JPH08323899A - 積層シート及びその製造方法 - Google Patents

積層シート及びその製造方法

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JPH08323899A
JPH08323899A JP13778095A JP13778095A JPH08323899A JP H08323899 A JPH08323899 A JP H08323899A JP 13778095 A JP13778095 A JP 13778095A JP 13778095 A JP13778095 A JP 13778095A JP H08323899 A JPH08323899 A JP H08323899A
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sheet
laminated
laminated sheet
roll
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JP13778095A
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English (en)
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Katsunori Ishidoya
勝則 石戸谷
Akinori Arai
明徳 新井
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Lonseal Corp
Araco Co Ltd
Original Assignee
Lonseal Corp
Araco Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】製品の外観意匠性を著しく高めたツートーンカ
ラー模様で、未印刷部分のハイライト線の入らない表皮
材用積層シートを提供すること。 【構成】オレフィン系熱可塑性エラストマー中のエチレ
ン−プロピレンダイモノマーがいずれか一方のシートに
20〜50重量%の割合で含有されているか又はポリ塩
化ビニル系樹脂からなる熱可塑性高分子材料で形成され
た色合いの異なる複数種のシート1、2を少なくとも一
方の面においてこれら複数種のシートが露出するように
積層aされており、かつ、硬質ロール3と軟質ロール4
との間に、複数種のシートが露出している面が硬質ロー
ル側となるように通過させて、複数種のシートの表面が
ほぼ同一平面に形成されたことである。 【効果】表面境界部に段差がなく、各種処理剤をグラビ
ア塗工しても、ハイライト線が生じることがもない。連
続的に均一な深さの絞模様を形成することができ、真空
成形などの二次成形を行っても、従来のように絞模様が
ぼやけてしまうこともなく、絞意匠性の良い成形体を得
ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車・バス・鉄道等
の車両、航空機等の内張り用表皮材シート、或いは椅子
やバッグ等の雑貨用表皮材シートに関し、更に詳しく
は、異色模様を組み合わせた異色縞模様又は異色帯線模
様等のツートーンカラーの外観を予め表皮材に備えた積
層シートに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車用内装材は、安全性を考慮
し目線に近い部位(インスツルメントパネル・ドアトリ
ムアッパー等)は濃色系で、また、車内を明るく見せる
目的で目線から遠い部位(天井・ドアトリムロアー等)
は淡色系でトータルカラーコーディネートされる傾向が
高まってきている。
【0003】PVCシート(塩化ビニル樹脂系シート)
に縞模様又は帯線模様等のツートーンの絞模様を現出さ
せる方法としては、単一の意匠のPVCシートに部分的
にウエルダーエンボスを施したり、或いは異なる二つの
絞パターンを1本のエンボスロールに彫刻し、このロー
ルを用いる方法が知られている。色で意匠を変える方法
としては、色の異なるPVCシート同士を高周波ウエル
ダーを用いて溶着する方法がある。この方法ではウエル
ドラインが発生するため後に絞加工を施した場合にその
絞の意匠性が損なわれてしまい、帯状のモール等でライ
ンを隠す必要があった。
【0004】自動車の成形ドアトリムの場合には、絞模
様を有するPVCシートを予め真空成形やホットプレス
で所定の形状に成形した後、ドアトリムの表面に着色ス
プレー加工してツートーンカラー模様(縞模様状又は帯
