JPH08317413A - 陰極線管表示装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 １つの消磁コイルで消磁、及び画像の回転や
変動の補正を行うことができる陰極線管表示装置を提供
する。 【構成】 電源投入時から短時間、消磁コイル（２）に
商用電源（１）から消磁電流を供給するように切替スイ
ッチ（３）を制御して磁界の消磁を行い、消磁動作終了
後は消磁コイル（２）に画像回転補正回路（１０）から
フォトカプラ（１１）を介して補正電流を供給するよう
に切替スイッチ（３）を制御して画像の回転や変動の補
正を行うように構成した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は陰極線管を用いた表示装
置に関わり、特に着磁した磁界の消磁、及び画像の回転
変動等を補正することができる陰極線管表示装置に関す
るものである。

【０００２】

【従来の技術】陰極線管（以下、「ＣＲＴ」（Cathode
Ray Tube）という）により画像表示がなされる例えばテ
レビジョン受像機等の表示装置においては、その設置場
所によっては機器内外に生じる磁界の影響によりＣＲＴ
内部の例えばシャドーマスクやアパーチャグリル等が着
磁された状態になり、この磁界によって電子ビームの軌
跡が変動し、色純度の劣化やラスタ歪みなどが発生す
る。このため、一般にＣＲＴを適用している表示装置の
大部分は、着磁した磁気を除去する消磁コイルを備え、
この消磁コイルに所定の消磁電流を供給する消磁回路が
設けられている。

【０００３】また、このようなＣＲＴ表示装置は、ＣＲ
Ｔの管面が大型になるほど地磁気等の外来から受ける影
響が大きくなり、設置条件（例えば、設置場所や設置方
向）によって表示される画像が回転したり偏位するよう
な場合がある。このため、例えばＣＲＴのネック部にコ
イルを装着し、地磁気等によって生じる外部の磁界の影
響を除去して画像の回転や変動を補正する補正回路が設
けられているものもある。

【０００４】図２にテレビジョン受像機等に搭載されて
いるＣＲＴ表示装置の消磁回路、及び画像の回転補正回
路の構成例を示す。この図において、交流電源２１は商
用電源（AC100V）を示し、スイッチＳＷ１、及びスイッ
チＳＷ２はテレビジョン受像機本体に設けられている主
電源スイッチ、及び補助電源スイッチをそれぞれ示して
いる。

【０００５】１点鎖線で囲まれた消磁回路２２は消磁コ
イルＤＬ、消磁スイッチＳＷ３、及び正特性のサーミス
タ（以下、ポジスタという）ＴＨで構成されている。消
磁コイルＤＬは交流電圧が供給されると交流磁界を発生
し、消磁スイッチＳＷ３は後述するスイッチ制御回路２
７によって制御され、消磁回路２２のオン／オフ制御を
行っている。ポジスタＴＨは消磁回路２２がオンの時、
自己発熱による温度上昇によって抵抗値が増加し、消磁
回路２２に流れる消磁電流を時間と共に減衰させる。

【０００６】整流・平滑回路２３は供給される交流電圧
を整流・平滑して所定の直流電圧を出力し、ＤＣ−ＤＣ
コンバータ２４は整流・平滑回路２３から１次側コイル
に供給された所定の直流電圧を絶縁及び昇降圧して、２
次側コイルより安定した直流電圧を出力し、テレビジョ
ン受像機の各部に動作電圧を供給している。

【０００７】サブ電源２５は例えばテレビジョン受像機
がスタンバイ状態時にも制御部２６に動作電圧を供給す
るために設けられている。制御部２６は例えばマイクロ
コンピュータ等で構成されており、スイッチ制御回路２
７、画像回転補正回路２８の制御を行っている。スイッ
チ制御回路２７は制御部２６から供給される制御信号に
基づいて消磁回路２２の消磁スイッチＳＷ３の制御を行
っており、画像回転補正回路２８は制御部２６からの制
御信号に基づいてＣＲＴのネック部等に設けられている
画像回転補正コイル２９に所定の補正電流を出力して画
像の回転や変動を補正するようになされている。

