JPH08311029A - ヘテロ芳香族アミンのアルキル化方法 - Google Patents

ヘテロ芳香族アミンのアルキル化方法

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JPH08311029A
JPH08311029A JP7217510A JP21751095A JPH08311029A JP H08311029 A JPH08311029 A JP H08311029A JP 7217510 A JP7217510 A JP 7217510A JP 21751095 A JP21751095 A JP 21751095A JP H08311029 A JPH08311029 A JP H08311029A
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Japan
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heteroaromatic
alkyl
heteroaromatic amine
reaction
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JP7217510A
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English (en)
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Takeaki Koto
武明 光藤
Yoshihisa Watabe
良久 渡部
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Nissan Chemical Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 種々の農薬、医薬、染料、塗料等のファイン
ケミカル中間体として有用なN−アルキル置換ヘテロ芳
香族アミンの新規な製造方法の提供。 【解決手段】 ルテニウム錯体触媒((シクロオクタジ
エン)(シクロオクタトリエン)ルテニウム[Ru(C
OD)(COT)]等)の存在下に、6員環の環炭素原
子上に少なくとも一つ以上のアミノ基を有するヘテロ芳
香族アミン(アミノピリジン等)をアルコール(ブタノ
ール等)と反応させ、該少なくとも一つ以上のアミノ基
をアルキル化しN−アルキル置換ヘテロ芳香族アミンを
製造することを特徴とするヘテロ芳香族アミンのN−ア
ルキル化方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、農薬、医薬、染
料、塗料、樹脂等の種々のファインケミカル原料および
中間体として有用なN−アルキル置換ヘテロ芳香族アミ
ン誘導体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、種々の官能基化された複素環化合
物が農薬、医薬、染料、塗料、樹脂等の種々のファイン
ケミカル原料および中間体として利用が計られている。
そのなかで置換アミノ基を有するヘテロ芳香族誘導体
も、医農薬、樹脂材料をはじめ数多くの利用がされてい
る。
【0003】従来、N−アルキル置換ヘテロ芳香族アミ
ン誘導体の合成方法としては、ハロゲン化ヘテロ芳香族
化合物やヘテロ芳香族アミン類からの種々の方法が検討
されている。一般的にはヘテロ芳香族アミン類のアミノ
基は、その塩基性、反応性が一般のアミン類に比較して
劣ることから反応的には比較的苛酷な条件を要する。ヘ
テロ芳香族アミン類からのN−アルキルヘテロ芳香族ア
ミン類の合成法としては、例えば2−アミノピリジンと
ベンジルアルコールとを水酸化カリウム存在下に、高温
で反応し、N−ベンジル−2−アミノピリジンを合成す
る方法(オーガニック・シンセシス、コレクティブ・ボ
リューム、第4巻、91頁(1963年)(Org.Synt
h.,Col.Vol.IV.,91(1963)))、2−アミノピリジンと
ベンジルアルコールとをナトリウムアミド存在下に、高
温で反応し、N−ベンジル−2−アミノピリジンを合成
する方法(Mag.Kem.Fol.,第62巻、16
2頁(1956年))、2−アミノピリジンとテトラヒ
ドロフランをアルミナ上で気相反応によりアルキル化し
て、2−ピロリジノピリジンを合成する方法(オーガニ
ック・シンセシス、第34巻、79頁(1954年)
(Org.Synth.,34,79(1954)))、2−アミノ−3−ピコ
