JP2870489B2 - スクロール気体圧縮機 - Google Patents

スクロール気体圧縮機

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JP2870489B2
JP2870489B2 JP15395996A JP15395996A JP2870489B2 JP 2870489 B2 JP2870489 B2 JP 2870489B2 JP 15395996 A JP15395996 A JP 15395996A JP 15395996 A JP15395996 A JP 15395996A JP 2870489 B2 JP2870489 B2 JP 2870489B2
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勝晴 藤尾
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はスクロール気体圧縮
機の駆動軸の軸受部へのポンプ給油と、吸入室および圧
縮室への給油通路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】低振動、低騒音特性を備えたスクロール
圧縮機は、吸入室が外周部にあり、吐出ポートが渦巻の
中心部に設けられ、圧縮流体の流れが一方向で往復動式
圧縮機や回転式圧縮機のような流体を圧縮するための吐
出弁を必要とせず圧縮比が一定で、吐出脈動も小さくて
大きな吐出空間を必要としないことから、各分野への利
用展開の実用化研究が成されている。
【0003】しかし、圧縮室のシール部分が多いので圧
縮流体の漏れが多く、特に、家庭空調用冷媒圧縮機のよ
うな少排除容量のスクロール気体圧縮機の場合などは、
圧縮部の漏れ隙間を小さくするために渦巻部の寸法精度
を極めて高くする必要があるが、部品形状の複雑さ、渦
巻部寸法精度バラツキなどにより、スクロール気体圧縮
機のコストが高く、性能のバラツキも大きく、特に圧縮
機低速運転状態では、圧縮途中の気体漏れ率が多く、圧
縮効率が往復動式圧縮機や回転式圧縮機よりも低いとい
う欠点を有している。
【0004】そこで、この種の課題解決のための方策と
して、圧縮途中の気体漏れ防止のために渦巻部寸法精度
の適正化と、潤滑油を利用した油膜シール効果による圧
縮効率向上を期待することが大きく、特開昭57−83
86号公報にも記載されているように、圧縮途中の圧縮
室に潤滑油を適量注入し、潤滑油の油膜で圧縮室の隙間
を密封し、上記欠点を改善する提案が成されている。
【0005】特に、冷凍空調分野においてはスクロール
冷媒圧縮機の実用化がなされ、パッケージエアコン,チ
ラーユニット等の一吸入行程当りの冷媒容積が比較的大
きい中型〜大型クラスの圧縮機に関しては、種々の改良
が成され既に量産化も成されている。
【0006】しかしながら、以下に述べるような重要な
課題も残している。図33は、密閉ケース内を高圧空間
とした構成の中型〜大型クラスのスクロール冷媒圧縮機
の一般的な構造例である。同図は、圧縮部と吐出室10
31が上部に、モータ(電動要素)が下部に、油溜が底
部に、圧縮機の最終出口である吐出配管1042がモー
タ(電動要素)の近傍に配置された構成で、吐出室10
31で吐出冷媒ガスと潤滑油とが分離の後、潤滑油は油
抜き穴1035,1036を通してモータ(電動要素)
を収納する空間に戻り、底部の油溜に収集されると共
に、吐出冷媒ガスは吐出室1031の上部から別の通路
を通してモータ(電動要素)を収納する空間を経由しモ
ータ(電動要素)を冷却の後、再び、吐出配管1042
から排出される。また、圧縮室の軸方向隙間を少なくす
るために、密閉ケース(チャンバー)1013の底部の
吐出圧力が作用する潤滑油を駆動軸(クランクシャフ
ト)1008の内部に設けた揚油穴1019、駆動軸
(クランクシャフト)1008を支持し固定スクロール
1003を固定した本体フレーム(フレーム)1009
の軸受の隙間、駆動軸(クランクシャフト)1008の
クランク軸部の隙間を経由させて軸受摺動面を潤滑した
後、旋回スクロール1006の背面に設けた背圧室10
25に、その経路途中で減圧した中間圧力の潤滑油を流
入させ、その中間圧力の潤滑油とクランク軸上部の高圧
の潤滑油とで旋回スクロール1006の背面を付勢す
る。吸入圧力と吐出室1031の圧力に多少の変動があ
る場合でも、その背面付勢力によって圧縮室ガス圧力に
抗して、旋回スクロール1006を常に固定スクロール
から離れないように背圧付勢力が大きめに設定されてい
る。
【0007】背圧室1025の潤滑油は、旋回スクロー
ル1006の鏡板1004に設けられた背圧孔1017
を介して圧縮途中の圧縮室1015に流入の後、圧縮室
1015の隙間を油膜で密封しながら吸入冷媒ガスと共
に圧縮・吐出され、吐出室1031に吐出される構成で
ある(特開昭56−165788号公報)。また、特開
昭64−87894号公報にもほぼ同様の給油通路構成
が示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の構成では、以下に述べる2つの課題があった。
【0009】第1の課題は、2箇所の軸受への給油を充
分に行う必要から、圧縮室への給油量が必然的に多くな
り、圧縮効率の低下を招くというものである。すなわ
ち、駆動軸(クランクシャフト)1008に係合する2
箇所の摺動部〔駆動軸(クランクシャフト)1008を
支持する本体フレーム(フレーム)1009に設けた上
部軸受摺動部と旋回スクロール1006を旋回させるク
ランク部の軸受摺動部〕に潤滑油を供給した後、圧縮室
1015に流入させる構成では、軸受摺動部への充分な
給油の必要性から、圧縮室1015への流入量が多くな
り、高圧加熱された潤滑油と潤滑油中に混入した冷媒ガ
スとが圧縮途中の圧縮室1015に流入することによっ
て、圧縮効率が低下する。
【0010】第2の課題は、圧縮機起動直後の軸受部へ
の給油が不足するというものである。すなわち、圧縮部
が上部に、油溜が底部に配置されて、駆動軸(クランク
シャフト)1008に係合する各軸受部への給油を、吐
出圧力の作用する油溜と圧縮途中の圧縮室1015との
間の差圧、および駆動軸(クランクシャフト)1008
に設けられた導油孔1019の遠心ポンプ作用を利用し
て行う構成では、圧縮機起動初期などのような、低速運
転で吐出圧力が上昇せず潤滑油温度が低い場合には、油
溜の潤滑油圧力よりも圧縮途中の圧縮室1015の圧力
の方が高くて差圧給油ができないこともある。また例え
僅かな差圧があっても粘性の高い潤滑油が軸受摺動部の
微小隙間を通過することが困難である。また、圧縮室1
015から背圧室1025に導かれた圧縮ガスによって
圧縮機起動初期から旋回スクロール1006が固定スク
ロール1003の側に押圧され、圧縮室1015の軸方
向隙間も密封されるので軸受摺動部に所要の圧縮負荷が
生じるため、駆動軸(クランクシャフト)1008に係
合する摺動部に焼付きを生じる。
【0011】なお、上述の第2の課題を解決する方策と
して、圧縮機起動初期から容積型ポンプによって軸受摺
動部に給油する構成が、図34に示す特開昭59−18
3095号公報と、図35に示す特開昭59−6009
2号公報および図36〜図38に示す特開昭62−87
693号公報で提案されている。
【0012】しかしながら図34の構成は、駆動軸(回
転軸)1842の回転に連動して揚程量の小さいプラン
ジャ型のポンプ機構1853を作動させ、吐出圧力が作
用する潤滑油を軸受部に供給の後、その全量を旋回スク
ロール(可動要素)1812の反圧縮室側を経由して圧
縮室Pに流入させるものであり、旋回スクロール(可動
要素)1812の反圧縮室側全面が高圧の背圧室とな
り、旋回スクロール(可動要素)1812を固定スクロ
ール(固定要素)1811側に押し付け過ぎると共に、
過剰な潤滑油が圧縮室Pに流入するので、過大な入力損
失を伴い、圧縮効率と耐久性向上を同時に解決すること
ができなかった。更に、駆動軸(回転軸)1842の回
転速度増加に伴ってプランジャ型のポンプ機構1853
の入力増大を招くと共に、旋回スクロール(可動要素)
1812の反圧縮側への給油量が増加する構成であり、
上述の第1の課題も残った。
【0013】また、図35の構成は、揚程量の大きいト
ロコイドポンプ(給油機構)1932を駆動軸1906
の回転により作動させて、吐出圧力が作用する油溜(油
溜り室)1944の潤滑油を駆動軸1906に係わる軸
受摺動部に給油の後、再び油溜(油溜り室)1944に
帰還させる一方、軸受摺動部に給油途中の潤滑油の一部
を旋回スクロール1912の反圧縮室側を経由して圧縮
室に流入させ、軸受摺動部への充分な給油と圧縮室への
給油を同時に実現する構成である。しかしながら、この
構成では、駆動軸1906を支持する軸受部にポンプ給
油された潤滑油を再び油溜(油溜り室)1944に帰還
させる最終油通路を狭めて軸受摺動部へのポンプ給油圧
力を高める技術思想を示している。このため、旋回スク
ロール1912の反圧縮室側圧力が高くなり、旋回スク
ロール1912が固定スクロール(シュラウド)192
1に過剰に押圧され、その摺動摩擦入力が過大になると
共に、圧縮室への潤滑油流入が過剰で圧縮入力の増加を
招く。更に、トロコイドポンプ(給油機構)1932の
入力も回転速度と共に増加する。特に、圧縮機高速運転
時には、ポンプ給油圧力が更に上昇するので、一層の圧
縮機入力増加を招き、上述の第1と第2の課題の同時解
決にはならなかった。
【0014】また、図36〜図38の構成は、吸入圧力
が作用する油溜(密閉容器底部)3007aの潤滑油を
駆動軸3005と旋回スクロール3002との係合摺動
部の空間3005aにトロコイドポンプ装置(ポンプ)
3009を配置し、旋回スクロール3002の軸300
2c内に設けた油路3002dを介して汲み上げ、汲み
上げ経路途中で駆動軸3005と旋回スクロール300
2とが係合摺動する旋回軸受3005bおよび駆動軸3
005を支持する主軸受(軸受)3006aを潤滑の
後、トロコイドポンプ装置(ポンプ)3009で排出し
た潤滑油を駆動軸3005内に設けた給油孔3005c
を介して油溜(密閉容器底部)3007aに帰還させる
と共に、両軸受部(旋回軸受3005bおよび主軸受
(軸受)3006a)への給油経路途中で旋回スクロー
ル3002の反圧縮室側摺動部を潤滑するものである。
しかしながら、この構成では、トロコイドポンプ装置
(ポンプ)3009の回転速度増加と共にポンプ入力が
増加する。
【0015】また、旋回スクロール3002に作用する
圧縮気体圧力を支持するスラスト軸受(軸受)3706
bへのスラスト荷重が過剰に作用し、摺動摩擦損失が大
きいという課題があった。
【0016】また、上述の第1の課題(吸入室や圧縮室
への過剰な潤滑油流入)を改善する方策が米国特許45
52518号明細書で示されている。同明細書では、旋
回スクロールの反圧縮室側の中央部に配置された環状の
シールリングによって区画された領域に排出した吐出ガ
ス圧力を利用して旋回スクロールを固定スクロールの側
に押圧して圧縮室の軸方向隙間を少なくする共に、吐出
ガスに混入する潤滑油を分離して駆動軸に係わる軸受摺
動部に供給の後、圧縮機内底部に帰還させる一方、圧縮
機内底部の潤滑油を減圧して旋回スクロールが固定スク
ロールに摺接する外周摺動部と吸入室を順次経由して圧
縮室に供給して圧縮室隙間を油膜密封する構成である。
しかしながらこの構成では、吸入室に供給した潤滑油量
を超えて駆動軸に係わる軸受摺動部に供給できないの
で、給油不足が生じ、軸受摺動部の耐久性低下を招き、
上述の第2の課題を解決することができなかった。
【0017】なお、上述の第2の課題の起動初期低速運
転時の給油不足を改善する方策として、図39に示す如
く、密閉ケース(密閉容器)1201の下部に圧縮部