線模様状)に仕上げる方法が取られているが、この方法
では絞の谷間にスプレーインキが多量に塗布されるため
に絞がぼやけてしまう欠点があった。これを解決する手
段として、PVCシート製造時に着色インクをシート表
面に予め部分プリントして、ツートーンカラー化した後
に、絞をつけて表皮材を形成する方法がある。しかしな
がらこの方法では、真空成形などの二次成形時の成形展
開率によっては、着色インク塗膜が薄いために部分的に
薄くなる部分(スケ)が発生し、部分的に下地の色が見
えたり変色してしまう問題があった。
【0005】また、シートを積層することにより縞模様
又は帯線模様等のツートーン模様をシートに現出させる
方法が、特公昭61−31237号公報及び実公平3−
26997号公報に記載されている。前者に記載の方法
は、カレンダー成形によりPVCシートを積層し、積層
後のシート表面に厚い液状の透明合成樹脂を塗工するこ
とによりシート表面を平坦に仕上げる方法である。ま
た、後者に記載の方法も積層後の着色層表面に厚い透明
保護層を設けるものである。
【0006】
【発明が解決しようとしている課題】これらの積層によ
る方法は、積層シートの表面に厚い透明層を設けること
により積層シートの段差を調整するもので、床材として
は厚い透明層を設けても問題はないが、自動車等の内張
り用表皮材や雑貨用表皮材の場合はシート表面の風合い
・絞模様が重要となるため厚い透明層を設けることはで
きない。また、このような方法では積層シートの境界部
分において多少の段差が残り、そのため物性品質上の問
題、及び成形ツヤ安定性の必要なグラビア印刷におい
て、未印刷の所謂ハイライト線が生じてしまう問題があ
るものであった。
【0007】また、近年ドアトリム等の自動車内装材の
表皮材の軽量化とリサイクル化を目的とし、現在使用さ
れいるPVCからオレフィン系の熱可塑性エラストマー
への代替が進んでいる。オレフィン系熱可塑性エラスト
マー製のシートはPVCのように熱融着によって互いに
積層させることは困難な技術で、ツートーンカラー模様
をシートの積層によって得る従来の方法では成形できな
かった。
【0008】本発明はこれらの問題点を解決し、製品の
外観意匠性を著しく高めたツートーンカラー模様で、未
印刷部分のハイライト線の入らない表皮材用積層シート
を提供し、更にオレフィン系熱可塑性エラストマー製の
シートを熱融着によって積層されたツートーン模様の表
皮材用積層シートを提供することを目的とするものであ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、熱可塑性高分
子材料によって成形された色合いの異なる複数種のシー
トを重ねた積層シートであって、該積層シートの少なく
とも一方の面において複数種のシートが露出するように
積層されており、かつ、押圧により変形しない硬質ロー
ルと押圧により変形する軟質ロールとの間を、複数種の
シートが露出している面を硬質ロール側となるように通
過させて、露出している複数種のシートの表面をほぼ同
一な平面に形成した積層シート及びその積層シートを製
造する方法であり、その熱可塑性高分子材料をオレフィ
ン系熱可塑性エラストマーを主体とし、更にオレフィン
系熱可塑性エラストマー中のエチレン−プロピレンダイ
モノマーがいずれか一方のシートには20〜50重量%
の割合で含有された積層シートとするか、或いは熱可塑
性高分子材料をポリ塩化ビニル系樹脂とするものであ
る。
【0010】
【実施例】本発明の実施例を図面に基づいてその一例を
説明すると、表皮材用積層シートAは熱可塑性高分子材
料によって形成された色合いの異なる2種のシート1、
2をどちらか一方の面からみて両方のシート面が見える
ように積層して、この積層シートaを、両方のシート
1、2が露出している面が硬質ロール3側に位置するよ
うに硬質ロール3と軟質ロール4との間を通過させて押
圧し、該2種のシート1、2の表面がほぼ同一の平面と
なるように成形されたものである。
【0011】本発明に用いられる熱可塑性高分子材料
は、ポリ塩化ビニル系樹脂、又はポリエチレン樹脂やポ
リプロピレン樹脂等のオレフィン系樹脂、若しくはエチ
レン−酢酸ビニル共重合樹脂,エチレン−アクリル酸エ
チル共重合樹脂やエチレン−アクリル酸メチル共重合樹
脂等のエチレン系の共重合樹脂、などの所謂熱可塑性樹
脂、或いはハードセグメントとソフトセグメントとを有
する熱可塑性エラストマー、ゴム等であっても良い。熱
可塑性エラストマーとしてはオレフィン系熱可塑性エラ
ストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ウレ
