JPH08308685A - 背抜き家具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 背当てを肉盗みすることにより、座面と背当
ての隙間寸法をつめながら両者の干渉を防止すると共
に、背当てを起こしたときの前後長を短くしながら座り
心地の向上及び倒れた背当ての支持を良好に行う。 【構成】 座面の後部に背当てを回動軸まわりに起伏自
在に設け、上記背当てに背抜き部を開口し、上記座面を
背抜き部を通して背当て後方まで延設すると共に、この
延設部の周囲に、倒れた背当てを座面と面一になるよう
支持する載置部を設けた。座面及び背当てが、棒材を連
結してなるフレームと、これに被着されたクッション材
とを備え、背当てのフレームがラチェット付きジョイン
トを介して座面のフレームに連結されている。背抜き部
前方の座面の上部が、内部に空洞部が形成された座面本
体から分離して設けられ、この座面上部がその後端辺に
おいて回動自在に設けられている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、背当てを有した椅子の
状態から背当てを倒すと上面がほぼ平坦な椅子またはベ
ッドになる家具の改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、この種の家具として、座面の後
部に背当てを回動軸まわりに起こし又は倒せるように設
け、背当てを起こしたときには長椅子となり、背当てを
倒すと上面がほぼ平坦なベッドになる、いわゆるソファ
ーベッドが知られている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】このような家具では、
背当てを倒したときの座面と背当てとの隙間寸法を小さ
く設定すると、背当てを起こしたときに座面の縁部と背
当ての縁部が干渉するために背当てを立て気味にセット
し難くくなり、これを強引に起こすと干渉部分が膨らん
で見栄えが悪くなったり、これが腰に当たって座り心地
が悪くなる（例えば実開平６−９５３９号公報の図７参
照）。さりとて、これを防ぐために上記隙間寸法を大き
く設定すると、背当てを倒したときに上記隙間が溝とな
って平坦さを欠き、ベッドとしての機能を害するという
相反する問題がある。

【０００４】また、この種の家具は、背当てを起こした
ときのコンパクト性を向上させるため、前後長を出来る
だけ最小寸法に近づけておきたい。しかし、そうする
と、座面の前後長が短くなるから座り心地が悪くなり、
また背当てを倒したときにこれを支持する部材を設ける
余地がなくなるから背当てが片持ち状態になって前後バ
ランスが悪くなる。

【０００５】本発明はこのような点に着目してなされた
ものであり、その目的とするところは、この種の家具に
おいて背当てを肉盗みすることにより、座面と背当ての
隙間寸法をつめながら両者の干渉を防止すると共に、背
当てを起こしたときの前後長を短くしながら座り心地の
向上及び倒れた背当ての支持をバランス良く行うことに
ある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項１は、座面の後部に背当てを回動軸まわりに
起こし又は倒せるように設け、上記背当てに背抜き部を
開口し、上記座面を背抜き部を通して背当て後方まで延
設すると共に、この延設部の周囲に、倒れた背当てを座
面とほぼ面一になるよう支持する載置部を設ける構成と
している。

【０００７】請求項２は、請求項１の構成において、座
面および背当てが、棒材を連結してなるフレームと、こ
れに被着されたクッション材とを備え、背当てのフレー
ムがラチェット付きジョイントを介して、座面のフレー
ムに連結されている構成である。

【０００８】請求項３は、請求項１の構成において、背
抜き部前方の座面の上部が、内部に空洞部が形成された
座面本体から分離して設けられ、この座面上部がその後
端辺において回動自在に設けられている構成である。

【０００９】

【作用】請求項１では、背当てを起こせば椅子となり、
背当てを倒すと上面がほぼ平坦な家具になる。そして、
背当てを倒したときの座面と背当てとの隙間寸法を小さ
く設定しても、背当てを起こしたときに背抜き部のとこ
ろでは座面の縁部と背当ての縁部が干渉しないから、起
こすときの抵抗が少なくなると共に干渉部分の膨らみも
生じない。

