JPH09195961A - スクロール気体圧縮機 - Google Patents

スクロール気体圧縮機

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JPH09195961A
JPH09195961A JP345697A JP345697A JPH09195961A JP H09195961 A JPH09195961 A JP H09195961A JP 345697 A JP345697 A JP 345697A JP 345697 A JP345697 A JP 345697A JP H09195961 A JPH09195961 A JP H09195961A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 吸入室や圧縮室への安定給油量を確保するこ
とにより、潤滑油の有効利用によるスクロール気体圧縮
機の圧縮効率や耐久性の向上を図る。 【解決手段】 旋回スクロール18の外周部を収納する
外周部空間37を経由する吐出室油溜34から圧縮空間
への給油通路の絞り通路を、摺動面を経由しない通路で
形成するものである。この構成によれば、吐出室油溜3
4の潤滑油を旋回スクロール18の背圧室39と摺接面
に供給した後、圧縮空間への安定した適正給油経路の構
成が可能となり、潤滑油の有効利用による圧縮効率や耐
久性の向上が図ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はスクロール気体圧縮
機の圧縮空間への油供給通路に関する。
【0002】
【従来の技術】スクロール圧縮機は、吸入室がうず巻状
の圧縮室の外周部に有り、吐出ポートが圧縮室の中心部
に設けられ、圧縮流体の流れが一方向で往復動圧縮機や
回転式圧縮機のような流体を圧縮するための吐出弁を必
要とせず圧縮比が一定の場合には吐出脈動も比較的小さ
くて大きな吐出空間を必要としないことが一般に知られ
ている。
【0003】しかし、特に気体を圧縮する場合などは圧
縮部の洩れ隙間を小さくするためにうず巻部の寸法精度
を極めて高くする必要があるが、部品形状の複雑さ、寸
法精度のバラツキなどにより、スクロール気体圧縮機の
コストが高く、性能のバラツキも大きいという問題があ
った。
【0004】そこで、この種の問題解決のための方策と
して、圧縮途中の気体洩れ防止のために潤滑油膜を利用
したシール効果により、うず巻部寸法精度の適正化と圧
縮機性能の安定化を期待することが大きく、図14に示
すように吐出室底部の潤滑油を圧縮途中の圧縮室に直接
流入させる構成が考えられている。
【0005】同図は密閉ケース701内の上部にモータ
703を配置し、下部に圧縮部を配置して密閉ケース内
空間702を吐出室とした構造で、吐出室底部の油溜7
10の潤滑油を固定スクロールに配設した各油吸い込み
管722を介して対称配置された圧縮途中の各圧縮室7
23に直接流入させる構成である(特開昭57−838
6号公報)。
【0006】
【発明が解決しょうとする課題】しかしながら上記のよ
うな吐出圧力に等しい密閉ケース内空間702の底部の
油溜710の潤滑油を、圧縮途中の圧縮室723に絞り
通路を介して直接的に差圧流入させる構成では、冷媒圧
縮機などのように閉循環系で使用する場合に、圧縮機停
止中にその自重により圧縮機外部の冷凍サイクル配管系
から圧縮機内に帰還した多量の冷媒が液化状態で油溜7
10の上部のモータ703下面にまで溜り、冷媒液や潤
滑油が油吸い込み管722を通じて圧縮室723に流入
・充満する場合もある。このような状態では、圧縮機再
起動時の圧縮負荷が過大なために再起動運転不能であ
り、例えモータ703の起動トルクが大きくて再起動で
きる場合でも圧縮機破損を招く。
【0007】また、油溜710の潤滑油が圧縮室723
の隙間密封のみに提供され、潤滑油の効果的な活用によ
る圧縮入力の低減効果がないという課題があった。
【0008】そこで、上記課題解決の方策として図15
の構成が提案されている。同図は、旋回スクロール80
1の反圧縮室側に設けた背圧室817と圧縮室809と
を直接連通する絞り効果を有した導通孔818を旋回ス
クロール801に設け、吐出室812に通じるモータ8
16下部の油溜899の潤滑油をクランク軸807内に
設けた主軸方向の油孔719、920、921、クラン
ク軸807と摺動する各軸受の微小隙間を介して減圧
し、中間圧力状態で背圧室817に供給の後、導通孔8
18を介して圧縮室809に流入させ、圧縮室隙間の油
膜密封に供させる。
【0009】一方、駆動軸807の上端部に導かれた吐
出圧力相当の潤滑油と背圧室817に供給された中間圧
力状態の潤滑油とで旋回スクロール801を固定スクロ
ール802の側に押圧し、圧縮室809の軸方向微小隙
間を保持する。
【0010】また、背圧室817の潤滑油は、旋回スク
ロール801と固定スクロール802との摺接面を潤滑
しながら圧縮室809の外側に配設された吸入室にも流
入し、吸入気体と共に圧縮室809に搬送されて圧縮室
隙間の油膜密封に供される構成である(特開昭59−1