リンをPd(acac)2−PPh3−塩化アルミニウム
−トリフルオロ酢酸存在下に、ブタジエンと触媒的に反
応させて2−(2,7−オクタジエニルアミノ)−ピリ
ジンを合成する方法(Zh.Org.Khim.,[Z
ORKAE],第20巻、1101頁(1984年))
等が報告されている。
【0004】オーガニック・シンセシス、コレクティブ
・ボリューム、第4巻、91頁(1963年)(Org.Sy
nth.,Col.Vol.IV.,91(1963))の方法は、反応収率は高
いものの、反応温度が250℃と極めて高く、オーガニ
ック・シンセシス、第34巻、79頁(1954年)
(Org.Synth.,34,79(1954))の方法は、反応温度がさら
に高い390℃を要し、さらに収率も低い方法である。
またMag.Kem.Fol.,第62巻、162頁
(1956年)の方法は、非水条件が必要な上に、収率
も中程度である。一般にアルコール類とヘテロ芳香族ア
ミン類との反応では、反応性の低いアミノ基の修飾に極
めて高温の気相反応系を用いるか、強塩基を用いて非水
条件下で反応を行なう例が多い。
【0005】一方、Zh.Org.Khim.,[ZO
RKAE],第20巻、1101頁(1984年)の例
のように、触媒を用いる反応例も報告されているが、反
応系が複雑なために工業的には必ずしも優れた方法とは
言えない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上記問
題点を解決すべく鋭意努力検討した結果、ヘテロ芳香族
アミン類に、ルテニウム錯体触媒存在下、アルコールを
反応させることで、従来極めて反応性に乏しいと考えら
れていたヘテロ芳香族アミンのN原子上にアルキル基を
導入し、かつ用いる触媒によりN−原子上のアルキル化
の数を制御できる新規なヘテロ芳香族アミンのN−アル
キル化方法を完成するに至った。
【0007】ルテニウム錯体触媒を用いる本反応は、従
来の実験室的合成法に比較して、N−アルキル置換ヘテ
ロ芳香族アミン合成の際の副生物は基本的に水のみとい
う工業的にも極めてクリーンな反応であり、またそのた
めに非水反応条件も必要とせず、その有用性は極めて高
いものである。本発明の目的は、種々の農薬、医薬、染
料、塗料等のファインケミカル中間体として広く用いる
ことのできる有用な化合物群であるN−アルキル置換ヘ
テロ芳香族アミンを高収率で容易に製造することができ
るN−アルキル置換ヘテロ芳香族アミンの新規な製造方
法の提供にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、ルテ
ニウム錯体触媒の存在下に、6員環の環炭素原子上に少
なくとも一つ以上のアミノ基を有するヘテロ芳香族アミ
ンをアルコールと反応させ、該少なくとも一つ以上のア
ミノ基をアルキル化しN−アルキル置換ヘテロ芳香族ア
ミンを製造することを特徴とするヘテロ芳香族アミンの
N−アルキル化方法に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、更に本発明を詳細に説明す
る。本発明の原料である、6員環の環炭素原子上に少な
くとも一つ以上のアミノ基を有するヘテロ芳香族アミン
は一般式(I)
【0010】
【化5】
【0011】〔式中、A、B、DおよびEは任意に-C
H=基または窒素原子を表し、Xは同一または相異なっ
ても良くC1-20のアルキル基、C2-20のアルケニル基、
1-10のアルコキシ基、ハロゲン原子、C1-12のモノア
ルキルアミノ基、C2-20のジアルキルアミノ基またはフ
ェニル基を、mは0から3、nは1〜3の整数(ただ
し、m+n≦5)を表す。〕で表されるヘテロ芳香族ア
ミンであり、好ましくはヘテロ芳香族アミン類のヘテロ
芳香環がピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン
または1,3,5−トリアジンから選ばれるヘテロ芳香
環であり、特に好ましくはヘテロ芳香環がピリジン、ピ
リミジンまたは1,3,5−トリアジンであるヘテロ芳
香族アミンである。
【0012】上記のように、本反応には、種々のヘテロ
芳香族アミン類を供することが可能である。工業的に入
手容易なものとしては、例えば2−アミノピリジン、3
−アミノピリジン、4−アミノピリジン、3,4−ジア
ミノピリジン、2,3−ジアミノピリジン、2,6−ジ
アミノピリミジン、2−アミノ−3−ピコリン、2−ア
ミノ−4−ピコリン、2−アミノ−5−ピコリン、2−
アミノ−6−ピコリン、2−アミノピリミジン、4−ア
