JP2820137B2 - スクロール気体圧縮機 - Google Patents

スクロール気体圧縮機

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JP2820137B2
JP2820137B2 JP30437796A JP30437796A JP2820137B2 JP 2820137 B2 JP2820137 B2 JP 2820137B2 JP 30437796 A JP30437796 A JP 30437796A JP 30437796 A JP30437796 A JP 30437796A JP 2820137 B2 JP2820137 B2 JP 2820137B2
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勝晴 藤尾
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、旋回スクロールの
背圧室密封手段と過負荷軽減に関するものである。
【0002】
【従来の技術】低振動,低騒音特性を備えたスクロール
圧縮機は、吸入室が渦巻き形状の圧縮室の外周部にあ
り、吐出ポートが渦巻き形状の圧縮室の中心部に設けら
れ、圧縮流体の流れが一方向で往復動式圧縮機や回転式
圧縮機のような流体を圧縮するための吐出弁を必要とせ
ず圧縮比が一定で、吐出脈動も比較的小さくて大きな吐
出空間を必要としないことが一般に知られている。
【0003】また、固定スクロールと旋回スクロールの
両部材によって形成された圧縮室圧力により、両部材を
軸方向に引き離そうとする力が生じ、圧縮室内の密封が
不完全となり、圧縮流体漏れが増大し、効率低下を招く
ので、以下に述べる各種の方策が提案されている。
【0004】すなわち、第1の方策は、旋回スクロール
の背面全域に圧縮気体圧力を付勢して軸方向押し付け力
を与え、両部材が離反するのを防ぎ圧縮室を密封する構
成である。
【0005】この構成は、図15と図16に示す如く、
スクロール圧縮機の特徴である低振動や低騒音特性を、
より一層改善するために、圧縮機高速運転時などにおけ
る、旋回スクロールのジャンピング現象(激しい軸方向
移動)を少なくする方策として、駆動シャフト1007
の先端部の駆動ピン1007aに連結する旋回スクロー
ル1001の鏡板1001aが、固定スクロール100
2の鏡板1002aと、フレーム1008との間に微小
隙間で支持され、旋回スクロールの背面に圧縮途中の中
間圧力気体を導入し、その気体圧力により旋回スクロー
ル1001を背圧付勢して固定スクロール1002と適
当な力で軸方向接触させると共に、圧縮機の始動,停止
時,高速運転時など、圧縮負荷や回転部材の慣性力など
が変化する際に、旋回スクロール1001がジャンピン
グするのを阻止し、旋回スクロール1001と固定スク
ロール1002との軸方向微小隙間を確保して圧縮室の
密封を図り、圧縮効率を高めると共に、部材間の衝突に
より生じる異常音,摺動部耐久性低下を防止する工夫が
なされている(特開昭55−142902号公報)。
【0006】第2の方策は、図17に示す如く、固定ス
クロール2001eを軸方向に移動可能な構成にし、背
圧室2015に吐出気体を導入して、その背圧力と板バ
ネ2023eの付勢力とで固定スクロール2001eを
旋回スクロール2001dに押圧し、旋回スクロール2
001dと、固定スクロール2001eとの間の軸方向
隙間を無くして、圧縮室の密封を図り、圧縮気体漏れを
減少すると共に圧縮室内で液圧縮が生じた時、固定スク
ロール2001eが旋回スクロール2001dから軸方
向に離反して圧縮室圧力を降下せしめて負荷を軽減する
構成である(米国特許第3600114号明細書)。
【0007】第3の方策は、図18と図19に示す如
く、旋回スクロールの反圧縮室側背面の一部を高圧潤滑
油にする構成である(特開昭60−190691号公
報,米国特許第4522575号明細書)。
【0008】この構成は、旋回スクロール1424の反
圧縮室側背面の中央部を高圧空間に、その外周部を低圧
空間となるように、固定スクロール1426を固定し且
つ駆動軸1417を支持するフレーム1413に固定さ
れて内方に突出した環状のシール部材1449で区画
し、そのシール部材1449の内側の高圧空間には、モ
ータ底部の潤滑油を駆動軸1417内に設けた通路(図
示なし)を経由して遠心ポンプ作用を利用して供給し、
旋回スクロール1424を固定スクロール1426の側
に適度な力で押接する一方、固定スクロール1426と
摺接する旋回スクロール1424の外周摺接部に細管1
447を通じてモータ底部の潤滑油を差圧供給する構成
である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の第1の構成では、スクロール圧縮機の圧縮比が一定
なために、液圧縮などにより圧縮室内が異常圧力上昇し
た場合には、旋回スクロールの鏡板が軸方向に微小隙間
しか移動できず、圧縮空間隙間を広げて圧縮流体を漏洩
させ、圧縮室圧力を急降下させることが出来ないので、
圧縮負荷の増大、部品の破損、摺動部耐久性の低下を生
じるという課題があった。
【0010】また、上記従来の第2の構成では、固定ス
クロール2001eと旋回スクロール2001dを常時
大きな付勢力で軸方向接触させる必要があり、両スクロ
ールの接触面の摩擦や摩耗により耐久性が低下し、動力
損失も大きいという課題があった。
【0011】また、上記従来の第3の構成では、環状の
シール部材1449の外側部がフレーム1413に固定
される一方、内方部が外側部から突出した形状のため
に、環状のシール部材1449と旋回スクロール144
2との接触力が大きくなる。この結果、摩擦損失が過大
