JPH08311656A - 無電解Ni−Bメッキ液 - Google Patents

無電解Ni−Bメッキ液

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JPH08311656A
JPH08311656A JP11964895A JP11964895A JPH08311656A JP H08311656 A JPH08311656 A JP H08311656A JP 11964895 A JP11964895 A JP 11964895A JP 11964895 A JP11964895 A JP 11964895A JP H08311656 A JPH08311656 A JP H08311656A
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Yasuyuki Morita
康之 森田
Yoichi Moriya
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 Niイオン源として塩化ニッケル、硫酸ニッ
ケル、または酢酸ニッケルを0.01モル/リットル 以上0.
05モル/リットル 以下、還元剤としてDMABを0.02モル
/リットル 以上0.20モル/リットル 以下、錯化剤としてエチレ
ンジアミンを0.10モル/リットル 以上0.20モル/リットル 以
下、第2錯化剤として乳酸を0.05モル/リットル 以上0.
30モル/リットル 以下、安定剤としてチオジグリコール酸を
1ppm以上6ppm 以下、促進剤としてPb2+イオンを5p
pm 以上30ppm 以下含んでいる無電解Ni−Bメッキ
液13。 【効果】 ガラスセラミックスやAlN製の基板21が
溶解・腐食されて強度的に劣化するのを防止すると共
に、金属配線層22に膜密着性、耐熱性、耐酸化性、高
硬度等の特性に優れたNi−Bメッキ被膜を選択的、か
つより迅速に形成することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は無電解Ni−Bメッキ液
に関し、より詳細には、例えばICパッケージ等の製造
工程でAlN(窒化アルミニウム)、ガラスセラミック
ス等の基板上に形成された金属配線層にNi(ニッケ
ル)−B(ほう素)系合金のメッキ処理を施す際等に有
用な無電解Ni−Bメッキ液に関する。
【0002】
【従来の技術】外部から電流を流し、溶液中の金属イオ
ンを陰極上に還元、析出させる電気メッキに対し、外部
電流を使わず、溶液中の金属イオンを被メッキ体の表面
に還元析出させる方法を化学メッキと呼んでいる。この
化学メッキは、さらにイオン置換に基づく浸漬メッキと
化学還元剤を用いる無電解メッキとに大別される。
【0003】前記浸漬メッキ法は、例えばNi等の金属
製被メッキ体をAu(金)のような貴金属のイオンを含
有する溶液中に浸漬し、いわゆる置換反応により被メッ
キ体上にAuを析出させる方法であるが、一旦被メッキ
体の表面がAuで覆われるとこのメッキ被膜の成長が停
止するため、メッキ被膜を厚く形成するのが難しいとい
う問題点がある。
【0004】一方前記無電解メッキ法は、溶液中に析出
させる金属の塩、この金属を錯体化するための錯化剤、
金属錯体を還元して金属単体を還元析出させるための還
元剤等を混合した所定温度のメッキ液中に被メッキ体を
浸漬し、該被メッキ体の表面に前記金属を還元析出させ
る方法である。
【0005】この方法は、下記の多くの優れた特徴を有
するため、広く工業的に利用されている。 (1)電源や電極等が不要であり、メッキ液中に被メッ
キ体を浸漬するだけで密着力、均質性等に優れた均一厚
さのメッキ被膜が得られる。 (2)メッキ液組成等のメッキ処理条件を変化させるこ
とによりメッキ被膜の厚さやその物性等を制御するのが
容易であり、要求特性に合致するメッキ被膜の形成が可
能である。 (3)あらゆる形状の被メッキ体にも、付き回りよくメ
ッキ処理を施すことが可能である。 (4)プラスチック、ガラス、セラミックス等のような
非導電性物質にも、メッキ処理を直接的に施すことが可
能である。
【0006】この無電解メッキ法には錫、銀、白金族、
Au、Co(コバルト)、Co−Fe(鉄)、Co−W
(タングステン)−P(リン)、Ni、Ni−Co、N
i−P、Ni−Co−P、Ni−Fe−P、Ni−W−
P、Ni−B等を用いた多くのメッキ方法が知られてい
る。この中で無電解Ni−Bメッキは、米国デュポン社
において1957年に開発された方法であり、当初はこ