を、上部にモータ(電動機)1203を、底部に吐出室
油溜(油溜り)1215を、上壁に吐出ガスの吐出管
(送出管)1217を配置し、駆動軸(クランク軸)1
204を支持する軸受部および圧縮室を吐出室油溜(油
溜り)1215中に浸漬して、駆動軸(クランク軸)1
204を支持する本体フレーム(フレーム)1205の
ボス部1205aに設けた給油孔1212,駆動軸(ク
ランク軸)1204を支持する主軸受(軸受部)の軸受
隙間,本体フレーム(フレーム)1205と旋回スクロ
ール1206との間に設けられた背圧室(中間室)12
08,旋回スクロール1206に設けられた連通孔12
11を介して吐出室油溜(油溜り)1215の潤滑油を
圧縮室1216に差圧給油する構成で、圧縮機起動初期
の吐出室油溜(油溜り)1215の圧力上昇が小さい場
合でも軸受摺動部を潤滑できる(特開昭57−3518
4号公報)。
【0018】しかしながら、前述の図33の場合と同様
に、駆動軸(クランク軸)1204を支持する主軸受
(軸受部)を潤滑した潤滑油の全油量が圧縮室1216
に流入するので、吐出室油溜(油溜り)1215が所要
圧力上昇後の差圧による過剰潤滑油流入を招き、圧縮効
率の著しい低下を招く課題があった。
【0019】以上のように、従来の各種構成やその組合
せ構成のスクロール圧縮機は、特定条件の使用目的に合
致するが、上述の第1と第2の課題を同時に解決できな
かった。
【0020】本発明はこのような従来の課題を解決する
ものであり、低入力のポンプ給油手段の提供と圧縮効率
および耐久性向上を図ることを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明は、駆動軸を支持する主軸受に給油すべく配設
した駆動軸に連係する給油ポンプ手段の排出側を吐出室
油溜に連通させる一方、排出側通路途中から分岐させた
潤滑油を、最終的に圧縮室に供給する差圧給油通路を設
けたものである。
【0022】上記給油ポンプ手段の排出側一部潤滑油の
圧縮室差圧給油によって、低速運転時の給油ポンプ能力
を増加させることができる一方、高速運転時の排出側潤
滑油圧力上昇を抑制してポンプ入力の増加を低減するこ
とができる。
【0023】
【発明の実施の形態】請求項1に記載の発明は、スクロ
ール式圧縮機構と駆動軸に連接するモータを密閉ケース
に収納し、旋回スクロールのラップ支持円盤の反圧縮室
側に隣接し且つ駆動軸を支持する本体フレームに設けた
スラスト軸受の内側に配置され且つ主軸受と旋回軸受摺
動部に隣接し通じて区画配置された油室を配設し、駆動
軸の軸受摺動部に設けた螺旋状の油溝によるネジポンプ
作用と、駆動軸によって駆動される容積型ポンプ装置の
内の少なくとも一方のポンプ手段によって、吐出ポート
に通じ且つモータを収納するモータ室の下部に配設され
た吐出室油溜の潤滑油を、吐出室油溜と油室との間を連
通する油穴を介して油室に供給の後、モータ室を経由し
て再び吐出室油溜に戻す軸受給油通路を形成し、その軸
受給油通路途中に主軸受と旋回軸受部を配設する一方、
ラップ支持円盤と固定スクロールの鏡板の間、およびラ
ップ支持円盤とスラスト軸受の間の両方の接触力を小さ
くすべく、油室の潤滑油圧力によって旋回スクロールを
固定スクロールの側に背圧付与した構成において、ポン
プ手段の排出側の潤滑油の一部を減圧して圧縮室と吸入
室のうちいずれか一方に流入させる差圧給油通路を設け
たものである。そしてこの構成によれば、旋回スクロー
ルと固定スクロールおよび旋回スクロールとスラスト軸
受との間の両側への軸方向接触力が小さくなり、摺動部
摩擦損失入力の低減と耐久性が向上する。
【0024】更に、低速運転時には吐出室油溜と圧縮室
または吸入室との差圧によってポンプ給油能力が高まり
駆動軸の軸受摺動部への充分な給油ができる。
【0025】一方、ポンプ給油能力が過剰になる高速運
転時には、ポンプ排出側潤滑油圧力上昇が抑制され、ポ
ンプ入力の低減を図ることができる。
【0026】請求項2に記載の発明は、差圧給油通路の
途中に、ラップ支持円盤と鏡板との摺接面およびスラス
ト軸受と自転阻止部材の係止部を配置したものである。
そしてこの構成によれば、旋回スクロールのラップ支持
円盤の両側摺接面への潤滑と接触力の低減によって、摺
動部摩擦損失入力の低減と耐久性向上を更に図ることが
できる。
【0027】請求項3に記載の発明は、ポンプ手段を、
駆動軸に連接して作動する容積型ポンプ装置としたもの
である。そしてこの構成によれば、低速運転時でも駆動
軸の軸受摺動部への充分な給油ができる一方、高速運転
時の多量給油状態には、吐出室油溜と圧縮室または吸入
室との差圧が大きくなるので、ポンプ排出側潤滑油圧力
上昇が無くなるレベルまで抑制され、ポンプ入力と軸受
摺動部摩擦損失の大幅な低減を図ることができる。
【0028】請求項4に記載の発明は、容積型ポンプ装
置の吸入側通路途中に油室を配置したものである。そし
てこの構成によれば、油室への潤滑油供給が早まり、圧
縮機起動初期における旋回軸受摺動部への潤滑立ち上が
りを良くすることができる。
【0029】請求項5に記載の発明は、スクロール式圧
縮機構を密閉ケースの下部に、前記駆動軸に連結するモ
ータを前記密閉ケースの上部に収納し、油室を主軸受に
隣接させると共に、吐出室油溜を前記主軸受と同等レベ
ルの高さで配置したものである。そしてこの構成によれ
ば、主軸受と旋回軸受部への給油経路が短く、給油通路
抵抗が小さくなり、ポンプ揚程能力の小さいポンプ手段
の配置が可能となる。それによってポンプ手段の簡易化
と圧縮機高速運転時のポンプ入力を小さくできる。
【0030】請求項6に記載の発明は、ポンプ手段を、
駆動軸に連接して作動する容積型ポンプ装置とし、前記
容積型ポンプ装置を油室に配置したものである。そして
この構成によれば、油室の潤滑油に混入する気体が圧縮
室または吸入室に吸引され、油室の潤滑油中の気体が少
なくなり、容積型ポンプ装置のキャビテーション現象が
生ぜず、特に、低速運転時の給油能力が増すので、ポン
プ装置を小容量化・低入力化することができる。
【0031】請求項7に記載の発明は、容積型ポンプ装
置を、駆動軸と旋回スクロールとの間の摺動結合部の一
外周部と回転係止され且つシリンダ内に配置された環状
のピストンの内側面とを遊合状態で摺接させ、ピストン
が旋回スクロールの旋回運動に追従して揺動運動するこ
とによりシリンダの内壁と環状のピストンの外周面との
間でポンプ作用する旋回円筒ピストン型ポンプ装置とし
たものである。そしてこの構成によれば、ポンプ装置の
ピストンが、旋回スクロールの旋回直径以下の揺動運動
をピストンの内側から与えられて小入力のポンプ作用を
することができる。
【0032】請求項8に記載の発明は、容積型ポンプ装
置を、駆動軸と同軸回転するロータと前記ロータに設け
られた溝内を前進・後退してポンプ室内を区画シールす
るベーンとから成るスライドベーン型給油ポンプ装置と
し、前記ベーンのシリンダ壁への付勢力を前記ベーンの
自重に基づく遠心力のみに依存させたものである。そし
てこの構成によれば、高速運転時でもポンプ室内を区画
シールするベーンの先端の接触力が小さいのでポンプ入
力を小さくできる。
【0033】請求項9に記載の発明は、ポンプ手段とし
て、少なくとも主軸受の摺動部に設けた螺旋状の油溝に
よるネジポンプ作用とし、油室を前記油溝に隣接し且つ
ラップ支持円盤の反圧縮室側に駆動軸を囲む形態で配置
させたものである。そしてこの構成によれば、簡易で所
要給油能力を有する低入力のポンプ手段を提供できる。
【0034】請求項10に記載の発明は、差圧給油通路
の途中を油溜の油面よりも上方に迂回させたものであ
る。そしてこの構成によれば、差圧給油通路直前の潤滑
油に混入する気体抜き(ガス抜き)が容易にできるの
で、圧縮室または吸入室への気体流入量が少なくなり、
圧縮効率が向上する。
【0035】
【実施例】以下、本発明の実施例のスクロール冷媒圧縮
機について図面を参照して説明する。
【0036】(実施例1)図1〜図15において、1は
鉄製の密閉ケースで、その内部が旋回スクロール18と
噛み合って圧縮室を形成する固定スクロール15をボル
ト固定し且つ駆動軸4を支持する本体フレーム5によ
り、上側のモータ室6と下側のアキュームレータ室46
とに仕切られている。
【0037】モータ室6は高圧雰囲気で、上部にモータ
3、下部に圧縮部を配置し、モータ3の回転子3aを連
結固定した駆動軸4を支持する本体フレーム5は、摺動
特性と溶接性に優れた共晶黒鉛鋳鉄製で、その外周面部
に設けられた突起条部79aが上部密閉ケース1aと下
部密閉ケース1bの内壁面と端面とに当接しており、突
起条部79aと上部密閉ケース1aと下部密閉ケース1
bとが単一の溶接ビード79bによって密封溶接されて
いる。
【0038】駆動軸4は本体フレーム5の上端部に設け
られた上部軸受11,中央部に設けられた主軸受12,
本体フレーム5の上端面に設けられ且つ放射状の複数の
浅溝7を有するスラスト軸受部13とで支持され、駆動
軸4の主軸から偏心した下端部のクランク軸14が旋回
スクロール18に設けられた旋回ボス部18eの旋回軸
受18bに係合している。
【0039】固定スクロール15は、その熱膨張係数が
純アルミニウムと共晶黒鉛鋳鉄との中間の値に相当する
高珪素アルミニウム合金製で、図14に示すような渦巻
状の固定スクロールラップ15aと鏡板15bから成
り、鏡板15bの中央部には、固定スクロールラップ1
5aの巻始め部で開口する吐出ポート16がモータ室6
に開通する吐出通路80に連通して設けられ、固定スク
ロールラップ15aの外周部には吸入室17が設けられ
ている。
【0040】反旋回スクロール側の鏡板15b上には、
吐出ポート16を覆うように逆止弁装置50が取り付け
られ、その逆止弁装置50は図3〜図6で詳描するよう
に、その外周部を数箇所切り欠いた形状の薄板鋼板から
成る弁体50b(または不連続な環状穴50eaを有す
る弁体50e)と、逆止弁穴50aと中央穴50gとそ
の周りの複数の吐出小穴50hを有した弁ケース99
と、弁体50bと弁ケース99との間に介在するバネ装
置50cとから成る。バネ装置50cは、それ自身の温
度が50℃を超えると収縮し、それ自身の温度が50℃
以下で伸長する形状記憶特性を有するもので、圧縮機運
転中は吐出冷媒ガス圧を受けて逆止弁穴50aの底面ま
で収縮し、それ自身の温度が50℃以下の状態にある圧
縮機停止中は吐出ポート16を塞ぐべく弁体50を鏡板
15bに押圧するように設定されている。
【0041】図1および図14に示すように、固定スク
ロールラップ15aに噛み合って圧縮室側壁を形成する
渦巻状の旋回スクロールラップ18aと駆動軸4のクラ
ンク軸14に係合した旋回ボス部18eを直立させたラ
ップ支持円盤18cとから成るアルミニウム合金製の旋
回スクロール18は、固定スクロール15と本体フレー
ム5とに囲まれて配置されており、ラップ支持円盤18
cおよび旋回スクロールラップ18aの表面は多孔質ニ
ッケルメッキなどの硬化処理が成されている。図3に示
すように、旋回スクロールラップ18aの先端には渦巻
状のチップシール溝98が設けられて、そのチップシー
ル溝98には樹脂製のチップシール98aが微少隙間を
有して装着されている。旋回スクロール18が固定スク
ロール15の軸方向側に押圧されたとき、ラップ支持円
盤18cの平面部は固定スクロールラップ15aの先端
に接するが、旋回スクロールラップ18aの先端は固定
スクロール15に接することなく数ミクロン程度の微少
距離を保っている。
【0042】吐出通路80(図1参照)は、逆止弁装置
50を覆うように鏡板15b上に取り付けられた吐出カ
バー2aと鏡板15bによって形成される吐出室2,固
定スクロール15に設けられたガス通路B80b,本体
フレーム5に設けられたガス通路A80a,主軸受12
を囲うように本体フレーム5に取り付けられた吐出ガイ
