JPH0831627B2 - Bi系酸化物高温超伝導超薄膜の製造法 - Google Patents

Bi系酸化物高温超伝導超薄膜の製造法

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JPH0831627B2
JPH0831627B2 JP4086641A JP8664192A JPH0831627B2 JP H0831627 B2 JPH0831627 B2 JP H0831627B2 JP 4086641 A JP4086641 A JP 4086641A JP 8664192 A JP8664192 A JP 8664192A JP H0831627 B2 JPH0831627 B2 JP H0831627B2
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JP
Japan
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irradiation
temperature
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一男 斎藤
正次 貝瀬
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科学技術庁金属材料技術研究所長
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
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    • Y02E40/60Superconducting electric elements or equipment; Power systems integrating superconducting elements or equipment

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  • Physical Vapour Deposition (AREA)
  • Superconductor Devices And Manufacturing Methods Thereof (AREA)
  • Containers, Films, And Cooling For Superconductive Devices (AREA)
  • Superconductors And Manufacturing Methods Therefor (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、Bi系酸化物高温超
伝導超薄膜の製造法に関するものである。さらに詳しく
は、この発明は、マイクロエレクトロニクス、パワーエ
レクトロニクス等の広範囲な領域において有用な、膜厚
300Å以下というBi系酸化物高温超伝導体の超薄膜
を作製することのできる製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】Bi系酸化物高温超伝導体の
バルク体線材については、その遷移温度(Tc)を向
上、維持しつつ、遷移電流密度(Jc)についてもより
高水準のものとするための検討が行われてきており、結
晶の配向性等の点についての精力的な改良、工夫が進め
られてきている。
【0003】 しかしながら、このBi系超伝導体につい
ては薄膜化が難しく、1000Å以下の薄膜について
はほとんど不可能な状況にある。
【0004】 実際、高温超伝導薄膜の作製方法として
は、(1)真空加熱蒸着法、(2)スパッタ蒸着法、
(3)分子線エピタキシアル成長法、(4)気相成長法
が知られているが、膜の厚さが1000Å以下になる
各構成元素の組成を制御することが難しく、単位胞
にして10層程度の超伝導層を整然と積層することは人
為的に難しいとされていた。また、超薄膜の熱処理で
は、基板からの膜剥離や元素蒸発が起こるなど、最適の
熱処理を達成することが容易ではなかったため、これま
でバルク材で得られていような高い超伝導遷移温度
Tcを示す良質の超薄膜は得られておらず、特に鉛
を含まないBi系超伝導薄膜で100Kをす超薄膜を
作製することは不可能であった。
【0005】 この発明は、以上の通りの従来法における
課題を克服するためになされたものであって、膜厚30
0Å以下という薄さであり、しかもBi系としては最高
のTcを示すBi系酸化物超伝導超薄膜を作製すること
のできる製造法を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記の課題
を解決するものとして、膜厚300Å以下のスパッタ蒸
着膜を、イオン注入法によるイオン照射処理することに
よって、その超伝導遷移温度(Tc)を高めることを特
徴とするBi系酸化物高温超伝導超薄膜の製造法を提供
する。
【0007】 以下に、この発明の製造法の具体的な態様
を示す。 (1)マグネトロン・スパッタ等のスパッタ蒸着法によ
りBiSrCaCuO系超伝導酸化物薄膜をMgO基板
上に厚さ300Å以下、好ましくは150〜300Åの
膜厚となるように蒸着する。この場合、ターゲットに
は、Bi:Sr:Ca:Cu=2.5:2:2:3.5
の組成比を基準とし、所望により、他種元素をも加えつ
つ、適宜な組成比とした混合粉末焼結体を使用する。
【0008】 (2)蒸着条件は、たとえばマグネトロン
・スパッタにおいては、rガス等の不活性ガス、ある
いは酸素含有ガスを用い、その全圧1.3Pa程度と
し、進行波電力200W、反射波電力10Wとすること
ができる。ターゲット−基板間の距離を調整し、プラズ
マの先端が基板側中心に集中するようにする。なお、具
体例を示すと、ターゲットは直径152mm、厚さ4mmと
