JPH06340998A - 陰極電解樹脂クロメート型金属表面処理方法 - Google Patents

陰極電解樹脂クロメート型金属表面処理方法

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JPH06340998A
JPH06340998A JP13059593A JP13059593A JPH06340998A JP H06340998 A JPH06340998 A JP H06340998A JP 13059593 A JP13059593 A JP 13059593A JP 13059593 A JP13059593 A JP 13059593A JP H06340998 A JPH06340998 A JP H06340998A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 単一工程により金属材料表面近傍にクロメー
ト層を形成し、その外側に樹脂層を形成し得る陰極電解
樹脂クロメート型金属表面処理方法を提供する。 【構成】 6価Crイオンと、皮膜形成樹脂とを含む、
水系処理液中において、金属材料に陰極電解処理を施
し、水洗なしで、形成された被覆層を焼付け乾燥するこ
とにより、金属材料表面上に、この表面近傍においてC
r濃化されたクロメート−樹脂被覆層を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は金属表面処理方法に関す
るものであって、特に鉄系材料、亜鉛系めっき材料並び
にアルミニウム系材料などに代表される金属材料の表面
に、陰極電解法によるクロメート皮膜の形成と、物理的
付着による有機樹脂膜の形成とを単一工程において達成
する新規な金属表面処理方法に関するものであって、そ
れにより金属表面に優れた耐アルカリ性と高耐食性とを
付与する被覆層を形成することができる。
【0002】
【従来の技術】昨今の地球環境問題に対処するため排水
処理規制はますます厳しい方向に進むことが予想される
ため、金属加工業界においては、煩雑な廃水処理を必要
とする金属表面処理工程を自社の工程から排除し、表面
処理済み金属材料を採用する傾向が顕著になってきてい
る。事実、表面処理済み金属材料の代表ともいえる表面
処理鋼板の生産量が著しく増大している。このような表
面処理鋼板に必要とされる性能項目は、その用途に応じ
て耐食性、溶接性、プレス性、耐指紋付着性、塗膜密着
性、塗装後耐食性等多岐にわたるが、一般に亜鉛系めっ
き鋼板においては、その防錆性はクロメート処理により
高められ、そのプレス性、耐指紋付着性、および塗膜密
着性は有機樹脂によるシーリングによって高められてい
る。
【0003】また、これらのクロメート処理−有機樹脂
シーリング処理方法は、通常2工程を必要とするが、最
近では特開昭63−145785等に示されるように、
クロメート液中に予め有機樹脂エマルジョン等を分散さ
せ、この水系処理液を、対象となる金属材料の表面に塗
布し、乾燥する単一工程で行う方法(以下、樹脂クロメ
ート処理と称する)が提案されている。この樹脂クロメ
ート処理では、その水系処理液中に含まれるクロム酸が
強い酸化性を示すために、共存可能な樹脂の種類が限定
され、このため、表面処理鋼板に必要とされる上述の性
能項目の全てを満足させることは現在のところ困難であ
る。しかし、この方法により得られた表面処理金属材料
はクロメート単独処理により得られたものに比べて、極
めて良好な耐食性、塗膜密着性、塗装後耐食性、および
耐指紋付着性を有している。
【0004】ただし、この樹脂クロメート処理は、クロ
メート液に有機樹脂エマルジョンを均一分散させた水溶
液を金属表面に塗布、乾燥するだけなので、それにより
形成された表面処理皮膜中におけるクロム化合物と有機
樹脂との分布状態は膜厚方向に関してほぼ均一である。
このため、この処理方法には下記のような問題がある。
【0005】1)耐食性に最も大きく寄与するクロム化
合物は、腐食の発生源である金属表面側に近接して存在
すればよく、環境側(金属表面の反対側)に存在するク
ロム化合物は上記効果達成に有効に寄与しないため、同
じクロム付着量においては、この方法により得られる皮
膜層は、クロメート−樹脂シーリングの2工程処理によ
り得られるものに比較して耐食性において劣っている。
【0006】2)環境側に存在するクロム化合物は、樹