タン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラ
ストマー等の公知の材料が使用できる。これらの熱可塑
性高分子材料は高分子材料同士を適宜混合して使用する
こともでき、また、可塑剤、安定剤、有機・無機充填
材、紫外線吸収剤、難燃剤、酸化防止剤、滑剤等の公知
の添加剤を適宜配合して形成することも可能である。特
に、表皮材用シート等の疑似皮革シートとして使用する
場合は、ポリ塩化ビニル系樹脂、オレフィン系熱可塑性
エラストマー等のシートに適度の柔軟性を有する素材を
使用することが好ましい。
【0012】本発明の積層シートAがオレフィン系熱可
塑性エラストマー(以下TPOという)を主体とする熱
可塑性高分子材料によって形成する場合は、積層される
2種のシート1、2の積層は熱融着、接着剤による積層
のどちらでも可能であるが、積層後に行う真空成形等の
二次成形において剥離しないように接合強度を高めるた
めに熱融着によって接合することが好ましい。
【0013】この場合の熱融着による接合とは、シート
1、2を溶融又は軟化させてシート同士を接着させるこ
とで、これは両方のシートを溶融又は軟化させるか、或
いはいずれか一方のシートを溶融又は軟化させて行うも
のである。積層方法としては、例えばカレンダー成形や
押出成形直後のシートがまだ溶融又は軟化状態のうち
に、予め成形しておいた他のシートを重ねて接合して積
層する方法、或いは成形された2種のシートの両方又は
一方の表面を加熱し溶融又は軟化させて、ラミネートロ
ールによって圧着して積層する方法等によって行われ
る。熱融着によって接合させると接着剤によって接合さ
せたものに比べ、接着部分の接合強度が向上し、更に積
層する工程が簡略されるが、通常のTPOは熱融着性が
悪く、単に一方のTPO製のシートを溶融又は軟化させ
ても接合強度が充分なものではなかった。
【0014】そこで本発明者はTPOの熱融着性を良く
するために研究した結果、TPO中のエチレン−プロピ
レンダイモノマー(以下EPDMという)の割合がTP
Oの熱融着性に大きな影響を及ぼすことを見出した。即
ち、TPOはEPDMからなるソフトセグメントと、ポ
リプロピレン・ポリエチレン等のオレフィン系熱可塑性
樹脂からなるハードセグメントとから構成されている。
シート同士を熱融着によって積層する時に、両方のシー
トともにEPDMがTPOを主体とする高分子材料中に
50重量%より多く含有されていると熱融着性が悪く、
その後の工程で剥がれやすくなる。このため、いずれか
一方のシートのTPOを主体とする高分子材料中にはE
PDMを50重量%以下で含有させるのが熱融着性上好
ましいことが判明した。また、弾性、硬度等の物性面上
の問題と、或いはシートをドアトリム等の形状に合わせ
るために真空成形等の二次成形を行った場合、EPDM
の高分子材料中の含有率があまり低いと絞模様が消失し
たり、引き延ばされてしまうことから、好ましくは20
重量%以上の割合で含有しているものが良い。
【0015】TPO製の積層シートAで真空成形などの
二次成形を行なう場合は積層されるいずれか一方のシー
トを熱融着性が良くなるように、EPDMの含有率を2
0〜50重量%とすることにより、得られる積層シート
は熱融着により強固に接合され、かつ一方のシートの絞
残り性が良好なものとなる。この場合、もう一方のシー
トのEPDM含有率は特に制限はされないが、弾性・強
度等の物性面と絞残り性などの面からTPOを主体とす
る高分子材料中に20重量%以上の割合で含有されてい
ることが好ましく、また、特に絞残り性を重視する場合
は30重量%以上の割合でEPDMを含有させることが
好ましい。
【0016】TPOを主体とする高分子材料中のEPD
Mの含有率を調整するには、TPO自体のEPDM含有
率を調整するか、或いはTPOに相溶する熱可塑性樹脂
を熱可塑性高分子材料中に混合してEPDMの含有率を
調整する。TPOと相溶する熱可塑性樹脂としては低密
度ポリエチレン・直鎖状低密度ポリエチレン・超低密度
ポリエチレン・ランダムポリプロピレン・ポリイソブテ
ン・ポリブテン等のオレフィン系樹脂の他、塩素化ポリ
エチレン・クロロスルフォン化ポリエチレン等の熱可塑
性樹脂、或いはエチレン−プロピレンゴム等の合成ゴム
等が挙げられるが、TPOと相溶する熱可塑性樹脂であ
ればこれらに限定されずどのようなものでも良い。
【0017】また、本発明の積層シートAをポリ塩化ビ
ニル系樹脂によって成形する場合は、ポリ塩化ビニル樹
脂に可塑剤を適宜添加して柔軟性を付与し成形する。本