になると共に、シール部の耐久性が低く、シール構成の
コストも高い。
【0012】更に、圧縮室内で液圧縮が生じて過大なス
ラスト過重が旋回スクロール1442に作用した場合に
は、スラスト軸受部が旋回スクロール1442を支持す
ることにより摺動部損傷を招く課題があった。
【0013】なお、特開昭61−169686号公報な
どでも提案されているように、旋回スクロールの反圧縮
室側に設けた環状溝や内側面のない環状溝に簡易な環状
矩形のシール部材を配置し、旋回スクロールの反圧縮室
側背面をその簡易な環状矩形のシール部材で、その内側
と外側とに区画し、環状矩形のシール部材の外側の旋回
スクロール背面に圧縮途中気体を導入し、旋回スクロー
ルを固定スクロールの側に付勢する構成がある。
【0014】しかしながら、この環状矩形のシール部材
は、圧縮途中気体の漏洩を防止するためのもので、この
環状矩形のシール部材の旋回摺接面には気体漏洩防止の
ための過度な押圧力が必要となり、摩擦損失の増大と環
状矩形のシール部材の耐久性低下を招く課題があり、シ
ール部材の気密性と耐久性の向上、摩擦損失低減および
過負荷軽減を同時に実現できるスクロール圧縮機が望ま
れていた。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明のスクロール気体圧縮機は、駆動軸を支承する
本体フレームに設けたスラスト軸受と旋回スクロールの
反圧縮室側背面との間に、切り口を備えた環状リング
を、旋回スクロールのラップ支持円板とスラスト軸受の
いずれかに設けた環状の凹設溝に遊合状態で配置して環
状リングの内側の背圧室と外側の外周部空間とに区画
し、本体フレームの外側の油溜の潤滑油を背圧室に導入
する構成において、環状リングが軸方向移動と半径方向
への弾性変形が容易となるべく環状リングと環状の凹設
部を構成したものである。
【0016】上記背圧室を区画する環状リングと環状リ
ングを収納する環状の凹設部の構成によって、背圧室の
潤滑油が環状リングのシール部から外周部空間へ漏洩す
る量が少なくなり、背圧室圧力を安定保持させると共
に、環状リングから漏洩した潤滑油を旋回スクロールの
摺接部に供給できる。
【0017】
【発明の実施の形態】請求項1に記載の発明は、旋回ス
クロールが、駆動軸を支承する本体フレームと、固定ス
クロールとの間に配置され、旋回スクロールのラップ支
持円板は、固定スクロールの鏡板とラップ支持円板の反
圧縮室側を支持すべく本体フレームに設けたスラスト軸
受との間に配置され、ラップ支持円板の反圧縮室側背面
を内側の背圧室と背圧室の外側の外周部空間とに区画
し、本体フレームの外側の油溜の潤滑油を背圧室に導入
する手段を設けた構成において、背圧室を区画する手段
として、ラップ支持円板とスラスト軸受のいずれか一方
に環状の凹設部を設け、環状の凹設部に切り口を備えた
環状リングを遊合状態で装着し、環状リングの旋回摺設
部が相手摺設部に接した状態で環状リングの底に隙間が
存在し、環状リングの内側面と底面とに背圧室の潤滑油
圧力が作用した時に、環状リングが半径方向と軸方向と
に弾性変形できる特性を備え、環状リングがその底部隙
間を増減すべく軸方向移動する時に軸方向移動を阻害し
ない形状に環状リングと環状の凹設部を設けたもので、
この構成によれば、背圧室の潤滑油は、その圧力で旋回
スクロールへの背圧付勢と、背圧室の圧力を保持すべく
環状リングへの付勢を作用させる。
【0018】旋回スクロールへの背圧付勢は、圧縮室圧
力によって旋回スクロールを固定スクロールから離反さ
せようとするスラスト荷重に抗して圧縮室軸方向隙間を
少なくし、圧縮効率を向上することができる。また、ス
ラスト荷重が大きい場合には、スラスト軸受が旋回スク
ロールを小さい負荷で支持して摩擦損失を少なくでき
る。
【0019】環状リングへの潤滑油圧力付勢は、環状リ
ングを拡環して環状リングの外側面を環状の凹設部の外
側面に押圧しその接触部の密封性を良くすると共に、環
状リングを相手旋回接触部に沿って密接させる。その結
果、旋回接触部間の隙間が無くなり、旋回摺設部の密封
効果を向上し、環状リングの旋回摺接部への潤滑油付勢
力を小さくして摩擦損失を少なくできる。
【0020】請求項2に記載の発明は、環状リングの旋
回摺接部と相手旋回摺接部とは、摺接によって互いの表
面粗さが向上する馴染み特性を備えたもので、この構成
によれば、旋回摺接部間に良好な油膜を形成し、摩擦抵
抗を少なくできると共にシール部からの潤滑油漏洩量を
安定させることができる。
【0021】請求項3に記載の発明は、旋回スクロール
が本体フレームの側に設けられて軸方向に移動が可能な
スラスト軸受と、固定スクロールとの間に少なくとも油
膜形成可能な隙間を設けて挟まれており、スラスト軸受
は、固定スクロールとの間の軸方向距離を保持すべく本
体フレームから軸方向に離反する範囲を規制されると共
に、圧縮室圧力が正常運転時にスラスト軸受を本体フレ
ームからの最大距離で離反させ、圧縮室圧力が異常上昇
運転時にスライト軸受を本体フレームの側に後退し得る
付勢力を有する少なくとも弾性体を含む付勢手段によっ
て、常に旋回スクロール方向に付勢されたもので、この
構成によれば、圧縮室圧力が正常運転時に、旋回スクロ
ールが固定スクロールと軸方向接触またはスラスト軸受
に支持されて効率の高い圧縮運転を継続できる一方、圧
縮室圧力が異常上昇した過負荷運転時に、スラスト軸受
が後退して圧縮室軸方向密封を解除し、圧縮室圧力を瞬
時に降下させることができる。また、圧縮室軸方向隙間
に異物噛み込みが生じた場合にも同様に圧縮室軸方向隙
間を拡大し、異物を除去できる。
【0022】請求項4に記載の発明は、スラスト軸受を
本体フレームから軸方向に離反させるべく、スラスト軸
受を付勢する手段が弾性体のみで構成されたもので、こ
