JPH08306627A - 有機イリジウム化合物 - Google Patents

有機イリジウム化合物

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JPH08306627A
JPH08306627A JP10954195A JP10954195A JPH08306627A JP H08306627 A JPH08306627 A JP H08306627A JP 10954195 A JP10954195 A JP 10954195A JP 10954195 A JP10954195 A JP 10954195A JP H08306627 A JPH08306627 A JP H08306627A
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篤 齋
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正光 佐藤
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 MOCVD法によるイリジウム薄膜及びイリ
ジウム酸化物薄膜の形成に際し、気化速度が均一で、気
化の際の熱安定性に優れ、しかも、室温で液体の、高純
度イリジウム薄膜及びイリジウム酸化物薄膜形成用有機
イリジウム化合物を提供する。 【構成】 下記式(I)で表されるMOCVD法イリジ
ウム薄膜及びイリジウム酸化物薄膜形成用有機イリジウ
ム化合物。 【化4】 【効果】 立体障害の大きなメチル基をシクロオクタジ
エン環上に有し、これにより、イリジウム金属への分解
反応を抑えているために、従来の有機イリジウム化合物
よりも、安定した気化速度を得ることが可能になると共
に、優れた揮発性及び熱安定性を示す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はイリジウム薄膜又はイリ
ジウム酸化物薄膜を形成するための有機イリジウム化合
物に係り、特に、半導体装置の配線材料等として有用な
イリジウム薄膜又はイリジウム酸化物薄膜を有機金属化
学蒸着法(Metalorganic Chemical Vapor Deposition:
以下「MOCVD法」と称す。)により形成するに際し
て、蒸着原料として用いるのに適した有機イリジウム化
合物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、半導体装置の配線材料等の各種イ
リジウム薄膜をMOCVD法により形成するに際して用
いられるイリジウム蒸着原料としては、下記構造式(I
I)で表される(メチルシクロペンタジエニル)(1,
5−シクロオクタジエン)イリジウム(I)からなる有
機イリジウム化合物が知られている。
【0003】
【化2】
【0004】このような蒸着原料を用いてMOCVD法
によりイリジウム薄膜を形成するには、例えば、図1の
概略説明図に示す如く、反応炉8内に設けたヒーター7
上に基板6を置き、一方、この反応炉8と連接して設け
た加熱炉3内で、気化容器2内の上記有機イリジウム化
合物からなる蒸着原料1を気化させ、得られた蒸気を配
管4から導入されるAr,N2 等のキャリアガスで反応
炉8内に送給して拡散させ、また、反応ガスとして水素
ガス等の還元性ガスを、配管5から反応炉8に導入する
ことにより、各々、イリジウムを加熱基板6上に析出さ
せる。図中、9は真空引配管、Pは圧力計、M1 ,M2
は流量制御器である。この方法は熱分解型MOCVD法
と称される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の熱分解
型MOCVD法に蒸着原料として従来用いられている前
記構造式(II)で示される有機イリジウム化合物は、融
点が38.5〜40℃で、室温では固体であり、液体マ
スフローコントローラーを用いた原料の供給を行うため
には、加熱が必要である。室温で固体の蒸着原料を図1
に示す気化容器2内で気化させる場合には、気化速度の
正確な制御が困難であり、基板表面上に形成されるイリ
ジウム又はイリジウム酸化物薄膜の堆積速度が不均一と
なる。また、上記従来の有機イリジウム化合物は、気化
における加熱の際に、気化容器2内にて気化の他に熱分
解反応を起こすなど、熱安定性にも問題がある。
【0006】近年、半導体装置の高集積化から、これに
適用されるイリジウム又はイリジウム酸化物薄膜は増々
薄膜化される傾向にあるが、上述の如く、従来の有機イ
リジウム化合物では、この薄膜化に対応する均一かつ緻
密な膜厚の制御が困難であることから、その改良が望ま
れている。
【0007】本発明は上記従来の問題点を解決し、熱分
解型MOCVD法等のMOCVD法によるイリジウム薄
膜及びイリジウム酸化物薄膜の形成に際し、気化速度が
均一で、気化の際の熱安定性に優れ、しかも、室温で液
体の、高純度イリジウム薄膜及びイリジウム酸化物薄膜
形成用有機イリジウム化合物を提供することを目的とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の有機イリジウム
化合物は、下記構造式(I)で表される(メチルシクロ
ペンタジエニル)(1,5−ジメチル−1,5−シクロ
オクタジエン)イリジウム(I)である。
【0009】
【化3】
【0010】即ち、本発明者らは上述の観点から、熱分
解型MOCVD法を含め、その他のMOCVD法により