ミノピリミジン、2,4−ジアミノピリミジン、4,5
−ジアミノピリミジン、3−アミノピリダジン、3,6
−ジアミノピリミジン、2−アミノ−4−メチルピリミ
ジン、2−アミノ−4,6−ジメチルピリミジン、2−
アミノ−4,6−ジメトキシピリミジン、2−アミノピ
ラジン、2−アミノ−4,6−ジメトキシ−1,3,5
−トリアジン、2,4,6−トリアミノ−1,3,5−
トリアジン(メラミン)、2,4−ジアミノ−6−メチ
ル−1,3,5−トリアジン(アセトグアナミン)およ
び2,4−ジアミノ−6−フェニル−1,3,5−トリ
アジン(ベンゾグアナミン)等が挙げられる。
【0013】また本発明に用いることができるアルコー
ルとしては、一般式(II)
【0014】
【化6】
【0015】〔式中、RはC1-20のアルキル基(該アル
キル基は、構造中に任意に分岐構造および脂環式構造を
有していても良く、また任意にフェニル基で置換されて
いても良い。)を表す。〕で表されるアルコール類であ
る。この中でも、工業的意味も含めて一般に入手容易な
ものとして、メタノール、エタノール、n−プロパノー
ル、iso−プロパノール、n−ブタノール、iso−
ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノー
ル、n−アミルアルコール、iso−アミルアルコー
ル、ネオペンチルアルコール、n−ヘキサノール、シク
ロヘキサノール、シクロヘキシルメチルアルコール、n
−オクタノール、2−エチルヘキサノール、n−ノナノ
ール、n−デカノール、n−ドデカノール、n−ドデカ
ノール、n−ヘキサデカノール、n−オクタデカノール
およびベンジルアルコール等が挙げられる。
【0016】上記アルコール類の使用量は、一般式
(I)のヘテロ芳香族アミン1モルに対してあらゆる範
囲で可能であるが、実用上は0.1〜1000モルの範
囲が、特に好ましくは一般式(I)のヘテロ芳香族アミ
ン1モルに対して、0.5〜20.0モルの使用が操作
上も、結果も良好で望ましい。本反応においては、一般
式(I)で表されるヘテロ芳香族アミン類と一般式(I
I)で表されるアルコール類を、ルテニウム錯体触媒存
在下で反応させてN−アルキル置換ヘテロ芳香族アミン
を合成することができる。
【0017】本反応に用いることができるルテニウム錯
体触媒としては、あらゆるものが使用可能であるが、一
例を挙げれば、ペンタカルボニルルテニウム、ドデカカ
ルボニルトリルテニウム、テトラヒドリドドデカカルボ
ニル四ルテニウム、ジヒドリド(2窒素)トリス(トリ
フェニルホスフィン)ルテニウム、ジカルボニルトリス
(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、テトラカルボ
ニル(トリメチルホスフィト)ルテニウム、ペンタキス
(トリメチルホスフィト)ルテニウム、トリス(アセチ
ルアセトナト)ルテニウム、ジアセタトジカルボニルビ
ス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ジクロロビ
ス(クロロトリカルボニル)ルテニウム、カルボニルク
ロロヒドリドトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニ
ウム、カルボニルジヒドリドトリス(トリフェニルホス
フィン)ルテニウム、テトラヒドリドトリス(トリフェ
ニルホスフィン)ルテニウム、アセタトヒドリドトリス
(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ジクロロビス
(アセトニトリル)ビス(トリフェニルホスフィン)ル
テニウム、ルテノセン、ビス(ペンタメチルシクロペン
タジエニル)ルテニウム、ジクロロ(ペンタメチルシク
ロペンタジエニル)ルテニウム、クロロ(シクロペンタ
ジエニル)ビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウ
ム、ヒドリド(シクロペンタジエニル)ビス(トリフェ
ニルホスフィン)ルテニウム、クロロカルボニル(シク
ロペンタジエニル)ルテニウム、ヒドリド(シクロペン
タジエニル)(1,5−シクロオクタジエン)ルテニウ
ム、クロロ(シクロペンタジエニル)(1,5−シクロ
オクタジエン)ルテニウム、ジヒドリドテトラキス(ト
リフェニルホスフィン)ルテニウム、(シクロオクタジ
エン)(シクロオクタトリエン)ルテニウム[Ru(C
OD)(COT)]、クロロヒドリドトリス(トリフェ