10884号公報)。
【0011】しかしながら、上記の図15の構成では、
モータ816下部の油溜899の潤滑油がクランク軸8
07内に設けた主軸方向の油孔719、920、921
を経由の後、クランク軸807と摺動する各軸受の微小
隙間を介して減圧され最終的に圧縮室809に流入する
給油通路構成のために、各軸受の微小隙間のバラツキに
よって通路抵抗が異なり、圧縮室809への差圧給油量
に過不足が生じる。各軸受の微小隙間のバラツキは組立
部品間の寸法バラツキに依存すると共に、圧縮機運転速
度に応じて軸受隙間に形成される油膜厚さに大きく左右
される。特に、摺動方向(円周方向)に生じた油膜圧力
による軸方向通路抵抗は冷媒ガスが通過するのを阻止で
きる程度のシール効果を作用させることもあり、圧縮室
809への差圧給油量が大きく変動する。
【0012】圧縮室809への差圧給油量が過剰な場合
には圧縮入力の増加を招く一方、圧縮室809への差圧
給油量が不足する場合には圧縮室809の隙間の油膜密
封が不十分で圧縮効率の低下を招くという重要な課題が
あった。
【0013】また、圧縮室809への差圧給油量の変動
は、背圧室817の圧力変動を招き、旋回スクロール8
01を固定スクロール802の側に適正力で押圧できな
い。
【0014】その結果、背圧室817に不足給油される
場合には、背圧室817の圧力が低下するので、旋回ス
クロール801が固定スクロール802から軸方向に離
反して著しい圧縮冷媒ガス洩れを生じる。
【0015】一方、背圧室817に過剰給油される場合
には、背圧室817の圧力が上昇するので、旋回スクロ
ール801が固定スクロール802と過剰に接触し、摺
動部摩擦損失が過大になって圧縮入力の増加を招くなど
の重要な課題があった。
【0016】本発明はこのような従来の課題を解決する
ものであり、吸入室や圧縮室への安定給油量を確保する
ことにより、潤滑油の有効利用による圧縮効率や耐久性
の向上を図ることを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記問題を解決するため
に本発明は、旋回スクロールの外周部を収納する外周部
空間を経由する吐出室油溜から圧縮空間への給油通路
を、摺動面を経由しない通路で形成するものである。
【0018】上記差圧給油通路の構成によって、吐出室
油溜の潤滑油を旋回スクロールの背圧室と摺接面に供給
した後、圧縮空間への安定した適正給油経路の構成が可
能となり、潤滑油の有効利用による圧縮効率や耐久性の
向上が得られる。
【0019】
【発明の実施の形態】請求項1に記載の発明は、駆動軸
を支承する主軸受を有する本体フレームと固定スクロー
ルとの間に旋回スクロールが配置され、旋回スクロール
のラップ支持円板は、ラップ支持円板の反圧縮室側を支
持すべく本体フレームに設けられたスラスト軸受と鏡板
との間に配置され、スラスト軸受に隣接する外周部には
ラップ支持円板を収納すべく鏡板と本体フレームとで形
成して吐出室油溜から圧力的に隔離した外周部空間を配
置し、スラスト軸受の内側には主軸受に隣接し且つスラ
スト軸受と区画した背圧室を配置し、吐出ポートに通じ
る吐出室油溜と圧縮空間とは背圧室と外周部空間を順次
経由する絞り通路を有する油通路で連通した構成におい
て、絞り通路は摺動面を経由しない通路で形成され且つ
外周部空間の上流側に配置されたものである。そしてこ
の構成によれば、吐出室油溜の潤滑油は絞り通路で減圧
された後、外周部空間を経由して圧縮空間に安定適正量
が差圧給油され、圧縮室隙間を油膜密封する。外周部空
間を通過途中の潤滑油は、スラスト軸受とラップ支持円
板との間およびラップ支持円板と鏡板との間の各摺動面
を潤滑し、摩擦抵抗の低減に寄与することができる。
【0020】請求項2に記載の発明は、絞り通路を本体
フレーム5に設けたものである。そしてこの構成によれ
ば、背圧室を適正圧力に設定し、旋回スクロールへの適
正背圧付勢により旋回スクロールのラップ支持円板とス
ラスト軸受との間、およびラップ支持円板と固定スクロ
ールの鏡板との間の摺接面に作用するスラスト力を小さ
くして摩擦損失を少なくできる。また、軸受摺動面の微
小隙間を絞り通路とするよりも潤滑油通路抵抗精度の高
い絞り通路を形成し、圧縮空間への過不足のない潤滑油
量を供給することができる。
【0021】請求項3に記載の発明は、背圧室と外周部
空間との間をラップ支持円板内に設けた中心側から外周
側に至る半径方向通路部を有する油穴を経由して連通す
ると共に、その油穴の途中に絞り通路を配置したもので
ある。そしてこの構成によれば、絞り通路を長く配設で
き、絞り穴径のバラツキによる通路抵抗バラツキを少な
くできると共に、外周部空間への給油通路構成の自由度
を高くできる。
【0022】請求項4に記載の発明は、モータを上部
に、スクロール圧縮機構を下部に配置し、モータの下部
に配置した吐出室油溜の油面が外周部空間より上部に配
設された構成において、外周部空間よりも上流側の油通
路の途中に設けた絞り通路は、圧縮機停止中の高低圧差
の無い状態で、吐出室油溜の潤滑油が外周部空間へ流入