の構成によれば、過負荷軽減作用時の負荷限度設定値を
一定させることができると共に、簡易構成でスラスト軸
受へ付勢手段を得ることができる。
【0023】
【実施例】以下、本発明の実施例のスクロール冷媒圧縮
機について、図面を参照しながら説明する。
【0024】図1〜図12において、1は鉄製の密閉ケ
ースで、その内部は吐出室2に連通する高圧雰囲気とな
り、上部にモータ3、下部に圧縮部を配置し、モータ3
の回転子3aに固定された駆動軸4を支承する圧縮部の
本体フレーム5により、密閉ケース1の内部がモータ室
6と吐出室2とに仕切られている。
【0025】本体フレーム5は軽量化と軸受部の熱発散
を主目的とした熱伝導特性に優れたアルミニウム合金製
で、その外周部に、溶接性に優れた鉄製のライナー8が
焼ばめ固定され、ライナー8の外周面が密閉ケース1に
全周内接し部分的に溶接固定されている。
【0026】モータ3の固定子3bの両端外周部は、密
閉ケース1に内接固定された軸受フレーム9と本体フレ
ーム5によって支持固定されている。
【0027】駆動軸4は軸受フレーム9に設けられた上
部軸受10、本体フレーム5の上端部に設けられた下部
軸受11、本体フレーム5の中央部に設けられた主軸受
12、本体フレーム5の上端面とモータ3の回転子3a
の下部端面との間に設けられたスラスト球軸受13とで
支持され、その下端部には、駆動軸4の主軸から偏心し
た偏心軸受14が設けられている。
【0028】本体フレーム5の下端面にはアルミニウム
合金製の固定スクロール15が固定されている。固定ス
クロール15は渦巻き状の固定スクロールラップ15a
と鏡板15bとから成る。
【0029】鏡板15bの中央部には、固定スクロール
ラップ15aの巻始め部に開口する吐出ポート16が吐
出室2にも開口して設けられ、固定スクロールラップ1
5aの外周部には吸入室17が設けられている。
【0030】固定スクロールラップ15aに噛み合って
圧縮室を形成する渦巻き状の旋回スクロールラップ18
aと、駆動軸4の偏心軸受14に支持された旋回軸18
bとを直立させたラップ支持円板18cとから成るアル
ミニウム合金製の旋回スクロール18は、固定スクロー
ル15と本体フレーム5と駆動軸4とに囲まれて配置さ
れており、旋回軸18bの外周部に、高張力鋼材料から
成るスリーブ94が焼ばめ固定され、ラップ支持円板1
8cの表面は硬化処理されている。
【0031】本体フレーム5に固定された割りピン形の
平行ピン19に拘束されて軸方向にのみ移動が可能なス
ラスト軸受20と、固定スクロール15の鏡板15bと
の間には、スペーサ21が設けられ、スペーサ21の軸
方向寸法は、油膜による摺動面のシール性向上のため
に、ラップ支持円板18cの厚さよりも約0.015〜
0.020mm大きく設定されている。
【0032】ラップ支持円板18cのスラスト軸受20
との摺動面の最外部には、環状溝(環状の凹設部)81
が設けられ、その内部に、焼結合金製の弾性(半径方向
と軸方向)を有する環状リング82が微小隙間で装着さ
れ、その最大軸方向隙間は0.025mm以上で、油膜
形成が可能な程度である。
【0033】また、環状リング82は、図4のように自
由状態で、その円周方向に対して傾斜して切断された切
り口82aを有して開いており、その切り口82aは、
環状リング82が環状溝(環状の凹設部)81に装着さ
れた時、環状リング82の外側面が、その弾性力で環状
溝81の外側面に部分的に密接し、環状リング82の内
側面が、環状溝(環状の凹設部)81の内側面との間で
微小隙間を有する程度に設定されている。
【0034】また、環状溝(環状の凹設部)81の幅と
環状リング82の幅とは、全周囲に渡って同一寸法でな
く、環状リング82が環状溝(環状の凹設部)81内で
一回転できない状態に構成されている。
【0035】駆動軸4の偏心軸受14の底部と旋回スク
ロール18の旋回軸18bの軸部との間の偏心軸受空間
36と、ラップ支持円板18cの外周部空間37とは、
旋回軸18bとラップ支持円板18cに設けられた油穴
A38aにより連通されている。
【0036】スラスト軸受20は焼結合金製で、図2,
図6図のように、その中央部が2つの平行な直線部分
と、それに連なる2つの円弧状曲線部分23から成る形
状に貫通成形されている。
【0037】旋回スクロール18の自転阻止部材(以
下、オルダムリングという)24は、焼結成形や射出成
形工法などに適した軽合金や強化繊維複合樹脂材料から
成り、含油特性も有し、図5のように両面が平行な薄い
環状板24aと、その一面に設けられた一対の平行キー
部分24bとから成り、環状板24aの外輪郭は、2つ
の平行な直線部分25と、それに連なる2つの円弧状曲
線部分26から成り、直線部分25が図6のように、ス
ラスト軸受20の直線部分22に微小隙間で係合し、摺
動可能であり、平行キー部分24bの側面24cは、直
線部分25の中央部で直交し、図1,図2のように旋回
スクロール18のラップ支持円板18cに設けられた一
対のキー溝71に微小隙間で係合し、摺動可能な形状に
設定されている。
【0038】なお、環状板24aの内輪郭は、外輪郭に
類似した形状である。また、平行キー部分24bの付け
根に設けられたヘコミ部24dは、潤滑油の通路にも成
る。
【0039】また、円弧状曲線部分に設けられたヘコミ
部24eも同様な潤滑油の通路である。
【0040】図1、図3のように、本体フレーム5とス
ラスト軸受20との間は、約0.1mmのレリース隙間
27が設けられ、そのレリース隙間27に対向して本体
フレーム5にも環状溝28が設けられ、環状溝28を囲
んだゴム製のシールリング70が、本体フレーム5とス
ラスト軸受20との間に装着されている。
【0041】モータ室6の上部と吐出室2とは、密閉ケ
ース1の側壁を貫通して接続されたバイパス吐出管29