発明でいうポリ塩化ビニル系樹脂とは、ポリ塩化ビニル
樹脂に可塑剤、安定剤、無機・有機充填剤、紫外線吸収
剤、酸化防止剤、難燃剤、加工助剤等の公知の添加剤を
適宜配合したものの他、エチレン−塩化ビニル共重合樹
脂、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合樹脂等の塩化ビニル
との共重合樹脂、或いは酢酸ビニル樹脂、アクリル系樹
脂、ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹
脂、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリルゴム、クロロ
プレンゴム等の他の合成樹脂、合成ゴムを適宜混合した
ものをいう。このポリ塩化ビニル樹脂の重合度は特に限
定されず、通常は重合度500〜3000の範囲のもの
を使用し、また、懸濁重合、乳化重合の何れの重合方法
によって得られたレジンでも良い。
【0018】可塑剤はシートに適度の柔軟性を付与する
ために樹脂成分100重量部に対して20〜100重量
部の範囲で添加するのが好ましく、可塑剤としては公知
のものが何れも使用可能で、例えばジ・2−エチルヘキ
シルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタ
レート、ジイソノニルフタレート等のフタル酸エステル
系可塑剤、トリクレジルホスフェート等のリン酸エステ
ル系可塑剤、ジ・2−エチルヘキシルアジペート等のア
ジピン酸エステル系可塑剤、その他セバチン酸エステル
系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、或いはエポキシ化大
豆油等のエポキシ系可塑剤、塩素化パラフィン等の二次
可塑剤が挙げられ、これらを単独又は併用して使用す
る。
【0019】安定剤も公知の安定剤が使用でき、例え
ば、カルシウム−亜鉛系、バリウム−亜鉛系、すず系、
鉛系安定剤等が挙げられるがこれらに限定はされず、塩
化ビニル樹脂の分解を防止或いは遅らせる作用のある物
質であればどのようなものでも良い。充填材としては炭
酸カルシウム、マイカ、クレー、タルク、カーボンブラ
ック等の無機充填材、木粉、羊毛等の有機充填材が挙げ
られるがこれに制限されるものではない。
【0020】塩化ビニル系樹脂シート1,2で成形する
場合は、シート同士の積層は熱融着、溶剤溶着、接着剤
による接着等が可能である。熱融着による接合は上記の
TPOと同様の方法で行なうことができ、溶剤溶着はシ
ート表面を溶剤で溶解させて接合する方法で、塩化ビニ
ル系樹脂はテトラヒドロフランに常温で溶解しやすく、
シートの積層面にテトラヒドロフランを主体とする溶剤
又はシーラーで表面を溶解させて積層する。接着剤で積
層する場合は、ポリ塩化ビニル系樹脂を接着させること
のできる公知の接着剤を何れか一方又は両方のシートの
積層面に塗工し、ドライラミネーション等の公知の積層
方法によって接着する。接着剤としては例えばウレタン
樹脂、ポリエステル樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹
脂等を主成分とする溶剤型、エマルジョン型接着剤のほ
か、ホットメルトフィルム、ホットメルト樹脂等のホッ
トメルト接着剤を使用して接着させることもできる。
【0021】本発明の積層シートAは色合いの異なる2
種のシート1、2を重ねて平滑化された方のシート面が
製品の表面側となるものであって、この平滑化されたシ
ート面を表面側とした場合、積層シートAにおけるの下
側に積層されているシート1は、該2種のシート1、2
の表面を平滑化するためにロール間を通過させる工程に
おいて、このシート1が厚すぎると平滑化が難しくなる
ため0.5mm以下の厚さとすることが好ましく、シー
トの強度面を考慮すると0.1mm〜0.5mmの範囲
のものが良いが、この範囲に限定されるものではない。
また、上側に積層されるシート2の厚みも特に限定はさ
れないが、シートの厚さが薄いと重なり部分(特にシー
ト表面に絞模様を付与した場合は絞の凹部分)において
下側のシート1の色が透けて隠蔽性がなくなるため、好
ましくは0.1mm以上で、表面を平滑化するエンボス
工程で厚すぎると2種のシートが同一平面となりにくい
ので、0.1〜0.3mmの範囲とするのが良い。この
ような色合いの異なる2種のシート1、2は公知の加工
手段によって成形され得るものであって、例えばカレン
ダー成形法・押出成形法等によって成形される。また、
これらのシートの幅はどちらも特に制限はなく、500
