JPH08326178A - 建材およびそれを用いた壁パネル - Google Patents

建材およびそれを用いた壁パネル

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JPH08326178A
JPH08326178A JP12799295A JP12799295A JPH08326178A JP H08326178 A JPH08326178 A JP H08326178A JP 12799295 A JP12799295 A JP 12799295A JP 12799295 A JP12799295 A JP 12799295A JP H08326178 A JPH08326178 A JP H08326178A
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thickness
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JP12799295A
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Kenji Onishi
兼司 大西
Yuzo Okudaira
有三 奥平
Kazuaki Umeoka
一哲 梅岡
Hideyuki Ando
秀行 安藤
Mikio Sei
三喜男 清
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Panasonic Electric Works Co Ltd
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Matsushita Electric Works Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 室温の立ち上がりが速く、熱負荷が少ない建
材及びそれを用いた壁パネルを提供する。 【構成】 建材は、比熱が400kJ/m3 K以下で、
熱電導率が0.07W/mK以下でかつ厚みが9mm以
上である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、建材及びそれを用いた
壁パネルに関し、さらに詳しくは戸建て住宅等に用いる
建材及びそれを用いた壁パネルに関する。
【0002】
【従来の技術】従来の壁パネルは、表面ボードとして石
膏ボードを使用し、その内装(室内)側の表面をクロス
等で仕上げた構造のものが一般的である。この壁パネル
に用いられる石膏ボードは、熱電導率が比較的大きい。
室内を冷暖房する際には室温の立ち上がり(又は立ち下
がり)が遅い。さらに、この壁パネルを間仕切り壁とし
て使用すると、断熱性がないために熱が隣室に逃るとい
う問題もある。
【0003】また、上記のような構造の壁パネルは遮音
性能という点でも問題がある。一般に、低音域における
遮音性能(透過損失)が壁パネル全体の遮音特性に大き
く影響を与える。そのため、遮音性能を効果的に向上さ
せる方法として以下に示すものがあげられる。 1)低音域で吸音率の大きい吸音層を表面ボード間に配
置する、すなわち二重パネル構造にすることで、低音域
における遮音性能を高める。
【0004】2)二重パネル特有の低音域における共鳴
によって生じる、共鳴周波数frmdでの透過損失の低
減を小さくする。 3)表面パネルの固有曲げ振動によって生じる低音域の
遮音特性の低減を小さくする。しかし、上記1)の方法
で一般的に吸音層として用いられている多孔質吸音材
は、低音域での遮音性能の向上は十分ではない。
【0005】そこで、低周波数域の広い範囲で遮音性能
が良好である壁パネルを実現するために、本出願人は、
吸音特性を有する粉体層と多孔質層とを積層した構造の
吸音層を備えた壁パネルをすでに出願している。また、
遮音性能が良好な別の壁パネルとして、建材の室内側の
面と逆側の面に、吸振構造体が接着積層された壁パネル
もすでに出願している。
【0006】しかし、上述のような壁パネルでは、吸音
性能は改善されるものの、室温の立ち上がりが悪く、冷