を介して連通し、バイパス吐出管29のモータ室6への
開口位置は、固定子3bの上部コイルエンド30の側面
に対向し、バイパス吐出管29の上部開口端と密閉ケー
ス1の上端に接続された吐出管31とは、軸受フレーム
9に設けられた抜き穴32、密閉ケース1の上面と軸受
フレーム9との間に配置され、多数の小穴を有するパン
チングメタル33を介して連通している。
【0042】モータ室6の下部に設けられた吐出室油溜
34は、モータ室6の上部とモータ3の固定子3bの外
周の一部にカットして設けた冷却通路35により連通さ
れている。
【0043】また、吐出室油溜34は、本体フレーム5
に設けられた油穴B38bを経由して環状溝28に通じ
ると共に、オルダムリング24が配置された旋回スクロ
ール18の背圧室39にも主軸受12の摺動部微小隙間
を介して通じ、更に偏心軸受14に設けられた油溝A4
0aを介して偏心軸受空間36へも連通している。
【0044】また、本体フレーム5に設けられた油穴B
38bは、駆動軸4の下部軸受け11に対応する下部軸
部4aの表面に設けられた螺旋状油溝41にも通じてお
り、螺旋状油溝41の巻き方向は、駆動軸4が正回転す
る時に潤滑油の粘性を利用したネジポンプ作用の生じる
ように設けられ、その終端は下部軸受4aの途中まで形
成されている。
【0045】図7,図8のように、固定スクロール15
は、吸入室17の両端を連通する円弧状の吸入通路42
が設けられ、それに直交する円形の吸入穴43が、固定
スクロールラップ15aの側面に対しても直角方向に設
けられ、吸入穴43の底部は平面で、吸入通路42の側
面にまで到達している。
【0046】また、図9のように、吸入穴43の中心は
吸入通路42の底面44とずれており、吸入通路42へ
の開口部寸法W45は、吸入穴43の直径寸法より小さ
く設けられている。
【0047】また、吸入穴43には、アキュウムレータ
46の吸入管47が接続されており、吸入穴43の底面
44と吸入管端面48との間には、吸入管47の内径寸
法および吸入管端面48と底面44との間の吸入穴深さ
寸法L49よりも大きく、且つ開口寸法W45よりも大
きい円形薄鋼板の逆止弁50が配置されている。
【0048】逆止弁50の表面は油濡れ特性が悪く、弾
力性に富んだテフロンまたはゴムなどがコーティングさ
れている。
【0049】吸入室17にも吐出室2にも連通しない第
2圧縮室51と外周部空間37とは、第2圧縮室51に
開口して鏡板15bに設けられた細径のインジェクショ
ン穴52、鏡板15bと樹脂製の断熱カバー53とで形
成されたインジェクション溝54、外周部空間37に開
口した段付き形状の油穴C38cとから成るインジェク
ション通路55で連通され、油穴C38cの大径部56
には、図10に示すような外周の一部に切欠き57を有
する薄鋼板製の逆止弁58と、コイルスプリング59と
が配置されている。
【0050】コイルスプリング59は、断熱カバー53
に押さえられて逆止弁58を常時付勢する。
【0051】外周部空間37への油穴C38cの開口位
置は、図11,図12に示す如く、吐出ポート16に連
通する第3圧縮室60の容積減少行程が終了する近傍に
まで、旋回スクロール18が移動した(図11参照)時
に、外周部空間37と油穴C38cとが連通し、それ以
外の時(図12参照)にはラップ支持円板18cによっ
て遮断される位置に設けられている。
【0052】図13において、横軸は駆動軸4の回転角
度を示し、縦軸は冷媒圧力を示し、吸入・圧縮・吐出過
程における冷媒ガスの圧力変化状態を示し、実線62は
正常圧力で運転時の圧力変化を示し、点線63は異常圧
力上昇時の圧力変化を示す。
【0053】図14において、横軸は駆動軸4の回転角
度を示し、縦軸は冷媒圧力を示し、実践64は吐出室2
にも吸入室17にも連通しない第2圧縮室51a,51
bのインジェクション穴52a,52bの開口位置にお
ける圧力変化を示し、点線65は吸入室17に連通する
第1圧縮室61a,61b(図7参照)の定点における
圧力変化を示し、一点鎖線66は吐出室2に連通する第
3圧縮室60a,60bの定点における圧力変化を示
し、二点鎖線67は第1圧縮室61a,61bと第2圧
縮室51a,51bとの間の定点における圧力変化を示
し、二重点線68は背圧室39の圧力変化を示す。
【0054】以上のように構成されたスクロール冷媒圧
縮機について、その動作を説明する。図1〜図14にお
いて、モータ3によって駆動軸4が回転駆動すると、旋
回スクロール18が旋回運動をし、圧縮機に接続した冷
凍サイクルから潤滑油を含んだ吸入冷媒ガスが、アキュ
ームレータ46に接続した吸入管47,吸入穴43,吸
入通路42を順次経て吸入室17に流入し、旋回スクロ
ール18と固定スクロール15との間に形成された第1
圧縮室61a,61bを経て圧縮室内に閉じ込められ、
常時密閉空間となる第2圧縮室51a,51b、第3圧
縮室60a,60bへと順次移送圧縮され、中央部の吐
出ポート16を経て吐出室2へと吐出される。
【0055】圧縮機内圧力が均衡した状態からの圧縮機
起動初期には、圧縮室内の圧縮冷媒圧力によって旋回ス
クロール18に吐出ポート16と反対の方向のスラスト
力が作用する。
【0056】しかし、旋回スクロール18の背面には付
勢に必要な背圧力が生じていないので、旋回スクロール
18が固定スクロール15から離れスラスト軸受20に
支持される。
【0057】この時、圧縮室の軸方向には、約0.01
5〜0.020mmの隙間が生じる。
【0058】その結果、圧縮室内圧力が一時的に降下し
て、起動初期の圧縮負荷が軽減する。
【0059】なお、スラスト軸受20が旋回スクロール
18を支持する初期の支持力は後述する如く、シールリ
ング70の弾性力と補助的なバネ装置(例えば、図17
