JPH08309566A - ビアホール形成方法及びレーザ光照射装置 - Google Patents

ビアホール形成方法及びレーザ光照射装置

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JPH08309566A
JPH08309566A JP7145687A JP14568795A JPH08309566A JP H08309566 A JPH08309566 A JP H08309566A JP 7145687 A JP7145687 A JP 7145687A JP 14568795 A JP14568795 A JP 14568795A JP H08309566 A JPH08309566 A JP H08309566A
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laser light
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insulating layer
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幸雄 森重
Haba Berugasemu
ハバ ベルガセム
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    • H05ELECTRIC TECHNIQUES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H05KPRINTED CIRCUITS; CASINGS OR CONSTRUCTIONAL DETAILS OF ELECTRIC APPARATUS; MANUFACTURE OF ASSEMBLAGES OF ELECTRICAL COMPONENTS
    • H05K3/00Apparatus or processes for manufacturing printed circuits
    • H05K3/0011Working of insulating substrates or insulating layers
    • H05K3/0017Etching of the substrate by chemical or physical means

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  • Laser Beam Processing (AREA)
  • Production Of Multi-Layered Print Wiring Board (AREA)
  • Lasers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】絶縁層と導電層を積層したフィルム基板に高い
アスペクト比を持ち金属層との界面に絶縁層を残さずに
再現性、信頼性に優れるビアホールを形成する方法及び
そのためのレーザ光照射装置の提供。 【構成】フィルム基板に所定パルス幅のレーザ光を照射
し絶縁膜にレーザ照射による加熱作用による熱分解又は
熱分解に伴うガス発生反応を起こした後超音波洗浄を行
いビアホールを形成する方法及び装置において、(1)フ
ィルム基板にガスを吹き付ける、(2)上記パルス幅のレ
ーザ光を1箇所当り2ショット以上照射する、(3)上記
パルス幅のレーザ光を1ショット照射した後所定パルス
幅、所定照射強度のパルスレーザ光を照射し、(4)フィ
ルム基板の厚み方向に金属層側が高温と成るよう温度勾
配を設ける、のいずれかもしくはそれらを組み合わせて
なる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高密度多層配線やLS
Iのフィルムパッケージの基板として有用なポリイミド
・銅箔等の有機絶縁膜/導電層からなるフィルム基板に
微細なビアホールを形成するビアホール形成方法及びそ
のためのレーザ光照射装置に関する。
【0002】
【従来の技術】多層配線基板技術は、パーソナルコンピ
ュータや大型コンピュータ等のLSI実装用に発展し、
現在、装置コストの低減と、実装デバイスの高速化への
対応とを図るために、良好な高周波特性を有する絶縁フ
ィルムを用いる高密度実装技術の実用化が望まれてい
る。
【0003】なかでも、有機フィルムと金属層を張り合
わせてなるフィルム基板に微細なビアホールを高スルー
プットで安価に形成するための方法及び装置が求められ