ド81と本体フレーム5によって形成される吐出チャン
バー2bとから成り、ガス通路A80a,ガス通路B8
0bはそれぞれ対象位置に設けられている(図14参
照)。
【0043】吐出ガイド81の上面には図7のように、
多数の小穴81aが設けられている。
【0044】冷凍サイクルの蒸発器側に通じるアキュー
ムレータ室46は、下部密閉ケース1bと固定スクロー
ル15と本体フレーム5とで形成され、それに連通する
吸入管47が下部密閉ケース1bの側面に設けられ、そ
の吸入管47に対向する位置からそれぞれ約90度隔て
た位置の2箇所で吸入穴43が固定スクロール15に設
けられている(図14参照)。
【0045】アキュームレータ室46の底部の低圧油溜
46aと吸入穴43とは吐出カバー2aに設けられた油
吸い込み穴A9a,固定スクロール15に設けられた細
径の油吸い込み穴B9bとで連通しており、これら油吸
い込み穴(9a,9b)は低圧油溜46aに滞溜してい
る冷媒液や潤滑油が吸入穴43を冷媒ガスが通過する際
の負圧発生によって吸い上げられるように設定されてい
る。
【0046】本体フレーム5に固定された割りピン形の
平行ピン19によって回転方向の移動を拘束されて軸方
向にのみ移動が可能な平板形状のスラスト軸受20は、
ラップ支持円盤18cと本体フレーム5との間に配置さ
れており、スラスト軸受20と本体フレーム5との間に
介在する環状のシールリング(ゴム製)70(図10参
照)の弾性力によって本体フレーム5と固定スクロール
15との間の鏡板取り付け面15b1に当接している。
【0047】旋回スクロール18のラップ支持円盤18
cに摺接する鏡板摺動面15b2から鏡板取り付け面1
5b1迄の高さはラップ支持円盤18cの油膜による摺
動部のシール性向上のために、ラップ支持円盤18cの
厚さよりも約0.015〜0.020mm大きく設定さ
れている。
【0048】図1,図8に示すように、旋回スクロール
18の旋回ボス部18eの本体フレーム5側端面には旋
回軸受18bの中心と同芯の環状シール溝95が設けら
れ、その環状シール溝95には、図9に示すような、そ
の一部を切断して切口94bを有し、柔軟性を有する樹
脂製の環状リング94が装着されている。環状リング9
4の外周面は、圧縮機運転時に環状リング94の熱膨張
と環状リング94の内側の潤滑油圧力によって、環状シ
ール溝95の側面に密接すると共に、環状リング94の
外周面に対して傾斜角度を有する切口94bが互いに密
着すべく配置されている。環状リング94は、駆動軸4
を支持する主軸受12の側の油室A98aから旋回スク
ロール18,本体フレーム5,スラスト軸受20によっ
て形成される旋回スクロール18の背圧室39への過剰
な漏洩を防ぐようにシールしている。
【0049】環状のスラスト軸受20は穴成形が容易な
焼結合金製で、図10,図11で示すように、割りピン
19が可動挿入される2つのガイド穴93と環状油溝9
2,油穴91とを有しており、本体フレーム5のスラス
トリング溝90に装着されている。
【0050】本体フレーム5とスラスト軸受20との間
には約0.05mm程度のレリース隙間27が設けら
れ、レリース隙間27の内側と外側にはシールリング7
0を装着する環状溝28が設けられている。シールリン
グ70はレリース隙間27と背圧室39との間をシール
している。
【0051】レリース隙間27は、本体フレーム5に設
けられたスラスト背圧導入穴A89aと固定スクロール
15に設けられたスラスト背圧導入穴B89bとによっ
て、最終圧縮行程の第3圧縮室60b(図14参照)に
連通している。
【0052】図1,図2に示すように、スラスト軸受2
0の内側に配置された旋回スクロール18の自転阻止部
材(以下、オルダムリングと称する)24は、焼結成形
や射出成形工法などに適した軽合金や強化繊維複合材か
ら成り、平らなリングの両面に互いに直交する平行キー
形状のキー部を備えたもので、上面側のキー部は本体フ
レーム5に設けられたキー溝71aに、下面側のキー部
はラップ支持円盤18cに設けられたキー溝71に係合
し、摺動する。
【0053】オルダムリング24のリングの厚さはオル
ダムリング24が往復運動する際に、本体フレーム5と
ラップ支持円盤18cとの間で円滑に摺動し且つジャン
ピング現象が生じないように設定されている。
【0054】上部密閉ケース1aの上端壁の外周部には
吐出管31、中央部にはモータ電源接続用のガラスター
ミナル88が取り付けられている。
【0055】吐出管31およびガラスターミナル88の
側とモータ3の側とを上部密閉ケース1aに取り付けら
れた油セパレータ87が仕切っている。駆動軸4の段付
き部によって軸方向に位置決めされたモータ3の回転子
3aは上部バランスウエイト75と共に駆動軸4にボル
ト固定され、上部バランスウエイト75は円盤形状を成
し、その外径は回転子3aの外径より大きく設定されて
いる。
【0056】回転子3aの下端に取り付けられた下部バ
ランスウエイト76と吐出ガイド81との間には本体フ
レーム5に取り付けられた遮閉板86が下部バランスウ
エイトに接近して配置されている。
【0057】モータ室6の下部に設けられた吐出室油溜
34は、モータ3の固定子3bの外周の一部を切り欠い
て設けた冷却通路35によりモータ室6の上部と連通さ
れている。
【0058】また、吐出室油溜34は、本体フレーム5
に設けられた油穴A38aを介して主軸受12と旋回軸
受18bとの中間位置の油室A78aにも通じている。
【0059】図1,図8に示すように、駆動軸4の摺動
軸部4aおよびクランク軸14の表面には、駆動軸4が
正回転する時、油室A78aの潤滑油が旋回軸受18b
とクランク軸14とで形成される油室B78bおよびモ
ータ3側にネジポンプ給油される方向に螺旋状油溝41
a,41bが設けられて、その上端はスラスト軸受部1
3にまで達している。
【0060】油室B78bと主軸受12面とは駆動軸4
に設けられた給油穴73aによって連通され、上部軸受
11と主軸受12との間の油溜り72と背圧室39とは
本体フレーム5に設けられた絞り通路部を有する油穴B
38bによって連通され、油穴B38bの背圧室39側
開口端は環状リング94に設けられた不連続な油溝94
aに間欠的に開通すると共に、環状リング94によって
間欠的に開閉される位置に設けられている。
【0061】図1,図10,図14に示すように、背圧
室39は、吸入室17に間欠的に通じる第1圧縮室61
a,61bが吸入冷媒ガス閉じ込み完了前の約180度
の旋回角度範囲内で、スラスト軸受20に設けられた油
穴91,ラップ支持円盤18cの外側の外周部空間3
7,ラップ支持円盤18cに設けられた油穴C38c,
対称位置に配設された細径のインジェクション穴52
a,52bによって構成されるインジェクション通路7
4によって第1圧縮室61a,61bと連通しており、
スラスト軸受20に設けられた油穴91はラップ支持円
盤18cによって間欠的に開閉される。
【0062】図12,図13に示すように、ラップ支持
円盤18cには背圧室39の圧力を制御する背圧制御弁
装置25が装着されている。
【0063】背圧制御弁装置25は、ラップ支持円盤1
8cの半径方向に設けられて大径部シリンダ26aと小
径部シリンダ26bとから成る段付き形状のシリンダ2
6,そのシリンダ内を可動する段付き形状のプランジャ
ー29,シリンダ26の外周部空間37側の開口端の一
部を塞ぐキャップ32,キャップ32とプランジャー2
9との間に配置されてプランジャー29をクランク軸1
4の側に付勢するコイルバネ53,大径部シリンダ26
aのクランク軸14側と吸入室17とを連通する油穴5
4a,小径部シリンダ26bのクランク軸14側と油室
B78bおよび背圧室39とをそれぞれ連通する油穴5
4b,54cによって構成されている。その作動は、背
圧室39の圧力が適正範囲の時、図12に示すように、
プランジャー29の小径端面が油穴54bのシリンダ側
開口端を塞ぎ、背圧室39の圧力が不足の時、図13に
示すように、プランジャー29の大径部を境界とするプ
ランジャー29の両側に作用する付勢力差によってプラ
ンジャー29が外周部空間37の側に移動し、油穴54
bのシリンダ側開口端が開かれ、油室B78bと背圧室
39とが通じるべくコイルバネ53の付勢力およびシリ
ンダ26の各部寸法が設定されている。
【0064】なお55は、プランジャー29の小径外周
部をシールするために小径部シリンダ26bに装着され
たOーリングである。
【0065】図15において、横軸は駆動軸4の回転角
度を示し、縦軸は冷媒圧力を示し、吸入・圧縮・吐出過
程における冷媒ガスの圧力変化状態を示し、実線62は
正常圧力で運転時の圧力変化を示し、点線63は異常圧
力上昇時の圧力変化を示す。
【0066】以上のように構成されたスクロール冷媒圧
縮機について、その動作を説明する。
【0067】図1〜図15において、モータ3によって
駆動軸4が回転駆動すると、旋回スクロール18は、駆
動軸4のクランク機構によって駆動軸4の主軸周りに回
転しようとするが、オルダムリング24の旋回スクロー
ル18の側のキー部(図2参照)が旋回スクロール18
のキー溝71に係合し、反対側のキー部が本体フレーム
5のキー溝71a(図1参照)に係合しているので自転
を阻止され、公転運動をして固定スクロール15と共に
圧縮室の容積を変化させ、冷媒ガスの吸入・圧縮作用を
行う。
【0068】最終圧縮行程の第3圧縮室60a,60b
(圧縮室が吐出ポート16に通じる直前行程の圧縮空
間)に通じるスラスト軸受20の背面側のレリース隙間
27は、圧縮開始後の時間経過と共に高圧冷媒ガスで充
満される。その背圧付勢とシールリング70の弾性力に
よって、スラスト軸受20は固定スクロール15の鏡板
取り付け面15b1に押接される。それによって、旋回
スクロール18のラップ支持円盤18cは鏡板摺動面1
5b2とスラスト軸受20との間で狭持(15〜20ミ
クロンの組立隙間)される。
【0069】そして、圧縮機に接続した冷凍サイクルか
ら潤滑油を含んだ気液混合の吸入冷媒が、吸入管47か
らアキュームレータ室46に流入し、固定スクロール1
5の鏡板15bの外側面に衝突の後、アキュームレータ
室46の上部空間を経由して、二箇所の吸入穴43(図
14参照)を通じて吸入室17に流入する。
【0070】一方、気体と液体の重量差や流入方向転換
時の慣性力によって冷媒ガスから分離した液冷媒や潤滑
油はアキュームレータ室46の底部に、一旦、収集さ
れ、吸入冷媒ガスが吸入穴43を通過する際に生じる負
圧によって油吸い込み穴A9a,油吸い込み穴B9bを
介して霧化状態で吸入穴43に吸い上げられ、再び吸入
冷媒ガスに混入する。
【0071】気液分離された吸入冷媒ガスは、吸入室1
7,旋回スクロール18と固定スクロール15との間に
形成された第1圧縮室61a,61b(図14参照)を
経て圧縮室内に閉じ込められ、第2圧縮室51a,51
b,第3圧縮室60a,60bへと順次移送圧縮の後、
中央部の吐出ポート16から逆止弁室50aに吐出さ
れ、吐出室2,ガス通路B80b,ガス通路A80a,
吐出チャンバー2bを順次経由してモータ室6へと排出
される。
【0072】モータ室6に排出した吐出冷媒ガスは、環
状の遮閉板86,モータ3の巻線に衝突した後、ステー
タ3bの外側部の冷却通路35や内側部の通路を経てモ
ータ3を冷却しながらモータ室6の上部側部へと流れ、
吐出管31から外部の冷凍サイクルへ送出される。
【0073】この際、吐出冷媒ガス中の潤滑油は、その
一部がモータ3の下部の巻線の表面に付着して冷媒ガス
から分離して吐出室油溜34に収集するが、上部バラン
スウエイト75,下部バランスウエイト76の外周部を
通過する吐出冷媒ガス中の潤滑油は、上部バランスウエ
イト75,下部バランスウエイト76の回転によって遠
心分離され、モータ3の巻線の内側表面へと拡散され、
巻線束の内部空間に沿って下部へ流下し、吐出室油溜3