ニルホスフィン)ルテニウム、トリカルボニルビス(ト
リフェニルホスフィン)ルテニウム、トリカルボニル
(シクロオクタテトラエン)ルテニウム、トリカルボニ
ル(1,5−シクロオクタジエン)ルテニウム、ジクロ
ルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウムおよび
塩化ルテニウム等が挙げられる。
【0018】これら錯体触媒は、その種類、反応条件等
の組合せの中で様々な反応活性、反応選択性を示すた
め、反応の目的によって錯体を選択するが、その中で、
一般式(I)のヘテロ芳香族アミン類上のアミノ基に対
して、一つのアルキル基を選択的に導入する目的には、
特に(シクロオクタジエン)(シクロオクタトリエン)
ルテニウム[Ru(COD)(COT)]の使用が好ま
しい。
【0019】上記触媒の使用量は、一般式(I)で表さ
れるヘテロ芳香族アミン1モルに対して、通常は0.0
0001〜0.3モル、操作性、経済性等を考慮して、
好ましくは0.0001〜0.1モルの使用が望まし
い。上記触媒には、触媒活性の向上、反応選択性の変化
の目的で必要に応じ配位子を添加することもできる。配
位子としては例えば、トリメチルホスフィン、トリエチ
ルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホ
スフィン、トリス(パラトリル)ホスフィン、トリス
(2,6−ジメチルフェニル)ホスフィン、ジフェニル
ホスフィノベンゼン−3−スルホン酸ナトリウム、ビス
(3−スルホナ−トフェニル)ホスフィノベンゼンナト
リウム塩、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタ
ン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、
1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、トリス
(3−スルホナ−トフェニル)ホスフィンナトリウム塩
等の単座および多座の3級ホスフィン類、トリエチルホ
スファイト、トリブチルホスファイト、トリフェニルホ
スファイトおよびトリス(2,6−ジメチルフェニル)
ホスファイト等の亜リン酸エステル類、トリフェニルメ
チルホスホニウムヨージド、トリフェニルメチルホスホ
ニウムブロミド、トリフェニルメチルホスホニウムクロ
ライド、トリフェニルアリルホスホニウムヨージド、ト
リフェニルアリルホスホニウムブロミド、トリフェニル
アリルホスホニウムクロライド、テトラフェニルホスホ
ニウムヨージド、テトラフェニルホスホニウムブロミド
およびテトラフェニルホスホニウムクロライド等のホス
ホニウム塩類、リン酸トリフェニル、リン酸トリメチ
ル、リン酸トリエチルおよびリン酸トリアリル等のリン
酸エステル類、シクロオクタジエン、シクロペンタジエ
ン等の不飽和炭化水素類、ベンゾニトリル、アセトニト
リル等のニトリル類、アセチルアセトン等が挙げられ
る。
【0020】配位子の使用量としては、周期律表第VIII
族金属触媒に対して、通常0.1〜10000モル%の
範囲、好ましくは10〜5000モル%の範囲が良い。
本反応の反応温度は、通常室温から300℃で可能であ
るが、好ましくは50〜250℃、特に反応に問題がな
く、早く反応を完結させるには、反応に用いる溶媒の沸
点を反応温度の上限に、または加圧下に反応を行なうこ
とにより反応温度を高温に設定することが望ましい。
【0021】反応時間は、一般式(I)のヘテロ芳香族
アミン類、一般式(II)のアルコール類の反応性にもよ
るが通常0.5〜100時間、好ましくは1〜50時間
が良い。本反応は、反応の制御、反応前後の操作性等の
面から必要に応じて溶媒を使用することが可能である。
【0022】溶媒としては、反応に不活性なものであれ
ば特に制限はないが、例えばテトラヒドロフラン、ジエ
チルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル
および1、4−ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、
トルエン、キシレン、メシチレン、クメン、クロルベン
ゼン、o-ジクロルベンゼン、m-ジクロルベンゼン、p-ジ
クロルベンゼンおよびテトラヒドロナフタリン等の芳香
族炭化水素類、n-ヘキサン、シクロヘキサン、n-オクタ
ンおよびn-デカン等の脂肪族炭化水素類、N,N−ジメ
チルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N
