JPH08325794A - 耐食性、耐指紋性、耐クロム溶出性ならびに安定生産性に優れる電解クロメ−ト処理亜鉛系めっき鋼板の製造方法およびその際に使用される電解クロメ−ト浴 - Google Patents
耐食性、耐指紋性、耐クロム溶出性ならびに安定生産性に優れる電解クロメ−ト処理亜鉛系めっき鋼板の製造方法およびその際に使用される電解クロメ−ト浴Info
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- JPH08325794A JPH08325794A JP20644995A JP20644995A JPH08325794A JP H08325794 A JPH08325794 A JP H08325794A JP 20644995 A JP20644995 A JP 20644995A JP 20644995 A JP20644995 A JP 20644995A JP H08325794 A JPH08325794 A JP H08325794A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 耐食性、耐指紋性、耐クロム溶出性ならびに
連続生産性に優れる電解クロメ−ト処理亜鉛系めっき鋼
板の製造方法およびその際に使用される電解クロメ−ト
浴を提案する。 【構成】 少なくとも片面に亜鉛めっきを施した亜鉛ま
たは亜鉛系めっき鋼板を陰極として、6価のクロムイオ
ン、3価クロムイオン、2価のNiイオン、シリカゾル
を含み、更に、リン酸イオン、硫酸イオンを添加し、そ
の上で、3価のクロムイオン濃度/全クロム濃度<0.
1、浴中のシリカ濃度/3価クロムイオン濃度>70に
調整した電解クロメ−ト浴中において、pH2.5〜
3.8ならびに浴温30〜70℃に保って、クロメ−ト
電解処理して、亜鉛または亜鉛系めっき層上に電解クロ
メ−ト皮膜を形成する。
連続生産性に優れる電解クロメ−ト処理亜鉛系めっき鋼
板の製造方法およびその際に使用される電解クロメ−ト
浴を提案する。 【構成】 少なくとも片面に亜鉛めっきを施した亜鉛ま
たは亜鉛系めっき鋼板を陰極として、6価のクロムイオ
ン、3価クロムイオン、2価のNiイオン、シリカゾル
を含み、更に、リン酸イオン、硫酸イオンを添加し、そ
の上で、3価のクロムイオン濃度/全クロム濃度<0.
1、浴中のシリカ濃度/3価クロムイオン濃度>70に
調整した電解クロメ−ト浴中において、pH2.5〜
3.8ならびに浴温30〜70℃に保って、クロメ−ト
電解処理して、亜鉛または亜鉛系めっき層上に電解クロ
メ−ト皮膜を形成する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐食性、耐指紋性、耐
クロム溶出性ならびに安定生産性に優れる電解クロメ−
ト処理亜鉛系めっき鋼板の製造方法およびその際に使用
される電解クロメ−ト浴に関わり、詳しくは、主として
家電用に使用される電解型クロメ−ト処理電気亜鉛めっ
き鋼板の製造方法およびその際に使用される電解クロメ
−ト浴に関するものである。
クロム溶出性ならびに安定生産性に優れる電解クロメ−
ト処理亜鉛系めっき鋼板の製造方法およびその際に使用
される電解クロメ−ト浴に関わり、詳しくは、主として
家電用に使用される電解型クロメ−ト処理電気亜鉛めっ
き鋼板の製造方法およびその際に使用される電解クロメ
−ト浴に関するものである。
【0002】
【従来の技術】クロメ−ト処理した電気亜鉛めっき鋼板
はその優れた耐食性および加工時に潤滑性を付与せしめ
うるため、家電用シャ−シやモ−タ−カバ−等に広く用
いられている。
はその優れた耐食性および加工時に潤滑性を付与せしめ
うるため、家電用シャ−シやモ−タ−カバ−等に広く用
いられている。
【0003】電気亜鉛めっき鋼板上へのクロメ−ト処理
方法としては大別して、以下の3通りの方式がある。 a)塗布型クロメ−ト、 b)反応型クロメ−ト、 c)電解型クロメ−ト、
方法としては大別して、以下の3通りの方式がある。 a)塗布型クロメ−ト、 b)反応型クロメ−ト、 c)電解型クロメ−ト、
【0004】塗布型クロメ−トは電気亜鉛めっき鋼板上
へエア−ナイフもしくはロ−ルコ−タ等によってクロメ
−ト溶液を塗布し、しかる後に水洗することなくオ−ブ
ン等で焼き付け乾燥し、クロメ−ト皮膜を形成するもの
である。
へエア−ナイフもしくはロ−ルコ−タ等によってクロメ
−ト溶液を塗布し、しかる後に水洗することなくオ−ブ
ン等で焼き付け乾燥し、クロメ−ト皮膜を形成するもの
である。
【0005】この方式によると、クロメ−ト処理液と亜
鉛めっき層の反応量が少ないため、溶出亜鉛等による処
理液の劣化が少なく、液管理が行いやすいという利点が
ある。
鉛めっき層の反応量が少ないため、溶出亜鉛等による処
理液の劣化が少なく、液管理が行いやすいという利点が
ある。
【0006】また、塗布液中に添加した成分がそのまま
めっき鋼板上で乾燥し、皮膜形成するため、クロメ−ト
皮膜を構成する成分設計の自由度が大きい。たとえば、
日本鉄鋼協会発行「鉄と鋼」、第77年(1991)第
3号、p.406〜p.413(以下、先行技術1とい
う。)には、CrO3、SiO2、H3PO4から構成され
る塗工液の成分比を変えて電気亜鉛めっき鋼板に塗布し
てから焼き付けた鋼板について検討し、所定成分の塗工
液を用いることによって良好な耐食性、外観および耐指
紋性が得られることが開示されている。
めっき鋼板上で乾燥し、皮膜形成するため、クロメ−ト
皮膜を構成する成分設計の自由度が大きい。たとえば、
日本鉄鋼協会発行「鉄と鋼」、第77年(1991)第
3号、p.406〜p.413(以下、先行技術1とい
う。)には、CrO3、SiO2、H3PO4から構成され
る塗工液の成分比を変えて電気亜鉛めっき鋼板に塗布し
てから焼き付けた鋼板について検討し、所定成分の塗工
液を用いることによって良好な耐食性、外観および耐指
紋性が得られることが開示されている。
【0007】しかしながら、このような塗布型クロメ−
ト処理において、健全なクロメ−ト皮膜を形成するため
には、100℃以上の温度での焼き付け工程が必須にな
るためオ−ブンが必要になり、このための設備に要する
コスト高を招来し、経済的でない。
ト処理において、健全なクロメ−ト皮膜を形成するため
には、100℃以上の温度での焼き付け工程が必須にな
るためオ−ブンが必要になり、このための設備に要する
コスト高を招来し、経済的でない。
【0008】次に、b)反応型クロメ−トは亜鉛めっき
鋼板を6価のCrイオンを含有した反応型クロメ−ト溶
液に浸漬もしくはスプレ−処理によっ接液させ、金属亜
鉛めっき層を溶解し、同時に還元生成された3価のCr
イオンと6価のCrイオンからなるクロミッククロメ−
トをゲル状に析出させることにより、めっき上にクロメ
−ト皮膜を形成させるものである。
鋼板を6価のCrイオンを含有した反応型クロメ−ト溶
液に浸漬もしくはスプレ−処理によっ接液させ、金属亜
鉛めっき層を溶解し、同時に還元生成された3価のCr
イオンと6価のCrイオンからなるクロミッククロメ−
トをゲル状に析出させることにより、めっき上にクロメ
−ト皮膜を形成させるものである。
【0009】反応型クロメ−ト処理は塗布型クロメ−ト
処理と異なり、クロメ−ト後の高温乾燥が不要のため、
製造コストの低減が達成され、目的、用途によってさま
ざまなCr付着量の反応型クロメ−ト処理電気亜鉛めっ
き鋼板が製造されている。
処理と異なり、クロメ−ト後の高温乾燥が不要のため、
製造コストの低減が達成され、目的、用途によってさま
ざまなCr付着量の反応型クロメ−ト処理電気亜鉛めっ
き鋼板が製造されている。
【0010】しかしながら、皮膜形成に亜鉛めっき層の
溶接を伴うため、処理液中へのZnイオンの蓄積を余儀
なくされ、液管理が問題であるとともに、処理液の変化
による品質のバラツキが問題であった。
溶接を伴うため、処理液中へのZnイオンの蓄積を余儀
なくされ、液管理が問題であるとともに、処理液の変化
による品質のバラツキが問題であった。
【0011】さらに、化学反応によってクロメ−ト皮膜
を形成するため、付着量の制御が困難であるという問題