4に収集する。
【0074】吐出室油溜34の潤滑油は、後述する経路
を経て油室A78aと油室B78bおよび背圧室39に
流入し、次第に旋回スクロール18への背圧付与力が大
きくなる。
【0075】モータ室6の圧力上昇に追従して、ラップ
支持円盤18cは徐々に固定スクロール15の鏡板摺動
面15b2に適度な押圧力で接触する。固定スクロール
ラップ15aの先端と旋回スクロール18のラップ支持
円盤18cとの間の隙間が無くなり、それによって圧縮
室が密封され、吸入冷媒ガスが効率良く圧縮されて、安
定運転が継続する。
【0076】なお、旋回スクロールラップ18aの先端
と固定スクロール15の鏡板15bとの間の軸方向隙間
は、圧縮途中冷媒ガスが隣室の低圧側圧縮室に漏洩する
際に、チップシール溝98(図3参照)に流入し、その
ガス背圧力によってチップシール98aがチップシール
溝98aの低圧縮室側面および固定スクロール15の鏡
板15bに押圧されることによってシールされる。
【0077】圧縮機停止の際に、圧縮室内冷媒ガスの圧
力差に基づく逆流によって、旋回スクロール18が瞬時
的に逆旋回運動するが、冷媒ガスが圧縮室から吸入室1
7に逆流することから、旋回スクロール18は図14の
ように、第1圧縮室61a,61bが吸入室17に通じ
た状態の旋回角度で停止する。図8のように、この停止
状態では環状リング94が背圧室39への潤滑油流入口
を塞ぐ。
【0078】また圧縮機停止の際に、圧縮室の冷媒ガス
が吸入室17へ逆流することによって吐出ポート16の
冷媒ガス圧力が急低下し、吐出ポート16と吐出室2と
の冷媒ガス圧力差によって弁体50bが吐出ポート16
を塞ぎ、吐出室2から圧縮室への吐出冷媒ガスの連続的
な逆流を阻止する。
【0079】圧縮機停止直後の一時的な吐出冷媒ガスの
逆流と旋回スクロール18の逆旋回によって、磁性を帯
びた弁体50bが逆止弁室50aの底面から離脱し、冷
凍サイクルが圧力バランスするまでの間、圧力差によっ
て弁体51bが吐出ポート16を塞ぎ続ける。それと並
行して形状記憶特性を有するコイルバネ50が温度低下
して伸長し、コイルバネ50の付勢力によって弁体50
bが吐出ポート16を閉塞し続ける。
【0080】吸入室17と間欠的に連通する第1圧縮室
61a,61bと背圧室39とは第1圧縮室61a,6
1bが閉じ込み完了前の180度以内にある時のみスラ
スト軸受20に設けられた油穴91(図10参照)を介
して連通すると共に、スラスト軸受20とラップ支持円
盤18cとの間は潤滑油膜でシールされるので、圧縮室
から背圧室39に圧縮途中冷媒ガスが逆流することはな
い。
【0081】圧縮機長時間停止中は圧縮機内圧力が均衡
し、アキュームレータ室46は勿論のこと、圧縮室内に
まで液冷媒が流入しており、圧縮機冷時起動初期には液
圧縮が生じ易く、圧縮室内の液圧縮冷媒圧力によって吐
出ポート16と反対方向のスラスト力が旋回スクロール
18に作用する。その結果、旋回スクロール18が固定
スクロール15から軸方向に離反し、圧縮負荷が軽減す
る。
【0082】一方、圧縮機冷時起動初期の背圧室39の
圧力は吐出室油溜34の潤滑油圧力上昇が低いことか
ら、ほぼ吸入圧力相当である。その結果、旋回スクロー
ル18のラップ支持円盤18cは圧力上昇の低い油室A
78aの潤滑油によってのみ背圧付与される状態で、鏡
板摺動面15b2から離反してスラスト軸受20まで後
退し支持され、ラップ支持円盤18cと固定スクロール
ラップ15aの先端との間に隙間(約0.015〜0.
020ミクロン)が生じ、圧縮室圧力が低下し、起動初
期の圧縮負荷が軽減する。
【0083】万一、連続運転中に、圧縮室内で液圧縮な
どが生じて瞬時的に圧縮室圧力が異常上昇した場合など
には、旋回スクロール18に作用するスラスト力が旋回
スクロール18の背面に作用する背圧付勢力よりも大き
くなり、旋回スクロール18が軸方向に移動し、スラス
ト軸受20に支持される。そして、圧縮室の密封が上述
と同様に解除して圧縮室圧力が低下し、圧縮負荷が低下
する。
【0084】なお、背圧室39は、第1圧縮室61a,
61bが吸入冷媒ガス閉じ込み完了前の約180度の旋
回角度範囲内で、スラスト軸受20に設けられた油穴9
1を介して外周部空間37に通じているので、この連通
旋回範囲内で液圧縮が生じることがない。
【0085】したがって、圧縮室での液圧縮発生を含め
た如何なる圧縮機運転状態において、背圧室39への圧
縮室の冷媒ガスの逆流が回避され、圧縮負荷軽減を阻害
することはない。
【0086】圧縮機冷時始動初期の吐出室油溜34の潤
滑油は、駆動軸4に設けられた螺旋状油溝41a,41
bのネジポンプ作用によって、油穴A38aを経由して
油室A78aに吸い込まれる。
【0087】その後、潤滑油の一部は螺旋状油溝41
b,油室B78b,給油穴73aを順次経由途中で旋回
軸受18bの摺動面を潤滑し、主軸受12の摺動面に供
給され、油溜り72に送出される。
【0088】螺旋状油溝41aによって主軸受12に供
給された潤滑油は、油室B78bを経由してきた潤滑油
と共に油溜り72で合流した後、潤滑油の一部は油穴B
38b(図8参照)の絞り通路部で減圧されて背圧室3
9に間欠給油され、残りの潤滑油は上部軸受11とスラ
スト軸受部13の各摺動面を潤滑の後、吐出室油溜34
に再回収される。
【0089】なお、モータ室6の冷媒ガスは、上部軸受
11を通過する潤滑油によって油溜り72への逆流が阻
止される。
【0090】一方、油溜72の潤滑油に混入する冷媒ガ
スの一部がガス抜きされて上部軸受11への潤滑油と共
にモータ室6へ排出される。その結果、背圧室39に間
欠給油される潤滑油中の冷媒ガス混入量が少なくなり、
潤滑特性の良い状態になる。
【0091】圧縮機冷時始動後の時間経過に追従してモ
ータ室6の吐出冷媒ガス圧力は上昇し、吐出室油溜34
の潤滑油は背圧室39との間の差圧によっても油室A7
8aに供給され、螺旋状油溝41a,41bのネジポン
プ作用と併せて背圧室39に給油される。背圧室39の
圧力は次第に高くなり、油室A78aの吐出圧力相当の
潤滑油圧力との合成力が旋回スクロール18のラップ支
持円盤18cに作用する。その結果、圧縮室の冷媒ガス
圧力によって旋回スクロール18を固定スクロール15
から離反させようと作用するスラスト荷重が相殺され、
旋回スクロール18に作用するスラスト力が軽減する。
【0092】したがって、圧縮機冷時始動後のモータ室
6の圧力上昇が低い間は、油室A78aと背圧室39の
潤滑油圧力による旋回スクロール18への付与力が圧縮
室の冷媒ガス圧力による旋回スクロール18へのスラス
ト荷重よりも小さい。その結果、旋回スクロール18は
固定スクロール15から離反して、シールリング70の
弾性力と最終圧縮行程の第3圧縮室60a,60bから
導入された冷媒ガスによる背圧を受けるスラスト軸受2
0に支持される。
【0093】吐出圧力と吸入圧力との差圧が所要圧力を
超えた場合に、油室A78aと背圧室39の潤滑油圧力
による旋回スクロール18への付与力が圧縮室の冷媒ガ
ス圧力による旋回スクロール18へのスラスト荷重より
も大きくなる。そして、旋回スクロール18は固定スク
ロール15に支持される。
【0094】圧縮室の中心,旋回軸受18eの中心,環
状リング94の中心が各々ほぼ一致した配置構成におい
て、環状リング94は旋回スクロール18と共に旋回運
動をするので、その時の慣性力によって旋回ボス部18
eに設けられた環状シール溝95から飛び出そうとす
る。また、環状リング94は、油室A78aと背圧室3
9との差圧によってその内径を拡張し、熱膨張と併せて
その切口94bを閉じる。これらの作用によって、環状
リング94は本体フレーム5と環状シール溝95の外側
面に押接されると共に、環状リング94の油掻き作用に
よって環状シール溝95と環状リング94との間に潤滑
油が押し込まれ、油室A78aと背圧室39との間の過
剰な潤滑油漏洩を防止する。
【0095】更に、柔軟性に優れた樹脂製の環状リング
94は、背圧室39と油室A78aとの間の圧力差によ
ってその内径を環状シール溝95の外側面に沿って拡張
し、熱膨張と併せてその切口94bを閉じると共に、環
状シール溝95の外側面に押圧されるので、両空間の間
の漏洩を更に少なくする。
【0096】なお、環状溝94の表面に設けられた油溝
94aに滞溜する潤滑油の油膜によって環状リング94
と本体フレーム5との間の摺動面を潤滑し、摺動面の摩
耗,摺動抵抗を少なくする。
【0097】圧縮機定常運転時は、高圧の油室A78a
の潤滑油圧力と背圧室39の潤滑油圧力によって旋回ス
クロール18は固定スクロール15の側に背圧付与さ
れ、ラップ支持円盤18cと鏡板摺動面15b2との間
は適度な接触力を保持しながら円滑に摺動し、圧縮室の
軸方向隙間を最小にしている。
【0098】背圧室39に流入した潤滑油は、スラスト
軸受20に設けられた油穴91を介して間欠的に外周部
空間37に流入し、更にラップ支持円盤18cに設けら
れた油穴C38c,対称位置に配設された細径のインジ
ェクション穴52a,52b(図14参照)を通して漸
次減圧され、第1圧縮室61a,61bに流入する。潤
滑油は、その通路途中で各摺動面を潤滑し、摺動隙間を
密封する。
【0099】第1圧縮室61a,61bに注入された潤
滑油は、吸入冷媒ガスと共に圧縮室(圧縮空間)に流入
した潤滑油と合流し、隣接する圧縮室間の微少隙間を油
膜密封して圧縮冷媒ガス漏れを防ぎ、圧縮室間の摺動面
を潤滑しながら圧縮冷媒ガスと共に吐出ポート16を経
てモータ室6に再び吐出される。
【0100】背圧室39を経由する吐出室油溜34から
第1圧縮室61a,61bまでの給油経路において、背
圧室39は吐出圧力と吸入圧力との間の適正な中間圧力
を維持する。
【0101】また、スクロール冷媒圧縮機の圧縮比が一
定であることから、冷時起動直後のように吸入室17と
吐出室2との差圧が小さい場合、あるいは、異常な液圧
縮が生じた場合などは、上述のように旋回スクロール1
8が固定スクロール15から離反し、スラスト軸受20
に支持される。
【0102】しかしながら、背圧付勢されたスラスト軸
受20は、異常上昇した圧縮室圧力荷重を支持できず、
レリース隙間27を減少させる方向に後退して、旋回ス
クロール18のラップ支持円盤18cと固定スクロール
15の固定スクロールラップ15aの先端との間の軸方
向隙間が拡大する。これにより、圧縮室間に多くの漏れ
が生じ、図15の一点鎖線63aで示すように、圧縮室
圧力が圧縮途中で急低下する。
【0103】旋回スクロール18が固定スクロール15
から軸方向に離反する最大距離が約70ミクロンに規制
されているので、ラップ支持円盤18cの両側摺動面の
各隙間に油膜が残留し、外周部空間37と吸入室17と
が直接連通することによる背圧室39の圧力変化が抑制
され、圧縮負荷が瞬時に軽減した後、スラスト軸受20
が瞬時に元の位置に復帰でき、安定運転が再継続する。
【0104】なお、旋回スクロール18がスラスト軸受
20の方へ後退する時、旋回スクロールラップ18aの
先端と固定スクロール15との間の軸方向寸法も拡大す
るが、チップシール98aがその背面のガス圧によって
固定スクロール15の側に押圧されているので、この部
分からの圧縮冷媒ガス漏れはほとんど生じない。
【0105】一方、旋回スクロール18のラップ支持円
盤18cと固定スクロール15の固定スクロールラップ
15bの先端との間の隙間が拡大し、圧縮室内での圧縮
冷媒ガス漏れが生じて、圧縮室圧力が急低下する。
【0106】また、旋回スクロール18と固定スクロー
ル15との間の軸方向隙間部に異物の噛み込みが生じた
場合にも、上述と同様に、スラスト軸受20が後退して
異物を除去する。
【0107】また、冷時起動初期や定常運転時に、瞬時
的な液圧縮が生じた場合の圧縮室圧力は、図15の点線
63のように異常な過圧縮が生じるが、吐出ポート16