【００１０】また、前後長を短く設定するべく座面の前
後長を最小寸法に近づけても、使用者の腰部が背抜き部
に入り込んで支持され、且つ臀部が座面延設部で支持さ
れるから、座り心地が確保される。このため、背当て後
方に載置部を十分な前後寸法で設定できるから、背当て
を倒したときにこれが安定して支持され、前後バランス
が向上する。

【００１１】請求項２では、さらにラチェット付きジョ
イントの機能により、所望の傾斜角度で背当てが止ま
る。

【００１２】請求項３では、座面上部の前辺を持ち上げ
ると後端辺を中心に座面上部が回動して空洞部が開き、
収納部として機能する。その場合、後端辺付近は背抜き
部に逃げるから背当てと干渉せず、座面上部の開閉がス
ムーズに行われる。

【００１３】

【実施例】図１及び図２は第１実施例に係る補助椅子を
示す。これらの図において、１は座面、２は座面１の後
部において回動軸まわりに起こし又は倒せるように設け
られた背当てである。そして、上記背当て２には背抜き
部３を開口している。また、座面１を上記背抜き部３を
通して背当て後方まで延設している。さらに、この延設
部４の周囲に、倒れた背当て２を座面１とほぼ面一にな
るよう支持する載置部５を設けている。

【００１４】上記補助椅子の内部構造を、皮革等により
成形した外装材を剥した状態の図３ないし図６により説
明すると、１１及び１２はそれぞれスチールパイプを環
状に形成してなる上フレーム及び下フレーム、１３は上
フレーム１１と下フレーム１２とを連結するスチールパ
イプよりなる縦フレーム、１４は可撓性を有して上フレ
ーム１１に縦横に複数本掛け渡されバネとして機能する
樹脂製バンド、１５はその上に接着され座面の主要部と
なるクッション材である。また、１６はスチールパイプ
を逆Ｕ字形に形成してなる背当てフレーム、１７，１７
は一方側が上記背当てフレーム１６の端部にそれぞれ固
定された公知のラチェット付きジョイント、１８，１８
は上記ラチェット付きジョイント１７，１７の他方側に
固定されたスチールパイプよりなる連結フレームであっ
て、この連結フレーム１８，１８が上フレーム１１の相
対向する２辺の上に固定されていて、背当てフレーム１
６がラチェット付きジョイント１７，１７を介して起伏
自在に設けられ、且つ複数の倒れ角で静止できるように
なっている。そして、背当てフレーム１６にクッション
材１９が接着されている。

【００１５】そして、上記背抜き部３は、背当て用のク
ッション材１９を適宜に成形することにより形成し、延
設部４は座面用のクッション材１５を適宜に成形するこ
とにより形成し、載置部５は延設部４の周囲の上フレー
ム１１及び樹脂製バンド１４により構成している。

【００１６】従って、上記第１実施例においては、図１
ないし図６に示すように背当て２を起こせば背当て付き
の椅子となり、図７ないし図９に示すように背当て２を
倒すと上面がほぼ平坦な補助椅子になる。そして、背当
て２を倒したときの座面１と背当て２との隙間寸法を小
さく設定しても、背当て２を起こしたときに図６に示す
ように背抜き部３のところでは座面１の縁部と背当て２
の縁部が干渉しないから、起こすときの抵抗が少なくな
ると共に干渉部分の膨らみも生じない。

【００１７】また、前後長を短く設定するべく座面１の
前後長を最小寸法に近づけても、使用者の腰部が背抜き
部３に入り込んで支持され、且つ臀部が座面延設部４で
支持されるから、座り心地が確保される。このため、背
当て後方に載置部５を十分な前後寸法で設定できるか
ら、背当て２を倒したときにこれが安定して支持され、
前後バランスが向上する。さらに、ラチェット付きジョ
イント１７の機能により、所望の傾斜角度で背当てが止
まる。

