JP4121783B2 - スクロール型圧縮機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スクロール型圧縮機に係り、特に、スクロール型圧縮機のスラスト荷重を支持する背圧室に設けるのに適したシール手段に関する。
【0002】
【従来の技術】
特開平2−176178号公報に記載されているように、スクロール型圧縮機においては、旋回スクロールを駆動して流体を圧縮する際に、圧縮反力によって旋回スクロールを固定のハウジング側へ押圧するスラスト荷重が発生する。このスラスト荷重を支持するために、旋回スクロールの端板部の背面と、それに対向するハウジング側の面との間に、例えば、コバルト又はニッケルを基本組成として、これにモリブデン、クローム、珪素、炭素等の副成分を含有させた部材や、カーボン繊維をエポキシ樹脂によって固めたような耐摩耗性のある材料からなる環状のスラスト荷重支持部材が使用される。しかしながら、このような構成ではスラスト荷重支持部材の表面と相手方の面との間に摺動による摩擦熱が発生すると共に摩耗も進行するので、この従来技術においては環状のスラスト荷重支持部材に溝を設けて、冷却水を供給することにより摩擦熱を吸収するという対策を講じている。
【0003】
このようにして発生するスラスト荷重支持部における摩擦熱や摩耗を抑制するために、発明者が先に提案した特開平9−310687号公報に記載されている発明のように、スクロール型圧縮機において、旋回スクロールの端板部の背面に窪み空間としての背圧室を形成し、この背圧室へ吐出側から圧縮された流体を導入して背圧を発生させることにより旋回スクロールを軸線方向に付勢して、圧縮反力によって発生するスラスト荷重により旋回スクロールの背面とハウジング側の平坦面との間に作用する大きな接触荷重を軽減する手段が知られている。
【0004】
前述のような従来技術を実施する場合は、圧縮される流体が冷凍サイクルの冷媒として一般的に使用されているフロンのように作動圧力が低いものであれば、圧縮反力によって発生するスラスト荷重が1000N前後であるために、旋回スクロールの背面の背圧室へ導入する流体の圧力が小さくてよいから、背圧室内の圧力を保持するためにシール材を使用しても、シール材に作用する荷重はさほど大きくはならない。また、シール材の摺動面の潤滑状態は接触荷重が小さいことから流体潤滑域にあるものと推定されるので、シール材と摺動接触するハウジング側の面には油膜が確実に形成されていて、低い摩擦係数の下で摺動接触が行われているものと考えられる。従って、シール材の摺動による機械損失を低く抑えることができる。
【0005】
しかしながら、二酸化炭素(CO2)のような所謂超臨界圧流体を冷媒として使用する冷凍サイクルにおいて、前述の従来技術に示されたスクロール型圧縮機によってその冷媒を圧縮する場合には、旋回スクロールに作用するスラスト荷重が、フロンのような作動圧の低い冷媒を使用した場合の約7倍の7000Nにも達することから、背圧室へ導入する流体の圧力も同様に7倍前後の高圧になるので、その高圧がシール材に作用することになる。更に、シール材に作用する荷重が高いことから、シール材の摺動面の潤滑状態は流体潤滑域になく、摩擦係数が大きい混合潤滑域或いは境界潤滑域にあるものと考えられる。従って、シール材の摺動による機械損失が大きくなり、それが圧縮機の効率低下をもたらすことが問題になる。
【0006】
そこで、発明者がその後に提案して、特開2000−249086号公報に記載されている従来技術では、超臨界圧流体を冷媒として圧縮するスクロール型圧縮機において、その旋回スクロールの背圧室にシール材を設けると共に、作動室内で未だ十分に高圧まで圧縮されていない比較的に低圧の冷媒を取り出して、逆止弁を介してそれを背圧室へ供給することにより、背圧室から高圧の冷媒が多量に漏れ出るのを未然に防止すると共に、シール材の摩耗や機械損失が増大するのを抑制している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このように、スクロール型圧縮機においてスラスト荷重を支持するために旋回スクロールの端板部の背後に背圧室を設けることや、圧縮された流体が背圧室から漏洩するのを防止するために背圧室にシール材を設けることは、超臨界圧流体を圧縮するスクロール型圧縮機においても公知の事項に属するけれども、どのような形状のシール材を、どのようにして背圧室に設けるかという具体的な問題は未だ十分に研究されてはいない。
【0008】
前述の従来技術を提案した発明者のその後の研究によって、背圧室のシール材として内燃機関用のピストンリングのような、所謂「合い口」を有するものを使用すると、背圧室へ供給される高圧の流体が合い口から大量に漏洩するという問題を生じること、及び、合い口のない連続リング状のシール材を使用すると、シール材と背圧室の壁面との隙間へ圧縮された流体が回り込むために、シール材が変形して背圧室の壁面や相手方のハウジングの壁面に密着しようとする作用が妨げられて、十分なシール効果が得られないという問題のあることが判った。
【0009】
