JP2785819B2 - スクロール圧縮機 - Google Patents

スクロール圧縮機

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JP2785819B2 JP30437696A JP30437696A JP2785819B2 JP 2785819 B2 JP2785819 B2 JP 2785819B2 JP 30437696 A JP30437696 A JP 30437696A JP 30437696 A JP30437696 A JP 30437696A JP 2785819 B2 JP2785819 B2 JP 2785819B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明はスクロール圧縮機に
係り、圧縮室の密封と解除に関するものである。 【0002】 【従来の技術】低振動、低騒音特性を備えたスクロール
圧縮機は、吸入室が外周部に有り、吐出ポートが渦巻き
の中心部に設けられ、圧縮流体の流れが一方向で往復動
圧縮機や回転式圧縮機のような流体を圧縮するための吐
出弁を必要とせず圧縮比が一定で、吐出脈動も比較的小
さくて大きな吐出空間を必要としないことが一般に知ら
れている。 【0003】また、振動や騒音特性をより一層改善する
ために、圧縮機高速運転時などにおける旋回スクロール
のジャンピング現象を少なくする方策として図16、図
17の構成が考えられている。 【0004】同図は駆動シャフト1007の先端部の
動ピンに連結する旋回スクロール1001の鏡板100
1aが固定スクロール1002の鏡板1002aとフレ
ーム1008との間に微小隙間で支持され、圧縮機の始
動、停止時、高速運転時など圧縮負荷や回転部材の慣性
力などが変化する際に旋回スクロール1001がジャン
ピングするのを阻止し、旋回スクロール1001と固定
スクロール1002との軸方向微少隙間を確保して圧縮
室の密封を図り、圧縮効率を高めると共に、部材間の衝
突により生じる異常音、振動、摺動部耐久性低下を防止
する工夫がなされている(特開昭55−142902号
公報など)。 【0005】しかし、スクロール圧縮機は、往復動式圧
縮機やロータリ式圧縮機などのように流体を圧縮するた
めの吐出弁を必要としない構成のために、液圧縮などに
より圧縮室内が異常圧力上昇した場合に圧縮室間隙間を
広げて圧縮流体を漏洩させ、圧縮室圧力を降下させるこ
とが出来ないので、圧縮負荷の増大、部品の破損、摺動
部耐久性の低下を生じるというスクロール圧縮機特有の
問題がある。 【0006】また、この液圧縮問題解決のための方策と
して、図18の構成が考えられている。 【0007】同図は固定スクロール2001eを軸方向
に移動可能な構成にし、板バネ2023の付勢力と背圧
室2015に吐出圧力を導入してその背圧力とで固定ス
クロール2001eを旋回スクロール2001dに押圧
し、旋回スクロール2001dと固定スクロール200
1eとの間の軸方向隙間を無くして圧縮室の密封を図
り、圧縮効率を高めると共に圧縮室内で液圧縮が生じた
時、固定スクロール2001eが旋回スクロール200
1dから軸方向に離反して圧縮室圧力を降下せしめて負
荷を軽減する構成である(米国特許3600114号公
報)。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の構成では、固定スクロール2001eを旋回スクロ
ール2001dに常に押圧する構成では、固定スクロー
ル2001eが不要に軸方向移動しないように、その付
勢力を大きくする必要があり両スクロール接触面の摩擦
や摩耗により耐久性が低下し、入力損失も大きいという
問題があった。 【0009】また、環状の支持板2015の中心部を板
バネ2023で押圧しているので、環状の支持板201
3の中央部に反りが生じ易く、また、環状の支持板20
13の中央部でのみ固定スクロール2001eを支持す
る構成のために、固定スクロール2001eが反圧縮室
側に後退する際に不安定に支持される。その結果、固定
スクロール2001eが旋回スクロール2001dに対
して傾いて、固定スクロール2001eと旋回スクロー
ル2001dとが部分的半径方向接触を生じ、異音と振
動および部品破損を招くなど種々の課題があり、耐久性
を損なわない過負荷軽減手段を備えたスクロール圧縮機
の実現が望まれていた。 【0010】本発明はこのような従来の課題を解決する
ものであり、入力損失が少なく、圧縮効率の高い過負荷
軽減手段を提供することを目的とする。 【0011】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明は、旋回スクロールの反圧縮側を支持するスラ
スト軸受に圧縮室側へ付勢力を与える構成において、ス
ラスト軸受が旋回スクロールを固定スクロールに押圧し
ないように、スラスト軸受の固定スクロール側への軸方
向移動範囲と、半径方向へのスラスト軸受移動とを規制
したものである。 【0012】上記スラスト軸受の移動規制によって、圧
縮室圧力が正常な運転時と、圧縮室圧力が異常上昇して
スラスト軸受が旋回スクロールを支持しながら後退し圧
縮室密封を解除する時も、スラスト軸受が旋回スクロー
ルを安定支持することができる。 【0013】 【発明の実施の形態】請求項1に記載の発明は、駆動軸
を支承する本体フレームの側に設けられて旋回スクロー
ルの反圧縮室側を支持し、且つ軸方向に移動が可能なス
ラスト軸受と固定スクロールとの間に旋回スクロールの
ラップ支持円板が配置され、スラスト軸受と本体フレー
ムとの間に、スラスト軸受を旋回スクロールの方向に付
勢する手段とスラスト軸受が反圧縮室側に後退可能なレ
リース隙間を設け、圧縮室の軸方向隙間を偏向させるこ
となく旋回スクロールを安定的にスラスト軸受が支持で
きるように、スラスト軸受の摺接部を吐出ポートに通じ
る圧縮室より外側の領域に対抗する位置に形成した構成
において、旋回スクロールが固定スクロールとスラスト
軸受との間で、少なくとも油膜形成可能な軸方向微小隙
間を安定保持し且つスラスト軸受の振動を阻止すべく、
スラスト軸受が固定スクロールとの間の軸方向所定距離
を確保するために固定スクロールの側への軸方向移動範
囲が規制される手段と、スラスト軸受が半径方向に移動
するのを規制する手段と、スラスト軸受の少なくとも半
径方向移動を規制する手段とを設けたものである。そし
てこの構成によれば、圧縮室圧力が正常で順次移行する
圧縮室の圧縮圧力により旋回スクロールに作用してスラ
スト軸受の側に向かうスラスト力がスラスト軸受の背面
に作用する付勢力よりも小さい場合は、スラスト軸受が
旋回スクロールの側に向かう軸方向移動範囲と少なくと
も半径方向移動を規制された静止状態で旋回スクロール
の背面を安定支持し、良好な油膜が形成される。そし
て、旋回スクロールと固定スクロールとの間の軸方向微
小隙間が偏向することなく安定的に保たれて圧縮室の密
封を維持し、効率の良い圧縮作用をする。また、或る程
度の負荷変動時や加減速運転時、高速運転時でも旋回ス
クロールのジャンピングや傾きが防止されて振動の少な
い静粛な圧縮運転が継続する。 【0014】万一、液圧縮などが生じて瞬時的に圧縮室
圧力が異常上昇した場合は、旋回スクロールに作用する
スラスト力がスラスト軸受の背面に作用する付勢力より
も大きくなり、スラスト軸受は旋回スクロールを安定支
持しながら本体フレームとの間の隙間を小さくする方向
に移動し、旋回スクロールと固定スクロールとの間の軸
方向隙間のみが大きくなる。その結果、旋回スクロール
と固定スクロールとの間の半径方向衝突を回避する一
方、圧縮室の軸方向密封のみが解除して圧縮室圧力が降
下し、異常騒音と振動を伴うことなく圧縮負荷軽減が得
