JP2004076463A - 遮音パネル - Google Patents
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Abstract
【課題】より良好な遮音性能を得ることができる遮音パネルを提供する。
【解決手段】本発明の遮音パネルは、表面および裏面が開放されたハニカムコア材2と、ハニカムコア材2の表面および裏面の少なくとも一方に貼り付けられた通気性材料4、4と、ハニカムコア材2の表面側および裏面側にそれぞれ設けられた板材3、3と、を備えている。また、表面および裏面の少なくとも一方に第2通気性材料24を貼り付けた第2ハニカムコア材22、吸音材5や遮音材31が適宜、積層される。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明の遮音パネルは、表面および裏面が開放されたハニカムコア材2と、ハニカムコア材2の表面および裏面の少なくとも一方に貼り付けられた通気性材料4、4と、ハニカムコア材2の表面側および裏面側にそれぞれ設けられた板材3、3と、を備えている。また、表面および裏面の少なくとも一方に第2通気性材料24を貼り付けた第2ハニカムコア材22、吸音材5や遮音材31が適宜、積層される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、防音などを目的として、防音壁、間仕切りや建具などとして用いられる遮音パネルに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の遮音パネルの1つとして、ハニカムコア材の表裏面に合板などの板材を貼り付けたフラッシュパネルが用いられている。ハニカムコア材の吸音メカニズムは、空気の粘性抵抗を利用したものであり、ハニカムコア材を構成するセル内に音が入射したときに、セル内の空気の粘性によって音のエネルギーが減衰されることにより、吸音効果が得られる。このようなハニカムコア材による吸音や、板材による音の反射などによって、フラッシュパネルの表面から裏面に透過する音を減衰させることにより、遮音が行われる。また、このフラッシュパネルは、ハニカムコア材を用いていることによって、非常に軽量であるとともに、優れた強度特性を有している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述した従来の遮音パネルには、次のような問題がある。すなわち、ハニカムコア材に板材が直接、貼り付けられているので、表裏の板材がハニカムコア材を介して振動的に結合し、サウンドブリッジが生じることによって、遮音パネルの遮音性能が低下してしまう。また、ハニカムコア材の裏面側に、板材のような剛体が貼り付けられているので、ハニカムコア材を構成するセルの固有振動数に相当する振動数の音がセル内に入射した場合には、入射した音に対してセルが共振することによって閉管共鳴が生じるため、遮音パネル自体から音が発生してしまうことがある。
【0004】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、より良好な遮音性能を得ることができる遮音パネルを提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、本発明の請求項1に係る発明は、表面および裏面が開放されたハニカムコア材と、ハニカムコア材の表面および裏面の少なくとも一方に貼り付けられた通気性材料と、ハニカムコア材の表面側および裏面側にそれぞれ設けられた板材と、を備えていることを特徴とする。
【0006】
この遮音パネルによれば、その表面側で発生した音は、まず、表面側の板材に到達する。その際、音は、その一部が板材の表面で反射され、それ以外の板材内に入射した音は、そこで減衰された後、ハニカムコア材に到達する。ハニカムコア材に到達した音は、その内部に形成された多数のセルを通過する際に、空気の粘性抵抗によって減衰される。なお、音は、ハニカムコア材の表面および裏面の一方または両方に貼り付けられている通気性材料を通過する際にも、若干、減衰される。次いで、音は、裏面側の板材を通過する際には、表面側の板材を通過したときと同様に、その内部で減衰された後、遮音パネルの裏面側に到達する。以上のように、各層において音の反射および減衰がなされる。
【0007】
また、ハニカムコア材と少なくとも一方の板材との間に通気性材料が介在していて、この板材とハニカムコア材が直接、接触することがないため、表裏の板材間にハニカムコア材を介してサウンドブリッジが生じるのを防止でき、それに起因する遮音性能の低下を防止することができる。さらに、ハニカムコア材の表面および裏面の少なくとも一方に通気性材料が直接、貼り付けられているので、通気性材料での音の反射が低減されることによって、セル内に入射する音と反射音との共鳴によるセル内での閉管共鳴の発生を抑制することができる。本発明の遮音パネルによれば、以上のようなサウンドブリッジの防止と閉管共鳴の抑制によって、優れた遮音性能を得ることができる。
