JPH08323259A - ロールコーター - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】固化しやすい塗工剤を塗工する場合のドクター
ブレードの切れを長時間にわたって維持することがで
き、品質の安定化、工程の安定化、作業の効率化、コス
トの低減化等に効果が大きいロールコータを得る。 【構成】ロール上の余剰塗工剤を除去するためのドクタ
ーブレードを備えたロールコーターにおいて、ロール３
の回転方向に沿って、２枚以上のドクターブレード６
Ａ，６Ｂを設置。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ロール上の余剰塗工剤
を除去するためのドクターブレードを備えたロールコー
ターに関する。

【０００２】

【従来の技術】コーティング操作は表面の改質の一方法
として工業的に極めて一般的に使用されている。その中
で、マイクログラビア、ダイレクトグラビア、オフセッ
トグラビア等のグラビアコーター、リバースロールコー
ター、キスコーター等はウェブの塗工に融通のきくコー
ターであり、広い粘度範囲にわたって使用でき、表面が
出やすく塗布厚みの変更が容易であることからプラスチ
ックフィルム、紙を塗工する方法として一般的に広く用
いられている。

【０００３】ロールコーターには、ロール上の余剰の塗
工剤を除去するためのドクターブレードが備わってお
り、塗工膜の厚さ、塗工膜の表面性を維持するのに重要
な役割を果たしている。ここで、リバースロールコータ
ーを例にあげて説明する。

【０００４】リバースロールコーターではアプリケータ
ーロール上に付着した塗工剤は逆方向に回転するメタリ
ングロールにより希望する一定量に計量される。量を調
整するためロール間の距離（ギャップ）及び２本のロー
ルの相対速度をコントロールする。この際、メタリング
ロール上に付着した塗工剤はドクターブレードにより除
去される。塗工剤の除去が不十分になると、塗工膜の表
面性が悪化し塗工膜の厚さも変動する。

【０００５】ドクターブレードは金属製あるいはプラス
チック製等の薄板状であり、たわむことでメタリングロ
ールに密着できるようになっている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】従来のロールコータの
設置例を図２に示す。ここで１はバッキングロール、２
はアプリケーターロール、３はメタリングロール、４は
ピックアップロール、５はコーターパン、６はドクター
ブレード、７はウェブ、８はドクターブレード調整用ネ
ジである。

【０００７】そしてここでドクターブレード６は、回転
するメタリングロール３に密着するよう全幅に渡って等
間隔に設置されたネジ８で後方から押されている。ドク
ターブレード６の密着が不十分であるとメタリングロー
ル３上に塗工剤が残り塗布面の表面平坦性を損なう。逆
に押しつけすぎるとドクターブレード６によるメタリン
グロール３の傷入り、ドクターブレード磨耗による寿命
の低下等をもたらし、適切に調整することが困難であっ
た。また、塗工剤によっては反応、乾燥等により固化し
やすい場合がある。

【０００８】このような塗工剤をリバースロールコータ
ーでコーティングする際、ドクターブレードに塗工剤に
起因する付着物が堆積しドクターブレードの切れが次第
に不良となりドクターブレードの押しつけ調整のみでは
塗工液を完全に除去することができなくなる課題があっ
た。

【０００９】本発明はかかる課題を解決して、固化しや
すい塗工剤を塗工する場合のドクターブレードの切れを
長時間にわたって維持することができ、品質の安定化、
工程の安定化、作業の効率化、コストの低減化等に効果
が大きいロールコータを得ることを目的とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明のロールコータ
は、ロール上の余剰塗工剤を除去するためのドクターブ
レードを備えたロールコーターにおいて、ロールの回転
方向に沿ってドクターブレードを２枚以上設置したこと
を特徴としている。すなわちメタリングロール上の塗工
剤を除去するためのドクターブレードを２枚以上設置
し、上流側、下流側のドクターブレードに異なった機能
を持たせる。

【００１１】上流側のドクターブレードには、塗工剤の
付着物を堆積させる。その際に、上流側のドクターブレ
ード通過後は塗工剤が全幅にわたってメタリングロール
上に残るように、上流側のドクターブレードの密着はゆ
るめに調整する。ここで、上流側のドクターブレードは
塗工剤の付着堆積物を保持するためのものであるから、
図３の９Ａに示す通常の形状を用いても良いし、あるい
は９Ｂに示すように端面に溝を付けた形状でも良い。溝
の大きさは１〜３ｍｍで半円形、矩形、三角形等の形状
とし、３〜１０ｍｍ周期で設置する。