れに用いるメッキ液がきわめて強いアルカリ性であった
ので、実際的には利用され難かった。その後メッキ液に
改良が重ねられ、ようやく実用化されるに至っている。
市販されている無電解Ni−Bメッキ液の基本的な配合
成分を、下記の表1に示した。
【0007】
【表1】
【0008】図3は従来の無電解Ni−Bメッキ液を用
いてメッキ処理が施された配線基板を模式的に示した断
面図であり、図中31は基板を示している。基板31上
には例えばW(タングステン)製の金属配線層(または
金属パッド)32が形成されており、金属配線層32の
表面にはNi−Bメッキ被膜33が形成されている。こ
れら基板31、金属配線層32、Ni−Bメッキ被膜3
3を含んで製造工程途中の配線基板30が構成されてい
る。このNi−Bメッキ被膜33は、金属配線層32側
を下向きにして基板31を上記表1に記載されたいずれ
かの無電解Ni−Bメッキ液中に浸漬することにより形
成される。またNi−Bメッキ膜33の表面には、次の
工程においてAuメッキ処理が施されてAuメッキ被膜
34が形成されることが多い。
【0009】金属配線層32等の被メッキ体に無電解N
i−Bメッキ処理を施した場合、メッキ液中でどのよう
な反応が進行してNi−Bメッキ被膜33が形成される
かについて、その機構は完全に解明されているわけでは
ない。しかし、還元剤としてジメチルアミノボランが配
合されたメッキ液を用いて無電解Ni−Bメッキ処理を
施すと、メッキ液中においては下記の化1式、化2式で
示す化学反応が進行するといわれている。
【0010】
【化1】4Ni2++2BH4 -+6OH- →2Ni2 B+
6H2 O+H2
【0011】
【化2】4Ni2++2(CH3)2 NHBH3 +3H2
→Ni2 B+2Ni+2(CH3)22+ +H3 BO
3 +6H+ +1/2H2 また、還元剤として水素化ホウ素ナトリウムが配合され
たメッキ液を用いて無電解Ni−Bメッキ処理を施す
と、メッキ液中においては下記の化3式で示す化学反応
が進行するといわれている。
【0012】
【化3】4Ni2++2NaBH4 +6NaOH→2Ni
2 B+H2+8Na+ +6H2 O このNi2 Bを含むNi−Bメッキ被膜33は膜密着
性、耐熱性、耐酸化性や硬度等の特性に優れると共に、
Auメッキ液等とのぬれ性が極めてよいという特性を有
している。このため、配線基板30がICパッケージ等
の製造工程中に各種の熱影響を受けた場合においても、
Ni−Bメッキ被膜33により金属配線層32の酸化が
防止され、品質を維持することができる。また次工程に
おいてNi−Bメッキ被膜33上にAuメッキ処理を施
した場合、Auメッキ被膜34を金属配線層32に付き
回りよく、かつ薄く形成することができ、コストを削減
することが可能となる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】上記表1に示した従来
の無電解Ni−Bメッキ液においては、このメッキ液中
に基板31を浸漬すると、基板31の材質が例えばAl
23 (アルミナ)等のセラミックス、銅やAu等の金
属の場合には問題ないが、例えばAlNセラミックスや
ガラスセラミックスの場合、基板表面31a近傍がメッ
キ液により溶解・腐食され易く、この結果、配線基板3
0の強度が低下するという課題があった。
【0014】本発明はこのような課題に鑑みなされたも
のであり、メッキ液中に浸漬した際、AlNセラミック
スやガラスセラミックス等の基板が溶解・腐食されるの
を防止し、配線基板の強度が低下するのを防止すること
ができる無電解Ni−Bメッキ液を提供することを目的
としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、AlNセ
ラミックスやガラスセラミックス材料における腐食の減
少について種々検討を行ったところ、錯化剤として所定
量のエチレンジアミンと、第2錯化剤として所定量の乳
酸とを含んで構成された無電解Ni−Bメッキ液では、
上記した目的をほぼ達成できることを見出し本発明を完
成するに至った。
【0016】すなわち本発明に係る無電解Ni−Bメッ
キ液は、Niイオン源として(含結晶水)塩化ニッケ
ル、(含結晶水)硫酸ニッケル、または(含結晶水)酢
酸ニッケルを0.01モル/リットル 以上0.05モル/リットル 以
下、還元剤としてジメチルアミノボラン(以下、DMA
Bと記す)を0.02モル/リットル 以上0.20モル/リットル 以
下、錯化剤として(含結晶水)エチレンジアミンを0.
