JPH08303368A - スクロール気体圧縮機 - Google Patents

スクロール気体圧縮機

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JPH08303368A
JPH08303368A JP8153961A JP15396196A JPH08303368A JP H08303368 A JPH08303368 A JP H08303368A JP 8153961 A JP8153961 A JP 8153961A JP 15396196 A JP15396196 A JP 15396196A JP H08303368 A JPH08303368 A JP H08303368A
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oil
pressure
compression
scroll
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Katsuharu Fujio
勝晴 藤尾
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 過圧縮時の圧縮室隙間密封解除とそれ以外の
時に圧縮室隙間を密封する簡易構成のスクロール気体圧
縮機の実現が要求されていた。 【解決手段】 旋回スクロール18への潤滑油による背
圧付勢力を弱めに設定して、旋回スクロール18を固定
スクロール15およびスラスト軸受20のいずれでも支
持できる形態として、旋回スクロールラップ18aの先
端と固定スクロールラップ15aの先端のいずれか一方
にのみ渦巻状のチップシール94を設けたものである。
したがって、圧縮機定常負荷運転時には旋回スクロール
18が固定スクロール15に適正軸方向接触して圧縮室
隙間の密封を図り、圧縮室内が異常圧力上昇した際に旋
回スクロール18が固定スクロール15から離反し、チ
ップシール94の無い側のスクロールラップの圧縮室軸
方向隙間を広げて圧縮気体漏れを迅速に成して、圧力の
瞬時低下による圧縮負荷を軽減できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はスクロール気体圧縮
機の圧縮室の密封および解除による圧縮負荷軽減装置と
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】低振動、低騒音特性を備えたスクロール
圧縮機は、吸入室が外周部にあり、吐出ポートが渦巻の
中心部に設けられ、圧縮流体の流れが一方向で往復動式
圧縮機や回転式圧縮機のような流体を圧縮するための吐
出弁を必要とせず圧縮比が一定で、吐出脈動も小さくて
大きな吐出空間を必要としないことから、各分野への利
用展開の実用化研究が成されている。
【0003】しかし、圧縮室のシール部分が多いので圧
縮流体の漏れが多く、特に、家庭空調用冷媒圧縮機のよ
うな少排除容量のスクロール気体圧縮機の場合などは、
圧縮部の漏れ隙間を小さくするために渦巻部の寸法精度
を極めて高くする必要がある。しかしながら、部品形状
の複雑さに起因して、渦巻部寸法精度バラツキなどによ
り、スクロール気体圧縮機のコストが高く、性能のバラ
ツキも大きく、特に圧縮機低速運転状態では、圧縮途中
の気体漏れ率が多く、圧縮効率が往復動式圧縮機や回転
式圧縮機よりも低いという欠点を有している。
【0004】そこで、この種の課題解決のための方策と
して、圧縮途中の気体漏れ防止のために、潤滑油を利用
した油膜シール効果により渦巻部寸法精度の適正化と圧
縮効率向上を期待することが大きく、特開昭57−83
86号公報にも記載されているように、圧縮途中の圧縮
室に潤滑油を適量注入し、潤滑油の油膜で圧縮室の隙間
を密封し、上記欠点を改善する提案が成されている。
【0005】特に、冷凍空調分野においてはスクロール
冷媒圧縮機の実用化がなされ、パッケージエアコン、チ
ラーユニット等の一吸入行程当りの冷媒容積が比較的大
きい中型〜大型クラスの圧縮機に関しては、種々の改善
が成され既に量産化も実現している。
【0006】しかしながら、以下に述べるような重要な
課題を残している。図25は、密閉ケース内を高圧空間
とした構成の中型〜大型クラスのスクロール冷媒圧縮機
の圧縮室密封をより改善した構造例である。同図は、圧
縮部と吐出室1031が上部に、モータ(電動要素)が
下部に、油溜が底部に、圧縮機の最終出口である吐出配
管1042がモータ(電動要素)の近傍に配置された構
成で、吐出室1031で吐出冷媒ガスと潤滑油とが分離
の後、潤滑油は油抜き穴1035、1036を通してモ
ータ(電動要素)を収納する空間に戻り、底部の油溜に
収集されると共に、吐出冷媒ガスは吐出室1031の上
部から別の通路を通してモータ(電動要素)を収納する
空間を経由しモータ(電動要素)を冷却の後、再び、吐
出配管1042から排出される。また、圧縮室の軸方向
隙間を少なくするために、旋回スクロール1006の鏡
板1004が、駆動軸(クランクシャフト)1008を
支持し且つ固定スクロール1003を固定した本体フレ
ーム(フレーム)1009と固定スクロール1003と
の間に油膜形成が可能な微小隙間で配置される一方、密
閉ケース(チャンバー)1013の底部の吐出圧力が作
用する潤滑油を駆動軸(クランクシャフト)1008の
内部に設けた揚油穴1019、本体フレーム(フレー
ム)1009の軸受の隙間、駆動軸(クランクシャフ
ト)1008のクランク軸部の隙間を経由させて軸受摺
動面を潤滑した後、旋回スクロール1006の背面に設
けた背圧室1025に、その経路途中で減圧した中間圧
力の潤滑油を流入させ、その中間圧力の潤滑油とクラン
ク軸上部の高圧の潤滑油とで旋回スクロール1006を
固定スクロール1003の側に背面付勢する。この背面
付勢力は、吸入圧力と吐出室1031の圧力に多少の変
動がある場合でも、圧縮室冷媒ガス圧力に抗して、旋回
スクロール1006を常に固定スクロールから離れない
ように大きめに設定されている。
【0007】更に、背圧室1025の潤滑油は、旋回ス
クロール1006の鏡板1004に設けられた背圧孔1
017を介して圧縮途中の圧縮室1015に流入の後、
圧縮室1015の隙間を油膜で密封しながら吸入冷媒ガ
スと共に圧縮・吐出され、吐出室1031に吐出され
る。
【0008】なお、圧縮機起動初期などのように密閉ケ
ース1013内の圧力上昇が小さくて、背圧室1025
への差圧給油ができない状態では、旋回スクロール10
06の鏡板1004に設けられた背圧孔1017を介し
て圧縮途中の圧縮室1015から背圧室1025に圧縮
途中冷媒ガスを導き、その冷媒ガス圧力で旋回スクロー
ル1006を固定スクロールに背圧付勢して常に圧縮室
の密封を図る技術思想の構成である(特開昭56−16
5788号公報)。
【0009】また、圧縮室の密封を更に改善するため
に、図26〜図28に示す如く、旋回スクロール113
0を固定スクロール1110と本体フレーム(ハウジン
グ)148との間に挟持して配置した構成で、旋回スク
ロール1130の背面に圧縮機の外部から流体通路12
10を介して導入した中間圧力の流体を付勢し、旋回ス
クロール1130を固定スクロール1110の側に押圧
すると共に、これら両スクロールの渦巻状のラップ11
32、1116の先端に設けた渦巻状の溝1146(図
27、図28参照)にバネ1170、1181で付勢さ
れた渦巻状のチップシール(シール部材)1117、1
118を装着して、旋回スクロール1130の鏡板(端
板)1131の表面1133と固定スクロール1110
の固定スクロールラップ(ラップ)1116の先端との
間、および固定スクロール1110の鏡板(端板)11
11の表面1136と旋回スクロール1130の旋回ス
クロールラップ(ラップ)1132の先端1149との
間をシールする圧縮室密封優先の構成がある(米国特許
第3994636号の明細書)。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の図25の構成では、圧縮機停止後も圧力バランスす
るまでの残存差圧によって密閉ケース(チャンバー)1
013の底部の潤滑油が圧縮室1015に流入し充満す
る。この状態で圧縮機再起動時には、圧縮途中潤滑油が
背圧室1025に流入して旋回スクロール1006を固
定スクロールに背圧付勢して圧縮室1015の密封を解
除できない状態で、圧縮室1015内で油圧縮現象が生
じ、圧縮機起動不能や圧縮機破損が生じるという課題が
あった。また、圧縮機定常運転時に圧縮室圧力が異常上
昇した際にも同様の課題があった。
【0011】一方、図26のように、圧縮室隙間をより
一層密封させる構成では、圧縮室での液圧縮発生に起因
して旋回スクロール1130が固定スクロール1110
から軸方向に離れて圧縮室の軸方向密封を解除しようと
する際、両端のチップシール(シール部材)1117、
1118が圧縮室の密封解除を阻止し、その結果、圧縮
室での液圧縮が継続して異常圧力上昇が生じ、圧縮機起
動不能や圧縮機破損を一層拡大させるという課題があっ
た。
【0012】また、特開昭59−176486号公報お
よび同公報に記載の特開昭55−46081号公報と特
開昭55−125386号公報からは、旋回スクロール
の反圧縮室側をスラスト軸受で支持し、高圧の潤滑油を