【0008】
また、遮音パネルの製造工程において、ハニカムコア材に通気性材料を貼り付けることによって、その剛性が増すため、それ以降の工程でのハニカムコア材の取扱い性を向上させることができる。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の遮音パネルにおいて、板材間に、表面および裏面が開放された第2ハニカムコア材と、第2ハニカムコア材の表面および裏面の少なくとも一方に貼り付けられた通気性を有する第2通気性材料と、をさらに備えていることを特徴とする。
【0010】
この遮音パネルによれば、通気性材料をそれぞれ貼り付けた複数層のハニカムコア材を備えるので、通気性材料付きのハニカムコア材による前述した作用をより良く得ることができ、したがって、遮音パネルの遮音性能をさらに向上させることができる。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載の遮音パネルにおいて、板材間に介在する吸音材をさらに備えていることを特徴とする。
【0012】
この遮音パネルによれば、遮音パネルに到達した音が、表裏の板材間に介在する吸音材を通過する際に、それによって吸音されるので、その分、遮音パネルの遮音性能をさらに向上させることができる。
【0013】
請求項4に係る発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の遮音パネルにおいて、板材に積層された遮音材をさらに備えていることを特徴とする。
【0014】
この遮音パネルによれば、遮音パネルに到達した音が、板材に積層された遮音材によって遮音されるので、その分、遮音パネルの遮音性能をさらに向上させることができる。
【0015】
【発明の実施形態】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明の第1実施形態による遮音パネル1を示している。この遮音パネル1は、ハニカムコア材2と、その表面および裏面にそれぞれ貼り付けられた不織布4、4と、不織布4、4の外面にそれぞれ貼り付けられた板材3、3を備えている。
【0016】
ハニカムコア材2は、隔壁2bによって形成された互いに独立する多数のセル2aを有するハニカム構造体で構成されており、表面および裏面が開放され、全体としてパネル状に形成されている。このハニカムコア材2としては、市販のものを採用することが可能である。また、その材質は、軽量化の観点からは、紙や軽量金属材料などの比重が小さいものが好ましい。さらに、セル2aの形状およびサイズも特に制限はなく、例えば、セル2aの径が1/2インチや、3/4インチなどの汎用サイズのものを採用することが可能である。本実施形態では、ハニカムコア材2として、クラフト紙製で、厚さが15mmであり、セル2aのサイズが1/2インチのものを採用している。
【0017】
各不織布4は、通気性を有する通気性材料として用いられており、例えばポリエステル(103g/m2)で構成され、その厚さは例えば0.3mmであり、ハニカムコア材2の表面および裏面の全体を覆っている。なお、通気性材料として、不織布などのシート状材料に代えて、有孔板などの板状材料を用いてもよい。また、板材3、3は、不織布4、4の各外面の全体をそれぞれ覆うように、これに貼り付けられている。各板材3は、遮音性を有する、例えばラワン合板で構成されており、その厚さは、例えば5.5mmである。
【0018】
以上の構成の遮音パネル1によれば、その表面側で発生した音は、まず、表面側の板材3に到達する。その際、音は、その一部が板材3の表面で反射され、それ以外の板材3内に入射した音は、板材3内で減衰された後、表面側の不織布4に到達する。音は、この不織布4を通過する際にも、若干、減衰され、次いで、ハニカムコア材2内に入射する。音は、ハニカムコア材2内のそれぞれのセル2aを通過する際、空気の粘性抵抗によって減衰される。次いで、音は、裏面側の不織布4に到達し、それを通過する際にも、表面側の不織布4を通過したときと同様に、若干、減衰され、裏面側の板材3に到達する。そして、裏面側の板材3を通過する際にも、表面側の板材3を通過したときと同様に、その内部で減衰された後、遮音パネル1の裏面側に到達する。以上のように、各層において音の反射および減衰がなされる。
【0019】