られる。 【0015】請求項2に記載の発明は、スラスト軸受を
旋回スクロールの方向に付勢する手段として、スラスト
軸受の反圧縮側背面と本体フレームとの間に、スラスト
軸受を均等に付勢できる環状弾性体を配置したものであ
る。そしてこの構成によれば、スラスト軸受の変形が少
なくなり旋回スクロールを安定支持することができ、圧
縮室の軸方向隙間が偏向して圧縮室軸方向隙間が拡大す
るのを防止できる。 【0016】請求項3記載の発明は、環状弾性体を、ス
ラスト軸受の摺接部に対向させた位置に配置したもので
ある。そしてこの構成によれば、スラスト軸受の変形を
少なくし、旋回スクロールとの摺接面の油膜形成を良好
にして旋回スクロールの軸方向のジャンピング現象を抑
制できる。 【0017】請求項4記載の発明は、環状弾性体により
レリース隙間を区画してスラスト軸受背圧室を形成し、
スラスト軸受背圧室に吐出圧力が作用する流体を導入し
たものである。そしてこの構成によれば、環状弾性体の
緊迫力を小さくして環状弾性体の小型化ができる。 【0018】請求項5記載の発明は、スラスト軸受の反
圧縮側背面に別の弾性体を配置し、スラスト軸受を旋回
スクロールの方向に付勢させたものである。そしてこの
構成によれば、スラスト軸受への予圧力を強め、圧縮立
ち上がりを早めることができる。 【0019】請求項6記載の発明は、環状弾性体を環状
のバネ装置とし、環状のバネ装置を本体フレームに設け
た環状の溝に配置したものである。そしてこの構成によ
れば、環状のバネ装置の不要な半径方向移動を抑制し、
スラスト軸受に安定で且つ均等な付勢力を付与して、ス
ラスト軸受の安定化を図り、通常運転時における圧縮室
軸方向隙間密封作用を安定化できる。 【0020】請求項7記載の発明は、本体フレームに固
定された柱状の固定用部品を介してスラスト軸受の半径
方向移動の規制と保持をさせたものである。そしてこの
構成によれば、柱状の固定用部品がスラスト軸受の軸方
向移動の許容と半径方向移動の規制を同時に行うことが
できる。 【0021】請求項8記載の発明は、柱状の固定用部品
を割り形の平行ピンとしたものである。そしてこの構成
によれば、スラスト軸受の半径方向移動防止が簡易にで
きる。 【0022】請求項9記載の発明は、旋回スクロールの
自転阻止部材が固定スクロールと本体フレームとの間に
配置された構成において、反圧縮室側へのスラスト軸受
の後退距離は、ラップ支持円板が固定スクロールとスラ
スト軸受との間で狭持される軸方向微小隙間より大き
く、自転阻止部材が旋回スクロールの後退距離を規制し
ないように配置されたものである。そしてこの構成によ
れば、過負荷軽減作動時の旋回スクロールの旋回運動が
円滑に行われ、旋回スクロールをスラスト軸受に安定支
持させることができる。 【0023】請求項10記載の発明は、自転阻止部材が
スラスト軸受の軸方向移動と共に移動すべくスラスト軸
受と旋回スクロールとの間に配置されたものである。そ
してこの構成によれば、自転阻止部材の摺動係合が常時
円滑になる。 【0024】 【実施例】以下、本発明の実施例のスクロール冷媒圧縮
機について、図面を参照しながら説明する。 【0025】(実施例1)図1において、1は鉄製の密
閉ケースで、その内部全体は吐出室2に連通する高圧雰
囲気となり、上部にモータ3、下部に圧縮部を配置し、
モータ3の回転子3aに固定された駆動軸4を支承する
圧縮部の本体フレーム5により、密閉ケース1の内部が
上部のモータ室6と下部の吐出室2とに仕切られてい
る。本体フレーム5は軽量化と軸受部の熱発散を主目的
とした熱伝導特性に優れたアルミニウム合金製で、その
外周部に溶接性に優れた鉄製ライナー8が焼ばめ固定さ
れ、ライナー8の外周部が密閉ケース1に全周内接し部
分的に溶接固定されている。 【0026】モータ3の固定子3bの両端外周部は、密
閉ケース1に内接固定された軸受フレーム9と本体フレ
ーム5によって支持固定されている。駆動軸4は軸受フ
レーム9に設けられた上部軸受10、本体フレーム5の
上端部に設けられた下部軸受11、本体フレーム5の中
央部に設けられた主軸受12、本体フレーム5の上端面
とモータ3の回転子3aの下部端面との間に設けられた
スラスト玉軸受13とで支持され、その下端部には駆動
軸4の主軸から偏心した偏心軸受14が設けられてい
る。本体フレーム5の下端面にはアルミニウム合金製の
固定スクロール15が固定され、固定スクロール15は
渦巻き状の固定スクロールラップ15aと鏡板15bか
ら成り、鏡板15bの中央部には固定スクロールラップ
15aの巻き始め部に開口する吐出ポート16が吐出室
2にも開口して設けられ、固定スクロールラップ15a
の外周部には吸入室17が設けられている。 【0027】固定スクロールラップ15aに噛み合って
圧縮室を形成する渦巻き状の旋回スクロールラップ18
aと駆動軸4の偏心軸受14に支持された旋回軸18b
とを直立させたラップ支持円板18cとから成るアルミ
ニウム合金製の旋回スクロール18は固定スクロール1
5と本体フレーム5と駆動軸4とに囲まれて配置されて
おり、旋回軸18bの外周部に高張力鋼材料から成る
リーブが焼ばめ固定され、ラップ支持円板18cの表面
は硬化処理されている。 【0028】吸入室17に対向する位置でラップ支持円
板18cを支持するスラスト軸受20は、本体フレーム
5に固定された割り形の平行ピン19によって回転方向
と半径方向への移動が規制される一方、軸方向への移動
が許容されている。また、スラスト軸受20と固定スク
ロール15の鏡板15bとの間にはスペーサ21が設け
られ、スペーサ21の軸方向寸法は油膜による摺動面の
シール性向上のためにラップ支持円板18cの厚さより
も約0.015〜0.040mm大きく設定されてい
る。 【0029】駆動軸4の偏心軸受14の底部と旋回スク
ロール18の旋回軸18bの端部との間の偏心軸受空間
36とラップ支持円板18cの外側の外周部空間37と
は旋回軸18bとラップ支持円板18cに設けられた油
穴A38aにより連通されている。 【0030】スラスト軸受20は図2、図5で示すよう
に、その中央部が2つの平行な直線部分22とそれに連
なる2つの円弧状曲線部分23から成る形状に貫通成形
されている。 【0031】旋回スクロール自転阻止用のオルダムリン
グ24(自転阻止部材と称する)は、焼結成形や射出成
形工法などに適した軽合金や樹脂材料あるいはこれらの
複合材料から成り、図4で示すように両面が平行な薄い
環状板24aとその一面に設けられた一対の平行キー部
分24bとから成り、環状板24aの外輪郭は2つの平
行な直線部分25とそれに連なる2つの円弧状曲線部分
26から成り、直線部分25は図5で示すようにスラス
ト軸受20の直線部分22に微小隙間で係合し、摺動可
能であり、平行キー部分24bの側面24cは、直線部
分25の中央部で直交し、図1、図2で示すように旋回
スクロール18のラップ支持円板18cに設けられた一
対のキー溝71に微小隙間で係合し、摺動可能な形状に
設定されている。なお、環状板24aの内輪郭は外輪郭
に類似した形状である。また、平行キー部分24bの付
け根に設けられたヘコミ部24dは潤滑油の通路にもな
る。 【0032】なお、オルダムリング24(自転阻止部
材)は、旋回スクロール18の軸方向移動を阻害しない
寸法形状で配置されている。 【0033】図1、図3で示すように、本体フレーム5
とスラスト軸受20との間には約0.1mm前後のレリ
ース隙間27が設けられ、そのレリース隙間27に対向
して本体フレーム5にも環状溝28が設けられ、環状溝
28を囲んだゴム製のシールリング70が本体フレーム
5とスラスト軸受20との間の内方部と外方部とにそれ
ぞれ装着されてスラスト軸受背圧室27aを形成し、シ