減圧して最終的に吸入室に差圧給油する一方、旋回スク
ロールの旋回スクロールラップ(ラップ)の先端を上記
図28のような渦巻状のチップシール(シール部材)を
装着して圧縮室を密封優先する組合せ構成が提案されて
いる。しかしながら、この構成では旋回スクロールが圧
縮室の軸方向隙間を拡大する方向に移動できないので、
圧縮機起動初期の油圧縮現象を回避することが一層困難
になる課題があった。
【0013】一方、上記の課題解決の方策として、圧縮
室圧力が異常上昇時に圧縮室と吐出室との間を開通さ
せ、過負荷を軽減させる手段が提案されている。
【0014】すなわち、図29、図30に示す如く、密
閉ケース(密閉容器)1701に固定された本体フレー
ム(フレーム)1704にオルダムリング1712を介
して支持された旋回スクロール(可動スクロール)17
09の旋回スクロールラップ(うず巻き体)1710の
先端にチップシール1710cが装着されて圧縮室隙間
を密封する。そして、固定スクロール1705の鏡板
(端板)1706に、圧縮室1715の側から吐出室1
716の側へのみの流体流出を許容する複数の逆止弁装
置1725が配設され、この逆止弁装置は圧縮室171
5が異常圧力上昇した時に圧縮室1715と吐出室17
16との間を開通させる。更に、圧縮機始動初期などの
温度が低い状態で圧縮室1715と吐出室1716との
間を開通させる形状記憶特性機能を備えており、圧縮機
始動初期と圧縮室異常圧力上昇時に圧縮室圧力を低下さ
せ、圧縮負荷を軽減すべく工夫されたスクロール空気圧
縮機の構成である(実特開平1−63790号公報)。
【0015】しかしながら、上記構成は複数の逆止弁装
置1725を配設するためのコスト上昇を招く。
【0016】また、現実的には、逆止弁装置1725を
配設することによって、圧縮室1715に圧縮死空間が
生じ、この圧縮死空間に残留する圧縮気体が再膨張して
圧縮効率の低下を招くという課題があり、低コストで且
つ圧縮室の密封と解除を簡単に構成できるスクロール気
体圧縮機の実現が望まれていた。
【0017】本発明はこのような従来の課題を解決する
ものであり、圧縮機定常運転時には圧縮室隙間の密封を
図り、圧縮室内が異常圧力上昇した際に圧縮室の軸方向
隙間からの圧縮流体漏れを迅速に成して、圧力の瞬時低
下による圧縮負荷を軽減することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明は、旋回スクロールを背圧付勢すべく吐出圧力
が作用する吐出室油溜から反圧縮室側に導いた潤滑油の
一部を最終的に圧縮室に供給する逆流の生じない給油通
路を設けた構成において、旋回スクロールへの背圧付勢
力を弱めに設定して、旋回スクロールを固定スクロール
および旋回スクロールの反圧縮室側に配置しスラスト軸
受のいずれでも支持できる形態として、旋回スクロール
ラップの先端と固定スクロールラップの先端のいずれか
一方にのみ渦巻状のチップシールを設けたものである。
【0019】上記旋回スクロールへの背圧付与とチップ
シールの配設によって、圧縮効率の向上と過負荷軽減機
構を実現できる。
【0020】
【発明の実施の形態】上記の課題を解決するための請求
項1記載の発明は、旋回スクロールのラップ支持円盤の
反圧縮室側に吐出ポートに通じ且つモータを収納するモ
ータ室の下部に配設された吐出室油溜の潤滑油を導入し
て、旋回スクロールを固定スクロールの側に背圧付勢す
ると共に、反圧縮室側に導入した潤滑油の一部が駆動軸
を支持する本体フレームに設けたスラスト軸受およびラ
ップ支持円盤と鏡板との摺接面を潤滑し、且つ、圧縮室
と吸入室のいずれか一方への流入のみを許容された給油
通路を形成し、ラップ支持円盤が油膜を介して固定スク
ロールの鏡板に接触した状態で、旋回スクロールラップ
の先端と固定スクロールとの間、および、固定スクロー
ルラップの先端と旋回スクロールとの間が少なくとも油
膜形成可能な軸方向微小隙間を有する構成において、圧
縮機起動初期を含めた圧縮機極低速運転時の如く吸入圧
力と吐出圧力との差圧が小さい場合に、ラップ支持円盤
が主として駆動軸を支持する本体フレームに設けたスラ
スト軸受に支持され、圧縮機定格運転を含めた定常運転
時の如く吸入圧力と吐出圧力との差圧が大きい場合に、
ラップ支持円盤が主として固定スクロールの鏡板に支持
されるべく、旋回スクロールへの背圧付勢を設定する一
方、渦巻状のチップシール溝とそのチップシール溝に遊
合状態で配設される渦巻状のチップシールを、旋回スク
ロールラップと固定スクロールラップのいずれか一方の
みの先端に設けたものである。そして、この構成によれ
ば圧縮機停止中、吐出室油溜の潤滑油や気体の凝縮液が
圧縮室に流入・充満した状態で、圧縮機が起動し液圧縮
が生じる場合でも、旋回スクロールが固定スクロールか
ら離反して圧縮室軸方向密封がチップシールを配設しな
い側で解除して圧縮室圧力が低下し、圧縮負荷が軽減す
るので圧縮機始動性が良くなる。また、圧縮機定常運転
時には、旋回スクロールが固定スクロールと軸方向接触
に近い状態になり、チップシールが設けられているスク
ロールラップの先端は勿論のこと、チップシールが設け
られていないスクロールラップの先端の隙間が最小にな
って圧縮室軸方向隙間を潤滑油膜で密封する。
【0021】圧縮室圧力が異常圧力上昇した場合も圧縮
機始動時と同様に旋回スクロールが作動し圧縮負荷が軽
減する。
【0022】請求項2記載の発明は、固定スクロールの
鏡板とスラスト軸受との間に配置された旋回スクロール
のラップ支持円盤が、鏡板からスラスト軸受の側に離反
する許容最大移動量を約70ミクロンに規制したもので
ある。そして、この構成によれば圧縮機起動初期の液圧
縮などの過圧縮によって旋回スクロールが固定スクロー
ルから最大で約70ミクロン離反して圧縮室圧力を低下
させ、スラスト軸受に支持された状態で、低入力での起
動運転が開始できる。約70ミクロンの圧縮室軸方向隙
間は圧縮室隙間の有効な油膜形成と圧縮立ち上がりが可
能な最大許容範囲で、最終圧縮圧力が除々に昇圧して吐
出室油溜の圧力が高まり、旋回スクロールへの背圧付勢
力も大きくなり、旋回スクロールが固定スクロールの側
に付勢されて圧縮室隙間が密封され、正常運転が継続す
る。圧縮室圧力が異常上昇して旋回スクロールが固定ス
クロールから離反した場合は、圧縮室圧力が瞬時に低下
するが、旋回スクロールへの背圧付与力に大きな変動が
生ぜず、起動初期と同様に正常運転に復帰できる。
【0023】請求項3記載の発明は、旋回スクロールの
ラップ支持円盤が固定スクロールの鏡板とスラスト軸受
の間で挟持される隙間が、少なくとも約20ミクロンを
確保すべく設定されたものである。そして、この構成に
よれば旋回スクロールが高速旋回運動する際に、ラップ
支持円盤の両側摺接面に潤滑油膜が形成され、ラップ支
持円盤の円滑な摺接運動と過圧縮時の負荷軽減を有効に
作用させることが可能になる。
【0024】
【実施例】
(実施例1)以下、本発明により第1の実施例のスクロ
ール冷媒圧縮機について、図1〜図15を参照しながら
説明する。
【0025】図1において、1は鉄製の密閉ケースで、
その内部が旋回スクロール18と噛み合って圧縮室を形
成する固定スクロール15をボルト固定し且つ駆動軸4
を支持する本体フレーム5により、上側のモータ室6と
下側のアキュームレータ室46とに仕切られている。
【0026】モータ室6は高圧雰囲気で、上部にモータ
3、下部に圧縮部を配置し、モータ3の回転子3aを連
結固定した駆動軸4を支持する本体フレーム5は、摺動
特性と溶接性に優れた共晶黒鉛鋳鉄製で、その外周面部
に設けられた突起条部79aが上部密閉ケース1aと下
部密閉ケース1bの内壁面と端面とに当接しており、突
起条部79aと上部密閉ケース1aと下部密閉ケース1
bとが単一の溶接ビード79bによって密封溶接されて
いる。
【0027】駆動軸4は本体フレーム5の上端部に設け
られた上部軸受11、中央部に設けられた主軸受12、
本体フレーム5の上端面に設けられ且つ放射状の複数の
浅溝7を有するスラスト軸受部13とで支持され、駆動
軸4の主軸から偏心した下端部のクランク軸14が旋回
スクロール18に設けられた旋回ボス部18eの旋回軸
受18bに係合している。
【0028】固定スクロール15は、その熱膨張係数が
純アルミニウムと共晶黒鉛鋳鉄との中間の値に相当する
高珪素アルミニウム合金製で、図14に示すような渦巻
状の固定スクロールラップ15aと鏡板15bから成
り、鏡板15bの中央部には、固定スクロールラップ1
5aの巻始め部で開口する吐出ポート16がモータ室6
に開通する吐出通路80に連通して設けられ、固定スク
ロールラップ15aの外周部には吸入室17が設けられ
ている。
【0029】反旋回スクロール側の鏡板15b上には、
吐出ポート16を覆うように逆止弁装置50が取り付け
られ、その逆止弁装置50は図3〜図6で詳描するよう
に、その外周部を数箇所切り欠いた形状の薄板鋼板から
成る弁体50b(または不連続な環状穴50eaを有す
る弁体50e)と、逆止弁穴50aと中央穴50gとそ
の周りの複数の吐出小穴50hを有した弁ケース99
と、弁体50bと弁ケース99との間に介在するバネ装
置50cとから成る。バネ装置50cは、それ自身の温
度が50℃を超えると収縮し、それ自身の温度が50℃
以下で伸長する形状記憶特性を有するもので、圧縮機運
転中は吐出冷媒ガス圧を受けて逆止弁穴50aの底面ま