また、ハニカムコア材2と表裏の板材3、3との間に不織布4がそれぞれ介在していて、ハニカムコア材2と各板材3が直接、接触することがないため、板材3、3が、ハニカムコア材2を介して相互に振動的に結合することがない。したがって、板材3、3間にサウンドブリッジが生じるのを防止でき、それに起因する遮音パネル1の遮音性能の低下を防止することができる。また、ハニカムコア材2に不織布4が直接、貼り付けられているとともに、不織布4が通気性を有するので、不織布4に到達した音は反射されにくく、そのほとんどが不織布4を通過する。その結果、通気性材料での音の反射が低減されることによって、セル内に入射する音と反射音との共鳴によるセル内での閉管共鳴の発生を抑制することができる。以上のように、サウンドブリッジの防止および閉管共鳴の抑制によって、優れた遮音性能を得ることができる。
【0020】
また、遮音パネル1の製造工程において、あらかじめハニカムコア材2に不織布4を貼り付けることによって、ハニカムコア材2の剛性が増すので、それにより、それ以降の工程でのハニカムコア材2の取扱い性を向上させることができ、遮音パネル1の製造をより容易に行うことができる。
【0021】
図2は、本発明の第2実施形態による遮音パネル10を示している。本実施形態は、上述した第1実施形態と比較し、表面側(同図の左側)の不織布4と板材3の間に、吸音材5が介在している点のみが異なるものである。この吸音材5としては、吸音性の高い材料、例えばグラスウール、ロックウールや軟質発泡ウレタンなどの多孔質材料が好ましく、本実施形態では、例えば厚さ10mmのグラスウールが用いられている。したがって、この遮音パネル10によれば、遮音パネル10に到達した音が、吸音材5を通過する際に、それによって吸音されるので、より高い遮音性能を得ることができる。
【0022】
図3は、第1および第2実施形態の遮音パネル1、10の遮音性能を確認するために実施した試験結果の一例を示している。この試験は、上述した構成の遮音パネル1、10と比較例の遮音パネルについて、それぞれJISA1419による「実験室における建築部材の空気音遮断性能の測定方法」に基づき、日本建築学会の評価基準を加味して行ったものである。なお、この比較例の遮音パネルは、遮音パネル1から不織布4、4を除去したもの、すなわち、ハニカムコア材2の表裏面に直接、板材3、3を貼り付けたものであり、各層の厚さは、遮音パネル1、10と同じである。図4は、この試験方法を示しており、具体的には、音源室と受音室の間に遮音パネル1、10および比較例の遮音パネルの各試験体を設置した状態で、音源室で音を発生させたときの音圧レベルを音源室および受音室でそれぞれ測定し、両音圧レベルの差(以下「音圧レベル差」という)ΔDを求める。そして、求めた音圧レベル差ΔDの値が、すべての周波数帯域において基準曲線を上回るときに、その基準曲線の呼び方によって遮音等級を表すものである。なお、各試験体の寸法は、縦745mm×横1785mmである。
【0023】
図4(a)〜(c)は、遮音パネル1、10および比較例についての試験結果をそれぞれ示している。同図(c)に示すように、不織布4を設けていない比較例では、音圧レベル差ΔDは、オクターブバンド中心周波数(以下、単に「周波数」という)fが2000Hz付近までの低〜中周波数域において特に低く、その遮音等級はD−15にも満たない。
【0024】
これに対し、遮音パネル1、10では、全体として、比較例よりもはるかに高い音圧レベル差ΔDが得られており、その遮音等級はいずれもD−20である。すなわち、本実施形態の遮音パネル1、10によれば、ハニカムコア材2の表裏面に不織布4が貼り付けられていることにより、前述したサウンドブリッジの防止および閉管共鳴の抑制という効果が発揮されることによって、優れた遮音性能が得られることが確認された。また、遮音パネル1、10を比較すると、後者10の音圧レベルΔDは、前者1よりも低〜中周波数域において特に高いという試験結果が得られている。すなわち、遮音パネル10では、吸音材5が付加されていることによって、特に低〜中周波数域における遮音性能がさらに向上することが確認された。
【0025】
図5および図6は、遮音パネルの2つの変形例を示している。図5の遮音パネル20は、第2実施形態の遮音パネル10と比較し、表裏面に不織布24、24(第2通気性材料)を貼り付けた第2ハニカムコア材22をさらに積層するとともに、この第2ハニカムコア材22とハニカムコア材2の間に吸音材5を介在させたものである。第2ハニカムコア材22および不織布24の材質と厚さは、ハニカムコア材2および不織布4とそれぞれ同じである。したがって、この遮音パネル20によれば、表裏面に不織布4、24をそれぞれ貼り付けた2層のハニカムコア材2、22によって、それによるサウンドブリッジの防止および閉管共鳴の抑制という効果をより良く発揮させることができ、したがって、遮音性能をさらに向上させることができる。
