JPH08310110A - インクジェット記録用紙 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 印画濃度が高く、インク受容層の発泡による
クレーター故障等の塗布欠点がないインクジェット記録
用紙を提供すること。 【構成】 支持体の上に、少なくとも合成非晶質シリカ
及び水性結着剤を含有するインク受容層が２層以上設け
られている。このインク受容層の最上層に含有される合
成非晶質シリカの数平均粒子径は、６〜１５μｍであ
り、最上層以外のインク受容層に含有される合成非晶質
シリカの数平均粒子径は１〜５μｍである。インク受容
層は、特に最上層のインク受容層は、カーテンコーター
で形成されるのが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はインクジェット記録用紙
に関し、特に記録された画像や文字の濃度が高く、イン
ク受容層における発泡によるクレーター故障等の塗布欠
点の発生がないインクジェット記録用紙に関する。

【０００２】インクジェット記録方式は、多色化が容易
であり、記録速度が比較的高速である上、大版の記録も
可能である等の利点を有している。一方、従来から問題
となっていたノズルの目詰まりとメンテナンスについて
は、インクおよび装置の両面から改良が進んでおり、現
在では、各種のプリンター、ファクシミリ、コンピュー
ター端末等の種々の分野で広く使用され、急速に普及し
ている。

【０００３】インクジェット記録方式では、通常、安全
性、衛生面からインクは、水性のものが使用されてお
り、インクジェット記録用紙に付着したインクは急速に
吸収されることが必要である。すなわち、複数のインク
ノズルを用いるカラーインクジェットプロセスの場合、
先に噴射されたインク滴は次のインク滴が噴射される前
に用紙面に吸収されていることが必要があり、この点か
らインクジェット記録用紙は、インク滴の吸収性が高い
ことが要求されている。

【０００４】しかし、濃度の高い鮮明な画像を得るため
には、インク中の発色剤をインクジェット記録用紙の表
面に止め、水、溶媒等のビヒクルのみを用紙中に浸透さ
せることが望まれる。このような観点から、支持体し
て、カサ高さ、透気度、サイズ度等を調整した紙も使用
されているが、これらの紙はインク滴の紙面上での広が
り方が不規則となり、かつ広がり方が多すぎる嫌いがあ
り、このため、画像の解像力が低下し、濃度ムラが生じ
やすい。

【０００５】また、インク受容層は濃度が高く解像力が
高いことと同時にその表面が平滑性を有し、摩擦等に剥
離しにくいことがインクジェット記録用紙の耐久性等の
面から望まれている。

【０００６】本発明の目的は、画像濃度が高く、インク
受容層の塗布面が平滑性を有し、摩擦等により容易に剥
離することがないインク受容層を有するインクジェット
記録用紙を提供することにある。

【０００７】本発明の上記した目的は、支持体上に、少
なくとも合成非晶質シリカおよび水性結着を含有するイ
ンク受容層を２層以上設けたインクジェット記録用紙に
おいて、前記インク受容層の最上層に含有される合成非
晶質シリカの数平均粒子径で６〜１５μｍであり、前記
最上層以外のインキ受容層に含有される合成非晶質シリ
カの数平均粒子径が１〜５μｍであるインクジェット記
録用紙によって達成された。

【０００８】本発明で使用される合成非晶質シリカは、
乾式製造法によって得られる無水珪酸及び湿式製造法に
よって得られる含水珪酸のいずれも使用可能であるが、
特に含水珪酸を使用することが望ましい。

【０００９】本発明のインクジェット記録用紙は支持体
上に少なくともインク受容層を２層以上設けたものであ
る。これらの２層以上のインク受容層のうち、その最上
層に含有される合成非晶質シリカは、数平均粒子径が６
〜１５μｍであることが必要である。最上層のインク受
容層に含有される合成非晶質シリカでは、数平均粒子径
は大きい方が印画濃度の点からドッド径が広がり好まし
い。しかし、最上層のインク受容層に含有される合成非
晶質シリカの数平均粒子径が１５μｍを超えると、イン
クジェット記録用紙の表面の平滑性が低下し、所謂ザラ
ツキが生じ好ましくない。また、最上層のインク受容層
に含有される合成非晶質シリカの数平均粒子径が５μｍ
よりも小さいと、印画濃度が低くなり好ましくない。

【００１０】また、最上層以外のインク受容層に含有さ
れる合成非晶質シリカの数平均粒子径は、１〜５μｍで
あることが必要である。合成非晶質シリカの数平均粒子
径が５μｍを超えると、インキ受容層における発泡によ
るクレーター故障等の塗布欠点が生じ、一方、数平均粒
子径が１μｍよりも小さいと、印画濃度が低くなり好ま
しくない。

【００１１】合成非晶質シリカは、比表面積が１００ｇ
／ｍ₂ 以上が好ましく、より好ましくは、２００ｇ／ｍ
₂ 以上であり、細孔容積として０．５ｍｌ／ｇ以上、よ
り好ましくは、１．０ｍｌ／ｇ以上である。比表面積が
１００ｇ／ｍ₂ より小さく、また、細孔容積として０．
５ｍｌ／ｇよりも小さいと、インク滴の吸収で十分とな
り好ましくない。