【０００８】ここで、上記した消磁コイルＤＬをＣＲＴ
に装着した場合の具体例を図３に示す。なお、これらの
図はＣＲＴの背面より見たものである。図３（ａ）の場
合、消磁コイルＤＬは略８の字状に設けられ、同図
（ｂ）の場合は上下に設けられ、同図（ｃ）の場合はＣ
ＲＴの縁部に周設して設けらている。

【０００９】図２に示したようなＣＲＴ表示装置は、例
えばテレビジョン受像機等の主電源スイッチＳＷ１、及
び補助電源スイッチＳＷ２がオンとされた場合、スイッ
チ制御回路２７はＤＣ−ＤＣコンバータ２４から動作電
圧が供給されると共に、制御部２６から制御信号が印加
され、消磁スイッチＳＷ３が所定の時間、オンとなるよ
うに制御する。

【００１０】消磁回路２２に交流電圧が供給されると、
消磁コイルＤＬには図４に示すような交流電流Ｉが供給
されて交流磁界Ｈが発生する。この時、ポジスタＴＨに
も交流電流Ｉが流れるため、ポジスタＴＨは自己発熱に
よって温度が上昇し、抵抗値が大きくなる。よって、消
磁コイルＤＬに流れる交流電流Ｉは時間経過（ｔで示
す）と共に制限されていき最終的にほとんど流れなくな
り、これに応じて消磁コイルＤＬに生じる交流磁界Ｈが
減衰していくことになる。

【００１１】つまり、図４の横軸Ｈ（磁界の強さ）、縦
軸Ｂ（磁束密度）上に示されるヒステリシスループが原
点に収束するように、交流磁界を徐々に減衰させながら
ＣＲＴに与えることで、短時間でＣＲＴの内部のアパー
チャグリル、又はシャドウマスク等に着磁した磁気の消
磁を行い消磁動作を完了するようになされている。

【００１２】一方、図５（ａ）に示すように地磁気等の
影響により表示画面Ｐに対して表示される画像ＱがＣＲ
Ｔの管軸を中心に右上りに傾いたり、同図（ｂ）に示す
ように画像ＱがＣＲＴの管軸を中心に右下がりに傾く
等、画像が回転変動した場合、例えばユーザーは表示さ
れた画像の状態を見ながら画像の回転変動が最も少なく
なるように図示しないリモコン等の入力操作部から画像
回転補正コイル２９に供給すべき電流の極性やレベルの
補正データの入力を行う。

【００１３】そして、マイクロコンピュータ等からなる
制御部２５は、この情報に基づいて得られたこれらの補
正データを記憶すると共に、画像回転補正回路２８に補
正データに応じた制御信号を出力するようになされてい
る。画像回転補正回路２８は入力された制御信号に基づ
いて画像回転補正コイル２９に供給する直流電流の極性
やレベルの可変を行って、以後この設定された補正デー
タに基づく極性及びレベルの電流が画像回転補正コイル
２９に供給して、画像の回転変動が解消するようになさ
れている。

【００１４】したがって、上述した消磁回路２２、及び
画像回転補正回路２８が設けられたＣＲＴ表示装置にお
いては、ＣＲＴに着磁した磁界、及び地磁気等の影響に
よる画像の歪みや回転変動等を防ぐことができるように
なされている。

【００１５】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上記したよ
うな消磁回路、及び画像回転補正回路を有して構成され
る陰極線管表示装置は消磁回路に設けられている消磁コ
イルと、画像回転補正回路に設けられている補正コイル
をＣＲＴにそれぞれ設ける必要があり、画像補正用のコ
イルが大型部品のため、ＣＲＴの構造が大型化するとい
う問題点がある。また、補正コイルは大型部品ゆえ、製
造効率が悪く部品コスト等が高いという欠点もあった。
さらに、消磁回路は電源投入時より短時間のみ消磁動作
を行い、その後は動作を行わないため、効率が良くなか
った。

【００１６】

【課題を解決するための手段】本発明はこのような問題
点を解決するためになされたもので、陰極線管の周辺部
に設けられている消磁コイルと、消磁コイルに消磁電流
または補正電流を供給するための電流ラインを切り替え
る切替手段と、切替手段を制御する制御手段と、補正電
流の値を可変出力する電流可変手段と、消磁電流を減衰
させる正特性のサーミスタとを備え、消磁コイルに所定
の上記消磁電流を供給することにより上記陰極線管の消
磁を行うと共に、補正電流を供給することにより上記陰
極線管の表示画像の位置を補正が行われるように構成す
ることとした。

