JPH08305198A - 定着用加熱ローラ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 表面温度が均一で、製造が容易な定着用加熱
ローラを提供する。 【構成】 本定着用加熱ローラは、円筒状の耐熱性基材
の外周面上に抵抗発熱部材を形成し、その外側にトナー
の付着を防止するための付着防止層を形成したものであ
り、前記付着防止層はインサート成形により形成され、
抵抗発熱部材は導電性樹脂によるスクリーン印刷により
形成されている。また、抵抗発熱部材は、所定の形状で
蛇行する帯状の抵抗部材により構成され、耐熱性基材の
両端部には、抵抗部材と同材料で連続するように形成さ
れた電極が設けられている。更には駆動力が伝達される
回転駆動用ギアが、付着防止層と同材料で一体成形され
ている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、被記録媒体に付着した
トナーを加熱定着する定着用加熱ローラに関するもので
ある。

【０００２】

【従来の技術】従来、複写機、或いはプリンタ等のトナ
ーを用いた画像記録装置は、記録機構、定着機構、搬送
機構等を備えており、記録機構により画像信号に基づい
たトナーを搬送された被記録媒体に付着させた後、定着
機構に設けられた定着用加熱ローラにより加熱すること
により定着させるようになっている。

【０００３】ところで、前記定着用加熱ローラとして
は、定着時に短時間で所定の定着可能な温度（例えば、
１３０℃）に加熱し得るように抵抗発熱体を設け、この
抵抗発熱体に対してローラ本体に設けた電極を介して電
力を供給することで、発熱させるようにしたものが種々
提案されている。

【０００４】例えば、特開昭６２−２７９３７８号公報
には、ローラ本体の外周面に被記録媒体上のトナーの付
着を防止する付着防止層が形成される一方、ローラ本体
の内周面に均一な厚さを有する抵抗発熱体層が形成さ
れ、更にはこの抵抗発熱体層に内側から接触するリング
状のブラシを有する給電部材が左右一対に設けられるこ
とにより、これら一対の給電部材の間隔を駆動機構を介
して調節することで、記録処理される記録媒体の用紙幅
に応じたローラ部分だけを効率よく加熱するようにした
定着ローラ装置が提案されている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たような特開昭６２−２７９３７８号公報に記載される
定着ローラ装置においては、ローラ本体の内周面に抵抗
発熱体層を絶縁するための絶縁層を形成し、その絶縁層
の内周面に抵抗発熱体を固着させるので、絶縁層を形成
する作業工程に加えて、抵抗発熱体を固着させる作業工
程が必要となること、一対の給電部材を移動させるため
の駆動機構が複雑化し、製作コストが高くなること、定
着機構が大型化することなどの問題があった。

【０００６】ところで一般的に、回転駆動される定着ロ
ーラの軸方向両端部の温度は、放熱量が大きく、その中
央部分の温度より低くなる傾向にあることから、両端部
の発熱量を大きくして、定着ローラ全体の温度分布を均
一化させる必要がある。このためには、両端部になるほ
ど、抵抗発熱体層の厚さが薄くなるように構成したり、
より大きな発熱量を発熱可能な材料を組み合わせて構成
したりする必要があるが、定着ローラの温度分布を均一
化できる抵抗発熱体層の製作が複雑化し、価格が高くな
るという問題があった。

【０００７】そこで、抵抗発熱体層を所定の形状で蛇行
する帯状の抵抗部材により構成することも考えれられる
が、小さな径であるローラ本体の内周面に帯状の抵抗部
材を所定のパターンに精度よく蛇行させて取り付ける作
業は非常に複雑であり、多大な作業時間を要するという
問題があった。

【０００８】本発明は、上述した問題点を解決するため
になされたものであり、製造が簡単で、且つ温度分布を
自由に調整できる定着用加熱ローラを提供することを目
的としている。

【０００９】

【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、本発明の定着用加熱ローラは、円筒状の耐熱性基材
の外周面上に抵抗発熱部材が形成されるとともに、その
外側にトナーの付着を防止するための付着防止層が形成
されている。

【００１０】また、付着防止層はインサート成形により
形成することが望ましい。

【００１１】一方、抵抗発熱部材は導電性樹脂からな
り、スクリーン印刷により形成されていてもよい。

【００１２】更には、抵抗発熱部材が、所定の形状で蛇
行する帯状の抵抗部材により構成され、耐熱性基材の両
端部には、抵抗部材と同材料で連続するように形成され
た電極が設けられていることが望ましい。