本発明は、従来技術における前述のような問題に対処して、スクロール型圧縮機の背圧室に新規な構成のシール手段を設けることにより、それらの問題を解消することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明においては、従来技術における前述のような問題に対応することができる解決手段として、特許請求の範囲の請求項1及び24に記載されたスクロール型圧縮機を提供する。
【0011】
本発明のスクロール型圧縮機においては、旋回スクロールの端板部の背面と、それに対向しているミドルハウジングの表面のいずれか一方に少なくとも1個の背圧室を形成して、その背圧室内へ作動室において圧縮された高圧の流体を導入することにより背圧室を加圧するので、旋回スクロールをミドルハウジングによって軸線方向に支持する摺動接触面に作用するスラスト荷重が小さくなり、その圧縮機が超臨界圧流体等を圧縮する目的に使用されることによって作動圧力が非常に高くなる場合でも、旋回スクロールのスラスト荷重支持面においては流体潤滑の状態になるから、摩擦係数が小さくなって機械損失が低減する。
【0012】
本発明のスクロール型圧縮機においては、背圧室内へ導入された高圧の流体が吸入室等の低圧側へ漏洩するのを防止するために、背圧室内に少なくとも1個の環状のシールリングを装着する。本発明の特徴の1つはこのシールリングが背圧室内において移動可能となっている点にある。従って、背圧室内へ高圧の流体が供給されると、その圧力によってシールリングが背圧室内で移動をして相手方の面へ押し付けられることにより、シールのために必要な面圧が発生する。
【0013】
本発明においては、シールリングの移動の1つの形態として、このシールリングが背圧室内において高圧流体によって押圧されることにより断面形状が僅かに傾斜(移動)することができ、それによって接触する相手方の面との間に面圧が高くなる幅の狭い環状の接触領域が形成され、面圧が高くなった幅の狭い環状の接触領域によって高いシール作用が得られるので、背圧室から高圧流体が漏洩することが防止される。シールリングは背圧室内へ導入される高圧流体によって付勢されるが、更に、シールリングを付加的に付勢するために、シールリングの背後に弾性体を設けることができる。
【0014】
本発明のスクロール型圧縮機においては、1個の背圧室内に2本のシールリングを設けることができる。この場合は、背圧室を形成する環状の溝の外周面に沿って第1のシールリングを装着すると共に、環状の溝の内周面に沿って第2のシールリングを装着する。これらのシールリングは耐摩耗性と耐油性を有し弾性のあるゴム、合成樹脂或いは金属のような材料から製作することができる。第1のシールリングは、環状の溝の外周面のうちで溝の底面に近い部分に対向する部分が、背圧室内へ装着される前の無荷重状態において環状の溝の外周径よりも外径が大きくなる環状の突条を形成していると共に、第2のシールリングは、環状の溝の内周面のうちで溝の底面に近い部分に対向する部分が、背圧室内へ装着される前の無荷重状態において環状の溝の内周径よりも内径が小さくなる環状の突条を形成しているものとすることができる。それによって、第1及び第2のシールリングの断面形状が背圧室内において傾斜(移動)し易くなる。
【0015】
各シールリングに環状の突条を形成するために、第1のシールリングの外周面と、第2のシールリングの内周面との少なくとも一方の一部にテーパー面を形成することができる。それによって、環状の突条の一部に鋭いエッジ状の突出縁部を形成して、面圧とシール作用を高めることができる。また、第1のシールリングと第2のシールリングとの間に弾性体を配置して、第1のシールリングを環状の溝の外周面に向かって付勢すると同時に、第2のシールリングを環状の溝の内周面に向かって付勢することができる。弾性体の付勢によってシールリングのシール作用が向上する。なお、第1及び第2のシールリングの背圧室へ装着される前の無荷重状態における断面形を、正方形を含む長方形として、環状の突条を形成しない場合でも、長方形断面の角部が環状の突条の作用をするので、実質的に同様な効果が得られる。
【0016】
本発明においては、単一のシールリングに代えて、背圧室を構成する環状の溝の外周面に沿って装着される第1のシールリング部と、環状の溝の内周面に沿って装着される第2のシールリング部と、第1のシールリング部及び第2のシールリング部を一体的に接続する連結部とを一体化したものとして構成することができる。それによって部品点数が減少するので、組み付けが容易になってコストが低減する。なお、連結部を有するものでは、その連結部の少なくとも一部を1つのシールリング部として、ミドルハウジングのような相手方の面に直接に接触させるように構成することができる。これらの一体化されたシールリングの各部分もまた、耐摩耗性と耐油性を有し弾性のあるゴム、合成樹脂或いは金属のような材料から製作することができる。
【0017】
連結部を有するものでは、連結部に少なくとも1個の連通孔を形成することができる。それによって連結部の両側に同じ圧力が作用するので、2個のシールリング部が連結部によって一体化されているものでも、2個のシールリングが独立の場合と同様に作動する。このように、2個のシールリング部が一体化されている場合に、第1のシールリング部と第2のシールリング部との間に弾性体を配置して、第1のシールリング部を環状の溝の外周面に向かって付勢すると共に、第2のシールリング部を環状の溝の内周面に向かって付勢することができる。