暖房の際の熱負荷も大きいという問題が残る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、室温の立ち上がりが速く、熱負荷が少ない
建材及びそれを用いた壁パネルを提供することにある。
本発明が解決しようとする別の課題は、室温の立ち上が
りが速くて熱負荷が少なく、かつ遮音性能が良好な建材
及びそれを用いた壁パネルを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
〔建材〕本発明に一見地に係る建材は、比熱が400k
J/m3 K以下で、熱電導率が0.07W/mK以下で
かつ厚みが9mm以上である。前記建材の比熱が400
kJ/m3 Kより大きい場合には、空調時の室温の立ち
上がりが悪くなる。また、熱電導率が0.07W/mK
を越える場合には、空調時の熱負荷の低減効果が小さ
い。さらに、建材の厚みが9mmより薄い場合には、壁
として最低限必要な曲げ被覆荷重が保てなくなるおそれ
がある。
【0009】前記建材は圧縮強度が3.0×105 N/
2 以上であることが好ましい。圧縮強度が3.0×1
5 N/m2 より小さい場合には、局部的な荷重がかか
った場合に壁構造が変形するという問題がある。以上の
ような条件を満たす建材としては、例えば、密度500
kg/m3 以下、好ましくは400kg/m3 以下のロ
ックウールの両面に紙を貼ったものや、ロックウールに
対して1〜20wt%のフェノール樹脂を含浸させたフ
ェノール樹脂含浸ロックウール等があげられる。
【0010】前記建材は、例えば構築物の壁パネルとし
て使用されるが、それ以外に天井材等にも使用できる。 〔壁パネル〕本発明の他の見地に係る壁パネルは、熱貫
流率が3.0W/m2 K以下である断熱層と、第1の建
材とを有している。第1の建材は、断熱層の一側面側に
配置され、比熱が400kJ/m3 K以下で、熱電導率
が0.07W/mK以下でかつ厚みが9mm以上であ
る。ここでは、例えば、壁パネルを外壁とする場合には
第1の建材が室内側となるように配置し、また壁パネル
を居間と廊下との間仕切りとする場合には第1の建材が
居間側となるように配置すればよい。また、断熱層の両
側面側に建材が配置されているのが好ましく、この場合
には、空調時の熱負荷の低減効果がより小さくなる。
【0011】前記断熱層の熱貫流率は3.0W/m2
以下であるが、1.5W/m2 K以下であることが好ま
しい。熱貫流率が3.0W/m2 Kより大きい場合に
は、空調時の室温の立ち上がりが悪く、空調時の熱負荷
の低減効果も低下する。また、壁パネル全体の断熱性が
悪くなるという問題もある。断熱層を構成する材料は、
特に限定はないが、通常の間仕切り壁の空隙間で所期の
熱貫流率を達成するために、熱電導率は0.06W/m
K以下である材料が好ましい。このような材料として
は、グラスウール、ロックウール等の繊維系の断熱材や
発泡ポリスチレン、発泡ウレタン等の発泡性の樹脂等が
あげられる。
【0012】前記壁パネルは、比熱が400kJ/m3
K以下で、熱電導率が0.07W/mK以下でかつ厚み
が9mm以上である建材が表面ボードであるため、熱負
荷の低減効果を維持することができる。また、一般に建
材は軽量であることが望まれているが、例えば密度を5
00kg/m3 以下にすると、比較的軽量の建材が実現
できる。さらにこのような比較的低密度の建材は熱負荷
の低減効果もより向上する。
【0013】しかしながら、一般に低密度の建材は遮音
性能が低い。すなわち、建材の面重量が低下すると、質
量則によって遮音特性が低下する。具体的には、例えば
重量が1/2になると遮音特性は約6dB低下する。こ
のため、上記のような建材が表面ボードである壁パネル
を間仕切りとする場合には、遮音性能が不充分である。
【0014】以上のことから、壁パネルの室温立ち上が
り及び空調負荷の低減効果を維持したまま、つまり表面
ボードの面重量を増加させずに、遮音性能を向上させる
ことができれば、遮音性能が優れ、かつ熱的にも空調負
荷の低減効果を有した壁パネルの実現が可能となる。そ
こで、このような壁パネルを実現するために、本発明の
さらに他の見地に係る壁パネルは、吸音層と、この吸音
層の一側面側に配置された第1の建材とを含む。吸音層
は、第1の多孔質層からなる表裏面層と、2層以上の吸