に連通する高圧空間容積が大きく、しかも、逆止弁室5
0a,吐出室2,吐出チャンバー2bを順次通過する間
に膨張を繰り返し、モータ室6の圧力変化はほとんど生
じない。
【0108】また、圧縮機運転速度が増加するに伴い単
位時間当りの圧縮室冷媒ガス漏れが少なくなる。その反
面、一旋回運動当りのインジェクション穴52a,52
bの開口時間が短くなり、一旋回運動当りの圧縮室への
油インジェクション量が抑制されて不要な油圧縮が少な
くなると共に、油穴B38bと背圧室39との間の遮断
回数増加による通路抵抗が増加して、油室A78aから
背圧室39への潤滑油流入量も抑制され、背圧室39の
圧力が適切に維持される。
【0109】なお、図8では、油穴B38bと背圧室3
9とが間欠的に連通する一旋回運動当りの区間を多く設
定したが、圧縮負荷が比較的小さい圧縮機運転条件の場
合には、油穴B38bと背圧室39との一旋回運動当り
の連通区間が少なくなるように、油穴B38bの開口位
置を本体フレーム5の中心部側に移動させて、油室A7
8aの潤滑油が背圧室39および圧縮室へ流入する量を
少なくする必要があることは、従来技術の説明から明か
であろう。これに伴い、背圧室39および外周部空間3
7の圧力も低くなる。
【0110】以上のように、上記実施例によれば、以下
に述べる実施形態による効果を得ることができる。
【0111】すなわち、第1の実施例の形態は、旋回ス
クロール18の反圧縮室側で且つスラスト軸受20の内
側に配置され且つ旋回軸受18bの摺動部に通じて区画
配置された油室(油室A78a,油室B78b)に、駆
動軸4の回転に基づき作動するポンプ手段(螺旋状の油
溝41a,41bによるネジポンプ作用)によって吐出
ポート16に通じる吐出室油溜34の潤滑油を油穴A3
8aを介して供給し、油室(78a,78b)と油室
(78a,78b)への供給経路(油穴A38)を含め
た潤滑油の大部分を少なくとも駆動軸4を支持する圧縮
室に近い側の主軸受12と旋回軸受部18bに供給した
後、吐出室油溜34に戻す軸受給油通路を構成する一
方、旋回スクロール18のラップ支持円盤18cと固定
スクロール15の鏡板15bの間、およびラップ支持円
盤18cとスラスト軸受20の間の両方の接触力を小さ
くすべく、油室(78a,78b)の潤滑油圧力によっ
て旋回スクロール18を固定スクロール15の側に背圧
付与すると共に、ポンプ手段(螺旋状の油溝41a,4
1bによるネジポンプ作用)の排出側の潤滑油の一部を
絞り通路である油穴B38bを介して減圧して背圧室3
9に流入させた後、旋回スクロール18の外周部空間3
7を経て吸入室17に間欠的に通じる第1圧縮室61
a,61bに流入させる差圧給油通路を設けたものであ
る。そしてこの構成によれば、旋回スクロール18と固
定スクロール15および旋回スクロール18とスラスト
軸受20との間の両側への軸方向接触力を小さくし、摺
動部摩擦損失入力の低減と耐久性が向上する。
【0112】更に、低速運転時でも吐出室油溜34と第
1圧縮室61a,61bとの差圧の助けを得て、螺旋状
の油溝41a,41bによるネジポンプ作用の排出側通
路抵抗が無い状態になるので、ポンプ給油能力が高まり
駆動軸4の主軸受12と旋回軸受18bの各摺動部への
充分な給油ができる。
【0113】一方、ポンプ給油能力が過剰になる高速運
転時には、ポンプ排出側潤滑油圧力上昇が抑制され、ポ
ンプ入力の低減を図ることができる。
【0114】第2の実施の形態は、旋回スクロール18
の背圧室39と外周部空間37を経由する吐出室油溜3
4から第1圧縮室61a,61bへの差圧給油通路の途
中に、ラップ支持円盤18cと鏡板15bとの摺接面お
よびスラスト軸受20と自転阻止部材24の係止部を配
置したものである。そしてこの構成によれば、旋回スク
ロール18のラップ支持円盤18cの両側摺接面への潤
滑と接触力の低減によって、摺動部摩擦損失入力の低減
と耐久性向上を更に図ることができる。
【0115】第3の実施の形態は、スクロール式圧縮機
構を密閉ケース1の下部に、駆動軸4に連結するモータ
3を密閉ケース1の上部に収納し、油室A78aを主軸
受12と旋回軸受18bに隣接させると共に、吐出室油
溜34を主軸受12と同等レベルの高さで配置したもの
である。そしてこの構成によれば、主軸受12と旋回軸
受18b部の各摺動部への給油経路が短く、給油通路抵
抗が小さくなり、ポンプ揚程能力の小さいポンプ手段
(螺旋状の油溝41a,41bによるネジポンプ作用)
の配置が可能となる。それによってポンプ手段の簡易化
と圧縮機高速運転時のポンプ入力を少さくできる。
【0116】第4の実施の形態は、ポンプ手段として、
少なくとも主軸受12の摺動部に設けた螺旋状の油溝4
1aによる粘性ポンプ(ネジポンプ)作用とし、油室A
78aを油溝41aに隣接し且つラップ支持円盤18c
の反圧縮室側に駆動軸4を囲む形態で配置させたもので
ある。そしてこの構成によれば、常に油室A78aに貯
溜する潤滑油を簡易で所要給油能力を有する低入力のポ
ンプ手段を提供できる。
【0117】第5の実施の形態は、差圧給油通路途中の
油穴B38bの上端を吐出室油溜34の油面よりも上方
に迂回させたものである。そしてこの構成によれば、差
圧給油通路直前の潤滑油に混入する冷媒ガスのガス抜き
が容易にできるので、第3圧縮室61a,61bへの冷
媒ガス流入量が少なくなり、圧縮効率が向上する。
【0118】(実施例2)図16は、本発明の第2の実
施例のスクロール冷媒圧縮機の縦断面図で、本体フレー
ム205に設けられた油穴A238aを介して吐出油溜
34に通じた高圧の油室A278aの段付き内壁には図
17で示すような外観形状をした鋼板成形製の仕切りキ
ャップ101が圧入されて、図19のように、駆動軸2
04のツバ部102を覆う形態で配置されている。キャ
ップ101は、その一部に切口101aを有し、油室A
278aの段付き内壁に装着された状態で切口101a
を塞ぎ、油室A278aを主軸受212側と旋回軸受2
18b側とに仕切っている。
【0119】旋回スクロール218の旋回ボス部218
eには、図18で外観形状を示すような旋回軸受218
bが圧入されている。円筒形状をした旋回軸受218b
の外周部には、その一部が平面加工されており、その段
差Cは100ミクロン程度に設定されている。この段差
Cの部分は、図19のように、旋回ボス部218eに圧
入された状態で絞り通路103を形成する。
【0120】旋回ボス部218eには環状溝104と細
径の油穴105が設けられている。吐出室油溜34と背
圧室239とは油穴A238a,油室A278a,螺旋
状油溝241b,油室B278b,絞り通路103,環
状溝104,油穴105とで連通されている。
【0121】図20に示すように、外周部空間37と背
圧室239とは、第1圧縮室61a,61bが閉じ込み
完了前の約180度の旋回角度範囲内にある時のみスラ
スト軸受220の表面に設けられた浅溝291を介して
連通され、それ以外の時に旋回スクロール218のラッ
プ支持円盤218cによって遮断されるように浅溝29
1の位置が設定されている。その他の構成は図1の場合
と同様である。
【0122】以上のように構成されたスクロール冷媒圧
縮機について、その動作を説明する。
【0123】圧縮機起動後の時間経過と共に吐出冷媒ガ
スが充満するモータ室6内の圧力は次第に上昇する。
【0124】モータ室6の底部の吐出室油溜34の潤滑
油は、図1の場合と同様に、駆動軸204に設けられた
螺旋状油溝241a,241bのネジポンプ作用によっ
て本体フレーム205に設けられた油穴A238aを介
して油室A278aに吸い込まれる。この時、仕切りキ
ャップ101は潤滑油が駆動軸204の表面近傍を通過
して油室A278a,螺旋状油溝241bへと流入すべ
く案内する。そのことによって潤滑油が油穴A238a
から油室A278aに流入する際に、駆動軸204が高
速回転することによる遠心拡散の影響を受けることなく
螺旋状油溝241aに吸い込まれ良好なネジポンプ給油
が行われる。
【0125】吐出室油溜34と旋回スクロール218の
背圧室239との間の差圧および螺旋状油溝241bの
ネジポンプ作用によって、その通過途中で旋回軸受21
8bの摺動面を潤滑の後に油室B278bに供給された
潤滑油は、その一部が絞り通路103,環状溝104,
油穴105を経由して背圧室239に流入し、残りの大
部分が駆動軸204内に設けられた給油穴273aを経
由して主軸受212に供給された後、螺旋状の油溝24
1aによるネジポンプ作用によって油穴A238aから
主軸受212に供給された潤滑油と合流の後、吐出室油
溜34に帰還する。
【0126】一方、油室A278aと背圧室239との
間を仕切る環状リング94の本体フレーム205との間
のシール摺接面は、油室A278aの潤滑油が背圧室2
39へ微少漏洩するのを許容することにより潤滑され、
そのシール摺接面のシール耐久性と摺動摩擦損失の低減
が保証される。
【0127】モータ室6の圧力にほぼ等しい油室A27
8aの潤滑油は、簡単で且つ精密絞り通路として確保が
可能な絞り通路103,油穴105を経由する精密減圧
通路と、環状リング94のシール摺接面を経由する摺接
減圧通路との2つの減圧通路を介して背圧室239に供
給される。その結果、背圧室239への差圧給油量が安
定し、背圧室239内は適正圧力を保つ。
【0128】吐出室油溜34の潤滑油が螺旋状油溝24
1bのネジポンプ作用に加えて、背圧室239との差圧
によって旋回軸受の摺動部に供給され、背圧室239へ
の給油量が安定化する。
【0129】外周部空間37と背圧室239との間は、
図1の場合と同様に、スラスト軸受220の表面に設け
られた油溝291を介して連通されているので、背圧室
239の潤滑油は間欠的に外周部空間37に給油され
る。
【0130】その後の潤滑油は、図1の場合と同様に圧
縮室に給油され、圧縮冷媒ガスと共に再びモータ室6に
吐出され、その過程で圧縮室隙間の密封に供される。
【0131】なお、上記実施例では、環状リング94を
旋回スクロール218の旋回ボス部218eに設けた環
状シール溝95に配設したが、前述の実開昭61−12
8396号公報のように、本体フレーム205に環状シ
ール溝と環状リングを配設する場合も上記同様に作用す
る。
【0132】以上のように上記実施例によれば、旋回ス
クロール218の反圧縮室側で且つスラスト軸受220
の内側に配置され且つ旋回軸受218bの摺動部に通じ
て区画配置された油室(油室A278a,油室B278
b)に、駆動軸204の回転に基づき作動するポンプ手
段(螺旋状の油溝241a,241bによるネジポンプ
作用)によって吐出ポート16に通じる吐出室油溜34
の潤滑油を油穴A238aを介して供給し、油室(27
8a,278b)と油室(278a,278b)への供
給経路(油穴A238)を含めた潤滑油の大部分を旋回
軸受218bの摺動部を経由して駆動軸204を支持す
る圧縮室に近い側の主軸受212に供給した後、吐出室
油溜34に戻す軸受給油通路を構成する一方、旋回スク
ロール218のラップ支持円盤218cと固定スクロー
ル215の鏡板215bの間、およびラップ支持円盤2
18cとスラスト軸受220の間の両方の接触力を小さ
くすべく、油室(278a,278b)の潤滑油圧力に
よって旋回スクロール218を固定スクロール215の
側に背圧付与すると共に、ポンプ手段(螺旋状の油溝2
41bによるネジポンプ作用)の排出側の潤滑油の一部
を絞り通路103を介して減圧して背圧室239に流入
させた後、旋回スクロール218の外周部空間37を経
て吸入室17に間欠的に通じる第1圧縮室61a,61
bに流入させる差圧給油通路を設けたものである。そし
てこの構成によれば、旋回スクロール218と固定スク
ロール215および旋回スクロール218とスラスト軸
受220との間の両側への軸方向接触力を小さくし、摺