【００１７】

【作用】本発明によれば、例えば電源投入時から短時間
は消磁コイルに消磁電流が供給され、陰極線管に着磁し
ている磁界の消磁を行い、その後は消磁コイルに補正電
流が供給されて画像の回転変動等の補正を行うようにし
ているため、１つコイルで陰極線管の消磁及び画像の回
転や変動の補正を行うことができる。

【００１８】

【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。図
１に本実施例である例えばテレビジョン受像機等に搭載
されているＣＲＴ表示装置の構成の一例を示す。この図
において、交流電源１は商用電源（AC100V）を示し、ス
イッチＳＷ１、及びスイッチＳＷ２はテレビジョン受像
機本体に設けられている主電源スイッチ、及び補助電源
スイッチをそれぞれ示している。

【００１９】消磁コイル２は供給される消磁電流又は補
正電流により所定の磁界を発生し、ＣＲＴの内部に着磁
した磁界の消磁、及び地磁気等による画像の回転や変動
等の補正を行うようになされている。切替スイッチ３は
消磁コイル２に供給する電流ラインの切り替えを行うよ
うになされている。ポジスタ４は自己発熱による温度上
昇によって抵抗値が増加する正特性のサーミスタであ
る。

【００２０】整流・平滑回路５は供給される交流電圧を
整流・平滑して所定の直流電圧を出力し、ＤＣ−ＤＣコ
ンバータ６は整流・平滑回路５から１次側コイルに供給
された所定の直流電圧を絶縁、及び昇降圧して、２次側
コイルより安定した直流電圧を出力して、テレビジョン
受像機の各部に動作電圧を供給している。

【００２１】サブ電源７は例えばテレビジョン受像機が
スタンバイ状態時にも制御部８に動作電圧を供給するた
めに設けられている。制御部８は例えばマイクロコンピ
ュータ等で構成されており、通常テレビジョン受像機の
各部の回路をコントロールすると共に、スイッチ制御回
路９、画像回転補正回路１０の制御を行うようにしてい
る。スイッチ制御回路９は制御部８から供給される制御
信号に基づいて切替スイッチ３の切替制御を行ってお
り、画像回転補正回路１０は制御部８から制御信号に基
づいてフォトカプラ１１に所定の補正電流を出力してい
る。

【００２２】フォトカプラ１１は、例えばフォトダイオ
ードからなる１次側回路とフォトトランジスタからなる
２次側回路が電気的に絶縁されており、画像回転補正回
路１０から１次側回路に入力された補正電流によって、
２次側回路から適正な補正電流を消磁コイル２に供給す
るようになされている。

【００２３】このようなＣＲＴ表示装置は、例えばテレ
ビジョン受像機等の主電源スイッチＳＷ１、又は／及び
補助電源ＳＷ２がオンとされた場合、ＤＣ−ＤＣコンバ
ータ６からスイッチ制御回路９、及び画像回転補正回路
１０に動作電圧が供給されると共に、制御部８からスイ
ッチ制御回路９に制御信号が印加され、切替スイッチ３
は所定の時間、消磁コイル２と商用電源１とを接続して
消磁コイル２、及びポジスタ４に消磁電流が供給され
る。

【００２４】消磁コイル２に消磁電流が供給されると、
消磁コイル２に交流磁界が発生してＣＲＴに着磁した磁
界の除去が行われる。この時、ポジスタ４にも消磁電流
が流れるため、ポジスタ４は自己発熱によって温度が上
昇するにしたがい抵抗値が大きくなり、消磁電流は時間
の経過と共に制限され、これに応じて消磁コイル２に生
じる交流磁界が減衰されていくことになる。

【００２５】つまり、消磁コイル２から交流磁界を徐々
に減衰させながらＣＲＴに与えることで、短時間（約２
秒〜４秒）でＣＲＴ表示装置の内部のアパーチャグリ
ル、又はシャドウマスク等に着磁した磁気の消磁して消
磁動作を完了する。