するのを阻止できる通路抵抗を備えたものである。そし
てこの構成によれば、吐出室油溜の潤滑油が圧縮機停止
中に圧縮空間と外周部空間に流入・充満するのを防ぎ、
圧縮機再起動時の油圧縮発生と旋回スクロールの旋回運
動阻害を回避することができる。
【0023】
【実施例】以下、本発明の実施例のスクロール気体圧縮
機について、図面を参照しながら説明する。
【0024】(実施例1)図1において、1は鉄製の密
閉ケースで、その内部全体は吐出室2に連通する高圧雰
囲気となり、上部にモータ3、下部に圧縮部を配置し、
モータ3の回転子3aに固定された駆動軸4を支承する
圧縮部の本体フレーム5により密閉ケース1の内部がモ
ータ室6と吐出室2とに仕切られている。本体フレーム
5は軽量化と軸受部の熱発散を主目的とした熱伝導特性
に優れたアルミニウム合金製で、その外周部に溶接性に
優れた鉄製ライナー8が焼ばめ固定され、ライナー8の
外周部が密閉ケース1に全周内接し部分的に溶接固定さ
れている。
【0025】モータ3の固定子3bの両端外周部は、密
閉ケース1に内接固定された軸受フレーム9と本体フレ
ーム5によって支持固定されている。駆動軸4は、軸受
フレーム9に設けられた上部軸受10、本体フレーム5
の上端部に設けられた下部軸受11、本体フレーム5の
中央部に設けられた主軸受12、本体フレーム5の上端
面とモータ3の回転子3aの下部端面との間に設けられ
たスラスト玉軸受13とで支持され、その下端部には駆
動軸4の主軸から偏心した偏心軸受14(以下、旋回軸
受と称する)が設けられている。
【0026】本体フレーム5の下端面には、アルミニウ
ム合金製の固定スクロール15が固定され、固定スクロ
ール15は渦巻き状の固定スクロールラップ15aと鏡
板15bから成り、鏡板15bの中央部には固定スクロ
ールラップ15aの巻き始め部に開口する吐出ポート1
6が吐出室2にも開口して設けられ、固定スクロールラ
ップ15aの外周部には吸入室17が設けられている。
【0027】固定スクロールラップ15aに噛み合って
圧縮室を形成する渦巻き状の旋回スクロールラップ18
aと、駆動軸4の旋回軸受14に支持された旋回軸18
bとを直立させたラップ支持円板18cとから成るアル
ミニウム合金製の旋回スクロール18は、固定スクロー
ル15と本体フレーム5と駆動軸4とに囲まれて配置さ
れており、旋回軸18bの外周部に高張力鋼材料から成
るスリーブ19が焼ばめ固定され、ラップ支持円板18
cの表面は硬化処理されている。
【0028】本体フレーム5に固定された平行ピン19
に拘束されて軸方向にのみ移動が可能なスラスト軸受2
0と、固定スクロール15の鏡板15bとの間には、ス
ペーサ21が設けられ、スペーサ21の軸方向寸法は油
膜による摺動面のシール性向上のためにラップ支持円板
18cの厚さよりも約0 .0 1 5〜0 . 0 2 0 mm大きく
設定されている。
【0029】駆動軸4の旋回軸受14の底部と旋回スク
ロール18の旋回軸18bの端部との間の偏心軸受空間
36とラップ支持円板18cの外周部空間37とは旋回
軸18bとラップ支持円板18cに設けられた油穴A3
8aにより連通されている。
【0030】スラスト軸受20は図2、図6のように、
その中央部が2つの平行な直線部分22とそれに連なる
2つの円弧状曲線部分23から成る形状に貫通成形され
ている。
【0031】旋回スクロール自転阻止用のオルダムリン
グ24は、焼結成形や射出成形工法などに適した軽合金
や樹脂材料から成り、図4のように両面が平行な薄い環
状板24aとその一面に設けられた一対の平行キー部分
24bとから成り、環状板24aの外輪郭は、2つの平
行な直線部分25とそれに連なる2つの円弧状曲線部分
26から成り、直線部分25は図6のようにスラスト軸
受20の直線部分22に微小隙間で係合し摺動可能であ
り、平行キー部分24bの側面24cは直線部分25の
中央部で直交し、図1、図2のように旋回スクロール1
8のラップ支持円板18cに設けられた一対のキー溝7
1に微少隙間で係合し、摺動可能な形状に設定されてい
る。なお、環状板24aの内輪郭は外輪郭に類似した形
状である。また、平行キー部分24bの付け根に設けら
れたヘコミ部24dは潤滑油の通路にもなる。
【0032】図1、図3のように、本体フレーム5とス
ラスト軸受20との間には、約 0.1mm前後のレリース
隙間27が設けられ、そのレリース隙間27に対向して
本体フレーム5にも環状溝28が設けられ、環状溝28
を囲んだゴム製のシールリング70が、本体フレーム5
とスラスト軸受20との間に装着されている。
【0033】モータ室6の上部と吐出室2とは、密閉ケ
ース1の側壁を貫通して接続されたバイパス吐出管29
を介して連通し、バイパス吐出管29のモータ室6への
開口位置は、固定子3bの上部コイルエンド30の側面
に対向し、バイパス吐出管29の上部開口端と密閉ケー
ス1の上面に接続された吐出管31とは軸受フレーム5
に設けられた抜き穴32、密閉ケース1の上面と軸受フ
レーム9との間に配置され、かつ多数の小穴を有したパ
ンチングメタル33を介して連通している。