【００１３】また、抵抗部材がステンレス鋼、或いは銅
の箔膜により構成されていてもよい。

【００１４】また、定着用加熱ローラは、駆動力が伝達
される回転駆動用ギアが、付着防止層と同材料で一体成
形いても差し支えない。

【００１５】更には、付着防止層は、素材が三ふっ化塩
化エチレン、六ふっ化エチレンプロピレン、ふっ化ビニ
リデンのいずれかからなっていることが望ましい。

【００１６】

【作用】上記の構成を有する本発明の定着用加熱ローラ
は、抵抗発熱部材に供給される駆動電流により抵抗発熱
部材が発熱し、その熱が付着防止層に伝達されることに
よりローラ全体が熱を帯び、被記録媒体上のトナーと接
触し、それを加熱することにより定着させる。

【００１７】ここにおいて、円筒状の耐熱性基材の外周
面上に抵抗発熱部材が形成されるとともに、その外側に
トナーの付着を防止するための付着防止層を形成された
構成であるので、製造が簡単である。

【００１８】また、付着防止層がインサート成形により
形成されていれば、密着性を向上させることができる
上、製造をより簡単にすることができる。

【００１９】一方、抵抗発熱部材が導電性樹脂からな
り、スクリーン印刷により形成されていれば、更に容易
に製造することができる。

【００２０】また、抵抗発熱体が、所定の形状で蛇行す
る帯状の抵抗部材で構成され、ローラ本体の両端部に
は、その抵抗部材に連続するように、抵抗部材と同じ材
料で形成された電極が設けられていれば、定着用加熱ロ
ーラの全域にわたって発熱させることができる。この
時、抵抗部材を蛇行パターンやローラ本体の両端部ほど
大きな発熱量となるようなパターンとするなどのパター
ン設計を容易に行うことができるとともに、ローラ本体
の両端部や中央部分の温度分布を自由に調整できる。

【００２１】更には、電極部が抵抗部材と連続するよう
に形成されていれば、リング状電極などを別途設けるこ
となく、抵抗部材と電極部とを一体的に形成でき、しか
もこれら抵抗部材と電極部の電気的接触が良好となる。

【００２２】また、抵抗発熱部材がステンレス鋼、或い
は銅の箔膜で構成されていれば、エッチング処理などで
簡単に製作することができ、しかも軽量で、かつ耐久性
に優れたものにすることができる。

【００２３】また、駆動力が伝達される回転駆動用ギア
が、付着防止層と同材料で一体成形されていれば、製造
工程を簡略化できる。

【００２４】また、付着防止層の素材が、三ふっ化塩化
エチレン、六ふっ化エチレンプロピレン、ふっ化ビニリ
デンのいずれかであれば、トナーの加熱定着時におい
て、トナーとの剥離性が良いため、トナーが付着するこ
とがない。

【００２５】

【実施例】以下、本発明の一実施例について図面に基づ
いて説明する。

【００２６】本実施例は、複写機やプリンタなどの画像
記録装置に設けられた定着機構に組み込まれた定着用加
熱ローラに本発明を適用したものである。

【００２７】図１、図２に示すように、定着用加熱ロー
ラ１０は、電気絶縁性を有する耐熱性基材１２と、その
外周面上に形成される抵抗発熱部材１４と、更にその外
側をにトナーとの剥離性が良好な樹脂でインサート成形
によって形成される付着防止層１６ａおよび駆動用ギア
１６ｂとから構成されている。

【００２８】続けて、各部の詳細について説明すると、
耐熱性基材１２は、外形２０ｍｍ、肉厚１〜２ｍｍ程度
の円筒形状のものであり、材質としてはアルミナなどの
セラミックの他、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニ
レンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトンが好適
に利用可能なものである。

【００２９】抵抗発熱部材１４は、後述する駆動電流が
供給されることにより発熱し得るものであり、材料とし
てはカーボンを分散したポリイミドなどの導電性樹脂、
またはステンレス鋼か銅の箔膜などを用いることができ
る。

