JPH08323507A - 刃及び刃の製造方法 - Google Patents

刃及び刃の製造方法

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JPH08323507A
JPH08323507A JP12852395A JP12852395A JPH08323507A JP H08323507 A JPH08323507 A JP H08323507A JP 12852395 A JP12852395 A JP 12852395A JP 12852395 A JP12852395 A JP 12852395A JP H08323507 A JPH08323507 A JP H08323507A
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layer
edge
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ceramic layer
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Shigetoshi Sakon
茂俊 佐近
Tadashi Hamada
糾 濱田
Shuji Yamada
修司 山田
Yoshinobu Takegawa
禎信 竹川
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 表面にセラミック層を形成し研磨により刃先
を形成している刃物の切断能力を向上せしめる。刃の寿
命を向上させると同時に、それらを最も簡単な方法で得
る。 【構成】 金属あるいは金属間化合物の表面にセラミッ
ク層を形成した刃形状体に金属コーティング層を施し、
刃形状体の片面を研磨する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ナイフ、包丁、バリカ
ン、はさみ等の刃物に用いられる刃及び刃の製造方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】PVD、CVD、イオンプレーティング
等によって母材表面に母材よりも耐摩耗性や硬度の高い
ものをコーティングしたり、プラズマ窒化、ガス窒化、
浸炭等によって母材表面近傍をセラミック等に変質させ
ることによって、ドリルの耐摩耗性や包丁の寿命向上が
試みられている。この具体例としてはTiNをコーティ
ングしたステンレス包丁や炭素鋼が上げられる。また酸
化により表面に酸化物層を形成し、片面を研磨して刃物
に応用した例としはFe−Cr−Ni−Al合金(特開
平3−153825号公報)が報告されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで金属や金属間
化合物の表面にセラミック層を形成したものを刃物に応
用する場合、そのままでは刃先幅が大きくて刃先が鋭利
でないため、刃先幅が小さい鋭利は刃先を確保するた
め、研磨により刃先幅が小さい鋭利な刃先を形成する必
要がある。
【0004】しかしながら、一般にセラミックを研磨す
る場合、硬度が高いが脆いというセラミックの性質のた
めチッピングが生じ易く、鋭利な刃先を形成することは
非常に困難である上、金属や金属間化合物の表面にセラ
ミック層を形成したものではセラミック層の剛性が低い
ため全体がセラミックであるときよりさらにチッピング
を起こしやすく、鋭利な刃先を形成することはより困難
である。
【0005】大気中で酸化することによりもっと簡単な
プロセスで表面にセラミック(アルミナを主成分とす
る)を形成するもので、すでに刃物への応用が報告され
ているものとしてFe−Cr−Ni−Al系合金(特開
平3−153825号公報)があるが、これは刃先形成
のためにチッピングを起こす場合があり、これは刃の切
削抵抗を増加させ、刃の切れ味を悪くする原因となる。
【0006】本発明は上記問題点に鑑みてなされたもの
であって、本発明の目的とするところは、表面にセラミ
ック層を形成し研磨により刃先を形成している刃物の切
断能力を向上せしめ、刃の寿命を向上させると同時に、
それらを最も簡単な方法で得ることができる刃及び刃の