を内抱している。
を形成するため、付着量の制御が困難であるという問題
を内抱している。
【0012】次に、c)電解型クロメ−トは6価のCr
イオンを含有したクロメ−ト処理液中で、Zn系めっき
鋼板を陰極として電解処理することにより、クロメ−ト
皮膜を形成するものである。
イオンを含有したクロメ−ト処理液中で、Zn系めっき
鋼板を陰極として電解処理することにより、クロメ−ト
皮膜を形成するものである。
【0013】この方法によると、処理液中への亜鉛の溶
出が低減され、液管理が容易になるとともに、投入電気
量により付着量制御が可能になるという利点がある。
出が低減され、液管理が容易になるとともに、投入電気
量により付着量制御が可能になるという利点がある。
【0014】しかし、耐食性、耐指紋性等の機能性を有
さないため、用途としては塗装下地用を中心としたいわ
ゆる一般クロメ−ト用途に留まっている。
さないため、用途としては塗装下地用を中心としたいわ
ゆる一般クロメ−ト用途に留まっている。
【0015】このような問題を改善するため、浴中にシ
リカを添加して電解クロメ−ト処理に高機能性を付与す
る方法が、特開平1−255690号公報(以下、先行
技術2という。)、特開平2−88799号公報(以
下、先行技術3という。)、および特開平2−2709
94号公報(以下、先行技術4という。)に開示されて
いる。
リカを添加して電解クロメ−ト処理に高機能性を付与す
る方法が、特開平1−255690号公報(以下、先行
技術2という。)、特開平2−88799号公報(以
下、先行技術3という。)、および特開平2−2709
94号公報(以下、先行技術4という。)に開示されて
いる。
【0016】先行技術2および先行技術3は、亜鉛また
は亜鉛系合金めっき鋼板をCr6+、Ni2+、シリカ、
およびアニオンを特定量含む処理液中で陰極電解処理を
することにより耐食性、塗装性および耐指紋性に優れる
めっき鋼板の製造ができることを開示している。
は亜鉛系合金めっき鋼板をCr6+、Ni2+、シリカ、
およびアニオンを特定量含む処理液中で陰極電解処理を
することにより耐食性、塗装性および耐指紋性に優れる
めっき鋼板の製造ができることを開示している。
【0017】この方法によると従来の電解クロメ−ト処
理亜鉛めっき鋼板と比較して耐食性は改善されるもの
の、クロメ−ト皮膜が6価のクロム酸化合物が主体にな
るため、外観が著しい黄色味を呈するとともに、水洗、
脱脂時に皮膜中のクロム酸化合物が溶出するという耐ク
ロム溶出性が劣る問題がある。
理亜鉛めっき鋼板と比較して耐食性は改善されるもの
の、クロメ−ト皮膜が6価のクロム酸化合物が主体にな
るため、外観が著しい黄色味を呈するとともに、水洗、
脱脂時に皮膜中のクロム酸化合物が溶出するという耐ク
ロム溶出性が劣る問題がある。
【0018】また、従来の電解クロメ−ト処理鋼板と比
較して、耐指紋性は若干改善されているが、十分とはい
えない。さらに、クロメ−ト皮膜中に金属クロムが形成
されるため、製造後の鋼板に黒錆が発生しやすい。
較して、耐指紋性は若干改善されているが、十分とはい
えない。さらに、クロメ−ト皮膜中に金属クロムが形成
されるため、製造後の鋼板に黒錆が発生しやすい。
【0019】先行技術4には、Cr6+、Cr3+、コロ
イダルシリカ、Zn、およびNiまたはCoを特定量含
む処理液中で亜鉛めっき鋼板を陰極電解処理することに
よって耐食性、耐指紋性および塗装性に優れる鋼板が製
造できることが開示されている。
イダルシリカ、Zn、およびNiまたはCoを特定量含
む処理液中で亜鉛めっき鋼板を陰極電解処理することに
よって耐食性、耐指紋性および塗装性に優れる鋼板が製
造できることが開示されている。
【0020】しかしながら、この方法において製造され
る電解クロメ−ト処理亜鉛めっき鋼板は耐クロム溶出性
は良好なものの、皮膜中に共析するシリカ量が僅少であ
り、耐食性が必ずしも十分でない。
る電解クロメ−ト処理亜鉛めっき鋼板は耐クロム溶出性
は良好なものの、皮膜中に共析するシリカ量が僅少であ
り、耐食性が必ずしも十分でない。
【0021】さらに、浴中に単にCr3+を添加するた
めに、浴中に水酸化クロム(3価)が生成されやすくな
り、浴の安定性を欠く。
めに、浴中に水酸化クロム(3価)が生成されやすくな
り、浴の安定性を欠く。
【0022】また、本発明者らの検討によると、先行技
術2、先行技術3、および先行技術4の方法によると、
先行技術1に開示されるような皮膜中のリン酸化合物が
形成がなされないため、耐指紋性が劣ることを見出し
た。
術2、先行技術3、および先行技術4の方法によると、
先行技術1に開示されるような皮膜中のリン酸化合物が
形成がなされないため、耐指紋性が劣ることを見出し
た。
【0023】浴中にリン酸イオンを添加して電解クロメ
−ト処理に高機能性を付与する方法として、特開昭59
−67394号公報(以下、先行技術5という。)およ
び特開昭62−278297号公報(以下、先行技術6
という。)が開示されている。
−ト処理に高機能性を付与する方法として、特開昭59
−67394号公報(以下、先行技術5という。)およ
び特開昭62−278297号公報(以下、先行技術6
という。)が開示されている。
【0024】先行技術5には、CrO3、PO4、Zn2
+、SO4 2−、およびケイフッ化物を含有する浴で金属
にカソ−ド電解処理を行う方法が開示されている。
+、SO4 2−、およびケイフッ化物を含有する浴で金属
にカソ−ド電解処理を行う方法が開示されている。
【0025】この方法では、皮膜中にシリカが含まれな
いため、耐食性が十分でない。また浴中のリン酸イオン
量が2g/l以上であるため、耐食性を劣化させるとと
もに、耐指紋性も示さない。さらに、浴中にCr3+イ
オンを含まないため、耐クロム溶出性に劣るという問題
があった。
いため、耐食性が十分でない。また浴中のリン酸イオン
量が2g/l以上であるため、耐食性を劣化させるとと
もに、耐指紋性も示さない。さらに、浴中にCr3+イ
オンを含まないため、耐クロム溶出性に劣るという問題
があった。
【0026】先行技術6は、Cr6+イオン、PO4 3−
またはフッ素化合物、シリカ、および金属イオンを含有
するクロメ−ト浴中でメッキ鋼板を陰極電解した後、陽
極電解する方法が開示されている。この方法によると、
浴中にCr3+イオンを含まないため、耐クロム溶出性
に劣るという問題がある。特に、浴中にフッ素化合物が
存在すると耐クロム溶出性の劣化は顕著になる。また、
耐食性および塗装密着性が良好な鋼板が得られるもの
の、フッ素化合物またはリン酸濃度の合計が1g/1以
上であるため、耐指紋性は劣るという問題があった。さ
らに、陰極電解の後陽極電解を行うため、めっき中のZ
nが溶出し、浴中の成分バランスを保つのが困難であっ
た。
またはフッ素化合物、シリカ、および金属イオンを含有
するクロメ−ト浴中でメッキ鋼板を陰極電解した後、陽
極電解する方法が開示されている。この方法によると、
浴中にCr3+イオンを含まないため、耐クロム溶出性
に劣るという問題がある。特に、浴中にフッ素化合物が
存在すると耐クロム溶出性の劣化は顕著になる。また、
耐食性および塗装密着性が良好な鋼板が得られるもの
の、フッ素化合物またはリン酸濃度の合計が1g/1以
上であるため、耐指紋性は劣るという問題があった。さ
らに、陰極電解の後陽極電解を行うため、めっき中のZ
nが溶出し、浴中の成分バランスを保つのが困難であっ
た。
【0027】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上述した問題
点を解決すべくなされたもので、電気亜鉛めっき処理を
施した後、所定成分の電解クロメ−ト処理を行うことに
より、めっき層表面にシリカおよびリン酸を含有するク
ロメ−トを形成することにより、耐食性、耐指紋性、お
よび安定生産性の良好な電解型クロメ−ト処理電気亜鉛
めっき系鋼板の製造方法ならびにそれに使用する電解ク
ロメ−ト浴を提供するものである。
点を解決すべくなされたもので、電気亜鉛めっき処理を
施した後、所定成分の電解クロメ−ト処理を行うことに