−メチルピロリドン等のアミド類、1,3−ジメチルイ
ミダゾリジノンおよびN,N,N',N'−テトラメチル
尿素等の尿素類が挙げられる。これらが単独または組合
せて使用できる。また過剰量の一般式(II)で表される
アルコール類のみを、または上記溶媒と組合せて溶媒と
して用いても良い。
【0023】以上のような本発明のヘテロ芳香族アミン
類のN−アルキル化方法により得られるN−アルキル置
換ヘテロ芳香族アミン類は、一般式(III)で表されるN
−アルキル置換ヘテロ芳香族アミン類である。
【0024】
【化7】
【0025】〔式中、A、B、DおよびEは任意に炭素
原子または窒素原子を表し、Xは同一または相異なって
も良いC1-20のアルキル基、C2-20のアルケニル基、C
1-10のアルコキシ基、ハロゲン原子、C1-12のモノアル
キルアミノ基、C2-20のジアルキルアミノ基またはフェ
ニル基を、R1およびR2は各々独立して水素原子(ただ
し、全てが水素原子である場合を除く)またはC1-20
アルキル基(該アルキル基は、構造中に任意に分岐構造
および脂環式構造を有していても良く、また任意にフェ
ニル基で置換されていても良い。)を、mは0〜3、n
は1〜3の整数(ただし、m+n≦5)を表す。〕。
【0026】その中で、好ましいヘテロ芳香族アミンと
してはヘテロ芳香環がピリジン、ピリミジン、ピリダジ
ン、ピラジンまたは1,3,5−トリアジンから選ばれ
るヘテロ芳香環であるヘテロ芳香族アミンである。さら
に特に好ましいヘテロ芳香族アミンとしてはヘテロ芳香
環がピリジン、ピリミジンまたは1,3,5−トリアジ
ンであるヘテロ芳香環であるヘテロ芳香族アミンであ
る。
【0027】前述のように、原料の一般式(I)で表さ
れるヘテロ芳香族アミン、一般式(II)で表されるアル
コール類の組合せにおいて、種々の一般式(III)で表
されるN−アルキル置換ヘテロ芳香族アミンが生成物と
して得られる。全反応終了後の処理方法としては、反応
終了後、ルテニウム錯体触媒を水による洗浄等の手段で
除いた後に、必要に応じて溶媒を蒸留等で除去するか、
水−有機溶媒の2相系として生成物を抽出したのちに、
反応生成物を再結晶、蒸留、クロマトグラフィー分離等
により精製、単離することができる。
【0028】以上、述べたように本反応は従来その反応
性が一般の有機アミン類に比較して低いと考えられてい
たヘテロ芳香族アミン類のアミノ基上にアルキル基を導
入する新規な方法である。また本方法は、実験室的な一
般法のように塩類の副生も無く、水のみを副生物とする
点からも、実用上価値ある方法と言える。
【0029】
【実施例】以下、実施例を挙げ本発明を更に詳細に説明
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。な
お本実施例は、全ての例において、あらかじめ生成物を
標品として別途合成し純品として単離したものと、内部
標準物質とにより検量線を作成し、反応生成物中の各生
成物量をガスクロマトグラフィーまたは高速液体クロマ
トグラフィーによる内標定量法により正確に求めた。
【0030】以下に、本発明の方法による実施例を列挙
する。
【0031】実施例1 (2−アミノピリジンとエタノールとの反応)
【0032】
【化8】
【0033】ガラスライナーを装着した内容量20mL
のステンレス製オートクレーブにアルゴン雰囲気下で2
−アミノピリジン0.376g(4ミリモル)、(シク
ロオクタジエン)(シクロオクタトリエン)ルテニウム
[Ru(COD)(COT)]63mg(0.2ミリモ
ル)およびエタノール5mLを仕込み、反応温度200
℃で5時間反応させた。反応終了後、反応液中の原料お
よび生成物の含量を定量分析した結果、原料の2−アミ
ノピリジンの残存量は7%(転化率93%)であり、生
成物としてN−エチル−2−アミノピリジンが収率79
%、N,N−ジエチル−2−アミノピリジンが収率3%
で得られていた。
【0034】実施例2〜7 (種々のルテニウム触媒による2−アミノピリジンとエ
タノールとの反応)実施例1に準じて本反応で活性を示
す代表的なルテニウム錯体触媒を用いた実験を行なっ
た。結果を以下の表1にまとめて示す。
【0035】
【表1】
【0036】実施例8〜11 (種々のヘテロ芳香族アミンとエタノールとの反応)触
媒をジクロルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニ
ウムに固定して種々のヘテロ芳香族アミンのアルキル化