製造方法を提供するにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明は下記の特徴の手段を採用した。本発明の第1の
特徴の刃は、図5や図6や図11や図12に示すよう
に、金属あるいは金属間化合物3を基体とし、刃先4を
金属コーティング層2及びセラミック層1で構成したこ
とを特徴とする。
【0008】本発明の第2の特徴の刃は、第1の特徴の
刃において、図6や図11や図12に示すように平面研
削されたセラミック層1の平面が露出していることを特
徴とする。本発明の第3の特徴の刃は、上記第1の特徴
の刃において、セラミック層1は酸化物、窒化物あるい
は炭化物であることを特徴とする。
【0009】本発明の第4の特徴の刃の製造方法は、金
属あるいは金属間化合物3の表面にセラミック層1を形
成した図1や図2のような刃形状体に図3や図4に示す
ように金属コーティング層2を施し、図5や図6に示す
ように刃形状体の片面6を研磨することにより刃先4を
形成することを特徴とする。本発明の第5の特徴の刃の
製造方法は、金属あるいは金属間化合物3の表面にセラ
ミック層1を形成した図1や図2のような刃形状体の一
方の片面6を図7や図8のように研磨した後、図9や図
10に示すように金属コーティング層2を施し、一方の
片面6を図5や図6に示すように再び研磨するか、ある
いは他方の片面5を図11や図12に示すように研磨す
ることにより刃先4を形成することを特徴とする。
【0010】本発明の第6の特徴の刃の製造方法は、上
記第4や第5の特徴の刃の製造に用いる刃形状体はAl
とCrのうち少なくとも一つを構成元素として含む金属
あるいは金属間化合物3を酸化、窒化、または炭化する
ことによって表面にセラミック層1を形成したものであ
ることを特徴とする。本発明の第7の特徴の刃の製造方
法は、第4の特徴において、金属コーティング層2を施
す前の刃形状体の刃先幅が図1や図2に示すようにd1
のとき、図5や図6に示すように片面6のセラミック層
1がd1 の厚さ以上除去されるまでこの片面6を研磨す
ることを特徴とする。
【0011】本発明の第8の特徴の刃の製造方法は、第
5の特徴において、金属コーティング層2を施す前の刃
形状体の刃先幅が図1や図2に示すようにd1 のとき、
図7や図8に示すように片面6のセラミック層1がd1
の厚さ以上除去されるまでこの片面6を研磨し、図9や
図10に示すように金属コーティング層2を施した後、
図5や図6に示すように刃先4を形成する面のうち一方
の片面6の金属コーティング層2全部及びセラミック層
1が所定厚さ以上除去(金属コーティングした後の刃先
幅をd2 としたときセラミック層1がd2 の厚さ以上除
去)されるまで一方の片面6を研磨するか、あるいは他
方の片面5の金属コーティング層2の全部及びセラミッ
ク層1が所定厚さ以上除去(金属コーティングした後の
刃先幅をd3 としたときセラミック層1がd3 の厚さ以
上除去)されるまで他方の片面5を研磨することを特徴
とする。
【0012】本発明の第9の特徴の刃の製造方法は、第
4の特徴や第5の特徴において、刃形状体のセラミック
層1の上に施される金属コーティング層2は2μm以上
の無電解メッキ(Niメッキ,Crメッキ,Cuメッ
キ)あるいは、PVD、スパッタリング、真空蒸着であ
ることを特徴とする。本発明の第10の特徴の刃の製造
方法は、第4の特徴や第5の特徴により形成された刃の
金属コーティング層2を腐食、焼成等の手段で図13、
図14、図15、図16に示すように除去することを特
徴とする。つまり、研磨するとき金属コーティング層2
がある状態で研磨し、研磨後不要な金属コーティング層
2を除去する。
【0013】上記のような第1乃至第3の特徴の刃や第
4の特徴の刃の製造方法は一般的な加工技術に基づいて
おり、それらの加工技術(金属コーティングや機械研
磨)はセラミックの種類、母材の種類、厚さ、形成方法
によらず、適用できて本発明を成立することができる。
このために刃形状体の形状やセラミックの種類、母材の
種類、厚さ、形成方法等は限定されるものでない。しか
しながら、金属コーティングの硬度と母材硬度の差はH
v300以上とならないことが好ましい。また、刃の切
れ味等の硬化の程度は研磨条件によって最も左右され
る。研磨砥石、研磨紙を用いて研削する場合、BNある
いはGCが好ましい。ダイヤモンドは金属を研削する場