音粉体層が間に第2の多孔質層を介して積層されている
内部層とを含む。建材は、前述したような、比熱が40
0kJ/m3 K以下で、熱電導率が0.07W/mK以
下でかつ厚みが9mm以上のものである。2枚の建材が
各々吸音層の両側面側に配置されていてもよい。
【0015】前記吸音層は、多孔質層からなる表裏面層
と、2層以上の吸音粉体層及びそれらの間に積層された
多孔質層を有する内部層とを含む。吸音粉体層として
は、粉体を直接配置した層や、これらの粉体を音響透過
性の高分子フィルム等に封入した形態の層や不織布等の
多孔質材中に含ませた形態の層等があげられる。
【0016】前記粉体としては、通常粒径が0.1〜1
000μm程度であり、かさ密度が約0.1g/cm3
前後から約1.5g/cm3 前後の範囲内のものが用い
られ、具体的にはシリカ、マイカ、タルク、バーミキュ
ライト等があげられる。これら粉体は、そのまま用いて
もよく、図1に示したように、粉体粒子1の表面に繊維
の構造体2を付けて用いてもよい。表面に繊維の構造体
2が付着した粉体粒子1は、従来の粉体よりも低音域で
の吸音特性をさらに向上させることができるとともに粉
体層の厚みをより低減させることが可能となる。前記繊
維の構造体2としては、金属ウィスカ、炭化ケイ素ウィ
スカ、プラスチック繊維、植物繊維、ガラス繊維等が用
いられる。
【0017】前記粉体層は、1層の厚みが1〜5mmの
範囲内であることが好ましい。1mmよりも薄い場合に
は吸音効果が不充分となり、5mmよりも厚い場合には
吸音層が嵩高になって部屋が狭くなる。なお、各粉体層
は全て同じ厚みである必要はない。また、多孔質層を構
成する材料としては、ロックウール、グラスウール、発
泡ウレタン等があげられる。なお、表裏面層を構成する
多孔質層の材料と吸音粉体層の間に配置される多孔質層
の材料とは、同じであってもよく、異なっていてもよ
い。
【0018】吸音層の総厚みは、好ましくは10〜10
0mmの範囲内である。吸音粉体層と多孔質層との具体
的な積層形態としては、例えば、図2に示すような構造
があげられる。図2に示す吸音層は、表裏面層となる2
層の多孔質層3と、それらの間に積層された内部層とを
有する。内部層は2層の粉体層4間に多孔質層5が配置
されてなる。ここで粉体層4は2層以上であってもよ
い。図2に示すような積層構造の場合、壁パネルの吸音
特性は主に表裏面から吸音粉体層までの距離と吸音粉体
層の厚みおよび吸音粉体層自体が持つ吸音特性によって
決定されるため、吸音粉体層として最低限2層必要であ
る。
【0019】本発明のさらに他の見地に係る壁パネル
は、建材とこの建材の少なくとも一方の一側面に接着積
層された吸振構造体とを含む。吸振構造体は、共振バネ
弾性を有する弾性板状体材料とこの弾性板状体材料に積
層された質量シートとを含む。建材は、前述したよう
な、比熱が400kJ/m3 K以下で、熱電導率が0.
07W/mK以下でかつ厚みが9mm以上のものであ
る。
【0020】なお、壁パネルが建材を2枚備えている場
合、各々の建材に吸振構造体を接着積層すると、さらに
高い遮音性能が得られるという点で好ましい。この壁パ
ネルの構造では、室温立ち上がり及び空調負荷の低減効
果を維持するために、吸振構造体は建材の室内側と逆側
の面に積層される必要がある。図3は吸振構造体を備え
た壁パネルの構造の一例を示す斜視図である。壁パネル
の表裏面には建材9、10が配置されており、建材9の
内側に吸振構造体6が積層されている。吸振構造体6
は、図4に示すように、弾性板状体材料7に質量シート
8が貼着された構造を有する。
【0021】なお、共振バネ弾性とは、質量シート8の
質量に応じて、適切な周波数で吸振構造体6が振動しう
るようなバネ弾性を意味している。共振バネ弾性を有す
る弾性板状体材料7としては、ポリウレタンフォーム、
ポリエチレンフォーム、もしくはPVCフォーム等の樹
脂発泡体、種々の軟質樹脂材料または種々のゴム系材料
等を用いることができる。また、この他に繊維をシート
状またはマット状に形成したものであってもよく、この
ような繊維としてはポリエステル、ナイロン、ポリアク
リロニトリル、ポリプロピレン、ポリチレン、ポリ塩化
ビニル等の合成樹脂繊維または木質ファイバー、木綿等