イリジウム薄膜及びイリジウム酸化物薄膜を作製するに
際して、気化速度が均一で、かつ気化の際の熱安定性に
優れ、しかも、室温で液体の、高純度なイリジウム薄膜
及びイリジウム酸化物薄膜形成用蒸着原料を見出すべく
研究を行った結果、上記構造式(I)で表される有機ジ
イリジウム化合物は室温で液体であり、しかも、この有
機イリジウム化合物を蒸着原料として用いると、前記構
造式(II)で表される従来の有機イリジウム化合物に比
べて、安定した気化速度を得ることが可能になると共
に、優れた揮発性及び熱安定性を示すという知見を得、
本発明を完成させた。
【0011】本発明に係る有機イリジウム化合物は、例
えば、後掲の実施例に示されるように、1,5−ジメチ
ル−1,5−シクロオクタジエンイリジウムクロライド
2量化物と、ナトリウムメチルシクロペンタジエニドと
を反応させることにより合成することができる。
【0012】このような本発明の有機イリジウム化合物
は、従来の有機イリジウム化合物と同様の操作で熱分解
型MOCVD法等のMOCVD法による蒸着原料として
用いることができる。このMOCVD法による成膜に当
り、原料ガスと同時に送給する反応ガスとして、前述の
如く、水素等の還元性ガスを用いた場合にはイリジウム
薄膜を、また、酸素等の酸化性ガスを用いた場合には、
イリジウム酸化物薄膜を形成することができる。
【0013】
【作用】前記構造式(I)で表される有機イリジウム化
合物は室温付近で液体である。また、この有機イリジウ
ム化合物は、配位子の1つとして用いる1,5−ジメチ
ル−1,5−シクロオクタジエン配位子が、立体障害の
大きなメチル基をシクロオクタジエン環上に有し、これ
により、イリジウム金属への分解反応を抑えているため
に、従来の有機イリジウム化合物よりも、安定した気化
速度を得ることが可能になると共に、優れた揮発性及び
熱安定性を示す。
【0014】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明する。
【0015】実施例1 [有機イリジウム化合物の合成] [(1,5−ジメチル−1,5−シクロオクタジエン)
Ir(μ−Cl)] 10g(13.74mmol)に十分に窒素脱気を行っ
た乾燥テトラヒドロフラン500mlを注ぎ−78℃に
冷却した。反応系を−78℃に冷却したままナトリウム
メチルシクロペンタジエニド3.1g(30.36mm
ol)のテトラヒドロフラン溶液を激しく撹拌しながら
1滴づつ滴下ロートより滴下した。反応系を室温に戻し
30分間撹拌した後、アルゴン気流下で濾過し、濾液を
35℃の減圧下で留去し、黄色の液体を得た。精製は、
ペンタンで抽出後、減圧下で蒸留を行い、明黄色の液体
である前記構造式(I)で示される本発明有機イリジウ
ム化合物:(メチルシクロペンタジエニル)(1,5−
ジメチル−1,5−シクロオクタジエン)イリジウム
(I)を6.2g得た。
【0016】得られた有機イリジウム化合物の同定は、
NMR、マススペクトル分析及び元素分析により行っ
た。
【0017】1H−NMR(CDCl ):δH=
5.01(t,2H,CH)、5.20(br,2H,
CH)、1.82(s,3H,CH3 )、1.9(m,
4H,CH2 )、1.75(m,4H,CH2 )、3.
62(br,2H,CH2 )、1.2(s,3H,CH
3 ) MS(El=30eV):M/Z=407、M/Z=3
28、M/Z=271元素分析:Ir 47.2%(理
論値47.16%)、C 47.1%(理論値47.1
5%)、H 5.7%(理論値5.69%) また、比較の目的で1,5−ジメチル−1,5−シクロ
オクタジエン化合物の代わりに、1,5−シクロオクタ
ジエン化合物を用いたこと以外は同一の条件で、前記構
造式(II)に示される従来の有機イリジウム化合物を合
成した。
【0018】得られた本発明有機イリジウム化合物及び
従来有機イリジウム化合物の気化特性を評価する目的で
熱重量曲線(昇温速度10℃/min,乾燥アルゴン雰
囲気)を図2,3に示した。
【0019】[イリジウム薄膜の蒸着]本発明有機イリ
ジウム化合物及び従来有機イリジウム化合物を各々用い
て、図1に示す装置により、熱分解型MOCVD法に従
って、下記条件にてイリジウム薄膜の作製を行い、10
分毎の膜厚を測定した。膜厚は、膜の断面SEM像から
測定した。この測定結果を表1に示した。なお、得られ
たイリジウム膜中の酸素量は<1%、炭素量は<1%と
高純度なイリジウム膜であった。
【0020】基板;25mm角のSi基板上にTiNを
100nm厚さにスパッタ法により蒸着したもの 基板温度;240℃ 気化温度;90℃ 圧力;1.5torr キャリアガスの流量;80ccmのAr 反応ガスの流量;50ccmのH2
【0021】
【表1】
【0022】[イリジウム酸化物薄膜の蒸着]本発明の
有機イリジウム化合物を用い、反応ガスを水素から酸素
に変え、下記条件としたこと以外は、前述のイリジウム
薄膜の蒸着と同様に行って、上記イリジウム膜の成膜に
より、200nm厚さにイリジウム薄膜を形成した基板
上に、酸化イリジウム膜の作製を行い、オージェ分光法
により膜の分析を行ったところ、酸化イリジウム膜中の
炭素量は<1%と高純度な酸化イリジウム膜であった。
【0023】基板;Ir(膜厚200nm)/スパッタ
TiN(膜厚100nm)/Si基板 基板温度;350℃ 気化温度;90℃ 圧力;1.5torr キャリアガスの流量;80ccmのAr 反応ガスの流量;50ccmのO2 [考察]図2,3に示される結果から次のことが明らか
