JPH08317699A - 誘導モータの制御装置 - Google Patents

誘導モータの制御装置

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JPH08317699A
JPH08317699A JP7114813A JP11481395A JPH08317699A JP H08317699 A JPH08317699 A JP H08317699A JP 7114813 A JP7114813 A JP 7114813A JP 11481395 A JP11481395 A JP 11481395A JP H08317699 A JPH08317699 A JP H08317699A
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正明 都築
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 誘導モータの1次電流、トルクのリプルを低
減する。 【構成】 誘導モータに大きさが等しく方向の異なる電
圧ベクトルを印加する誘導モータの制御装置に、検出1
次電流及び検出1次電圧を処理して周期的に1次磁束の
回転方向、1次磁束の過不足、トルクの過不足の判定を
基に、電圧ベクトルを形成するための瞬時空間磁束ベク
トル形成手段100とが設けられる。電流予測手段30
a、30bは、過去に出力した電圧ベクトルと、その電
圧ベクトルを出力した期間における誘導モータの検出1
次電流の変化量を電流偏差として記憶しておき、現在の
電圧ベクトルと同一の過去の電圧ベクトルの電流偏差を
読み出し、検出1次電流に加算して電流予測値を形成
し、瞬時空間磁束ベクトル形成手段100で処理する検
出1次電流として瞬時空間磁束ベクトル形成手段100
に電流予測値を使用させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、誘導モータの制御装置
に関し、特に、誘導モータの1次電流を検出し、その電
流検出値をフィードバックして誘導モータを制御する誘
導モータの制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、誘導モータ、特に3相誘導モ
ータの制御方法について様々の制御装置が提案されてい
る。特に、近年はインバータ技術により、モータ駆動電
源として任意の振幅、周波数の交流を容易に作ることが
でき、また、高速にディジタル演算できるプロセッサも
開発されたため、提案されていた制御装置も容易に実用
化されている。
【0003】その中で、誘導モータに流れる1次電流の
瞬時値を検出し、その電流値などの諸量から、次回の制
御値を演算して制御信号をインバータへ出力することに
より、一定の時間毎に誘導モータを制御する方法が提案
されている。例えば、長岡技術科学大学研究報告書、第
8号1986、第43〜第50ページ、高橋勲著で提唱
される「瞬時空間磁束ベクトル制御方法」の提案があ
る。
【0004】この制御方法は、以下のようにして、誘導
モータ1次電流の検出値などから誘導モータ1次磁束を
計算し、1次磁束と1次電流とからトルクを計算する磁
束演算形の制御方法であり、トルクの制御を高速に行え
ることが特徴である。3相誘導モータにおいて、1次磁
束ベクトルをφ1で表現し、トルクも同様にTで表現す
ると、 φ1=∫(V1−R1×i1)dt …(1) T=φ1×i1 …(2) で表され、ここで、 V1:1次電圧ベクトル i1:1次電流ベクトル R1:1次巻線抵抗 である。このため、トルク応答を高速でディジタル制御
したい用途に適切な制御方法であると言える。以下に、
瞬時空間磁束ベクトル制御方法の原理について概略的に
説明する。
【0005】図7は従来の誘導モータの制御装置を示す
図である。本図に、3相インバータ7と、これにより制
御される3相誘導モータ8と、3相誘導モータ8への1
次電流を検出する手段9aと、3相誘導モータ8への1
次電圧を検出する手段9bと、電流検出手段9a及び電
圧検出手段9bからの瞬時の1次電流、1次電圧を処理
して3相インバータ7を制御するための瞬時空間磁束ベ
クトル形成手段100とが示される。電流検出手段9a
は3相/2相変換手段であり、3相誘導モータ8への各