【0018】
本発明のスクロール型圧縮機においては、背圧室の中にシールリングを設けて、相手方の面に向って移動可能とすると共に、その側面と、それに対向している環状の溝(背圧室)の側面との間にOリングのような弾性のある環状のシール部材を設けて、その部分を補足的にシールするという構成をとることができる。
【0019】
この場合のシールリングは、その主成分が、例えば、カーボン、金属、合成樹脂、及びセラミックスの中から選択されることによって優れた自己潤滑性と高い硬度を備えているものとすることができる。しかしながら、それによって相手方との摺動接触面における耐摩耗性を高めることができる反面、シールリングと、それを受け入れている環状の溝(背圧室)の壁面との間のシール性能が低下する可能性があるが、Oリングのような環状のシール部材がその部分におけるシール性能を補足するので、全体として高いシール性能が得られる。
【0020】
Oリングのような環状のシール部材は、シールリングとそれに対向する背圧室(環状の溝)の壁面のいずれか一方の所定の位置に、例えば、環状の溝や切り欠きのような形の支持部を形成して、その位置に安定に支持することができる。
【0021】
本発明のスクロール型圧縮機においては、背圧室をシールする環状のシールリングの端部に、相手方の面との間の摺動面積を拡大する鍔部を形成することができる。それによってシール面積が増加して面圧を低下させることが可能になるので、摺動摩擦による摩耗を低減することができる。また、シールリングを相手方の面に向かって押圧するために、高圧の流体をシールリングの所定の面に確実に作用させることができる。
【0022】
シールリングとして優れた自己潤滑性と高い硬度を備えている変形し難いものを使用する場合にも、そのシールリングを、背圧室を構成する環状の溝の外周面に沿って装着される第1のシールリング部と、環状の溝の内周面に沿って装着される第2のシールリング部と、第1のシールリング部及び第2のシールリング部を一体的に接続する連結部とが一体化されたものとして構成することができる。それによって部品点数が減少して組み付けが容易になる。この場合にも、2つのシールリング部を連結する連結部に連通孔を形成して、2つのシールリング部をそれぞれ単一のシールリングと同様に作動させることができる。
【0023】
外側の第1のシールリング部と、内側の第2のシールリング部とを連結部によって連結した形状を有するシールリングにおいては、その連結部によって背圧室内の有効な空間を高圧側の部分と低圧側の部分とに分割すると共に、連結部に所定の開口面積を有する連通孔を形成して、この連通孔を流体のための絞り部とすることにより、高圧側の部分と低圧側の部分との間に圧力差を発生させることができる。その圧力差によってシールリングのシール面を相手方の面に押し付けてシール効果を発揮させるので、シール面における流体の漏れ量が多い時ほど圧力差が大きくなってシール面における押し付け力が大きくなる一方、漏れ量が少ない時には圧力差が小さくなるために押し付け力が小さくなるというように、シール面の摩耗や機械損失の面から見て好ましい作用、効果が得られる。
【0024】
絞り部は、大き目の連通孔にピンを挿入して、連通孔とピンとの隙間によって構成してもよいし、連通孔の開口部分に近接して邪魔板を設けて、邪魔板とシールリングとの隙間及び連通孔によって直列の絞り部を構成してもよい。
【0025】
本発明においては、外側の第1のシールリングと内側の第2のシールリングを実質的に別体とする場合に、それぞれのシールリングに相互に対向するように半径方向に突出する鍔部を設けて、それらが背圧室を構成する環状の溝の中に組み付けられた状態において、それらの鍔部によって背圧室内の有効な空間を高圧側の部分と低圧側の部分とに分割すると共に、それらの鍔部の間に形成される隙間を所定の大きさとすることによって、高圧側の部分と低圧側の部分との間に圧力差を発生させるための絞り部を構成することができる。
【0026】
本発明はまた、旋回スクロールの端板部の背面と、それに対向してそれを支持しているミドルハウジングの表面とのいずれか一方に多数の窪みを形成して、それらをそれぞれ背圧室とすると共に、それらの窪みの中へそれぞれ高圧の流体を導入するための通路を設け、窪みの中にそれぞれ断面H形のシール材を移動可能に組み付けることにより、それぞれのシール材の両端に高圧側の部分と低圧側の部分を形成させ、更に、それぞれのシール材の隔壁に所定の大きさの連通孔等からなる絞り部を形成することができる。
【0027】
それによって、多数の背圧室が旋回スクロールに作用するスラスト荷重を分散して支持することができる。そして、個々の背圧室においては、シール材が両端の高圧側の部分と低圧側の部分との圧力差によってシール面に押し付けられるので、個々の背圧室へ供給される流体の漏れ量が少なくなると共に、個々のシール材に作用する押し付け力が、シール材の絞り部を通過して漏れる流体の量に応じて変化するので、必要にして十分な押し付け力が得られる結果、シール材の摩耗や機械損失が最小となる。
【0028】