の天然繊維、ロックウールファイバー、グラスウールフ
ァイバー、アルミナ、炭化ケイ素、スチール等をあげる
ことができる。
【0022】弾性板状体材料7の厚みは0.5〜5mm
程度であることが実用的に好ましい。0.5mmより薄
い場合には、低音域側に十分な共振バネ弾性が得られな
い。以上に示したように、弾性板状体材料7としては、
ある程度軟らかい材質のものを用いることが好ましく、
この弾性板状体材料7の単位面積当たりのバネ定数は
1.0×106 〜5.0×107 N/mであることが好
ましい。バネ定数がこの範囲以外である場合には、共振
周波数frmdと一致させにくくなる。
【0023】質量シート8としては、塩化ビニルシー
ト、ゴムシート、鉛シートまたはこれらのシートに質量
(増量)成分として硫酸バリウム等を添加したシート等
を用いることができる。本発明に係る壁パネルの内装側
表面には塗装を施したり、クロスを貼ったりしてもよ
い。
【0024】本発明において、吸振構造体を備えた壁パ
ネルの構造は図3に示した構造に特に限定されない。例
えば、図5に示すように、建材11に吸振構造体6を接
着積層した表面ボード12を1組用意し、これらの表面
ボード12間に前述のような断熱層13を、それぞれの
吸振構造体6間に断熱層13が接するように配置しても
よい。このような構造である場合には、熱的にも空調負
荷の低減効果が大きくなる。
【0025】また、図6に示すように、建材11に吸振
構造体6を接着積層した表面ボード12を1組用意し、
これらの表面ボード12間に前述のような吸音層14
(図2の層に相当)を、それぞれの吸振構造体6間に吸
音層14が接するように配置してもよい。このような構
造である場合には、さらに遮音性能を高めることが可能
となる。
【0026】
【実施例】以下本発明の具体例を図面に基づいて説明す
る。 〔実施例1〕実施例1の壁パネルは、外壁として使用さ
れたものであり、図7に示すように、モルタル20、合
板21、断熱材としてのポリスチレンフォーム22、空
気層23、建材としてのロックウールボード24が順に
室内側に向かって配置されており、ロックウールボード
24の室内側はクロス25で仕上げられている。
【0027】〔実施例2〕実施例2の壁パネルは、間仕
切りとして使用されたものであり、図8に示すように、
ロックウールボード26が空気層27を介して所定の間
隔をあけて配置されている。なお、ロックウールボード
26は密度が300kg/m3 であり、強度を上げるた
めに両面に厚み0.2mmの紙28が貼ってある。
【0028】〔実施例3〕実施例3の壁パネルは、図9
に示すように、ロックウールボード26間に、密度25
kg/m3 で厚み50mmのロックウールファイバーか
らなる断熱層29が設けてあること以外は、実施例2と
同様の構造である。 〔実施例4〕実施例4の壁パネルは、間仕切りとして使
用されたものであり、図10に示すように、熱電導率が
0.07W/mK以下で、厚み9mm、密度300kg
/m 3 のロックウールボードに対して10wt%のフェ
ノール樹脂を含浸させたフェノール樹脂含浸ロックウー
ルボード27を両表面に配置し、このフェノール樹脂含
浸ロックウールボード27間に吸音層30が配置されて
いる。吸音層30は、図2に示す構成と同様である。す
なわち、表裏面層となる2層の多孔質層3と、それらの
間に積層された内部層とを有する。内部層は2層の粉体
層4間に多孔質層5が配置されてなるものである。
【0029】本実施例において、各吸音粉体層4は、平
均粒径150μmのシリカ粉体の表面に、このシリカ粉
体の粒径の1/10の粒径の炭化ケイ素ウィスカー(動
的ヤング率;8.5×104 〔N/m2 〕)を付着させ
たものである。また、多孔質層3及び5は密度25kg
/m3 のロックウールボードである。なお、吸音層の総
厚みは12mmであり、このうち、吸音粉体層4の厚み
は約2mm、多孔質層3の厚みは約2mm、多孔質層5
の厚みは約4mmである。
【0030】本実施例の吸音層は、平均密度で120k
g/m3 であり、その総厚みが12mmと非常に薄いに
もかかわらず、低周波数域で高い吸音特性を有してい
る。そのため、全体の厚みが30mmであるという薄い
壁パネルでも、音響的にも遮音性能が優れ、かつ熱的に