〜2000mmの幅が一般的である。
【0022】2種のシート1、2の積層部分の重なり幅
も特に制限はされず、一方のシートの表面からはみ出な
いように、このシートの幅よりも短いもう一方のシート
を積層したり、2種のシートの幅方向の端部同士を重ね
幅を適宜設けて積層しても良く、両方のシート面が表面
に露出していればどのように積層させても良い。
【0023】本発明の積層シートAは公知の成形手段で
2種のシート1、2を成形した後、その2種のシートを
前記の方法で積層する。すなわち、2種のシート1、2
を積層した後、2種のシートが露出しているシート面を
硬質ロール側となるように、硬質ロールと軟質ロールと
の間を通過させて押圧し、2種のシート表面をほぼ同一
平面とする。本発明でいう硬質ロールとは、圧着時の押
圧により変形しない硬度を有する金属製ロール等のロー
ルのことをいい、軟質ロールとは圧着時の押圧により弾
性変形するシリコンゴム等のゴム製、或いは弾性のある
プラスチック製のロールのことをいう。軟質ロールの硬
度を例えばショアー硬度で表わすと、ショアー硬度Aで
50〜70程度の範囲のものが好ましく使用できる。
【0024】このようなロールの組み合わせとすること
により、段差のある状態の積層シートaを加熱して軟化
又は溶融状態で圧力を適宜加えて通過させると、硬質ロ
ール3側のシート面は押圧により平坦な面を形成し、軟
質ロール4側のシート面は軟質ロールが変形し、積層シ
ートの段差を吸収する役割を果たす。これによって硬質
ロール側のシート面は平坦な面となり、2種のシートの
表面をほぼ同一平面とすることができ、表面から見た状
態はあたかも1枚のシートでツートーン模様を形成した
かのような、段差のないツートーンカラーの積層シート
を形成することができる。
【0025】上記実施例では、2種の色合いの異なるシ
ートの積層について述べたが、2種に限らず、3種、4
種でも何種もの複数種のシートを同様に積層・押圧する
ことにより、複数の色合いのストライプ模様等の表面を
有する積層シートを成形することも可能である。
【0026】また、本発明の積層シートは、ロール3、
4間を通過させほぼ同一平面とした後に、必要に応じて
両方のシート1、2の表面に同時に艶消し剤・艶出し剤
・表面改質剤等の各種処理剤をグラビア塗工したり、或
いは任意の模様をグラビア印刷する。この時2種のシー
トの間に従来のように段差があると、ここに未印刷部の
ハイライト線が生じてしまう。これは2種のシートの境
界部の厚み段差で、印刷ロールに接触しない部分ができ
塗料が転写されないためである。本発明においては前記
手段により2種のシート境界部においてほとんど段差が
なく、仮にあっても100μm以下となってほとんどな
いに等しく、従来のようなハイライト線は生じず均一に
印刷することができる。
【0027】本発明の積層シートAは、通常、該シート
表面にエンボスロールなどで任意の絞模様を成形する。
その絞模様の形成は積層シートの表面をほぼ同一平面と
した後に必要に応じて各種の処理・印刷を施し、積層シ
ートAを加熱し表面を軟化又は溶融させ、エンボスロー
ルを通過させて型押しする。絞模様をエンボスロールに
て形成するときは、積層シートAを軟化又は溶融する温
度まで加熱し、任意の絞模様が施された金属製のエンボ
スロールとゴムロールとの間を通過させ、エンボスロー
ルの絞模様を積層シートAに転写する。このエンボス時
の押圧は特に限定はされないが、通常20〜100Kg
/cmの範囲の圧力で行う。
【0028】本発明の積層シートAを自動車のドアトリ
ム等の表皮材として使用する場合は、ウレタンフォーム
やポリプロピレンフォーム等のプラスチックフォームB
を必要に応じてシートAの裏面に積層し、真空成形等の
熱成形によってドアトリム等の目的の形状に成形する。
プラスチックフォームBのシートAへの積層は、接着剤
を用いて接着したり、熱融着によって積層しても良い。
また、積層シートAの裏面に天然繊維・化学繊維等の織
布や不織布等を貼合して使用することも可能である。こ
の場合も接着剤で貼合するか、熱融着によって積層する
ことが可能である。プラスチックフォームBや織布、不
織布等を積層シートAの裏面に貼合することにより、積
層シートAの裏面の段差をカバーすることができ、製品
の外観も問題なく使用することができる。
【0029】次に本発明の積層シートAの製造方法を具
体的な実施例をあげて説明する。 (実施例1)下記に記載の配合(1)の配合物をカレン
ダー成形により幅1800mm、厚さ0.4mmのシー
トを成形し冷却後ロール状に巻き取った。次に配合