脂クロメート処理単独使用により得られた皮膜層おいて
は腐食環境で徐々に皮膜から離脱し、さらに樹脂クロメ
ート処理を施した金属を塗装する場合においては、その
前洗浄工程で皮膜から容易に離脱し環境を汚染する(塗
装前洗浄は通常アルカリ脱脂が行われるので、これらの
クロムの離脱は耐アルカリ性で評価される)。
【0007】従って、樹脂クロメート処理は、1工程で
処理が可能という利点を有するが、それにより得られる
皮膜層の性能においては既に述べたクロメート処理−有
機樹脂シーリングの2工程処理に比べてやや劣る結果と
なるのである。
【0008】一方、クロメート処理−有機樹脂シーリン
グの2工程処理における最大の問題点は、クロメート処
理後の乾燥工程にある。通常有機樹脂シーリング液は約
40℃の温度を越えるとゲル化する。従ってその温度を
40℃以下に管理しなければならない。このためにはク
ロメート処理後の乾燥温度を低下させるか、乾燥後冷却
するかの対策を取り、有機樹脂シーリング液中に導入さ
れる金属材料の温度を低くしなければならない。しか
し、乾燥温度を低下させると、クロメート層の乾燥不足
による製品の外観不良、および耐食性の低下が問題とな
り、乾燥後冷却する方法においては、通常表面処理鋼板
製造ラインの通板速度が100〜150m/min 程度で
あるために、設備の占有面積、いいかえれば乾燥−冷却
に必要な設備が長くなり実用上極めて不利な結果となる
のである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は単一工程で処
理が可能な現行の樹脂クロメート処理システムにさらに
改良を加えることにより、クロメート処理と有機樹脂シ
ーリング処理との2工程により形成される皮膜と同等の
性能を有する皮膜、すなわち、極めて耐アルカリ性に優
れ、かつ高い耐食性を有する皮膜を形成させる新規な金
属表面処理方法を提供しようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは種々の検討
を行った結果、金属材料の表面に対し、無機化合物とし
て6価クロムイオン、さらに必要に応じて3価クロムイ
オンを含有し、かつ有機化合物として水溶性またはエマ
ルジョン型樹脂を含有する水系表面処理液中において陰
極電解処理を施し、金属材料の表面に形成された被覆層
を、水洗することなく焼付け乾燥することにより、金属
表面側にクロムが濃化し、環境側に有機樹脂が濃化した
形態を有する金属表面処理皮膜を形成し得ることを新た
に見いだし、本発明を完成した。
【0011】本発明に係る陰極電解樹脂クロメート型金
属表面処理方法は、6価クロムイオンと、水溶性、又は
エマルジョン型樹脂とを含有する水系表面処理液に、金
属材料の表面を接触させ、この接触系に、前記金属材料
を陰極とする陰極電解処理を施し、前記金属材料表面上
に形成された被覆層に対して、水洗を施すことなく焼付
け乾燥を施すことを特徴とするものである。
【0012】本発明方法において、前記水系表面処理液
が、さらに3価クロムイオンを含有していてもよい。
【0013】
【作用】以下に本発明の構成について詳しく説明する。
本発明に使用する水系表面処理液は、6価クロムイオン
と、水溶性またはエマルジョン型樹脂とを含有するもの
である。6価クロムイオン供給源として用いられる化合
物については、その種類に特に限定はないがクロム酸を
用いることが好ましい。また、その濃度はクロム酸をク
ロム換算で0.5〜10g/リットルとすることが好ま
しい。
【0014】水溶性またはエマルジョン型樹脂は、酸性
雰囲気における重クロム酸イオンの酸化力に耐え得るも
のでなければならない。適用可能な水系樹脂としては、
アクリル系、ウレタン系、エポキシ系等種々の樹脂があ
げられるが、水系化するための親水基はアニオン性もし
くはノニオン性であることが好ましい。例えば、エマル
ジョン型樹脂の場合ではエマルジョンを安定化させるた
めに種々の界面活性剤が用いられるが、このときの界面
活性剤もアニオン性もしくはノニオン性界面活性剤であ
ることが好ましく、界面活性剤中に有意量のカチオン性
界面活性剤が共存すると、生成したエマルジョンと重ク
ロム酸イオンとの混和安定性が著しく低下するので好ま
しくない。樹脂の添加量は、陰極電解後物理的に付着す
る処理液量と目標樹脂付着量とに応じて選択されるが、
通常は40〜500g/リットル程度であることが好ま