【００１２】一方、下流側のドクターブレードは、従来
のドクターブレードと同様にメタリングロール上の塗工
剤を完全に除去するよう調節する。この様にすることに
よって下流側のドクターブレードの切れは経時的に変化
することなく、塗工膜の表面性、厚さが良好な状態に維
持される。

【００１３】ドクターブレードの材質としては、ポリエ
チレン樹脂、ナイロン樹脂、ポリ４フッ化エチレン樹脂
等の樹脂、ステンレス、真鍮等の金属が好ましく、ロー
ルの材質及び形状や塗工剤の性状に応じて適宜選択され
る。ドクターブレードの厚さは、樹脂製の場合は０．５
〜５ｍｍが好ましく、更に好ましくは、１〜３ｍｍであ
る。金属製の場合は、０．１〜３ｍｍが好ましく、更に
好ましくは０．１〜１ｍｍである。通常、ロールに押し
つける先端部分を５〜４５゜のナイフ状に加工する。上
流、下流のドクターブレードの材質、厚さは同じでも良
いし、異なっていても良い。

【００１４】本発明は、以上説明したリバースロールコ
ーターに限らず、グラビアコーター、キスコーター等の
ロールコーターに広く適用できるものである。

【００１５】

【実施例１】図１に、メタリングロール上の塗工剤を除
去するため、ドクターブレードを２枚設置した場合の概
略図を示す。ここでドクターブレードには、端面の形状
が図３の９Ａの形状のものを用いている。

【００１６】上流側のドクターブレード６Ａは塗工剤の
反応あるいは乾燥に起因する付着堆積物を保持するため
のものである。このドクターブレードは下流側のドクタ
ーブレードの切れの不良を防止するために全幅にわたり
塗工剤がメタリングロール上に残るように密着をゆるめ
に調整する。下流側のドクターブレードは従来のリバー
スコーティングにおけるドクターブレードと同じ役割を
果たすためのものである。

【００１７】作業上の便利さから上流側のドクターブレ
ード６Ａは上流側から押しネジ８Ａで、下流側のドクタ
ーブレード６Ｂは下流側から引きネジ８Ｂで調整するの
が良い。ドクターブレードの調整用のネジは１〜３ｃｍ
周期でとりつけておく。

【００１８】厚さ１００μｍのポリカーボネートフィル
ム（帝人（株）製）に濃度１０％ポリビニルアルコール
（クラレ（株）製の商品名「ポバール１１７」）水溶液
を塗工した。本発明の設備を用いた場合は３時間以上経
ってもドクターブレードの切れは良好であった。

【００１９】

【比較例１】実施例１と同じ塗工液を同じフィルムに、
ドクターブレードを１枚設置した図２に示す従来の構成
による設備で塗工した。なおドクターブレードには、端
面の形状が図３の９Ａの形状のものを用いている。その
結果、ドクターブレード部分への塗工液の乾燥固化によ
り塗工開始後約１時間でドクターブレードの切れ不良が
発生し約２時間後には塗工不能な状態に達した。

【００２０】

【発明の効果】以上説明したように、ロールコーターに
おいてロール上の余剰塗工剤を除去するためのドクター
ブレードを回転方向に複数設置することにより、固化し
やすい塗工剤を塗工する場合のドクターブレードの切れ
を長時間にわたって維持することができ、品質の安定
化、工程の安定化、作業の効率化、コストの低減化等に
効果が大きい。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明によるドクターブレードの設置例

【図２】従来のドクターブレードの設置例

【図３】ドクターブレードの端面の形状例

【符号の説明】

１ バッキングロール ２ アプリケーターロール ３ メタリングロール ４ ピックアップロール ５ コーターパン ６ ドクターブレード ６Ａ 上流側ドクターブレード ６Ｂ 下流側ドクターブレード ７ ウェブ ８ ドクターブレード調整用ネジ ８Ａ 上流側ドクターブレード調整用ネジ ８Ｂ 下流側ドクターブレード調整用ネジ ９Ａ ドクターブレード ９Ｂ 溝付きドクターブレード

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ロール上の余剰塗工剤を除去するための
   ドクターブレードを備えたロールコーターにおいて、ロ
   ールの回転方向に沿ってドクターブレードを２枚以上設
   置したことを特徴とするロールコーター。