ールリング70がスラスト軸受20に均等な緊迫力を付
与してスラスト軸受20の歪を少なくすべく配置されて
いる。 【0034】モータ室6の上部と吐出室2とは密閉ケー
ス1の側壁を貫通して接続されたバイパス吐出管29を
介して連通しており、バイパス吐出管29のモータ室6
への開口位置は固定子3bの上部コイルエンド30の側
面に対向している。また、密閉ケース1の上面に接続さ
れた吐出管31は軸受フレーム5に設けられた抜き穴3
2、密閉ケース1の上面と軸受フレーム9との間に配置
された多数の小穴を有したパンチングメタル33を介し
てバイパス吐出管29の上部開口端と連通している。 【0035】モータ室6の下部に設けられた吐出室油溜
34は、モータ3の固定子3bの外周の一部をカットし
て設けた冷却通路を介してモータ室6の上部と連通して
いる。また、吐出室油溜34は本体フレーム5の側面に
開口して設けられた油穴B38bから分岐してスラスト
軸受背圧室27aに通じており、油穴B38bの終端
は、オルダムリング24が配置された旋回スクロール1
8の背圧室39と主軸受12の摺動部微少隙間を介して
通じている。更に背圧室39は偏心軸受14に設けられ
た油溝A40aを介して偏心軸受空間36に連通してい
る。 【0036】また、本体フレーム5に設けられた油穴B
38bは駆動軸4の下部軸受11に対応する下部軸部4
aの表面に設けられた螺旋状油溝41にも通じており、
螺旋状油溝41の巻方向は駆動軸4が正回転する時に吐
出室油溜34の潤滑油がネジポンプ作用でスラスト玉軸
受13の側へ給油されるように設けられており、その終
端は下部軸部4aの途中まで形成されている。なお、下
部軸部4aの隙間は主軸受12の隙間よりも大きく設定
されており、駆動軸4は実質的に上部軸受10と主軸受
12とで支持されている。 【0037】図6,図7で示すように、固定スクロール
15には吸入室17の両端を連通する円弧状の吸入通路
42が設けられ、それに直交する円形の吸入穴43が固
定スクロールラップ15aの側面に対しても直角方向に
設けられ、吸入穴43の底部は平面で吸入通路42の側
面にまで到達している。図8で示すように、吸入穴43
の中心は吸入通路42の底面44とずれており、吸入通
路42への開口部寸法Wは吸入穴43の直径寸法より小
さく設けられている。また、吸入穴43にはアキューム
レータ46の吸入管47が接続されており、吸入穴43
の底面と吸入管端面48との間には吸入管47の内径寸
法および吸入管端面48と吸入通路42の底面44との
間の吸入穴深さ寸法よりも大きく且つ開口寸法Wよりも
大きい円形薄鋼板の逆止弁50が配置されている。逆止
弁50の表面は油濡れ特性が悪く弾力性に富んだテフロ
ンまたはゴムなどがコーティングされている。 【0038】図1と図6で示すように、吸入室17にも
吐出室2にも連通しない常時密閉空間となる第2圧縮室
51a,51bと外周部空間37とは、第2圧縮室51
a,51bに開口して鏡板15bに設けられた細径のイ
ンジェクション穴52a,52b、鏡板15bと樹脂製
の断熱カバー53とで形成されたインジェクション溝5
4、外周部空間37に開口した段付き形状の油穴C38
cとから成るインジェクション通路55で連通されてい
る。図9で示すように、段付き形状の油穴C38cの大
径部56には外周の一部に切欠き57を有する薄鋼板製
の逆止弁58とコイルスプリング59とが配置されてい
る。コイルスプリング59は断熱カバー53に押さえら
れて逆止弁58を常時付勢する。外周部空間37への油
穴C38cの開口位置は、図10、図11で示す如く、
吐出ポート16に連通する第3圧縮室60a,60bの
容積減少行程が終了する近傍にまで旋回スクロール18
が移動した(図10参照)時に外周部空間37と油穴C
38cとが連通し、それ以外の時(例えば図11参照)
にはラップ支持円板18cによって遮断される位置に設
けられている。 【0039】図12において、横軸は駆動軸4の回転角
度、縦軸は圧縮室内の冷媒圧力を示し、吸入・圧縮・吐
出過程における冷媒ガスの圧力変化状態を示す。実線6
2は正常圧力で運転時の圧力変化を示し、点線63は異
常圧力上昇運転時の圧力変化を表わす。 【0040】図13において、横軸は駆動軸4の回転角
度を示し、縦軸は圧縮室内の冷媒圧力を示し、実線64
は吐出室2にも吸入室17にも連通しない常時密閉空間
となる第2圧縮室51a,51bのインジェクション穴
52a,52bの開口位置における圧力変化を示し、点
線65は吸入室17に間欠的に連通する第1圧縮室61
a,61b(図6参照)の定点における圧力変化を示
し、一点鎖線66は吐出室2に間欠的に連通する第3圧
縮室60a,60bの定点における圧力変化を示し、二
点鎖線67は第1圧縮室61a,61bと第2圧縮室5
1a,51bとの間の圧縮室の定点における圧力変化を
示し、二重点線68は背圧室39の圧力変化を示す。 【0041】以上のように構成されたスクロール冷媒圧
縮機について、その動作を説明する。 【0042】図1〜図13において、モータ3によって
駆動軸4が回転駆動すると旋回スクロール18が旋回運
動をし、圧縮機に接続した冷凍サイクルから潤滑油を含
んだ吸入冷媒ガスが、アキュームレータ46に接続した
吸入管47、吸入穴43、吸入通路42を順次経て吸入
室17に流入し、旋回スクロール18と固定スクロール
15との間に形成された第1圧縮室61a,61bを経
て圧縮室内に閉じ込められ、常時密閉空間となる第2圧
縮室51a,51b、第3圧縮室60a,60bへと順
次移送圧縮され、中央部の吐出ポート16を経て吐出室
2へと吐出される。 【0043】潤滑油を含んだ吐出冷媒ガスは圧縮機外部
へ迂回配管されたバイパス吐出管29を経て再び圧縮機
内のモータ室6に帰還した後、外部の冷凍サイクル配管
系へ吐出管31から排出される。しかし、吐出冷媒ガス
はモータ室6に流入した際に、モータ3の上部コイルエ
ンド30の側面に衝突し、吐出冷媒ガス中の潤滑油がモ
ータ巻き線の表面に付着する。これにより、吐出冷媒ガ
ス中の潤滑油の一部が分離される。その後、吐出冷媒ガ
スは軸受フレーム9のモータ側壁に衝突したり抜き穴3
2を通過する際に流れ方向を変えたり、また、パンチン
グメタル33のモータ側壁への衝突や小穴を通過する際
に、潤滑油の慣性力や表面付着などにより潤滑油が漸
次、効果的に分離される。 【0044】軸受フレーム9の上部の空間で分離した潤
滑油の一部は、軸受フレーム9の中央部の凹部に収集
し、上部軸受10の摺動面を潤滑した後、他の分離した
潤滑油と共にモータ巻き線隙間や冷却通路を通り、モー
タ3を冷却しながら流下して吐出室油溜34に収集され
る。 【0045】吐出室油溜34の潤滑油は、駆動軸4の下
部軸部4aの表面に設けられた螺旋状油溝41のネジポ
ンプ作用により、油穴Bを経由してスラスト玉軸受13
へ給油される。下部軸部4aの端部の微少軸受隙間を潤
滑油が通過する際に、その油膜のシール作用により、モ
ータ室6の吐出冷媒ガス雰囲気と主軸受12の上流側空
間とが油膜密封され、モータ室6の冷媒ガスが下部軸部
11の隙間を介して主軸受12に流入しない。 【0046】吐出室油溜34の溶解吐出冷媒ガスを含ん
だ潤滑油は、主軸受12の微小隙間を通過する際に、吐
出圧力と吸入圧力との中間圧力に減圧され、背圧室39
に流入する。その後、偏心軸受14の油溝A40a、偏
心軸受空間36、旋回スクロール18に設けられた油穴
A38を経て外周部空間37に流入し、更に、ラップ支
持円板18cの旋回運動によって間欠的に開口する油穴
C38c、インジェクション溝54、インジェクション
穴52a,52bを経て第2圧縮室51a,51bに流
入し、その通路途中の各摺動面を潤滑する。 【0047】また、吐出室油溜34は、スラスト軸受背
