコン基板における表面荒れや不純物の混入
をなくし得ると共に、LSIの製造過程で施される通常
の熱処理の際、前記シリコン基板の表面近傍における酸
素析出及びこれに伴う微小欠陥の発生を確実に抑制し得
ることとなる。この結果、歩留りを高めてコストを削減
し得ることとなり、高品質のLSIの安定的な生産を図
り得ることとなる。
【0020】また上記構成のシリコン基板(2)によれ
ば、酸素を含むシリコン基板の表面近傍に1.0〜8.
0×106 dyn/cm2 の引張応力が働いているの
で、DZ層を形成するための特別の高温熱処理を施すこ
となく、前記シリコン基板における表面荒れや不純物の
混入をなくし得ると共に、LSIの製造過程で施される
通常の熱処理の際、前記シリコン基板の表面近傍におけ
る酸素析出及びこれに伴う微小欠陥の発生を確実に抑制
し得ることとなる。この結果、歩留りを高めてコストを
削減し得ることとなり、高品質のLSIの安定的な生産
を図り得ることとなる。
【0021】また上記構成のシリコン基板の製造方法
(3)によれば、酸素を含むシリコン基板を400℃以
下の温度範囲に維持し、スパッタ法またはCVD法によ
り前記シリコン基板の表面または裏面の全体あるいは一
部に所定の内部応力を有する薄膜を形成するので、前記
シリコン基板の加熱温度が比較的低く、また還元ガスを
使用していないため、前記シリコン基板における表面荒
れや不純物の混入をなくし得ると共に、内部応力の大き
さ及び向きが制御された薄膜を確実に形成し得ることと
なる。このため、前記シリコン基板の表面近傍に1.0
〜8.0×106dyn/cm2 の圧縮応力または引張
応力を容易に働かせ得ることとなり、酸素析出やこれに
伴う微小欠陥が発生するのを確実に抑制し、歩留りを高
めてコストを削減し得ることとなる。
【0022】
【実施例及び比較例】以下、本発明に係るシリコン基板
及びその製造方法の実施例を図面に基づいて説明する。
図1(b)は作用の欄で説明した本発明の実施例に係る
基板10を示しており、このような構成の基板10を製
造する場合、まず窒素が約5l/minの速度で供給さ
れている横型拡散炉を用い、約800℃の温度で約16
時間の熱処理を施し、酸素を含むシリコン基板11に酸
素析出核及び微小欠陥核を意図的に形成しておく。次に
シリコン基板11の温度を400℃以下の所定温度範囲
に維持し、スパッタ法またはCVD法によりシリコン基
板11の裏面11a全体に内部応力として圧縮応力を有
する厚さがtf の薄膜12を形成する。するとシリコン
基板11の表面11b近傍に1.0〜8.0×106
yn/cm2 の圧縮応力が働く基板10が形成される。
【0023】以下に本実施例に係る基板10を用い、酸
素析出及びこれに伴う微小欠陥を意図的に発生させる熱
処理(以下、この熱処理を酸素析出熱処理と記す)を施
した後、酸素析出物及びOSFの発生状態の評価を行な
った結果について説明する。シリコン基板11としては
酸素を約1.4×1018atoms/cm3 含み、また
薄膜12として窒化シリコン膜が形成されたものを用い
た。この窒化シリコン膜を形成する場合、ターゲットが
下側に配設され、シリコン基板11が上側に載置された
スパッタアップ方式の平行平板型高周波二極スパッタ装
置を使用した。このターゲットとしては窒化シリコン膜
と同様の組成を有する窒化シリコン化合物の焼結体を用
い、このターゲットとシリコン基板11との間隔を約9
0mmに設定した。またスパッタ処理用のガスには純度
が約99.995%のArガスを用い、装置内の全圧は
約2Paに設定した。またシリコン基板11の温度を2
00℃以下、回転速度を約2.5rpm、供給する高周
波電力を約400Wに設定した。そして約0.8μm/
hourの速度でシリコン基板11の裏面11aに膜厚