本発明のスクロール型圧縮機は、所謂モータ直結型として、ハウジングに直接に取り付けられたモータによってそのシャフトを直接に回転駆動するように構成してもよいし、車両に搭載された内燃機関のような外部の原動機によって、そのシャフトを回転駆動するように構成してもよい。本発明のスクロール型圧縮機の好適な用途の一つは、圧縮すべき流体が冷凍サイクル内を流れる冷媒である所謂冷媒圧縮機、特に、圧縮された後の冷媒の圧力が冷媒の臨界圧力以上の高さとなるように設定されているものに適用することである。
【0029】
【発明の実施の形態】
図1及び図2を用いて本発明のスクロール型圧縮機に関する第1実施例を説明する。図1に示す1はシャフトであって、その下端には軸心に対して所定量だけ偏心したクランク部1aが形成されている。2はモータであって、電力の供給を受けた時にシャフト1を回転駆動する。第1実施例の場合はモータ2が圧縮機のハウジング部分と一体化されたモータハウジング3の内部に構成されている。4はモータハウジング3の上部に取り付けられたフロントラジアル軸受であって、同じく下部に取り付けられたリアラジアル軸受5と共に、シャフト1を回転可能に支持している。なお、本発明はモータ一体型のスクロール型圧縮機に限って適用される訳ではなく、シャフト1を回転駆動する動力源が、例えば車両に搭載されている内燃機関のように、圧縮機本体とは別体のものであってもよい。
【0030】
6は旋回スクロールであって、概ね円板状の端板部6aと、それから軸線方向に突出するように形成された渦巻き形の羽根部6bと、端板部6aの背面に形成された円筒状のボス部6c等からなっている。旋回スクロール6の全体は、ボス部6cに圧入して取り付けられている旋回スクロール軸受16を介して、シャフト1のクランク部1aによって回転可能に支持されていて、シャフト1の中心軸線の回りに公転運動をする。7は旋回スクロール6の公転運動のみを許す複数個の自転防止ピンであって、旋回スクロール6の自転運動を阻止する。
【0031】
8は固定スクロールであって、旋回スクロール6と同様な端板部8aと渦巻き形の羽根部8bを備えていて、旋回スクロール6と噛み合うように組み付けられている。固定スクロール8の外筒は、スクロール型圧縮機の圧縮機部分のハウジングを兼ねている。固定スクロール8の渦巻き形の羽根部8bと旋回スクロール6の渦巻き形の羽根部6bが噛み合うことによって、それらの羽根部6b及び8bの間に軸線方向に見た時に三日月形に見える作動室9が複数個形成される。
【0032】
そして、図示しない冷凍サイクルから戻って来て吸入ポート8dから吸入室14内へ導入される気体冷媒のような流体を、外周において作動室9が吸入室14に向かって開いた時に作動室9の内部へ吸入し、旋回スクロール6が公転をする間に旋回スクロール6及び固定スクロール8の中心部に向かって作動室9が半径方向に移動しながら縮小することによって流体を圧縮する。最後に作動室9が中心部の作動室9aに向かって開いた時に、吐出圧に達した冷媒が固定スクロール8の端板部8aに設けられた吐出孔8cを通過して、端板部8aと、図示しないボルト等によって固定スクロール8に固定されているリアハウジング18との間に形成された吐出室15内へ吐出される。
【0033】
18aはリアハウジング18に形成された吐出ポートであって、図示しない配管によって冷凍サイクルに連通しており、吐出室15内へ吐出された高圧の冷媒を冷凍サイクルの凝縮器へ導く。17は吐出弁であって、吐出室15内の冷媒が吐出孔8cを介して逆流しないように端板部8a上に装着されている。なお、図1に示す10はバランサであって、シャフト1に固定されているか、或いはクランク部1aの偏心量を増減させることができるように、シャフト1に対して半径方向に僅かに移動可能に嵌合されている。
【0034】
次に、本発明の特徴に対応する第1実施例の構造部分について説明する。図1及び図2に示す6eは旋回スクロール6の端板部6aの背面に形成された円環状の溝であって、端板部6aの中心の周りにおいてミドルハウジング13の面と対向して摺動状態で接触することにより、それとの間に円環状の背圧室19となる空間を形成している。そして、背圧室19と、所定の位置に形成される作動室9との間を連通させるように圧力導入孔6dが設けられているので、作動室9の中で所定の大きさの高圧まで加圧された流体(冷媒)が背圧室19内へ導入され、ミドルハウジング13を足掛かりにして旋回スクロール6の端板部6aを固定スクロール8に向かって押圧する。なお、第1実施例においては、背圧室19は円環状の溝6eによって単一の環状に形成されているが、これを例えば同心円状に複数個形成することができることは言うまでもない。
【0035】
本発明の特徴部分に対応して、第1実施例の場合は、背圧室19内に内外2条のシールリングが相互に別体のものとして設けられている。即ち、背圧室19を形成する環状の溝6eの外周面に沿って閉じた円環状のアウタシールリング11が設けられられていると共に、環状の溝6eの内周面に沿って閉じた円環状のインナシールリング12が設けられている。これらのシールリング11,12によって、旋回スクロール6の端板部6aにおける背圧室19の半径方向内外の壁面と、それに対向しているミドルハウジング13の面との間に、冷媒が漏れ出る隙間が生じないようにシールしている。
【0036】