しい。
【0015】また、本発明方法では、水系表面処理液に
はさらに添加アニオンとしてリン酸、硫酸、フッ素イオ
ン、錯フッ化物イオンなど、および添加カチオンとして
Feイオン、Niイオン、Coイオン、Znイオン等の
重金属イオンが含まれるが、これらの中でも硫酸イオ
ン、フッ素イオン、および錯フッ化物イオンは陰極電解
時の電解効率を向上させる働きがあるので特に好ましい
ものである。ただし、成膜後に水に可逆的に溶解するよ
うなアルカリ金属イオン、および耐食性を劣化させる塩
素イオン等の共存は避けるべきである。
【0016】一方、水系表面処理液のpHは5以下であれ
ば問題無いが、その下限値は対象金属材料の種類により
選択されるべきで、例えば亜鉛系めっき材に対してはpH
が低すぎると無電解の状態でエッチングが行われるの
で、pH値は2以上であるのが好ましく、アルミ系材料に
対してはクロメート形成効率上pH値が2以下の方が好ま
しい。上記の水系表面処理液を、クロム供給源としてク
ロム酸のみを用いて調製すると、そのpHは1以下となる
ので、このときは有機系還元剤(アルコール、糖類等)
を用いて6価クロムイオンの一部を3価クロムイオンに
置き換えるか、アンモニア等の添加によりpH値を適宜調
整する。特に、3価クロムイオンは陰極電解を継続する
ことにより処理液中に僅かに蓄積するが、これは樹脂を
架橋する作用があるので、樹脂の物性向上のためにも予
め添加しておくことがより好ましいのである。
【0017】陰極電解条件において特に限定すべきこと
はないが、対極(陽極)としてステンレスかPb系合金
を用い、温度を常温〜40℃、電流密度を1〜10A/
dm2とすることが好ましい。電解時間は、目的とするク
ロム付着量に応じて設定されるが、この電解により形成
するクロメート皮膜は、クロム付着量で50mg/m2程度
で十分なので、例えば2A/dm2 の電流密度でも高々5
〜15秒間程度でこのような皮膜の形成が可能である。
【0018】電解後は、被処理金属材料を水洗すること
なく取り出すことにより、樹脂膜を形成する(このとき
の樹脂膜には電解液組成に応じて少量のクロムと添加剤
が混在する)。最後に、金属材料の最高到達温度が10
0〜150℃程度になるように加熱炉中で乾燥し、表面
処理を終了する。ここで、陰極電解後の処置としては、
金属材料が平板であるならば表面処理鋼板製造ラインで
見られるようにこれにロール絞りを施すか、或いは、被
覆層のウェット塗布量が不足するようであれば、同様の
処理液を被処理金属材料上にさらにロールコートするこ
とにより、より均一な樹脂膜の形成が可能となる。
【0019】本発明の表面処理方法は、最近極限環境に
おける耐熱構造材料の分野で話題になっている傾斜機能
材料の一種とも見ることができるが、これらの耐熱構造
材料はセラミックス−金属の組成を厚さ方向に所定の配
合比で傾斜させたもので、一般には粉末冶金、CVD、
溶射等の複雑な工程で形成される。これに対して本発明
の金属表面処理方法においては、電解による金属表面の
電気化学反応を利用して、皮膜の厚さ方向における被覆
層の組成、および構造を簡単に制御可能なものである。
【0020】さらに、前述の従来の耐熱構造材料におい
てはセラミックスと金属が材料の厚さ方向にできるだけ
連続的に組成傾斜することが必要であるが、本発明方法
により得られる樹脂クロメート組成傾斜皮膜において
は、クロメート処理−有機樹脂シーリング2工程処理に
よる皮膜と同様の形態の皮膜を得ることを目的としてい
るので、組成の傾斜形態は金属側にクロムリッチ、環境
側に有機樹脂リッチな段階状でよい。すなわち、クロメ
ート液組成を陰極電解クロメート処理が容易に行われる
ように最適化したものに対して、電解反応に全く、もし
くは殆ど関与しないような水系の有機樹脂を配合すれ
ば、まず、金属表面に電解により優先的にクロム化合
物、すなわちクロメート皮膜が形成されるのである。次
に、該表面を水洗することなく、その被覆層に焼付け乾
燥することにより従来の樹脂クロメート処理と同様に物
理的に付着した樹脂が乾燥固化して樹脂皮膜が形成され
る。この方法により成膜された皮膜の厚さ方向のクロム
化合物、有機樹脂組成物の分布は、概念的に図1に示し
たようになると考えられる。
【0021】図1−(A)において、本発明方法により
金属材料1の表面上に形成された被覆層は、厚さ数百オ
ングストロームのクロメート層と、少量のクロムを含有