合、目ずまりを起こすために好ましくない。また第4や
第5の特徴の研磨方法は具体的に限定されるものではな
いが、研磨紙を用いる場合、押し付け圧は5N/cm2
以下が好ましい。また最後に用いる研磨紙は#2000
より目が細かいことが好ましい。また第6の特徴にて第
4や第5の特徴のセラミック層1の形成方法を限定して
いるが、セラミック層1がPVD、CVD、スパッタリ
ング、あるいは真空蒸着等やその方法によって形成され
たものであって、第4や第5の特徴による効果は損なわ
れない。
【0014】また刃形状体の母材となる金属は特に限定
されるものでないが、本発明の実施例ではアルミナを表
面に形成するFe−Cr−Ni−Al系合金(以下MK
合金と呼ぶ)を用いている。これは大気中で酸化して、
セラミック層1としてアルミナを主成分とする酸化物層
を形成するものある。図17は上記MK合金の摩耗試験
(大越式耐摩耗試験機)の結果を示すが、この試験結果
よりMK合金は高速度鋼(SKH57)より十分に耐摩
耗性を有しているのが分かる。この試験に用いたMK合
金はMK合金を大気中で1250℃の温度で8hrの時
間熱処理することにより約10μmの酸化物層を表面に
形成したものである。また金属コーティング層2として
コーティングする金属も限定されるものでないが、本発
明の実施例では無電解Niメッキで形成している。
【0015】
【作用】上記構成によれば、セラミック層1に金属コー
ティング層2を形成した状態で研磨することにより刃先
を形成でき、刃先の研磨のときチッピングを起こさず、
切断能力の高い刃を得ることができ、セラミック層1に
より耐摩耗性があって刃の寿命を向上できる。
【0016】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
る。 <実施例1>第1の特徴(請求項1)、第3の特徴(請
求項3)、第4の特徴(請求項4)、第6の特徴(請求
項6)、第7の特徴(請求項7)及び第9の特徴(請求
項9)に対応する実施例である。
【0017】長さ×幅×厚さが30mm×30mm×
0.6mmのMK合金の圧延平板をBN#170の回転
砥石で平面研削することより刃先角75°の楔形の刃形
状体を形成し(図18)、さらにGC研磨紙を用いた回
転研磨盤で刃先を構成する両面を、#500、#120
0、#2400の研磨紙を粗い方から順番に用いて研磨
した後、大気中で温度1150℃,時間20hrで熱処
理することにより厚さ3.5μmの酸化物層を全面に形
成して、酸化物層で全表面が覆われた刃形状体(図1)
を得る。次いで、この刃形状体の片面(図1の符号6)
を第7の特徴のように研磨するため、走査電子顕微鏡に
より刃先幅d1 を測定し、d1 =4μmの値を得る。そ
れから、無電解メッキ処理を全面に施し、表面に厚さ5
μmの金属Niメッキ層を形成し(図3)、刃先を形成
するどちらかの片面(図3の符号6)を9μm研磨し、
該片面の厚さ5μmの金属Ni層と厚さ3.5μmのア
ルミナ層と母材0.5μmが除去されるまで研磨し、刃
先幅2μm以下の鋭利な刃先を形成した(図5)。
【0018】<実施例2>第1の特徴(請求項1)、第
2の特徴(請求項2)、第3の特徴(請求項3)、第4
の特徴(請求項4)、第6の特徴(請求項6)、第7の
特徴(請求項7)及び第9の特徴(請求項9)に対応す
る実施例である。長さ×幅×厚さが30mm×30mm
×0.6mmのMK合金の圧延平板をBN#170の回
転砥石で平面研削することより刃先角75°の楔形の刃
形状体を形成し(図18)、さらにGC研磨紙を用いた
回転研磨盤で刃先を構成する両面を、#500、#12
00、#2400の研磨紙を粗い方から順番に用いて研
磨した後、大気中で温度1150℃,時間200hrで
熱処理することにより厚さ10μmの酸化物層を全面に
形成して、酸化物層で全表面が覆われた刃形状体(図
2)を得る。次いで、この刃形状体の片面(図2の符号
6)を第7の特徴のように研磨するため、走査電子顕微
鏡により刃先幅d1 を測定し、d1 =6μmの値を得
る。それから、無電解メッキ処理を全面に施し、表面に
厚さ5μmの金属Niメッキ層を形成し(図4)、刃先
を形成するどちらかの片面(図4の符号6)を11μm
研磨し、該片面の厚さ5μmの金属Ni層と厚さ6μm