【００３０】付着防止層１６ａは、厚さ約１０〜２０μ
ｍ程度のものであり、材質としては、トナーとの剥離性
が良好な三ふっ化塩化エチレン、六ふっかエチレンプロ
ピレン、ふっ化ビニリデンのいずれかを用いることがで
き、この材質を使用することにより、定着処理時におけ
る被記録媒体上のトナーの付着を防止することができる
ようになっている。

【００３１】駆動用ギア１６ｂは、定着用加熱ローラ１
０の左側部に形成され、図示しないギアと噛合すること
により、定着用加熱ローラ１０を回転させるための駆動
力が駆動源から伝達されるものであり、上記付着防止層
と同材料で一体成形されるものである。

【００３２】そして、上記の構成からなる定着用加熱ロ
ーラ１０は、図３に示すように、ゴム製の押圧ローラ２
０に押圧接触するとともに、図示外の軸支機構により本
体フレームに回転可能に軸支され、定着用加熱ローラ１
０と押圧ローラ２０との間に搬送された記録媒体Ｐ上に
付着したトナーを押圧しながら加熱して定着するように
なっている。

【００３３】次に、抵抗発熱部材１４の製造方法につい
て簡単に説明すると、まず初めに、耐熱性基材１２上に
３０〜５０μｍの厚さを有するステンレス鋼の箔膜を貼
着し、所定の蛇行パターンおよび両端の電極に対応した
図４に示すようなレジストをステンレス鋼の箔膜上にス
クリーン印刷で塗布する。その後、エッチング処理を行
い、レジストを除去することで完成となる。

【００３４】ここにおいて、抵抗発熱部材１４上には定
着に必要な熱量を供給する抵抗部材１４ａと、抵抗部材
１４ａの両端に連接された電極部１４ｂが同時に形成さ
れる。

【００３５】これにより、新たに、金属などによるリン
グ状電極を設置する必要はない。

【００３６】次に、上述のように構成される定着用加熱
ローラ１０の加熱作用を図３を用いて説明する。

【００３７】左右両側の電極部１４ｂと接触するように
設けられる摺動電極２２、２４から駆動電流が供給され
ると、その駆動電流は電極部１４ｂを通して抵抗部材１
４ａに供給されることにより、抵抗部材１４ａが発熱す
る。このとき、抵抗部材１４ａの左右両端部における抵
抗線幅は、その中央部分の抵抗線幅よりも幅狭に形成さ
れていることから、発熱量が大きくなることにより、定
着用加熱ローラ１０の、特に左右両端部における加熱温
度が低くなるのを防止することができるため、定着用加
熱ローラ１０の全体にわたって均一な温度分布で発熱す
ることができる。そして、抵抗発熱部材１４の熱が、付
着防止層１６ａに伝達されることにより、定着用加熱ロ
ーラ１０と押圧ローラ２０との間に搬送された記録媒体
Ｐに付着したトナーが加熱され、記録媒体Ｐに定着され
る。

【００３８】以上詳述した本発明の定着用加熱ローラに
ついて、今少し説明を加えると、本実施例においては抵
抗発熱部材１４としてステンレス鋼を用いたが、銅を用
いることも可能である。この場合、銅は半田付けが容易
であるため、抵抗発熱部材１４への電力供給用の電極を
容易に設けることが出来る。ただし、銅はステンレス鋼
よりも抵抗値が小さいため、エッチングパターンはステ
ンレス鋼よりも細長くする必要がある。さらに、銅は酸
化性が高いため、抵抗発熱部材１４にポリイミドフィル
ム等でカバーコートすることが望ましい。その他、必要
であれば、鉄その他の金属で抵抗発熱部材１４を形成す
ることも可能である。

【００３９】また、本実施例においては、抵抗部材１４
ａのパターンを２つの帯状の蛇行パターンとして説明し
たが、３つ以上の帯状パターンでもかまわないし、抵抗
発熱部材１４のシート抵抗値および抵抗部材１４ａの適
正な発熱量分布に応じて、適したパターンを形成するこ
とも容易にできる。

【００４０】尚、本発明の技術的思想の範囲内におい
て、前記実施例に関し、既存の技術や当事者に自明の技
術に基いて種々の変更を加えることも有り得、抵抗発熱
部材を備えた各種の定着用加熱ローラに本発明を適用し
得ることはもちろんである。