【0026】
また、図6の遮音パネル30は、図5の遮音パネル20に対し、板材3と不織布4との間、および板材3と不織布24との間に、遮音材31、31をそれぞれ付加したものである。この遮音材31は、例えば、比重が比較的大きな金属製の遮音シートなどで構成されている。したがって、この遮音パネル30によれば、遮音パネル30に到達した音が、表面側および裏面側の遮音材31、31によってさらに遮音されるので、遮音性能をさらに向上させることができる。
【0027】
なお、本発明は、説明した実施形態や変形例に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、実施形態では、ハニカムコア材2の表裏の両面に不織布4を貼り付けているが、いずれか一方の面に貼り付けてもよく、そのような構成によっても、サウンドブリッジの防止および閉管共鳴の抑制によって、遮音性能を向上させることができる。ハニカムコア材の層数を、所要の遮音性能に応じて、3層以上としてもよいことはもちろんである。また、吸音材5および遮音材31の有無、数や配置などについても、例示した実施形態や変形例以外のものを任意に採用することが可能である。さらに、説明した各構成要素の材質は、あくまで例示であり、他の適当な材質を採用してもよい。その他、本発明の趣旨の範囲内で、細部の構成を適宜、変更することが可能である。
【0028】
【発明の効果】
以上のように、本発明の遮音パネルは、より良好な遮音性能を得ることができるなどの効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態による遮音パネルを背面側から見た部分破断斜視図である。
【図2】本発明の第2実施形態を示す、図1と同様の部分破断斜視図である。
【図3】第1および第2実施形態による遮音パネルおよび比較例についての遮音性能の試験結果を示す図である。
【図4】遮音パネルの遮音性能の試験方法を示す模式図である。
【図5】変形例による遮音パネルを示す部分側面図である。
【図6】他の変形例による遮音パネルを示す部分側面図である。
【符号の説明】
1 遮音パネル
2 ハニカムコア材
3 板材
4 不織布(通気性材料)
5 吸音材
10 遮音パネル
20 遮音パネル
22 第2ハニカムコア材
24 不織布(第2通気性材料)
30 遮音パネル
31 遮音材
【発明の属する技術分野】
本発明は、防音などを目的として、防音壁、間仕切りや建具などとして用いられる遮音パネルに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の遮音パネルの1つとして、ハニカムコア材の表裏面に合板などの板材を貼り付けたフラッシュパネルが用いられている。ハニカムコア材の吸音メカニズムは、空気の粘性抵抗を利用したものであり、ハニカムコア材を構成するセル内に音が入射したときに、セル内の空気の粘性によって音のエネルギーが減衰されることにより、吸音効果が得られる。このようなハニカムコア材による吸音や、板材による音の反射などによって、フラッシュパネルの表面から裏面に透過する音を減衰させることにより、遮音が行われる。また、このフラッシュパネルは、ハニカムコア材を用いていることによって、非常に軽量であるとともに、優れた強度特性を有している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述した従来の遮音パネルには、次のような問題がある。すなわち、ハニカムコア材に板材が直接、貼り付けられているので、表裏の板材がハニカムコア材を介して振動的に結合し、サウンドブリッジが生じることによって、遮音パネルの遮音性能が低下してしまう。また、ハニカムコア材の裏面側に、板材のような剛体が貼り付けられているので、ハニカムコア材を構成するセルの固有振動数に相当する振動数の音がセル内に入射した場合には、入射した音に対してセルが共振することによって閉管共鳴が生じるため、遮音パネル自体から音が発生してしまうことがある。
【0004】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、より良好な遮音性能を得ることができる遮音パネルを提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、本発明の請求項1に係る発明は、表面および裏面が開放されたハニカムコア材と、ハニカムコア材の表面および裏面の少なくとも一方に貼り付けられた通気性材料と、ハニカムコア材の表面側および裏面側にそれぞれ設けられた板材と、を備えていることを特徴とする。