の2023のような板バネ)に依在する。
【0060】一方、旋回スクロール18に追従して旋回
運動をする弾性力を有する環状リング82が、ラップ支
持円板18cと接するスラスト軸受20の摺動面の潤滑
油を油掻きして環状溝(環状の凹設部)81の周辺に収
集し、環状溝(環状の凹設部)81と環状リング82と
の間の隙間および環状リング82とスラスト軸受20と
の間の隙間を油膜シールする。
【0061】その結果、背圧室39から吸入室17側
に、潤滑油とその中に溶解した冷媒ガスが過剰に流入せ
ず、後述する経路を経て次第に背圧室圧力が高まる。
【0062】その背圧力により、旋回スクロール18の
ラップ支持円板18cが固定スクロール15の鏡板15
bに付勢接触し、圧縮室の軸方向隙間が無くなり、圧縮
室が密封され、吸入冷媒ガスが効率良く圧縮され、安定
運転が継続する。
【0063】万一、圧縮室内で液圧縮などが生じて瞬時
的に圧縮室圧力が異常上昇した場合は、旋回スクロール
18に作用するスラスト力が、旋回スクロール18の背
面に作用する付勢力よりも大きくなり、旋回スクロール
18が軸方向に移動し、旋回スクロール18のラップ支
持円板18cが、固定スクロール15の鏡板15bから
離れてスラスト軸受20に支持されると共に、圧縮室の
密封が解除して、圧縮室圧力が降下し、圧縮負荷が軽減
する。
【0064】潤滑油を含んだ吐出冷媒ガスは、圧縮機外
部へ配管されたバイパス吐出管29を経て再び圧縮機内
のモータ室6に帰還した後、外部の冷凍サイクルへ吐出
管31から排出されるが、モータ室6に流入する際に、
モータ3の上部コイルエンド30の側面に衝突してモー
タ巻き線の表面に付着する。これにより、潤滑油の一部
が分離され、その後、軸受フレーム9に設けられた抜き
穴32を通過する際に、流れ方向を変えたり、パンチン
グメタル33の小穴を通る際に、潤滑油の慣性力や表面
付着により潤滑油が効果的に分離される。
【0065】吐出ガスから分離された潤滑油の一部は、
上部軸受の摺動面を潤滑した後、残りの潤滑油と共に冷
却通路35を通り、モータ3を冷却しながら吐出室油溜
34に収集される。
【0066】吐出室油溜34の潤滑油は、駆動軸4の下
部軸部4aの表面に設けられた螺旋状油溝41の粘性ポ
ンプ作用により、スラスト球軸受13へ給油され、下部
軸部4aの端部の微小軸受隙間を潤滑油が通過する際
に、その油膜のシール作用により、モータ室6の吐出冷
媒ガス雰囲気と主軸受12の上流側空間とが遮断され
る。
【0067】吐出室油溜34の溶解吐出冷媒ガスを含ん
だ潤滑油は、主軸受12の微小隙間を通過する際に、吐
出圧力と吸入圧力との中間圧力に減圧され、背圧室39
に流入する。その後、偏心軸受14の油溝A40a、偏
心軸受空間36、旋回スクロール18を通る油穴A38
aを経て漸次減圧されながら外周部空間37に流入し、
更に間欠的に開口する油穴C38c、インジェクション
溝54、インジェクション穴52a,52bを経て第2
圧縮室51a,51bに流入し、その通路途中の各摺動
面を潤滑する。
【0068】第2圧縮室51a,51bにインジェクシ
ョンされた潤滑油は、圧縮室外部の冷凍サイクルから吸
入冷媒ガスと共に圧縮室に流入した潤滑油と合流し、隣
接する圧縮室間の微小隙間を油膜により密封して圧縮冷
媒ガス漏れを防ぎ、圧縮空間の摺動面を潤滑しながら圧
縮冷媒ガスと共に吐出室2に再び排出される。
【0069】また、吐出室油溜34は、環状溝28やレ
リース隙間27とも通じているので、スラスト軸受20
はその背圧力により、付勢されてスペーサ21の端面に
当接する。そして、旋回スクロール18のラップ支持円
板18cは、スラスト軸受20と固定スクロール15の
鏡板15bとの間で微小隙間を保持されて円滑に摺動す
ると共に、固定スクロールラップ15aの端面とラップ
支持円板18cとの間、旋回スクロールラップ18aの
端面と鏡板15bとの間の隙間も微小に保持され、隣接
する圧縮室間の冷媒漏れを少なくする。
【0070】第2圧縮室51a,51bのインジェクシ
ョン穴52a,52b開口部は、図14の如くの圧力変
化をし、吐出室2の圧力に追従して変化する背圧室圧力
68よりも瞬時的に高いが平均圧力は低い。そのため、
背圧室39からの潤滑油は、間欠的に第2圧縮室51
a,51bに流入し、また、正常運転時の背圧室圧力6
8よりも瞬時的に高い第2圧縮室51a,51b内の圧
縮冷媒ガスは、細径のインジェクション穴52a,52
bで減圧されて、瞬時的なインジェクション溝54への
逆流が少なく、インジェクション溝54内の圧力が背圧
室圧力68よりも高くならない。
【0071】第2圧縮室51a,51bにインジェクシ
ョンされた潤滑油は、吸入冷媒ガスと共に圧縮室に流入
した潤滑油と合流し、隣接する圧縮室間の微小隙間を油
膜により密封して圧縮冷媒ガス漏れを防ぎ、圧縮空間の
摺動面も潤滑しながら圧縮冷媒ガスと共に吐出室2に再
び吐出される。
【0072】また、前述のように圧縮機起動初期には、
シールリング70の弾性力やバネ装置によりスラスト軸
受20を介して旋回スクロール18を支持するが、圧縮
機起動安定後の背圧室39に差圧給油された潤滑油は、
中間圧力の付勢力を旋回スクロール18に作用させて、
ラップ支持円板18cを鏡板15bとの摺動面に押圧油
膜シールし、外周部空間37と吸入室17との間の連通
を遮断する。
【0073】また、背圧室39の潤滑油は、スラスト軸
受20とラップ支持円板18cとの摺動面の隙間に介在
し、ラップ支持円板18cの環状溝81に装着された環
状リング82の旋回運動に伴う油掻き作用で、潤滑油が
環状リング82の内外周に収集され、環状溝(環状の凹
設部)81と環状リング82との微小隙間、ラップ支持
円板18cとスラスト軸受20との隙間(約0.015
〜0.020mm)を密封する。