10モル/リットル 以上0.20モル/リットル 以下、第2錯化剤と
して乳酸を0.05モル/リットル 以上0.30モル/リットル 以
下、安定剤としてチオジグリコール酸を1ppm 以上6pp
m 以下、促進剤としてPb2+イオンを5ppm 以上30pp
m 以下含んでいることを特徴としている。
【0017】なお本発明において、例えば塩化ニッケル
が(含結晶水)塩化ニッケルと記載されているのは、塩
化ニッケルが結晶水を含むものであっても、無水物であ
ってもよいことを意味している。これはその他の化合物
においても同様である。以下、(含結晶水)が付加され
ている化合物についても、(含結晶水)を省略して表示
することとする。
【0018】
【作用】上記した無電解Ni−Bメッキ液において、塩
化ニッケル、硫酸ニッケルまたは酢酸ニッケルの濃度が
0.01〜0.05モル/リットル の場合には、Niメッキ被
膜の形成に必要なNiイオンが適正量供給されることと
なり、正常な色彩を有する前記Niメッキ被膜を確実に
形成し得ることとなる。一方、前記塩化ニッケル、前記
硫酸ニッケルまたは前記酢酸ニッケルの濃度が0.01
モル/リットル 未満の場合には、供給される前記Niイオン量
が少なく、Niメッキ被膜が形成され難いこととなり、
またNiメッキ被膜が黒褐色を呈し易く、この上にさら
にメッキ処理を施した際の金属(Au等)被膜に悪影響
を及ぼし易くなる。他方、前記塩化ニッケル、前記硫酸
ニッケルまたは前記酢酸ニッケルの濃度が0.05モル/リ
ットルを超える場合には、前記メッキ液中に粉末状または
箔片状のNiが析出し易くなり、却ってNiメッキ被膜
の析出速度が低下することとなる。
【0019】また、DMABの濃度が0.02〜0.2
0モル/リットル の場合には、所定の還元力が得られると共
に、メッキ液の自己分解反応が防止されることとなる。
また前記DMABは前記Ni−Bメッキ被膜中のB供給
源でもあり、該DMABの濃度を0.02〜0.20モル
/リットル 範囲内の所定濃度に設定すると、前記Ni−Bメ
ッキ被膜中に約0.1〜7.0%の範囲内所定量のBを
確実に含有させ得ることとなる。一方、前記DMABの
濃度が0.02モル/リットル 未満の場合には、還元力が弱
く、前記Ni−Bメッキ被膜が生じ難く、他方、前記D
MABの濃度が0.20モル/リットル を超える場合には、メ
ッキ液の自己分解反応が生じ易く、該メッキ液の劣化が
早まることとなる。
【0020】また、エチレンジアミンの濃度が0.10
〜0.20モル/リットル の場合には、Ni、Bイオンとの錯
体(1)が確実に形成され、遊離Ni、Bイオンの自己
分解の発生が抑制されると共に、pH調整を容易に行な
い得ることとなり、前記Ni−Bメッキ被膜を確実に形
成し得ることとなる。一方、前記エチレンジアミンの濃
度が0.10モル/リットル 未満の場合には、前記錯体(1)
の形成が不十分で遊離Ni、Bイオンの自己分解が生じ
易くなる。他方、強アルカリ性である前記エチレンジア
ミンの濃度が0.20モル/リットル を超える場合には、pH
調整に多量の調整剤を必要とし、メッキ液の性能が変化
し易く、この結果、Ni−Bメッキ被膜が析出し難くな
る。
【0021】また、有機酸としての乳酸の濃度が0.0
5〜0.30モル/リットル の場合には、該乳酸とNi、Bイ
オンとの錯体(2)が前記錯体(1)と併行的に形成さ
れることとなり、前記錯体(1)の安定化をも同時に図
り得ると共に、メッキ液に含まれる成分が全て錯体とし
て存在し、かつ該メッキ液が中性溶液であるため、Al
Nやガラスセラミックスの溶解・腐食を防止し得ること
となる。一方、前記乳酸の濃度が0.05モル/リットル 未満
の場合には、前記メッキ液の安定性が不十分で、自己分
解が生じ易くなる。他方、前記乳酸の濃度が0.30モル
/リットル を超える場合には、メッキ液が安定し過ぎること