圧室27aとも通じているので、スラスト軸受20はそ
の背圧力により付勢されてスペーサ21の端面に当接す
る。そして、旋回スクロール18のラップ支持円板18
cは、スラスト軸受20と固定スクロール15の鏡板1
5bとの間で微小隙間を保持されて円滑に摺動すると共
に、固定スクロールラップ15aの端面とラップ支持円
板18cとの間、ならびに、旋回スクロールラップ18
aの端面と鏡板15bとの間の隙間も微小に保持されて
隣接する圧縮空間の冷媒ガス漏れを少なくする。 【0048】第2圧縮室51a,51bのインジェクシ
ョン穴52a,52bの開口部は、図13で示す如くの
圧力変化64をし、吐出室2の圧力に追従して変化する
背圧室圧力68よりも瞬時的に高いが平均圧力が低い。
そのため背圧室39からの潤滑油は、間欠的に第2圧縮
室51a,51bに流入し、また正常運転時の背圧室圧
力68よりも瞬時的に高い第2圧縮室51a,51b内
の圧縮冷媒ガスは、細径のインジェクション穴52a,
52bの通路抵抗によって減衰されて瞬時的なインジェ
クション溝54への逆流が少なく、インジェクション溝
54内の圧力が背圧室圧力68よりも高くならない。 【0049】第2圧縮室51a,51bにインジェクシ
ョンされた潤滑油は、吸入冷媒ガスと共に圧縮室に流入
した潤滑油と合流し、隣接する圧縮空間の微小隙間を油
膜により密封して圧縮冷媒ガス漏れを防ぎ、圧縮空間の
摺動面も潤滑しながら圧縮冷媒ガスと共に吐出室2に再
び吐出される。 【0050】また、背圧室39に差圧給油された中間圧
力の潤滑油は、旋回スクロール18を付勢してラップ支
持円板18cを鏡板15bとの摺動面に押圧油膜シール
し、外周部空間37と吸入室17との間の連通を遮断す
ると共に、スラスト軸受20とラップ支持円板18cと
の摺動面の隙間も潤滑シールする。 【0051】なお、摺動面の油膜粘着力がスラスト軸受
20を旋回移動させようとするが、割り形の平行ピン1
9による拘束によってスラスト軸受20は回転方向と半
径方向に移動することなく、摺動面に良好な油膜が形成
ると、スラスト軸受20が旋回スクロール18を油
膜上で安定支持すると共に潤滑シール効果が向上する。 【0052】また、圧縮機の冷時始動後しばらくの間
は、図12、図13から理解できるように、吐出室2の
圧力が第2圧縮室51a,51bの圧力よりも低く、圧
縮途中の冷媒ガスが第2圧縮室51a,51bからイン
ジェクション通路55を経て背圧室39に逆流しようと
するが、逆止弁58の逆止作用にて外周部空間37への
逆流が阻止され、吐出室油溜34の潤滑油は吐出室2の
圧力上昇と共に背圧室39、外周部空間37にまで差圧
給油される。 【0053】したがって、冷時始動初期の吐出室2の圧
力が低い場合には、スラスト軸受20への吐出相当圧力
に基づく背圧付勢力と旋回スクロール18への背圧室3
9の中間圧力に基づく背圧付勢力との合成力が、圧縮室
圧力に基づいて旋回スクロール18を固定スクロール1
5から離反させようとするスラスト荷重よりも小さいの
で、シールリング70と吐出圧力が作用する潤滑油によ
って均一に背面付勢されたスラスト軸受20は固定スク
ロール15に対して傾斜することなく旋回スクロール1
8を安定支持しながら微小に後退して、旋回スクロール
18と固定スクロール15との間の圧縮室の軸方向隙間
のみを拡大する。これにより圧縮空間に洩れを生じて圧
縮室圧力を下げ、始動初期の圧縮負荷を軽減する。 【0054】その後、吐出室2の圧力上昇に伴い、外周
部空間37の潤滑油は、コイルスプリング59の付勢力
に抗してインジェクション穴52a,52bから第2圧
縮室51a,51bへ注入される。 【0055】また、冷時始動初期や定常運転時に、瞬時
的な液圧縮が生じた場合の圧縮室圧力は、図12の点線
63のように急激な圧力上昇と過圧縮が生じるが、吐出
室2とそれに連通する高圧空間容積が大きいため、吐出
室2の圧力上昇は極めて小さい。 【0056】また、液圧縮により第2圧縮室51a,5
1bに連通するインジェクション溝54なども異常圧力
上昇するが、細径の油穴C38cの絞り効果と逆止弁5
8の逆止作用により、外周部空間37とインジェクショ
ン溝54との間は遮断される。その結果、背圧室39の
圧力は変わらず、スラスト軸受20の背面に作用する背
圧付勢力および旋回スクロール18の背面に作用する背
圧室39の中間圧力による背圧付勢力にも変動がない。
その結果、液圧縮時には、旋回スクロール18に作用す
る過大なスラスト力によって上述のようにスラスト軸受
20が後退し、圧縮室圧力が降下してその後は正常運転
を継続する。 【0057】なお、液圧縮途中でスラスト軸受20が後
退することにより、圧縮室圧力は図12の一点鎖線63
aの如く途中で降圧する。 【0058】圧縮機停止後は、吐出室2の吐出冷媒ガス
が圧縮室に逆流しようとして圧力により旋回スクロール
18に逆旋回トルクが生じ、旋回スクロール18が逆旋
回すると共に吐出冷媒ガスが吸入側に逆流する。この吐
出冷媒ガスの逆流に追従して、逆止弁50が図6の位置
から図7の位置に移動し、逆止弁50の表面に施された
テフロン被膜により、吸入管端面48を密封して吐出冷
媒ガスの逆流を制止し、旋回スクロール18の逆旋回が
停止し、吸入通路42と吐出ポート16との間の空間は
吐出圧力を保持する。 【0059】また、インジェクション通路55の逆止弁
58を境にして圧縮室に連通する通路は、吐出圧力にな
るが、外周部空間37と背圧室39との間の空間はしば
らくの間、中間圧力を保持し、吐出室油溜34からの潤
滑油微少流入により、次第に吐出圧力に近づく。圧縮機
停止時、旋回スクロール18は逆転し、図11で示すよ
うに第3圧縮室60a,60bが拡大した位置に停止
し、油穴C38cの外周部空間37への開口部は、ラッ
プ支持円板18cにより遮断される。圧縮機停止後は、
コイルスプリング59の付勢力によっても逆止弁58が
インジェクション通路55を遮断するので、外周部空間
37から圧縮室への潤滑油流入がない。 【0060】また、圧縮機運転中、主軸受12の給油上
流側は、吐出室油溜34に連通し、主軸受12の給油下
流側は中間圧力状態の背圧室39に連通してその間に差
圧が生じ、モータ3の回転子3aを固定した駆動軸4が
旋回スクロール18の方向へ付勢される。この付勢力
は、スラスト玉軸受13を介して本体フレーム5に支持
され、駆動軸4が上部軸受10および主軸受12の軸受
隙間の範囲内で倒れるのを規制し、軸受の片当りを防止
する。また、この付勢力は、スラスト玉軸受13のボー
ルベアリングが転走面を転がる際に転走面の凹凸に起因
して上下にジャンピングするのを少なくし,駆動軸4の
上下振動を低減して低騒音・低振動化に寄与している。 【0061】また、圧縮機運転時の温度上昇により、ア
ルミニウム合金製の本体フレーム5は熱膨張して鉄製の
ライナー8を拡管し、ライナー8の外周面と密閉ケース
1の内壁との密着を強めて吐出室油溜34と吐出室2と
の間の機密を向上させると共に、本体フレーム5と密閉
ケース1との固定を強めて互いの剛性向上に役立つ。 【0062】上記実施例では吐出室油溜34の潤滑油を
第2圧縮室51a,51bに油注入したが、圧縮機運転
速度や圧力などの運転条件により吸入室17に通じる第
1圧縮室61a,61bに油注入してもよい。 【0063】また、上記実施例ではスラスト軸受20の
背面に設けたレリース隙間27や環状溝28に吐出室油
溜34の潤滑油を導入したが、スラスト軸受20の背面
設定付勢力の大きさやスラスト軸受20の形状・寸法な
どによっては、モータ室6の吐出冷媒ガスや中間圧力状
態の第2圧縮室51a,51bなどから冷媒ガスを導入
してもよい。 【0064】また、上記実施例ではスラスト軸受20へ
の予圧付勢力をシールリング70の弾性力を利用した