を実施例1に準じて反応温度180℃、反応時間5時間
で行なった。結果を表2にまとめて示す。
【0037】
【表2】
【0038】実施例12〜15 (種々のヘテロ芳香族アミンとエタノールとの反応)触
媒を(シクロオクタジエン)(シクロオクタトリエン)
ルテニウム[Ru(COD)(COT)]に固定して種
々のヘテロ芳香族アミンのアルキル化を実施例1に準じ
て反応温度180℃、反応時間5時間で行なった。結果
を表3にまとめて示す。
【0039】
【表3】
【0040】実施例16〜25 (種々の配位子存在下での2−アミノピリジンとエタノ
ールとの反応)触媒を(シクロオクタジエン)(シクロ
オクタトリエン)ルテニウム[Ru(COD)(CO
T)]に固定して、2−アミノピリジンのエチル化反応
を種々のリン系配位子を添加して実施例1に準じて反応
温度180℃、反応時間5時間で行なった。結果を表4
にまとめて示す。
【0041】
【表4】
【0042】実施例26 (2−アミノピリジンとメタノールの反応)
【0043】
【化9】
【0044】ガラスライナーを装着した内容量10mL
のステンレス製オートクレーブにアルゴン雰囲気下で2
−アミノピリジン0.188g(2ミリモル)、(シク
ロオクタジエン)(シクロオクタトリエン)ルテニウム
[Ru(COD)(COT)]31mg(0.1ミリモ
ル)およびメタノール3mLを仕込み、アルゴン雰囲気
下、反応温度150℃で3時間反応させた。反応終了
後、反応液中の原料および生成物の含量を定量分析した
結果、原料の2−アミノピリジンの残存量は16%(転
化率84%)であり、生成物としてN−メチル−2−ア
ミノピリジンが収率80%で生成しており、N,N−ジ
エチル−2−アミノピリジンの生成は全く認められなか
った。
【0045】実施例27〜30 (2−アミノピリジンと種々のアルコールの反応)上記
実施例26に準じて、アルコールを替えて反応を行なっ
た。その結果を下記の表5にまとめて示す。
【0046】
【表5】
【0047】実施例31 (2,4,6−トリアミノ−1,3,5−トリアジン
(メラミン)とブタノールとの反応)
【0048】
【化10】
【0049】内容量30mLのステンレス製のオートク
レーブに、2,4,6−トリアミノ−1,3,5−トリ
アジン(メラミン)1.26g(10ミリモル)、(シ
クロオクタジエン)(シクロオクタトリエン)ルテニウ
ム[Ru(COD)(COT)]31.5mg(0.1
ミリモル)およびノルマルブタノール15mLを仕込
み、アルゴン雰囲気下、反応温度180℃で10時間反
応させた。反応終了後、反応液中の原料および生成物の
含量を定量分析した結果、原料のメラミンの残存量は6
6.5%(転化率33.5%)であり、生成物として
2,4−ジアミノ−6−ノルマルブチルアミノ−1,
3,5−トリアジンが収率20.8%で、2−アミノ−
4,6−ビス(ノルマルブチルアミノ)−1,3,5−
トリアジンが収率9.1%で得られており、さらに2,
4,6−トリス(ノルマルブチルアミノ)−1,3,5
−トリアジン痕跡量生成していた。
【0050】
【発明の効果】本発明の方法に従えば、一般式(I)の
ヘテロ芳香族アミン類から比較的穏和な反応条件で、工
業的にも安価なアルコール類を反応試剤として、種々の
農薬、医薬、染料、塗料等の種々のファインケミカル中
間体として広く用いられる有用な化合物群であるN−ア
ルキル置換ヘテロ芳香族アミン類を容易に製造すること
ができる。
【0051】本発明で得られる生成物の種々のN−アル
キル置換ヘテロ芳香族アミン類は、反応条件を選択する
ことにより高選択的に得ることも可能であり、極めて純
粋な形での使用でない限りは、必要以上の分離、精製操
作を行なわずにそのまま使用できる。また生成物が混合
物である場合も通常の分離手段である蒸留、カラムクロ
マトグラフィー、再結晶等の手段で容易に分離精製が可
能である。
【0052】さらに本反応によってN−アルキル置換ヘ
テロ芳香族アミン類得られるは、従来その合成が比較的
困難または高価であった化合物が多く、本発明の方法に
よれば副生物は水のみで高収率で目的のN−アルキル置
換ヘテロ芳香族アミン類がえられるため、本方法は工業
的にも極めて実用性の高い方法であると考えられる。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ルテニウム錯体触媒の存在下に、6員環
    の環炭素原子上に少なくとも一つ以上のアミノ基を有す
    るヘテロ芳香族アミンをアルコールと反応させ、該少な