より、めっき層表面にシリカおよびリン酸を含有するク
ロメ−トを形成することにより、耐食性、耐指紋性、お
よび安定生産性の良好な電解型クロメ−ト処理電気亜鉛
めっき系鋼板の製造方法ならびにそれに使用する電解ク
ロメ−ト浴を提供するものである。
【0028】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記欠点を解
決することを目的とし、具体的には、少なくとも片面に
めっきを施された亜鉛または亜鉛系めっき鋼板を陰極に
して、以下の組成の電解クロメ−ト浴中で、電解クロメ
−ト処理を施し、電解クロメ−ト鋼板を製造する。この
その電解クロメ−ト浴中には、 1)金属Cr換算で1〜50g/リットルの6価のクロ
ム酸、クロム酸化合物、重クロム酸、もしくは重クロム
酸化合物、 2)金属Cr換算で0.1〜2.0g/リットルの3価
クロムイオン、 3)金属Co換算で0.1〜20g/リットルのCo2
+イオン、 4)固形分換算で50〜300g/リットルのシリカゾ
ル、を含有させる。
決することを目的とし、具体的には、少なくとも片面に
めっきを施された亜鉛または亜鉛系めっき鋼板を陰極に
して、以下の組成の電解クロメ−ト浴中で、電解クロメ
−ト処理を施し、電解クロメ−ト鋼板を製造する。この
その電解クロメ−ト浴中には、 1)金属Cr換算で1〜50g/リットルの6価のクロ
ム酸、クロム酸化合物、重クロム酸、もしくは重クロム
酸化合物、 2)金属Cr換算で0.1〜2.0g/リットルの3価
クロムイオン、 3)金属Co換算で0.1〜20g/リットルのCo2
+イオン、 4)固形分換算で50〜300g/リットルのシリカゾ
ル、を含有させる。
【0029】更に、この電解クロメ−ト浴中に、 5)PO4 3−として0.05〜1.0g/リットルのリ
ン酸イオン 6)SO4 2−として1〜50g/リットルの硫酸イオン を含有させることができ、これに併せて、 7)浴中のCr3+濃度/ト−タルCr濃度<0.1 8)浴中のシリカ濃度/3価クロムイオン濃度>70 9)pHが2.5〜3.8の範囲 にする。
ン酸イオン 6)SO4 2−として1〜50g/リットルの硫酸イオン を含有させることができ、これに併せて、 7)浴中のCr3+濃度/ト−タルCr濃度<0.1 8)浴中のシリカ濃度/3価クロムイオン濃度>70 9)pHが2.5〜3.8の範囲 にする。
【0030】また、この電解クロメ−ト処理は、浴温3
0〜70℃に保って、電流密度1〜50A/dm2の範
囲で亜鉛もしくは亜鉛系めっき鋼板を陰極電解すること
によって、めっき層上に電解クロメ−ト皮膜を形成す
る。
0〜70℃に保って、電流密度1〜50A/dm2の範
囲で亜鉛もしくは亜鉛系めっき鋼板を陰極電解すること
によって、めっき層上に電解クロメ−ト皮膜を形成す
る。
【0031】
【作用】以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
【0032】本発明では、出発原料として、好ましく
は、板厚3.2mm以下の薄鋼板を用い、まず、所要の
材質を得るための熱処理を経た後、電気亜鉛めっきを施
す。
は、板厚3.2mm以下の薄鋼板を用い、まず、所要の
材質を得るための熱処理を経た後、電気亜鉛めっきを施
す。
【0033】電気系亜鉛めっきは一般的に工業生産に用
いられるめっき浴中で行われる。すなわち、このめっき
浴は、このような浴中でZnイオンを含有し、電導性改
善および光沢付与を目的に必要に応じて添加剤が添加さ
れる。Znイオンの対イオンとしては一般的に用いられ
る硫酸イオンであっても、塩素イオンであってもよく、
また、両者を混合した浴を用いることもできる。また、
浴中に、Ni2+、Co2+、Fe2+、Mn2+などの金
属イオンを添加して合金めっきとしてもよく、たとえば
Cr3+−Co2+−アルミナを添加した分散めっきとし
てもよい。
いられるめっき浴中で行われる。すなわち、このめっき
浴は、このような浴中でZnイオンを含有し、電導性改
善および光沢付与を目的に必要に応じて添加剤が添加さ
れる。Znイオンの対イオンとしては一般的に用いられ
る硫酸イオンであっても、塩素イオンであってもよく、
また、両者を混合した浴を用いることもできる。また、
浴中に、Ni2+、Co2+、Fe2+、Mn2+などの金
属イオンを添加して合金めっきとしてもよく、たとえば
Cr3+−Co2+−アルミナを添加した分散めっきとし
てもよい。
【0034】めっき槽としては、片面順次めっきである
カロ−セルめっき、両面同時めっきである水平セル、グ
ラビテル等の縦型セルのいずれを用いても差し支えな
い。これらのめっき槽において所定の付着量の亜鉛めっ
きが施される。
カロ−セルめっき、両面同時めっきである水平セル、グ
ラビテル等の縦型セルのいずれを用いても差し支えな
い。これらのめっき槽において所定の付着量の亜鉛めっ
きが施される。
【0035】また、亜鉛めっき鋼板としては、電気亜鉛
めっきのみならず、溶融亜鉛めっき鋼板、もしくは、合
金化溶融亜鉛めっき鋼板であっても差し支えない。
めっきのみならず、溶融亜鉛めっき鋼板、もしくは、合
金化溶融亜鉛めっき鋼板であっても差し支えない。
【0036】なお、これらのめっき鋼板を用いた場合、
加熱処理によりめっき表層にZnまたはAlの酸化物が
形成され、クロメ−ト皮膜形成を阻害する場合があるの
で、これらをクロメ−ト処理に先だって、たとえばアル
カリ浸漬処理等によって除去する方策を採ることが望ま
しい。
加熱処理によりめっき表層にZnまたはAlの酸化物が
形成され、クロメ−ト皮膜形成を阻害する場合があるの
で、これらをクロメ−ト処理に先だって、たとえばアル
カリ浸漬処理等によって除去する方策を採ることが望ま
しい。
【0037】次に、このようにして亜鉛系めっきを施さ
れた鋼板は、引き続き、クロメ−ト処理として、電解型
クロメ−ト処理が施される。
れた鋼板は、引き続き、クロメ−ト処理として、電解型
クロメ−ト処理が施される。
【0038】そこで、この電解クロメ−トの作用を、従
来例の電解クロメ−トと対比して説明すると、次のとお
りである。
来例の電解クロメ−トと対比して説明すると、次のとお
りである。
【0039】一般に電解クロメ−ト時は6価のクロムイ
オンを含有した溶液中で、Znめっき鋼板に陰極を印加
せしめると、電解浴中の陽極との間に電流回路が形成さ
れる。このとき、陰極では以下のような反応が生じ、こ
れらの反応の複合作用によりクロメ−ト皮膜が形成され
る。 Cr6+3e-→Cr3 (1) 2H+2e-→H2 (2) Cr3+3(OH)-→Cr(OH)3 (3) 2Cr(OH)3+Cr2O7 2-+2H+→Cr(OH)3Cr(OH)CrO42H2O (4) Cr6+6e-→Cr3+3e-→CrM (5)
オンを含有した溶液中で、Znめっき鋼板に陰極を印加
せしめると、電解浴中の陽極との間に電流回路が形成さ
れる。このとき、陰極では以下のような反応が生じ、こ
れらの反応の複合作用によりクロメ−ト皮膜が形成され
る。 Cr6+3e-→Cr3 (1) 2H+2e-→H2 (2) Cr3+3(OH)-→Cr(OH)3 (3) 2Cr(OH)3+Cr2O7 2-+2H+→Cr(OH)3Cr(OH)CrO42H2O (4) Cr6+6e-→Cr3+3e-→CrM (5)
【0040】さらに、このクロメ−ト皮膜に機能性を付
与するために、通常、浴中にはシリカが添加される。
与するために、通常、浴中にはシリカが添加される。
【0041】しかしながら、こうしてなる従来の電解ク
ロメ−ト処理亜鉛系めっき鋼板は耐食性は若干改善され
るものの、十分ではなかった。本発明者らの検討による
と、この耐食性不良の原因はクロメ−ト皮膜中に存在す
る金属クロムによるものであることが判明した。すなわ
ち、従来の電解クロメ−ト処理では、上記(5)式によ
り陰極電解時に金属クロムが析出する。金属クロム層は
非常に硬いためクラックを形成し、このクラック部にお
いて露出した亜鉛めっき層と金属クロム層間に電気化学
的なミクロセルを形成して黒錆の発生に至る。本発明に
おいてはかかる黒錆の発生による黒変を抑制するため、