(2)の配合物をカレンダー成形により幅1000m
m、厚さ0.15mmのシートを成形すると同時に、
(1)のシートを(2)のシートの片方の端部に合わせ
て(1)のシートを重ね合わせ、(2)のシートが軟化
状態のうちにロール間を通過させて熱融着によって積層
させた。次に、この積層シートを金属ロールとゴムロー
ルとの間を通過させ、(1)と(2)の表面をほぼ同一
平面となるように押圧して平滑化する。この時積層シー
トの(1)と(2)が露出しているシート面を金属ロー
ル側とし、積層シートを加熱し溶融又は軟化させてロー
ル間を通過させ押圧し、本発明の積層シートを成形し
た。
【0030】平滑化された積層シートの表面にウレタン
系樹脂を主成分とする表面改質剤をグラビアロールにて
塗工し乾燥させた後、絞模様が彫刻されたエンボスロー
ルにて表面に所望の絞模様を型押し形成した。得られた
積層シートは境界部に段差がなく、表面改質剤のハイラ
イト線も全くなかった。また、絞模様も2種のシートに
絞むらがなく一体的に形成されていた。次に、このシー
トの裏面にポリプロピレンフォームを熱融着によって積
層し、その後真空成形機でドアトリムの形状に合わせて
成形したところ、(1)、(2)のシートの接合部から
剥離することもなく、絞残り性の良い成形体を得ること
ができた。
【0031】 ────────────────────────────────── 配合 (1) (2) ────────────────────────────────── TPO(注1) 80重量部 50重量部 直鎖状低密度ポリエチレン樹脂 20重量部 50重量部 滑剤 1重量部 1重量部 着色剤(各色) 5重量部 5重量部 ────────────────────────────────── 高分子材料のEPDM添加率 56% 35% ────────────────────────────────── (注1)EPDM含有率70%のオレフィン系熱可塑性エラストマー
【0032】(実施例2)下記に記載の配合でカレンダ
ー成形により幅1000mm、厚さ0.15mmのシー
トを成形し冷却後ロール状に巻き取った。その後同一配
合のシートを厚さ1800mm、厚さ0.4mmでカレ
ンダー成形し、その直後のシートが軟化状態のうちに、
上記の幅1000mmのシートを1800mm幅のシー
トの端部に合わせて積層した。次に、積層シートを18
0℃に加熱してシートを軟化させ、1000mm幅のシ
ートが積層されている面を金属ロール側となるように、
金属ロールとゴムロールとの間に積層シートを通過させ
て押圧し、表面を平滑化させた。この平滑化された積層
シートの表面に、塩化ビニル樹脂とアクリル樹脂を主成
分とする表面処理剤及びインクを塗工・印刷し乾燥後皮
革絞模様をエンボスロールにて型押した。次にポリエス
テル製の不織布をウレタン系の接着剤で積層シートの裏
面に貼合した。この積層シートには2種のシートの境界
部の段差は20μm以下でほとんど段差がなく、表面処
理剤のハイライト線のない、ツートーンカラー模様をベ
ースとした意匠性に優れた表皮材用シートを得ることが
できた。
【0033】 ────────────────────────── 配合 ────────────────────────── ポリ塩化ビニル樹脂 100重量部 ジ・2エチルヘキシルフタレート 40重量部 エポキシ化大豆油 2重量部 バリウム−亜鉛系安定剤 3重量部 炭酸カルシウム 20重量部 ──────────────────────────
【0034】
【発明の効果】本発明は熱可塑性高分子材料で形成され
た色合いの異なる複数種のシートを重ねた積層シートで
あって、該積層シートの少なくとも一方の面において前
記複数種のシートが露出するように積層され、かつ、露
出せるそれら複数種のシートの表面がほぼ同一平面に形
成してなるから、従来の1枚のシートに2色のツートー
ンカラーをプリントした場合に生じた真空成形などの熱
成形による二次成形時に高い展開率で引き延ばされても
部分的に色が透けて下地の色が見えることはなくなり、
また、ウエルダーを用いて2枚のシートを溶着したとき
のようなウエルドラインが発生し絞の意匠性を損なうこ
ともなくなった。
【0035】本発明の積層シートは、硬質ロールと軟質
ロールとの間を通過させて、複数種のシートの表面を平
滑にしたので、複数種のシートの表面境界部に段差がな
く、ほぼ同一平面であるため、その後シート表面に各種
処理剤をグラビア塗工しても、境界部にハイライト線が
生じることもなく均一に塗布される。更に積層シートに
任意の絞模様をエンボスロールによって付与しても、複