相電流i1を入力し、i1d、i1qに変換する。電圧
検出手段9bは3相/2相変換手段であり、3相誘導モ
ータ8への各相電圧V1を入力し、V1d、V1qに変
換する。瞬時空間磁束ベクトル形成手段100を実現す
る手段はハードウエアでもよく、DSP(ディジタル信
号処理プロセッサ)などのディジタルプロセッサを使用
してもよい。
【0006】図8は図7の3相インバータのスイッチン
グ状態を示す図である。本図に示す3相インバータは、
正母線17aと、負母線17bと、18aと18b、1
9aと19b、20aと20bでそれぞれ1対とした半
導体スイッチング素子からなるU、V、W相の3組の切
り換えスイッチと、これらのスイッチに正母線17a、
負母線17bを介して接続されている直流電源21とを
具備し、各切り換えスイッチを切り換えて3相誘導モー
タに正母線17a側、あるいは、負母線17b側の電圧
を印加する。1対となった各切り換えスイッチは同時に
導通することはない。
【0007】ここで、切り換えスイッチ18a、19
a、20aが導通する場合を「1」、18b、19b、
20bが導通する場合を「0」とし、U、V、W相の順
で導通状態を表現すると、図7に示す切り換えスイッチ
の状態例では、(010)となる。図9は図8の3相イ
ンバータより3相誘導モータに印加される電圧ベクトル
を説明する図である。本図に示すように、各切り換えス
イッチの導通状態により3相誘導モータには、大きさが
等しく、方向の異なる電圧ベクトルが印加される。(0
00)の場合は3相誘導モータには負母線側17bの電
圧が、(111)の場合は正母線17a側の電圧が印加
され、大きさと方向を持たない電圧ベクトルとなる。
【0008】瞬時空間磁束ベクトル形成手段100に設
けられる電圧降下演算部10a、10bは、3相/2相
変換手段9bの変換電流を用いて1次巻線抵抗での電圧
降下分を演算する。積分手段11a、11bは、3相/
2相変換手段9aの変換後の電圧から前記電圧降下演算
部10a、10bで得られた電圧降下分を減じて時間積
分を行って、(1)式の1次磁束φ1d、φ1qを求め
る。
【0009】図10は瞬時空間磁束ベクトル形成手段1
00の1次磁束ベクトルの状態を説明する図である。こ
こで、1次巻線抵抗での電圧降下分を略すると、本図に
示すように、1次磁束は、電圧ベクトルのベクトル和で
表現することができる。絶対値手段12は、積分手段1
1a、11bで得られた1次磁束φ1d、φ1qから、 (φ1d2+φ1q21/2 を求める。磁束判定手段14は、これとφ1指令値との
差をとり、過不足を判定する。1次磁束を増加させたい
場合には外周方向の電圧ベクトルを、減少させたい場合
には内周方向の電圧ベクトルを時々刻々に出力すること
により、1次磁束を一定のヒステリシス幅を持った磁束
円に近似させて制御することができる。
【0010】図11は1次磁束ベクトルの象限を説明す
る図である。本図に示すように、d−q座標を6等分割
する。磁束象限判定手段15は、積分手段11a、11
bで得られた1次磁束φ1dとφ1qとから回転角θを
求め、1次磁束がどの分割された領域に存在しているか
を判定し、この判定をスイッチングテーブル16に出力
する。
【0011】トルク判定手段13は、(2)に示すよう
に、1次磁束φ1d、φ1qと3相/2相変換後の電流
i1d、i1qとの外積で算出される誘導モータ8のト
ルクが凡そすべりに比例するため、算出トルクとT指令
値との差をとり、過不足を判定する。トルクを増加させ
たい場合には1次磁束を回転方向の電圧ベクトルを取
る、減少させたい場合には逆回転方向の電圧ベクトル
を、磁束象限判定手段15の判定結果と合わせて、トル
クを制御することができる。図12は図7のスイッチン
グテーブル16により決定される電圧ベクトルのテーブ
ルを示す図である。本図に示すように、スイッチングテ
ーブル16には、磁束判定、トルク判定に対して磁束象
限での電圧ベクトルが予め設定されており、この電圧ベ
クトルが、前述のようにして、磁束判定手段14、磁束
象限判定手段15、トルク判定手段13により、選択さ
れ、3相インバータ7に出力される。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記の従来
の瞬時空間磁束ベクトル形成手段100では、1次電流