【００４１】

【発明の効果】以上説明したことから明らかなように、
本発明の定着用加熱ローラは、円筒状の耐熱性基材の外
面上に抵抗発熱部材が形成されるとともに、その外側に
トナーの付着を防止するための付着防止層を形成された
ものであるので、製造が非常に簡単となる。

【００４２】また、付着防止層をインサート成形により
形成すれば、密着性を向上させることができるととも
に、製造をより簡単にすることができる。

【００４３】また、抵抗発熱部材を導電性樹脂で、スク
リーン印刷により形成すれば、更に容易に製造すること
が可能となる。

【００４４】また、抵抗発熱部材を、所定の形状で蛇行
する帯状の抵抗部材で構成し、ローラ本体の両端部に、
その抵抗部材と連続するように、抵抗部材と同じ材料で
形成された電極が設ければ、定着用加熱ローラの全域に
わたって発熱させることができる。この時、抵抗部材を
蛇行パターンやローラ本体の両端部ほど大きな発熱量と
なるようなパターンにするなどのパターン設計を行うこ
とが容易であり、ローラ本体の両端部や中央部分の温度
分布を自由に調整することができる。

【００４５】更に、電極部は抵抗部材と連続するように
形成すれば、リング状電極などを別途設けることなく、
抵抗部材と電極部とを一体的に形成することができ、し
かもこれら抵抗部材と電極部の電気的接触が良好とな
る。

【００４６】また、抵抗発熱部材をステンレス鋼、或い
は銅の箔膜で構成すれば、エッチング処理などで簡単に
製作することができるとともに、軽量で、かつ耐久性に
優れたものにすることができる。

【００４７】また、駆動力が伝達される回転駆動用ギア
を付着防止層と同材料で一体成形すれば、製造工程を簡
略化することができる。

【００４８】また、付着防止層の素材として、三ふっ化
塩化エチレン、六ふっ化エチレンプロピレン、ふっ化ビ
ニリデンのいずれかを用いれば、トナーの加熱定着時に
おいて、トナーとの剥離性が良いため、トナーが付着す
ることがない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の定着用加熱ローラの構成の説明に供す
る図である。

【図２】図１に示す定着用加熱ローラを真横から見た図
である。

【図３】定着用加熱ローラの動作の説明に供する図であ
る。

【図４】定着用加熱ローラに用いられる発熱抵抗部材を
表す図である。

【符号の説明】

１０ 加熱ローラ １２ 耐熱性基材 １４ 抵抗発熱部材 １４ａ 抵抗部材 １４ｂ 電極部 １６ａ 付着防止層 １６ｂ 駆動用ギア

Claims (7)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 被記録媒体に付着したトナーを加熱して
   定着させる定着用加熱ローラにおいて、 円筒状の耐熱性基材の外周面上に抵抗発熱部材を形成す
   るとともに、その外側にトナーの付着を防止するための
   付着防止層を形成したことを特徴とする定着用加熱ロー
   ラ。
2. 【請求項２】 前記付着防止層をインサート成形により
   形成したことを特徴とする請求項１記載の定着用加熱ロ
   ーラ。
3. 【請求項３】 前記抵抗発熱部材が導電性樹脂からな
   り、スクリーン印刷により形成されるものであることを
   特徴とする請求項１、或いは請求項２記載の定着用加熱
   ローラ。
4. 【請求項４】 前記抵抗発熱部材が、所定の形状で蛇行
   する帯状の抵抗部材により構成され、前記耐熱性基材の
   両端部には、前記抵抗部材と同材料で連続するように形
   成された電極が設けられていることを特徴とする請求項
   １、或いは請求項２記載の定着用加熱ローラ。
5. 【請求項５】 前記抵抗部材がステンレス鋼、或いは銅
   の箔膜により構成されていることを特徴とする請求項４
   記載の定着用加熱ローラ。
6. 【請求項６】 駆動力が伝達される回転駆動用ギアを、
   前記付着防止層と同材料で一体成形したことを特徴とす
   る請求項１乃至請求項５記載の定着用加熱ローラ。
7. 【請求項７】 前記付着防止層の素材として、三ふっ化
   塩化エチレン、六ふっ化エチレンプロピレン、ふっ化ビ
   ニリデンのいずれかを用いたことを特徴とする請求項１
   乃至請求項６記載の定着用加熱ローラ。