クロメ−ト皮膜から金属クロムを排除する。
ロメ−ト処理亜鉛系めっき鋼板は耐食性は若干改善され
るものの、十分ではなかった。本発明者らの検討による
と、この耐食性不良の原因はクロメ−ト皮膜中に存在す
る金属クロムによるものであることが判明した。すなわ
ち、従来の電解クロメ−ト処理では、上記(5)式によ
り陰極電解時に金属クロムが析出する。金属クロム層は
非常に硬いためクラックを形成し、このクラック部にお
いて露出した亜鉛めっき層と金属クロム層間に電気化学
的なミクロセルを形成して黒錆の発生に至る。本発明に
おいてはかかる黒錆の発生による黒変を抑制するため、
クロメ−ト皮膜から金属クロムを排除する。
【0042】このため、電解浴pHは2.5以上にし、
6価のクロム酸イオンを50g/l未満し、かつ浴中に
3価クロムイオンの存在が必要である。金属クロムは上
述の(5)式に示される6価クロムからの還元反応によ
り析出し、このとき(2)式に示されるように水素イオ
ンを消費するが、pH2.5以上にすることによって
(5)の反応を抑制することが可能になる。また、浴中
3価クロムイオンの存在は(3)および(4)式の反応
を促進し、皮膜中の金属Crの析出を抑制する。
6価のクロム酸イオンを50g/l未満し、かつ浴中に
3価クロムイオンの存在が必要である。金属クロムは上
述の(5)式に示される6価クロムからの還元反応によ
り析出し、このとき(2)式に示されるように水素イオ
ンを消費するが、pH2.5以上にすることによって
(5)の反応を抑制することが可能になる。また、浴中
3価クロムイオンの存在は(3)および(4)式の反応
を促進し、皮膜中の金属Crの析出を抑制する。
【0043】ここで、クロメ−ト皮膜中の金属クロムの
有無についての検出方法について説明する。本発明でい
う金属クロム量はX線光電子分光法(ESCA)による
状態分析により測定される。具体的な測定例を挙げる
と、水銀アマルガム法を用いてクロメ−トの単離皮膜を
作製した後粉砕したサンプルを、VG社製ESCA L
ab5を用いて測定面積径3mmφ、真空度3〜4×1
0-8の条件で100W、1486.6eVのAlのKa
線を照射し、検出する。本発明でクロメ−ト皮膜中に金
属クロムが存在しないというのは、かかる条件で金属ク
ロムのピ−クが検出されないことをいう。通常、分析限
界が1原子%であるので、たとえば主としてCr(O
H)3Cr(OH)CrO4から構成され、Cr量50m
g/m2のクロメ−ト皮膜中に金属クロムが検出されな
いとすると、金属クロムは存在したとしても1mg/m
2未満となる。
有無についての検出方法について説明する。本発明でい
う金属クロム量はX線光電子分光法(ESCA)による
状態分析により測定される。具体的な測定例を挙げる
と、水銀アマルガム法を用いてクロメ−トの単離皮膜を
作製した後粉砕したサンプルを、VG社製ESCA L
ab5を用いて測定面積径3mmφ、真空度3〜4×1
0-8の条件で100W、1486.6eVのAlのKa
線を照射し、検出する。本発明でクロメ−ト皮膜中に金
属クロムが存在しないというのは、かかる条件で金属ク
ロムのピ−クが検出されないことをいう。通常、分析限
界が1原子%であるので、たとえば主としてCr(O
H)3Cr(OH)CrO4から構成され、Cr量50m
g/m2のクロメ−ト皮膜中に金属クロムが検出されな
いとすると、金属クロムは存在したとしても1mg/m
2未満となる。
【0044】また、先行技術2および先行技術3におい
ては、浴中に6価クロム、シリカゾルおよびニッケルイ
オンを添加することによって良好な耐食性を確保してい
る。しかしながら、一方で、耐クロム溶出性に劣り、ま
た、著しく黄色味を帯びた外観を呈するという問題があ
る。このところについての本発明者らの検討によると、
これらの原因は、クロメ−ト皮膜中に存在する可溶性ク
ロムが過剰であるためであることが判明した。すなわ
ち、先行技術2および先行技術3においては、浴中のク
ロム種として6価クロムすることがなく、これにニッケ
ルイオンが添加されて浴が使用されている。このため、
この組成の電解浴を用いて陰極処理を行うと、6価のク
ロム酸ニッケルを主体とした皮膜が形成されて、色調が
黄色味を呈し、とくに、可溶性の6価クロム量が多いた
めに、耐クロム溶出性が劣る。
ては、浴中に6価クロム、シリカゾルおよびニッケルイ
オンを添加することによって良好な耐食性を確保してい
る。しかしながら、一方で、耐クロム溶出性に劣り、ま
た、著しく黄色味を帯びた外観を呈するという問題があ
る。このところについての本発明者らの検討によると、
これらの原因は、クロメ−ト皮膜中に存在する可溶性ク
ロムが過剰であるためであることが判明した。すなわ
ち、先行技術2および先行技術3においては、浴中のク
ロム種として6価クロムすることがなく、これにニッケ
ルイオンが添加されて浴が使用されている。このため、
この組成の電解浴を用いて陰極処理を行うと、6価のク
ロム酸ニッケルを主体とした皮膜が形成されて、色調が
黄色味を呈し、とくに、可溶性の6価クロム量が多いた
めに、耐クロム溶出性が劣る。
【0045】本発明者らは、このようなシリカ添加浴を
用いた電解クロメ−ト処理についてのこのような問題を
解決すべく鋭意検討を行った。この結果、電解浴中に3
価クロムイオンを添加するのが有効であることを見いだ
した。
用いた電解クロメ−ト処理についてのこのような問題を
解決すべく鋭意検討を行った。この結果、電解浴中に3
価クロムイオンを添加するのが有効であることを見いだ
した。
【0046】一方、クロム固定率改善を目的としたもの
ではないが、先行技術4においては、Cr6+、コロイ
ダルシリカ、Zn、およびNiまたはCoとともにCr
3+を特定量含む処理液中で亜鉛めっき鋼板を陰極電解
処理をする方法が開示されている。この方法において製
造される電解クロメ−ト処理亜鉛めっき鋼板は耐クロム
溶出性は良好である。しかしながら、このようにシリカ
添加浴に単に3価クロムイオンを添加すると、以下に示
す2つの問題が生じる。その一つは皮膜中へのシリカの
共析量の減少であり、他はクロメ−ト処理液の安定性の
低下である。
ではないが、先行技術4においては、Cr6+、コロイ
ダルシリカ、Zn、およびNiまたはCoとともにCr
3+を特定量含む処理液中で亜鉛めっき鋼板を陰極電解
処理をする方法が開示されている。この方法において製
造される電解クロメ−ト処理亜鉛めっき鋼板は耐クロム
溶出性は良好である。しかしながら、このようにシリカ
添加浴に単に3価クロムイオンを添加すると、以下に示
す2つの問題が生じる。その一つは皮膜中へのシリカの
共析量の減少であり、他はクロメ−ト処理液の安定性の
低下である。
【0047】しかし、本発明であると、浴中のCr3+
濃度を2.0g/l未満におさえて、必要なシリカ共析
量を確保する。
濃度を2.0g/l未満におさえて、必要なシリカ共析
量を確保する。
【0048】すなわち、浴中のコバルトイオンはシリカ
共析のキャリア−として作用し、皮膜中のシリカは6価
のクロム酸コバルトとともに共析する。しかし、浴中に
3価クロムイオンが添加されると、6価のクロム酸コバ
ルトの生成が抑制され、その結果シリカの共析も減少す
る。
共析のキャリア−として作用し、皮膜中のシリカは6価
のクロム酸コバルトとともに共析する。しかし、浴中に
3価クロムイオンが添加されると、6価のクロム酸コバ
ルトの生成が抑制され、その結果シリカの共析も減少す
る。
【0049】また、3価クロムが存在することにより、
pH上昇につれて浴中に不溶性の3価の水酸化クロムが
生成されやすくなる。さらに、浴中にZnイオンが存在
すると、浴からの沈殿物生成量は著しく増大する。一般
に金属イオンはpHの増大にともなって水酸化物の沈殿
を生成するが、Znイオンはこの沈殿を生成するpH
(沈殿平行pH)がCoイオンと比較して低いため、浴
中にZnイオンが存在すると、より沈殿生成量が増大す
る。
pH上昇につれて浴中に不溶性の3価の水酸化クロムが
生成されやすくなる。さらに、浴中にZnイオンが存在
すると、浴からの沈殿物生成量は著しく増大する。一般