の検出から電圧ベクトルの出力までほぼ一定の制御周期
を持つために、制御には制御周期相当の遅れが発生す
る。したがって、制御システムが誘導モータに対して電
圧ベクトルを出力する時点には、誘導モータの状態が電
流を検出した時点と異なる場合がある。すなわち、制御
が時間遅れをもって行われるために最適な制御が行われ
なくなる。
【0013】具体的には、1次電流のリプルが大きく、
1次磁束の軌跡もヒステリシスから外れた軌跡になりや
すい。その結果として、トルクのリプルも大きくなる。
極端な場合には、制御が不安定な状態に陥る。この傾向
は、出力が大きなモータ、すなわちインピーダンスが低
いモータでは電流の変化量も大きいため、顕著になりや
すい。
【0014】これに対して、電流の検出値、誘導モータ
の印加電圧、誘導モータ定数などを考慮した回路方程式
から電圧ベクトル出力時の電流値を予測し、予測した電
流値を制御に使用する電流予測方法が提案されている。
しかし、このような予測方法では誘導モータ定数の変
動、誘導モータ駆動状態などの影響を受けて電流予測値
に誤差が発生し、その結果として最適な制御が行われな
いという問題点がある。
【0015】したがって、本発明は、上記問題点に鑑
み、制御に時間遅れが発生しない最適な制御を行い、簡
素なアルゴリズムでかつ誘導モータ定数の変動、誘導モ
ータ駆動状態などの影響を受けにくい誘導モータの電流
制御方法を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記問題点を
解決するために、誘導モータに大きさが等しく方向の異
なる電圧ベクトルを印加する誘導モータの制御装置に、
前記誘導モータの1次電流を検出する手段と、前記誘導
モータの1次電圧を検出する手段と、前記検出1次電流
及び前記検出1次電圧を処理して周期的に1次磁束の回
転方向、1次磁束の過不足、トルクの過不足の判定を基
に、前記電圧ベクトルを形成するための瞬時空間磁束ベ
クトル形成手段とが設けられる。電流予測手段は、過去
に出力した前記電圧ベクトルと、その電圧ベクトルを出
力した期間における誘導モータの前記検出1次電流の変
化量を電流偏差として記憶しておき、現在の電圧ベクト
ルと同一の前記過去の電圧ベクトルの前記電流偏差を読
み出し、前記検出1次電流に加算して電流予測値を形成
し、前記瞬時区間磁束ベクトル形成手段で処理する前記
検出1次電流として前記瞬時区間磁束ベクトル形成手段
に前記電流予測値を使用させる。
【0017】また、前記電流予測手段は周期的に最新電
流偏差を用いて電流予測値を形成するが、電流偏差が大
きく変化しなければ周期的に最新値を読み出さず最新値
以前の電流偏差を用いて、電流予測値を形成するように
してもよい。また、前記電流予測手段は周期的に最新電
流偏差を用いて電流予測値を形成するが、電流偏差の変
化が僅かであれば、周期的に電流偏差を更新せず、間欠
的に更新し、この更新電流偏差を用いて、電流予測値を
形成するようにしてもよい。
【0018】前記電流予測手段は、制御周期中に電圧ベ
クトルを複数回切り換える場合でも、出力した何れかの
電圧ベクトルを代表させて、電流予測値を形成するよう
にしてもよい。
【0019】
【作用】本発明の誘導モータの電流制御装置によれば、
過去に出力した前記電圧ベクトルと、その電圧ベクトル
を出力した期間における誘導モータの前記検出1次電流
の変化量を電流偏差として記憶しておき、現在の電圧ベ
クトルと同一の前記過去の電圧ベクトルの前記電流偏差
を読み出し、前記検出1次電流に加算して電流予測値を
形成し、前記瞬時区間磁束ベクトル形成手段で処理する
前記検出1次電流として前記瞬時区間磁束ベクトル形成
手段に前記電流予測値を使用させることにより、時々刻
々に最適な電圧ベクトルを出力することができるため、
1次電流及びトルクのリプルが少なく、安定に誘導モー
タを制御することができる。さらに、1次電流及びトル
クのリプルが低減するために効率が向上する。また、平
均的なスイッチング周波数が向上するため、騒音が減少
するといった2次的効果も派生する。電流偏差が大きく
変化しなければ周期的に最新値を読み出さず最新値以前
の電流偏差を用いて、電流予測値を形成することにより
処理量を減少できる。電流偏差の変化が僅かであれば、
周期的に電流偏差を更新せず、間欠的に更新し、この更