【0006】
この遮音パネルによれば、その表面側で発生した音は、まず、表面側の板材に到達する。その際、音は、その一部が板材の表面で反射され、それ以外の板材内に入射した音は、そこで減衰された後、ハニカムコア材に到達する。ハニカムコア材に到達した音は、その内部に形成された多数のセルを通過する際に、空気の粘性抵抗によって減衰される。なお、音は、ハニカムコア材の表面および裏面の一方または両方に貼り付けられている通気性材料を通過する際にも、若干、減衰される。次いで、音は、裏面側の板材を通過する際には、表面側の板材を通過したときと同様に、その内部で減衰された後、遮音パネルの裏面側に到達する。以上のように、各層において音の反射および減衰がなされる。
【0007】
また、ハニカムコア材と少なくとも一方の板材との間に通気性材料が介在していて、この板材とハニカムコア材が直接、接触することがないため、表裏の板材間にハニカムコア材を介してサウンドブリッジが生じるのを防止でき、それに起因する遮音性能の低下を防止することができる。さらに、ハニカムコア材の表面および裏面の少なくとも一方に通気性材料が直接、貼り付けられているので、通気性材料での音の反射が低減されることによって、セル内に入射する音と反射音との共鳴によるセル内での閉管共鳴の発生を抑制することができる。本発明の遮音パネルによれば、以上のようなサウンドブリッジの防止と閉管共鳴の抑制によって、優れた遮音性能を得ることができる。
【0008】
また、遮音パネルの製造工程において、ハニカムコア材に通気性材料を貼り付けることによって、その剛性が増すため、それ以降の工程でのハニカムコア材の取扱い性を向上させることができる。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の遮音パネルにおいて、板材間に、表面および裏面が開放された第2ハニカムコア材と、第2ハニカムコア材の表面および裏面の少なくとも一方に貼り付けられた通気性を有する第2通気性材料と、をさらに備えていることを特徴とする。
【0010】
この遮音パネルによれば、通気性材料をそれぞれ貼り付けた複数層のハニカムコア材を備えるので、通気性材料付きのハニカムコア材による前述した作用をより良く得ることができ、したがって、遮音パネルの遮音性能をさらに向上させることができる。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載の遮音パネルにおいて、板材間に介在する吸音材をさらに備えていることを特徴とする。
【0012】
この遮音パネルによれば、遮音パネルに到達した音が、表裏の板材間に介在する吸音材を通過する際に、それによって吸音されるので、その分、遮音パネルの遮音性能をさらに向上させることができる。
【0013】
請求項4に係る発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の遮音パネルにおいて、板材に積層された遮音材をさらに備えていることを特徴とする。
【0014】
この遮音パネルによれば、遮音パネルに到達した音が、板材に積層された遮音材によって遮音されるので、その分、遮音パネルの遮音性能をさらに向上させることができる。
【0015】
【発明の実施形態】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明の第1実施形態による遮音パネル1を示している。この遮音パネル1は、ハニカムコア材2と、その表面および裏面にそれぞれ貼り付けられた不織布4、4と、不織布4、4の外面にそれぞれ貼り付けられた板材3、3を備えている。
【0016】
ハニカムコア材2は、隔壁2bによって形成された互いに独立する多数のセル2aを有するハニカム構造体で構成されており、表面および裏面が開放され、全体としてパネル状に形成されている。このハニカムコア材2としては、市販のものを採用することが可能である。また、その材質は、軽量化の観点からは、紙や軽量金属材料などの比重が小さいものが好ましい。さらに、セル2aの形状およびサイズも特に制限はなく、例えば、セル2aの径が1/2インチや、3/4インチなどの汎用サイズのものを採用することが可能である。本実施形態では、ハニカムコア材2として、クラフト紙製で、厚さが15mmであり、セル2aのサイズが1/2インチのものを採用している。
【0017】
各不織布4は、通気性を有する通気性材料として用いられており、例えばポリエステル(103g/m2)で構成され、その厚さは例えば0.3mmであり、ハニカムコア材2の表面および裏面の全体を覆っている。なお、通気性材料として、不織布などのシート状材料に代えて、有孔板などの板状材料を用いてもよい。また、板材3、3は、不織布4、4の各外面の全体をそれぞれ覆うように、これに貼り付けられている。各板材3は、遮音性を有する、例えばラワン合板で構成されており、その厚さは、例えば5.5mmである。