ている。
【0004】この種のビアホール形成法が例えば特願平
6−174413号に提案されている。すなわち、上記
特願平6−174413号には、有機物質を含有する絶
縁フィルムからなる基板においてビアホールの形成箇所
に、基板に吸収のある波長のレーザ光を照射し、照射に
よる基板の温度上昇を介して基板のレーザ光照射部を熱
変性、熱分解し、熱分解に伴うガス発生のいずれかの反
応を起こさせた後、超音波洗浄を行なって、微細なビア
ホールを高いスループットで形成できることが記載され
ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記特
願平6−174413号に記載されたビアホール形成法
においては、パルスレーザ光照射時に発生する絶縁膜の
分解物から発生するプルームのために、照射レーザ光の
一部が散乱や吸収を受け、基板に供給されるレーザエネ
ルギーが減少したり変動する等の問題がある。
【0006】そして、レーザ照射と超音波洗浄を組み合
わせる上記微細ビアホール形成法を、有機絶縁フィルム
と金属層を張り合わせたフィルム基板へのビアホール形
成に適用したところ、ビアホール底の金属層との界面部
に極薄い絶縁性のフィルムがきわめて低い割合ではある
が残留し、ビアホールをメッキで埋め込む時の障害とな
ることが新たに判明した。
【0007】この極薄い絶縁性のフィルムの残留は、超
音波洗浄時の超音波強度を強めたり洗浄時間を長くする
ことにより低減できるが、これらの対策はフィルム基板
の損傷やスループットの低下という問題を引き起こすこ
とになる。
【0008】また、ビアホールの形状が金属層との界面
部で小さくなるために、おわん型の形状になり易く、金
属層とビアホールの接触面積が小さくなり、このため配
線化した際に信頼性が低下しやすいという問題があっ
た。
【0009】本発明は、上記問題点に鑑みてなされたも
のであって、絶縁層と導電層を積層したフィルム基板に
対し、高いアスペクト比を持ち、且つ金属層との界面に
残留絶縁層を残すことがなく、再現性、信頼性に優れる
ビアホールを形成することを可能とするビアホール形成
法及びビアホール形成のためのレーザ光照射装置を提供
することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明は、有機物質を含む絶縁層と金属層とを積層
してなるフィルム基板へ所定時間幅のパルス幅を有する
パルスレーザ光をビアホール形成部に照射し、前記絶縁
層のレーザ光照射部を熱分解、熱分解に伴うガス発生の
いずれかの反応を起こさせた後、超音波洗浄を行なうビ
アホールの形成法において、一の照射部に1ショット目
のパルスレーザ光照射後所定時間間隔に離間して前記時
間幅のパルス幅を有するパルスレーザ光を1ショット以
上照射することを特徴とするビアホール形成方法を提供
する。
【0011】本発明においては、ビアホール形成部に最
初のレーザパルスの照射後に所定の照射強度を有する所
定パルス幅以下の短いパルスレーザ光を照射するように
してもよい。
【0012】本発明においては、好ましくは、前記フィ
ルム基板に、レーザ照射中に発生するプルームを吹き流
すのに十分な流速でガスを吹き付けるようにすることを
特徴とする。
【0013】本発明のビアホール形成方法は、好ましく
は、有機物質を含有する絶縁層と金属層を積層してなる
フィルム基板へ、10μsから20msの範囲のパルス
幅のパルスレーザ光をビアホール形成を行なうフィルム
の所望部に照射し、照射によるフィルム基板の温度上昇
を介して、絶縁層のレーザ光照射部を熱分解、熱分解に
伴うガス発生のいずれかの反応を起こさせた後、超音波
洗浄を行なうビアホール形成法において、一の照射部に
1ショット目のパルス光照射後3ms以上時間的に離し
て前記範囲のパルス幅のパルスレーザ光を1ショット以
上照射することを特徴とする。
【0014】また、本発明のビアホール形成方法は、好
ましくは、有機物質を含有する絶縁層と金属層を積層し
てなるフィルム基板へ、10μsから20msの範囲の
パルス幅のパルスレーザ光をビアホール形成を行なうフ
ィルムの所望部に照射し、照射によるフィルム基板の温
度上昇を介して、絶縁層のレーザ光照射部を熱分解、熱
分解に伴うガス発生のいずれかの反応を起こさせた後、
超音波洗浄を行なうビアホール形成法において、レーザ
照射部に、レーザ照射中に発生するプルームを吹き流す
のに十分な流速でガスを吹き付けることを特徴とする。
【0015】さらに、本発明のビアホール形成方法は、