動部摩擦損失入力の低減と耐久性が向上する。
【0133】更に、低速運転時でも吐出室油溜34と第
1圧縮室61a,61bとの差圧の助けを得て、螺旋状
の油溝241bによるネジポンプ作用の排出側通路抵抗
が無い状態になるので、ポンプ給油能力が高まり駆動軸
204の主軸受212と旋回軸受218bの各摺動部へ
の充分な給油ができる。
【0134】一方、ポンプ給油能力が過剰になる高速運
転時には、ポンプ排出側潤滑油圧力上昇が抑制され、ポ
ンプ入力の低減を図ることができる。
【0135】(実施例3)図21は、本発明の第3の実
施例のスクロール冷媒圧縮機の縦断面図で、図1におけ
るネジポンプ作用に加えて、駆動軸の先端に容積型ポン
プ装置を配設し、特に、圧縮機極低速運転の持続が可能
な軸受給油の構成を示す。
【0136】すなわち、本体フレーム305に設けられ
た油穴A338aを介して吐出室油溜34に通じた高圧
の油室A378aの段付き内壁には図16で示すよう
に、鋼板成形製の仕切りキャップ101が圧入されて、
駆動軸304のツバ部102を覆う形態で配置され、油
室A378aを主軸受312側と旋回軸受318b側と
に仕切っている。
【0137】旋回スクロール318の旋回ボス部318
eには、旋回軸受318bが圧入されて、その底部には
アウターロータ106aとインナーロータ106bとか
ら成るトロコイドポンプ装置106が装着されている。
【0138】トロコイドポンプ装置106は駆動軸30
4の端部のクランク軸314の先端に設けられた駆動端
軸107に連結されて駆動される。クランク軸314と
駆動端軸107とは同芯である。
【0139】旋回軸受318bとトロコイドポンプ装置
106との間には、図23に示すような、吸入穴108
と中央穴109とを有する仕切り板110が装着固定さ
れている。
【0140】旋回スクロール318のラップ支持円盤3
18cの中央部に設けられた油溝111はトロコイドポ
ンプ装置106の吐出ポートになっており、油溝111
と主軸受312の摺動面とは駆動軸304に設けられた
軸方向油穴112と半径方向油穴113とで連通してい
る。
【0141】吐出室油溜34と旋回スクロール318の
背圧室339とは、油穴A338a,油室A378a,
螺旋状油溝341b,吸入穴108,トロコイドポンプ
装置106,油溝111,軸方向油穴112,半径方向
油穴113,主軸受312の軸受隙間を経由して油溜り
72に連通する給油通路Aと、油室A378aから螺旋
状油溝341aを経由して油溜り72に連通する給油通
路Bとから成る給油通路Cおよび油並びにB38bとで
連通されている。
【0142】その他の構成は、図1に準じており、説明
を省略する。そして、この実施例によれば、低速運転時
でも駆動軸304の軸受摺動部(主軸受312,旋回軸
受318b,上部軸受311)への充分な給油ができる
一方、高速運転時の多量給油状態には、吐出室油溜34
と第3圧縮室61a,61bとの差圧が大きくなるの
で、トロコイドポンプ装置106aの排出側となる油溜
り72の潤滑油圧力上昇が無くなるレベルまで抑制さ
れ、ポンプ入力と軸受摺動部摩擦損失の大幅な低減を図
ることができる。
【0143】また、上記実施例によれば、トロコイドポ
ンプ装置106aの吸入側通路途中に油室A378aを
配置したものである。そしてこの構成によれば、油室A
378aへの潤滑油供給が早まり、圧縮機起動初期にお
ける旋回軸受318bの摺動部と主軸受312への潤滑
立ち上がりを良くすることができる。
【0144】(実施例4)図24は、本発明の第4の実
施例のスクロール冷媒圧縮機における駆動軸先端部の給
油ポンプ装置周辺の要部縦断面図で、本体フレーム40
5の主軸受412の旋回スクロール418側の段付き穴
部には、図27の外観図で示すような吸入切り欠き11
4aを有した側板114と、溝119を有した側板ケー
ス118とを間隔を有して装着固定し、側板114と側
板ケース118の間にリング状のピストン115,仕切
りベーン117,コイルバネ116から成るローリング
ピストン式ポンプ装置の構成部品が配置されている。
【0145】図25にその外観形状を示すように、小径
外周部418fを有する旋回軸受418bが旋回スクロ
ール418の旋回ボス部418eに圧入固定され、その
内周面が駆動軸404のクランク軸414と係合摺動
し、小径外周部418fがピストン115の内周面に係
合摺動するように配置されている。
【0146】本体フレーム405に設けられた油穴A4
38aを介して吐出室油溜34に通じる油室A478a
は、本体フレーム405に圧入された側板ケース118
および旋回ボス418eの端部に装着された環状リング
94によって旋回スクロール418の背圧室439と遮
断されている。
【0147】側板114は駆動軸404の段付き部端面
404aに当接して油穴A438aの側とピストン11
5の円周面側とを遮断している。
【0148】油室A478aは、ローリングピストン式
給油ポンプ装置120,クランク軸414の外周面に設
けられた螺旋状油溝441b,クランク軸414の端部
に設けられた油室B478b,駆動軸404の軸芯に設
けられた軸方向油穴112a,および螺旋状油溝441
a,本体フレーム405に設けられた油穴B438bを
介して背圧室439に連通しており、油穴B438bの
開口端はオルダムリング24の往復運動によって間欠的
に遮断される。
【0149】その他の構成は図21の場合と同様であ
る。以上のように構成されたスクロール冷媒圧縮機につ
いて、その動作を説明する。
【0150】圧縮機の起動と同時に駆動軸404の回転
によってクランク軸414は偏心回転運動をし、往復運
動のみを許容されたオルダムリング24の自転阻止機構
によって、旋回スクロール418は自転するとなく駆動
軸の404の主軸を中心とする公転運動をする。
【0151】旋回スクロール418に固定された旋回軸
受418bが旋回運動することに追従して、それに係合
摺動するピストン115が自転しながら旋回運動をし、
仕切りベーン117の先端がコイルバネ116の付勢を
受けてピストン115に摺接する周知された給油ポンプ
の吸入・吐出作用が行われる。
【0152】吐出室油溜34の潤滑油は、本体フレーム
405に設けられた油穴A438aを経由して吸入切り
欠き114aに導かれ、ポンプ室を経由して側板ケース
118の溝119に排出された後、油室A478aから
螺旋状油溝441bのネジポンプ作用(粘性ポンプ作
用)との併用によって旋回軸受414の摺動面を潤滑し
ながら油室B478b,駆動軸404に設けられた軸方
向油穴112aに送出され、主軸受412の摺動面を潤
滑する。
【0153】また、ローリングピストン型給油ポンプに
よって螺旋状油溝441aに吸い込まれた潤滑油は、ネ
ジポンプ作用によって主軸受412へと送出され、軸方
向油穴112から排出される潤滑油と合流の後、図22
の場合と同様に、油溜り72(図示なし),上部軸受
(図示なし),スラスト軸受(図示なし)へと排出され
ると共に、油穴A438aを介して減圧されながら背圧
室439に給油され、圧縮機起動初期の各摺動部を潤滑
する。
【0154】背圧室439への油穴B438bの開口端
は、オルダムリング24の往復運動によって間欠的に開
閉され、駆動軸404の回転速度が増加するのに追従し
て連続開口時間が短くなるので、背圧室439への流入
抵抗が増加する。その結果、背圧室439への潤滑油流
入量が少なくなる。
【0155】圧縮機起動後の時間経過と共に吐出室油溜
34に作用する吐出冷媒ガス圧力が上昇した後、吐出室
油溜34の潤滑油は、背圧室439との間の差圧によっ
ても油室A478aに供給された後、螺旋状油溝441
a,441bのネジポンプ作用により各摺動部へ供給さ
れる。
【0156】このような差圧給油と容積型給油ポンプ
(ローリングピストン型給油ポンプ装置)と粘性ポンプ
(ネジポンプ)とを併用した給油ポンプ給油によって、
潤滑油中に多少のガス噛み込みが生じた場合や、容積型
給油ポンプや粘性ポンプの給油能力が高速運転領域で減
少した場合でも、摺動部への給油を継続する。
【0157】その他の動作については、図1,図17,
図21の場合と同様であるので、説明を省略する。
【0158】そして、この実施例によれば、軸受摺動部
へのポンプ給油手段としてのローリングピストン式給油
ポンプ装置120を油室A478aに配置したことによ
り、油室A478aの潤滑油に混入する冷媒ガスが螺旋
状の油溝441a,油穴B438b,背圧室439を経
由して第1圧縮室61a,61bに吸引され、油室A4
78aの潤滑油中の冷媒ガスが少なくなり、ローリング
ピストン式給油ポンプ装置120のキャビテーション現
象が生じず、特に、低速運転時の給油能力が増すので、
ローリングピストン式給油ポンプ装置120を小容量化
・低入力化することができる。
【0159】(実施例5) 図27は、本発明の第5の実施例のスクロール冷媒圧縮
機における駆動軸先端部の給油ポンプ装置周辺の要部縦
断面図で、図24の場合と同様に、本体フレーム505
の主軸受512の旋回スクロール518側の段付き穴部
には、図28の外観図で示すような三日月状の吸入穴1
14cと突起部114dとを有した側板114bと側板
ケース118aとを間隔を有して装着固定し、側板11
4bと側板ケース118aの間に突起部115bと溝1
15cを有したリング状のピストン115aから成り、
且つ、例えば特公昭61−57953号公報で記載され
ているような旋回円筒ピストン型ポンプ装置と類似の旋
回円筒ピストン型ポンプ装置115の構成部品が配置さ
れている。
【0160】図29にその外観形状を示すように、小径
外周部518fを有する旋回軸受518bが旋回スクロ
ール518の旋回ボス部518eに圧入固定されてお
り、旋回スクロール518が旋回運動する時、小径外周
部518fが間欠的にピストン115aの内周面115
dに当接することによって、ピストン115aが旋回揺
動運動をし、ポンプ作用をするものである。
【0161】なお、ピストン115aの突起部115b
は、本体フレーム505に設けられた切り欠き溝121
に係止してピストン115aの回転を阻止するためのも
のである。
【0162】側板114bは駆動軸504の段付き部端
面504aに当接して油穴A538aの側とピストン1
15aの円周面側とを遮断している。
【0163】本体フレーム505に設けられた油穴A5
38aを介して吐出室油溜34に通じる油室A578a
は、本体フレーム505に圧入された側板114bおよ
び旋回ボス518eの端部に装着された環状リング94
によって旋回スクロール518の背圧室539と遮断さ
れている。
【0164】油室A578aは、旋回円筒ピストン型給
油ポンプ装置,クランク軸514の外周面に設けられた
螺旋状油溝541b,クランク軸514の端部に設けら
れた油室B578b,駆動軸504の軸芯に設けられた
軸方向油穴112a,および螺旋状油溝541a,本体
フレーム505に設けられた油穴B538bを介して背
圧室539に連通しており、油穴B538bの開口端は
オルダムリング24の往復運動によって間欠的に遮断さ
れる。
【0165】その他の構成は図21の場合と同様であ
る。以上のように構成されたスクロール冷媒圧縮機につ
いて、その動作を説明する。
【0166】本体フレーム505の切り欠き溝121に
突出部115bが可動係止されたピストン115aは、
旋回スクロール518の旋回軸受518bが旋回運動す
ることによって揺動運動をし、吸入・吐出作用が行われ
る。ピストン115aの内側面と旋回軸受518bの小
径外周部518fとの間に空隙が設けられているので、
ピストン115aの移動量はクランク軸514の偏心量
の2倍よりも小さい。この空隙寸法によって旋回円筒ピ
ストン型給油ポンプの排出量が左右される。この実施例
では、ピストン115aの移動量をクランク軸514の