第1実施例の最も特徴的な部分が図2に拡大して示されている。第1実施例の場合は、旋回スクロール6の端板部6aに形成された円環状の溝6eが、ミドルハウジング13の表面と協働して背圧室19を構成するが、それらの間の隙間をシールするために、背圧室19の中に断面形状が梯形のアウタシールリング11と、やはり梯形の断面形状を有するインナシールリング12が同心円状に装着される。2つのシールリング11及び12はいずれも連続した円環状であって、内燃機関に使用されるピストンリングに設けられる合い口のような切れ目を有しない。シールリング11,12の材料は耐摩耗性と耐油性を有し弾性のあるゴム、合成樹脂或いは金属である。
【0037】
シールリング11,12が背圧室19内へ装着される前の無荷重状態においては、アウタシールリング11の頂面111と底面112は相互に平行な水平面となっており、外周面113はテーパー面(円錐面)となっている。また、アウタシールリング11の最大径である底面112の外周径φd1は、円環状の溝6eからなる背圧室19の底面191の外周径φD1よりも若干大きくなるように作られている。従って、アウタシールリング11を背圧室19の中へ押し込むようにして装着すると、アウタシールリング11の断面形状が僅かに傾斜(移動)するために、その底面112の外周に円環状に形成されたエッジ状の突出縁部115が、背圧室19の円筒形の外周面192と底面191とが直角に交わる円環状の溝6eの外周隅部194に押し付けられて、そこに周辺部よりも面圧の高い円環状の部分ができる(図33参照)。
【0038】
また、テーパー状であるアウタシールリング11の外周面113が溝6eの円筒形状の外周面192に近づくので、アウタシールリング11の円筒形の内周面114が若干傾いてテーパー状となる。それによって、アウタシールリング11の頂面111の中で内周面114寄りの円環状の角部116がミドルハウジング13の表面に強く押し付けられるようになり、その角部116における面圧が高くなる。このようにアウタシールリング11の断面形状が僅かに傾斜(移動)することによって、アウタシールリング11の頂面111のうちでも内周寄りの幅の狭い円環状の角部116と、底面112の中でも外周寄りの突出縁部115に近い幅の狭い円環状部分の面圧が高くなるので、背圧室19の外周側部分が、旋回スクロール6の端板部6aと、それを支持するミドルハウジング13の表面との間で密封される。
【0039】
このように、背圧室19(溝6e)の中でアウタシールリング11の断面形状が僅かに傾斜することによって、円環状に面圧の高くなる部分が生じるが、この作用は、断面形状が僅かに傾斜(移動)することによって底面112の内周寄りの部分が溝6eの底面191から僅かに浮き上がって、その隙間に高圧の流体が侵入し、アウタシールリング11の底面112を内周寄りの部分において押し上げるようにして、アウタシールリング11の断面形状の傾斜角度を大きくするように作用することによって一層強められる。従って、背圧室19と吸入室14との間の差圧が大きくなるほどアウタシールリング11のシール効果が高くなる。
【0040】
インナシールリング12は図2においてアウタシールリング11と対称的に現れるが、背圧室19(円環状の溝6e)内に装着されたインナシールリング12も、その断面形状が背圧室19内で僅かに傾斜(移動)することによって、背圧室19の内周側部分を旋回スクロール6の端板部6aとミドルハウジング13の表面との間で密封する。即ち、背圧室19内へ装着される前の無荷重状態においてインナシールリング12の頂面121と底面122は並行で、内周面123がテーパー面となっていると共に、外周面124は円筒面となっているが、インナシールリング12の最小径である底面122の内周径φd2が、円環状の溝6eの内周面193の内周径φD2よりも小さくなっている。
【0041】
従って、インナシールリング12を若干拡径させて円環状の溝6e内へ嵌め込むと、インナシールリング12の断面形状が溝6e内で僅かに傾斜(移動)することにより、底面122の内周側に円環状に形成されて内側に向かうエッジ状の突出縁部125が、溝6eの底面191と円筒形の内周面193が交わる円環状の内周隅部195に強く押し付けられて、円環状に幅が狭くて面圧の高い部分が生じる(図33参照)。また、インナシールリング12の頂面121における外周寄りの円環状の角部126も、ミドルハウジング13の表面に強く押し付けられることによって、面圧が高くなる幅の狭い円環状の領域を形成する。この作用が背圧室19内と吸入室14内の流体圧力の差によって強められることも、アウタシールリング11の場合と同様である。
【0042】
第1実施例のスクロール型圧縮機はこのような構造を有するから、旋回スクロール6が公転をする運転状態においては、複数個の三日月形の作動室9内で圧縮される冷媒の圧力と吸入室14内の圧力との差圧によって、旋回スクロール6の端板部6aには図1において上方向にスラスト荷重が作用する。圧縮反力に基づくこのスラスト荷重によって、端板部6aはミドルハウジング13の面に強く押し付けられて、旋回スクロール6の公転力に対して大きな摩擦力を発生するところであるが、背圧室19内へ圧力導入孔6dを介して作動室9から所定の高圧まで加圧された流体が導かれているために、背圧室19内の圧力と吸入室14内の圧力との差圧によって、上向きのスラスト荷重と同じ大きさの下向きのスラスト荷重を発生させることができるので、方向が反対の2つのスラスト荷重が相殺することによって、端板部6aとミドルハウジング13との間の接触力は、背圧室19の圧力と吸入室14の圧力との差圧により、例えば、シールリング11及び12に軸線方向に作用する荷重だけになる。