【0018】
以上の構成の遮音パネル1によれば、その表面側で発生した音は、まず、表面側の板材3に到達する。その際、音は、その一部が板材3の表面で反射され、それ以外の板材3内に入射した音は、板材3内で減衰された後、表面側の不織布4に到達する。音は、この不織布4を通過する際にも、若干、減衰され、次いで、ハニカムコア材2内に入射する。音は、ハニカムコア材2内のそれぞれのセル2aを通過する際、空気の粘性抵抗によって減衰される。次いで、音は、裏面側の不織布4に到達し、それを通過する際にも、表面側の不織布4を通過したときと同様に、若干、減衰され、裏面側の板材3に到達する。そして、裏面側の板材3を通過する際にも、表面側の板材3を通過したときと同様に、その内部で減衰された後、遮音パネル1の裏面側に到達する。以上のように、各層において音の反射および減衰がなされる。
【0019】
また、ハニカムコア材2と表裏の板材3、3との間に不織布4がそれぞれ介在していて、ハニカムコア材2と各板材3が直接、接触することがないため、板材3、3が、ハニカムコア材2を介して相互に振動的に結合することがない。したがって、板材3、3間にサウンドブリッジが生じるのを防止でき、それに起因する遮音パネル1の遮音性能の低下を防止することができる。また、ハニカムコア材2に不織布4が直接、貼り付けられているとともに、不織布4が通気性を有するので、不織布4に到達した音は反射されにくく、そのほとんどが不織布4を通過する。その結果、通気性材料での音の反射が低減されることによって、セル内に入射する音と反射音との共鳴によるセル内での閉管共鳴の発生を抑制することができる。以上のように、サウンドブリッジの防止および閉管共鳴の抑制によって、優れた遮音性能を得ることができる。
【0020】
また、遮音パネル1の製造工程において、あらかじめハニカムコア材2に不織布4を貼り付けることによって、ハニカムコア材2の剛性が増すので、それにより、それ以降の工程でのハニカムコア材2の取扱い性を向上させることができ、遮音パネル1の製造をより容易に行うことができる。
【0021】
図2は、本発明の第2実施形態による遮音パネル10を示している。本実施形態は、上述した第1実施形態と比較し、表面側(同図の左側)の不織布4と板材3の間に、吸音材5が介在している点のみが異なるものである。この吸音材5としては、吸音性の高い材料、例えばグラスウール、ロックウールや軟質発泡ウレタンなどの多孔質材料が好ましく、本実施形態では、例えば厚さ10mmのグラスウールが用いられている。したがって、この遮音パネル10によれば、遮音パネル10に到達した音が、吸音材5を通過する際に、それによって吸音されるので、より高い遮音性能を得ることができる。
【0022】
図3は、第1および第2実施形態の遮音パネル1、10の遮音性能を確認するために実施した試験結果の一例を示している。この試験は、上述した構成の遮音パネル1、10と比較例の遮音パネルについて、それぞれJISA1419による「実験室における建築部材の空気音遮断性能の測定方法」に基づき、日本建築学会の評価基準を加味して行ったものである。なお、この比較例の遮音パネルは、遮音パネル1から不織布4、4を除去したもの、すなわち、ハニカムコア材2の表裏面に直接、板材3、3を貼り付けたものであり、各層の厚さは、遮音パネル1、10と同じである。図4は、この試験方法を示しており、具体的には、音源室と受音室の間に遮音パネル1、10および比較例の遮音パネルの各試験体を設置した状態で、音源室で音を発生させたときの音圧レベルを音源室および受音室でそれぞれ測定し、両音圧レベルの差(以下「音圧レベル差」という)ΔDを求める。そして、求めた音圧レベル差ΔDの値が、すべての周波数帯域において基準曲線を上回るときに、その基準曲線の呼び方によって遮音等級を表すものである。なお、各試験体の寸法は、縦745mm×横1785mmである。
【0023】
図4(a)〜(c)は、遮音パネル1、10および比較例についての試験結果をそれぞれ示している。同図(c)に示すように、不織布4を設けていない比較例では、音圧レベル差ΔDは、オクターブバンド中心周波数(以下、単に「周波数」という)fが2000Hz付近までの低〜中周波数域において特に低く、その遮音等級はD−15にも満たない。
【0024】