に金属イオンはpHの増大にともなって水酸化物の沈殿
を生成するが、Znイオンはこの沈殿を生成するpH
(沈殿平行pH)がCoイオンと比較して低いため、浴
中にZnイオンが存在すると、より沈殿生成量が増大す
る。
【0050】この点について、本発明においては、耐食
性のために必要なシリカ共析量を確保し、かつ浴の安定
を図るために、浴中のCr3+濃度を2.0g/l未満
に限定し、かつ、浴中のCr3+濃度/ト−タルCr濃
度を0.1未満に、浴中のシリカ濃度/3価クロムイオ
ン濃度>70に限定する。
性のために必要なシリカ共析量を確保し、かつ浴の安定
を図るために、浴中のCr3+濃度を2.0g/l未満
に限定し、かつ、浴中のCr3+濃度/ト−タルCr濃
度を0.1未満に、浴中のシリカ濃度/3価クロムイオ
ン濃度>70に限定する。
【0051】一方で、このように浴中のCr3+量を限
定すると、所要なクロム固定率が確保できなくなる。こ
の問題を解決するために、本発明者らは鋭意検討した結
果、浴中にリン酸イオンを添加することにより、皮膜中
に不溶性のリン酸クロムを生成し、所要の性能を損なう
ことなく、良好なクロム固定率を確保できることを見い
だした。
定すると、所要なクロム固定率が確保できなくなる。こ
の問題を解決するために、本発明者らは鋭意検討した結
果、浴中にリン酸イオンを添加することにより、皮膜中
に不溶性のリン酸クロムを生成し、所要の性能を損なう
ことなく、良好なクロム固定率を確保できることを見い
だした。
【0052】さらに、このように皮膜中に生成される不
溶性リン酸クロムなどのリン酸化合物をより安定させる
ために、本発明ではコバルトイオンを添加する。すなわ
ち、コバルトイオンは上記のとおり、ニッケルイオンと
もにシリカのキャリア−としての機能を発揮するが、こ
れに併せて、コバルトイオンが添加されると、皮膜中に
生成されるリン酸化合物はより安定化し、クロム固定率
が向上する。
溶性リン酸クロムなどのリン酸化合物をより安定させる
ために、本発明ではコバルトイオンを添加する。すなわ
ち、コバルトイオンは上記のとおり、ニッケルイオンと
もにシリカのキャリア−としての機能を発揮するが、こ
れに併せて、コバルトイオンが添加されると、皮膜中に
生成されるリン酸化合物はより安定化し、クロム固定率
が向上する。
【0053】次に、本発明における電解浴組成の限定理
由ならびにその浴の電解条件について説明すると、以下
のとおりである。
由ならびにその浴の電解条件について説明すると、以下
のとおりである。
【0054】・6価クロム酸または6価のクロム酸化合
物、重クロム酸もしくは重クロム酸化合物:6価クロム
酸または6価のクロム酸化合物などとしては、市販の無
水クロム酸、重クロム酸ナトリウム・2水和物、重クロ
ム酸カリウムなどを単独または複合して用いることがで
きる。
物、重クロム酸もしくは重クロム酸化合物:6価クロム
酸または6価のクロム酸化合物などとしては、市販の無
水クロム酸、重クロム酸ナトリウム・2水和物、重クロ
ム酸カリウムなどを単独または複合して用いることがで
きる。
【0055】いずれのものであっても、金属Cr換算で
1〜50g/リットルの6価クロム酸もしくは6価のク
ロム酸化合物などを用いる。1g/リットル未満である
と、陰極反応が水素発生主体となり、性能上十分なクロ
メ−ト皮膜が得られない。50g/リットル以上になる
と、金属クロムの析出を生じ、耐食性を損なう。
1〜50g/リットルの6価クロム酸もしくは6価のク
ロム酸化合物などを用いる。1g/リットル未満である
と、陰極反応が水素発生主体となり、性能上十分なクロ
メ−ト皮膜が得られない。50g/リットル以上になる
と、金属クロムの析出を生じ、耐食性を損なう。
【0056】・3価クロムイオン:3価クロムとして
は、たとえば市販の40%硫酸クロム(3価)溶液、硝
酸クロム(3価)溶液など、始めから3価のクロムイオ
ンの形態をとるものを浴中に添加してもよく、また、浴
中に存在する6価のクロム酸イオンを還元剤により還元
してもよい。還元剤としては特に水酸基を有する有機還
元剤が有効であり、たとえば、デンプン、ブドウ糖、ア
ルコ−ル類を用いることができる。
は、たとえば市販の40%硫酸クロム(3価)溶液、硝
酸クロム(3価)溶液など、始めから3価のクロムイオ
ンの形態をとるものを浴中に添加してもよく、また、浴
中に存在する6価のクロム酸イオンを還元剤により還元
してもよい。還元剤としては特に水酸基を有する有機還
元剤が有効であり、たとえば、デンプン、ブドウ糖、ア
ルコ−ル類を用いることができる。
【0057】しかし、浴に添加した還元剤が未反応のま
まであると、陰極電解時に正常なクロメ−ト皮膜が得ら
れないという問題が生じる。また、第1アルコ−ルを使
用すると、還元の制御が困難になるなど、いずれにして
も使用に際しては、これらのところに注意が肝要であ
る。
まであると、陰極電解時に正常なクロメ−ト皮膜が得ら
れないという問題が生じる。また、第1アルコ−ルを使
用すると、還元の制御が困難になるなど、いずれにして
も使用に際しては、これらのところに注意が肝要であ
る。
【0058】浴中の3価クロムが0.1g/リットル未
満であると、形成されるクロメ−ト皮膜が6価クロム主
体となり、耐クロム溶出性が不良になる。
満であると、形成されるクロメ−ト皮膜が6価クロム主
体となり、耐クロム溶出性が不良になる。
【0059】浴中のCr3+濃度(3価クロムイオン濃
度)を2.0g/リットル以上であると、耐食性のため
に必要なシリカ共析量を確保できなくなるし、また浴の
安定を図ることができない。このところから、0.2〜
1.0g/リットルの範囲が望ましい。
度)を2.0g/リットル以上であると、耐食性のため
に必要なシリカ共析量を確保できなくなるし、また浴の
安定を図ることができない。このところから、0.2〜
1.0g/リットルの範囲が望ましい。
【0060】さらに、Cr3+濃度は浴中の全(ト−タ
ル)Cr濃度との関連をもって調整するのが、望まし
い。浴中のCr3+濃度/ト−タルCr濃度の比率が
0.1超える同様に、シリカ共析量を確保し、かつ浴の
安定を図ることができなくなる。
ル)Cr濃度との関連をもって調整するのが、望まし
い。浴中のCr3+濃度/ト−タルCr濃度の比率が
0.1超える同様に、シリカ共析量を確保し、かつ浴の
安定を図ることができなくなる。
【0061】・Co2+:Co2+イオンは上述した理由
で、シリカゾルおよび6価クロムのキャリア−として必
須である。Co2+イオンは皮膜中のクロム酸化物の安
定性に寄与し、クロムの固定率を確実に確保する。
で、シリカゾルおよび6価クロムのキャリア−として必
須である。Co2+イオンは皮膜中のクロム酸化物の安
定性に寄与し、クロムの固定率を確実に確保する。
【0062】具体的には、硫酸コバルト・7水和物など
を使用することができる。硫酸コバルト・7水和物を用
いたときは硫酸イオンが所要の範囲を逸脱しないよう注
意が必要である。金属Ni換算で0.1g/リットル未
満であると、その効果はみられない。一方、20g/リ
ットルを超えた量であると、金属コバルトの析出がみら
れるようになり、健全な皮膜が得られない。
を使用することができる。硫酸コバルト・7水和物を用
いたときは硫酸イオンが所要の範囲を逸脱しないよう注
意が必要である。金属Ni換算で0.1g/リットル未
満であると、その効果はみられない。一方、20g/リ
ットルを超えた量であると、金属コバルトの析出がみら
れるようになり、健全な皮膜が得られない。
【0063】・シリカ:クロメ−ト皮膜中のシリカは耐
食性の向上および耐指紋性の付与のために必要である。
食性の向上および耐指紋性の付与のために必要である。
【0064】高耐食性はシリカ表面のシラノ−ル基が腐
食時にめっき層から溶出したZnイオンをトラップする
ことによりもたらされる。したがって、高耐食性はシリ
カのシラノ−ル基数が多くなるほど、すなわち、シリカ
量が増大するほど、また、シリカ粒径が細かくなるほど
向上する。
食時にめっき層から溶出したZnイオンをトラップする
ことによりもたらされる。したがって、高耐食性はシリ
カのシラノ−ル基数が多くなるほど、すなわち、シリカ