【００２６】そして、上記消磁動作終了後、スイッチ制
御回路９には制御部８から切替スイッチ３を消磁コイル
２とフォトカプラ１１とを接続するような制御信号が印
加されると共に、画像回転補正回路１０には制御部８か
ら画像回転の補正データに基づいた制御信号が印加され
るようになされている。

【００２７】なお、この補正データは、上述したが地磁
気等の影響により表示画像の回転や変動が発生した場
合、例えばユーザーが表示された画像の状態を見ながら
画像の回転や変動等が最も少なくなるように調整した調
整値であり、例えば制御部８に付加されているＲＡＭ等
に（図示しない）に記憶されているものである。

【００２８】そして、制御部８から制御信号が印加され
た画像回転補正回路１０は、制御信号に基づいて極性、
及びレベルを可変して調整した直流電流をフォトカプラ
１１の１次側回路に供給することで、フォトカプラ１１
の２次側回路からは絶縁された適正な補正電流が出力さ
れ、消磁コイル２に供給されることになる。以後この設
定された補正データに基づく極性、及びレベルの補正電
流が消磁コイル２に供給されることで、消磁コイル２に
生じる磁界によって地磁気等の影響による画像の回転や
変動等を防止するようになされている。

【００２９】なお、本実施例ではフォトカプラ１１を介
して補正電流を消磁回路２に供給するようにしている
が、フォトカプラ１１を省略して画像回転補正回路１０
の出力を直接切替スイッチ３に供給するようにしても良
い。また、フォトカプラ１１と切替スイッチ３の間に電
流増幅器等を挿入して、小型のフォトカプラを使用でき
るようにしても良い。

【００３０】また、本実施例では電源投入時、消磁コイ
ル２に消磁電流を供給して消磁動作を行い、消磁動作完
了後に消磁コイル２に補正電流を供給して画像の回転揺
動を補正するようにしているが、これに限定されること
なく例えば電源オフの期間が短時間の場合は消磁動作を
行うことなく、消磁コイル２に補正電流を供給して回転
変動等の補正だけを行うようにしても良い。

【００３１】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の陰極線管
表示装置は消磁コイルに所定の電流を供給する切替手段
を設け、消磁コイルに消磁電流若しくは補正電流を供給
するようにしているため、１つのコイルで陰極線管に着
磁した磁気の消磁、及び画像の回転や変動等の補正を行
うことができるようになり、大型で製造効率の悪いコイ
ル部品を削除して、コストを大幅に低減することができ
る。また、消磁コイルを有効に使用することができるの
で、従来と比較して効率の良い陰極線管表示装置とする
ことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例であるテレビジョン受像機等に
搭載されている陰極線管表示装置の構成を示した図であ
る。

【図２】従来のテレビジョン受像機等に搭載されている
陰極線管表示装置の構成を示した図である。

【図３】消磁コイルの装着例を示した図である。

【図４】消磁回路における消磁原理を示す説明図であ
る。

【図５】地磁気の影響による画像の回転変動の一例を示
す説明図である。

【符号の説明】

１ 商用電源 ２ 消磁コイル ３ 切替スイッチ ４ ポジスタ ５ 整流・平滑回路 ６ ＤＣ−ＤＣコンバータ ７ サブ電源 ８ 制御部 ９ スイッチ制御回路 １０ 画像回転補正回路 １１ フォトカプラ

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 陰極線管の周辺部に設けられている消磁
   コイルと、 該消磁コイルに消磁電流または補正電流を供給するため
   の電流ラインを切り替える切替手段と、 該切替手段を制御する制御手段と、 上記補正電流の値を可変出力する電流可変手段と、 上記消磁電流を減衰させる正特性のサーミスタとを備
   え、 上記消磁コイルに所定の上記消磁電流を供給することに
   より上記陰極線管の消磁を行うと共に、 上記補正電流を供給することにより上記陰極線管の表示
   画像の位置の補正が行われるように構成したことを特徴
   とする陰極線管表示装置。
2. 【請求項２】 上記切替手段は電源投入時、消磁電流を
   供給し、所定の時間後に補正電流を供給するように制御
   されることを特徴とする請求項１に記載の陰極線管表示
   装置。