f が約0.2〜1.6μmの窒化シリコン膜を形成し
た。この場合のシリコン基板表面11bには、膜厚に対
応して約1.0〜8.0×106 dyn/cm2 の圧縮
応力が働いていた。実施例1に係るシリコン基板11と
しては約1.2×106 dyn/cm2 の圧縮応力、実
施例2に係るシリコン基板11としては約2.4×10
6 dyn/cm2 の圧縮応力が働いているものを選ん
だ。この後、酸素が約5l/minの速度で供給されて
いる横型拡散炉内において、約1100℃で約16時間
の酸素析出熱処理を施した。なお比較例1としては薄膜
12が形成されていない(応力が約ゼロ)もの、比較例
2としては裏面11aに膜厚tf が約2.4μmの窒化
シリコン膜を形成することにより、シリコン基板表面1
1bに約9.5×106 dyn/cm2 の圧縮応力が働
いているものを用いた。
【0024】図3はシリコン基板の各表面から約200
μmまでの範囲の酸素析出物を赤外線トモグラフィー法
により観察した結果を示した図であり、(a)は実施例
1のもの、(b)は実施例2のもの、(c)は比較例1
のもの、(d)は比較例2のものを示している。図中、
表面近傍の帯状の部分以外に見られる黒い点は酸素析出
物であり、比較例1のものでは酸素析出物の個数が多
く、かつサイズも大きい一方、実施例1〜2及び比較例
2のものでは、比較例1のものに比べて表面近傍におけ
る酸素析出物のサイズが小さく、かつ約200μmの深
さにいたるまで全体的に個数が少なくなっている。また
比較例2のものではシリコン基板11の反りが大きい一
方、実施例1〜2のものでは反りはほとんどなかった。
【0025】図4はライトエッチング法によりシリコン
基板の表面におけるOSFの分布状態について観察を行
なった結果を示した図であり、(a)は実施例1のも
の、(b)は実施例2のもの、(c)は比較例1のも
の、(d)は比較例2のものを示している。図中白い点
はOSFであり、比較例1のものではOSFが多く、特
に中心部にリング状に発生していたが、実施例1〜2及
び比較例2のものでは、比較例1のものに比べてリング
状のOSFが少なかった。また比較例2のものは、他の
ものに比べてシリコン基板の反りが大きかった。
【0026】なお、実施例のものでは圧縮応力が約1.
2〜2.4×106 dyn/cm2の場合について説明
したが、圧縮応力が約3.0〜8.0×106 dyn/
cm2 の場合も略同様の結果が得られることを確認して
いる。
【0027】上記結果から明らかなように、実施例に係
る基板10では、酸素を含むシリコン基板11の表面1
1b近傍に1.0〜8.0×106 dyn/cm2 の圧
縮応力が働いているので、DZ層を形成するための特別
の高温熱処理を施すことなく、シリコン基板11におけ
る表面荒れや不純物の混入をなくすことができると共
に、LSIの製造過程で施される通常の熱処理の際、シ
リコン基板11の表面11b近傍における酸素析出及び
これに伴う微小欠陥の発生を確実に抑制することができ
る。この結果、歩留りを高めてコストを削減することが
でき、高品質のLSIの安定的な生産を図ることができ
る。
【0028】また実施例に係る基板10の製造方法で
は、酸素を含むシリコン基板11を200℃以下の温度
範囲に維持し、スパッタ法によりシリコン基板11の裏
面11aの全体に所定の内部応力として圧縮応力を有す
る薄膜12を形成するので、シリコン基板11の加熱温
度が比較的低く、還元ガスを使用していないため、シリ
コン基板11における表面荒れや不純物の混入をなくす
ことができると共に、内部応力の大きさ及び向きが制御
された薄膜12を確実に形成することができる。このた
め、シリコン基板11の表面11b近傍に1.0〜8.