    くとも一つ以上のアミノ基をアルキル化しN−アルキル
    置換ヘテロ芳香族アミンを製造することを特徴とするヘ
    テロ芳香族アミンのN−アルキル化方法。
  2. 【請求項2】 少なくとも一つ以上のアミノ基を有する
    ヘテロ芳香族アミンが一般式(I)で表されるヘテロ芳
    香族アミンである請求項1記載のヘテロ芳香族アミンの
    N−アルキル化方法: 【化1】 〔式中、A、B、DおよびEは任意に炭素原子または窒
    素原子を表し(但し、A、B、DおよびEの全てが窒素
    原子の場合は除く)、Xは同一または相異なっても良
    く、C1-20のアルキル基、C2-20のアルケニル基、C
    1-10のアルコキシ基、ハロゲン原子、C1-12のモノアル
    キルアミノ基、C2-20のジアルキルアミノ基またはフェ
    ニル基を、mは0〜3、nは1〜3の整数(ただし、m
    +n≦5)を表す。〕。
  3. 【請求項3】 アルコールが一般式(II) 【化2】 〔式中、RはC1-20のアルキル基(該アルキル基は、構
    造中に任意に分岐構造および脂環式構造を有していても
    良く、また任意にフェニル基で置換されていても良
    い。)を表す。〕で表されるアルコール類である請求項
    1記載のヘテロ芳香族アミンのN−アルキル化方法。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載のアルキル化方法により
    得られるN−アルキル置換ヘテロ芳香族アミンが一般式
    (III)で表されるN−アルキル置換ヘテロ芳香族アミ
    ンである請求項1記載のヘテロ芳香族アミンのN−アル
    キル化方法: 【化3】 〔式中、A、B、DおよびEは任意に炭素原子または窒
    素原子を表し(但し、A、B、DおよびEの全てが窒素
    原子の場合は除く)、Xは同一または相異なっても良
    く、C1-20のアルキル基、C2-20のアルケニル基、C
    1-10のアルコキシ基、ハロゲン原子、C1-12のモノアル
    キルアミノ基、C2-20のジアルキルアミノ基またはフェ
    ニル基を、R1およびR2は各々独立して水素原子(ただ
    し、全てが水素原子である場合を除く)またはC1-20
    アルキル基(該アルキル基は、構造中に任意に分岐構造
    および脂環式構造を有していても良く、また任意にフェ
    ニル基で置換されていても良い。)を、mは0〜3、n
    は1〜3の整数(ただし、m+n≦5)を表す。〕。
  5. 【請求項5】 一般式(I)および一般式(III)で表
    されるヘテロ芳香族アミンにおいてヘテロ芳香環がピリ
    ジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジンまたは1,
    3,5−トリアジンから選ばれるヘテロ芳香環である請
    求項4記載のヘテロ芳香族アミンのN−アルキル化方
    法。
  6. 【請求項6】 一般式(I)および一般式(III)で表
    されるヘテロ芳香族アミンにおいてヘテロ芳香環がピリ
    ジン、ピリミジンまたは1,3,5−トリアジンである
    ヘテロ芳香環である請求項2記載のヘテロ芳香族アミン
    のN−アルキル化方法。
  7. 【請求項7】 反応で用いるルテニウム錯体触媒が(シ
    クロオクタジエン)(シクロオクタトリエン)ルテニウ
    ムであることを特徴とする、一般式(IV) 【化4】 〔式中、A、B、DおよびEは任意に炭素原子または窒
    素原子を表し(但し、A、B、DおよびEの全てが窒素
    原子の場合は除く)、Xは同一または相異なっても良い
    1-20のアルキル基、C2-20のアルケニル基、C1-10
    アルコキシ基、ハロゲン原子、C1-12のモノアルキルア
    ミノ基、C2-20のジアルキルアミノ基ままたはフェニル
    基を、R3 はC1-20のアルキル基(該アルキル基は、構
    造中に任意に分岐構造および脂環式構造を有していても
    良く、また任意にフェニル基で置換されていても良
    い。)を、mは0〜3、nは1〜3の整数(但し、m+
    n≦5)を表す。〕。で表されるモノ−N−アルキル置
    換ヘテロ芳香族アミンを製造する請求項1記載のヘテロ
    芳香族アミンのN−アルキル化方法。
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