偏心量相当に設定し、特に高速運転時の過剰給油による
ポンプ入力の低減を図っている。
【0167】圧縮機の起動と同時に、吐出室油溜34の
潤滑油は、油穴A538aを経由して側板114bの吸
入穴114cに吸い込まれた後、ピストン115aの溝
115cから排出され、油室A578aに送出される。
【0168】油穴A538aの潤滑油は、螺旋状油溝5
41bのネジポンプ作用によって旋回軸受518b,主
軸受512に給油され、各摺動面の潤滑に供される。
【0169】その後の動作説明は、上述例と同様である
ので、説明を省略する。そして、この実施例によれば、
容積型ポンプ装置として、駆動軸504と旋回スクロー
ル518との間の摺動結合部の旋回軸受518bの一外
周部と回転係止され且つシリンダ内に配置された環状の
ピストン115aの内側面とを遊合状態で摺接させ、ピ
ストン114aが旋回スクロール518の旋回運動に追
従して揺動運動することによりシリンダの内壁と環状の
ピストン115aの外周面との間でポンプ作用する旋回
円筒ピストン型ポンプ装置115としたことにより、旋
回円筒ピストン型ポンプ装置115のピストン115a
が、旋回スクロール518の旋回直径以下の揺動運動を
ピストン115aの内側から与えられて小入力のポンプ
作用をすることができる。
【0170】(実施例6)図30は、本発明の第6の実
施例のスクロール冷媒圧縮機における駆動軸先端部の給
油ポンプ装置周辺の要部縦断面図で、図24,図27の
場合と同様に、本体フレーム605の主軸受612の旋
回スクロール618側の段付き穴部には、図31の外観
図で示すような三日月状の吸入穴118cを有した側板
ケース118bと側板ケース118aとを間隔を有して
装着固定し、側板ケース118a,118bの間に二つ
のベーン溝124と二つの吐出穴125を有し且つ駆動
軸604に固定されたロータ122と各々のベーン溝1
24に装着されてベーン溝124内を往復運動する二つ
のベーン123から成る、いわゆるスライドベーン型給
油ポンプ装置126aの構成部品が配置されている。
【0171】本体フレーム605に設けられた油穴A6
38aを介して吐出室油溜34に通じる油室A678a
は、本体フレーム605に圧入された側板ケース118
aおよび旋回ボス618eの端部に装着された環状リン
グ94によって旋回スクロール618の背圧室639と
遮断されている。
【0172】油室A678aは、スライドベーン型給油
ポンプ装置,クランク軸614の外周面に設けられた螺
旋状油溝641b,クランク軸614の端部に設けられ
た油室B678b,駆動軸604の軸芯に設けられた軸
方向油穴112c,および螺旋状油溝641a,本体フ
レーム605に設けられた油穴B638bを介して背圧
室639に連通しており、油穴B638bの開口端はオ
ルダムリング24の往復運動によって間欠的に遮断され
る。
【0173】その他の構成は図21の場合と同様であ
る。以上のように構成されたスクロール冷媒圧縮機につ
いて、その動作を説明する。
【0174】圧縮機の起動と同時に駆動軸604に固定
されたロータ122が回転し、ロータ122に摺動装着
されたベーン123がそれ自身の遠心力を受けてロータ
123の外周部側に移動することによりポンプ室を区画
し、周知の吸入・吐出作用が行われる。
【0175】吐出室油溜34の潤滑油は、油穴A638
aを経由して側板ケース118bの吸入穴118cから
吸い込まれ、吐出穴125を介して油室A678aに排
出される。
【0176】駆動軸604が高速回転してポンプ室圧力
が設定圧力以上に上昇する場合には、ベーン123の遠
心力よりもポンプ室側からベーン123の先端に作用す
る潤滑油力が大きくなる。その結果、ベーン123は後
退し、ポンプ室隙間を広げてポンプ給油能力を制御す
る。
【0177】また、極低速運転時には、ベヒン123の
遠心力が小さいのでポンプ室の区画形成が不十分とな
り、ポンプ給油作用が抑制される。その結果、圧縮機冷
時始動初期には、吐出室油溜34の底部に滞留する液冷
媒を軸受摺動部に供給されることがなる。
【0178】圧縮機起動後の時間経過と共に吐出室油溜
34に滞留する液冷媒は、発砲しながら潤滑油から分離
し、モータ室6の上部へと移動した後、圧縮機の常用運
転速度領域に於て給油ポンプ作用が充分に発揮され、冷
媒を含まない潤滑油が各摺動部に供給される。
【0179】その他の動作については、図27の場合と
同様であるので、説明を省略する。そして、この実施例
によれば、容積型ポンプ装置として、駆動軸604と同
軸回転するロータ122とそのロータ122に設けられ
たベーン溝124内を前進・後退してポンプ室内を区画
シールするベーン123とから成るスライドベーン型給
油ポンプ装置126aとし、ベーン123のシリンダ壁
への付勢力をベーン123の自重に基づく遠心力のみに
依存させたことにより、高速運転時でもポンプ室内を区
画シールするベーン123の先端の接触力が小さいので
ポンプ入力を小さくできる。
【0180】(実施例7)図32は、本発明の第7の実
施例のスクロール冷媒圧縮機の縦断面図で、軟鉄製の密
閉ケース801の内部は、図1の場合と同様に、駆動軸
704を支持する本体フレーム805によって上部密閉
ケース801aの側と下部密閉ケース801bの側とに
仕切られており、上部密閉ケース801aの内部はモー
タ703を内蔵する高圧空間で、下部密閉ケース801
bの内部は蒸発器の下流側に通じる低圧空間でアキュー
ムレータ室846を構成する。
【0181】モータ703を連結する駆動軸704は、
本体フレーム805の主軸受812と上部フレーム12
6とに支持されている。
【0182】吐出室2は、固定スクロール815に設け
られたガス通路B880b,本体フレーム805に設け
られたガス通路A880a,本体フレーム805と吐出
ガイド81とで形成された吐出チャンバー2cを介して
高圧側のモータ室806に通じている。
【0183】上部密閉ケース801aの上端に設けられ
た吐出管831は、上部フレーム126に設けられたガ
ス穴129を介してモータ室806に通じている。
【0184】スラスト軸受220の背面側の反圧縮室側
には、コイルバネ131が等間隔で複数個配置され、コ
イルバネ131は本体フレーム805に取り付けられた
吐出ガイド881によってその端面を押さえられて、ス
ラスト軸受220を固定スクロール815の鏡板815
bに押圧している。
【0185】スラスト軸受220の背面側は、本体フレ
ーム805に設けられたコイルバネ装着穴132と吐出
ガイド881に設けられた油導入穴133によって吐出
室油溜34に通じている。
【0186】スラスト軸受220の背面側は、内側にの
みシールリングA70aが装着されており、外周側は、
スラスト軸受220が鏡板815bに押接することによ
ってシールされている。
【0187】旋回スクロール818の外周部空間37
は、スラスト軸受220に設けた浅溝891を介して背
圧室839に間欠的に通じると共に、吸入室17に間欠
的に通じる第1圧縮室61a,61bとは連通せずに、
固定スクロール815の鏡板815bの摺動面に設けた
油溝899を介して吸入室17に通じている。
【0188】そして、この実施例によれば、背圧室83
9は吸入室17の圧力に近い圧力を保持する。
【0189】したがって、固定スクロール815の側に
作用させる旋回スクロール818への背圧付与力は、油
室A878aの潤滑油圧力のみに依存する。
【0190】この背圧付与形態によれば、圧縮機起動初
期から定常運転に到達するまでの間、および、圧縮室の
圧力が液圧縮などにより異常圧力上昇した時に、旋回ス
クロール818のラップ支持円盤818cが固定スクロ
ール815の鏡板815bから離反してスラスト軸受2
20に支持され、定常運転時のように定格負荷作用時に
鏡板815bに支持されるべく、旋回スクロールの反圧
縮側の油室A878aに供給された高圧の潤滑油による
旋回スクロール818への背圧付与力が設定できる。
【0191】それによって、旋回スクロール818と固
定スクロール815との間、および、旋回スクロール8
18とスラスト軸受220との間の過剰な軸方向接触を
回避して、過圧縮防止、圧縮入力の低減、摺動部耐久性
と円滑な起動性の向上を図ることができる。
【0192】なお、駆動軸704の端部に図16で示し
た容積型ポンプ装置を付加し、極低速運転を持続するこ
ともできる。
【0193】なお、上記実施例では駆動軸4の主軸方向
に主軸受12と旋回軸受18bと隣接させて配置した
が、図36の構成の如く、主軸受の内側に旋回軸受を配
置する構成の場合でも、上述と同様の作用・効果を期待
できる。
【0194】また、上記実施例では、縦置形圧縮機の構
成を示しその作用・効果を説明したが、図35の場合と
同様に、例えば、図1における油穴A(38a他)の上
流側を密閉ケース(1他)の底部側とした横置形圧縮機
の構成の場合などについても同様の作用効果が期待でき
る。なお、横置形圧縮機の構成の場合は、図21におけ
る吐出室油溜34の潤滑油を油室(378a)に導くた
めの油穴を、図33,図35の場合と同様に駆動軸30
4内に設けることも容易に可能で、上述と同様の作用・
効果を期待できることは明かである。
【0195】また、上記実施例では冷媒圧縮機について
説明したが、潤滑油を使用する酸素,窒素,ヘリウムな
どの他の気体圧縮機の場合も同様の作用効果を期待でき
る。
【0196】
【発明の効果】上記実施例から明かなように、請求項1
に記載の発明は、スクロール式圧縮機構と駆動軸に連接
するモータを密閉ケースに収納し、ラップ支持円盤の反
圧縮室側に隣接し且つ駆動軸を支持するスラスト軸受の
内側に配置され且つ主軸受と旋回軸受摺動部に隣接し通
じて区画配置された油室を配設し、駆動軸の軸受摺動部
に設けた螺旋状の油溝によるネジポンプ作用と、駆動軸
によって駆動される容積型ポンプ装置の内の少なくとも
一方のポンプ手段によって、吐出ポートに通じ且つモー
タを収納するモータ室の下部に配設された吐出室油溜の
潤滑油を、吐出室油溜と油室との間を連通する油穴を介
して油室に供給の後、モータ室を経由して再び吐出室油
溜に戻す軸受給油通路を形成し、軸受給油通路途中に主
軸受と旋回軸受部を配設する一方、ラップ支持円盤と鏡
板の間、およびラップ支持円盤とスラスト軸受の間の両
方の接触力を小さくすべく、油室の潤滑油圧力によって
旋回スクロールを固定スクロールの側に背圧付与した構
成、ポンプ手段の排出側の潤滑油の一部を減圧して圧縮
室と吸入室の内いずれか一方に流入させる差圧給油通路
を設けたもので、この構成によれば、旋回スクロールと
固定スクロールおよび旋回スクロールとスラスト軸受と
の間の両側摺接面への軸方向接触力を小さくし、摺動部
摩擦損失入力の低減と耐久性を向上する。
【0197】更に、低速運転時には吐出室油溜と圧縮室
または吸入室との差圧によってポンプ給油能力を高め、
駆動軸の軸受摺動部への充分な給油ができるので、低入
力運転の持続による省エネルギー運転を実現できる。
【0198】一方、ポンプ給油能力が過剰になる高速運
転時には、吐出室油溜と圧縮室または吸入室との差圧が
拡大することによってポンプ排出側潤滑油圧力の上昇を
更に抑制し、ポンプ入力の一層の低減を図ることができ
るという効果を奏する。
【0199】請求項2に記載の発明は、差圧給油通路の
途中に、ラップ支持円盤と鏡板との摺接面およびスラス
ト軸受と自転阻止部材の係止部を配置したもので、この
構成によれば、旋回スクロールのラップ支持円盤の両側
摺接面への潤滑と接触力を低減することによって、更に
摺動部摩擦損失入力の低減と耐久性向上を図ることがで
きるという効果を奏する。
【0200】請求項3に記載の発明は、ポンプ手段を、
駆動軸に連接して作動する容積型ポンプ装置としたもの
で、この構成によれば、低速運転時でも駆動軸の軸受摺
動部への充分な給油ができる一方、高速運転時の多量給