【0034】モータ室6の下部に設けられた吐出室油溜
34は、モータ室6の上部とモータ3の固定子3bの外
周の一部をカットして設けた冷却通路35により連通さ
れている。また、吐出室油溜34は、本体フレーム5に
設けられた油穴B38bを経由して環状溝28に通じる
と共に、オルダムリング24が配置された旋回スクロー
ル18の背圧室39にも主軸受12の摺動部微少隙間を
介して通じ、更に旋回軸受14に設けられた油溝A40
aを介して偏心軸受空間36へも連通している。
【0035】また、本体フレーム5に設けられた油穴B
38bは駆動軸4の下部軸受11に対応する下部軸部4
aの表面に設けられた螺旋状油溝41にも通じており、
螺旋状油溝41の巻方向は、駆動軸4が正回転する時に
潤滑油の粘性を利用したネジポンプ作用の生じるように
設けられ、その終端は下部軸部4aの途中まで形成され
ている。
【0036】図6,図7のように、固定スクロール15
は吸入室17の両端を連通する円弧状の吸入通路42が
設けられ、それに直交する円形の吸入穴43が固定スク
ロールラップ15aの側面に対しても直角方向に設けら
れ、吸入穴43の底部は平面で吸入通路42の側面にま
で到達している。図8のように、吸入穴43の中心は吸
入通路42の底面44とずれており、吸入通路42への
開口部寸法W45は、吸入穴43の直径寸法より小さく
設けられている。また、吸入穴43にはアキュームレー
タ46の吸入管47が接続されており、吸入穴43の底
面44と吸入管端面48との間には、吸入管47の内径
寸法および吸入管端面48と底面44との間の吸入穴深
さ寸法L49よりも大きく、且つ開口寸法W45よりも
大きい円形薄鋼板の逆止弁50が配置されている。逆止
弁50の表面は油濡れ特性が悪く弾力性に富んだテフロ
ンまたはゴムなどがコーティングされている。
【0037】また、吸入室17にも吐出室2にも連通し
ない第2圧縮室51と外周部空間37は、第2圧縮室5
1に開口して鏡板15bに設けられた細径のインジェク
ション穴52、鏡板15bと樹脂製の断熱カバー53と
で形成されたインジェクション溝54、外周部空間37
に開口した段付き形状の油穴C38cとから成るインジ
ェクション通路55で連通され、油穴C38cの大径部
56には、図9に示すような外周の一部に切欠き57を
有する薄鋼板製の逆止弁58とコイルスプリング59と
から成る逆止弁装置58aが配置せされ、コイルスプリ
ング59は断熱カバー53に押えられて逆止弁58を常
時付勢する。外周部空間37への油穴C38cの開口位
置は、図10、図11に示す如く、吐出ポート16に連
通する第3圧縮室60a,60bの容積減少行程が終了
する(吐出ポート16と第3圧縮室60a,60bが開
通する直前)近傍にまで旋回スクロール18が移動した
(図10参照)時に、外周部空間37と油穴C38cと
が連通し、それ以外の吐出ポート16と連通した第3圧
縮室60a,60bの容積が最も拡大した時(図11参
照)にはラップ支持円板18cによって遮断される位置
に設けられている。
【0038】図12において、横軸は駆動軸4の回転角
度を示し、縦軸は冷媒圧力を示し、吸入・圧縮・吐出過
程における冷媒ガスの圧力変化状態を示し、実線62は
正常圧力で運転時の圧力変化を示し、点線63は異常圧
力上昇運転時の圧力変化を表わす。
【0039】図13において、横軸は駆動軸4の回転角
度を示し、縦軸は冷媒圧力を示し、実線64は吐出室2
にも吸入室17にも連通しない第2圧縮室 51a,5
1bのインジェクション穴52a,52bの開口位置に
おける圧力変化を示し、点線65は吸入室17に連通す
る第1圧縮室61a,61b(図6参照)の定点におけ
る圧力変化を示し、一点鎖線66は吐出室2に連通する
第3圧縮室60a,60bの定点における圧力変化を示
し、二点鎖線67は第1圧縮室61a,61bと第2圧
縮室51a,51bとの間の定点における圧力変化を示
し、二重点線68は背圧室39の圧力変化を示す。
【0040】以上のように構成されたスクロール冷媒圧
縮機について、その動作を説明する。
【0041】図1〜図13において、モータ3によって
駆動軸4が回転駆動すると、旋回スクロール18が旋回
運動をし、圧縮機に接続した冷凍サイクルから潤滑油を
含んだ吸入冷媒ガスが、アキュームレータ46に接続し
た吸入管47、吸入穴43、吸入通路42を順次経て吸
入室17に流入し、旋回スクロール18と固定スクロー
ル15との間に形成された第1圧縮室61a,61bを
経て圧縮室内に閉じ込められ、常時密閉空間となる第2
圧縮室51a,51b、第3圧縮室60a,60bへと
順次移送圧縮され、中央部の吐出ポート16を経て吐出
室2へと吐出される。潤滑油を含んだ吐出冷媒ガスは、
圧縮機外部へ配管されたバイパス吐出管29を経て再び
圧縮機内のモータ室6に帰還した後、外部の冷凍サイク
ルへ吐出管31から排出されるが、モータ室6に流入す
る際に、モータ3の上部コイルエンド30の側面に衝突
してモータ巻き線の表面に付着することにより、潤滑油
の一部を分離した後、軸受フレーム9に設けられた抜き
穴32を通過する際に、流れ方向を変えたりパンチング