で収縮し、それ自身の温度が50℃以下の状態にある圧
縮機停止中は吐出ポート16を塞ぐべく弁体50を鏡板
15bに押圧するように設定されている。
【0030】図1および図14に示すように、固定スク
ロールラップ15aに噛み合って圧縮室側壁を形成する
渦巻状の旋回スクロールラップ18aと、駆動軸4のク
ランク軸14に係合した旋回ボス部18eを直立させた
ラップ支持円盤18cとから成るアルミニウム合金製の
旋回スクロール18は、固定スクロール15と本体フレ
ーム5とに囲まれて配置されており、ラップ支持円盤1
8cおよび旋回スクロールラップ18aの表面は多孔質
ニッケルメッキなどの硬化処理が成されている。図3に
示すように、旋回スクロールラップ18aの先端には渦
巻状のチップシール溝98が設けられて、そのチップシ
ール溝98には樹脂製のチップシール98aが微少隙間
を有して装着されている。旋回スクロール18が固定ス
クロール15の軸方向側に押圧されたとき、ラップ支持
円盤18cの平面部は固定スクロールラップ15aの先
端に接するが、旋回スクロールラップ18aの先端は固
定スクロール15に接することなく数ミクロン程度の微
少距離を保っている。
【0031】吐出通路80(図1参照)は、逆止弁装置
50を覆うように鏡板15b上に取り付けられた吐出カ
バー2aと鏡板15bによって形成される吐出室2、固
定スクロール15に設けられたガス通路B80b、本体
フレーム5に設けられたガス通路A80a、主軸受12
を囲うように本体フレーム5に取り付けられた吐出ガイ
ド81と本体フレーム5によって形成される吐出チャン
バー2bとから成り、ガス通路A80a、ガス通路B8
0bはそれぞれ対象位置に設けられている(図14参
照)。
【0032】吐出ガイト81の上面には図7のように、
多数の小穴81aが設けられている。
【0033】冷凍サイクルの蒸発器側に通じるアキュー
ムレータ室46は、下部密閉ケース1bと固定スクロー
ル15と本体フレーム5とで形成され、それに連通する
吸入管47が下部密閉ケース1bの側面に設けられ、そ
の吸入管47に対向する位置からそれぞれ約90度隔て
た位置の2箇所で吸入穴43が固定スクロール15に設
けられている(図14参照)。
【0034】アキュームレータ室46の底部の低圧油溜
46aと吸入穴43とは吐出カバー2aに設けられた油
吸い込み穴A9a、固定スクロール15に設けられた細
径の油吸い込み穴B9bとで連通しており、これら油吸
い込み穴(9a、9b)は低圧油溜46aに滞溜してい
る冷媒液や潤滑油が吸入穴43を冷媒ガスが通過する際
の負圧発生によって吸い上げられるように設定されてい
る。
【0035】本体フレーム5に固定された割りピン形の
平行ピン19によって回転方向の移動を拘束されて軸方
向にのみ移動が可能な平板形状のスラスト軸受20は、
ラップ支持円盤18cと本体フレーム5との間に配置さ
れており、スラスト軸受20と本体フレーム5との間に
介在する環状のシールリング(ゴム製)70(図10参
照)の弾性力によって本体フレーム5と固定スクロール
15との間の鏡板取り付け面15b1に当接している。
【0036】旋回スクロール18のラップ支持円盤18
cに摺接する鏡板摺動面15b2から鏡板取り付け面1
5b1迄の高さはラップ支持円盤18cの油膜による摺
動部のシール性向上のために、ラップ支持円盤18cの
厚さよりも約0.015〜0.020mm大きく設定さ
れている。
【0037】図1、図8に示すように、旋回スクロール
18の旋回ボス部18eの本体フレーム5側端面には旋
回軸受18bの中心と同芯の環状シール溝95が設けら
れ、その環状シール溝95には、図9に示すような、そ
の一部を切断して切口94bを有し、柔軟性を有する樹
脂製の環状リング94が装着されている。環状リング9
4の外周面は、圧縮機運転時に環状リング94の熱膨張
と環状リング94の内側の潤滑油圧力によって、環状シ
ール溝95の側面に密接すると共に、環状リング94の
外周面に対して傾斜角度を有する切口94bが互いに密
着すべく配置されている。環状リング94は、駆動軸4
を支持する主軸受12の側の油室A98aの側から旋回
スクロール18、本体フレーム5、スラスト軸受20に
よって形成される旋回スクロール18の背圧室39への
過剰な漏洩を防ぐようにシールしている。
【0038】環状のスラスト軸受20は穴成形が容易な
焼結合金製で、図10、図11で示すように、割りピン
19が可動挿入される2つのガイド穴93と環状油溝9
2、油穴91とを有しており、本体フレーム5のスラス
トリング溝90に装着されている。
【0039】本体フレーム5とスラスト軸受20との間
には約0.05mm程度のレリース隙間27が設けら
れ、レリース隙間27の内側と外側にはシールリング7
0を装着する環状溝28が設けられている。シールリン
グ70はレリース隙間27と背圧室39との間をシール
している。
【0040】レリース隙間27は、本体フレーム5に設
けられたスラスト背圧導入穴A89aと固定スクロール
15に設けられたスラスト背圧導入穴B89bとによっ
て、最終圧縮行程の第3圧縮室60b(図14参照)に
連通している。
【0041】図1、図2に示すように、スラスト軸受2
0の内側に配置された旋回スクロール18の自転阻止部
材(以下、オルダムリングと称する)24は、焼結成形
や射出成形工法などに適した軽合金や強化繊維複合材か
ら成り、平らなリングの両面に互いに直交する平行キー
形状のキー部を備えたもので、上面側のキー部は本体フ
レーム5に設けられたキー溝71aに、下面側のキー部
はラップ支持円盤18cに設けられたキー溝71に係合
し、摺動する。
【0042】オルダムリング24のリングの厚さはオル
ダムリング24が往復運動する際に、本体フレーム5と
ラップ支持円盤18cとの間で円滑に摺動し且つジャン
ピング現象が生じないように設定されている。
【0043】上部密閉ケース1aの上端壁の外周部には
吐出管31、中央部にはモータ電源接続用のガラスター
ミナル88が取り付けられている。
【0044】吐出管31およびガラスターミナル88の
側とモータ3の側とを上部密閉ケース1aに取り付けら
れた油セパレータ87が仕切っている。駆動軸4の段付
き部によって軸方向に位置決めされたモータ3の回転子
3aは上部バランスウエイト75と共に駆動軸4にボル
ト固定され、上部バランスウエイト75は円盤形状を成
し、その外径は回転子3aの外径より大きく設定されて
いる。
【0045】回転子3aの下端に取り付けられた下部バ
ランスウエイト76と吐出ガイド81との間には本体フ
レーム5に取り付けられた遮閉板86が下部バランスウ
エイトに接近して配置されている。
【0046】モータ室6の下部に設けられた吐出室油溜
34は、モータ3の固定子3bの外周の一部を切り欠い
て設けた冷却通路35によりモータ室6の上部と連通さ
れている。
【0047】また、吐出室油溜34は、本体フレーム5
に設けられた油穴A38aを介して主軸受12と旋回軸
受18bとの中間位置の油室A78aにも通じている。
【0048】図1、図8に示すように、駆動軸4の摺動
軸部4aおよびクランク軸14の表面には、駆動軸4が
正回転する時、油室A78aの潤滑油が旋回軸受18b
とクランク軸14とで形成される油室B78bおよびモ
ータ3側にネジポンプ給油される方向に螺旋状油溝41
a、41bが設けられて、その上端はスラスト軸受部1
3にまで達している。
【0049】油室B78bと主軸受12面とは駆動軸4
に設けられた給油穴73aによって連通され、上部軸受
11と主軸受12との間の油溜り72と背圧室39とは
本体フレーム5に設けられた絞り通路部を有する油穴B
38bによって連通され、油穴B38bの背圧室39側
開口端は環状リング94に設けられた不連続な油溝94
aに間欠的に開通すると共に、環状リング94によって
間欠的に開閉される位置に設けられている。
【0050】図1、図10、図14図に示すように、背
圧室39は、吸入室17に間欠的に通じる第1圧縮室6
1a、61bが吸入冷媒ガス閉じ込み完了前の約180
度の旋回角度範囲内で、スラスト軸受20に設けられた
油穴91、ラップ支持円盤18cの外側の外周部空間3
7、ラップ支持円盤18cに設けられた油穴C38c、
対称位置に配設された細径のインジェクション穴52
a、52bによって構成されるインジェクション通路7
4によって第1圧縮室61a、61bと連通しており、
スラスト軸受20に設けられた油穴91はラップ支持円
盤18cによって間欠的に開閉される。
【0051】図12、図13に示すように、ラップ支持
円盤18cには背圧室39の圧力を制御する背圧制御弁
装置25が装着されている。
【0052】背圧制御弁装置25は、ラップ支持円盤1
8cの半径方向に設けられて大径部シリンダ26aと小
径部シリンダ26bとから成る段付き形状のシリンダ2
6、そのシリンダ内を可動する段付き形状のプランジャ
ー29、シリンダ26の外周部空間37側の開口端の一
部を塞ぐキャップ32、キャップ32とプランジャー2
9との間に配置されてプランジャー29をクランク軸1
4の側に付勢するコイルバネ53、大径部シリンダ26
aのクランク軸14側と吸入室17とを連通する油穴5
4a、小径部シリンダ26bのクランク軸14側と油室
B78bおよび背圧室39とをそれぞれ連通する油穴5
4b、54cによって構成されている。その作動は、背