【0043】
背圧室19内の流体圧力によって、作動室9内で圧縮される冷媒の圧力に対抗するスラスト力を発生させることまでは前述の従来技術においても行われているところであるが、第1実施例のスクロール型圧縮機においては、特別の断面形状を有する2つのシールリング11及び12を使用することにより、シールリング11,12の断面形状が背圧室19内で僅かに傾斜(移動)することによって、円環状に面圧が大きくなる部分を形成させて、高いシール効果を発揮させているので、背圧室19から高圧の流体が漏れ出るのを確実に防止することができ、スクロール型圧縮機の効率が高くなる。
【0044】
図3に本発明の第2実施例の要部を示す。第2実施例から第12実施例までの各実施例のスクロール型圧縮機については要部の構成と作用効果のみを説明し、特徴のない全体構成等については特に説明をしないが、それらの各実施例の全体構成等は、例えば、先に図1を参照して説明した第1実施例における対応部分と同様なものであってもよい。
【0045】
第2実施例におけるアウタシールリング11は、背圧室19内へ装着される前の無荷重状態において、その外周面113の一部だけにテーパー面が形成されていて、他の大部分が円筒面となっている。従って、円環状の突出縁部115を含むテーパー状の部分が、半径方向の外方に向かう円環状の突条117となっている。もっとも、図2に示す第1実施例の場合も、全体がテーパー面である外周面113によって円環状の突条117が形成されていると見ることができる。なお、第2実施例の場合は、円筒形の内周面114の一部にもテーパー面118を形成している。アウタシールリング11のその他の構成や、その作用効果は第1実施例の場合と同様である。
【0046】
第2実施例においても、アウタシールリング11とは別体のものとしてインナシールリング12が設けられる。第2実施例のインナシールリング12における内周面123の下部の一部はテーパー面となっていて、それによって半径方向内方に向かう円環状の突条127が形成されている。突条127の先端は円環状の突出縁部125となっている。また、外周面124の下部の一部にもテーパー面128が形成されている。第2実施例におけるインナシールリング12の作用効果もまた第1実施例のそれと同じである。
【0047】
図4に本発明の第3実施例の要部を示す。第1実施例や第2実施例と違って、第3実施例におけるアウタシールリング11の外周面113にはテーパー面を設けない。背圧室19内へ装着される前の無荷重状態における外周面113の形状は大部分が円筒形であって、その下部の底面112に近い部分だけが、半径方向外方に向かって突出する円環状の突条117となっている。円環状の突条117の断面形状は正方形或いは長方形である。従って、第2実施例のような鋭く尖った突出縁部115は形成されないが、断面形状が僅かに傾斜したときに、小さな正方形断面等を有する円環状の突条117の2つの角部119及び120が、相手方の円環状の溝6eの底面191及び外周面192と接触して、そこに面圧が高くなる幅の狭い円環状の接触領域を形成するので、それらの角部119,120が突出縁部115と同様な作用をする。従って、第3実施例のアウタシールリング11は、実質的に第1実施例の場合のそれと同様な効果を奏する。
【0048】
第3実施例のインナシールリング12においてもテーパー面は設けられず、アウタシールリング11と同様に、小さな正方形或いは長方形の断面形状を有する円環状の突条127が、半径方向の内方に向かって突出するように設けられる。それによって、インナシールリング12の円環状の突条127にも、角部129及び130が形成され、インナシールリング12の断面形状が僅かに傾斜したときに、円環状の溝6eの底面191及び内周面193との間に面圧が高くなる円環状の接触領域を形成する。また、この場合も第1実施例におけるインナシールリング12と実質的に同様な作用効果を奏するので、アウタシールリング11と協働して、前述の各実施例の場合と同様に背圧室19から流体が漏洩するのを防止して、スクロール型圧縮機の効率を改善することができる。
【0049】
図5に本発明の第4実施例の要部を示す。第4実施例の特徴は背圧室19内へ装着される前の無荷重状態における断面形状が長方形(正方形であってもよい)である2つのシールリング11及び12を使用したことと、それらのシールリング11,12の間に形成される隙間の中でも背圧室19(円環状の溝6e)の底面191に近い位置に、ゴム或いはコイルスプリング等からなる円環状の弾性体20を装着したことである。なお、この場合も、背圧室19内へ装着される前の無荷重状態におけるアウタシールリング11の外周径φd1は円環状の溝6eの外周径φD1よりも大きくすると共に、インナシールリング12の内周径φd2は円環状の溝6eの内周径φD2よりも小さくする。
【0050】