0×106 dyn/cm2 の圧縮応力を容易に働かせる
ことができ、酸素析出やこれに伴う微小欠陥の発生を確
実に抑制し、歩留りを高めてコストを削減することがで
きる。
【0029】なお、抜き取り検査等により表面11b近
傍に酸素析出物やOSFが発見された際、この欠陥シリ
コンウエハの裏面に薄膜12を形成させ、表面11b近
傍に圧縮応力を働かせると、前記酸素析出物やOSFの
発生量が減少するため、欠陥シリコンウエハを製品レベ
ルの規格に再生させることも可能である。
【0030】また、上記した実施例に係る基板10及び
その製造方法では、シリコン基板11の表面11b近傍
に1.0〜8.0×106 dyn/cm2 の圧縮応力を
働かせるため、シリコン基板11の裏面11a全体に圧
縮応力を有する窒化シリコン膜を形成した場合について
説明したが、シリコン基板11の表面11bの一部に引
張応力を有する薄膜を形成した場合でも、同様の結果を
得ることができる。
【0031】図2は作用の欄で説明した本発明の実施例
に係る基板20を示しており、このような構成の基板2
0を製造する場合、まず窒素を約5l/minの割合で
送り込んでいる横型拡散炉を用い、800℃の温度で1
6時間の熱処理を施し、酸素を含むシリコン基板21に
酸素析出核及び微小欠陥核を意図的に形成しておく。次
にシリコン基板21の温度を400℃以下の所定温度範
囲に維持し、スパッタ法またはCVD法によりシリコン
基板21の表面21bの周辺部に内部応力として圧縮応
力を有する厚さがtf の薄膜22を形成する。するとシ
リコン基板表面21b近傍に1.0〜8.0×106
yn/cm2 の引張応力が働く基板20が形成される。
【0032】以下に本実施例に係る基板20を用い、酸
素析出熱処理を施した後、酸素析出物及びOSFの発生
状態の評価を行なった結果について説明する。実験条件
としては基板10の場合と略同様の条件で行ない、シリ
コン基板21の表面21bの周辺部に膜厚tf が約0.
2〜1.6μmの窒化シリコン膜を形成させた。この場
合のシリコン基板表面21bには、膜厚tf に対応して
約1.0〜8.0×106 dyn/cm2 の引張応力が
働いていた。実施例3に係るシリコン基板21としては
約1.0×106 dyn/cm2 の引張応力、実施例4
に係るシリコン基板21としては約2.4×106 dy
n/cm2 の引張応力が働いているものを選んだ。この
後、酸素が約5l/minの速度で供給されている横型
拡散炉内において、約1100℃で約16時間の酸素析
出熱処理を施した。なお比較例1としては薄膜22が形
成されていない(応力が約ゼロ)もの、比較例3として
は表面21bの周辺部に膜厚tf が約2.4μmの窒化
シリコン膜を形成することにより、シリコン基板表面2
1bに約9.5×106 dyn/cm2 の引張応力が働
いているものを用いた。
【0033】図5はシリコン基板の各表面から約200
μmまでの範囲の酸素析出物を赤外線トモグラフィー法
により観察した結果を示した図であり、(a)は実施例
3のもの、(b)は実施例4のもの、(c)は比較例1
のもの、(d)は比較例3のものを示している。図中の
黒い点は酸素析出物であり、比較例1のもの(c)では
酸素析出物の個数が多く、かつサイズも大きい一方、実
施例3〜4及び比較例3のものでは、比較例1のものに
比べて表面近傍における酸素析出物のサイズが小さく、
かつ約200μmの深さにいたるまで全体的に個数が減
少している。また比較例3のものはシリコン基板21の
表面21bに多数のひびが入ると共に大きい反りが発生
する一方、実施例3〜4のものではひびの発生が皆無で
あり、反りもほとんどなかった。
【0034】図6はライトエッチング法によりシリコン
基板の表面におけるOSFの分布状態について観察した
結果を示した図であり、(a)は実施例3のもの、
(b)は実施例4のもの、(c)は比較例1のもの、
(d)は比較例3のものを示している。図中白い点はO
SFであり、比較例1のもの(c)では、OSFが多く
発生していたが、実施例3〜4及び比較例3のもので
は、比較例1のものと比べて全体的にOSFが少なかっ
た。
【0035】上記結果から明らかなように、実施例に係
る基板20では、酸素を含むシリコン基板21の表面2
1b近傍に1.0〜8.0×106 dyn/cm2 の引
張応力が働いているので、DZ層を形成するための特別
の高温熱処理を施すことなく、シリコン基板21におけ
る表面荒れや不純物の混入をなくすことができると共
に、LSIの製造過程で施される通常の熱処理の際、シ
リコン基板21の表面21b近傍に酸素析出やこれに伴
う微小欠陥が発生するのを確実に抑制することができ
る。この結果、歩留りを高めてコストを削減することが
でき、高品質のLSIの安定的な生産を図ることができ
る。
【0036】また実施例に係る基板20の製造方法で
は、酸素を含むシリコン基板21を200℃以下の温度
範囲に維持し、スパッタ法によりシリコン基板21の表
面21bの一部に所定の内部応力として圧縮応力を有す
る薄膜22を形成するので、シリコン基板21の加熱温
度が比較的低く、また還元ガスを使用していないため、
シリコン基板21における表面荒れや不純物の混入をな
くすことができると共に、内部応力の大きさ及び向きが
制御された薄膜22を確実に形成することができる。こ
のため、シリコン基板21の表面21b近傍に1.0〜
8.0×106 dyn/cm2 の引張応力を容易に働か
せることができ、酸素析出やこれに伴う微小欠陥の発生
を確実に抑制し、歩留りを高めてコストを削減すること
ができる。
【0037】なお、抜き取り検査等により表面21b近
傍に酸素析出やOSFが発見された際、この欠陥シリコ
ンウエハの表面に薄膜22を形成して表面21b近傍に
引張応力を働かせると、前記酸素析出やOSFの発生量
が減少するため、欠陥シリコンウエハを製品レベルの規
格に再生させることも可能である。
【0038】また、上記した実施例に係る基板20及び
その製造方法では、シリコン基板21の表面近傍に1.