圧室39の圧力が適正範囲の時、図12に示すように、
プランジャー29の小径端面が油穴54bのシリンダ側
開口端を塞ぎ、背圧室39の圧力が不足の時、図13に
示すように、プランジャー29の大径部を境界とするプ
ランジャー29の両側に作用する付勢力差によってプラ
ンジャー29が外周部空間37の側に移動し、油穴54
bのシリンダ側開口端が開かれ、油室B78bと背圧室
39とが通じるべくコイルバネ53の付勢力およびシリ
ンダ26の各部寸法が設定されている。
【0053】なお55は、プランジャー29の小径外周
部をシールするために小径部シリンダ26bに装着され
たO−リングである。
【0054】図15において、横軸は駆動軸4の回転角
度を示し、縦軸は冷媒圧力を示し、吸入・圧縮・吐出過
程における冷媒ガスの圧力変化状態を示し、実線62は
正常圧力で運転時の圧力変化を示し、点線63は異常圧
力上昇時の圧力変化を示す。
【0055】以上のように構成されたスクロール冷媒圧
縮機について、その動作を説明する。
【0056】図1〜図15において、モータ3によって
駆動軸4が回転駆動すると、旋回スクロール18は、駆
動軸4のクランク機構によって駆動軸4の主軸周りに回
転しようとするが、オルダムリング24の旋回スクロー
ル18の側のキー部(図2参照)が旋回スクロール18
のキー溝71に係合し、反対側のキー部が本体フレーム
5のキー溝71a(図1参照)に係合しているので自転
を阻止され、公転運動をして固定スクロール15と共に
圧縮室の容積を変化させ、冷媒ガスの吸入・圧縮作用を
行う。
【0057】そして、圧縮機に接続した冷凍サイクルか
ら潤滑油を含んだ気液混合の吸入冷媒が、吸入管47か
らアキュームレータ室46に流入し、固定スクロール1
5の鏡板15bの外側面に衝突の後、アキュームレータ
室46の上部空間を経由して、二箇所の吸入穴43(図
14参照)を通じて吸入室17に流入する。
【0058】一方、気体と液体の重量差や流入方向転換
時の慣性力によって冷媒ガスから分離した液冷媒や潤滑
油はアキュームレータ室46の底部に一旦、収集され、
吸入冷媒ガスが吸入穴43を通過する際に生じる負圧に
よって油吸い込み穴A9a、油吸い込み穴B9bを介し
て霧化状態で吸入穴43に吸い上げられ、再び吸入冷媒
ガスに混入する。
【0059】気液分離された吸入冷媒ガスは、吸入室1
7、旋回スクロール18と固定スクロール15との間に
形成された第1圧縮室61a、61b(図14参照)を
経て圧縮室内に閉じ込められ、第2圧縮室51a、51
b、第3圧縮室60a、60bへと順次移送圧縮の後、
中央部の吐出ポート16から逆止弁室50aに吐出さ
れ、吐出室2、ガス通路B80b、ガス通路A80a、
吐出チャンバー2bを順次経由してモータ室6へと吐出
される。
【0060】圧縮完了直後に第3圧縮室60a、60b
と吐出ポート16が開通することによって、圧縮冷媒ガ
スは、第3圧縮室60a、60bから逆止弁室50aに
流入する際に急激な一次膨張が生じ、その直後の吐出完
了行程から圧縮開始行程までの間に逆止弁室50aの吐
出冷媒ガスが一時的に第3圧縮室60a、60bに逆流
する。
【0061】その結果、冷媒ガスは、間欠的に第3圧縮
室(60a、60b)からの流出・第3圧縮室(60
a、60b)への流入を繰り返しながら、全体の流れと
して第3圧縮室(60a、60b)から吐出室2へと流
出するが、逆止弁室50a、吐出室2の吐出冷媒ガスは
第3圧縮室(60a、60b)への流入・流出の際に圧
力変動が生じて脈動現象を呈する。
【0062】吐出冷媒ガスは逆止弁装置50の吐出小穴
50hを介して吐出室2を構成する球面状の壁面に向か
って流出する際の二次膨張、更に球面状の壁面に衝突し
て均等分散する。その後、更に対称位置に配設された二
つの吐出通路80が吐出チャンバー2b、モータ室6で
合流することによって、各吐出通路80からの吐出ガス
脈動が互いに減衰し合う作用と、第三次、第四次膨張に
よって更に順次減衰し、モータ室6の圧力変動はほとん
ど無い状態になる。
【0063】なお、吐出冷媒ガスが吐出室2から逆止弁
室50aに瞬時的に逆流する際、その流れに追従して弁
体50bが吐出ポート16を塞ぐ方向に移動しようとす
るが、圧縮機運転中は、周囲の温度によって形状記憶特
性を有するコイルバネ50cが全収縮して弁体50bへ
の付勢を及ぼさないと共に、磁性を帯びた弁体50bが
逆止弁室50aの底面に吸着して離反せず、弁体50b
が吐出ポート16を塞がない。
【0064】吐出ガイド81の小穴81aから分散して
モータ室6に排出した吐出冷媒ガスは、環状の遮閉板8
6、モータ3の巻線に衝突した後、ステータ3bの外側
部の冷却通路35や内側部の通路を経てモータ3を冷却
しながらモータ室6の上部側部へと流れ、吐出管31か
ら外部の冷凍サイクルへ送出される。
【0065】この際、吐出冷媒ガス中の潤滑油は、その
一部がモータ3の下部の巻線の表面に付着して冷媒ガス
から分離して吐出室油溜34に収集するが、上部バラン
スウエイト75、下部バランスウエイト76の外周部を
通過する吐出冷媒ガス中の潤滑油は、上部バランスウエ
イト75、下部バランスウエイト76の回転によって遠
心分離され、モータ3の巻線の内側表面へと拡散され、
巻線束の内部空間に沿って下部へ流下し、吐出室油溜3
4に収集する。
【0066】最終圧縮行程の圧縮室(圧縮室が吐出ポー
ト16に通じる直前行程の圧縮空間)に通じるスラスト
軸受20の背面側のレリース隙間27は、圧縮開始後の
時間経過と共に高圧冷媒ガスで充満される。その背圧付
勢とシールリング70の弾性力によって、スラスト軸受
20は固定スクロール15の鏡板取り付け面15b1に
押接される。それによって、旋回スクロール18のラッ
プ支持円盤18cは鏡板摺動面15b2とスラスト軸受
20との間で挟持(15〜20ミクロンの組立隙間)さ
れる。
【0067】吐出室油溜34の潤滑油は、後述する経路
を経て油室A78aと油室B78bおよび背圧室39に
流入し、次第に旋回スクロール18への背圧付与力が大
きくなる。
【0068】モータ室6の圧力上昇に追従して、ラップ
支持円盤18cは除々に固定スクロール15の鏡板摺動
面15b2に適度な押圧力で接触する。固定スクロール
ラップ15aの先端と旋回スクロール18のラップ支持
円盤18cとの間の隙間が無くなり、それによって圧縮
室が密封され、吸入冷媒ガスが効率良く圧縮されて、安
定運転が継続する。
【0069】なお、旋回スクロールラップ18aの先端
と固定スクロール15の鏡板15bとの間の軸方向隙間
は、圧縮途中冷媒ガスが隣室の低圧側圧縮室に漏洩する
際に、チップシール溝98(図3参照)に流入し、その
ガス背圧力によってチップシール98aがチップシール
溝98aの低圧縮側面および固定スクロール15の鏡板
15bに押圧されることによってシールされる。
【0070】圧縮機停止の際に、圧縮室内冷媒ガスの圧
力差に基づく逆流によって、旋回スクロール18が瞬時
的に逆旋回運動するが、冷媒ガスが圧縮室から吸入室1
7に逆流することから、旋回スクロール18は図14の
ように、第1圧縮室61a、61bが吸入室17に通じ
た状態の旋回角度で停止する。図8のように、この停止
状態では環状リング94が背圧室39への潤滑油流入口
を塞ぐ。
【0071】また圧縮機停止の際に、圧縮室の冷媒ガス
が吸入室17へ逆流することによって吐出ポート16の
冷媒ガス圧力が急低下し、吐出ポート16と吐出室2と
の冷媒ガス圧力差によって弁体50bが吐出ポート16
を塞ぎ、吐出室2から圧縮室への吐出冷媒ガスの連続的
な逆流を阻止する。
【0072】圧縮機停止直後の一時的な吐出冷媒ガスの
逆流と旋回スクロール18の逆旋回によって、磁性を帯
びた弁体50bが逆止弁室50aの底面から離脱し、冷
凍サイクルが圧力バランスするまでの間、圧力差によっ
て弁体51bが吐出ポート16を塞ぎ続ける。それと並
行して形状記憶特性を有するコイルバネ50が温度低下
して伸長し、コイルバネ50の付勢力によって弁体50
bが吐出ポート16を閉塞し続ける。
【0073】吸入室17と間欠的に連通する第1圧縮室
61a、61bと背圧室39とは第1圧縮室61a、6
1bが閉じ込み完了前の180度以内の範囲にある時に
のみスラスト軸受20に設けられた油穴91(図10参
照)を介して連通すると共に、スラスト軸受20とラッ
プ支持円盤18cとの間は潤滑油膜でシールされるの
で、圧縮室から背圧室39に圧縮途中冷媒ガスが逆流す
ることはない。
【0074】圧縮機長時間停止中は圧縮機内圧力が均衡
し、アキュームレータ室46は勿論のこと、圧縮室内に
まで液冷媒が流入しており、圧縮機冷時起動初期には液
圧縮が生じ易く、圧縮室内の液圧縮冷媒圧力によって吐
出ポート16と反対方向のスラスト力が旋回スクロール
18に作用する。その結果、旋回スクロール18が固定
スクロール15から軸方向に離反し、圧縮負荷が軽減す
る。
【0075】一方、圧縮機冷時起動初期の背圧室39の
圧力は吐出室油溜34の潤滑油の圧力上昇が低いことか
ら、ほぼ吸入圧力相当である。その結果、旋回スクロー
ル18のラップ支持円盤18cは圧力上昇の低い油室A
78aの潤滑油によってのみ背圧付与される状態で、鏡
板摺動面15b2から離反してスラスト軸受20まで後
退し支持され、ラップ支持円盤18cと固定スクロール
ラップ15aの先端との間に隙間(約0.015〜0.