好ましくは、有機物質を含有する絶縁層と金属層を積層
してなるフィルム基板へ、10μsから20msの範囲
のパルス幅の第1のパルスレーザ光をビアホール形成を
行なうフィルム基板の所望部に照射し、照射によるフィ
ルム基板の温度上昇を介して、絶縁層のレーザ光照射部
を熱分解、熱分解に伴うガス発生のいずれかの反応を起
こさせた後、超音波洗浄を行なうビアホール形成法にお
いて、一の照射部に1ショット目のパルス光照射後3m
s以上時間的に離して、パルス幅200ns以下、ピー
クパワー密度10MW/cm2以上の照射強度のパルス
レーザ光を照射することを特徴とする。
【0016】さらにまた、本発明のビアホール形成方法
は、有機物質を含有する絶縁層と金属層を積層してなる
フィルム基板へ、10μsから20msの範囲のパルス
幅のパルスレーザ光をビアホール形成を行なうフィルム
の所望部に照射し、照射によるフィルム基板の温度上昇
を介して、絶縁層のレーザ光照射部を熱分解、熱分解に
伴うガス発生のいずれかの反応を起こさせた後、超音波
洗浄を行なうビアホール形成法において、フィルム基板
の金属面側から、絶縁層の向きに、金属面側が高温とな
るよう所定の温度勾配を持たせることを特徴とする。
【0017】そして、本発明は、有機物質を含む絶縁層
と金属層とを積層してなるフィルム基板をレーザ照射領
域に送る搬送手段と、前記レーザ照射領域内で前記フィ
ルム基板を平坦に保つ吸着手段と、連続光を発生する第
1のレーザ光源と、前記第1のレーザ光源からの出射光
を変調する光変調器と、前記フィルム基板上の照射部に
レーザ光を走査するガルバノミラーとスキャンレンズか
らなる光学系と、前記照射部をモニタする観察光学系
と、前記搬送手段、吸着手段、ガルバノミラーへの各制
御信号を所定のタイミングで発生させる制御手段と、を
備えることを特徴とするレーザ光照射装置を提供する。
【0018】
【作用】本発明者等は、基板へ供給される照射レーザ光
のプルームによる減衰及び変動を防ぐためには、フィル
ム基板にガスを吹き付けプルームを吹き流すことが有効
であることを実験的に突き止めた。必要なガス流速は、
ビアホール径をパルス幅で割って得られる値程度以上と
される。ちなみに本発明の典型的な対象である各層厚が
20μm程度のポリイミド/銅基板に、パルス幅1ms
のパルス光でビアホール径60μmを得る場合には、所
要流速の下限は6cm/s程度である。
【0019】有機膜と金属層の界面部での絶縁膜の残留
を抑止する方法として、本発明は以下の3つの方法を提
供するものであり、その効果はいずれも実験的に確認さ
れている。
【0020】本発明における第1の方法は、最初のレー
ザパルスの照射により熱分解、及び熱分解に伴うガス発
生の反応を起こした後、次のレーザパルスを同じ照射点
に照射し、基板底の金属界面部にレーザ光を照射して、
界面部に残留する絶縁層の熱分解を促進するものであ
る。最初のレーザパルスの照射により、照射部はポーラ
スな分解物に覆われているが、この分解物によるレーザ
光の吸収は、絶縁膜に覆われている場合に比べ小さいた
めビアホール底に到達するレーザ光強度は強く、十分な
加熱作用を起こし、熱分解を促進する。その結果、底部
の残留膜の発生を抑止することができる。
【0021】本発明における第2の方法は、最初のレー
ザパルスの照射後に、パルス幅200ns以下、照射強
度10MW/cm2以上の強い短パルス光を照射するこ
とにより、極薄い残留膜を蒸散除去するものである。従
来、紫外のエキシマレーザにより厚い絶縁層を上から順
に蒸散除去する方法が知られているが、この方法では、
所要ショット数が1ビアホール当り10ショット以上必
要でスループット上不十分となるが、本発明では、最初
のレーザパルス照射により、照射部の絶縁層の大部分が
分解され、極薄い未分解層が残っているため、合計2シ
ョットのレーザパルス照射で必要なレーザ照射を完了で
きるという利点を有する。
【0022】本発明における第3の方法は、フィルム基
板の金属層側を高温、絶縁フィルム側を低温となるよ
う、金属層側をヒータ加熱、絶縁フィルム表面をガス吹
き付け冷却することにより、フィルム基板の厚み方向に
急激な温度勾配を持たせた状態で、熱分解や熱分解に伴
うガス発生の反応を起こすパルスレーザ光を照射するも
のである。温度勾配は、ビアホール底では、加熱作用を
増大させ、残膜除去を促進させる一方、フィルム上部で
は熱拡散による反応部の径方向への高温領域の広がりを
抑制させ、その結果、ビアホール上部径の拡大を抑止し