0〜8.0×106 dyn/cm2 の引張応力を働かせ
るため、シリコン基板21の表面21bの一部に圧縮応
力を有する窒化シリコン膜を形成した場合について説明
したが、シリコン基板21の裏面21aの全体に引張応
力を有する薄膜を形成した場合でも、同様の結果を得る
ことができる。
【0039】また、上記実施例ではいずれも薄膜12、
22として窒化シリコン膜が形成された場合について説
明したが、シリコン基板11、21の表面近傍に働かせ
る応力の大きさや向き、あるいは形成する薄膜12、2
2の膜厚tf 等の要求に応じてSiO2 膜、SiO−S
iO2 膜等のSiOX 膜、多結晶シリコン膜、アモルフ
ァスシリコン膜、SiC膜等の半導体膜、絶縁体膜、金
属膜等が形成された場合でも同様の結果を得ることがで
きる。
【0040】また、上記実施例ではいずれも二極スパッ
タ法により薄膜12、22を形成した場合について説明
したが、シリコン基板11、21を400℃以下の温度
範囲に維持して薄膜を形成する方法であれば、プラズマ
CVD法、ECRプラズマCVD法、光CVD法、レー
ザCVD法、イオンビームスパッタ法、マグネトロンス
パッタ法、真空蒸着法等を用いてもよい。
【0041】
【発明の効果】以上詳述したように本発明に係るシリコ
ン基板(1)にあっては、酸素を含むシリコン基板の表
面近傍に1.0〜8.0×106 dyn/cm2 の圧縮
応力が働いているので、DZ層を形成するための特別の
高温熱処理を施すことなく、前記シリコン基板における
表面荒れや不純物の混入をなくすことができると共に、
LSIの製造過程で施される通常の熱処理の際、前記シ
リコン基板の表面近傍に酸素析出やこれに伴う微小欠陥
の発生を確実に抑制することができる。この結果、歩留
りを高めてコストを削減することができ、高品質のLS
Iの安定的な生産を図ることができる。
【0042】また本発明に係るシリコン基板(2)にあ
っては、酸素を含むシリコン基板の表面近傍に1.0〜
8.0×106 dyn/cm2 の引張応力が働いている
ので、DZ層を形成するための特別の高温熱処理を施す
ことなく、前記シリコン基板における表面荒れや不純物
の混入をなくすことができると共に、LSIの製造過程
で施される通常の熱処理の際、前記シリコン基板の表面
近傍に酸素析出やこれに伴う微小欠陥の発生を確実に抑
制することができる。この結果、歩留りを高めてコスト
を削減することができ、高品質のLSIの安定的な生産
を図ることができる。
【0043】また本発明に係るシリコン基板の製造方法
(3)にあっては、酸素を含むシリコン基板を400℃
以下の温度範囲に維持し、スパッタ法またはCVD法に
より前記シリコン基板の表面または裏面の全体あるいは
一部に所定の内部応力を有する薄膜を形成するので、前
記シリコン基板の加熱温度が比較的低く、また還元ガス
を使用していないため、前記シリコン基板における表面
荒れや不純物の混入をなくすことができると共に、内部
応力の大きさ及び向きが制御された薄膜を確実に形成す
ることができる。このため、前記シリコン基板の表面近
傍に1.0〜8.0×106 dyn/cm2 の圧縮応力
または引張応力を容易に働かせることができ、酸素析出
やこれに伴う微小欠陥の発生を確実に抑制し、歩留りを
高めてコストを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るシリコン基板(1)に作用する応
力分布状態を説明するために示した模式図であり、
(a)は応力の分布図、(b)はシリコン基板の断面図
を示している。
【図2】本発明に係るシリコン基板(2)に作用する応
力分布状態を説明するために示した模式図であり、
(a)は応力の分布図、(b)はシリコン基板の断面図
を示している。
【図3】シリコン基板の各表面から約200μmまでの
範囲の酸素析出物を赤外線トモグラフィー法により観察
した結果を示した図であり、(a)は実施例1のもの、
(b)は実施例2のもの、(c)は比較例1のもの、
(d)は比較例2のものを示している。
【図4】ライトエッチング法によりシリコン基板の表面
におけるOSFの分布状態について観察した結果を示し