のアルミナ層とが除去されるまで研磨し刃先幅2μm以
下の鋭利な刃先を形成した(図6)。
【0019】<実施例3>第1の特徴(請求項1)、第
3の特徴(請求項3)、第5の特徴(請求項5)、第6
の特徴(請求項6)、第8の特徴(請求項8)及び第9
の特徴(請求項9)に対応する実施例である。長さ×幅
×厚さが30mm×30mm×0.6mmのMK合金の
圧延平板をBN#170の回転砥石で平面研削すること
より刃先角75°の楔形の刃形状体を形成し(図1
8)、さらにGC研磨紙を用いた回転研磨盤で刃先を構
成する両面を、#500、#1200、#2400の研
磨紙を粗い方から順番に用いて研磨した後、大気中で温
度1150℃,時間20hrで熱処理することにより厚
さ3.5μmの酸化物層を全面に形成して、酸化物層で
全表面が覆われた刃形状体(図1)を得る。次いで、こ
の刃形状体の片面(図1の符号6)を第8の特徴のよう
に研磨するため、走査電子顕微鏡により刃先幅d1 を測
定し、d1 =4μmの値を得る。それから、片面(図1
の符号6)を厚さ3.5μmのアルミナ層と母材0.5
μmが除去されるまで研磨し(図7)、第8の特徴に従
って研磨するために刃先幅d2 を測定し、d2 =3μm
を得る。次いで無電解メッキ処理を全面に施し、表面に
厚さ5μmの金属Niメッキ層を形成し(図9)、刃先
を形成するどちらかの片面(図9の符号6)を8μm研
磨し、該片面の厚さ5μmの金属Ni層と刃先近傍のア
ルミナ層と母材を3μm除去されるまで研磨し、刃先幅
2μm以下の鋭利な刃先を形成した(図5)。
【0020】<実施例4>第1の特徴(請求項1)、第
2の特徴(請求項2)、第3の特徴(請求項3)、第5
の特徴(請求項5)、第6の特徴(請求項6)、第8の
特徴(請求項8)及び第9の特徴(請求項9)に対応す
る実施例である。長さ×幅×厚さが30mm×30mm
×0.6mmのMK合金の圧延平板をBN#170の回
転砥石で平面研削することより刃先角75°の楔形の刃
形状体を形成し(図18)、さらにGC研磨紙を用いた
回転研磨盤で刃先を構成する両面を、#500、#12
00、#2400の研磨紙を粗い方から順番に用いて研
磨した後、大気中で温度1150℃,時間200hrで
熱処理することにより厚さ10μmの酸化物層を全面に
形成して、酸化物層で全表面が覆われた刃形状体(図
2)を得る。次いで、この刃形状体の片面(図2の符号
6)を第8の特徴のように研磨するため、走査電子顕微
鏡により刃先幅d1 を測定し、d1 =4μmの値を得
る。それから、片面(図2の符号6)を厚さ4μmのア
ルミナ層が除去されるまで研磨し(図6)、第8の特徴
に従って再び研磨するために刃先幅d2 を測定し、d2
=3μmを得る。次いで無電解メッキ処理を全面に施
し、表面に厚さ5μmの金属Niメッキ層を形成し(図
10)、刃先を形成するどちらかの片面(図10の符号
6)を8μm研磨し、該片面の厚さ5μmの金属Ni層
と刃先近傍のアルミナ層と母材を3μm除去されるまで
研磨し、刃先幅2μm以下の鋭利な刃先を形成した(図
6)。
【0021】<実施例5>第5の特徴(請求項5)、第
6の特徴(請求項6)、第7の特徴(請求項7)、第8
の特徴(請求項8)、第9の特徴(請求項9)及び第1
0の特徴(請求項10)に対応する実施例である。本実
施例では実施例4で得られた刃の金属Niメッキ層を3
0wt%の塩酸により溶解除去した。
【0022】<比較例1>長さ×幅×厚さが30mm×
30mm×0.6mmのMK合金の圧延平板をBN#1
70の回転砥石で平面研削することより刃先角75°の
楔形の刃形状体を形成し(図18)、さらにGC研磨紙
を用いた回転研磨盤で刃先を構成する両面を、#50
0、#1200、#2400の研磨紙を粗い方から順番
に用いて研磨した後、大気中で温度1150℃,時間2
0hrで熱処理することにより厚さ3.5μmの酸化物
層を全面に形成して、酸化物層で全表面が覆われた刃形
状体(図1)を得る。次いでこの刃形状体の片面(図1
の符号6)を10μm研磨し、図7と同様の形状の刃形
状体を得た。
【0023】<比較例2>長さ×幅×厚さが30mm×
30mm×0.6mmのSUS304ステンレス鋼の圧
延平板をBN#170の回転砥石で平面研削することよ
り刃先角75°の楔形の刃形状体を形成し(図18)、