が、スラスト軸受20の背圧面積が不足する場合など
は、バネ装置などで付勢力を付加してもよい。 【0065】また、レリース隙間27と環状溝28に吐
出室油溜34の潤滑油や圧縮室圧力を特別に導入しなく
とも、スラスト軸受20の背面設定付勢力の大きさなど
必要に応じて、図18でも示されている板バネ2023
などのバネ府勢手段を図1〜図3のシールリング70に
置き換えることによって、スラスト軸受20への背面付
勢力を得ることも容易に実現できる。また、これらを組
み合わせることも容易にできる。 【0066】上記実施例によれば、旋回スクロール18
は駆動軸4を支承する本体フレーム5と固定スクロール
15との間に配置され、本体フレーム5の側に設けられ
て旋回スクロール18の反圧縮室側を支持し、且つ軸方
向に移動が可能なスラスト軸受20と固定スクロール1
5との間に配置されており、スラスト軸受20と本体フ
レーム5との間に、スラスト軸受20を旋回スクロール
18の方向に付勢する手段(シールリング70と吐出室
油溜34から導入した潤滑油圧力)とスラスト軸受20
が反圧縮室側に後退可能なレリース隙間27を設け、圧
縮室の軸方向隙間を偏向させることなく旋回スクロール
18を安定的にスラスト軸受20が支持できるように、
スラスト軸受20の摺接部を吐出ポート16に通じる圧
縮室より外側の領域に対向する位置に形成した構成にお
いて、旋回スクロール18が固定スクロール15とスラ
スト軸受20との間で、少なくとも油膜形成可能な軸方
向微小隙間(0.015〜0.040mm)を安定保持
し且つスラスト軸受20の振動を阻止すべく、スラスト
軸受20が固定スクロール15の側へ移動する範囲を規
制する手段(スペーサ21)と、スラスト軸受20の半
径方向移動を割り形の平行ピン19で規制する手段とを
設けたことにより、スラスト軸受20への背面付勢力が
過大になる場合でも旋回スクロール18を固定スクロー
ル15に軸方向押圧することなく、スラスト軸受20の
摺接面に良好な油膜を形成して旋回スクロール18を安
定支持し、圧縮室軸方向隙間の偏向を生じなくすること
ができる。これにより、スラスト軸受20への背面付勢
力が旋回スクロール18を固定スクロール15に軸方向
接触させないので、入力増加を招くことがない。 【0067】そして、圧縮室圧力が正常な運転時には、
旋回スクロール18を固定スクロール15とスラスト軸
受20との間で油膜形成が可能な微小隙間で挟むので、
旋回スクロール18が固定スクロール15に対する倒れ
やジャンピングに起因する摺動面との衝突や片当りを生
じることなく円滑な旋回運動をすると共に、スラスト軸
受20の半径方向振動を防ぐことができる。 【0068】その結果、圧縮室の軸方向微小隙間を確保
して圧縮冷媒ガス漏れを防いで高い圧縮効率の維持と旋
回スクロール18およびスラスト軸受20からの騒音や
振動を防止して両スクロールとスラスト軸受20の耐久
性を向上することができる。 【0069】また、圧縮機冷時始動初期などに冷凍サイ
クルから多量の液冷媒が圧縮機内に帰還し、圧縮過程で
液圧縮が生じて圧縮室圧力が異常上昇を始め、固定スク
ロール15から旋回スクロール18を離反させる方向に
作用するスラスト力が一時的に過大になる場合でも、ス
ラスト軸受20が旋回スクロール18の背面を安定支持
しながらモータ室6の方へ後退するので、旋回スクロー
ル18が固定スクロール15との軸方向隙間のみを広げ
て、旋回スクロールラップ18aと固定スクロールラッ
プ15aとの衝突を生じることなく圧縮室の軸方向密封
を解除し、圧縮室圧力を瞬時に降圧して圧縮機負荷を軽
減し、耐久性を高めることができる。 【0070】また、液圧縮が生じない場合でも、始動初
期は吸入圧力が高いことから、スクロール圧縮機の圧縮
比が一定なために、圧縮室圧力は通常の運転時よりも極
めて高くなるが、スラスト軸受20への背圧付勢力を適
正設定することにより、旋回スクロール18を支持する
スラスト軸受20を後退させて起動初期の負荷を軽減さ
せることもできる。 【0071】また上記実施例によれば、スラスト軸受2
0を旋回スクロール18の方向に付勢する手段として、
スラスト軸受20の反圧縮側背面と本体フレーム5との
間に、シールリング70を配置してスラスト軸受20を
均等に付勢したことにより、スラスト軸受20の変形が
少ないことから旋回スクロール18を安定支持すること
ができ、圧縮室の軸方向隙間が偏向するのを防止し、圧
縮室軸方向密封作用を高めて圧縮効率を向上することが
できる。 【0072】また上記実施例によれば、シールリング7
0を、スラスト軸受20の摺接部に対抗させた位置に配
置してスラスト軸受20の変形を少なくし、旋回スクロ
ール18との摺接面の油膜形成を良好にして旋回スクロ
ール18の軸方向のジャンピング現象を抑制できる。そ
の結果、旋回スクロール18の衝突をなくして低騒音・
低振動化を実現できる。 【0073】また上記実施例によれば、シールリング7
0によりレリース隙間27を区画してスラスト軸受背圧
室27aを形成し、スラスト軸受背圧室27aに吐出圧
力が作用する潤滑油を導入したことにより、シールリン
グ70の緊迫力を小さくしてシールリング70の耐久性
を向上できる。更に、圧縮機起動初期や圧縮室圧力が異
常上昇した際の過負荷軽減作動の応答性を高めて圧縮機
破損を防止することができる。 【0074】また上記実施例によれば、スラスト軸受2
0の反圧縮側背面に環状の板バネを追加配置し、スラス
ト軸受20を旋回スクロール18の方向に付勢させるこ
とにより、スラスト軸受20への予圧力を強めることが
できる。それによって、圧縮立ち上がりを早めることが
できる。 【0075】また上記実施例によれば、環状の板バネを
本体フレーム5に設けた環状の溝(シールリング70を
装着した溝)や環状溝28に配置してスラスト軸受20
に付勢力を付与させることにより、環状の板バネの不要
な半径方向移動を抑制することができ、それによって、
スラスト軸受20に安定し且つ均等な付勢力を付与する
ことができるので、スラスト軸受20の安定化を図り、
通常運転時における圧縮室軸方向隙間密封作用を高める
ことができる。 【0076】また上記実施例によれば、本体フレーム5
に固定された柱状の固定用部品(割り形の平行ピン1
9)を介してスラスト軸受20の半径方向移動を規制し
且つ保持させたことにより、スラスト軸受20の軸方向
移動の許容と半径方向移動の規制を同時に行うことがで
きる。 【0077】また上記実施例によれば、本体フレーム5
に固定された割り形の平行ピン19によりスラスト軸受
20を保持させたことにより、スラスト軸受20の半径
方向移動防止を簡易手段で実現できる。 【0078】また上記実施例によれば、旋回スクロール
18の自転阻止部材(オルダムリング)24が固定スク
ロール15と本体フレーム5との間に配置された構成に
おいて、反圧縮室側へのスラスト軸受20の後退距離
(約0.1mm前後)は、ラップ支持円板18cが固定
スクロール15とスラスト軸受20との間で狭持される
軸方向微小隙間(0.015〜0.040mm)より大
きく、自転阻止部材(オルダムリング)24が後退距離
を規制しないような寸法形状で配置されたことにより、
過負荷軽減作動時の旋回スクロール18の旋回運動が円
滑に行われるので、旋回スクロール18をスラスト軸受
20に安定支持させることができる。 【0079】(実施例2)図14は別の実施例のスクロ
ール冷媒圧縮機の縦断面図で、101a,101bは鉄
製の密閉ケース、180は鉄製の本体フレーム105を
ボルト固定した軟鋼製の仕切り板で、その外周面部で密
閉ケース101a,101bと共に単一の溶接ビード1
81によって溶接密封され、密閉ケース101a,10
1b内を上側の吐出室102と下側の駆動室106(低