第4実施例においては、2つのシールリング11及び12に前述の各実施例のような円環状の突条117或いは127を設けないが、それらの間に装着された円環状の弾性体20がシールリング11,12の下部を矢印のように側方へ押圧するので、それらは前述の各実施例の場合とは反対方向に傾斜する。それによって、例えば、アウタシールリング11の角部119は円環状の溝6eの外周面192に強く押し付けられて、そこに面圧が高くなる幅の狭い円環状の接触領域を形成する。また、頂面111においては、外周寄りの角部116aがミドルハウジング13の表面に押し付けられて、そこに面圧が高くなる幅の狭い円環状の接触領域を形成する。更に、アウタシールリング11の底面112における内周寄りの角部119aが溝6eの底面191と接触する場合には、そこにも面圧が高くなる幅の狭い円環状の接触領域が形成される。
【0051】
このようにして、第4実施例のアウタシールリング11も、第1実施例のそれと同様な高いシール効果をもたらす。第4実施例におけるインナシールリング12については、アウタシールリング11の説明から明らかなように、角部129及び126aや、場合によっては角部129aも加わって、面圧の高くなる幅の狭い円環状の接触領域を形成し、それによって高いシール効果をもたらすことができる。なお、第4実施例において、長方形断面のシールリング11,12に替えて前述の各実施例におけるシールリング11,12等を使用しても、概ね同様な作用効果が得られることは言うまでもない。
【0052】
図6に本発明の第5実施例の要部を示す。第1実施例から第4実施例までは、2つのシールリング11及び12が独立している場合について述べたが、第5実施例から第12実施例においては、2つのシールリング11及び12に相当するものが相互に共通の連結部分によって連結されて、一体化された単一のシールリングを構成している。第5実施例の場合は、一体化されたシールリング21が、第1実施例におけるアウタシールリング11に似た断面形状を有する円環状のアウタシールリング部211と、同じく、インナシールリング12に似た断面形状を有する円環状のインナシールリング部212と、それらを連結する円環状の連結部213から構成されている。円環状の溝6eとシールリング21との寸法関係は第1実施例の場合と同様であり、背圧室19(円環状の溝6e)内へ高圧流体を導入する手段は、例えば、図1に示されたような圧力導入孔6dによる。
【0053】
第5実施例のシールリング21は全体がコの字形になっていて、連結部213の一部が相手方のミドルハウジング13の表面に接触することにより、連結部213がシール効果をもたらすこと、及び、アウタシールリング部211とインナシールリング部212が連結部213によって連結されて単一のシールリングとなっているために、第5実施例は部品点数が少なくなって組み付けが容易になるという利点を有するが、それ以外の点においては、第1実施例の場合と同様な作用効果を奏する。しかしながら、第5実施例のシールリング部211,212は図2に示す角部116及び126を有しないので、シールリング部211,212と連結部213との接続部分の上面116a,126aが、ミドルハウジング13の表面に強く押し付けられて面圧が高くなる幅の狭い円環状の接触領域を形成する。
【0054】
図7に本発明の第6実施例の要部を示す。前述の第5実施例が第1実施例に対応しているのと同様に、第6実施例は図3に示された前述の第2実施例に対応している。第6実施例の構成と作用は、前述の第5実施例と第2実施例の説明を参照しながら図7を見れば明らかであるから、ここでは詳細な説明を省略する。第6実施例は実質的に第1実施例と同様な効果を奏する。
【0055】
図8に本発明の第7実施例の要部を示す。前述の第5実施例が第1実施例に対応しているのと同様に、第7実施例は図4に示された前述の第3実施例に対応している。第7実施例の構成と作用は、前述の第5実施例と第3実施例の説明を参照しながら図8を見れば明らかであるから、ここでは詳細な説明を省略する。第7実施例は実質的に第1実施例と同様な効果を奏する。
【0056】
図9に本発明の第8実施例の要部を示す。前述の第5実施例が第1実施例に対応しているのと同様に、第8実施例は図5に示された前述の第4実施例に対応している。第8実施例の構成と作用は、前述の第5実施例と第4実施例の説明を参照しながら図9を見れば明らかであるから、ここでは詳細な説明を省略する。第8実施例は実質的に第1実施例と同様な効果を奏する。
【0057】
図10に本発明の第9実施例の要部を示す。第9実施例においては、第5実施例から第8実施例までのシールリング21と同様に、第1実施例等における2つのシールリング11及び12に相当するものが相互に共通の連結部分によって連結された形のシールリング22を使用する。しかしながら、シールリング22がH形の断面形状を有することから明らかなように、シールリング22のアウタシールリング部221とインナシールリング部222とを連結している連結部223が直接にミドルハウジング13の表面に接触することはないので、連結部223は実質的なシール作用をしない。
【0058】