メタル33の小穴を通過する際に潤滑油の慣性力や表面
付着などにより潤滑油が効果的に分離される。
【0042】吐出ガスから分離された潤滑油の一部は、
上部軸受の摺動面を潤滑した後、残りの潤滑油と共に冷
却通路35を通り、モータ3を冷却しながら下部の吐出
室油溜34に収集される。
【0043】吐出室油溜34の潤滑油は、駆動軸4の下
部軸部4aの表面に設けられた螺旋状油溝41のネジポ
ンプ作用により、スラスト玉軸受13へ給油され、下部
軸部4aの端部の微少軸受隙間を潤滑油が通過する際
に、その油膜のシール作用により、モータ室6の吐出冷
媒ガス雰囲気と主軸受12の上流側空間とが遮断され
る。
【0044】吐出室油溜34の溶解吐出冷媒ガスを含ん
だ潤滑油は、主軸受12の微少隙間を通過する際に、吐
出圧力と吸入圧力との中間圧力に減圧されて背圧室39
に流入し、その後、旋回軸受14の油溝A40a、偏心
軸受空間36、旋回スクロール18を通る油穴A38を
経て外周部空間37に流入する。更に、第3圧縮室60
a,60bから吐出ポート16への冷媒ガス排出開始時
に、ラップ支持円板18cによって油穴C38cが開口
状態にあり、図13のK点における駆動軸回転角度で示
す如く、各圧縮室では圧縮初期段階で、液圧縮発生の可
能性がなく、第2圧縮室64の圧力も低い状態にある。
したがって、外周部空間37から油穴C38c,インジ
ェクション溝54、インジェクション穴52a,52b
を経て第2圧縮室51a,51bに大きな差圧で円滑に
流入し、その通路途中の摺動面を潤滑する。
【0045】また、吐出室油溜34は、環状溝28やレ
リース隙間27とも通じているので、スラスト軸受20
はその背圧力により付勢されてスペーサ21の端面に当
接している。
【0046】また、旋回スクロール18のラップ支持円
板18cは、スラスト軸受20と固定スクロール15の
鏡板15bとの間で微小隙間を保持されて円滑に摺動す
ると共に、固定スクロールラップ15aの端面とラップ
支持円板18cとの間、ならびに、旋回スクロールラッ
プ18aの端面と鏡板15bとの間の隙間も微少に保持
されて隣接する圧縮室間の冷媒ガス漏れを少なくする。
【0047】第2圧縮室51a,51bのインジェクシ
ョン穴52a,52b開口部は、図13の如くの圧力変
化64をし、吐出室2の圧力に追従して変化する背圧室
圧力68よりも瞬時的に高い。しかし平均圧力が低いの
で、背圧室39からの潤滑油は間欠的に第2圧縮室51
a,51bに流入し、正常運転時の背圧室圧力68より
も瞬時的に高い第2圧縮室51a,51b内の圧縮冷媒
ガスは、細径のインジェクション穴52a,52bで減
衰されて、瞬時的なインジェクション溝54への逆流が
少なく、また、第2圧縮室51a,51bの圧縮行程進
行時には油穴C38cがラップ支持円板18cによって
閉塞されているので、第2圧縮室51a,51bから外
周部空間37への逆流も発生しない。
【0048】第2圧縮室51a,51bにインジェクシ
ョンされた潤滑油は、吸入冷媒ガスと共に圧縮室に流入
した潤滑油と合流し、隣接する圧縮室間の微小隙間を油
膜により密封して圧縮冷媒ガス漏れを防ぎ、圧縮室間の
摺動面を潤滑しながら圧縮冷媒ガスと共に吐出室2に再
び吐出される。
【0049】また、背圧室39に差圧給油された潤滑油
は、シールリング70の弾性力と共に、中間圧力の付勢
力を旋回スクロール18に作用させてラップ支持円板1
8cを鏡板15bとの摺動面に押圧油膜シールして外周
部空間37と吸入室17との間の連通を遮断すると共
に、スラスト軸受20とラップ支持円板18cとの摺動
面の隙間も潤滑シールする。
【0050】また、圧縮機の冷時始動後しばらくの間
は、図12、図13から理解できるように吐出室2の圧
力が第2圧縮室51a,51bの圧力よりも低く、圧縮
途中の冷媒ガスは、第2圧縮室51a,51bからイン
ジェクション通路55を経て背圧室39に逆流しょうと
するが、逆止弁58の逆止作用にても外周部空間37へ
の逆流が阻止され、吐出室油溜34の潤滑油は吐出室2
の圧力上昇と共に背圧室39、外周部空間37にまで差
圧給油される。
【0051】したがって、冷時始動初期のスラスト軸受
20への背圧付勢力は圧縮室圧力により生じ、旋回スク
ロール18を固定スクロール15から離反させようとす
るスラスト荷重に抗しながらスラスト軸受20が微少に
後退して旋回スクロール18と固定スクロール15との
間の軸方向隙間を拡大する。
【0052】このようなスラスト軸受20の軸方向コン
プライアンス機構により、圧縮空間に洩れを生じて圧縮
室圧力を下げ、始動初期の圧縮負荷を軽減する。
【0053】その後、吐出室2の圧力上昇に伴い、外周
部空間37の潤滑油はコイルスプリング59の付勢力に
抗して、インジェクション穴52a,52bから第2圧
縮室51a,51bへインジェクションされる。
【0054】また、冷時始動初期や定常運転時に、油イ
ンジェクションやその他の原因で瞬時的な液圧縮が生じ
た場合の圧縮室圧力は、図12の点線63のように異常
な圧力上昇と過圧縮が生じるが、吐出室2とそれに連通
する高圧空間容積が大きいので吐出室圧力の上昇は極め