【００１８】図１０及び図１１は第２実施例に係るソフ
ァーベッドを示す。これらの図において、１０１は座
面、１０２は座面１０１の後部において回動軸まわりに
起こし又は倒せるように設けられた背当てである。そし
て、上記背当て１０２には背抜き部１０３を開口してい
る。また、座面１０１を上記背抜き部１０３を通して背
当て後方まで延設している。さらに、この延設部１０４
の周囲に、倒れた背当て１０２を座面１０１と面一にな
るよう支持する載置部１０５を設けている。

【００１９】上記ソファーベッドの内部構造は先の第１
実施例と同様である。すなわち、皮革等により成形した
外装材を剥し、さらに樹脂製バンド及びクッション材を
取り外した状態の図１２により説明すると、１１１は上
フレーム、１１２は下フレーム、１１３は縦フレーム、
１１６は背当てフレームであって、各フレーム１１１，
１１２，１１６は第１実施例よりもスチールパイプを多
く使って補強されている。そして、１１８は上フレーム
１１１に固定された連結フレームであって、その後端に
ラチェット付きジョイント１１７，１１７を介して背当
てフレーム１１６が連結されている。そして、上フレー
ム１１１及び背当てフレーム１１６には樹脂製バンド
（図示省略）が張られ、さらにクッション材（図示省
略）が接着されている。

【００２０】そして、上記背抜き部１０３は、背当て用
のクッション材を適宜に成形することにより形成し、延
設部１０４は座面用のクッション材を適宜に成形するこ
とにより形成し、載置部１０５は延設部１０４の周囲の
上フレーム１１１及び樹脂製バンドにより構成してい
る。

【００２１】従って、上記第２実施例においても、図１
０ないし図１２に示すように背当て１０２を起こせば背
当て付きの長椅子となり、図１３に示すように背当て１
０２を倒すと上面がほぼ平坦なベッドになる。そして、
背当て１０２を倒したときの座面１０１と背当て１０２
との隙間寸法を小さく設定しても、背当て１０２を起こ
したときに背抜き部１０３のところでは座面１０１の縁
部と背当て１０２の縁部が干渉しないから、起こすとき
の抵抗が少なくなると共に干渉部分の膨らみも生じな
い。また、前後長を短く設定するべく座面１０１の前後
長を最小寸法に近づけても、使用者の腰部が背抜き部１
０３に入り込んで支持され、且つ臀部が座面延設部１０
４で支持されるから、座り心地が確保される。このた
め、背当て後方に載置部１０５を十分な前後寸法で設定
できるから、背当て１０２を倒したときにこれが安定し
て支持され、前後バランスが向上する。さらに、ラチェ
ット付きジョイント１１７の機能により、所望の傾斜角
度で背当てが止まる。

【００２２】図１４は第３実施例に係るソファーベッド
を示す。この実施例は第２実施例の変形例であって、基
本的に第２実施例と同様の構成を有する。第３実施例独
自の構成は、背抜き部２０３前方の座面２０１の上部
が、内部に空洞部Ｓが形成された座面本体２０１ａから
分離して設けられ、この座面上部２０１ｂがその後端辺
において回動自在に設けられている点である。この第３
実施例においては、第２実施例で得た作用、効果に加え
て、座面上部２０１ｂの前辺を持ち上げると後端辺を中
心に座面上部２０１ｂが回動して空洞部Ｓが開き、収納
部として機能する。その場合、後端辺付近は背抜き部２
０３に逃げるから背当て２０２と干渉せず、座面上部２
０１ｂの開閉をスムーズに行うことができる。さらに、
座面上部２０１ｂの後端を公知のラチェット付きジョイ
ントを介して上フレームに連結したときには、座面上部
２０１ｂの前辺を持ち上げたときに所定角度で維持され
るから、空洞部Ｓへの物の出し入れが容易である。