【００１２】インク受容層には、少なくとも上記した合
成非晶質シリカと共に水性結着剤が含有される。水性結
着剤としては、ポリビニルアルコール、シラノール変性
ポリビニルアルコール、デンプン、カチオン化テンプ
ン、カゼイン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロー
ス、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリド
ン等の水溶性高分子、スチレンブタジエンラテックス、
アクリルエマルジョン等の水分散性高分子等が挙げられ
る。これらの水性結着剤は単独または２種以上併用して
用いることができる。本発明においては、これらの中で
も特にポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニ
ルアルコールが顔料に対する付着性、インク受容層の耐
剥離性の点で好適である。

【００１３】インク受容層は、合成非晶質シリカ及び水
性結着剤の他に必要に応じて、合成非晶質シリカ以外の
白色顔料、又は耐水化剤、耐光性向上剤、界面活性剤、
その他の添加剤を含有することができる。

【００１４】白色顔料としては、炭酸カルシウム、カオ
リン、タルク、クレー、珪藻土、珪酸マグネシウム、珪
酸カルシウム、アルミナ、ゼオライト、硫酸バリウム、
尿素樹脂、メラミン樹脂等が挙げられる。本発明は白色
顔料としては、上記した合成非晶質シリカ単独を使用し
てもよく、また、この合成非晶質シリカと併用して他の
白色顔料を用いることもできる。

【００１５】本発明において、白色顔料として合成非晶
質シリカのみを単独にも使用する場合、インク受容層の
最上層に使用される合成非晶質シリカの配合量は、最上
層の固形分に対して３０〜６０重量％が望ましく、白色
顔料として合成非晶質シリカと共に他の白色顔料を使用
する場合、最上層の固形分における白色顔料全体量は４
０〜８０重量％が望ましく、かつ白色顔料のうち、合成
非晶質シリカの配合量は７０重量％以上が望ましい。

【００１６】また、最上層以外のインク受容層の場合、
白色顔料として合成非晶質シリカのみを単独にも使用す
るときは、最上層以外のインク受容層に配合される合成
非晶質シリカ配合量は、最上層以外のインク受容層の固
形分に対して４０〜７０重量％が望ましく、白色顔料と
して合成非晶質シリカと共に他の白色顔料を使用する場
合、最上層以外のインク受容層の固形分における白色顔
料全体量は５０〜９０重量％が望ましく、かつ白色顔料
のうち、合成非晶質シリカの配合量は７０重量％以上が
望ましい。

【００１７】耐水化剤は、画像の耐水化に有効であり、
これらの耐水化剤としては、特にカチオン樹脂が望まし
い。このようなカチオン樹脂としては、ポリアミドポリ
アミンエピクロルヒドリン、ポリエチレンイミン、ポリ
アミンスルホン、ジメチルジアリルアンモニウムクロラ
イド重合物、カチオンポリアクリルアミド、コロイダル
シリカ等が挙げられ、これらのカチオン樹脂の中で特に
ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリンが好適であ
る。これらのカチオン樹脂の含有量は、インク受容層の
全固形分に対して１〜１５重量％が好ましく、特に３〜
１０重量％であることが好ましい。

【００１８】耐光性向上剤としては、硫酸亜鉛、酸化亜
鉛、ヒンダーアミン系酸化防止剤、ベンゾフェノン等の
ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤等が挙げられる。
さらに界面活性剤としては、カルボン酸塩、スルホン酸
塩、硫酸エステル塩、リン酸エステル塩等のアニオン系
界面活性剤、エーテル型、エーテルエステル型のノニオ
ン系界面活性剤、ベタイン、アミノカルボン酸塩、イミ
ダゾリン誘導体等の両性界面活性剤等が挙げられ，これ
らの中で特に硫酸亜鉛が好適である。

【００１９】その他のインク受容層に添加される添加剤
としては、顔料分散剤、増粘剤、消泡剤、染料、蛍光増
白剤、防腐剤、ｐＨ調整剤等が挙げられる。

【００２０】上記のようなインク受容層を形成するため
の塗布液を支持体上に塗布する手段としては、カーテン
コーター、ロールコーター、リバースロールコーター、
エアーナイフコーター、ブレードコーター、スプレーコ
ーター等が挙げられるが、本発明においては、特にカー
テンコーターが望ましい。カーテンコーターでは、イン
ク受容層表面の平滑性に優れる利点がある。