となり、Ni−Bメッキ被膜が析出され難くなる。な
お、前記乳酸の代わりにリンゴ酸、マロン酸、酒石酸、
コハク酸等の有機酸が添加されたメッキ液では、解離定
数が大きく、遊離カルボキシイオン(COO- )が多く
なるため、ガラスセラミックスの主成分が溶解・腐食さ
れ易くなり、したがってこれらの有機酸の使用は適当で
ない。
【0022】また、ジオグリコール酸の濃度が1〜6pp
m の場合には、メッキ液の安定化が一層図られる一方、
前記ジオグリコール酸の濃度が1ppm 未満の場合には、
使用回数が増えるにつれて前記メッキ液が次第に不安定
になり易い。他方、前記ジオグリコール酸の濃度が6pp
m を超える場合には、Ni−Bメッキ被膜が黒褐色を呈
し易いと共に、メッキ処理時間が長くなるにつれ、前記
Ni−Bメッキ被膜がメッキ液中に再溶解され易くな
る。
【0023】また、Pb2+イオン濃度が5〜30ppm の
場合には、前記Ni−Bメッキ被膜の析出速度を速め得
る一方、前記Pb2+イオン濃度が5ppm 未満の場合に
は、前記Ni−B系メッキ被膜の析出速度を速め難い。
他方、前記Pb2+イオン濃度が30ppm を超える場合に
は、前記Ni−B系メッキ被膜が析出され難くなる。
【0024】上記構成の無電解Ni−Bメッキ液によれ
ば、Niイオン源として塩化ニッケル、硫酸ニッケル、
または酢酸ニッケルを0.01モル/リットル 以上0.05モル
/リットル 以下、還元剤としてDMABを0.02モル/リットル
以上0.20モル/リットル 以下、錯化剤としてエチレンジア
ミンを0.10モル/リットル 以上0.20モル/リットル 以下、第
2錯化剤として乳酸を0.05モル/リットル 以上0.30モル
/リットル 以下、安定剤としてチオジグリコール酸を1ppm
以上6ppm 以下、促進剤としてPb2+イオンを5ppm 以
上30ppm 以下含んでおり、ガラスセラミックス基板や
AlN基板上に形成された金属配線層に無電解Ni−B
メッキ処理を施す際、前記ガラスセラミックス基板や前
記AlN基板が溶解・腐食されて強度的に劣化するのを
確実に防止し得ると共に、前記金属配線層に膜密着性、
耐熱性、耐酸化性、高硬度等の特性に優れたNi−Bメ
ッキ被膜を選択的、かつより迅速に形成し得ることとな
る。
【0025】
【実施例及び比較例】以下、本発明に係る無電解Ni−
Bメッキ液の実施例を図面に基づいて説明する。図1は
実施例に係る無電解Ni−Bメッキ液を用いて被メッキ
体に無電解Ni−Bメッキ処理を施す際に使用する装置
を模式的に示した断面図であり、図中21はAlNまた
はガラスセラミックス製の基板を示している。基板21
の下面には例えばW製の金属配線層(または金属パッ
ド)22が図2に示したものと同様に形成されており、
これら基板21、金属配線層22を含んで被メッキ体2
0が構成されている。一方、被メッキ体20の下方には
メッキ槽11が設置されており、メッキ槽11内には実
施例に係る無電解Ni−Bメッキ液13が充填されてい
る。メッキ槽11下部にはヒータ12が配設されてお
り、ヒータ12により無電解Ni−Bメッキ液13が所
定温度に加熱されるようになっている。またメッキ槽1
1には撹拌手段(図示せず)が配設されており、この撹
拌手段によりメッキ液13が常時撹拌されるようになっ
ている。これらメッキ槽11、ヒータ12、メッキ液1
3、撹拌手段等を含んで無電解Ni−Bメッキ処理装置
10が構成されている。そして被メッキ体20を図中矢
印の方向に移動させ、メッキ液12中に所定時間浸漬す
ると、上記した化1、2式等の反応が進行し、金属配線
層22の表面にNi−Bメッキ被膜(図示せず)が形成
される。
【0026】以下に、実施例に係る無電解Ni−Bメッ
キ液13を用いて基板21に無電解Ni−B系メッキ処
理を施し、メッキ被膜の組成、基板21の溶解腐食状
態、基板21の破壊強度について調査を行なった結果に