新電流偏差を用いて、電流予測値を形成することによ
り、処理量を減少できる。制御周期中に電圧ベクトルを
複数回切り換える場合でも、出力した何れかの電圧ベク
トルを代表させて、電流予測値を形成することにより、
適応性がます。
【0020】
【実施例】図1は電圧ベクトルと1次電流の変化との関
係の一実施例を示す図である。本図に示すように、制御
周期を60μSとした時の電圧ベクトルと1次電流変化
との関係においては、電流偏差は直前の制御周期におけ
る1次電流検出値との差、すなわち、1次電流の傾きを
表している。図中の表を用いて、磁束が5象限にある場
合、前述のように1次磁束及びトルクの過不足判定と1
次磁束が存在する象限から決定した電圧ベクトル(00
0)では、電流偏差は−50Aであり、電圧ベクトル
(100)では、電流偏差は+60Aであり、電圧ベク
トル(101)では、電流偏差は0Aである。また、磁
束が6象限にある場合、電圧ベクトル(000)では、
電流偏差は、電流偏差は−50Aであり、電圧ベクトル
(100)では、電流偏差は+60Aであり、電圧ベク
トル(110)では、電流偏差は0Aである。
【0021】誘導モータの仕様によって一意的に決定さ
れないが、制御周期の数周期から数十周期程度の短時間
内であれば誘導モータ定数、誘導モータ回転数、負荷ト
ルクなどの状態が大きく変化しないことに着目すると、
前述の短時間内における電流偏差は同一の電圧ベクトル
出力期間毎にほぼ一定である。したがって、1次電流の
検出値に、過去に同一の電圧ベクトルを出力した期間に
おける1次電流の変化量、すなわち電流偏差を加えて電
流予測値を求めて、制御周期相当の遅れの発生を防止す
ることが可能になる。
【0022】図2は本発明の実施例に係る誘導モータ制
御装置を示す図である。本図において、図7と異なる構
成は3相/2相変換手段9bの後段に設けられる誘導モ
ータの電流予測手段30a、30bである。電流予測手
段30a、30bは、3相/2相変換手段9bの出力電
流値を基に、直前の制御周期における1次電流検出値と
の差、すなわち、1次電流の傾きである電流偏差(ΔI
m(d)、ΔIm(q))を求め、スイッチングテーブ
ル16からの電圧ベクトルをパラメータに電流偏差を記
憶し、これを逐次更新する。そして、電流予測手段30
a、30bは、スイッチングテーブル16からの電圧ベ
クトルをパラメータとして、電流偏差を読み出し、3相
/2相変換手段9bの出力電流に加えて、以降の処理を
行う。
【0023】図3は図2の誘導モータの電流予測手段3
0a、30bの電流予測アルゴリズムを説明する図であ
る。本実施例での電流予測に使用する電流偏差として、
過去の同一の電圧ベクトルを出力した期間の電流偏差の
最新値を適用している。つまり、本図に示すように、一
定の制御周期のような区間1、2、3、4、5等の区間
3において、誘導モータの電流予測手段30a、30b
は電圧ベクトルBを出力した期間の初期、末期から電流
偏差ΔIm(B)を記憶する。以降、区間3と同一の電
圧ベクトルBを出力する区間5で、電圧ベクトルBを出
力するとほぼ同時期のこの区間の初期に検出した1次電
流値Im(n)と、区間3における電流偏差ΔIm
(B)との和を区間5の末期における電流予測値とす
る。そして、その電流予測値を用いて次回のインバータ
7へ出力する電圧ベクトルを演算して決定する。
【0024】本実施例では、電流偏差として過去に同一
の電圧ベクトルを出力した期間の電流偏差の最新値を適
用するため、区間3において電圧ベクトルBを出力した
期間の電流偏差は、区間5において、電圧ベクトルBを
出力した期間の電流偏差に更新され、新たな電流偏差が
記憶される。以降区間5と同一の電圧ベクトルBを出力
する区間での電流予測に適用する。
【0025】図4は電流予測値の演算、電流偏差更新例
を説明するフローチャートである。ステップS1におい
て、電流値Im(n)の検出を行う。ステップS2にお
いて、同一電圧ベクトルB出力時の電流偏差ΔIm
(B)を読み出す。ステップS3において、電流予測値
Im(n+1)=Im(n)+ΔIm(B)を演算す
る。
【0026】ステップS4において、電圧ベクトルA出
力時の電流偏差更新を、以下のように、 ΔIm(A)=Im(n)−Im(n−1) 以上の電流予測のアルゴリズムは、演算素子としてDS