量が増大するほど、また、シリカ粒径が細かくなるほど
向上する。
【0065】本発明では、固形分換算で50〜300g
/リットルのシリカゾルとするのが好ましい。50g/
リットル未満であると、耐食性および耐指紋性に必要な
シリカ共析が得られないし、300g/リットルを超え
るシリカの添加は液の増粘・ゲル化をもたらす。より望
ましくは、100g/リットル〜200g/リットルの
範囲である。
/リットルのシリカゾルとするのが好ましい。50g/
リットル未満であると、耐食性および耐指紋性に必要な
シリカ共析が得られないし、300g/リットルを超え
るシリカの添加は液の増粘・ゲル化をもたらす。より望
ましくは、100g/リットル〜200g/リットルの
範囲である。
【0066】さらに、本発明では、良好な耐食性が得ら
れる限界の平均粒子径として上限値は100nmとする
のが好ましい。平均粒子径が100nm超であると、め
っき層から溶出するZnイオンのトラップサイトが僅少
になり、耐食性が劣る。より望ましくは、平均粒子径が
20nm以下で良好な耐食性が確保される。
れる限界の平均粒子径として上限値は100nmとする
のが好ましい。平均粒子径が100nm超であると、め
っき層から溶出するZnイオンのトラップサイトが僅少
になり、耐食性が劣る。より望ましくは、平均粒子径が
20nm以下で良好な耐食性が確保される。
【0067】また、シリカゾルの平均粒子径が3nm未
満であると、シリカが凝集し、安定したクロメ−ト皮膜
が形成されなくなる。このため、3nm以上が好まし
く、より望ましくは7nm以上である。
満であると、シリカが凝集し、安定したクロメ−ト皮膜
が形成されなくなる。このため、3nm以上が好まし
く、より望ましくは7nm以上である。
【0068】シリカとしては水系のコロイダルシリカを
用いる。具体的には、たとえば、日産化学工業(株)製
ST−20、ST−30、ST−40などを用いること
ができる。
用いる。具体的には、たとえば、日産化学工業(株)製
ST−20、ST−30、ST−40などを用いること
ができる。
【0069】・シリカ濃度/3価クロムイオン濃度:3
価クロムイオンの含有量を上記の範囲内に調整し、その
上で、浴中のシリカ濃度(g/リットル)/3価クロム
イオン濃度(g/リットル)は、70超に調整するのが
好ましい。
価クロムイオンの含有量を上記の範囲内に調整し、その
上で、浴中のシリカ濃度(g/リットル)/3価クロム
イオン濃度(g/リットル)は、70超に調整するのが
好ましい。
【0070】上述したように、クロメ−ト浴中にCr3
+イオンが存在すると、皮膜中へのシリカの共析量が著
しく減少する。浴中のコバルトイオンはシリカ共析のキ
ャリア−として作用し、皮膜中のシリカは6価のクロム
酸コバルトとともに共析する。これに対し、浴中に3価
クロムイオンが添加されると、6価のクロム酸コバルト
の生成が抑制され、その結果シリカの共析量が減少す
る。
+イオンが存在すると、皮膜中へのシリカの共析量が著
しく減少する。浴中のコバルトイオンはシリカ共析のキ
ャリア−として作用し、皮膜中のシリカは6価のクロム
酸コバルトとともに共析する。これに対し、浴中に3価
クロムイオンが添加されると、6価のクロム酸コバルト
の生成が抑制され、その結果シリカの共析量が減少す
る。
【0071】浴中のシリカ濃度(g/リットル)/3価
クロムイオン濃度(g/リットル)が70以下であって
も、シリカの共析が得られ、ある程度の耐食性や耐指紋
性が得られる。しかし、耐食性および耐指紋性を一層向
上させるためには、それに必要なシリカの共析を得る必
要があり、このために、浴中のシリカ濃度(g/リット
ル)/3価クロムイオン濃度(g/リットル)を70超
とするのが好ましい。
クロムイオン濃度(g/リットル)が70以下であって
も、シリカの共析が得られ、ある程度の耐食性や耐指紋
性が得られる。しかし、耐食性および耐指紋性を一層向
上させるためには、それに必要なシリカの共析を得る必
要があり、このために、浴中のシリカ濃度(g/リット
ル)/3価クロムイオン濃度(g/リットル)を70超
とするのが好ましい。
【0072】上限は特に規定するものではないが、この
比が200超えとなると液の安定性が得られない場合が
あるので、200以下とすることが好ましい。
比が200超えとなると液の安定性が得られない場合が
あるので、200以下とすることが好ましい。
【0073】・リン酸イオン:本発明では、PO4 3−と
して0.05〜1.0g/リットルのリン酸イオンを添
加する。
して0.05〜1.0g/リットルのリン酸イオンを添
加する。
【0074】上述したように浴中のCr3+量を限定す
ると、所要なクロム固定率が確保できなくなる。これを
補うために、浴中にリン酸イオンを添加し、リン酸クロ
ムを形成させる。
ると、所要なクロム固定率が確保できなくなる。これを
補うために、浴中にリン酸イオンを添加し、リン酸クロ
ムを形成させる。
【0075】また、リン酸イオン添加により、クロム固
定率の改善のみならず、耐指紋性、浴の安定性もさらに
向上する効果も現れる。
定率の改善のみならず、耐指紋性、浴の安定性もさらに
向上する効果も現れる。
【0076】具体的には、リン酸、第1リン酸ナトリウ
ム・第2水和塩、第2リン酸塩・12水和物、第3リン
酸塩・12水和物、第1リン酸カリウム、第2リン酸カ
リウム、第3リン酸カリウム等を単独もしくは複合して
用いることができる。
ム・第2水和塩、第2リン酸塩・12水和物、第3リン
酸塩・12水和物、第1リン酸カリウム、第2リン酸カ
リウム、第3リン酸カリウム等を単独もしくは複合して
用いることができる。
【0077】リン酸イオンはpHの変化につれ、H3P
O4、H2PO4−、HPO4 2−、PO4 3−、の4種類の
形態をとりうる。本発明のpH範囲ではH3PO4および
H2PO4−の形で存在する。pH調整上からは、第1リ
ン酸ナトリウム・2水和塩または第1リン酸カリウムを
使用するのが望ましい。
O4、H2PO4−、HPO4 2−、PO4 3−、の4種類の
形態をとりうる。本発明のpH範囲ではH3PO4および
H2PO4−の形で存在する。pH調整上からは、第1リ
ン酸ナトリウム・2水和塩または第1リン酸カリウムを
使用するのが望ましい。
【0078】PO4 3−として0.05g/リットル未満
であると、クロム固定率改善効果が十分でなく、1g/
リットルを超であるとリン酸ニッケルの化合物が多く生
成され、Crの付着が妨げられるのみならず、耐食性お
よび耐指紋性が劣化する。より望ましくは、0.1〜
0.8g/リットルの範囲とする。
であると、クロム固定率改善効果が十分でなく、1g/
リットルを超であるとリン酸ニッケルの化合物が多く生
成され、Crの付着が妨げられるのみならず、耐食性お
よび耐指紋性が劣化する。より望ましくは、0.1〜
0.8g/リットルの範囲とする。
【0079】・硫酸イオン:本発明の浴において硫酸イ
オンはSO4 2−として1〜50g/リットル含有され
る。クロメ−ト皮膜中で硫酸イオンはCr3+と結合
し、クロメ−ト皮膜の造膜性を増す作用と、塩基性硫酸
コバルトの形態でコバルト化合物となり、コバルトイオ
ンを安定化する作用を示す。SO4 2−として1g/リッ
トル未満であると、クロメ−ト皮膜が造膜が得られなく
なり所要のクロメ−ト皮膜が形成されないし、50g/
リットル超であると連続処理を行ったとき浴中にスラッ
ジの発生が多くなる。より望ましくは5〜30g/リッ
トルの範囲とする。
オンはSO4 2−として1〜50g/リットル含有され
る。クロメ−ト皮膜中で硫酸イオンはCr3+と結合
し、クロメ−ト皮膜の造膜性を増す作用と、塩基性硫酸
コバルトの形態でコバルト化合物となり、コバルトイオ
ンを安定化する作用を示す。SO4 2−として1g/リッ
トル未満であると、クロメ−ト皮膜が造膜が得られなく
なり所要のクロメ−ト皮膜が形成されないし、50g/
リットル超であると連続処理を行ったとき浴中にスラッ
ジの発生が多くなる。より望ましくは5〜30g/リッ
トルの範囲とする。
【0080】・浴温:本発明の浴温は30〜70℃の範