て小さい。
【0055】また、液圧縮により第2圧縮室51a,5
1bに連通するインジェクション溝54なども異常圧力
上昇するが、細径の油穴C38cの絞り効果と逆止弁5
8の逆止作用により、外周部空間37とインジェクショ
ン溝54との間は遮断される。
【0056】なお、逆止弁58の逆止作用には追従遅延
が生じる場合もあるが、ラップ支持円板18cによる油
穴C38cの閉塞作用がこれを支援する。また、逆に、
油穴C38cをラップ支持円板18cが閉塞しない状態
では、逆止弁58の逆止作用がこれを支援する如く、互
いの短所を支援すべく機能し、背圧室39への逆流を防
止する。
【0057】その結果、背圧室39の圧力は変らず、ス
ラスト軸受20の背面に作用する背圧付勢力にも変動が
ない。したがって、液圧縮時には、旋回スクロール18
に作用する過大なスラスト力によって、上述のようにス
ラスト軸受20が後退し、圧縮室圧力が降下してその後
は正常運転を継続する。
【0058】なお、液圧縮途中でスラスト軸受20が後
退することにより、圧縮室圧力は図12の一点鎖線63
aの如く途中で降圧する。
【0059】圧縮機停止後は、圧縮室圧力により旋回ス
クロール18に逆旋回トルクが生じ、旋回スクロール1
8が逆旋回して吐出冷媒ガスが吸入側に逆流する。この
吐出冷媒ガスの逆流に追従して、逆止弁50が図6の位
置から図7の位置に移動し、逆止弁50の表面に施され
たテフロン被膜により、吸入管端面48を密封して吐出
冷媒ガスの逆流を制止し、旋回スクロール18の逆旋回
が停止し、吸入通路42と吐出ポート16との間の空間
は吐出圧力を保持する。
【0060】また、インジェクション通路の逆止弁58
を境にして、圧縮室に連通する通路は吐出圧力になる
が、外周部空間37と背圧室39との間の空間はしばら
くの間、中間圧力を保持し、吐出室油溜34からの潤滑
油微少流入により次第に吐出圧力に近づく。圧縮機停止
時、旋回スクロール18は逆転し、第3圧縮室60a,
60bが拡大した位置に停止し、油穴C38cの外周部
空間37への開口部は、ラップ支持円板18cにより遮
断される。圧縮機停止後はコイルスプリング59の付勢
力によっても逆止弁58がインジェクション通路55を
遮断するので、外周部空間37から圧縮室への潤滑油流
入がない。
【0061】なお、このスクロール冷媒圧縮機を冷凍サ
イクルに組み込み、暖房運転から除霜運転へ切り替えた
直後は吸入側が高圧に、吐出側が低圧状態になる。しか
しながら、上述の圧縮機起動初期と同様に圧縮室から外
周部空間37への冷媒ガスの逆流を阻止することができ
る。
【0062】また、上記実施例では、吐出室油溜34の
潤滑油を常時密閉空間となる第2圧縮室51a,51b
に油インジェクションしたが、常時密閉空間のない圧縮
空間を有する場合も同様である。
【0063】また、圧縮機運転速度や圧力などの運転条
件により、吸入室17に通じる第1圧縮室61a,61
bまたは吸入室17に油注入する場合でも逆止弁装置5
8aの作用により、第1圧縮室61a,61bまたは吸
入室17から外周部空間37への冷媒ガスの逆流を阻止
することができる。
【0064】上記実施例のように、モータ3を上部に、
スクロール圧縮機構を下部に配置し、モータ3の下部に
配置した吐出室油溜34の油面が外周部空間37より上
部に配設され、固定スクロール15の鏡板15bに設け
た逆止弁装置58のコイルスプリング59の付勢力が逆
止弁58を前進させて絞り機能を有する細径の油穴C3
8cを塞ぐので、圧縮機停止中のの高低圧差の無い状態
で、吐出室油溜34の潤滑油が吸入室17や圧縮室に流
入・充満するのを防止し、圧縮機再起動時の油圧縮を回
避することができる。
【0065】また、吐出室油溜34の潤滑油を確保して
圧縮機再起動初期からの摺動部潤滑に供することができ
るる。
【0066】(実施例2)上記実施例では、細径部を有
する段付き形状の油穴C38cと逆止弁58とコイルス
プリング59とを固定スクロール15の鏡板15bに設
けたが、旋回スクロール18の旋回軸18bやラップ支
持円板18cに設けてもよい。
【0067】この構成では、細径部を長くできるので、
細径バラツキによる絞り部通路抵抗のバラツキを抑制し
て、吸入室17や圧縮室への過不足給油を防ぎ、圧縮効
率と圧縮入力の安定化を図ることができる。
【0068】また、この構成では、圧縮空間が異常圧力
上昇することによって冷媒ガスが圧縮空間から外周部空
間37に逆流するが、逆止弁作用によって背圧室39へ
の逆流が阻止されて背圧室39や吐出室油溜34の潤滑
油流失を防ぐことができる。
【0069】更に、冷媒ガスが圧縮空間から外周部空間
37に逆流することによって、外周部空間37も圧力上
昇し、スラスト軸受20を反圧縮室側に後退させる。そ
の結果、旋回スクロール18が固定スクロール15から
軸方向に離反し易くなり、圧縮室軸方向隙間が広がり圧
縮室隙間の密封が解除するので、スラスト軸受20の軸
方向コンプライアンス機構の作動を支援させることもで
きる。
【0070】(実施例3)上記実施例では、吐出室油溜
34と背圧室39とを主軸受12の微小隙間を介して連