ついて説明する。また比較例として、実施例に係る無電
解Ni−Bメッキ液の組成とは異なる組成のメッキ液、
あるいは市販されている従来のメッキ液を用いた場合に
ついても説明する。実験条件及び実験方法を以下に述べ
る。
【0027】(1)実験に使用したメッキ液の組成を、
下記の表2に示した。なお比較例2〜3に係る市販メッ
キ液の組成は不明であるが、メッキ被膜の色彩により、
エチレンジアミン及び乳酸は含まれていないと推定され
る。
【0028】
【表2】
【0029】(2)実験に使用した基板21の成分、メ
ッキ液浸漬前における基板21の平均破壊強度、形状を
下記の表3に示した。基板21の厚さhはマイクロメー
タにより測定し、また長さL及び幅bはノギスにより測
定した。
【0030】
【表3】
【0031】(3)破壊強度試験は次の方法により行な
った。基板21側面におけるき裂の影響を避けるため、
予めこの部分を研磨紙により研磨した後、この基板21
を図2に示した強度試験装置40の支点41、42上に
載置する。次に支点41、42間(L′=30mm) の中
央部上方より加圧子43を押し下げ、基板21が破断し
たときの荷重Pを測定する。この試験を5回繰り返して
得られた平均荷重P′に基づき、下記の数1式により平
均破壊強度Fを求めた。
【0032】
【数1】F=3・P′・L′/2・b・h2 (4)基板21の重量変化率は、有効数字が4桁の電子
天秤を用いて浸漬前後の基板21の重量を測定し、この
測定値に基づいて下記の数2式により求めた。
【0033】
【数2】((浸漬前の基板重量−浸漬後の基板重量)/
浸漬前の基板重量)×100 (5)溶出成分の定量分析は、揺動結合プラズマ発光分
光分析(ICP)法により行なった。なお、ガラスセラミッ
クスにはCa、Yが配合されていないので、この成分の
表示は省略した。またAlNにはMg、Si、B、Kが
配合されていないので、この成分の表示は省略した。
【0034】まず、pHが7.0、温度が約70℃に調
整された実施例1〜3に係る無電解Ni−Bメッキ液1
3中に、Wの金属配線層22が形成されたガラスセラミ
ックス基板21を約30分間浸漬した後、金属配線層2
2上に析出されたメッキ被膜の分析を行なった。分析結
果を下記の表4に示した。
【0035】
【表4】
【0036】表4から明らかなように、実施例1〜3に
係る無電解Ni−Bメッキ液13では、Bを約0.1〜
7.0%含有するNi−Bメッキ被膜が析出される。な
お、基板21にAlN製のものを用いた場合において
も、略同様の結果が得られた。
【0037】次に、pHが7.0、温度が約70℃に調
整された実施例2に係るメッキ液中、あるいはpHが
6.8、温度が約70℃に調整された比較例2〜3に係
るメッキ液中に、基板21を約30分間浸漬した後、基
板21の重量変化率、メッキ液中への溶出成分濃度及び
基板21の平均破壊強度を測定した。基板21がガラス
セラミックス、AlNの場合の測定結果をそれぞれ下記
の表5、表6に示した。なお、溶出成分濃度欄に記載し
た破線は、溶出成分が検出されないか、あるいはICP
における検出限界以下である場合を示している。
【0038】
【表5】
【0039】
【表6】
【0040】表5、表6から明らかなように、実施例2
に係るメッキ液では、CaやYのような焼結助剤成分は
余り変わらないが、いずれの場合もAl等の溶出が極め
て少なく、重量変化率も減少しており、したがって強度
の劣化はほとんど見られない。
【0041】次に、実施例2に係るメッキ液を用い、メ
ッキ処理時間を30分間一定としてメッキ液のpHを
6.5〜7.5、メッキ液の温度を60〜80℃の範囲
で変えたとき、ガラスセラミックスまたはAlNの基板
21における重量変化率、メッキ液中への溶出成分濃度
を測定した結果を下記の表7に示した。また実施例2に
係るメッキ液を用い、メッキ液のpHを6.5〜7.