する。ターゲット−基板の最適距離40mmであり、
に基板は加熱しなくともよい。
【0009】 (3)蒸着後、1回目の熱処理を870〜
900℃の温度範囲で大気中で行うことができる。 (4)1回目の熱処理後、イオン注入法によりrなど
の不活性元素イオンを照射する。照射条件は、より好ま
しくは、照射温度77K以下、イオン加速電圧100k
eV以下、ドーズ量1015個/cm2 以下で行う。
【0010】 (5)イオン照射後、比較的低温の800
℃以下で2回目のアニールを大気中で行うことができ
る。もちろん、細部の態様については様々に可能であ
る。以下、実施例を示し、さらに詳しくこの発明につい
て説明する。
【0011】
【実施例】上記(1)、(2)のマグネトロン・スパッ
タ法によりMgO基板上にスパッタ速度約0.7Å/s
で厚さ150〜300ÅのBiSrCaCuO系酸化物
薄膜を蒸着する。これらの超薄膜の色は、薄い茶色を
呈する。膜厚測定は、段差計により行った。その後、8
70〜900の温度範囲で1時間以内のアニールを行
う。この1回目の熱処理によりTc=90〜99Kを示
す超薄膜が得られた。このような良質の蒸着薄膜は、ス
パッタ用ターゲットと基板間の距離を調整し、プラズマ
の形状を制御することにより再現よく作製できた。
【0012】 その後、イオン注入法により加速電圧10
0kVのrイオンを低温10Kで1×1015個/cm
2 以下のドーズ量で照射する。この際、イオン種は、不
要な化学反応を避けるため、Arイオンなどの不活性元
素イオンを使用することが望ましい。低温照射は、照射
中に元素拡散や化学反応を抑えるため、照射量を低くす
るのは、超伝導相の損傷を最小限にするために必要であ
る。rイオン照射後、比較的低温の800℃以下で2
回目の熱処理を行う。以上の処理を施した各薄膜試料の
構造と超伝導特性をX線回折法と電気抵抗測定法により
調べた。
【0013】 図1は、膜厚300ÅのBi系超薄膜の
rイオン照射前(a)および照射後(b)にられ
気抵抗−温度曲線を示す。照射前の蒸着膜でTc=90
〜99Kであったものが、照射後に800℃以下の温度
で2回目のアニールをすることにより、Tcは、108
Kで上昇した。これまでの超薄膜の製造においては、熱
処理すると剥離したり構成元素の蒸発などにより良
質膜が得られなかったが、蒸着条件さえよければ、膜の
特性や密着性は、本質的な問題ではないことが分かっ
た。得られたTcの値は、これまで得られているPbを
含まないBi系超伝導酸化物材料の最高値である。すな
わち、300Åという超薄膜でも最高値のTc=108
Kを示す良質の超伝導薄膜が作製できたことを示すもの
である。なお、この試料77Kにおけるゼロ磁場での臨
界電流密度は、2万アンペア/cm2であった。
【0014】 図2は、照射後のX線回折図形を示したも
のである。X線強度比では、高Tc相と低Tc相の比
は、9対1程度である。また、図3は、超薄膜表面の走
査電子顕微鏡写真を示したものである。通常の厚さ50
00Å以上の膜で観察される表面様相にくらべて表面の
平滑性が極めてよく、結晶サイズも大きい。微細な段差
ステップが一方向に沿って規則正しく配列しており、基
板上にエピタキシアル成長した結晶配向性の良い膜が得
られていることを示唆している。また、表1は、実施例
の結果をまとめて示したものであある。膜厚150Åの
蒸着膜でもすでにTc〜60K台の超薄膜が得られてい
る。
【0015】
【表1】
【0016】
【発明の効果】超伝導薄膜は、デバイス素子としての利
用が期待されているが、その際、デバイス素子の高積層
化、高密度化の要請から、できるだけ膜厚を下げ、かつ
膜の超伝導特性が良好で、構造安定性、電気接触性、均
一性などデバイス素子特性に優れた超薄膜材料を開発
することが大きな課題である。この発明は、この要請に
応えるものであり、300Å以下の超薄膜で高Tc性、
膜平滑性に優れた超薄膜材料を提供することができる。
超伝導超薄膜デバイス材料の作製方法としての発展も期
待できる。また、蒸気圧が高いため蒸発しやすいPb
を添加せずにTcが100KをえるBi系酸化物材
料の超薄膜を作製できることはBi系超伝導薄膜の構造
安定性や膜作製プロセスの簡便化に有効となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】膜厚300ÅのBiSrCaCuO超薄膜のイ
オン照射処理前後の電気抵抗−温度曲線図である。 (a)蒸着後、875℃×0.5hアニール (b)イオン照射後、730℃×1hアニール
【図2】膜厚300ÅのBiSrCaCuO超薄膜のX
線回折図形図である。(H:高Tc相、L:低Tc相)
【図3】膜厚300ÅのBiSrCaCuO超薄膜表面
の走査型電子顕微鏡写真図である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 膜厚300Å以下のスパッタ蒸着膜を、
    イオン注入法によるイオン照射処理することによって、
    その超伝導遷移温度(Tc)を高めることを特徴とする
    Bi系酸化物高温超伝導超薄膜の製造法
  2. 【請求項2】 イオン種として不活性ガスイオンを用
    い、照射温度77K以下、加速電圧100keV以下、
    ドーズ量1×10 15 個/cm 2 以下でイオン照射する請求
    項1の製造法
  3. 【請求項3】 イオン照射後に、800℃以下の温度に
    おいて熱処理する請求項1又は2記載の製造法
JP4086641A 1992-03-11 1992-03-11 Bi系酸化物高温超伝導超薄膜の製造法 Expired - Lifetime JPH0831627B2 (ja)

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