数種のシート境界部に段差がないため、連続的に均一な
深さの絞模様を形成することができる。また、真空成形
などの熱成形による二次成形を行っても、従来の二次成
形後に着色印刷を行った場合のように絞模様がぼやけて
しまうこともなく、絞意匠性の良いドアトリムなどの成
形体を得ることができる。
【0036】更に、硬質ロールと軟質ロールとの間を通
過させて、複数種のシートの表面を平滑にしたので、床
材の分野で行われているような表面に厚い透明層を設け
て平滑化する必要もないので、着色されたそれぞれのシ
ートの色合い・絞模様・風合い等をそのまま現出させる
ことができ、意匠性・触感性に優れたシートを得ること
ができる。
【0037】本発明はTPOを主体とし形成された一方
のシートのEPDM含有率を20〜50重量%とするこ
とにより、これらを熱融着によって積層しても剥離強度
が大きく、二次成形において剥離することもなく、絞残
り性・熱融着性の良い、意匠性に優れたツートーンカラ
ーのTPOを主体とした積層シートを得ることができ
る。
【0038】更に、TPO又はポリ塩化ビニル系樹脂に
よって積層シートが成形された場合は、シートに適度の
柔軟性を持たせることができ、表皮材用シートとして皮
革の風合い、触感と似たシートを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明積層シートの斜視図
【図2】裏面にプラスチックフォームを積層した状態の
斜視図
【図3】ロール間を通過する以前の2種のシートの積層
状態の斜視図
【図4】ロールの正面図
【図5】2種のシートをロール間に挿入する以前の断面
【図6】2種のシートをロール間に挿入した状態の断面
【図7】2種のシートがロール間を通過する状態の正面
【図8】2種のシートがロール間を通過する状態の断面
【図9】他の実施例a〜eの状態の説明図
【符号の説明】
A:本発明の積層シート、a:2種のシートを積層した
シート、1:下側のシート、2:上側のシート、3:硬
質ロール、4:軟質ロール

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性高分子材料で形成された色合い
    の異なる複数種のシートを重ねた積層シートであって、
    該積層シートの少なくとも一方の面において前記複数種
    のシートが露出するように積層され、かつ、露出するそ
    れら複数種のシートの表面がほぼ同一平面に形成された
    ことを特徴とする積層シート。
  2. 【請求項2】 熱可塑性高分子材料がオレフィン系熱可
    塑性エラストマーを主体とする高分子材料であることを
    特徴とする請求項1に記載の積層シート。
  3. 【請求項3】 オレフィン系熱可塑性エラストマー中の
    エチレン−プロピレンダイモノマーがいずれか一方のシ
    ートには20〜50重量%の割合で含有されていること
    を特徴とする請求項2に記載の積層シート。
  4. 【請求項4】 熱可塑性高分子材料がポリ塩化ビニル系
    樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の積層シー
    ト。
  5. 【請求項5】 熱可塑性高分子材料で形成された色合い
    の異なる複数種のシートを少なくとも一方の面において
    これら複数のシートが露出するように積層し、該積層し
    たシートを軟化又は溶融させて、押圧により変形しない
    硬質ロール側と押圧により変形する軟質ロールとの間
    に、複数種のシートが露出している面が硬質ロール側と
    なるように通過させ、該複数種のシートの露出せる表面
    をほぼ同一平面となるように押圧することを特徴とする
    積層シートの製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004062903A3 (en) * 2003-01-09 2005-01-20 3M Innovative Properties Co Decorative sheet and method for producing the same
US7641953B2 (en) 2005-12-02 2010-01-05 Visteon Global Technologies, Inc. Component for a vehicle interior having a soft-feel touch

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