てビアホールのアスペクト比を改善させることができ
る。
【0023】
【実施例】図面を参照して、本発明の実施例を以下に説
明する。
【0024】図1は、本発明の一実施例に係るレーザ光
照射装置の構成を示す模式図である。図2は本発明の一
実施例におけるパルス光照射の照射タイミングを示す図
である。また、本発明に係るビアホール形成方法は、レ
ーザ光照射工程と、超音波洗浄工程からなるが本発明に
係るビアホール形成方法の主題はレーザ光照射の工程の
改良にある。よって、超音波洗浄工程は、超音波洗浄器
出力130W、超音波周波数47kHz、洗浄時間5分
の条件で行ない、得られたビアホールの形状、残膜除去
の効果について記述する。
【0025】図1を参照して、ポリイミド厚25μm、
銅箔15μm厚の2層構造からなるフィルム基板1は、
巻き取り器5により1cm角の照射領域を有するガルバ
ノミラー9と、スキャンレンズ7からなるレーザ照射光
学系の照射部上に移動される。
【0026】レーザ光照射面は、真空ポンプ4の動作に
より真空チャックホルダー3がフィルム基板1を吸着
し、照射面の平坦性を保つように構成されている。
【0027】また、真空チャックホルダー3はヒータ2
によりフィルム基板1を金属面側から加熱できる構成と
なっている。
【0028】そして、レーザ光照射領域には、ノズル8
よりガスを吹き付けることができる構成とされている。
波長515nmのアルゴンレーザからなる第1のレーザ
光源12からの出射光は光変調器11によりパルス幅及
び光強度が変調され、合成ミラー15において、波長5
33nmのQスイッチYAGレーザの第2高調波光源か
らなる第2のレーザ光源13からの出射光と合成され、
ガルバノミラー9に入射する。
【0029】ガルバノミラー9は、レーザ光をフィルム
基板1上でX・Y方向へ走査する。
【0030】レーザ光照射位置は、ガルバノミラー9の
入射光路において分岐ミラー10で分岐され、イメージ
レンズ14によりCCDカメラ16に結像されモニタさ
れる。
【0031】制御ユニット17は、CCDカメラ16か
ら位置決めデータを受取り、真空ポンプ4、巻き取り器
5用のモータ6、光変調器11、第2のレーザ光源1
3、ガルバノミラー9の各装置への制御信号を発生し、
フィルム基板1へのレーザ照射を制御する。
【0032】光変調器11の出力は、パルス幅が10μ
s〜20ms、パワーが0.5〜4Wの間で可変とされ
ている。
【0033】第2のレーザ光源13の出力は、パルス幅
が10nsとされ、ピーク強度が1〜50MW/cm2
の間で可変である。また、フィルム基板1上での照射ビ
ーム径は、30μmである。
【0034】図1に示す装置の動作シーケンスを以下に
説明する。
【0035】最初に、CCDカメラ16でフィルム上の
位置合わせパターンをモニタしながら、フィルム基板1
に設けられた位置合わせマーカ(不図示)が所定位置に
来るまでモータ6を回転させる。
【0036】次に、真空ポンプ4を動作させて、フィル
ム基板1を真空チャックホルダー3に吸着させる。
【0037】続いて、フィルム基板1の水平面内の傾き
及び中心位置の偏差を制御ユニット17に記憶させる。
【0038】上記偏差と照射パターンデータに基づきレ
ーザ照射位置が所望の位置となるようにガルバノミラー
9を作動させる。
【0039】その後、所定の回数レーザパルスを照射
し、次の照射点に位置決めするためにガルバノミラー9
を動かす。
【0040】上記工程を繰り返し、チップ1個分のレー
ザ照射を終了する。
【0041】真空チャックを解除し、モータ6を回し
て、次の照射位置にフィルム基板1を移動させる。
【0042】最初に、本実施例におけるガスの吹き付け
の効果について説明する。
【0043】照射パルス数1ショット、照射パルス幅
0.5ms、ガス吹き付けがない場合、ビアホール形成
のための最適照射パワーは2Wであったが、窒素ガスを
流量1m/sで吹き付けることにより、プルームが吹き
飛ばされ、上記の最適照射パワーは1.6Wにまで低減
できた。
【0044】そして、形成されたビアホールの直径の変
動が±30%(ガス吹き付けなし)から±10%にまで
大きく改善された。
【0045】レーザパワーはレーザチューブの寿命に指
数関数的に影響するため、本実施例はレーザチューブの
長寿命化に有効である。
【0046】また、吹き付けガスをポリイミドの酸化作
用を促進できる酸素にしたところ、レーザ照射条件を上
記の条件に固定した場合、レーザパルスを1ショット行
なった場合でもビアホール底の残留絶縁膜が発生する確