さらにGC研磨紙を用いた回転研磨盤で刃先を構成する
両面を、#500、#1200、#2400の研磨紙を
粗い方から順番に用いて研磨した。
【0024】上記の実施例1乃至実施例5で得られた刃
形状体と比較例1や比較例2の刃形状体の性能の測定し
た。つまり、刃の切れ味の指標として上記各実施例及び
各比較例の切削抵抗を測定した。この結果を図19に示
す。図19は切断本数と切断抵抗値の変化を示し、Aは
実施例1、Bは実施例2、Cは実施例3、Dは実施例
4、Eは実施例5、Fは比較例1、Gは比較例2のもの
を示す。この結果から、本発明の実施例のものは、切断
本数が増えても切断抵抗値が増加せず、長期に亘って切
れ味を維持できることが分かる。
【0025】なお、切断抵抗試験は上記各実施例と各比
較例により得た楔形の刃形状体(図18)が適度な拘束
を治具によって受けることで刃が0.3mmφのサラン
糸の垂直断面と平行に可動するようにし、0.3mmφ
のサラン糸を切断したときの荷重変化をロードセルによ
って測定し、なにも切断していないときの荷重変化(治
具と楔形の刃形状体の摩擦等によって生ずる)をバック
グランドとして差し引いた荷重変化のピーク値を切断抵
抗値とするものである。
【0026】
【発明の効果】本発明の効果は次の通りである。一般に
研磨により刃先を形成する場合、セラミックは高硬度で
あるが延性に乏しいので刃先のチッピングを起こすた
め、延性の高い金属の方が刃先幅が小さくて鋭利な刃先
を形成することができる。
【0027】そこで、請求項4や請求項5にしたがって
請求項1の形状の刃を形成した場合、刃先はセラミック
と違って金属であるため、研磨により刃先を形成する
際、チッピングが起こらないので、より鋭利な刃先が形
成されるため初期の切断抵抗を金属刃並に下げることが
できる。また、金属コーティングは研磨により刃先を形
成するとき、セラミック層を保護し、セラミック層のチ
ッピングを防ぐため、セラミック層の刃先に最も近い部
分は鋭利に研磨される。よって請求項4や請求項5に従
って製造した請求項1または請求項2の刃の金属コーテ
ィングを完全に取り除いた場合(図13、図14、図1
5、図16)、あるいは刃物使用中の摩耗により金属コ
ーティング層が除去されたセラミック部分が露出した場
合でも、金属コーティングを施すことなく、刃先をセラ
ミックで形成した刃よりもセラミック層のチッピングが
少ないため、より刃先幅が小さく鋭利な刃先が形成され
るので、従来から提案されている研磨時に金属コーティ
ングを施さないものより切削抵抗を低くできる。
【0028】また、請求項5による場合、予め片面のセ
ラミック層を除去してから金属コーティングを施し、再
研磨で金属コーティング層と前に研磨して母材が露出し
た部分を研磨するため、被研削物が殆ど金属あるいは金
属間化合物となって研削しやすく、請求項4に比較して
目の細かい砥石あるは研磨紙を用いることができる。従
ってセラミック部分の損傷がより少なく、刃先強度がよ
り優れたものが得られる。
【0029】また請求項2の刃(図5、図6、図11、
図12)は平面研磨されたセラミック面を持つため、バ
リカン刃のような摺動部を持つような用途を想定した。
この部分を摺動部とすれば、図17のMK合金の例で分
かるように、耐摩耗性が優れるため、刃物として寿命が
向上できる。図17において、比摩耗量が少ない程耐摩
耗性に優れるが、摩耗速度によって変化するのが普通で
ある。図17は一般的に耐摩耗性を十分評価できる速度
範囲の比摩耗量を示している。摩耗試験を行った後もM
K合金の酸化物層は摩耗しきっておらず、酸化物層を表
面に有すMK合金は、鋸の材料として用いられる耐摩耗
性に優れたSKH57以上の耐摩耗性を示す。また、一
般的にセラミック層は金属や金属間化合物よりも硬度が
高く、耐摩耗性に優れることから、この効果は酸化物が
他のセラミック層に置き換わっても、MK合金が他の金
属あるいは金属間化合物に置き換わっても程度に差こそ
あれ、奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】刃の状態を説明する説明図である。
【図2】刃の状態を説明する説明図である。
【図3】刃の状態を説明する説明図である。
【図4】刃の状態を説明する説明図である。