020ミクロン)が生じ、圧縮室圧力が低下し、起動初
期の圧縮負荷が軽減する。
【0076】万一、連続運転中に、圧縮室内で液圧縮な
どが生じて瞬時的に圧縮室圧力が異常上昇した場合など
には、旋回スクロール18に作用するスラスト力が旋回
スクロール18の背面に作用する背圧付勢力よりも大き
くなり、旋回スクロール18が軸方向に移動し、スラス
ト軸受20に支持される。そして、圧縮室の密封が上述
と同様に解除して圧縮室圧力が低下し、圧縮負荷が低下
する。
【0077】なお、背圧室39は、第1圧縮室61a、
61bが吸入冷媒ガス閉じ込み完了前の約180度の旋
回角度範囲内で、スラスト軸受20に設けられた油穴9
1を介して外周部空間37に通じているので、この連通
旋回範囲内で液圧縮が生じることがない。
【0078】したがって、圧縮室での液圧縮発生を含め
た如何なる圧縮機運転状態において、背圧室39への圧
縮室の冷媒ガスの逆流が回避され、圧縮負荷軽減を阻害
することはない。
【0079】圧縮機冷時始動初期の吐出室油溜34の潤
滑油は、駆動軸4に設けられた螺旋状油溝41a、41
bのネジポンプ作用によって、油穴A38aを経由して
油室A78aに吸い込まれる。
【0080】その後、潤滑油の一部は螺旋状油溝41
b、油室B78b、給油穴73aを順次経由途中で旋回
軸受18bの摺動面を潤滑し、主軸受12の摺動面に供
給され、油溜り72に送出される。
【0081】螺旋状油溝41aによって主軸受12に供
給された潤滑油は、油室B78bを経由してきた潤滑油
と共に油溜り72で合流した後、潤滑油の一部は油穴B
38b(図8参照)の絞り通路部で減圧されて背圧室3
9に間欠給油され、残りの潤滑油は上部軸受11とスラ
スト軸受部13の各摺動面を潤滑の後、吐出室油溜34
に再回収される。
【0082】なお、モータ室6の冷媒ガスは、上部軸受
11を通過する潤滑油によって、油溜り72への逆流が
阻止される。
【0083】圧縮機冷時始動後の時間経過に追従してモ
ータ室6の吐出冷媒ガス圧力は上昇し、吐出室油溜34
の潤滑油は背圧室39との間の差圧によっても油室A7
8aに供給され、螺旋状油溝41a、41bのネジポン
プ作用と併せて背圧室39に給油される。背圧室39の
圧力は次第に高くなり、油室A78aの吐出圧力相当の
潤滑油圧力との合成力が旋回スクロール18のラップ支
持円盤18cに作用する。その結果、圧縮室の冷媒ガス
圧力によって旋回スクロール18を固定スクロール15
から離反させようと作用するスラスト荷重が相殺され、
旋回スクロール18に作用するスラスト力が軽減する。
【0084】したがって、圧縮機冷時始動後のモータ室
6の圧力上昇が低い間は、油室A78aと背圧室39の
潤滑油圧力による旋回スクロール18への付与力が圧縮
室の冷媒ガス圧力による旋回スクロール18へのスラス
ト荷重よりも小さい。その結果、旋回スクロール18は
固定スクロール15から離反して、シールリング70の
弾性力と最終圧縮行程の圧縮室から導入された冷媒ガス
による背圧を受けるスラスト軸受20に支持される。
【0085】吐出圧力と吸入圧力との差圧が所要圧力を
超えた場合に、油室A78aと背圧室39の潤滑油圧力
による旋回スクロール18への付与力が圧縮室の冷媒ガ
ス圧力による旋回スクロール18へのスラスト荷重より
も大きくなる。そして、旋回スクロール18は固定スク
ロール15に支持される。
【0086】圧縮室の中心、旋回軸受18eの中心、環
状リング94の中心が各々ほぼ一致した配置構成におい
て、環状リング94は旋回スクロール18と共に旋回運
動をするので、その時の慣性力によって旋回ボス部18
eに設けられた環状シール溝95から飛び出そうとす
る。また、環状リング94は、油室A78aと背圧室3
9との差圧によってその内径を拡張し、熱膨張と併せて
その切口94bを閉じる。これらの作用によって、環状
リング94は本体フレーム5と環状シール溝95の外側
面に押接されると共に、環状リング94の油掻き作用に
よって環状シール溝95と環状リング94との間に潤滑
油が押し込まれ、油室A78aから背圧室39への過剰
な潤滑油漏洩を防止する。
【0087】更に、柔軟性に優れた樹脂製の環状リング
94は、背圧室39と油室A78aとの間の圧力差によ
ってその内径を環状シール溝95の外側面に沿って拡張
し、熱膨張と併せてその切口94bを閉じると共に、環
状シール溝95の外側面に押圧されるので、両空間の間
の漏洩を更に少なくなる。
【0088】なお、環状溝94の表面に設けられた油溝
94aに滞溜する潤滑油の油膜によって環状リング94
と本体フレーム5との間の摺動面を潤滑し、摺動面の磨
耗、摺動抵抗を少なくする。
【0089】圧縮機定常運転時は、高圧の油室A78a
の潤滑油圧力と背圧室39の潤滑油圧力によって旋回ス
クロール18は固定スクロール15の側に背圧付与さ
れ、ラップ支持円盤18cと鏡板摺動面15b2との間
は適度な接触力を保持しながら円滑に摺動し、圧縮室の
軸方向隙間を最小にしている。
【0090】背圧室39に流入した潤滑油は、スラスト
軸受20に設けられた油穴91を介して間欠的に外周部
空間37に流入し、更にラップ支持円盤18cに設けら
れた油穴C38c、細径のインジェクション穴52(図
14参照)を通して漸次減圧され、第1圧縮室61a、
61bに流入する。潤滑油は、その通路途中で各摺動面
を潤滑し、摺動隙間を密封する。
【0091】第1圧縮室61a、61bに注入された潤
滑油は、吸入冷媒ガスと共に圧縮室(圧縮空間)に流入
した潤滑油と合流し、隣接する圧縮室間の微少隙間を油
膜密封して圧縮冷媒ガス漏れを防ぎ、圧縮室間の摺動面
を潤滑しながら圧縮冷媒ガスと共に吐出ポート16を経
てモータ室6に再び吐出される。
【0092】背圧室39を経由する吐出室油溜34から
第1圧縮室61a、61bまでの給油経路において、背
圧室39は吐出圧力と吸入圧力との間の適正な中間圧力
を維持する。
【0093】また、スクロール冷媒圧縮機の圧縮比が一
定であることから、冷時起動直後のように吸入室17と
吐出室2との差圧が小さい場合、あるいは、異常な液圧
縮が生じた場合などは、上述のように旋回スクロール1
8が固定スクロール15から離反し、スラスト軸受20
に支持される。
【0094】しかしながら、背圧付勢されたスラスト軸
受20は、異常上昇した圧縮室圧力荷重を支持できず、
レリース隙間27を減少せる方向に後退して、旋回スク
ロール18のラップ支持円盤18cと固定スクロール1
5の固定スクロールラップ15aの先端との間の軸方向
隙間が拡大する。これにより、圧縮室間に多くの漏れが
生じ、図15の一点鎖線63aで示すように、圧縮室圧
力が圧縮途中で急低下する。
【0095】旋回スクロール18が固定スクロール15
から軸方向に離反する最大距離が約70ミクロンに規制
されているので、ラップ支持円盤18cの両側摺動面の
各隙間に油膜が残留し、外周部空間37と吸入室17と
が直接連通することによる背圧室39の圧力変化が抑制
され、圧縮負荷が瞬時に軽減した後、スラスト軸受20
が瞬時に元の位置に復帰でき、安定運転が再継続する。
【0096】なお、旋回スクロール18がスラスト軸受
20の方へ後退する時、旋回スクロールラップ18aの
先端と固定スクロール15との間の軸方向寸法も拡大す
るが、チップシール98aがその背面のガス圧によって
固定スクロール15の側に押圧されているので、この部
分からの圧縮冷媒ガス漏れはほとんど生じない。
【0097】一方、旋回スクロール18のラップ支持円
盤18cと固定スクロール15の固定スクロールラップ
15bの先端との間の隙間が拡大し、圧縮室内での圧縮
冷媒ガス漏れが生じて、圧縮室圧力が急低下する。
【0098】また、旋回スクロール18と固定スクロー
ル15との間の軸方向隙間部に異物の噛み込みが生じた
場合にも、上述と同様に、スラスト軸受20が後退して
異物を除去する。
【0099】また、冷時起動初期や定常運転時に、瞬時
的な液圧縮が生じた場合の圧縮室圧力は、図15の点線
63のように異常な過圧縮が生じるが、吐出ポート16
に連通する高圧空間容積が大きく、しかも、逆止弁室5
0a、吐出室2、吐出チャンバー2bを順次通過する間
に膨張を繰り返し、モータ室6の圧力変化はほとんど生
じない。
【0100】また、圧縮機運転速度が増加するに伴い単
位時間当りの圧縮室冷媒ガス漏れが少なくなる。その反
面、一旋回運動当りのインジェクション穴52a、52
bの開口時間が短くなり、一旋回運動当りの圧縮室への
油インジェクション量が抑制されて不要な油圧縮が少な
くなると共に、油穴B38bと背圧室39との間の遮断
回数増加による通路抵抗が増加して、油室A78aから
背圧室39への潤滑油流入量も抑制され、背圧室39の
圧力が適切に維持される。
【0101】また、ヒートポンプ冷凍サイクルに組み込