油状態には、吐出室油溜と圧縮室または吸入室との差圧
が大きくなるので、ポンプ排出側潤滑油圧力上昇が無く
なるレベルまで抑制され、ポンプ入力と軸受摺動部摩擦
損失の大幅な低減を図ることができるという効果を奏す
る。
【0201】請求項4に記載の発明は、容積型ポンプ装
置の吸入側通路途中に油室を配置したもので、この構成
によれば、油室への潤滑油供給を早めて、圧縮機起動初
期における旋回軸受摺動部への潤滑立ち上がりを良く
し、起動初期の入力低減と耐久性を向上することができ
るという効果を奏する。
【0202】請求項5に記載の発明は、スクロール式圧
縮機構を密閉ケースの下部に、駆動軸に連結するモータ
を密閉ケースの上部に収納し、油室を主軸受に隣接させ
ると共に、吐出室油溜を主軸受と同等レベルの高さで配
置したもので、この構成によれば、主軸受と旋回軸受部
への給油経路が短いので、給油通路抵抗が小さくなり、
ポンプ揚程能力の小さいポンプ手段の配置が可能にな
る。それによってポンプ手段の簡易化と圧縮機高速運転
時のポンプ入力を小さくできるという効果を奏する。
【0203】請求項6に記載の発明は、ポンプ手段を、
駆動軸に連接して作動する容積型ポンプ装置とし、容積
型ポンプ装置を油室に配置したもので、この構成によれ
ば、油室の潤滑油に混入する気体が圧縮室または吸入室
に吸引され、油室の潤滑油中の気体を少なくできるの
で、容積型ポンプ装置のキャビテーション現象を防止で
きる。その結果、特に、低速運転時の給油能力を向上で
きるので、ポンプ装置を小容量化・低入力化することが
できるという効果を奏する。
【0204】請求項7に記載の発明は、容積型ポンプ装
置を、駆動軸と旋回スクロールとの間の摺動結合部の一
外周部と回転係止され且つシリンダ内に配置された環状
のピストンの内側面とを遊合状態で摺接させ、ピストン
が旋回スクロールの旋回運動に追従して揺動運動するこ
とによりシリンダの内壁と環状のピストンの外周面との
間でポンプ作用する旋回円筒ピストン型ポンプ装置とし
たもので、この構成によれば、旋回スクロールの旋回直
径以下の揺動運動をポンプ装置のピストンの内側から与
えることによって、簡易構成で低コスト且つ耐久性を備
えた小入力のポンプ装置を実現することができるという
効果を奏する。
【0205】請求項8に記載の発明は、容積型ポンプ装
置を、駆動軸と同軸回転するロータと前記ロータに設け
られた溝内を前進・後退してポンプ室内を区画シールす
るベーンとから成るスライドベーン型給油ポンプ装置と
し、前記ベーンのシリンダ壁への付勢力を前記ベーンの
自重に基づく遠心力のみに依存させたもので、この構成
によれば、高速運転時でもポンプ室内を区画シールする
ベーンの先端の接触力が小さいのでポンプ入力を小さく
できるという効果を奏する。
【0206】請求項9に記載の発明は、ポンプ手段とし
て、少なくとも主軸受の摺動部に設けた螺旋状の油溝に
よるネジポンプ作用とし、油室を前記油溝に隣接し且つ
ラップ支持円盤の反圧縮室側に駆動軸を囲む形態で配置
させたもので、この構成によれば、簡易で所要給油能力
を有する低入力のポンプ手段を提供できるという効果を
奏する。
【0207】請求項10に記載の発明は、差圧給油通路
の途中を油溜の油面よりも上方に迂回させたもので、こ
の構成によれば、差圧給油通路直前の潤滑油に混入する
気体抜き(ガス抜き)が容易にできるので、圧縮室また
は吸入室への気体流入量が少なくし、圧縮効率を向上で
きるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すスクロール冷媒圧縮機
の縦断面図
【図2】同圧縮機における主要部品の分解図
【図3】同圧縮機における吐出ポート部に配置した逆止
弁装置の部分断面図
【図4】図3における逆止弁装置の構成部品の斜視図
【図5】図3における逆止弁装置の構成部品の斜視図
【図6】図3における逆止弁装置の構成部品の斜視図
【図7】同圧縮機における小物部品の分解斜視図
【図8】同圧縮機における主要軸受部の部分断面図
【図9】同圧縮機におけるシール部品の斜視図
【図10】同圧縮機におけるスラスト軸受部の部分断面
【図11】図10におけるスラスト軸受の斜視図
【図12】同圧縮機における背圧制御弁装置の動作説明
断面図
【図13】同圧縮機における背圧制御弁装置の動作説明
断面図
【図14】図1におけるA−A線に沿った横断面図
【図15】同圧縮機の吸入行程から吐出行程までの冷媒
ガスの圧力変化を示す特性図
【図16】本発明の第2の実施例を示すスクロール冷媒
圧縮機の縦断面図
【図17】同圧縮機における仕切りキャップと軸受部品
の斜視図
【図18】同圧縮機における仕切りキャップと軸受部品
の斜視図
【図19】同圧縮機における主要軸受部の部分断面図
【図20】同圧縮機におけるスラスト軸受部の部分断面
【図21】本発明の第3の実施例を示すスクロール冷媒
圧縮機の縦断面図
【図22】同圧縮機における主要軸受部の部分断面図
【図23】図22におけるトロコイドポンプ装置に使用
する仕切り板の斜視図
【図24】本発明の第4の実施例を示すスクロール冷媒
圧縮機における主要軸受部の部分断面図
【図25】図24における軸受部品の斜視図
【図26】同圧縮機における給油ポンプ装置の構成部品
の分解斜視図
【図27】本発明の第5の実施例を示すスクロール冷媒
圧縮機における主要軸受部の部分断面図
【図28】同圧縮機における給油ポンプ装置の構成部品
の分解斜視図
【図29】図27における軸受部品の斜視図
【図30】本発明の第6の実施例を示すスクロール冷媒
圧縮機における主要軸受部の部分断面図
【図31】同圧縮機における給油ポンプ装置の構成部品
の分解斜視図
【図32】本発明の第7の実施例を示すスクロール冷媒
圧縮機の縦断面図
【図33】従来のスクロール圧縮機の縦断面図
【図34】従来のスクロール圧縮機の縦断面図
【図35】他の従来のスクロール圧縮機の縦断面図
【図36】他の従来のスクロール圧縮機の縦断面図
【図37】図36におけるポンプ装置の詳細部分断面図
【図38】同ポンプ装置の要部断面図
【図39】従来のスクロール圧縮機の縦断面図
【符号の説明】
1 密閉ケース 4 駆動軸 5 本体フレーム 12 主軸受 15 固定スクロール 15a 固定スクロールラップ 15b 鏡板 16 吐出ポート 17 吸入室 18 旋回スクロール 18a 旋回スクロールラップ 18b 旋回軸受部 18c ラップ支持円盤 20 スラスト軸受 24 自転阻止機構 34 吐出室油溜 41a,41b 油溝 60a 第3圧縮室 78a 油室A 78b 油室B 89a スラスト背圧導入穴 89b スラスト背圧導入穴 115 旋回円筒ピストン型ポンプ装置 115a ピストン 122 ロータ 123 ベーン 126a スライドベーン型給油ポンプ装置 220 スラスト軸受

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】固定スクロールの一部を成す鏡板の一面に
    形成された渦巻状の固定スクロールラップに対して旋回
    スクロールの一部を成すラップ支持円盤上の渦巻状の旋
    回スクロールラップを揺動回転自在に噛み合わせ、両ス
    クロール間に渦巻形の圧縮空間を形成し、前記固定スク
    ロールラップの中心部には吐出ポートを設け、前記固定
    スクロールラップの外側には吸入室を設け、前記ラップ
    支持円盤は、駆動軸を支承し且つ前記旋回スクロールに
    近い側の主軸受を有する本体フレームに設けたスラスト
    軸受と前記鏡板との間に遊合状態で配置され、更に、前
    記旋回スクロールが前記駆動軸と係合摺動する旋回軸受
    部と前記ラップ支持円盤の自転阻止機構を介して前記駆
    動軸に旋回可能に支承されて、前記固定スクロールラッ
    プと前記旋回スクロールラップとの間に形成された圧縮
    空間の容積変化を利用して流体を圧縮するようにしたス
    クロール式圧縮機構と前記駆動軸に連接するモータを密
    閉ケースに収納し、前記ラップ支持円盤の反圧縮室側に
    隣接し且つ前記駆動軸を支持する前記スラスト軸受の内
    側に配置され且つ前記主軸受と前記旋回軸受摺動部に隣
    接し通じて区画配置された油室を配設し、前記駆動軸の
    軸受摺動部に設けた螺旋状の油溝によるネジポンプ作用
    と、前記駆動軸によって駆動される容積型ポンプ装置の
    内の少なくとも一方のポンプ手段によって、前記吐出ポ
    ートに通じ且つ前記モータを収納するモータ室の下部に
    配設された吐出室油溜の潤滑油を、前記吐出室油溜と前
    記油室との間を連通する油穴を介して前記油室に供給の
    後、前記モータ室を経由して再び前記吐出室油溜に戻す
    軸受給油通路を形成し、前記軸受給油通路途中に前記主
    軸受と前記旋回軸受部を配設する一方、前記ラップ支持
    円盤と前記鏡板の間、および前記ラップ支持円盤と前記
    スラスト軸受の間の両方の接触力を小さくすべく、前記
    油室の潤滑油圧力によって前記旋回スクロールを前記固
    定スクロールの側に背圧付与した構成において、前記ポ
    ンプ手段の排出側の潤滑油の一部を減圧して圧縮室と吸
    入室の内いずれか一方に流入させる差圧給油通路を設け
    たスクロール気体圧縮機。
  2. 【請求項2】差圧給油通路の途中に、ラップ支持円盤と
    鏡板との摺接面およびスラスト軸受と自転阻止部材の係
    止部を配置した請求項1記載のスクロール気体圧縮機。
  3. 【請求項3】ポンプ手段を、駆動軸に連接して作動する
    容積型ポンプ装置とした請求項1または2記載のスクロ
    ール気体圧縮機。
  4. 【請求項4】容積型ポンプ装置の吸入側通路途中に油室
    を配置した請求項3記載のスクロール気体圧縮機。
  5. 【請求項5】スクロール式圧縮機構を密閉ケースの下部
    に、前記駆動軸に連結するモータを前記密閉ケースの上
    部に収納し、油室を主軸受に隣接させると共に、吐出室
    油溜を前記主軸受と同等レベルの高さで配置した請求項
    1または2記載のスクロール気体圧縮機。
  6. 【請求項6】ポンプ手段を、駆動軸に連接して作動する
    容積型ポンプ装置とし、前記容積型ポンプ装置を油室に
    配置した請求項5記載のスクロール気体圧縮機。
  7. 【請求項7】容積型ポンプ装置を、駆動軸と旋回スクロ
    ールとの間の摺動結合部の一外周部と回転係止され且つ
    シリンダ内に配置された環状のピストンの内側面とを遊
    合状態で摺接させ、前記ピストンが前記旋回スクロール
    の旋回運動に追従して揺動運動することにより前記シリ
    ンダの内壁と前記環状のピストンの外周面との間でポン
    プ作用する旋回円筒ピストン型ポンプ装置とした請求項
    3記載のスクロール気体圧縮機。
  8. 【請求項8】容積型ポンプ装置を、駆動軸と同軸回転す
    るロータと前記ロータに設けられた溝内を前進・後退し
    てポンプ室内を区画シールするベーンとから成るスライ
    ドベーン型給油ポンプ装置とし、前記ベーンのシリンダ
    壁への付勢力を前記ベーンの自重に基づく遠心力のみに
    依存させた請求項3記載のスクロール気体圧縮機。
  9. 【請求項9】ポンプ手段として、少なくとも主軸受の摺
    動部に設けた螺旋状の油溝によるネジポンプ作用とし、
    油室を前記油溝に隣接し且つラップ支持円盤の反圧縮室
    側に駆動軸を囲む形態で配置させた請求項5記載のスク
    ロール気体圧縮機。
  10. 【請求項10】差圧給油通路の途中を油溜の油面よりも
    上方に迂回させた請求項1または2記載のスクロール気
    体圧縮機。
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