【0074】なお、旋回運動に基づく環状リング82の
慣性力によって環状リング82が環状溝(環状の凹設
部)81内を回転しようとする。しかし、環状溝(環状
の凹設部)81の溝幅が環状リング82よりも狭い部分
が有り、また、その外方向への弾性力と背圧室39の潤
滑油圧力によって環状リング82が環状溝(環状の凹設
部)81の外側面に全周密接しているので、環状リング
82は、環状溝(環状の凹設部)81内を円周方向と半
径方向に移動できない。
【0075】また、環状リング82の内側面と環状リン
グ81の内側面との間の隙間から環状リング82の底部
空間に導入された背圧室39の潤滑油圧力によって、環
状リング82の旋回摺接面が軸方向に微小変形してスラ
スト軸受20の摺接面に沿って押圧され、摺接面間の隙
間がなくなる。
【0076】含油特性を有する環状リング82とスラス
ト軸受20は、互いに摺接することによって摺接面の表
面粗さが摺接時間経過と共に向上する馴染み特性を有す
る材料で構成されているので、圧縮機運転時間経過と共
に摺接面の摩擦抵抗が除々に減少し、摺接面間からの潤
滑油漏洩が少なくなる。
【0077】また、背圧室39の潤滑油圧力によって環
状リング82が拡環しており、環状リング82の切口面
が密着しているので、この部分からの過剰な潤滑油漏れ
も生じない。
【0078】また、圧縮機の冷時始動後しばらくの間
は、図13,図14から理解できるように、吐出室2の
圧力が、第2圧縮室51a,51bの圧力よりも低く、
圧縮途中の冷媒ガスが、第2圧縮室51a,51bから
インジェクション通路55を経て、背圧室39に逆流し
ようとするが、逆止弁58の逆止作用によって外周部空
間37への逆流が阻止され、吐出室油溜34の潤滑油
は、吐出室2の圧力上昇と共に背圧室39、外周部空間
37にまで差圧給油される。
【0079】その後、吐出室2の圧力上昇に伴い、外周
部空間37の潤滑油は、コイルスプリング59の付勢力
に抗してインジェクション穴52a,52bから第2圧
縮室51a,51bへインジェクションされる。
【0080】したがって、冷時起動直後のように、吸入
冷媒ガスの圧力が非常に高く、スクロール圧縮機の圧縮
比が一定であることから圧縮室圧力も非常に高くなった
場合、あるいは、異常な液圧縮が生じた場合などは、上
述のように旋回スクロール18が固定スクロール15か
ら離反し、スラスト軸受20に支持される。
【0081】しかしながら、背圧付勢されたスラスト軸
受20は、異常に上昇した圧縮室圧力により生じて旋回
スクロール18に作用するスラスト荷重を支持できず、
レリース隙間27を減少させる方向に後退して、旋回ス
クロール18と固定スクロール15との間の軸方向隙間
が拡大する。
【0082】これにより、圧縮室間に多くの漏れが生じ
て圧縮室圧力が急低下し、圧縮負荷が瞬時に軽減した
後、スラスト軸受20が瞬時に元の位置に復帰して、背
圧室39の圧力は著しい低下もせず、安定運動が再継続
する。
【0083】また、旋回スクロール18と固定スクロー
ル15との間の軸方向隙間部に異物噛み込みが生じた場
合も上述と同様に、スラスト軸受20が後退して異物を
除去する。
【0084】また、冷時始動初期や定常運転時に、瞬時
的な液圧縮が生じた場合の圧縮室圧力は、図13の点線
63のように異常な圧力上昇と過圧縮が生じるが、吐出
室2とそれに連通する高圧空間容積が大きいため、吐出
室圧力の上昇は極めて小さい。
【0085】また、液圧縮により第2圧縮室51a,5
1bに連通するインジェクション溝54なども異常圧力
上昇するが、細径の油穴C38cの絞り効果と逆止弁5
8の逆止作用により、外周部空間37とインジェクショ
ン溝54との間は遮断される。
【0086】その結果、背圧室39の圧力は変わらず、
スラスト軸受20の背面に作用する背圧付勢力にも変動
がない。その結果、液圧縮時には、旋回スクロール18
に作用する過大なスラスト力によって、上述のようにス
ラスト軸受20が後退し、圧縮室圧力が降下して正常運
転を継続する。
【0087】なお、液圧縮途中でスラスト軸受20が後
退することにより、圧縮室圧力は図13の一点鎖線63
aの如く途中で降圧する。
【0088】圧縮機停止後は、圧縮室内圧力により旋回
スクロール18に逆旋回トルクが生じ、旋回スクロール
18が逆旋回して吐出冷媒ガスが吸入側に逆流する。
【0089】この吐出冷媒ガスの逆流に追従して、逆止
弁50が図7の位置から図8の位置に移動し、逆止弁5
0の表面に施されたテフロン被膜により、吸入管端面4
8を密封して吐出冷媒ガスの逆流を制止し、旋回スクロ
ール18の逆旋回が停止し、吸入通路42と吐出ポート
16との間の空間は吐出圧力を保持する。
【0090】また、インジェクション通路の逆止弁58
を堺にして圧縮室に連通する通路は、吐出圧力になる
が、外周部空間37と背圧室39との間の空間はしばら
くの間、中間圧力を保持し、吐出室油溜34からの潤滑
油微少流入により、次第に吐出圧力に近づく。圧縮機停
止時、旋回スクロール18が逆旋回し、第3圧縮室60
a,60bが拡大した位置に停止し、油穴C38cの外
周部空間37への開口部は、ラップ支持円板18cによ
り遮断される。
【0091】圧縮機停止後は、コイルスプリング59の
付勢力によっても逆止弁58がインジェクション通路5
5を遮断するので、外周部空間37から圧縮室への潤滑
油流入がない。
【0092】また、圧縮機運転中、主軸受12の給油上
流側は、吐出室油溜34に連通し、給油下流側は中間圧
力状態の背圧室39に連通してその間に差圧が生じ、モ
ータ3の回転子3aを固定した駆動軸4が旋回スクロー
ル18の方向へ付勢される。
【0093】この付勢力は、スラスト玉軸受13を介し
て本体フレーム5に支持され、駆動軸4か上部軸受1
0、主軸受12との間の隙間の範囲内で、駆動軸4の不