まれて運転中のスクロール冷媒圧縮機は、暖房運転から
除霜運転に切り替わった際、短時間ではあるが、高圧側
が蒸発器に、低圧側が凝縮器側に通じる関係からモータ
室6の圧力が瞬時的に低下する。それに追従して油穴B
38b、油溜り72、油室A78aを順次介してモータ
室6に通じる背圧室39の圧力と外周部空間37の圧力
とが低下する一方、吸入室17と圧縮室の圧力が一時的
に圧力上昇して、適正背圧力を維持できなくなる場合に
は、図12のようにラップ支持円盤18cに設けられた
背圧制御弁装置25のプランジャー29が油室B78b
に通じる油穴54bの潤滑油圧力によって、コイルバネ
53と背圧室39に通じる潤滑油の背圧力に抗して図1
3のように外周部空間37の方へ移動し、油室B78b
と背圧室39とが連通して高圧の潤滑油が背圧室39に
流入し、背圧室39を適正圧力に復帰させ、再び図12
のようにプランジャー29を油室B78bの側に移動さ
せ、油室B78bと背圧室39とが遮断される。
【0102】また、蒸発器側の熱負荷が高く且つ凝縮器
側の凝縮能力が大きい場合には、吸入圧力が比較的高
く、吐出圧力が比較的低い状態で運転される。
【0103】このような場合には、圧縮室圧力が通常運
転時より高くなるので背圧室圧力を通常よりも高くする
必要が有るが、このような場合も上記と同様に、プラン
ジャー29が油室B78bに通じる油穴54bの潤滑油
圧力と油穴54aを介して吸入室17に通じる吸入側の
冷媒圧力とによって、コイルバネ53と背圧室39に通
じる潤滑油の背圧力に抗して図13のように外周部空間
37の方へ移動し、油室B78bと背圧室39とが間欠
的(または部分的)に連通して高圧の潤滑油が背圧室3
9に流入し、背圧室39を適正圧力に維持する。
【0104】当然のことながら、プランジャー29は、
プランジャー29に作用する慣性力および摩擦力の影響
を受けて、外周部空間37の方へ移動しようとして小径
部シリンダ26bと油穴54cとの間の連通面積を広げ
るので、背圧室39の圧力は圧縮機運転速度が増加する
のに追従して高くなる。
【0105】また、上記実施例ではスラスト軸受20の
背面に設けたレリース隙間27に最終圧縮行程中の圧縮
冷媒ガスを導入したが、圧縮最終行程の圧縮室と吐出ポ
ート16とが通じる領域の吐出冷媒ガスをレリース隙間
27に導入してもよい。
【0106】また、上記実施例では旋回スクロール18
のラップ支持円盤18cとスラスト軸受20との間の摺
動隙間を潤滑油の油膜のみでシールしたが、発明者が特
願昭63−159996号公報で提案しているような、
環状リング(82)をラップ支持円盤18cの背面側に
装着し、背圧室39と外周部空間37との間の摺動部隙
間のシール性能を向上してもよい。
【0107】なお、図8では、油穴B38bと背圧室3
9とが間欠的に連通する一旋回運動当りの区間を多く設
定したが、圧縮負荷が比較的小さい圧縮機運転条件の場
合には、油穴B38bと背圧室39との一旋回運動当り
の連通区間が少なくなるように、油穴B38bの開口位
置を本体フレーム5の中心部側に移動させて、油室A7
8aの潤滑油が背圧室39および圧縮室へ流入する量を
少なくする必要があることは、従来技術の説明から明ら
かであろう。これに伴い、背圧室39および外周部空間
37の圧力も低くなる。
【0108】以上のように、上記実施例によれば、圧縮
機停止中、吐出室油溜34の潤滑油や気体の凝縮液が圧
縮室に流入・充満した状態で、圧縮機が起動し液圧縮が
生じる場合でも、旋回スクロール18への背圧付与力が
小さいので、旋回スクロール18が固定スクロール15
から離反してスラスト軸受20に支持され、圧縮室軸方
向密封を解除して圧縮室圧力を低下させ、圧縮負荷を軽
減させながら円滑な圧縮機始動性を実現できる。
【0109】また、圧縮機定常運転時には、旋回スクロ
ール18が固定スクロール15と適正な軸方向接触を保
ち、チップシールが設けられているスクロールラップの
先端は勿論のこと、チップシールが設けられていないス
クロールラップの先端の隙間が最小になって圧縮室軸方
向隙間を潤滑油膜で密封し、高い圧縮効率を得ることが
できる。
【0110】また、継続運転中に、圧縮室圧力が異常圧
力上昇した場合も圧縮機始動時と同様に旋回スクロール
18が作動し過負荷を軽減するという圧縮室隙間解除と
その密封機能を簡易構成できる。
【0111】また、旋回スクロール18が固定スクロー
ル15から軸方向に離反する最大距離を約70ミクロン
に規制しており、この圧縮室軸方向隙間は有効な油膜形
成と効率よく圧縮立ち上がりが可能な最大許容範囲で、
旋回スクロール18が固定スクロール15から離反した
場合でも、旋回スクロール18への背圧力に大きな変動
が生ぜず、起動初期と同様に正常運転に復帰させること
ができる。
【0112】また、旋回スクロール18のラップ支持円
盤18cが固定スクロール15の鏡板15bとスラスト
軸受20の間で挟持される隙間が、15〜20ミクロン
を確保すべく設定されており、旋回スクロール18が高
速旋回運動する際に、ラップ支持円盤18cの鏡板15
bとスラスト軸受20との間の両摺接面に良好な潤滑油
膜が形成できる。この油膜を介在した隙間は、ラップ支
持円盤18cを円滑に摺接運動させることができる。
【0113】更に、この隙間は、旋回スクロール18が
固定スクロール15から軸方向に離反して過圧縮負荷軽
減が実質的に作用可能になる。
【0114】(実施例2)図16は、本発明の第2の実
施例のスクロール冷媒圧縮機の縦断面図で、本体フレー
ム205に設けられた油穴A238aを介して吐出室油
溜34に通じた高圧の油室A278aの段付き内壁には
図17で示すような外観形状をした鋼板成形製の仕切り
キャップ101が圧入されて、図19のように、駆動軸
204のツバ部102を覆う形態で配置されている。キ
ャップ101は、その一部に切口101aを有し、油室
A278aの段付き内壁に装着された状態で切口101
aを塞ぎ、油室A278aを主軸受212側と旋回軸受
218b側とに仕切っている。
【0115】旋回スクロール218の旋回ボス部218
eには、図18でその外観形状を示すような旋回軸受2
18bが圧入されている。円筒形状をした旋回軸受21
8bの外周部には、その一部が平面加工されており、そ
の段差Cは100ミクロン程度に設定されている。この
段差Cの部分は、図19のように、旋回ボス部218e
に圧入された状態で絞り通路103を形成する。
【0116】旋回ボス部218eには環状溝104と細
径の油穴105が設けられている。吐出室油溜34と背
圧室239とは油穴A238a、油室A278a、螺旋
状油溝241b、油室B278b、絞り通路103、環
状溝104、油穴105とで連通されている。
【0117】図20に示すように、外周部空間37と背
圧室239とは、第1圧縮室61a、61bが閉じ込み
完了前の約180度の旋回角度範囲内にある時のみスラ
スト軸受220の表面に設けられた浅溝291を介して
連通され、それ以外の時に旋回スクロール218のラッ
プ支持円盤218cによって遮断されるように浅溝29
1の位置が設定されている。その他の構成は図1の場合
と同様である。
【0118】そして、この実施例によれば、圧縮機起動
後の時間経過と共に吐出冷媒ガスが充満するモータ室6
内の圧力は次第に上昇する。
【0119】モータ室6の底部の吐出室油溜34の潤滑
油は、図1の場合と同様に、駆動軸204に設けられた
螺旋状油溝241a、241bのネジポンプ作用によっ
て本体フレーム205に設けられた油穴A238aを介
して油室A278aに吸い込まれる。この時、仕切りキ
ャップ101は潤滑油が駆動軸204の表面近傍を通過
して油室A278a、螺旋状油溝241bへと流入すべ
く案内する。そのことによって潤滑油が油穴A238a
から油室A278aに流入する際に、駆動軸204が高
速回転することによる遠心拡散の影響を受けることなく
螺旋状油溝241aに吸い込まれ良好なネジポンプ給油
が行われる。
【0120】吐出室油溜34と旋回スクロール218の
背圧室239との間の差圧および螺旋状油溝241bの
ネジポンプ作用によって油室B278bに供給された潤
滑油は、その通路途中で旋回軸受218bの摺動面を潤
滑の後、絞り通路103、環状溝104、油穴105を
経由して背圧室239に流入する。
【0121】一方、油室A278aと背圧室239との
間を仕切る環状リング94の本体フレーム205との間
のシール摺接面は、油室A278aの潤滑油が背圧室2
39へ微少漏洩するのを許容することにより潤滑され、
そのシール摺接面のシール耐久性と摺動摩擦損失の低減
が保証される。
【0122】モータ室6の圧力にほぼ等しい油室A27
8aの潤滑油は、簡単で且つ精密絞り通路として確保が
可能な絞り通路103、油穴105を経由する精密減圧
通路と、環状リング94のシール摺接面を経由する摺接