た図であり、(a)は実施例1のもの、(b)は実施例
2のもの、(c)は比較例1のもの、(d)は比較例2
のものを示している。
【図5】シリコン基板の各表面から約200μmまでの
範囲の酸素析出物を赤外線トモグラフィー法により観察
した結果を示した図であり、(a)は実施例3のもの、
(b)は実施例4のもの、(c)は比較例1のもの、
(d)は比較例3のものを示している。
【図6】ライトエッチング法によりシリコン基板の表面
におけるOSFの分布状態について観察した結果を示し
た図であり、(a)は実施例3のもの、(b)は実施例
4のもの、(c)は比較例1のもの、(d)は比較例3
のものを示している。
【符号の説明】
10 基板 11 シリコン基板 11b 表面
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年11月17日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正内容】
【図3】 シリコン基板の各表面から約200μmまで
の範囲の酸素析出物を光学顕微鏡で観察した赤外線トモ
グラフィー像を示した顕微鏡写真であり、(a)は実施
例1のもの、(b)は実施例2のもの、(c)は比較例
1のもの、(d)は比較例2のものを示している。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図4
【補正方法】変更
【補正内容】
【図4】 ライトエッチング法によりシリコン基板の表
面におけるOSFの分布状態について観察した結果を示
した顕微鏡写真であり、(a)は実施例1のもの、
(b)は実施例2のもの、(c)は比較例1のもの、
(d)は比較例2のものを示している。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図5
【補正方法】変更
【補正内容】
【図5】 シリコン基板の各表面から約200μmまで
の範囲の酸素析出物を光学顕微鏡で観察した赤外線トモ
グラフィー像を示した顕微鏡写真であり、(a)は実施
例3のもの、(b)は実施例4のもの、(c)は比較例
1のもの、(d)は比較例3のものを示している。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図6
【補正方法】変更
【補正内容】
【図6】 ライトエッチング法によりシリコン基板の表
面におけるOSFの分布状態について観察した結果を示
した顕微鏡写真であり、(a)は実施例3のもの、
(b)は実施例4のもの、(c)は比較例1のもの、
(d)は比較例3のものを示している。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01L 21/322 H01L 21/322 Q

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸素を含むシリコン基板の表面近傍に
    1.0〜8.0×106 dyn/cm2 の圧縮応力が働
    いていることを特徴とするシリコン基板。
  2. 【請求項2】 酸素を含むシリコン基板の表面近傍に
    1.0〜8.0×106 dyn/cm2 の引張応力が働
    いていることを特徴とするシリコン基板。
  3. 【請求項3】 酸素を含むシリコン基板を400℃以下
    の温度範囲に維持し、スパッタ法またはCVD法により
    前記シリコン基板の表面または裏面の全体あるいは一部
    に所定の内部応力を有する薄膜を形成することを特徴と
    するシリコン基板の製造方法。
JP15690495A 1995-05-30 1995-05-30 シリコン基板及びその製造方法 Pending JPH08330199A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002324802A (ja) * 2001-02-21 2002-11-08 Shin Etsu Handotai Co Ltd アニールウェーハの製造方法

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