囲にする。30℃未満の温度では良好な外観が得られな
いからであり、70℃超の高温では浴の蒸発が著しくな
り、浴濃度が安定して管理できなくなる。
囲にする。30℃未満の温度では良好な外観が得られな
いからであり、70℃超の高温では浴の蒸発が著しくな
り、浴濃度が安定して管理できなくなる。
【0081】・pH:本発明において、クロメ−ト液の
安定性および所要の性能を得るために、pHの管理が重
要なポイントになる。pHの調整法としては高pHにす
るときは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアル
カリ金属の水酸化物を添加し、低pHにするときは硫酸
を添加する。
安定性および所要の性能を得るために、pHの管理が重
要なポイントになる。pHの調整法としては高pHにす
るときは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアル
カリ金属の水酸化物を添加し、低pHにするときは硫酸
を添加する。
【0082】また、上述のクロム酸濃度範囲を逸脱しな
い範囲で、たとえば無水クロム酸を添加するなどしてp
Hを調整することも可能である。本発明の浴のpH範囲
は2.5〜3.8とする。
い範囲で、たとえば無水クロム酸を添加するなどしてp
Hを調整することも可能である。本発明の浴のpH範囲
は2.5〜3.8とする。
【0083】pH2.5未満の低pH領域においては、
処理液と亜鉛めっきの化学反応のため陰極電解による付
着量制御が困難になるのみならず、所要の性能を発揮す
るために必要なシリカの共析が得られなくなる。また、
pHが3.8を超える高pH領域では浴中に水酸化クロ
ムが生成し、処理液の安定が図れない。
処理液と亜鉛めっきの化学反応のため陰極電解による付
着量制御が困難になるのみならず、所要の性能を発揮す
るために必要なシリカの共析が得られなくなる。また、
pHが3.8を超える高pH領域では浴中に水酸化クロ
ムが生成し、処理液の安定が図れない。
【0084】・電流密度:本発明の電解クロメ−ト処理
の電流密度範囲は1〜50A/dm2の範囲とする。1
A/dm2未満においてはクロメ−ト皮膜が形成しない
ためであり、50A/dm2を超える電流密度では、陰
極での水素発生が著しくなり、やはり健全なクロメ−ト
皮膜が得られなくなるためである。
の電流密度範囲は1〜50A/dm2の範囲とする。1
A/dm2未満においてはクロメ−ト皮膜が形成しない
ためであり、50A/dm2を超える電流密度では、陰
極での水素発生が著しくなり、やはり健全なクロメ−ト
皮膜が得られなくなるためである。
【0085】・電解浴中の亜鉛イオン:鋼板に付着した
めっき液の持ち込みや、めっき表面からの亜鉛の溶出に
より、クロメ−ト処理浴中に亜鉛イオンが混入する。上
述したように、浴中にZnイオンが存在すると、沈殿物
の生成により、液の安定性が劣る。また、電極反応を阻
害し、電気量による付着良制御が困難になることがあ
る。
めっき液の持ち込みや、めっき表面からの亜鉛の溶出に
より、クロメ−ト処理浴中に亜鉛イオンが混入する。上
述したように、浴中にZnイオンが存在すると、沈殿物
の生成により、液の安定性が劣る。また、電極反応を阻
害し、電気量による付着良制御が困難になることがあ
る。
【0086】本発明においては、浴中のZn量は全クロ
ム量に対し、重量比として0.1未満であることが望ま
しい。
ム量に対し、重量比として0.1未満であることが望ま
しい。
【0087】
【実施例】以下、本発明の効果を実施例に基づいて具体
的に説明する。
的に説明する。
【0088】(実施例1)素材として、板厚0.7mm
の冷延鋼板SPCCを用いた。電気亜鉛めっきとして
は、以下のめっき浴で、白金を対極として流動層セルを
使用して行った。電気亜鉛めっきの電流密度は100A
/dm2で、付着量として20g/m2となるよう行っ
た。 めっき浴: ZnSO4・7H2O 430g/リットル K2SO4 2g/リットル Na2SO4 4g/リットル pH 1.5(H2SO4で調整) 浴温 60℃
の冷延鋼板SPCCを用いた。電気亜鉛めっきとして
は、以下のめっき浴で、白金を対極として流動層セルを
使用して行った。電気亜鉛めっきの電流密度は100A
/dm2で、付着量として20g/m2となるよう行っ
た。 めっき浴: ZnSO4・7H2O 430g/リットル K2SO4 2g/リットル Na2SO4 4g/リットル pH 1.5(H2SO4で調整) 浴温 60℃
【0089】本発明の製造方法の工程は、鋼板を電解脱
脂し、5%硫酸酸洗し、電気めっきを行い、水洗し、乾
燥し、電解クロメ−トを施し、水洗し乾燥した。
脂し、5%硫酸酸洗し、電気めっきを行い、水洗し、乾
燥し、電解クロメ−トを施し、水洗し乾燥した。
【0090】この際の電解クロメ−ト処理は白金を対極
とした流動層セルを使用して行った。浴に用いられた試
薬は、 無水クロム酸 40%硫酸クロム(3価)溶液 シリカゾルST−40(日産化学工業(株)製) 硫酸コバルト・7水和物 第1リン酸ナトリウム・2水和物 水酸化ナトリウム(pH調整用) であり、表1ならびに表2に示す条件で陰極電解処理を
行った。
とした流動層セルを使用して行った。浴に用いられた試
薬は、 無水クロム酸 40%硫酸クロム(3価)溶液 シリカゾルST−40(日産化学工業(株)製) 硫酸コバルト・7水和物 第1リン酸ナトリウム・2水和物 水酸化ナトリウム(pH調整用) であり、表1ならびに表2に示す条件で陰極電解処理を
行った。
【0091】投入電気量が5〜50C/dm2の範囲
で、亜鉛めっき鋼板のクロメ−ト付着量が金属Cr換算
で10〜100mg/m2となるよう電解時間を調整し
た。電解クロメ−ト処理が終了した上記の各鋼板を上記
の流動層セルから引き上げ、水洗し、ドライヤ−で乾燥
して以下の試験片を作製した。
で、亜鉛めっき鋼板のクロメ−ト付着量が金属Cr換算
で10〜100mg/m2となるよう電解時間を調整し
た。電解クロメ−ト処理が終了した上記の各鋼板を上記
の流動層セルから引き上げ、水洗し、ドライヤ−で乾燥
して以下の試験片を作製した。
【0092】クロメ−ト処理後の耐食性は塩水噴霧試験
(以下SST、JISZ2371準拠)150時間後の
外観観察により評価した。各試験片の面積に占める白錆
の面積、または赤錆の発生の程度により、以下のように
区分して表示した。 ◎:白錆5%未満 ○:白錆5%以上30%未満 △:白錆30%以上80%未満 ×:赤錆発生
(以下SST、JISZ2371準拠)150時間後の
外観観察により評価した。各試験片の面積に占める白錆
の面積、または赤錆の発生の程度により、以下のように
区分して表示した。 ◎:白錆5%未満 ○:白錆5%以上30%未満 △:白錆30%以上80%未満 ×:赤錆発生
【0093】耐クロム溶出性の評価は、沸水試験(沸騰
した純水中に各試験片を30分浸漬)により行った。試
験前後のCr付着量を蛍光X線分析により測定し、クロ
ム固定率(試験後のCr付着量/試験前Cr付着量×1
00)を算出し、評価した。 ◎:80%以上 ○:70〜80% △:50〜70% ×:50%未満
した純水中に各試験片を30分浸漬)により行った。試
験前後のCr付着量を蛍光X線分析により測定し、クロ
ム固定率(試験後のCr付着量/試験前Cr付着量×1
00)を算出し、評価した。 ◎:80%以上 ○:70〜80% △:50〜70% ×:50%未満
【0094】耐指紋性は、日本電色工業社製TC−18
00 SZ−Σ80型を用いて以下のようにして評価し
た。試験片のL値(白色度)、a値(赤味、緑味を示す
指標)、b値(青味、黄味を示す指標)をそれぞれ測定
後、白色ワセリンを塗布し、ウェスで拭き取り後、再び
L値、a値、b値をそれぞれ測定し、色差をΔEとして ΔE=ΔL2+Δa2+Δb2 を算出して評価した。 ◎: ΔE<1.0 ○:1.0≦ΔE<2.0 △:2.0≦ΔE<4.0 ×:4.0≦ΔE 結果を表1ならびに表2に示す。
00 SZ−Σ80型を用いて以下のようにして評価し
た。試験片のL値(白色度)、a値(赤味、緑味を示す