減圧通路との2つの減圧通路を介して背圧室239に供
給される。その結果、背圧室239への差圧給油量が安
定し、背圧室239内は適正圧力を保つことができる。
【0123】吐出室油溜34の潤滑油が螺旋状油溝24
1bのネジポンプ作用に加えて、背圧室239との差圧
によって旋回軸受の摺動部に供給され、背圧室239へ
の給油量を安定化でき、過圧縮時の旋回スクロールをス
ラスト軸受20への充分な給油によって円滑に支持でき
る。
【0124】外周部空間37と背圧室239との間は、
図1の場合と同様に、スラスト軸受220の表面に設け
られた油溝291を介して連通されているので、背圧室
239の潤滑油は間欠的に外周部空間37に給油され
る。
【0125】その後の潤滑油は、図1の場合と同様に圧
縮室に給油され、圧縮冷媒ガスと共に再びモータ室6に
吐出され、その過程で圧縮室隙間の密封に供される。
【0126】なお、上記実施例では、環状リング94を
旋回スクロール218の旋回ボス部218eに設けた環
状シール溝95に配設したが、前述の実開昭61−12
8396号公報のように、本体フレーム205に環状シ
ール溝と環状リングを配設する場合も上記同様に作用す
る。
【0127】(実施例3)図21は、本発明の第3の実
施例のスクロール冷媒圧縮機の縦断面図で、図1におけ
るネジポンプ作用に加えて、駆動軸の先端に容積型ポン
プ装置を配設し、特に圧縮機極低速運転の持続が可能な
軸受給油の構成を示す。
【0128】すなわち、本体フレーム305に設けられ
た油穴A338aを介して吐出室油溜34に通じた高圧
の油室A378aの段付き内壁には図16で示すよう
に、鋼板成形製の仕切りキャップ101が圧入されて、
駆動軸304のツバ部102を覆う形態で配置され、油
室A378aを主軸受312側と旋回軸受318b側と
に仕切っている。
【0129】旋回スクロール318の旋回ボス部318
eには、旋回軸受318bが圧入されて、その底部には
アウターロータ106aとインナーロータ106bとか
ら成るトロコイドポンプ装置106が装着されている。
【0130】トロコイドポンプ装置106は駆動軸30
4の端部のクランク軸314の先端に設けられた駆動端
軸107に連結されて駆動される。クランク軸314と
駆動端軸107とは同芯である。
【0131】旋回軸受318bとトロコイドポンプ装置
106との間には、図23に示すような、吸入穴108
と中央穴109とを有する仕切り板110が装着固定さ
れている。
【0132】旋回スクロール318のラップ支持円盤3
18cの中央部に設けられた油溝111はトロコイドポ
ンプ装置106の吐出ポートになっており、油溝111
と主軸受312の摺動面とは駆動軸304に設けられた
軸方向油穴112と半径方向油穴113とで連通してい
る。
【0133】吐出室油溜34と旋回スクロール318の
背圧室339とは、油穴A338a、油室A378a、
螺旋状油溝341b、吸入穴108、トロコイドポンプ
装置106、油溝111、軸方向油穴112、半径方向
油穴113、主軸受312の軸受隙間を経由して油溜り
72に連通する給油通路Aと、油室A378aから螺旋
状油溝341aを経由して油溜り72に連通する給油通
路Bとから成る給油通路Cおよび油穴B38bとで連通
されている。その他の構成は、図1に準じている。
【0134】そして、この実施例によれば、圧縮機起動
初期の極低速運転時から油穴A338a、油室A378
aを介して、吐出室油溜34の潤滑油をトロコイドポン
プ装置106により吸い込み、クランク軸314と主軸
受312の摺動面に所要量供給することができる。
【0135】更に、圧縮機起動初期から油穴B38bを
通じて背圧室339およびスラスト軸受320に給油
し、旋回スクロールの背面を支持することができる。
【0136】それによって、モータ室6の圧力上昇が小
さい場合でも、油室A378aと背圧室339との間の
潤滑油圧力差によって環状リング94が外側方向に拡張
され、環状リング94の切口94bおよび環状リング9
4と環状シール溝95の外側面部をシールすることがで
きる。また、環状リング94のシール摺接面の内外差圧
に応じた油室A378aから背圧室39への潤滑油漏洩
によって、環状リング94のシール摺接面を潤滑し、旋
回スクロール18の反圧縮室側の背圧室39を経由する
第1圧縮室61a、61b(吸入室17)への給油量の
安定化を図ることができる。その結果、省エネルギー運
転のための極低速運転持続が可能になる。
【0137】(実施例4)図24は、本発明の第4の実
施例のスクロール冷媒圧縮機の縦断面図で、軟鉄製の密
閉ケース801の内部は、図1の場合と同様に、駆動軸
704を支持する本体フレーム805によって上部密閉
ケース801aの側と下部密閉ケース801bの側とに
仕切られており、上部密閉ケース801aの内部はモー
タ703を内蔵する高圧空間で、下部密閉ケース801
bの内部は蒸発器の下流側に通じる低圧空間でアキュー
ムレータ室846を構成する。
【0138】モータ703を連結する駆動軸704は、
本体フレーム805の主軸受812と上部フレーム12
6とに支持されている。
【0139】吐出室2は、固定スクロール815に設け
られたガス通路B880b、本体フレーム805に設け
られたガス通路A880a、本体フレーム805と吐出
ガイド81とで形成された吐出チャンバー2cを介して
高圧側のモータ室806に通じている。
【0140】上部密閉ケース801aの上端に設けられ
た吐出管831は、上部フレーム126に設けられたガ
ス穴129を介してモータ室806に通じている。
【0141】スラスト軸受220の背面側の反圧縮室側
には、コイルバネ131が等間隔で複数個配置され、コ
イルバネ131は本体フレーム805に取り付けられた
吐出ガイド881によってその端面を押さえられて、ス
ラスト軸受220を固定スクロール815の鏡板815
bに押圧している。
【0142】スラスト軸受220の背面側は、本体フレ
ーム805に設けられたコイルバネ装着穴132と吐出
ガイド881に設けられた油導入穴133によって吐出
室油溜34に通じている。
【0143】スラスト軸受220の背面側は、内側にの
みシールリングA70aが装着されており、外周側はス
ラスト軸受220が鏡板815bに押接することによっ
てシールされている。
【0144】旋回スクロール818の外周部空間37
は、スラスト軸受220に設けた浅溝891を介して背
圧室839に間欠的に通じると共に、吸入室17に間欠
的に通じる第1圧縮室61a、61bとは連通せずに、
固定スクロール815の鏡板815bの摺動面に設けた
油溝899を介して吸入室17に通じている。
【0145】そして、この実施例によれば、背圧室83
9は吸入室17の圧力に近い圧力を保持する。
【0146】したがって、固定スクロール815の側に
作用させる旋回スクロール818への背圧付与力は、油
室A878aの潤滑油圧力のみに依存する。
【0147】この背圧付与形態によれば、圧縮機起動初
期から定常運転に到達するまでの間、および圧縮室の圧
力が液圧縮などにより異常圧力上昇した時に、旋回スク
ロール818のラップ支持円盤818cが固定スクロー
ル815の鏡板815bから離反してスラスト軸受22
0に支持され、定常運転時のように定格負荷作用時に鏡
板815bに支持されるべく、旋回スクロールの反圧縮
側の油室A878aに供給された高圧の潤滑油による旋
回スクロール818への背圧付与力が設定できる。
【0148】それによって、旋回スクロール818と固
定スクロール815との間、および旋回スクロール81
8とスラスト軸受220との間の過剰な軸方向接触を回
避して、過圧縮軽減、圧縮入力の低減、摺動部耐久性と
円滑な起動性の向上を図ることができる。
【0149】なお、駆動軸704の端部に図16で示し
た容積型ポンプ装置を付加し、極低速運転を持続するこ
ともできる。
【0150】また、上記実施例では冷媒圧縮機について
説明したが、潤滑油を使用する酸素、窒素などの他の気
体圧縮機や冷媒ポンプなどの液体ポンプの場合も同様の
作用効果を期待できる。
【0151】また、上記実施例では、縦置形圧縮機の構
成を示しその作用・効果を説明したが、例えば油穴A
(38a他)の上流側を密閉ケース(1他)の底部側と
した横置形圧縮機の構成などについても同様の作用効果
が期待できる。
【0152】また、上記実施例では冷媒圧縮機について
説明したが、潤滑油を使用する酸素、窒素、ヘリウムな
ど他の気体圧縮機の場合も同様の作用効果を期待でき
る。
【0153】
【発明の効果】上記実施例から明らかなように、請求項
1に記載の発明は、旋回スクロールのラップ支持円盤の
反圧縮室側の吐出ポートに通じ且つモータを収納するモ
ータ室の下部に配設された吐出室油溜の潤滑油を導入し