圧側)とに仕切っている。本体フレーム105に支承さ
れ、インバータ電源(図示せず)によって運転制御され
るモータ103により、回転駆動される駆動軸104の
上端部の偏心穴136には、旋回スクロール118の旋
回軸118bがはめ込まれ、旋回スクロール118の自
転阻止用のオルダムリング124が、本体フレーム10
5に固定された割り形の平行ピン(図示せず)に拘束さ
れて軸方向にのみ移動が可能で且つ吸入室117に間欠
的に通じる第1圧縮室に対向する位置で旋回スクロール
118を支持するスラスト軸受120と旋回スクロール
118の各溝に係合し、旋回スクロール118に噛み合
う固定スクロール115が、仕切り板180にボルト固
定され、固定スクロール115の鏡板115bには吐出
ポート116が設けられ、鏡板115bの上面には、リ
ードバルブ形式の給油通路制御弁装置182が取り付け
られている。 【0080】スラスト軸受120は、その背面外側部に
配置されたシールリング170の弾性力で常に旋回スク
ロール118の方へ付勢され、仕切り板180の片側平
面部に当接して旋回スクロール118の側への軸方向移
動を規制されている。しかし、仕切り板118の板厚さ
は、スラスト軸受120を介したシールリング170の
弾性力によって、旋回スクロール118を固定スクロー
ル115に押し付けて旋回スクロール118の円滑な旋
回運動を阻害せぬように、固定スクロール115とスラ
スト軸受120との間に挟まれた旋回スクロール118
の軸方向微少隙間(約0.020mm)が確保される寸
法設定になっている。 【0081】吐出室102の底部は吐出室油溜134と
なり、その上部には多数の小穴を有した傘状のパンチン
グメタル133が密閉ケース101aに取り付けられ、
密閉ケース101aとパンチングメタル133との間に
は細樹脂線材から成るフィルタ183が詰められてい
る。吐出室102は密閉ケース101aの上面に設けら
れた吐出管131、外部の冷凍サイクル配管系をそれぞ
れ経て密閉ケース101bの側面に設けられた吸入管1
47を通じ、低圧側の駆動室106に連通している。ま
た駆動室106の底部にはモータ室油溜184が設けら
れている。 【0082】吐出室102にも吸入室117にも連通し
ない常時密閉空間となる第2圧縮室151と吐出室油溜
134との間は、鏡板115bの底部に開口して設けら
れた油吸い込み穴185、鏡板115bに薄鋼板製のリ
ード弁186と共に取り付けられた給油通路制御弁装置
182の弁押え187と鏡板115bとの間に形成され
た弁空間188、リード弁186の打ち抜き穴189、
鏡板115bに設けられた極細通路のインジェクション
穴152とから成る絞り通路を有した第1給油通路によ
って連通している。 【0083】旋回スクロール118の旋回スクロールラ
ップ118aを支持するラップ支持円板118bとスラ
スト軸受120と駆動軸104とで形成された背圧室1
39は、第1給油通路の途中から分岐して弁空間18
8、リード弁186の打ち抜き穴189a、鏡板115
bに設けられた油穴A138a、仕切り板180に設け
られた極細通路の油穴B138b、本体フレーム105
に設けられた油穴C138c、スラスト軸受120と本
体フレーム105との間に設けられ、その外周部をゴム
製のシールリング170で支持・密封されたレリース隙
間127、スラスト軸受120に設けられた油穴D13
8dとで構成される給油通路により吐出室油溜134に
連通している。 【0084】背圧室139と低圧側の駆動室106との
間は本体フレーム105の主軸受112の軸受隙間、偏
心軸受114の隙間、駆動軸104に設けられた偏心油
穴190と、横油穴191、駆動軸104を支承すべく
本体フレーム105の下端に設けられた下部軸受192
と主軸受112との間の軸受油溜193、下部軸受19
2の軸受隙間とで構成される絞り通路を有した第1潤滑
通路により連通している。 【0085】また、背圧室139と吸入室117との間
は、スラスト軸受120とラップ支持円板118bとの
摺動面や、オルダムリング124の摺動面を介して構成
される第2潤滑通路によって連通している。 【0086】以上のように構成されたスクロール冷媒圧
縮機について、その動作を説明する。 【0087】図14、図15において、モータ103に
よって駆動軸104が回転駆動を始めると、旋回スクロ
ール118が旋回運動をし、圧縮機に接続した冷凍サイ
クル配管系から吸入冷媒ガスが吸入管147を通して駆
動室106に流入し、その中に含まれる潤滑油の一部が
分離された後、吸入通路を経て吸入室117に吸入され
る。この吸入冷媒ガスは、旋回スクロール118と固定
スクロール115との間に形成され且つ吸入室117に
間欠的に通じる第1圧縮室を経て圧縮室内に閉じ込めら
れ、旋回スクロール118の旋回運動に伴って常時密閉
空間となる第2圧縮室、吐出ポートと間欠的に通じる第
3圧縮室へと順次移送圧縮され、中央部の吐出ポート1
16を経て吐出室102へと吐出される。 【0088】吐出冷媒ガス中に含まれる潤滑油の一部
は、その自重およびパンチングメタル133の小穴や細
樹脂線材から成るフィルタ183を通過する際にその表
面などに付着などして吐出冷媒ガスから分離し、密閉ケ
ース101aの内壁を伝って流下し、吐出室油溜134
に収集される。残りの潤滑油は、吐出冷媒ガスと共に吐
出管131を経て外部の冷凍サイクル配管系へ搬出さ
れ、吸入冷媒ガスと共に吸入管147を通って圧縮機内
に帰還する。 【0089】圧縮機の冷時始動後しばらくの間は、上述
のように吐出室102の圧力が第2圧縮室の圧力よりも
低いので、吐出室油溜134の潤滑油は第1給油通路を
通じて差圧給油されず、また、逆止弁の作用によって第
2圧縮室から圧縮途中冷媒ガスが吐出室油溜134に逆
流もせず、スラスト軸受120のレリース隙間127や
旋回スクロール118の背圧室139に流入することも
なく、各摺動部の残留潤滑油によって各摺動面が潤滑さ
れる。 【0090】また、背圧室139やレリース隙間127
の圧力が低いので上述のように始動初期にはスラスト軸
受120が微小に後退して圧縮室軸方向隙間を広げて圧
縮室圧力を急降下させ、始動初期負荷を軽減する。 【0091】圧縮機の冷時始動後しばらくの後、吐出室
102の圧力が第2圧縮室の圧力以上に上昇した後、吐
出室油溜134の潤滑油は、給油通路制御弁装置182
のリード弁186の付勢力に抗して第1給油通路を経由
する。そして漸次減圧され、第2圧縮室に差圧給油され
ると共に、第1給油通路の途中から分岐して構成される
第2給油通路の油穴138a,138b,138cを経
て漸次減圧され、吐出側圧力と吸入側圧力との中間圧力
に調整されてレリース隙間127と背圧室139に差圧
給油される。 【0092】第2圧縮室に差圧給油された潤滑油は、吸
入ガスと共に圧縮室に流入した潤滑油と合流し、隣接す
る圧縮室間の微少隙間を油膜により密封して圧縮冷媒ガ
ス漏れを防ぎ、圧縮室間の摺動面を潤滑しながら圧縮冷
媒ガスと共に吐出室102に再び吐出される。 【0093】レリース隙間127と背圧室139に給油
された中間圧力の潤滑油は、旋回スクロール118へ背
圧力による付勢力を与え、圧縮室圧力に基づいて固定ス
クロール115から離反しようとする旋回スクロール1
18に作用する下向きのスラスト力を軽減し、旋回スク
ロール118とスラスト軸受120との間の摺動面に作
用するスラスト荷重を小さくすると共に、スラスト軸受
120を付勢して仕切り板180に当接させ、固定スク
ロール115とスラスト軸受120との間に旋回スクロ
ール118を微小隙間で挟み、旋回スクロール118の
円滑な旋回運動を可能にする。また、背圧室139の背
圧力は旋回スクロール118がスラスト軸受120から