釣り合いや圧縮負荷に起因して、倒れが生じるのを阻止
し、上部軸受10と主軸受12との片当りを防止する。
【0094】また、圧縮機運転時の温度上昇により、ア
ルミニウム合金製の本体フレーム5は熱膨張して鉄製の
ライナー8を拡管し、ライナー8と外周面と密閉ケース
1の内壁との密着を強めて吐出室油溜34と吐出室2と
の間の機密を向上させると共に、本体フレーム5と密閉
ケース1との固定を強めて互いの剛性向上に役立つ。
【0095】また、上記実施例では吐出室油溜34の潤
滑油を、第2圧縮室51a,51bに油インジェクショ
ンしたが、圧縮機使用条件などにより吸入室17または
吸入室17に通じる第1圧縮室61a,61bに油イン
ジェクションしてもよい。
【0096】また、上記実施例ではスラスト軸受20の
背面に設けたレリース隙間27や環状溝28に吐出室油
溜34の潤滑油を導入したが、モータ室6の吐出冷媒ガ
スや第2圧縮室51a,51bなどから中間圧力冷媒ガ
スを導入してもよく、また、圧縮機運転負荷条件によっ
てはシールリング70や板バネなどの弾性体のみでスラ
スト軸受20を付勢してもよい。
【0097】また、上記実施例では環状溝(環状の凹設
部)81と環状リング82を旋回スクロール18のラッ
プ支持円板18cに配置したが、スラスト軸受20に配
置しても同様の作用と効果を発揮する。
【0098】また、上記実施例では環状溝(環状の凹設
部)81を内側面と外側面を有する形状にしたが、圧縮
室冷媒ガスが外周部空間37に逆流しない構成であるの
で、前述の特開昭61−169686号公報に開示の如
く、環状リング82を装着する環状溝(環状の凹設部)
を、内側面の無い外側面のみとした環状溝(環状の凹設
部)の形状の場合も上記同様に、環状リング82の機能
を発揮させることができる。
【0099】また、上記実施例では冷媒圧縮機について
説明したが、潤滑油を使用する酸素,窒素,ヘリウムな
どの他の気体圧縮機の場合も同様の作用効果を期待でき
る。
【0100】
【発明の効果】上記実施例から明らかなように、請求項
1に記載の発明は、旋回スクロールが、駆動軸を支承す
る本体フレームと、固定スクロールとの間に配置され、
旋回スクロールのラップ支持円板は、固定スクロールの
鏡板とラップ支持円板の反圧縮室側を支持すべく本体フ
レームに設けたスラスト軸受との間に配置され、ラップ
支持円板の反圧縮室側背面を内側の背圧室と背圧室の外
側の外周部空間とに区画し、本体フレームの外側の油溜
の潤滑油を背圧室に導入する手段を設けた構成におい
て、背圧室を区画する手段として、ラップ支持円板とス
ラスト軸受のいずれか一方に環状の凹設部を設け、環状
の凹設部に切り口を備えた環状リングを遊合状態で装着
し、環状リングの旋回摺設部が相手摺設部に接した状態
で環状リングの底に隙間が存在し、環状リングの内側面
と底面とに背圧室の潤滑油圧力が作用した時に、環状リ
ングが半径方向と軸方向とに弾性変形できる特性を備
え、環状リングがその底部隙間を増減すべく軸方向移動
する時に軸方向移動を阻害しない形状に環状リングと環
状の凹設部を設けたもので、この構成によれば、背圧室
の潤滑油が、その圧力で旋回スクロールへの背圧付勢
と、背圧室の圧力を保持すべく環状リングへの付勢を作
用させる。
【0101】したがって、旋回スクロールへの背圧付勢
にって、圧縮室圧力によって旋回スクロールを固定スク
ロールから離反させようとするスラスト荷重に抗して、
圧縮室軸方向隙間を少なくして圧縮効率を向上させるこ
とができる。
【0102】また、スラスト荷重が旋回スクロールへの
背圧付勢力よりも大きい場合には、スラスト軸受が旋回
スクロールを小さい負荷で支持して摩擦損失を少なくで
きる。
【0103】環状リングへの潤滑油圧力付勢によって、
環状リングを拡環して環状リングの外側面を環状の凹設
部の外側面に押圧しその接触部の密封性を良くすると共
に、環状リングを相手旋回接触部に沿って密接させる。
その結果、旋回接触部間の隙間が無くなり、旋回摺接部
の密封効果が向上するので、環状リングからの潤滑油漏
洩量を少なく安定させることができる。
【0104】また、環状リングによる密封性が高いの
で、環状リングの半径方向幅を小さくし、旋回摺接部へ
の潤滑油付勢力を減少させて摩擦損失を少なくできる。
【0105】更に、環状リングの軸方向移動が阻害され
ないので、環状リングが軸方向移動する際の追従性が良
く、環状リングの旋回摺接部および外側面の密封性能に
変化がなく、背圧室圧力を常時安定保持し、圧縮室への
過剰潤滑油流入による圧縮効率低下を防止できるという
効果を奏する。
【0106】請求項2に記載の発明は、環状リングの旋
回摺接部と相手旋回摺接部とが、摺接によって互いの表
面粗さが向上する馴染み特性を備えたもので、この構成
によれば、旋回摺接部間に良好な油膜を形成し、摩擦抵
抗を少なくできる。また、ラップ支持円板の背面側と環
状リングの初期寸法精度と表面精度を適正化してコスト
低減することができるという効果を奏する。
【0107】請求項3に記載の発明は、旋回スクロール
が本体フレームの側に設けられて軸方向に移動が可能な
スラスト軸受と、固定スクロールとの間に少なくとも油
膜形成可能な隙間を設けて挟まれており、スラスト軸受
は、固定スクロールとの間の軸方向距離を保持すべく本
体フレームから軸方向に離反する範囲を規制されると共
に、圧縮室圧力が正常運転時にスラスト軸受を本体フレ
ームから最大距離で離反させ、圧縮室圧力が異常上昇運
転時にスラスト軸受を本体フレームの側に後退し得る付
勢力を有する少なくとも弾性体を含む付勢手段によっ
て、常に旋回スクロールの方向に付勢されたもので、こ
の構成によれば、圧縮室圧力が正常運転時に、旋回スク
ロールを固定スクロールと軸方向接触またはスラスト軸