て、旋回スクロールを固定スクロールの側に背圧付勢す
ると共に、反圧縮室側に導入した潤滑油の一部が駆動軸
を支持する本体フレームに設けたスラスト軸受およびラ
ップ支持円盤と鏡板との摺接面を潤滑し、且つ圧縮室と
吸入室のいずれか一方への流入のみを許容された給油通
路を形成し、ラップ支持円盤が油膜を介して固定スクロ
ールの鏡板に接触した状態で、旋回スクロールラップの
先端と固定スクロールとの間、および、固定スクロール
ラップの先端と旋回スクロールとの間が少なくとも油膜
形成可能な軸方向微小隙間を有した構成において、圧縮
機起動初期を含めた圧縮機極低速運転時の如く吸入圧力
と吐出圧力との差圧が小さい場合に、ラップ支持円盤が
主として駆動軸を支持する本体フレームに設けたスラス
ト軸受に支持され、圧縮機定格運転を含めた定常運転時
の如く吸入圧力と吐出圧力との差圧が大きい場合に、ラ
ップ支持円盤が主として固定スクロールの鏡板に支持さ
れるべく、旋回スクロールへの背圧付勢を設定する一
方、渦巻状のチップシール溝とそのチップシール溝に遊
合状態で配設される渦巻状のチップシールを、旋回スク
ロールラップと固定スクロールラップのいずれか一方の
みの先端に設けたもので、この構成によれば、圧縮機停
止中、吐出室油溜の潤滑油や気体の凝縮液が圧縮室に流
入・充満した状態で、圧縮機が起動し液圧縮が生じる場
合でも、旋回スクロールへの背圧付与力が小さいので、
旋回スクロールが固定スクロールから離反して圧縮室軸
方向密を解除して圧縮室圧力を低下させ、圧縮負荷を軽
減するので圧縮機始動性を良くすることができる。
【0154】また、圧縮機定常運転時には、旋回スクロ
ールが固定スクロールと適正な軸方向接触を保ち、圧縮
室に供給された潤滑油によってチップシール溝とチップ
シールとの隙間を油膜密封する一方、チップシールが設
けられているスクロールラップの先端は勿論のこと、チ
ップシールが設けられていないスクロールラップの先端
の隙間を最小にして圧縮室軸方向隙間を潤滑油膜を密封
し、圧縮効率を向上することができる。
【0155】また、圧縮室圧力が異常圧力上昇した場合
も圧縮機始動時と同様に旋回スクロールを作動させ過圧
縮負荷を軽減することができるなどの圧縮室隙間の密封
とその解除機能および旋回スクロールを支持する摺接面
の潤滑経路を簡易構成で実現できるという効果を奏す
る。
【0156】請求項2記載の発明は、固定スクロールの
鏡板とスラスト軸受との間に配置された旋回スクロール
のラップ支持円盤が、鏡板からスラスト軸受の側に離反
する許容最大移動量を約70ミクロンに規制したもの
で、この構成によれば、圧縮室軸方向隙間を有効な油膜
形成と効率の良い圧縮立ち上がりを可能とする最大許容
範囲に設定でき、大幅な過負荷軽減を図ることができ
る。
【0157】また、旋回スクロールが固定スクロールか
ら離反した場合でも、旋回スクロールへの背圧力の大き
な変動を阻止して、起動初期と同様に正常運転に復帰さ
せることができるという効果を奏する。
【0158】請求項3記載の発明は、旋回スクロールの
ラップ支持円盤が固定スクロールの鏡板とスラスト軸受
の間で挟持される隙間が、少なくとも約20ミクロンを
確保すべく設定されたもので、この構成によれば、旋回
スクロールが高速旋回運動する際に、ラップ支持円盤の
両側摺接面に潤滑油膜が形成でき、ラップ支持円盤の円
滑な摺接運動と過圧縮時の負荷軽減を実質的に有効作用
させることが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すスクロール冷媒圧縮機
の縦断面図
【図2】同圧縮機における主要部品の分解図
【図3】同圧縮機における吐出ポート部に配置した逆止
弁装置の部分断面図
【図4】図3における逆止弁装置の構成部品の斜視図
【図5】同逆止弁装置の要部斜視図
【図6】同逆止弁装置の要部斜視図
【図7】同圧縮機における小物部品の分解斜視図
【図8】同圧縮機における主要軸受部の部分断面図
【図9】同圧縮機におけるシール部品の斜視図
【図10】同圧縮機におけるスラスト軸受部の部分断面
【図11】図10におけるスラスト軸受の斜視図
【図12】同圧縮機における背圧制御弁装置の動作説明
断面図
【図13】同動作説明断面図
【図14】図1におけるA−A線に沿った横断面図
【図15】同圧縮機の吸入行程から吐出行程までの冷媒
ガスの圧力変化を示す特性図
【図16】本発明の他の実施例を示すスクロール冷媒圧
縮機の縦断面図
【図17】同圧縮機における仕切りキャップ部品の斜視
【図18】同圧縮機における軸受部品の斜視図
【図19】同圧縮機における主要軸受部の部分断面図
【図20】同圧縮機におけるスラスト軸受部の部分断面
【図21】本発明の更に他の実施例を示すスクロール冷
媒圧縮機の縦断面図
【図22】同圧縮機における主要軸受部の部分断面図
【図23】図23におけるトロコイドポンプ装置に使用
する仕切り板の斜視図
【図24】本発明の更に他の実施例を示すスクロール冷
媒圧縮機の縦断面図
【図25】従来のスクロール圧縮機の縦断面図
【図26】他の従来のスクロール圧縮機の縦断面図
【図27】図26における圧縮室シール部の部分断面図
【図28】同圧縮室シール部の部分断面図
【図29】従来のスクロール圧縮機の縦断面図
【図30】図29における過圧縮途中気体を流出させる
ための逆止弁装置の部分断面図
【符号の説明】
1 密閉ケース 4 駆動軸 5 本体フレーム 15 固定スクロール 15a 固定スクロールラップ 15b 鏡板 16 吐出ポート 17 吸入室 18 旋回スクロール 18a 旋回スクロールラップ 18c ラップ支持円盤 20 スラスト軸受 24 自転阻止部材 34 吐出室油溜 98 チップシール溝 98a チップシール

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固定スクロールの一部を成す鏡板の一面
    に形成された渦巻状の固定スクロールラップに対して旋
    回スクロールの一部を成すラップ支持円盤上の渦巻状の
    旋回スクロールラップを揺動回転自在に噛み合わせ、両
    スクロール間に渦巻形の圧縮空間を形成し、前記固定ス
    クロールラップの中心部には吐出ポートを設け、前記固
    定スクロールラップの外側には吸入室を設け、前記ラッ
    プ支持円盤は、駆動軸を支承する本体フレームに設けた
    スラスト軸受と前記鏡板との間に遊合状態で配置され、
    さらに前記ラップ支持円盤の自転阻止機構を介して旋回
    可能に前記駆動軸に支承されて、両スクロール間に形成
    された圧縮室の容積変化を利用して流体を圧縮するよう
    にしたスクロール式圧縮機構と前記駆動軸に連接するモ
    ータを密閉ケースに収納し、前記ラップ支持円盤の反圧
    縮室側に前記吐出ポートに通じ且つ前記モータを収納す
    るモータ室の下部に配設された吐出室油溜の潤滑油を導
    入して、前記旋回スクロールを前記固定スクロールの側
    に背圧付勢すると共に、前記反圧縮室側に導入した潤滑
    油の一部が前記スラスト軸受および前記ラップ支持円盤
    と前記鏡板との摺接面を潤滑し、且つ前記圧縮室と前記
    吸入室のいずれか一方への流入のみを許容された給油通
    路を形成し、前記ラップ支持円盤が前記鏡板に油膜を介
    して接触した状態で、前記旋回スクロールラップの先端
    と前記鏡板との間、および前記固定スクロールラップの
    先端と前記ラップ支持円盤との間が少なくとも油膜形成
    可能な軸方向微小隙間を有する構成において、圧縮機起
    動初期を含めた圧縮機極低速運転時の如く吸入圧力と吐
    出圧力との差圧が小さい場合に、前記ラップ支持円盤が
    主として前記スラスト軸受に支持され、圧縮機定格運転
    を含めた定常運転時の如く吸入圧力と吐出圧力との差圧
    が大きい場合に、前記ラップ支持円盤が主として前記鏡
    板に支持されるべく、前記旋回スクロールへの前記背圧
    付与力を設定する一方、渦巻状のチップシール溝と前記
    チップシール溝に遊合状態で配設される渦巻状のチップ
    シールを、前記旋回スクロールラップと前記固定スクロ
    ールラップのいずれか一方のみの先端に配設するスクロ
    ール気体圧縮機。
  2. 【請求項2】 ラップ支持円盤が、鏡板からスラスト軸
    受の側に離反する許容最大移動量を約70ミクロンに規
    制した請求項1記載のスクロール気体圧縮機。
  3. 【請求項3】 ラップ支持円盤が鏡板とスラスト軸受の
    間で挟持される隙間が、少なくとも約20ミクロンを確
    保すべく設定された請求項1記載のスクロール気体圧縮
    機。
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