率を1%程度以下に低減することができた。
【0047】次に、図2(A)に示すように、1箇所当
り2ショット以上のレーザ照射を行なった場合の効果を
示す。
【0048】窒素ガス1m/sの流速で吹き付けた状態
で、照射パルス幅0.5msのレーザパルスを照射強度
1.6Wで1ショット照射した場合、超音波洗浄後のビ
アホール径は平均値で上部径50μm、底径25μm
で、ビアホール形状は、金属との界面で径が急速に小さ
くなるおわん型の形状を示すのに対し、1ショット目の
パルス照射に続いて5ms経過した後同じ0.5msの
光パルスを照射することにより、上部径は変わらず、底
径が35μmに拡大し、おわん型の形状を大幅に改善す
ることができた。
【0049】また、界面での絶縁膜の残留をほとんどな
くすことができた。
【0050】なお、パルスとパルスの間隔は、最初のパ
ルス光照射によるポリイミドの温度上昇が収まる3ms
程度以上に長くしないと、ビアホール上部径が増えると
いう問題が発生した。
【0051】次に、図2(B)に示すように、2ショッ
ト目に短パルス光を照射して残留絶縁膜を蒸散法により
除去した場合の効果について説明する。
【0052】同様に窒素ガスを吹き付けながら0.5m
s、1.6Wのレーザ照射の後、5ms経過後、パルス
幅、10ns、ピーク強度30MW/cm2のレーザパ
ルスを照射したところ、ビアホール上部径は50μm、
底径は40μmで、ビアホール側面の垂直性がより高い
形状のよいビアホールを形成することができた。
【0053】また、超音波洗浄前でもビアホール底に
は、分解物や残留膜はなく、超音波洗浄時間を1分間に
短縮しても、残滓のないきれいなビアホールを形成する
ことができた。
【0054】図3は、図2(B)に示す照射光を、ノー
マル発振とQスイッチ動作とに切り替えることができる
固体レーザ光源を用いて生成する場合の光源の構成の模
式図を示す図である。
【0055】図3において、Nd:YAG結晶からなる
固体レーザ媒質20はレンズ19を介してLD(レーザ
ダイオード)アレイ18により励起される。
【0056】発振光路はガルバノミラーから成る光路切
り替え器21により、第1の非線形結晶22と第1の出
力ミラー23から構成される共振器内部高調波発生のノ
ーマル発振モード用の光路と、超音波変調器からなるQ
スイッチ素子24と、第2の出力ミラー25からなるQ
スイッチ発振モード用の光路を高速に切り替えることが
できる。
【0057】Qスイッチ発振モードでの出力光はレーザ
発振器外部の第2の非線形結晶26により第2高調波に
変換される。
【0058】LDアレイ18は、パルス幅0.5ms、
繰り返し周波数200Hzで駆動する。このLDアレイ
18の励起によりノーマル発振モードでは、励起パルス
幅とほぼ同じ0.45msのパルス幅、ピーク出力10
Wの波長532nmのノーマル発振光が得られ、フィル
ム基板1への最初のパルス光照射を行なうことができ
る。
【0059】一方、Qスイッチ発振モードでは、パルス
幅10ns、出力10μJの短パルス光が得られ、後段
のビアホール底の残留膜の蒸散除去を行なうことができ
る。この構成により、レーザ光源が1台ですむため装置
コストを低減できること、出射光の波長が同じため出射
光路上の光学素子における色収差の影響がないため調整
が容易になること等の利点がある。
【0060】なお、以上の実施例では光路切り替え器2
1にガルバノミラーを用いた場合を示したが、この他に
超音波偏向器や、電気光学効果による偏向器も使用可能
なことはいうまでもない。
【0061】上記実施例では、ヒータ2は動作させず、
フィルム基板1の保持温度は室温の場合について述べ
た。
【0062】以下に、ヒータ2により、フィルム基板1
の金属側を200℃に加熱し、同時に窒素ガスを100
m/sの流速でフィルム基板1の絶縁層側に吹き付ける
ことで、フィルム基板1の厚み方向に急峻な温度勾配を
形成した状態でレーザ照射を行なった場合について効果
を示す。
【0063】図2(A)に示す照射シーケンスに適用し
たところ、基板加熱がない場合、最適照射強度は1.6
Wであったが、基板加熱を行なった場合、最適照射強度
は1.2Wにまで低減できた。また、上部ビアホール径
を50μmに保ったまま底部径を40μmにまで拡大で
き、ビアホールのアスペクト比を改善できた。
【0064】さらに、実験した範囲内で底部に残留膜は
観測されず、高い歩留まりでビアホール形成を行なうこ
とができることが判った。なお、基板加熱のみで、ガス