Pなどのディジタルプロセッサを使用した場合には、ハ
ードウエア面では8通りの電圧ベクトルと各々の電圧ベ
クトルに対応する電流偏差とを記憶する僅かなメモリ
を、ソフトウエア面では電圧ベクトル毎の電流偏差を記
憶、読み出し、加算によって予測演算するアルゴリズム
の追加を必要とするだけで極めて容易に実現できる。
【0027】図5は本実施例適用前後の誘導モータ1次
電流とトルクの波形を示す図である。本図(a)に示す
ように、本実施例の電流予測アルゴリズムの適用前で
は、1次電流及びトルクのリプルが大きかったのに対
し、本図(b)に示すように、本実施例適用後では、制
御の時間遅れが補償されため、1次電流及びトルクのリ
プルが双方共に低減している。
【0028】また、本実施例の電流予測アルゴリズムの
適用後には、1次電流及びトルクのリプルの低減に伴
い、誘導モータの回転トルクに寄与しない高調波成分が
減少するため、誘導モータ効率、及びインバータを含め
たシステム効率が向上する。さらに、本実施例の電流予
測アルゴリズムの適用前では、平均的なスイッチング周
波数が可聴域になることが多く、したがって、誘導モー
タから発生する騒音、振動が大きい。一方、本実施例の
電流予測アルゴリズムの適用後では、制御の時間遅れが
補償されて時々刻々の最適な電圧ベクトルを出力するた
めに平均的なスイッチング周波数が向上し、振動が減少
すると共に、人間の聴覚では騒音が聞こえにくくなると
いった2次的効果を派生する。
【0029】なお、本実施例では電流予測アルゴリズム
に仕様する電流偏差として、過去の同一の電圧ベクトル
を出力した期間の電流偏差の最新値を適用しているが、
誘導モータ定格などのシステム仕様により同一の電圧ベ
クトルを出力した期間毎の電流偏差が大きく変化しない
場合には、最新値以前の電流偏差を適用してもよい。ま
た、同一の電圧ベクトルを出力した期間毎の電流偏差の
変化が僅かである場合には、電圧ベクトル毎の電流偏差
を毎回更新せず、本実施例の予測演算を実現させてもよ
い。
【0030】また、本実施例では制御周期の全期間に同
一の電圧ベクトルを出力した場合についての例である
が、制御周期中に電圧ベクトルを複数回切り換える場合
でも、出力した何れかの電圧ベクトルを代表させて、本
実施例に予測演算を実現させてもよい。図6は本発明の
別の実施例に係る誘導モータの制御を示す図である。本
図において、図2と異なる構成は3相/2相変換手段9
bの前段に設けられる誘導モータの電流予測手段31
a、31b、31cである。電流予測手段31a、31
b、31cは、誘導モータに流れる1次電流の瞬時値を
検出し、その検出電流値を基に、直前の制御周期におけ
る1次電流検出値との差、すなわち、1次電流の傾きで
ある電流偏差(ΔIm(u)、ΔIm(v)、ΔIm
(w))を求め、スイッチングテーブル16からの電圧
ベクトルをパラメータに電流偏差を記憶し、これを逐次
更新する。そして、電流予測手段31a、31b、31
cは、スイッチングテーブル16からの電圧ベクトルを
パラメータとして、電流偏差を読み出し、検出電流に加
えて、3相/2相変換手段9bに出力する。このよう
に、3相電流iu、iv、iwの各相で電流予測を実施す
るようにしても、前述と同様な作用効果を得ることがで
きる。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、過
去に出力した電圧ベクトルと、その電圧ベクトルを出力
した期間における誘導モータの検出1次電流の変化量を
電流偏差として記憶しておき、現在の電圧ベクトルと同
一の過去の電圧ベクトルの電流偏差を読み出し、検出1
次電流に加算して電流予測値を形成し、瞬時区間磁束ベ
クトル形成手段で処理する検出1次電流として瞬時区間
磁束ベクトル形成手段に電流予測値を使用させるので、
時々刻々に最適な電圧ベクトルを出力することができる
ため、1次電流及びトルクのリプルが少なく、安定に誘
導モータを制御することができる。さらに、1次電流及
びトルクのリプルが低減するために効率が向上する。ま
た、平均的なスイッチング周波数が向上するため、騒音
が減少するといった2次的効果も派生する。電流偏差が
大きく変化しなければ周期的に最新値を読み出さず最新
値以前の電流偏差を用いて、電流予測値を形成し、さら