【００２３】以上３つの実施例において補助椅子及びソ
ファーベッドで説明したが、本発明は背当てを起こせば
椅子になり背当てを倒すと上面がほぼ平坦になる家具で
あれば広く適用できるものである。

【００２４】

【発明の効果】以上説明したように、請求項１の背抜き
家具によれば、背当てを起こせば椅子になり背当てを倒
すと上面がほぼ平坦になる家具において、背当てを倒し
たときには座面と背当てとの隙間寸法を小さくできて使
い心地を大幅に向上させることができると共に、背当て
を起こすときの抵抗を小さくでき、且つ座面と背当てと
の干渉を防止して背当てを起こしたときの見栄え及び座
り心地の向上を図ることができる。また、背当てを起こ
したときのコンパクト性を追求しても、背抜き部及び座
面延設部で使用者の座り心地を確保できるから座面の前
後長を最小寸法に近づけることができ、しかも背当て後
方の載置部により、倒した背当てを支持して前後バラン
スを向上できる。

【００２５】請求項２の背抜き家具によれば、ラチェッ
ト付きジョイントの機能により、さらに所望の傾斜角度
で背当てを止めるリクライニング機能を具備させること
ができる。

【００２６】請求項３の背抜き家具によれば、さらに座
面を利用して軽くスムーズに開閉できる収納部を得るこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】背当てを起こした第１実施例を正面からみて左
後上方よりみた斜視図、

【図２】同じく左前上方よりみた斜視図、

【図３】背当てを起こした第１実施例を外装材を剥した
状態で示す左側面図、

【図４】同じく平面図、

【図５】図４におけるＶ−Ｖ線断面図、

【図６】図４におけるＶＩ−ＶＩ線断面図、

【図７】背当てを倒した第１実施例の図１相当図、

【図８】同じく図３相当図、

【図９】同じく図４相当図、

【図１０】背当てを起こした第２実施例を正面からみて
右後上方よりみた斜視図、

【図１１】同じく右前上方よりみた斜視図、

【図１２】第２実施例のフレーム構成を図１１と同様の
角度よりみた斜視図、

【図１３】背当てを倒した第２実施例の図１０相当図、

【図１４】背当てを起こして座面上部を持ち上げた第３
実施例を正面からみて左前上方よりみた斜視図である。

【符号の説明】

１ 座面 ２ 背当て ３ 背抜き部 ４ 延設部 ５ 載置部 １１ 上フレーム １２ 下フレーム １３ 縦フレーム １６ 背当てフレーム １７ ラチェット付きジョイント １８ 連結フレーム １０１ 座面 １０２ 背当て １０３ 背抜き部 １０４ 延設部 １０５ 載置部 １１１ 上フレーム １１２ 下フレーム １１３ 縦フレーム １１６ 背当てフレーム １１７ ラチェット付きジョイント １１８ 連結フレーム ２０１ 座面 ２０２ 背当て ２０１ａ 座面本体 ２０１ｂ 座面上部 ２０３ 背抜き部 Ｓ 空洞部

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】座面の後部に背当てを回動軸まわりに起こ
   し又は倒せるように設け、上記背当てに背抜き部を開口
   し、上記座面を背抜き部を通して背当て後方まで延設す
   ると共に、この延設部の周囲に、倒れた背当てを座面と
   ほぼ面一になるよう支持する載置部を設けたことを特徴
   とする背抜き家具。
2. 【請求項２】座面及び背当てが、棒材を連結してなるフ
   レームと、これに被着されたクッション材とを備え、背
   当てのフレームがラチェット付きジョイントを介して座
   面のフレームに連結されている請求項１記載の背抜き家
   具。
3. 【請求項３】背抜き部前方の座面の上部が、内部に空洞
   部が形成された座面本体から分離して設けられ、この座
   面上部がその後端辺において回動自在に設けられている
   請求項１記載の背抜き家具。