である。即ち、本発明有機イリジウム化合物は室温から
約165℃までの温度で完全に気化させることが可能で
あるが、一方、従来有機イリジウム化合物は気化終了の
際、約8%程の残留物が生成している。このことから、
本発明有機イリジウム化合物は、気化の際の熱安定性に
優れることが明らかである。
【0024】また、表1より、次のことが明らかであ
る。即ち、本発明有機イリジウム化合物は、成膜時間に
対しほぼ一定の割合で膜厚が増加し、かつ、その成膜速
度も従来有機イリジウム化合物に比べて速いのに対し、
従来有機イリジウム化合物の場合は、成膜時間において
30分を超えた頃から成膜量の減少傾向が顕著になる。
【0025】なお、本発明有機イリジウム化合物を用い
た場合は、図1に示す装置の気化容器内には分解イリジ
ウムの生成が見られなかったのに対し、従来有機イリジ
ウム化合物の場合には分解イリジウムの生成が認められ
た。これより、本発明有機イリジウム化合物は、気化容
器内で分解することなしに成膜時間に対し一定の速度で
気化し、また、従来有機イリジウム化合物より気化の際
の熱安定性、揮発性に優れた有機イリジウム化合物であ
ることがわかる。
【0026】本発明の有機イリジウム化合物であれば、
成膜に当り、反応ガスとして水素を用いた時には、高純
度なイリジウム膜を形成でき、また、反応ガスとして酸
素を用いた場合には高純度な酸化イリジウム膜を形成で
きるため、反応ガスの選択を行うことにより、容易に、
イリジウム又はイリジウム酸化物の単層膜のみならず、
イリジウム薄膜又は酸化イリジウム薄膜の積層膜を基板
上に成膜することができる。
【0027】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明の蒸気圧の高
い有機金属化学蒸着によるイリジウム薄膜及びイリジウ
ム酸化物薄膜形成用有機イリジウム化合物は、室温で液
体であるため、MOCVD法による成膜に当り、液体供
給方式により、容易に、蒸着原料の定量供給を行うこと
ができる。しかも、安定な気化速度を有し、かつ気化の
際の熱安定性に優れているため、MOCVD法により、
半導体装置の配線材料等として有用な、均一かつ緻密な
高純度イリジウム薄膜又は酸化イリジウム薄膜を効率的
に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】熱分解型MOCVD法を説明する装置の概略断
面図である。
【図2】本発明有機イリジウム化合物の熱重量曲線を示
すグラフである。
【図3】従来有機イリジウム化合物の熱重量曲線を示す
グラフである。
【符号の説明】
1 蒸着原料 2 気化容器 3 加熱炉 4 キャリアガス導入配管 5 反応ガス導入配管 6 基板 7 ヒーター 8 反応炉 9 真空引配管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小木 勝実 埼玉県大宮市北袋町1丁目297番地 三菱 マテリアル株式会社中央研究所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 化学蒸着によってイリジウム又はイリジ
    ウム酸化物の薄膜を形成するための有機イリジウム化合
    物であって、下記構造式(I)で表わされる有機イリジ
    ウム化合物。 【化1】
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6512297B2 (en) 1998-05-07 2003-01-28 Mitsubishi Denki Kabushiki Kaisha CVD source material for forming an electrode, and electrode and wiring film for capacitor formed therefrom
US7605093B2 (en) 1997-11-10 2009-10-20 Advanced Technology Materials, In.C Method of fabricating iridium-based materials and structures on substrates, and iridium source reagents therefor

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US7605093B2 (en) 1997-11-10 2009-10-20 Advanced Technology Materials, In.C Method of fabricating iridium-based materials and structures on substrates, and iridium source reagents therefor
US6512297B2 (en) 1998-05-07 2003-01-28 Mitsubishi Denki Kabushiki Kaisha CVD source material for forming an electrode, and electrode and wiring film for capacitor formed therefrom

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