受に支持させて圧縮運転を安定化させる一方、圧縮室圧
力が異常上昇した過負荷運転時に、旋回スクロールが環
状リングに阻害されることなくスラスト軸受を後退させ
て圧縮室軸方向密封を解除し、圧縮室圧力を瞬時に降下
させ、不要な動力損失と部品破損を防止すると共に摺動
部耐久性を向上することができる。また、圧縮室軸方向
隙間に異物噛み込みが生じた場合も同様の効果を奏す
る。
【0108】請求項4に記載の発明は、スラスト軸受を
本体フレームから軸方向に離反させるべく、スラスト軸
受を付勢する手段が弾性体のみで構成したもので、この
構成によれば、過負荷軽減作用時の負荷限度設定値を一
定させて過負荷軽減作用の信頼性を高めることができる
と共に、簡易構成でスラスト軸受へ付勢手段を得ること
ができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例におけるスクロール冷媒圧縮
機の縦断面図
【図2】同圧縮機における主要部品の分解図
【図3】同圧縮機におけるシールリング部とスラスト軸
受部の部分断面図
【図4】同圧縮機におけるシールリングの外観図
【図5】同圧縮機におけるオルダムリングの外観図
【図6】同圧縮機におけるオルダム機構部の組立外観図
【図7】図1におけるA−A線に沿った横断面図
【図8】同圧縮機の吸入管接続部における逆止弁の位置
説明図
【図9】図8におけるB−B線に沿った部分断面図
【図10】同圧縮機の給油通路に用いる逆止弁の外観図
【図11】それぞれの同圧縮機の吐出ポート付近におけ
る圧縮室の移動説明図
【図12】それぞれの同圧縮機の吐出ポート付近におけ
る圧縮室の移動説明図
【図13】同圧縮機の吸入行程から吐出行程までの冷媒
ガスの圧力変化を示す特性図
【図14】各圧縮機における定点の圧力変化を示す特性
【図15】それぞれ異なる従来のスクロール圧縮機の縦
断面図
【図16】図15の部分拡大図
【図17】それぞれ異なる従来のスクロール圧縮機の縦
断面図
【図18】それぞれ異なる従来のスクロール圧縮機の縦
断面図
【図19】図18における3−3線に沿った横断面図
【符号の説明】
4 駆動軸 5 本体フレーム 15 固定スクロール 15a 固定スクロールラップ 15b 鏡板 16 吐出ポート 17 吸入室 18 旋回スクロール 18a 旋回スクロールラップ 18c ラップ支持円板 20 スラスト軸受 24 自転阻止部材 34 吐出室油溜 37 外周部空間 39 背圧室 70 シールリング 81 環状溝(環状の凹設溝) 82 環状リング 82a 切り口

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固定スクロールの一部をなす鏡板の一面
    に形成された渦巻き状の固定スクロールラップに対し
    て、旋回スクロールの一部をなすラップ支持円板上の旋
    回スクロールラップを搖動回転自在に噛み合わせ、両ス
    クロール間に渦巻き形の圧縮空間を形成し、前記固定ス
    クロールラップの中心部には吐出ポートを設け、前記固
    定スクロールラップの外側には吸入室を設け、前記圧縮
    空間は、吸入側より吐出側に向けて連続移行する複数個
    の圧縮室に区画されて流体を圧縮するスクロール圧縮機
    構を形成し、前記旋回スクロールは、駆動軸を支承する
    本体フレームと、前記固定スクロールとの間に配置さ
    れ、前記ラップ支持円板は、前記鏡板と前記ラップ支持
    円板の反圧縮室側を支持すべく前記本体フレームに設け
    たスラスト軸受との間に配置され、前記ラップ支持円板
    の反圧縮室側背面を内側の背圧室と前記背圧室の外側の
    外周部空間とに区画し、前記本体フレームの外側の油溜
    の潤滑油を前記背圧室に導入する手段を設けた構成にお
    いて、前記背圧室を区画する手段として、前記ラップ支
    持円板と前記スラスト軸受のいずれか一方に環状の凹設
    部を設け、前記環状の凹設部に切り口を備えた環状リン
    グを遊合状態で装着し、前記環状リングの旋回摺接部が
    相手摺接部に接した状態で前記環状リングの底に隙間が
    存在し、前記環状リングの内側面と底面とに前記背圧室
    の潤滑油圧力が作用した時に、前記環状リングが半径方
    向と軸方向とに弾性変形できる特性を備え、前記環状リ
    ングがその底部隙間を増減すべく軸方向移動する時に前
    記軸方向移動を阻害しない形状に前記環状リングと前記
    環状の凹設部を設けたスクロール気体圧縮機。
  2. 【請求項2】 環状リングの旋回摺接部と相手旋回摺接
    部とは、摺接によって互いの表面粗さが向上する馴染み
    特性を備えた請求項1に記載のスクロール気体圧縮機。
  3. 【請求項3】 旋回スクロールが本体フレームの側に設
    けられて軸方向に移動が可能なスラスト軸受と、固定ス
    クロールとの間に少なくとも油膜形成可能な隙間を設け
    て挟まれており、前記スラスト軸受は、固定スクロール
    との間の軸方向距離を保持すべく前記本体フレームから
    軸方向に離反する範囲を規制されると共に、圧縮室圧力
    が正常運転時に前記スラスト軸受を前記本体フレームか
    ら最大距離で離反させ、圧縮室圧力が異常上昇運転時に
    前記スラスト軸受を前記本体フレームの側に後退し得る
    付勢力を有する少なくとも弾性体を含む付勢手段によっ
    て、常に前記旋回スクロールの方向に付勢された請求項
    1または2に記載のスクロール気体圧縮機。
  4. 【請求項4】 付勢手段が弾性体のみで構成された請求
    項3記載のスクロール気体圧縮機。
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