これに対し、遮音パネル1、10では、全体として、比較例よりもはるかに高い音圧レベル差ΔDが得られており、その遮音等級はいずれもD−20である。すなわち、本実施形態の遮音パネル1、10によれば、ハニカムコア材2の表裏面に不織布4が貼り付けられていることにより、前述したサウンドブリッジの防止および閉管共鳴の抑制という効果が発揮されることによって、優れた遮音性能が得られることが確認された。また、遮音パネル1、10を比較すると、後者10の音圧レベルΔDは、前者1よりも低〜中周波数域において特に高いという試験結果が得られている。すなわち、遮音パネル10では、吸音材5が付加されていることによって、特に低〜中周波数域における遮音性能がさらに向上することが確認された。
【0025】
図5および図6は、遮音パネルの2つの変形例を示している。図5の遮音パネル20は、第2実施形態の遮音パネル10と比較し、表裏面に不織布24、24(第2通気性材料)を貼り付けた第2ハニカムコア材22をさらに積層するとともに、この第2ハニカムコア材22とハニカムコア材2の間に吸音材5を介在させたものである。第2ハニカムコア材22および不織布24の材質と厚さは、ハニカムコア材2および不織布4とそれぞれ同じである。したがって、この遮音パネル20によれば、表裏面に不織布4、24をそれぞれ貼り付けた2層のハニカムコア材2、22によって、それによるサウンドブリッジの防止および閉管共鳴の抑制という効果をより良く発揮させることができ、したがって、遮音性能をさらに向上させることができる。
【0026】
また、図6の遮音パネル30は、図5の遮音パネル20に対し、板材3と不織布4との間、および板材3と不織布24との間に、遮音材31、31をそれぞれ付加したものである。この遮音材31は、例えば、比重が比較的大きな金属製の遮音シートなどで構成されている。したがって、この遮音パネル30によれば、遮音パネル30に到達した音が、表面側および裏面側の遮音材31、31によってさらに遮音されるので、遮音性能をさらに向上させることができる。
【0027】
なお、本発明は、説明した実施形態や変形例に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、実施形態では、ハニカムコア材2の表裏の両面に不織布4を貼り付けているが、いずれか一方の面に貼り付けてもよく、そのような構成によっても、サウンドブリッジの防止および閉管共鳴の抑制によって、遮音性能を向上させることができる。ハニカムコア材の層数を、所要の遮音性能に応じて、3層以上としてもよいことはもちろんである。また、吸音材5および遮音材31の有無、数や配置などについても、例示した実施形態や変形例以外のものを任意に採用することが可能である。さらに、説明した各構成要素の材質は、あくまで例示であり、他の適当な材質を採用してもよい。その他、本発明の趣旨の範囲内で、細部の構成を適宜、変更することが可能である。
【0028】
【発明の効果】
以上のように、本発明の遮音パネルは、より良好な遮音性能を得ることができるなどの効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態による遮音パネルを背面側から見た部分破断斜視図である。
【図2】本発明の第2実施形態を示す、図1と同様の部分破断斜視図である。
【図3】第1および第2実施形態による遮音パネルおよび比較例についての遮音性能の試験結果を示す図である。
【図4】遮音パネルの遮音性能の試験方法を示す模式図である。
【図5】変形例による遮音パネルを示す部分側面図である。
【図6】他の変形例による遮音パネルを示す部分側面図である。
【符号の説明】
1 遮音パネル
2 ハニカムコア材
3 板材
4 不織布(通気性材料)
5 吸音材
10 遮音パネル
20 遮音パネル
22 第2ハニカムコア材
24 不織布(第2通気性材料)
30 遮音パネル
31 遮音材
Claims (4)
- 表面および裏面が開放されたハニカムコア材と、
当該ハニカムコア材の表面および裏面の少なくとも一方に貼り付けられた通気性を有する通気性材料と、
前記ハニカムコア材の表面側および裏面側にそれぞれ設けられた遮音性を有する板材と、
を備えていることを特徴とする遮音パネル。 - 前記板材間に、表面および裏面が開放された第2ハニカムコア材と、
当該第2ハニカムコア材の表面および裏面の少なくとも一方に貼り付けられた通気性を有する第2通気性材料と、
をさらに備えていることを特徴とする、請求項1に記載の遮音パネル。 - 前記板材間に介在する吸音材をさらに備えていることを特徴とする、請求項1または2に記載の遮音パネル。
- 前記板材に積層された遮音材をさらに備えていることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載の遮音パネル。
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