する樹脂層とからなるものと考えられ、この被覆層中の
クロム分布状態は、図1−(B)に示されるように、ク
ロメート層と、樹脂層との境界域においてクロム含有量
が段階的に低下する。
【0022】本発明による表面処理では、陰極電解より
金属表面にクロム化合物が濃化されるが、それに続く有
機樹脂の付着は従来の樹脂クロメート処理と同様であ
る。従って、従来の樹脂クロメート処理は塗装下地とし
ても利用される場合が多いが、本発明による表面処理皮
膜の表面(樹脂表面)もこの理由から塗装下地として
も、その密着性、耐食性においては同等以上の性能を有
するのである。
【0023】
【実施例】本発明を下記実施例によりさらに説明する。実施例1〜4および比較例1〜6 実施例1〜4および比較例1〜6の各々において、表1
および下記に示された金属材料について、表1および下
記に記載された水系表面処理液を用いて、下記に示す表
面処理を施した。また、優れた表面処理金属材料につい
て、後に示す性能試験を行った。
【0024】1.試験片の作製 表1に示した処理液を調製し、電気亜鉛めっき鋼板(7
0×150×0.8mm)又はアルミ合金板(JIS:A
5052材、70×150×1.0mm)を下記工程によ
り処理し、得られた試験片を後記の性能試験に供した。
各試験片の目標総クロム付着量は、金属材料表面近傍部
分と、樹脂層中の合計量が約100mg/m2となるように
した。
【0025】2.処理工程 (1)アルカリ脱脂:電気Znめっき鋼板の場合はパル
クリン−342(注1)を用い、アルミ合金板の場合は
ファインクリーナー−4327(注2)を用い、これら
を濃度20g/リットルで建浴し60℃、20秒間、ス
プレー脱脂を行った。 (2)水 洗:水道水、常温、20秒間スプレー (3)水切り:ロール絞り (4)電解処理:表1に示した内容の処理液中におい
て、対極にSUS304板を用いて温度30℃、電流密
度2A/dm2 で、電気亜鉛めっき鋼板に対しては5秒
間、アルミ合金に対しては10秒間陰極電解処理を施し
た。 (5−1)ロールコート:陰極電解処理後直ちに(水洗
せずに)、使用された水系表面処理液と同様の液を、ウ
ェット塗布量が5cc/m2となるようにグループロールに
て塗布した。 (5−2)水洗乾燥:陰極電解処理後直ちに水洗乾燥し
た。(注3) (6)乾 燥:加熱炉の温度設定を250℃とし5秒間
加熱した。このときの最高到達板温は120℃であっ
た。 注1,2)何れも日本パーカライジング(株)製弱アル
カリ系脱脂剤 注3)比較例、または金属材料表面近傍にクロムが濃化
していることを確認するための工程
【0026】3.性能試験 上記試験片作製工程により形成された電気亜鉛めっき鋼
板、又はアルミ合金板上の表面処理皮膜の性能として、
その耐食性、および耐アルカリ性を、下記に示す方法に
より評価した。それぞれの評価結果を表2に示す。
【0027】(1)耐食性 JIS−Z2371に準じ、塩水噴霧試験を電気Znめ
っき鋼板に対しては500時間、アルミ合金板に対して
は1000時間まで行った場合の白錆発生面積率(%)
を目視判定した。
【0028】(2)耐アルカリ性 試験板に対し、2%濃度のアルカリ洗浄剤(パルクリン
−364S:日本パーカライジング(株)製)を用い
て、60℃にて2分間のスプレー洗浄を施し、アルカリ
洗浄前後の試験板のクロム付着量を蛍光X線分析により
測定し、クロムの固定率を下記式(1)によって算出し
て被覆層の耐アルカリ性を評価した。
【数1】
【0029】4.被覆層中において、金属材料表面側に
クロムが濃化していることの確認試験陰極電解処理後、
水洗乾燥した電気亜鉛めっき鋼板上のクロム付着量を蛍
光X線分析により測定し、本発明の方法により形成され
た被覆層において、金属表面近傍にクロムが濃化するこ
とを証明した。すなわち、陰極電解後直ちに試験片を水
洗することにより樹脂が付着しない試験片を作製した
(試験片作製工程の(5−2)工程を採用)。このと
き、比較例2,6(陰極電解を行わない水準)において
は、試験片を処理液に5秒間浸漬した後に水洗乾燥し
た。これらの結果を表3に示すが、ここでは陰極電解処
理後ロールコーターにて処理液を塗布して得られた皮膜
(上記3項の性能試験用皮膜)の全クロム付着量も示
し、両者の差から樹脂皮膜中に含まれるクロム量を算出
した。
【0030】
【表1】
【0031】〔表1の注〕表1において、Cr(VI)は