離反しないように調整されているので、旋回スクロール
118とスラスト軸受120とは常時摺接しており、こ
の摺接部を境として背圧室139と吸入室117とはそ
の摺接面を適切潤滑することのできる潤滑油漏洩を許容
する程度に密封されている。したがって、背圧室139
に供給された潤滑油は、この摺接面を通過する際に減圧
された後、オルダムリング124の摺動面を潤滑して吸
入冷媒ガスに混入し、再び圧縮室に流入する。 【0094】また、残りの潤滑油は、第1潤滑通路を通
じて旋回軸118bと偏心穴136との隙間、偏心穴1
36、偏心油穴190、横油穴191を通る給油通路と
主軸受112の隙間とを経て軸受油溜193に流入し、
下部軸受192の微小隙間を通して最終減圧される。そ
して駆動室106に流入し、その一部は吸入冷媒ガスに
混入して再び圧縮室へ流入するが、残りの潤滑油はモー
タ室油溜184に収集される。モータ室油溜184の潤
滑油は、密閉ケース101bを介して自然放棄により冷
却され、その油面がある程度高くなると、モータ103
の回転子の下端部に拡散されて駆動室106内の吸入冷
媒ガスに混入し、再び圧縮室へ流入して最終的には吐出
室油溜134に収集される。 【0095】また、冷時始動初期や定常運転時に瞬時的
な液圧縮が生じて常時密閉空間となる第2圧縮室内が異
常圧力上昇した場合には、上述と同様にリード弁186
の逆止作用により、圧縮冷媒ガスが吐出室油溜134へ
逆流せず、また、レリース隙間127や背圧室139へ
の流入もなく、背圧力の上昇もないことから、スラスト
軸受120が後退して継続的な異常圧力上昇を防ぐ。 【0096】圧縮機停止後は吸入室117と駆動室10
6との間の吸入通路に設けられた逆止弁(図示なし)に
より、吸入通路を塞ぎ、吐出室102から吸入室117
までの圧力は圧縮空間の隙間を通じて吐出室102の圧
力に等しくなり、油吸い込み穴185の開口端をリード
弁186が塞ぐ。その結果、圧縮機停止直後の吐出室油
溜134の潤滑油は、第2圧縮室と背圧室139へ差圧
給油されず、背圧室139の潤滑油は、第1給油通路を
通じて駆動室106にその差圧が一定値以下になるまで
僅かづつ戻される。 【0097】上記実施例によれば、自転阻止部材(オル
ダムリング124)がスラスト軸受120の軸方向移動
と共に移動すべくスラスト軸受120と旋回スクロール
118との間に配置されたことにより、自転阻止部材
(オルダムリング124)の摺動係合が常時円滑にな
り、自転阻止部材(オルダムリング124)の摺動係合
部の耐久性を向上できる。 【0098】なお、上記実施例では、レリース隙間12
7や背圧室139へ吐出室油溜134の潤滑油を中間圧
力にまで減圧したが、スラスト軸受120や背圧室13
9の寸法構成などにより減圧しなくともよい。 【0099】また上記実施例では、冷媒圧縮機について
説明したが、潤滑油を使用する酸素、窒素、ヘリウムな
どの他の気体圧縮機も同様の作用効果を期待できる。 【0100】 【発明の効果】上記実施例から明らかなように、請求項
1記載の発明は、旋回スクロールが駆動軸を支承する本
体フレームと固定スクロールとの間に配置され、旋回ス
クロールのラップ支持円板が本体フレームの側に設けら
れて旋回スクロールの反圧縮室側を支持し、且つ軸方向
に移動が可能なスラスト軸受と固定スクロールとの間に
配置されており、スラスト軸受と本体フレームとの間
に、スラスト軸受を旋回スクロールの方向に付勢する手
段とスラスト軸受が反圧縮室側に後退可能なレリース隙
間を設け、圧縮室の軸方向隙間を偏向させることなく旋
回スクロールを安定的にスラスト軸受が支持できるよう
に、スラスト軸受の摺接部を吐出ポートに通じる圧縮室
より外側の領域に対向する位置に形成した構成におい
て、旋回スクロールが固定スクロールとスラスト軸受と
の間で、少なくとも油膜形成可能な軸方向微小隙間を安
定保持し且つスラスト軸受の振動を阻止すべく、スラス
ト軸受が固定スクロールとの間の軸方向所定距離を確保
するために固定スクロールの側への軸方向移動範囲が規
制される手段と、スラスト軸受が半径方向に移動するの
を規制する手段と、スラスト軸受の少なくとも半径方向
移動を規制する手段とを設けたもので、この構成によれ
ば、スラスト軸受への背面付勢力が過大になる場合でも
旋回スクロールを固定スクロールに軸方向押圧すること
なく、スラスト軸受の摺接面に良好な油膜を形成して旋
回スクロールを安定支持し、圧縮室軸方向隙間の偏向を
生じなくすることができる。これにより、スラスト軸受
への背面付勢力が旋回スクロールを固定スクロールに軸
方向接触させないので、入力増加を招くことがない。そ
して、圧縮室圧力が正常な運転時には、旋回スクロール
を固定スクロールとスラスト軸受との間で油膜形成が可
能な微小隙間で挟むので、旋回スクロールが固定スクロ
ールに対する倒れやジャンピングに起因する摺動面との
衝突や片当りを生じることなく円滑な旋回運動をすると
共に、スラスト軸受の半径方向振動を防ぐことができ
る。 【0101】その結果、圧縮室の軸方向微小隙間を確保
して圧縮冷媒ガス漏れを防いで高い圧縮効率の維持と旋
回スクロールおよびスラスト軸受からの騒音や振動を防
止して両スクロールとスラスト軸受の耐久性を向上する
ことができる。 【0102】また、圧縮機冷時始動初期などに圧縮過程
で液圧縮が生じて圧縮室圧力が異常上昇を始め、固定ス
クロールから旋回スクロールを離反させる方向に作用す
るスラスト力が一時的に過大になる場合でも、スラスト
軸受が旋回スクロールの背面を安定支持しながら反圧縮
室側に後退するので、旋回スクロールが固定スクロール
との軸方向隙間のみを広げて、旋回スクロールと固定ス
クロールとのラップ間の衝突を生じることなく圧縮室の
軸方向密封を解除し、圧縮室圧力を瞬時に降圧して圧縮
機負荷を軽減し、耐久性を高めることができる。 【0103】また、液圧縮が生じない場合でも、始動初
期は吸入圧力が高いことから、スクロール圧縮機の圧縮
比が一定なために、圧縮室圧力は通常の運転時よりも極
めて高くなるが、スラスト軸受への背圧付勢力を適正設
定することにより、旋回スクロールを支持するスラスト
軸受を後退させて起動初期の負荷を低減させることもで
きるという効果を奏する。 【0104】請求項2記載の発明は、スラスト軸受を旋
回スクロールの方向に付勢する手段として、スラスト軸
受の反圧縮側背面と本体フレームとの間に、スラスト軸
受を均等に付勢できる環状弾性体を配置したもので、こ
の構成によれば、スラスト軸受の変形が少ないことから
旋回スクロールを安定支持することができ、圧縮室の軸
方向隙間が偏向するのを防止し、圧縮室軸方向密封作用
を高めて圧縮効率を向上することができるという効果を
奏する。 【0105】請求項3記載の発明は、環状弾性体を、ス
ラスト軸受の摺接部に対向させた位置に配置したもの
で、この構成によれば、スラスト軸受の変形を少なく
し、旋回スクロールとの摺接面の油膜形成を良好にして
旋回スクロールの軸方向のジャンピング現象を抑制でき
る。その結果、旋回スクロールの衝突をなくして低騒音
・低振動化を実現できるという効果を奏する。 【0106】請求項4記載の発明は、環状弾性体により
レリース隙間を区画してスラスト軸受背圧室を形成し、
スラスト軸受背圧室に吐出圧力が作用する流体を導入し
たもので、この構成によれば、弾性体の緊迫力を小さく
して弾性体の小型化と耐久性を向上できる。更に、圧縮
機起動初期や圧縮室圧力が異常上昇した際の過負荷軽減
作動の応答性を高めて圧縮機破損を防止することができ
るという効果を奏する。 【0107】請求項5記載の発明は、スラスト軸受の反
圧縮側背面に別の弾性体を配置し、スラスト軸受を旋回
スクロールの方向に付勢させたもので、この構成によれ