【図5】刃の状態を説明する説明図である。
【図6】刃の状態を説明する説明図である。
【図7】刃の状態を説明する説明図である。
【図8】刃の状態を説明する説明図である。
【図9】刃の状態を説明する説明図である。
【図10】刃の状態を説明する説明図である。
【図11】刃の状態を説明する説明図である。
【図12】刃の状態を説明する説明図である。
【図13】刃の状態を説明する説明図である。
【図14】刃の状態を説明する説明図である。
【図15】刃の状態を説明する説明図である。
【図16】刃の状態を説明する説明図である。
【図17】MK合金とSKH57との摩耗試験の結果を
示すグラフである。
【図18】刃形状体を示す斜視図である。
【図19】切断抵抗試験の結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1 セラミック層 2 金属コーティング層 3 金属あるいは金属間化合物 4 刃先 5 片面 6 片面
フロントページの続き (72)発明者 竹川 禎信 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属あるいは金属間化合物を基体とし、
    刃先を金属コーティング層及びセラミック層で構成した
    ことを特徴とする刃。
  2. 【請求項2】 平面研削されたセラミック層の平面が露
    出していることを特徴とする請求項1記載の刃。
  3. 【請求項3】 セラミック層は酸化物、窒化物あるいは
    炭化物であることを特徴とする請求項1記載の刃。
  4. 【請求項4】 金属あるいは金属間化合物の表面にセラ
    ミック層を形成した刃形状体に金属コーティング層を施
    し、刃形状体の片面を研磨することにより刃先を形成す
    ることを特徴とする刃の製造方法。
  5. 【請求項5】 金属あるいは金属間化合物の表面にセラ
    ミック層を形成した刃形状体の一方の片面を研磨した
    後、金属コーティング層を施し、一方の片面を再び研磨
    するか、あるいは他方の片面を研磨することにより刃先
    を形成することを特徴とする刃の製造方法。
  6. 【請求項6】 刃形状体はAlとCrのうち少なくとも
    一つを構成元素として含む金属あるいは金属間化合物を
    酸化、窒化、または炭化することによって表面にセラミ
    ック層を形成したものであることを特徴とする請求項4
    または請求項5記載の刃の製造方法。
  7. 【請求項7】 金属コーティング層を施す前の刃形状体
    の刃先幅がd1 のとき、片面のセラミック層がd1 の厚
    さ以上除去されるまでこの片面を研磨することを特徴と
    する請求項4記載の刃の製造方法。
  8. 【請求項8】 金属コーティング層を施す前の刃形状体
    の刃先幅がd1 のとき、片面のセラミック層がd1 の厚
    さ以上除去されるまでこの片面を研磨し、金属コーティ
    ング層を施した後、刃先を形成する面のうち一方の片面
    の金属コーティング層全部及びセラミック層が所定厚さ
    以上除去(金属コーティングした後の刃先幅をd2 とし
    たときセラミック層がd2 の厚さ以上除去)されるまで
    一方の片面を研磨するか、あるいは他方の片面の金属コ
    ーティング層の全部及びセラミック層が所定厚さ以上除
    去(金属コーティングした後の刃先幅をd3 としたとき
    セラミック層がd3 の厚さ以上除去)されるまで他方の
    片面を研磨することを特徴とする請求項5記載の刃の製
    造方法。
  9. 【請求項9】 刃形状体のセラミック層の上に施される
    金属コーティング層は2μm以上の無電解メッキ(Ni
    メッキ,Crメッキ,Cuメッキ)あるいは、PVD、
    スパッタリング、真空蒸着であることを特徴とする請求
    項4または請求項5記載の刃の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項4または請求項5により形成さ
    れた刃の金属コーティング層を腐食、焼成等の手段で除
    去することを特徴とする刃の製造方法。
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