吹き付けを行なわない場合、ビアホール底の径、形状に
差はほとんどないものの上部径が80μm程度に増大
し、ビアホールのアスペクト比が低下するので十分な効
果は得られなかった。
【0065】以上、本発明におけるガス吹き付けを行な
う方法、ms(ミリ秒)程度のレーザパルスを2ショッ
ト以上照射する方法、基板厚み方向に急峻な温度勾配を
設ける方向は、おのおの独立にビアホールのアスペクト
比、底部残留膜の低減に効果があることを説明した。
【0066】また、ms程度のパルス幅のレーザパルス
と、蒸散加工可能な短パルス光照射を組み合わせる方法
では、光源が2台必要で、装置的には若干高価となるも
のの、洗浄時間に短縮が可能で、高スループット化の点
で有効なことを述べた。言うまでもないが、上記の各方
法を併用することにより、ビアホールのアスペクト比を
高く取り、かつ金属層との界面への残留膜の発生を抑制
する効果を大きくすることができる。
【0067】以上、本発明を上記実施例に即して説明し
たが、本発明は上記態様にのみ限定されず、本発明の原
理に準ずる各種態様を含むことは勿論である。
【0068】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
絶縁層、導電層を積層したフィルム基板に対し、高いア
スペクト比を持ち、かつ金属層との界面に残留絶縁層を
残すことがなく、再現性、信頼性に優れるビアホールを
形成することのできる優れたビアホール形成方法と、そ
のためのレーザ光照射装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る装置を説明する模式図
である。
【図2】本発明におけるレーザ光照射シーケンスを示す
図である。
【図3】本発明の一実施例における光源の構成を示す図
である。
【符号の説明】
1 フィルム基板 2 ヒータ 3 真空チャックホルダー 4 真空ポンプ 5 巻き取り器 6 モータ 7 スキャンレンズ 8 ノズル 9 ガルバノミラー 10 分岐ミラー 11 光変調器 12 第1のレーザ光源 13 第2のレーザ光源 14 イメージレンズ 15 合成ミラー 16 CCDカメラ 17 制御ユニット 18 LDアレイ 19 レンズ 20 固体レーザ媒質 21 光路切り替え器 22 第1の非線形結晶 23 第1の出力ミラー 24 Qスイッチ素子 25 第2の出力ミラー 26 第2の非線形結晶
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石川 和幸 東京都港区新橋5丁目11番3号 住友金属 鉱山株式会社内

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】有機物質を含む絶縁層と金属層とを積層し
    てなるフィルム基板へ所定時間幅のパルス幅を有するパ
    ルスレーザ光をビアホール形成部に照射し、前記絶縁層
    のレーザ光照射部を熱分解、熱分解に伴うガス発生のい
    ずれかの反応を起こさせた後、超音波洗浄を行なうビア
    ホールの形成法において、 一の照射部に1ショット目のパルスレーザ光照射後所定
    時間間隔に離間して前記時間幅のパルス幅を有するパル
    スレーザ光を1ショット以上照射することを特徴とする
    ビアホール形成方法。
  2. 【請求項2】有機物質を含む絶縁層と金属層とを積層し
    てなるフィルム基板へ所定時間幅のパルス幅を有するパ
    ルスレーザ光をビアホール形成部に照射し、前記絶縁層
    のレーザ光照射部を熱分解、熱分解に伴うガス発生のい
    ずれかの反応を起こさせた後、超音波洗浄を行なうビア
    ホールの形成法において、 前記ビアホール形成部に最初のレーザパルスの照射後に
    所定の照射強度を有する所定パルス幅以下の短いパルス
    レーザ光を照射することを特徴とするビアホール形成方
    法。
  3. 【請求項3】前記フィルム基板に、レーザ照射中に発生
    するプルームを吹き流すのに十分な流速でガスを吹き付
    けることを特徴とする請求項1又は2記載のビアホール
    形成方法。
  4. 【請求項4】有機物質を含有する絶縁層と金属層を積層
    してなるフィルム基板へ、10μsから20msの範囲
    のパルス幅のパルスレーザ光を前記フィルム基板のビア
    ホール形成部に照射し、照射による前記絶縁層の温度上
    昇を介して、前記絶縁層の前記パルスレーザ光照射部を