に、電流偏差の変化が僅かであれば、周期的に電流偏差
を更新せず、間欠的に更新し、この更新電流偏差を用い
て、電流予測値を形成するので、処理量を減少できる。
制御周期中に電圧ベクトルを複数回切り換える場合で
も、出力した何れかの電圧ベクトルを代表させて、電流
予測値を形成するので、適応性がます。
【図面の簡単な説明】
【図1】電圧ベクトルと1次電流の変化との関係を示す
図である。
【図2】本発明の実施例に係る誘導モータ制御装置を示
す図である。
【図3】図2の誘導モータの電流予測手段30a、30
bの電流予測アルゴリズムを説明する図である。
【図4】電流予測値の演算、電流偏差更新例を説明する
フローチャートである。
【図5】本実施例適用前後の誘導モータ1次電流とトル
クの波形を示す図である。
【図6】本発明の別の実施例に係る誘導モータの制御装
置を示す図である。
【図7】従来の誘導モータの制御装置を示す図である。
【図8】図7の3相インバータのスイッチング状態を示
す図である。
【図9】図8の3相インバータより3相誘導モータに印
加される電圧ベクトルを説明する図である。
【図10】瞬時空間磁束ベクトル形成手段100の1次
磁束ベクトルの状態を説明する図である。
【図11】1次磁束ベクトルの象限を説明する図であ
る。
【図12】図7のスイッチングテーブル16により決定
される電圧ベクトルのテーブルを示す図である。
【符号の説明】
9a…電圧検出手段 9b…電流検出手段 30a、30b、31a、31b、31c…電流予測手
段 100…瞬時空間磁束ベクトル形成手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 都築 正明 愛知県西尾市下羽角町岩谷14番地 株式会 社日本自動車部品総合研究所内 (72)発明者 新居 良英 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 日下 康 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 誘導モータに大きさが等しく方向の異な
    る電圧ベクトルを印加する誘導モータの制御装置におい
    て、 前記誘導モータの1次電流を検出する手段と、 前記誘導モータの1次電圧を検出する手段と、 前記検出1次電流及び前記検出1次電圧を処理して周期
    的に1次磁束の回転方向、1次磁束の過不足、トルクの
    過不足の判定を基に、前記電圧ベクトルを形成するため
    の瞬時空間磁束ベクトル形成手段と、 過去に出力した前記電圧ベクトルと、その電圧ベクトル
    を出力した期間における誘導モータの前記検出1次電流
    の変化量を電流偏差として記憶しておき、現在の電圧ベ
    クトルと同一の前記過去の電圧ベクトルの前記電流偏差
    を読み出し、前記検出1次電流に加算して電流予測値を
    形成し、前記瞬時区間磁束ベクトル形成手段で処理する
    前記検出1次電流として前記瞬時区間磁束ベクトル形成
    手段に前記電流予測値を使用させるための電流予測手段
    とを備えることを特徴とする誘導モータの電流制御装
    置。
  2. 【請求項2】 前記電流予測手段は周期的に最新電流偏
    差を用いて電流予測値を形成するが、電流偏差が大きく
    変化しなければ周期的に最新値を読み出さず最新値以前
    の電流偏差を用いて、電流予測値を形成することを特徴
    とする、請求項1に記載の誘導モータの電流制御装置。
  3. 【請求項3】 前記電流予測手段は周期的に最新電流偏
    差を用いて電流予測値を形成するが、電流偏差の変化が
    僅かであれば、周期的に電流偏差を更新せず、間欠的に
    更新し、この更新電流偏差を用いて、電流予測値を形成
    することを特徴とする、請求項1に記載の誘導モータの
    電流制御装置。
  4. 【請求項4】 前記電流予測手段は、制御周期中に電圧
    ベクトルを複数回切り換える場合でも、出力した何れか
    の電圧ベクトルを代表させて、電流予測値を形成するこ
    とを特徴とする、請求項1に記載の誘導モータの電流制
    御装置。
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