も空調負荷の低減効果を付与することが可能となる。 〔実施例5〕実施例5の壁パネルは、間仕切りとして使
用されたものであり、図11に示すように、フェノール
樹脂含浸ロックウールボード27の室内側の面と逆側の
面に吸振構造体6を接着積層したもの2枚を表面ボード
とし、この表面ボード間に断熱層29が配置されてい
る。吸振構造体6は、図4に示す構成と同様であり、弾
性板状体材料7に質量シート8が貼着された構造を有す
る。
【0031】本実施例において、断熱層29は密度25
kg/m3 、厚み40mmのロックウールファイバーで
ある。また、弾性板状体材料7は、密度が20kg/m
3 、厚さ4mm、ヤング率1.0×104 N/m2 の発
泡ウレタンであり、質量シート8は、密度が1800k
g/m3 で厚さが1mmである塩化ビニルに、硫酸バリ
ウムを充填したシートである。
【0032】〔比較例1〕比較例1の壁パネルは、モル
タルの室内側に断熱材としてポリスチレンフォームが配
置され、断熱材の室内側に厚み12mmの石膏ボードが
設けられており、石膏ボードの室内側はクロス等で仕上
げられたものである。 〔比較例2〕比較例2の壁パネルは、両表面ボードが石
膏ボードであり、その内部は中空の空気層で、空気層厚
みは50mmである。
【0033】***** 上記実施例および比較例で示した壁パネルの熱的性能を
評価するために、図12に示すような10畳相当の部屋
を施工した。部屋は2階建て木造一戸建ての1階部分
で、壁の2面を外気に面する外壁とし、他の2面を隣室
と面する間仕切り壁となっている。外壁にはそれぞれ窓
アルミサッシで1.8m×1.8mの掃き出し窓と1.
8m×1.2mの腰窓とが設けられ、各々のアルミサッ
シには厚み3mmの普通ガラスがはめられている。天井
材は、ロックウールボード、空気層、パーティクルボー
ド、カーペットが順に室内側に向かって積層された構造
である。また床材は、ポリスチレンフォームの表面をフ
ローリング仕上げした構造である。
【0034】床面積は16.6m2 、また窓を除いた外
壁部分面積は14.2m2 、間仕切壁の面積は19.7
2 である。部屋の換気回数は、トレーサーガスとして
炭酸ガスを用いた測定法によれば、0.7回/hであっ
た。 <熱的性能の評価>この住宅の外壁として、実施例1、
比較例1で示した壁パネルを採用し、間仕切り壁として
実施例2〜5、比較例2で示した壁パネルを採用して、
温度を20℃に設定して暖房を行った場合の、室温が設
定温度まで到達するのに必要な時間、すなわち室温立ち
上がり時間と、定常状態での暖房負荷の大きさを計測し
た。なお、暖房器具としては3kwhの電気ストーブを
用いた。
【0035】<音響的性能の評価>音響的性能の評価
は、雑音発生機(1405、B&K社製)及び増幅器
(SUV−900、Panasonic 製)を用いて発生させた
音波をマイクロフォンに入射し、これを増幅器(281
1、B&K社製)及び周波数分析機(2B1、B&K社
製)を用いて遮音性能を計測し、その結果をD値で示し
た。
【0036】実施例1〜3、5及び比較例1、2につい
ては、厚さ50mm、幅25mmの合板を木枠として用
い、実施例4については、厚み12mm、幅25mmの
合板を木枠として用いた。また、壁パネルのサイズを9
10mm×1820mmとし、各壁パネルの空気層、断
熱層、吸振構造体、吸音層を含む層の外周に沿ってこの
木枠を配置し、各壁パネルのロックウールボード、合
板、石膏ボード等が木枠から突出するようにした。
【0037】なお、D値とは、JIS A 1419「建築物の遮
音等級」に基づいて、空間平均音圧レベル差に関する遮
音等級の基準周波数特性を定めて基準曲線とし、その基
準曲線が500Hzで示す音圧レベル差(db)の数値であ
る。D値が大きいほど遮音性能が高い。以上の性能の評
価結果を表1に示す。各実施例および比較例における壁
パネル構造、暖房負荷性能、遮音性能以外に、壁パネル
の面重量、総厚みについても記載した。
【0038】
【表1】
【0039】以上の結果から、(1)〜(4)の組み合
わせの場合は、従来の壁パネルの構造である(5)の場
合に比べて、立ち上がり時間で約25〜30%短縮で
き、また、定常状態の暖房負荷についても同様に約25