【００２１】本発明において、インク受容層は少なくと
も２層以上設けられたものであるが、インク受容層全体
塗工量は５〜１００μｍ、好ましくは、１０〜７０μｍ
であり、塗布量は、固形分で５〜５０ｇ／ｍ₂ 、好まし
くは、１０〜３５ｇ／ｍ₂ である。これらのうち、最上
層の塗工量は２〜５０μｍ、好ましくは５〜２５μｍ、
塗布量は固形分で２〜３０ｇ／ｍ₂ 、好ましくは５〜１
５ｇ／ｍ₂ であり、最上層以外のインク受容層の厚みは
２〜６０μｍ、好ましくは５〜３５μｍ、塗布量は固形
分で２〜４０ｇ／ｍ₂ 、好ましくは５〜２５ｇ／ｍ₂ で
ある。

【００２２】本発明に使用される支持体としては、通常
の天然パルプ、天然パルプ／合成パルプからなる紙、合
成紙、プラスチックフィルムシートのいずれであっても
よく、支持体の厚み１０〜２５０μｍ、坪量１０〜２５
０ｇ／ｍ₂ が望ましい。

【００２３】

【実施例】以下、実施例により本発明を説明するが、本
発明はこれによって限定されるものではない。 実施例１〜５および比較例１〜５ ＜原紙の作製＞ＬＢＫＰ９０重量部およびＮＢＫＰ重量
１０部からなる木材パルプをディスクファイナリを用い
て叩解し、カナディアンフリーネス３７０ミリリットル
のパルプスラリーを得た。得られたパルプスラリーを攪
拌しながら、パルプ１００重量部に対してタルク８重量
部、ロジン０．７重量部、硫酸アルミニウム１重量部を
添加して、長網抄紙機により、坪量８０ｇ／ｍ₂ の原紙
を抄紙した。抄紙時に表面サイズプレスにより酸化デン
プンを固形分で１．５ｇ／ｍ₂ 付着させ、塗布用原紙と
した。

【００２４】 ＜下層用塗布液の調整＞ 表１に記載の合成非晶質シリカ １００重量部 重合度１５００のポリビニルアルコール ７０重量部 硫酸亜鉛 ２重量部 スルホコハク酸ジ４メチルペンチルエステル １．５重量部 スルホコハク酸ジ２エチルヘキシルエステル １重量部 上記の組成物を水を加えて固形分１５重量％の塗布液と
した。この塗布液をカーテンコーターで支持体上に１５
ｇ／ｍ₂ 塗布した。

【００２５】 ＜最上層用塗布液の調整＞ 表１に記載の合成非晶質シリカ １００重量部 重合度１１００のシラノール変性 ポリビニルアルコール ４０重量部 ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン ６０重量部 硫酸亜鉛 １０重量部 スルホコハク酸ジ４メチルペンチルエステル １．５重量部 上記の組成物を水を加えて固形分２０重量％の塗布液と
した。この塗布液をカーテンコーターで上記で得られた
下層上に８ｇ／ｍ₂ 塗布した。

【００２６】表１に実施例及び比較例で使用した合成非
晶質シリカの数平均粒子径および吸油度を示す。

【００２７】

【表１】

【００２８】次に得られたインクジェット記録用紙の画
像濃度及び外観を評価した。評価方法を下記に示す。

【００２９】＜評価方法＞ （１）画像濃度 水性インク（マゼンタ）をフジックスカラープレゼンテ
ーションプリンターＫａｌｅｉｄａ（富士写真フィルム
株式会社の商品名）で印画し、画像濃度をマクベス濃度
計により測定した。

【００３０】（２）外観評価 インク受容層の塗布表面の面状態（塗布表面のザラツ
キ、手触り感）を目視により評価した。

【００３１】評価結果を表２に示す

【００３２】

【表２】

【００３３】画像濃度は、実用上、１．６０以上がある
ことが好ましく、実施例１〜実施例４のインクジェット
記録用紙では、いずれも画像濃度が１．６０以上の値を
示しているが、比較例３及び比較例５は１．６０以下の
画像濃度であり、画像濃度が不足している。

【００３４】塗布表面の面状態は、実施例１〜実施例５
はいずれも良好であるが、画像濃度では支障がない比較
例１及び比較例２は最上層塗布後、発泡によるクレータ
ー故障が発生し、画像濃度では支障がない比較例５で
は、塗布表面がザラツキ状態で摩擦により表面が取れや
すい状態てあった。

【００３５】

【発明の効果】以上のように本発明のインクジェット記
録用紙によれば、記録画像の濃度が高く、しかもインク
受容層における発泡によるクレーター故障の発生がな
く、また、塗布表面にザラツキが発生することがなく、
摩擦によりインク受容層の表面が離脱することがない。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 支持体上に、少なくとも合成非晶質シリ
   カおよび水性結着剤を含有するインク受容層を２層以上
   設けたインクジェット記録用紙において、前記インク受
   容層の最上層に含有される合成非晶質シリカの数平均粒
   子径が６〜１５μｍであり、前記最上層以外のインク受
   容層に含有される合成非晶質シリカの数平均粒子径が１
   〜５μｍであることを特徴とするインクジェット記録用
   紙。
2. 【請求項２】 前記最上層のインク受容層がカーテンコ
   ーターで形成されていることを特徴とする請求項１に記
   載のインクジェット記録用紙。