添加されたCrO3 に由来するものであり、Cr(III)
はCr(VI)の一部をメタノールにより還元して調製し
たものである。ただし、比較例3においてCr(III)
は、フッ化クロム(III)の3水塩の添加に由来するもの
である。従って、比較例3において*)を付して示した
値3.3g/リットルは、H2 ZrF6 の濃度ではな
く、Fの濃度を示す。用いられた樹脂は乳化重合型アク
リル酸エステル共重合エマルジョン(固形分:45%)
であり、その濃度は固形分換算で示されたものである。
この濃度は処理液のウェット塗布量が5cc/m2のとき、
樹脂付着量(乾燥重量)が1g/m2(厚さ約1μm )と
なるように設定された。また、比較例2,6(電解を行
わない場合)では、金属材料表面側にクロムが濃化しな
いため、実施例と同等のクロム濃度では皮膜中の合計ク
ロム付着量が異なってしまうので(比較例1参照)、同
一クロム量100mg/m2で比較するために、処理液中の
クロム濃度をそれぞれ実施例1および3の2倍にした。
【0032】
【表2】
【0033】
【表3】
【0034】表2より、本発明の実施例1〜4では、電
気亜鉛めっき鋼板、アルミ合金板ともにクロム固定率が
90%以上の高い値を示し、塩水噴霧試験における耐食
性も極めて良好であることが明らかである。これに対
し、比較例1,2,6のように、陰極電解工程を省いた
ものでは、クロム固定率が70%前後となっており、そ
の耐食性も劣る結果となった。さらに、陰極電解を施し
た場合でも、比較例3のように処理液に6価クロムを含
まないものは金属表面にクロメート皮膜が形成されず、
また比較例4のように処理液に樹脂を含まないものは樹
脂膜が形成されないために、それぞれ耐食性が劣る結果
となった。また、比較例5のように電解後水洗したもの
は樹脂膜が洗い落とされてしまうので比較例4と同様の
結果を示した。
【0035】表3には、被覆層中の膜厚方向におけるク
ロムの分布状態を示した。本発明の実施例1,4では金
属材料表面付近に約60mg/m2のクロムが存在している
が、このクロメート皮膜の厚さが数100Åであること
を考慮すると、残りの樹脂層中のクロム含有量が40〜
50mg/m2であっても、この樹脂層の厚さは1μm 程度
なので、金属材料表面近傍のクロム含有率は極めて濃化
していることがわかる。これに対して比較例1,3,6
の金属材料表面には蛍光X線分析における誤差程度のク
ロム量しか検出されず、殆どのクロムは樹脂中に存在し
ており、このことから、膜厚方向のクロムの分布はほぼ
均一であることがわかる。
【0036】
【発明の効果】上記の結果から、本発明方法を用いるこ
とにより、単一工程において金属表面側にクロムが濃化
した分布状態を有する樹脂クロメート被覆層が形成さ
れ、この被覆層は極めて高い耐アルカリ性を示し、かつ
高い耐食性を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1−(A)は、本発明方法により金属材料上
に形成された被覆層におけるクロムおよび樹脂の分布状
態を示す概念説明断面図。図1−(B)は、上記被覆層
における、金属材料表面からの距離と、クロム含有率と
の関係を示すグラフ。
【符号の説明】
1…金属材料 2…厚さ数百オングストロームのクロメート層 3…少量のクロムを含有する樹脂層

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 6価クロムイオンと、水溶性、又はエマ
    ルジョン型樹脂とを含有する水系表面処理液に、金属材
    料の表面を接触させ、この接触系に、前記金属材料を陰
    極とする陰極電解処理を施し、前記金属材料表面上に形
    成された被覆層に対して、水洗を施すことなく焼付け乾
    燥を施すことを特徴とする、金属表面処理方法。
  2. 【請求項2】 前記水系表面処理液が、さらに3価クロ
    ムイオンを含有する、請求項1に記載の金属表面処理方
    法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2024018723A1 (ja) * 2022-07-19 2024-01-25 Jfeスチール株式会社 表面処理鋼板およびその製造方法

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