通し、吐出室油溜34からの潤滑油を減圧して背圧室3
9を中間圧力に保持したが、圧縮機使用条件(圧縮機負
荷や運転速度範囲の変動が大きい場合など)によって
は、本体フレーム5に設けた油穴B38bから分岐した
通路で、吐出室油溜34と背圧室39とを直接連通して
もよい。
【0071】また、旋回スクロール18のラップ支持円
板18C18cに設けた絞り通路と組み合わせて、背圧
室39を中間圧力〜吐出圧力相当に設定できる。
【0072】そして、圧縮機運転速度が低速〜高速域範
囲で変動するのに伴い主軸受12の軸受面に形成される
油膜厚さが変化し、実質的な軸受隙間が変動する場合で
も、吐出室油溜34の潤滑油を本体フレーム5に設けた
油穴B38b,背圧室39,油穴A38a,外周部空間
37を順次経由して圧縮空間に安定供給できる差圧給油
通路を形成することができる。その結果、圧縮空間への
適量給油によって効果的な圧縮室隙間の油膜密封作用を
得ることができる。
【0073】更に詳述するならば、上記の構成(油穴C
38cと逆止弁58とコイルスプリング59とを旋回ス
クロール18の旋回軸18bやラップ支持円板18cに
配置する)によって、背圧室39から外周部空間37に
流入する潤滑油が油穴C38cの絞り作用とコイルスプ
リング59の付勢力に抗して逆止弁58を通過時の通路
抵抗によって減圧されるので、背圧室39を中間圧力に
設定することなく、圧縮空間(吸入室17と圧縮室とで
構成される)に通じる外周部空間37を中間圧力や吸入
圧力相当に保持することができる。
【0074】また、上記実施例では、駆動軸4の先端部
に偏心軸受空間36を設ける形態の旋回軸受14を設け
たが、図14、図15に示す如く、旋回スクロールに偏
心軸受空間を設けて駆動軸との間に旋回軸受を構成する
軸受形態の場合も上述同様の作用・効果を発揮する。
【0075】また、上記実施例では冷媒圧縮機について
説明したが、潤滑油を使用する酸素、窒素、ヘリウムな
どの他の気体圧縮機の場合も同様の作用効果を期待でき
る。
【0076】
【発明の効果】上記実施例から明かなように、請求項1
に記載の発明は、駆動軸を支承する主軸受を有する本体
フレームと固定スクロールとの間に旋回スクロールが配
置され、旋回スクロールのラップ支持円板は、ラップ支
持円板の反圧縮室側を支持すべく本体フレームに設けら
れたスラスト軸受と鏡板との間に配置され、スラスト軸
受に隣接する外周部にはラップ支持円板を収納すべく鏡
板と本体フレームとで形成して吐出室油溜から圧力的に
隔離した外周部空間を配置し、スラスト軸受の内側には
主軸受に隣接し且つスラスト軸受と区画した背圧室を配
置し、吐出ポートに通じる吐出室油溜と圧縮空間とは背
圧室と外周部空間を順次経由する絞り通路を有する油通
路で連通した構成において、絞り通路は摺動面を経由し
ない通路で形成され且つ外周部空間の上流側に配置され
たもので、この構成によれば、吐出室油溜の潤滑油を絞
り通路で減圧した後、外周部空間を経由して圧縮空間に
適正量を安定して差圧給油でき、それによって圧縮室隙
間を効果的に油膜密封して圧縮効率を向上すると共に性
能安定化を図ることができる。
【0077】また、外周部空間を通過途中の潤滑油が、
スラスト軸受とラップ支持円板との間およびラップ支持
円板と鏡板との間の各摺動面を潤滑するので、摩擦抵抗
を少なくして圧縮入力の低減と摺動部耐久性の向上を図
ることができるという効果を奏する。
【0078】請求項2に記載の発明は、絞り通路を本体
フレーム5に設けたもので、この構成によれば、吐出室
油溜の潤滑油を背圧室に減圧供給して背圧室を適正圧力
に設定し、旋回スクロールに適正背圧を付勢できるの
で、旋回スクロールのラップ支持円板とスラスト軸受と
の間、およびラップ支持円板と固定スクロールの鏡板と
の間の摺接面に作用するスラスト力を小さくして摩擦損
失を少なくできる。
【0079】また、軸受摺動面の微小隙間を絞り通路と
するよりも潤滑油通路抵抗精度の高い絞り通路を形成
し、圧縮空間への過不足のない潤滑油量を供給できるの
で、圧縮室隙間を効果的に油膜密封して圧縮効率向上を
図ることができるという効果を奏する。
【0080】請求項3に記載の発明は、背圧室と外周部
空間との間をラップ支持円板内に設けた中心側から外周
側に至る半径方向通路部を有する油穴を経由して連通す
ると共に、その油穴の途中に絞り通路を配置したもの
で、この構成によれば、絞り通路を長く配設できるの
で、絞り穴径のバラツキによる通路抵抗バラツキの低減
を簡易な手段で実現できる。
【0081】また、外周部空間への任意方向に給油通路
を設けることができるので、給油通路構成の選択自由度
が高く、外周部空間を広範囲に潤滑できる給油通路を実
現することができるという効果を奏する。
【0082】請求項4に記載の発明は、モータを上部
に、スクロール圧縮機構を下部に配置し、モータの下部
に配置した吐出室油溜の油面が外周部空間より上部に配
設された構成において、外周部空間よりも上流側の油通
路の途中に設けた絞り通路は、圧縮機停止中の高低圧差
の無い状態で、吐出室油溜の潤滑油が外周部空間へ流入