    熱分解、熱分解に伴うガス発生のいずれかの反応を起こ
    させた後、超音波洗浄を行なうビアホール形成法におい
    て、 一の照射部に1ショット目の前記パルスレーザ光照射後
    略3ms以上時間的に離間して10μsから20msの
    範囲のパルス幅のパルスレーザ光を1ショット以上照射
    することを特徴とするビアホール形成方法。
  5. 【請求項5】有機物質を含有する絶縁層と金属層を積層
    してなるフィルム基板へ、10μsから20msの範囲
    のパルス幅のパルスレーザ光を前記フィルム基板のビア
    ホール形成部に照射し、照射による前記絶縁層の温度上
    昇を介して、前記絶縁層の前記パルスレーザ光照射部を
    熱分解、熱分解に伴うガス発生のいずれかの反応を起こ
    させた後、超音波洗浄を行なうビアホール形成法におい
    て、 前記フィルム基板に、レーザ照射中に発生するプルーム
    を吹き流すのに十分な流速でガスを吹き付けることを特
    徴とするビアホール形成方法。
  6. 【請求項6】前記ガスを酸化性ガスとすることを特徴と
    する請求項3又は5記載のビアホール形成方法。
  7. 【請求項7】有機物質を含有する絶縁層と金属層を積層
    してなるフィルム基板へ、10μsから20msの範囲
    のパルス幅のパルスレーザ光を前記フィルム基板のビア
    ホール形成部に照射し、照射による前記絶縁層の温度上
    昇を介して、前記絶縁層の前記パルスレーザ光照射部を
    熱分解、熱分解に伴うガス発生のいずれかの反応を起こ
    させた後、超音波洗浄を行なうビアホール形成法におい
    て、 一の照射部に1ショット目のパルス光照射後略3ms以
    上時間的に離間して、パルス幅200ns以下、ピーク
    パワー密度略10MW/cm2以上の照射強度のパルス
    レーザ光を照射することを特徴とするビアホール形成方
    法。
  8. 【請求項8】有機物質を含有する絶縁層と金属層を積層
    してなるフィルム基板へ、10μsから20msの範囲
    のパルス幅のパルスレーザ光を前記フィルム基板のビア
    ホール形成部に照射し、照射による前記絶縁層の温度上
    昇を介して、前記絶縁層の前記パルスレーザ光照射部を
    熱分解、熱分解に伴うガス発生のいずれかの反応を起こ
    させた後、超音波洗浄を行なうビアホール形成法におい
    て、 前記フィルム基板の前記金属面側から前記絶縁層の向き
    に、該金属面側が高温となるよう所定の温度勾配を持た
    せることを特徴とするビアホール形成方法。
  9. 【請求項9】有機物質を含有する絶縁層と金属層とを積
    層してなるフィルム基板をレーザ照射領域に送る搬送手
    段と、 前記レーザ照射領域内で前記フィルム基板を平坦に保つ
    吸着手段と、 連続光を発生する第1のレーザ光源と、 前記第1のレーザ光源からの出射光を変調する光変調器
    と、 前記フィルム基板上の照射部にレーザ光を走査するガル
    バノミラーとスキャンレンズからなる光学系と、 前記照射部をモニタする観察光学系と、 前記搬送手段、吸着手段、ガルバノミラーへの各制御信
    号を所定のタイミングで発生させる制御手段と、 を備えることを特徴とするレーザ光照射装置。
  10. 【請求項10】レーザ光照射部にガスを吹き付けるノズ
    ルを設けたことを特徴とする請求項9記載のレーザ光照
    射装置。
  11. 【請求項11】前記フィルム基板を金属面側より加熱す
    る加熱機構を設けたことを特徴とする請求項9又は10
    記載のレーザ光照射装置。
  12. 【請求項12】Qスイッチレーザ光源からなる第2のレ
    ーザ光源と、 第2のレーザ光源からの出射光を第1のレーザ光源の出
    射光路に合波させる合波ミラーを設け、 レーザ照射点1箇所につき前記第1のレーザ光源からの
    パルス光照射後、前記第2のパルスレーザ光源からの出
    射光を照射するよう前記制御手段を作動させることを特
    徴とする請求項9記載のレーザ光照射装置。
  13. 【請求項13】Qスイッチ動作モードとノーマル発振モ
    ードを切り替えて発振できる固体レーザの第2高調波発
    生光源を第1のレーザ光源と第2のレーザ光源とするこ
    とを特徴とする請求項9記載のレーザ光照射装置。
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