指標)、b値(青味、黄味を示す指標)をそれぞれ測定
後、白色ワセリンを塗布し、ウェスで拭き取り後、再び
L値、a値、b値をそれぞれ測定し、色差をΔEとして ΔE=ΔL2+Δa2+Δb2 を算出して評価した。 ◎: ΔE<1.0 ○:1.0≦ΔE<2.0 △:2.0≦ΔE<4.0 ×:4.0≦ΔE 結果を表1ならびに表2に示す。
【0095】
【表1】
【0096】
【表2】
【0097】表1ならびに表2から明らかなように本発
明例のクロメ−ト処理電気亜鉛めっき鋼板はいずれも良
好な性能を示す。
明例のクロメ−ト処理電気亜鉛めっき鋼板はいずれも良
好な性能を示す。
【0098】
【発明の効果】以上詳しく説明したとおり、本発明は、
所定量のCr6+、Cr3+、Ni2+、シリカゾル、リ
ン酸を含有し、かつ所定pH、浴温のクロメ−ト処理浴
を用いて亜鉛系めっき鋼板を陰極電解し、めっき上に電
解クロメ−ト皮膜を形成するものである。
所定量のCr6+、Cr3+、Ni2+、シリカゾル、リ
ン酸を含有し、かつ所定pH、浴温のクロメ−ト処理浴
を用いて亜鉛系めっき鋼板を陰極電解し、めっき上に電
解クロメ−ト皮膜を形成するものである。
【0099】したがって、このように得られる電解クロ
メ−ト皮膜は、耐指紋性、耐食性および耐クロム溶出性
に優れ、このように製造すると、連続生産性にも優れる
ものである。
メ−ト皮膜は、耐指紋性、耐食性および耐クロム溶出性
に優れ、このように製造すると、連続生産性にも優れる
ものである。
フロントページの続き (72)発明者 戸塚 信夫 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内 (72)発明者 森戸 延行 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内 (72)発明者 河崎 智香子 岡山県倉敷市中庄団地14 A−304
Claims (4)
- 【請求項1】 少なくとも片面にめっきを施した亜鉛ま
たは亜鉛系めっき鋼板を陰極として、 1)金属Cr換算で1〜50g/リットルの6価のクロ
ム酸、クロム酸化合物、重クロム酸もしくは重クロム酸
化合物 2)金属Cr換算で0.1〜20g/リットルの3価の
クロムイオン 3)金属Co換算で0.1〜20g/リットルのCo2
+イオン 4)固形分換算で50〜300g/リットルのシリカゾ
ル 5)PO4 3−として0.05〜1.0g/リットルのリ
ン酸イオン 6)SO4 2−として1〜50g/リットルの硫酸イオン を含有し、かつ 7)浴中のCr3+濃度/ト−タルCr濃度<0.1 8)浴中のシリカ濃度/3価クロムイオン濃度>70で
ある電解クロメ−ト浴中で、 pH2.5〜3.8ならびに浴温30〜70℃に保っ
て、電流密度1〜50A/dm2の範囲で電解クロメ−
ト処理して、亜鉛または亜鉛系めっき層上に電解クロメ
−ト皮膜を形成することを特徴とする耐食性および耐指
紋性に優れる電解クロメ−ト処理亜鉛めっき鋼板の製造
方法。 - 【請求項2】 耐食性、耐指紋性、耐クロム溶出性なら
びに安定生産性に優れる電解クロメ−ト処理亜鉛系めっ
き鋼板を製造する際に使用されるクロメ−ト浴であっ
て、 1)金属Cr換算で1〜50g/リットルの6価のクロ
ム酸、クロム酸化合物、重クロム酸もしくは重クロム酸
化合物 2)金属Cr換算で0.1〜20g/リットルの3価の
クロムイオン 3)金属Co換算で0.1〜20g/リットルのCo2
+イオン 4)固形分換算で50〜300g/リットルのシリカゾ
ル 5)PO4 3−として0.05〜1.0g/リットルのリ
ン酸イオン 6)SO4 2−として1〜50g/リットルの硫酸イオン
を含有し、かつ 7)浴中のCr3+濃度/ト−タルCr濃度<0.1 8)浴中のシリカ濃度/3価クロムイオン濃度>70 9)pHが2.5〜3.8の範囲であることを特徴とす
る電解クロメ−ト浴。を含有して成ることを特徴とする
電解クロメ−ト浴。 - 【請求項3】 前記電解クロメ−ト浴中において、前記
シリカゾルの平均粒子径を100nm未満で3nm以上
にすることを特徴とする請求項2または3記載の電解ク
ロメ−ト浴。 - 【請求項4】 前記電解クロメ−ト浴中において、前記
シリカゾルの平均粒子径を20nm未満で3nm以上と
することを特徴とする請求項2、4、5または6記載の
電解クロメ−ト浴。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20644995A JPH08325794A (ja) | 1994-07-20 | 1995-07-19 | 耐食性、耐指紋性、耐クロム溶出性ならびに安定生産性に優れる電解クロメ−ト処理亜鉛系めっき鋼板の製造方法およびその際に使用される電解クロメ−ト浴 |
Applications Claiming Priority (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16771494 | 1994-07-20 | ||
JP9624395 | 1995-03-29 | ||
JP6-167714 | 1995-03-29 | ||
JP7-96243 | 1995-03-29 | ||
JP20644995A JPH08325794A (ja) | 1994-07-20 | 1995-07-19 | 耐食性、耐指紋性、耐クロム溶出性ならびに安定生産性に優れる電解クロメ−ト処理亜鉛系めっき鋼板の製造方法およびその際に使用される電解クロメ−ト浴 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08325794A true JPH08325794A (ja) | 1996-12-10 |
Family
ID=27308046
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP20644995A Pending JPH08325794A (ja) | 1994-07-20 | 1995-07-19 | 耐食性、耐指紋性、耐クロム溶出性ならびに安定生産性に優れる電解クロメ−ト処理亜鉛系めっき鋼板の製造方法およびその際に使用される電解クロメ−ト浴 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH08325794A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2000056953A1 (en) * | 1999-03-19 | 2000-09-28 | Koncentra Verkstads Ab | Process for electrolytic coating of a substrate |
JP2009235456A (ja) * | 2008-03-26 | 2009-10-15 | Okuno Chem Ind Co Ltd | 3価クロムめっき皮膜用電解処理液 |
-
1995
- 1995-07-19 JP JP20644995A patent/JPH08325794A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2000056953A1 (en) * | 1999-03-19 | 2000-09-28 | Koncentra Verkstads Ab | Process for electrolytic coating of a substrate |
US6703145B1 (en) | 1999-03-19 | 2004-03-09 | Koncentra Holding Ab | Process for electrolytic coating of a substrate and product produced |
JP2009235456A (ja) * | 2008-03-26 | 2009-10-15 | Okuno Chem Ind Co Ltd | 3価クロムめっき皮膜用電解処理液 |
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