するのを阻止できる通路抵抗を備えたもので、この構成
によれば、吐出室油溜の潤滑油が圧縮機停止中に圧縮空
間と外周部空間に流入・充満するのを防ぎ、圧縮機再起
動時の油圧縮発生と旋回スクロールによる潤滑油拡汎を
回避して、圧縮機起動初期の入力増加を防止することが
できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すスクロール冷媒圧縮機
の縦断面図
【図2】同圧縮機における主要部品の分解斜視図
【図3】図1におけるスラスト軸受のシール部の詳細部
分断面図
【図4】同圧縮機におけるオルダムリングの外観図
【図5】図1に関するオルダム機構部の組立外観図
【図6】図1のA−A線による断面図
【図7】図6における吸入管接続部における逆止弁の位
置説明図
【図8】図7におけるB−B線による部分断面図
【図9】同圧縮機の油インジェクション通路に用いる逆
止弁の外観図
【図10】同圧縮機の吐出ポート付近における圧縮室の
移動説明図
【図11】同圧縮機の吐出ポート付近における圧縮室の
移動説明図
【図12】同圧縮機の吸入行程から吐出行程までの冷媒
ガスの圧力変化を示す特性図
【図13】各圧縮室における定点の圧力変化を示す特性
【図14】従来のスクロール圧縮機の縦断面図
【図15】従来の異なるスクロール圧縮機の縦断面図
【符号の説明】
2 吐出室 3 モータ 4 駆動軸 5 本体フレーム 12 主軸受 15 固定スクロール 15a 固定スクロールラップ 15b 鏡板 16 吐出ポート 17 吸入室 18 旋回スクロール 18a 旋回スクロールラップ 18c ラップ支持円板 34 吐出室油溜 39 背圧室 52a インジェクション穴 52b インジェクション穴 54 インジェクション溝 55 油インジェクション通路 58 逆止弁 58a 逆止弁装置 59 コイルスプリング

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固定スクロール15の一部をなす鏡板1
    5bの一面に形成されたうず巻状の固定スクロールラッ
    プ15aに対して旋回スクロール18の一部を成すラッ
    プ支持円板18c上の旋回スクロールラップ18aを搖
    動回転自在にかみあわせ、両スクロール間に吸入室17
    と圧縮室から成る圧縮空間を形成し、前記固定スクロー
    ルラップ15aの中心部には吐出ポート16を設け、前
    記固定スクロールラップ15aの外側には前記吸入室1
    7を設け、前記圧縮空間は吸入側より吐出側に向けて連
    続移行する複数個の前記圧縮室を備えて流体を圧縮する
    スクロール圧縮機構を形成し、前記スクロール圧縮機構
    とモータ3を密閉ケース1内に収納し、前記旋回スクロ
    ール18を旋回駆動させるべく前記モータ3に連結した
    駆動軸4を支承する主軸受12を有する本体フレーム5
    と前記固定スクロール15との間に前記旋回スクロール
    18が配置され、前記ラップ支持円板18cは、前記ラ
    ップ支持円板18cの反圧縮室側を支持すべく前記本体
    フレーム5に設けられたスラスト軸受20と前記鏡板1
    5bとの間に油膜形成が可能な微小隙間で配置され、前
    記スラスト軸受20に隣接する外周部には前記ラップ支
    持円板18cを収納すべく前記鏡板15bと前記本体フ
    レーム5とで形成して前記吐出室油溜34から圧力的に
    隔離した外周部空間37を配置し、前記スラスト軸受2
    0の内側には主軸受12に隣接し且つ前記スラスト軸受
    20と区画した背圧室39を配置し、前記吐出ポート1
    6に通じる吐出室油溜34と前記圧縮空間とは前記背圧
    室39と前記外周部空間37を順次経由する絞り通路を
    有する油通路で連通した構成において、前記絞り通路は
    摺動面を経由しない通路で形成され且つ前記外周部空間
    37の上流側に配置されたスクロール気体圧縮機。
  2. 【請求項2】 絞り通路を本体フレーム5に設けた請求
    項1記載のスクロール気体圧縮機。
  3. 【請求項3】 背圧室39と外周部空間37との間をラ
    ップ支持円板18c内に設けた中心側から外周側に至る
    半径方向通路部を有する油穴38aを経由して連通する
    と共に、前記油穴38aの途中に絞り通路を配置した請
    求項1記載のスクロール気体圧縮機。
  4. 【請求項4】 モータ3を上部に、スクロール圧縮機構
    を下部に配置し、前記モータ3の下部に配置した吐出室
    油溜34の油面が外周部空間37より上部に配設された
    構成において、前記外周部空間37よりも上流側の油通
    路の途中に設けた絞り通路は、圧縮機停止中の高低圧差
    の無い状態で、吐出室油溜34の潤滑油が前記外周部空
    間37へ流入するのを阻止できる通路抵抗を備えた請求
    項2または請求項3に記載のスクロール気体圧縮機。
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