5、メッキ液の温度を60〜70℃、メッキ処理時間を
10〜40分間の範囲で変えたとき、ガラスセラミック
スまたはAlNの基板21におけ平均破壊強度、腐食の
有無の調査を行なった結果を下記の表8に示した。また
比較例2、3に係るメッキ液を用い、メッキ処理時間を
30分間一定、メッキ液のpHを6.8一定としてメッ
キ液の温度を60〜80℃の範囲で変えたとき、ガラス
セラミックスまたはAlNの基板21における重量変化
率、メッキ液中への溶出成分濃度を測定した結果をそれ
ぞれ下記の表9、表11に示した。また比較例2、3に
係るメッキ液を用い、メッキ液のpHを6.8一定と
し、メッキ液の温度を60〜70℃、メッキ処理時間を
10〜40分間の範囲で変えたとき、ガラスセラミック
スまたはAlNの基板21における平均破壊強度、腐食
の有無の調査を行なった結果をそれぞれ下記の表10、
表12に示した。
【0042】
【表7】
【0043】
【表8】
【0044】
【表9】
【0045】
【表10】
【0046】
【表11】
【0047】
【表12】
【0048】この結果から明らかなように、比較例2、
3に係るメッキ液では処理温度、処理時間を変えても基
板21が溶解・腐食され易いが、実施例2に係るメッキ
液ではpH、処理温度、処理時間が変わっても溶解・腐
食が発生し難い。
【0049】上記結果及び説明から明らかなように、実
施例に係る無電解Ni−Bメッキ液では、ガラスセラミ
ックスやAlNの基板21上に形成されたW配線層22
に無電解Ni−Bメッキ処理を施す際、基板21が溶解
・腐食されて強度的に劣化するのを確実に防止すること
ができると共に、W配線層22に膜密着性、耐熱性、耐
酸化性、高硬度等の特性に優れたNi−Bメッキ被膜を
選択的、かつより迅速に形成することができる。
【0050】
【発明の効果】以上詳述したように本発明に係る無電解
Ni−Bメッキ液にあっては、Niイオン源として塩化
ニッケル、硫酸ニッケル、または酢酸ニッケルを0.0
1モル/リットル 以上0.05モル/リットル 以下、還元剤としてD
MABを0.02モル/リットル 以上0.20モル/リットル 以下、
錯化剤としてエチレンジアミンを0.10モル/リットル 以上
0.20モル/リットル 以下、第2錯化剤として乳酸を0.0
5モル/リットル 以上0.30モル/リットル 以下、安定剤としてチ
オジグリコール酸を1ppm 以上6ppm 以下、促進剤とし
てPb2+イオンを5ppm 以上30ppm 以下含んでいるの
で、ガラスセラミックス基板やAlN基板上に形成され
た金属配線層に無電解Ni−Bメッキ処理を施す際、前
記ガラスセラミックス基板や前記AlN基板が溶解・腐
食されて強度的に劣化するのを確実に防止することがで
きると共に、前記金属配線層に膜密着性、耐熱性、耐酸
化性、高硬度等の特性に優れたNi−Bメッキ被膜を選
択的、かつより迅速に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例に係る無電解Ni−Bメッキ液を用いて
被メッキ体に無電解Ni−Bメッキ処理を施す装置を模
式的に示した断面図である。
【図2】実施例に係る無電解Ni−Bメッキ液を用いて
無電解Ni−Bメッキ処理を施したとき、基板の破壊強
度を測定するための装置を模式的に示した断面図であ
る。
【図3】従来の無電解Ni−Bメッキ液を用いてメッキ
処理が施された配線基板を、模式的に示した断面図であ
る。
【符号の説明】
13 無電解Ni−Bメッキ液

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Niイオン源として(含結晶水)塩化ニ
    ッケル、(含結晶水)硫酸ニッケル、または(含結晶
    水)酢酸ニッケルを0.01モル/リットル 以上0.05モル/リ
    ットル 以下、還元剤としてジメチルアミノボランを0.0
    2モル/リットル 以上0.20モル/リットル 以下、錯化剤として
    (含結晶水)エチレンジアミンを0.10モル/リットル 以上
    0.20モル/リットル 以下、第2錯化剤として乳酸を0.0
    5モル/リットル以上0.30モル/リットル 以下、安定剤としてチ
    オジグリコール酸を1ppm 以上6ppm 以下、促進剤とし
    てPb2+イオンを5ppm 以上30ppm 以下含んでいるこ
    とを特徴とする無電解Ni−Bメッキ液。
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