〜30%削減できることがわかった。表面ボードを石膏
ボードからロックウールボードに変更するだけで暖房負
荷が25%と大幅に削減できていることがわかる。つま
り、石膏ボードの熱電導率が0.24W/mKであるこ
とに対し、ロックウールボードの熱電導率は0.07W
/mK以下と小さいために、熱貫流率が低下して断熱性
が向上する。また、石膏ボードの密度が800kg/m
3 に対し、ロックウールボードの密度が300kg/m
3 と小さいために、壁面温度上昇に要する熱負荷量が低
減したものと思われる。
【0040】さらに、(2)〜(4)の結果から、間仕
切り壁の空隙にロックウール断熱層やロックウールを構
成材料とする吸音層を設けることにより、(1)の場合
に比較してさらに立ち上がり時間が短縮し、定常の暖房
負荷が削減されていることがわかる。また、遮音性能に
ついては、(1)〜(4)の場合と(5)の場合との比
較から、表面ボードを12mmの石膏ボードから9mm
のロックウールボードに変更することで、壁パネルの面
重量が小さくなるために、質量則により遮音性能が低下
しているのがわかる。しかし、内部空気層の代わりに
(3)に示すような低音域で高い吸音特性を有する吸音
層を配置したり、或いは吸振構造体を設置することによ
り、大幅に遮音性能の向上が図れる。
【0041】以上のように、本実施例によれば、空調時
の室温の立ち上がり時間の短縮や、定常時の空調負荷を
削減することが可能となり、音響的にも遮音性能を向上
させた壁パネルの実現が可能となる。さらには、建材の
物性として、低密度であることを特徴にしているため、
壁パネル構造全体が軽量となり、施工性にも優れる。ま
た、低音域で高い吸音特性を有する吸音層を配置するこ
とで、従来構造に比べて軽量で厚みが薄く、熱的にも音
響的にも優れた壁パネルの実現が可能となる。
【0042】
【発明の効果】本発明に係る建材は、比熱が400kJ
/m3 K以下、熱電導率が0.07W/mK以下、厚み
が9mm以上であるため、これを壁パネル等に使用する
場合には、室温の立ち上がりが速く、熱負荷も少なくな
る。建材の圧縮強度が3.0×105 N/m2 以上であ
る場合には、室温の立ち上がりがより速くなり、熱負荷
もより少なくなる。
【0043】本発明の一見地に係る壁パネルは、前述の
建材に加えて断熱層をさらに含むため、室温の立ち上が
りがさらに速くなり、熱負荷もさらに少なくなる。前記
壁パネルが、断熱層の両面に前述の建材を2枚備えてい
る場合には、熱負荷がより少なくなる。本発明の他の見
地に係る壁パネルは、前述の建材に加えて吸音層をさら
に含むため、室温の立ち上がりが速くて熱負荷が少な
く、かつ遮音性能も良好である。
【0044】前記壁パネルが、吸音層の両面に前述の建
材を2枚備えている場合には、熱負荷がより少なくな
る。本発明のさらに他の見地に係る壁パネルは、前述の
建材に加えて吸振構造体をさらに含むため、室温の立ち
上がりが速くて熱負荷が少なく、かつ遮音性能も良好で
ある。
【0045】前記弾性板状体材料の単位面積当たりのバ
ネ定数が1.0×106 〜5.0×107 N/mの範囲
内である場合には、遮音性能がより向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】粉体粒子の表面に繊維の構造体を付けた吸音粉
体の概念図。
【図2】吸音層の部分断面図。
【図3】吸振構造体を設置した壁パネルの斜視図。
【図4】吸振構造体の詳細を示す斜視図。
【図5】本発明の一変形例を示す壁パネル。
【図6】本発明の一変形例を示す壁パネル。
【図7】実施例1の壁パネルの構成を示す部分断面図。
【図8】実施例2の壁パネルの構成を示す部分断面図。
【図9】実施例3の壁パネルの構成を示す部分断面図。
【図10】実施例4の壁パネルの構成を示す部分断面
図。
【図11】実施例5の壁パネルの構成を示す部分断面
図。
【図12】実施例で示した壁パネルの熱的性能を評価す
るために施工した部屋の概略図。
【符号の説明】
6 吸振構造体 9,10,11 建材 13 断熱層 14 吸音層
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年8月21日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項8