ば、スラスト軸受への予圧力を強めることができる。そ
れによって、圧縮立ち上がりを早めることができるとい
う効果を奏する。 【0108】請求項6記載の発明は、環状弾性体を環状
のバネ装置とし、環状のバネ装置を本体フレームに設け
た環状の溝に配置したもので、この構成によれば、環状
のバネ装置の不要な半径方向移動を抑制することがで
き、それによって、スラスト軸受に安定し且つ均等な付
勢力を付与することができるので、スラスト軸受の安定
化を図り、通常運転時における圧縮室軸方向隙間密封作
用を高めることができるという効果を奏する。 【0109】請求項7記載の発明は、本体フレームに固
定された柱状の固定用部品を介してスラスト軸受の半径
方向移動の規制と保持をさせたもので、この構成によれ
ば、スラスト軸受の軸方向移動の許容と半径方向移動の
規制を同時に行うことができるという効果を奏する。 【0110】請求項8記載の発明は、柱状の固定用部品
を割り形の平行ピンとしたもので、この構成によれば、
スラスト軸受の半径方向移動防止を簡易手段で実現でき
るという効果を奏する。 【0111】請求項9記載の発明は、旋回スクロールの
自転阻止部材が固定スクロールと本体フレームとの間に
配置された構成において、反圧縮室側へのスラスト軸受
の後退距離は、ラップ支持円板が固定スクロールとスラ
スト軸受との間で狭持される軸方向微小隙間より大き
く、自転阻止部材が旋回スクロールの後退距離を規制し
ないように配置されたもので、この構成によれば、過負
荷軽減作動時の旋回スクロールの旋回運動が円滑に行わ
れるので、旋回スクロールをスラスト軸受に安定支持さ
せることができるという効果を奏する。 【0112】請求項10記載の発明は、自転阻止部材が
スラスト軸受の軸方向移動と共に移動すべくスラスト軸
受と旋回スクロールとの間に配置されたもので、この構
成によれば、自転阻止部材の摺動係合が常時円滑にな
り、自転阻止部材の摺動係合部の耐久性を向上できると
いう効果を奏する。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の第1の実施例におけるスクロール冷媒
圧縮機の縦断面図 【図2】同圧縮機における主要部品の分解図 【図3】同圧縮機におけるスラスト軸受のシール部詳細
部分断面図 【図4】同圧縮機におけるオルダムリングの外観図 【図5】同圧縮機におけるオルダム機構部の組立外観図 【図6】図1におけるA−A線に沿った横断面図 【図7】同圧縮機の吸入管接続部における逆止弁の位置
説明図 【図8】図7におけるB−B線に沿った部分断面図 【図9】同圧縮機の給油通路に用いる逆止弁の外観図 【図10】同圧縮機の吐出ポート付近における圧縮室の
移動説明図 【図11】同説明図 【図12】同圧縮機の吸入行程から吐出行程までの冷媒
ガスの圧力変化を示す特性図 【図13】各圧縮室における定点の圧力変化を示す特性
図 【図14】本発明の第2の実施例におけるスクロール冷
媒圧縮機の縦断面図 【図15】同圧縮機における給油通路制御弁装置のリー
ド弁取り付け外観図 【図16】異なる従来のスクロール圧縮機の縦断面図 【図17】図16の部分拡大図 【図18】異なる従来のスクロール圧縮機の縦断面図 【符号の説明】 4 駆動軸 5 本体フレーム 15 固定スクロール 15a 固定スクロールラップ 15b 鏡板 16 吐出ポート 17 吸入室 18 旋回スクロール 18a 旋回スクロールラップ 18c ラップ支持円板 19 割り形の平行ピン 20 スラスト軸受 24 自転阻止部材 27 レリース隙間 27a スラスト軸受背圧室 34 吐出室油溜 70 シールリング 118 旋回スクロール 120 スラスト軸受 124 自転阻止部材

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 1.固定スクロールの一部をなす鏡板の一面に形成され
    た渦巻き状の固定スクロールラップに対して旋回スクロ
    ールの一部をなすラップ支持円板上の旋回スクロールラ
    ップを揺動回転自在に噛み合わせ、両スクロール間に渦
    巻き形の圧縮空間を形成し、前記固定スクロールラップ
    の中心部には吐出ポートを設け、前記固定スクロールラ
    ップの外側には吸入室を設け、前記圧縮空間は吸入側よ
    り吐出側に向けて連続移行する複数個の圧縮室に区画さ
    れて流体を圧縮するスクロール圧縮機構を形成し、前記
    旋回スクロールは駆動軸を支承する本体フレームと前記
    固定スクロールとの間に配置され、前記ラップ支持円板
    前記本体フレームの側に設けられて前記旋回スクロー
    ルの反圧縮室側を支持し、且つ軸方向に移動が可能なス
    ラスト軸受と前記固定スクロールとの間に配置されてお
    り、前記スラスト軸受と前記本体フレームとの間に、前
    記スラスト軸受を前記旋回スクロールの方向に付勢する
    手段と前記スラスト軸受が反圧縮室側に後退可能なレリ
    ース隙間を設け、前記圧縮室の軸方向隙間を偏向させる
    ことなく前記旋回スクロールを安定的に前記スラスト軸
    受が支持できるように、前記スラスト軸受の摺接部を前
    記吐出ポートに通じる圧縮室より外側の領域に対抗する
    位置に形成した構成において、前記旋回スクロールが前
    記固定スクロールと前記スラスト軸受との間で、少なく
    とも油膜形成可能な軸方向微小隙間を安定保持し且つ前
    記スラスト軸受の振動を阻止すべく、前記スラスト軸受
    が前記固定スクロールとの間の軸方向所定距離を確保す
    るために前記固定スクロールの側への軸方向移動範囲が
    規制される手段と、前記スラスト軸受が半径方向に移動
    するのを規制する手段とを設けたスクロール圧縮機。 2.スラスト軸受を旋回スクロールの方向に付勢する手
    段として、前記スラスト軸受の反圧縮側背面と本体フレ
    ームとの間に、前記スラスト軸受を均等に付勢できる環
    状弾性体を配置した請求項1記載のスクロール圧縮機。 3.環状弾性体を、スラスト軸受の摺接部に対抗させた
    位置に配置した請求項2記載のスクロール圧縮機。 4.環状弾性体によりレリース隙間を区画してスラスト
    軸受背圧室を形成し、前記スラスト軸受背圧室に吐出圧
    力が作用する流体を導入した請求項2記載のスクロール
    圧縮機。 5.スラスト軸受の反圧縮側背面に別の弾性体を配置
    し、スラスト軸受を旋回スクロールの方向に付勢させた
    請求項4記載のスクロール圧縮機。 6.環状弾性体を環状のバネ装置とし、前記環状のバネ
    装置を本体フレームに設けた環状の溝に配置した請求項
    2記載のスクロール圧縮機。 7.本体フレームに固定された柱状の固定用部品を介し
    てスラスト軸受の半径方向移動の規制と保持をさせた請
    求項1記載のスクロール圧縮機。 8.柱状の固定用部品を割り形の平行ピンとした請求項
    7記載のスクロール圧縮機。 9.旋回スクロールの自転阻止部材が固定スクロールと
    本体フレームとの間に配置された構成において、反圧縮
    室側へのスラスト軸受の後退距離は、ラップ支持円板が
    固定スクロールと前記スラスト軸受との間で狭持される
    軸方向微小隙間より大きく、前記自転阻止部材が前記旋
    回スクロールの後退距離を規制しないように配置された
    請求項1記載のスクロール圧縮機。 10.自転阻止部材がスラスト軸受の軸方向移動と共に
    移動すべく前記スラスト軸受と前記旋回スクロールとの
    間に配置された請求項9記載のスクロール圧縮機。
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