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正内容】
【0008】
【課題を解決するための手段】 〔建材〕本発明に一見地に係る建材は、比熱が400k
J/m3 K以下で、熱電導率が0.07W/mK以下で
かつ厚みが9mm以上である。前記建材の比熱が400
kJ/m3 Kより大きい場合には、空調時の室温の立ち
上がりが悪くなる。また、熱電導率が0.07W/mK
を越える場合には、空調時の熱負荷の低減効果が小さ
い。さらに、建材の厚みが9mmより薄い場合には、壁
として最低限必要な曲げ破壊荷重が保てなくなるおそれ
がある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 安藤 秀行 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 (72)発明者 清 三喜男 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】比熱が400kJ/m3 K以下で、熱電導
    率が0.07W/mK以下でかつ厚みが9mm以上であ
    る建材。
  2. 【請求項2】前記建材は圧縮強度が3.0×105 N/
    2 以上である、請求項1に記載の建材。
  3. 【請求項3】前記建材は構築物の壁パネルとして使用さ
    れる、請求項1または2に記載の建材。
  4. 【請求項4】熱貫流率が3.0W/m2 K以下である断
    熱層と、 前記断熱層の一側面側に配置され、比熱が400kJ/
    3 K以下で、熱電導率が0.07W/mK以下でかつ
    厚みが9mm以上である第1の建材と、を含む壁パネ
    ル。
  5. 【請求項5】比熱が400kJ/m3 K以下で、熱電導
    率が0.07W/mK以下、厚みが9mm以上である第
    2の建材をさらに含み、 前記第2の建材が前記断熱層の他側面側に配置されてい
    る、請求項4に記載の壁パネル。
  6. 【請求項6】多孔質層からなる表裏面層と、2層以上の
    吸音粉体層及びそれらの間に積層された多孔質層を有す
    る内部層とを含む吸音層と、 前記吸音層の一側面側に配置され、比熱が400kJ/
    3 K以下で、熱電導率が0.07W/mK以下でかつ
    厚みが9mm以上である第1の建材と、を含む壁パネ
    ル。
  7. 【請求項7】前記吸音層の他側面側に配置され、比熱が
    400kJ/m3 K以下で、熱電導率が0.07W/m
    K以下でかつ厚みが9mm以上である第2の建材をさら
    に含んでいる、請求項6に記載の壁パネル。
  8. 【請求項8】熱電導率が0.07W/mK以下でかつ厚
    みが9mm以上である建材と、 前記建材の少なくとも一方の一側面に接着積層され、共
    振バネ弾性を有する弾性板状体材料と、前記弾性板状体
    材料に積層された質量シートとを含む吸振構造体を含む
    壁パネル。
  9. 【請求項9】前記弾性板状体材料は単位面積当たりのバ
    ネ定数が1.0×106 〜5.0×107 N/mの範囲
    内である、請求項8に記載の壁パネル。
JP12799295A 1995-05-26 1995-05-26 建材およびそれを用いた壁パネル Pending JPH08326178A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005186062A (ja) * 2003-12-05 2005-07-14 Sk Kaken Co Ltd 建築物外壁の塗装方法
JP2009298148A (ja) * 2008-06-13 2009-12-24 Itt Manufacturing Enterprises Inc 熱バリアシステム
JP2010264454A (ja) * 2003-12-05 2010-11-25 Sk Kaken Co Ltd 建築物外壁の塗装方法

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