シールリング22の連結部223には1個或いは複数個の連通孔224が設けられていて、環状の溝6eの内部に形成される上部の空間225と下部の空間226とを連通させている。円環状の溝6eとシールリング22との寸法関係は第1実施例の場合と同様であり、背圧室19(空間225及び226)内へ高圧流体を導入するための手段は、例えば、図1に示された圧力導入孔6dのようなものでよい。下部の空間226内へ導入された高圧流体の一部は、連結部223の連通孔224を通過して上部の空間225内へも回り込む。それによって、第9実施例におけるシールリング22のアウタシールリング部221とインナシールリング部222は、第1実施例における2つのシールリング11及び12と実質的に同じ作用をすることができる。
【0059】
第5実施例(図6)に対する第9実施例の特徴は、連結部223が、対向するミドルハウジング13の表面に接触しないために、摺動面積が少なくなって機械損失を低減させ得る点にある。また、第1実施例(図2)に対する特徴は、アウタシールリング部221とインナシールリング部222が連結部223によって連結されているために、それだけ部品点数が少なくなって、シールリングの組み付けが容易になることである。
【0060】
図11に本発明の第10実施例の要部を示す。前述の第9実施例が図2に示された第1実施例に対応しているのと同様に、第10実施例は図3に示された前述の第2実施例に対応している。第10実施例の構成と作用は、前述の第9実施例と第2実施例の説明を参照しながら図11を見れば明らかであるから、ここでは詳細な説明を省略する。第10実施例は実質的に第9実施例や第1実施例と同様な効果を奏する。
【0061】
図12に本発明の第11実施例の要部を示す。前述の第9実施例が図2に示された第1実施例に対応しているのと同様に、第11実施例は図4に示された前述の第3実施例に対応している。第11実施例の構成と作用は、前述の第9実施例と第3実施例の説明を参照しながら図12を見れば明らかであるから、ここでは詳細な説明を省略する。第11実施例は実質的に第9実施例や第1実施例と同様な効果を奏する。
【0062】
図13に本発明の第12実施例の要部を示す。前述の第9実施例が図2に示された第1実施例に対応しているのと同様に、第12実施例は図5に示された前述の第4実施例に対応している。第12実施例の構成と作用は、前述の第9実施例と第4実施例の説明を参照しながら図13を見れば明らかであるから、ここでは詳細な説明を省略する。第12実施例は実質的に第9実施例や第1実施例と同様な効果を奏する。
【0063】
次に、図14に本発明の第13実施例としてのスクロール型圧縮機を示す。図1及び図2に示す第1実施例のスクロール型圧縮機と共通の部分については同じ参照符号を付すことによって重複する説明を省略する。第13実施例の圧縮機の特徴は、第1実施例の圧縮機において旋回スクロール6の端板部6aに形成された環状の溝6eによって構成されている背圧室19を、ミドルハウジング13の側に形成された環状の溝13aによって構成している点にある。そのために、旋回スクロール6の端板部6aにおける対応部分は平面となっているが、第13実施例においても環状の溝13aの中に2つのシールリング11及び12が装着されること等は第1実施例の場合と同じであり、第13実施例の作用効果も第1実施例のそれと同じである。
【0064】
図14に示す第13実施例が図1及び図2に示す第1実施例と均等であることから明らかなように、図3に示す第2実施例から図13に示す第12実施例までの各実施例についても、それらの背圧室19を、ミドルハウジング13の側に形成した環状の溝13aによって構成することが可能であり、それによって同じ作用効果が得られることは言うまでもない。
【0065】
図15に本発明の第14実施例としてのスクロール型圧縮機を示す。前述の第1実施例から第13実施例までのスクロール型圧縮機においては、それらの実施例の要部であるアウタシールリング11及びインナシールリング12等が、背圧室19内で弾性変形等によって少なくとも断面形状が僅かに傾斜することができることを必要としたが、これから説明する第14実施例以下の各実施例におけるアウタシールリング及びインナシールリングは、背圧室19の中でそれらの断面形状が傾斜することを必要としていない点に相違がある。もっとも、それらが全く弾性変形をしないという訳ではなく、材料によって僅かでも弾性変形をする場合には前述の各実施例と同様な効果が得られるが、第14実施例以下の各実施例においては別の付加的なシール手段を設けているので、シールリングの弾性変形による断面形状の傾斜を必須の要件とはしていないということである。
【0066】
第14実施例以下の各実施例におけるアウタシールリング及びインナシールリングの材料としては、摩擦係数が小さくて耐摩耗性が高い固体状のカーボン、金属或いはセラミックス等の無機材料、更に合成樹脂や、それらの粉末或いは繊維を適当なバインダーによって固めたもの等を使用することができる。具体的な材料の例として、80%以上がカーボンからなる固形材料であって、それに金属アンチモンが含浸されたものは優れた自己潤滑性を示すので特に好ましい。この材料のヤング率は10乃至25GPa程度、硬さはショアー硬度で50乃至100程度と非常に硬いので殆ど弾性変形をしない。この他にも、ポリエーテルエ−テルケトン(PEEK)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、或いは各種のフッ素樹脂等の合成樹脂材料を使用することもできる。
【0067】
図15に示す第14実施例のスクロール型圧縮機の基本的な構成及び作動は、図1に示す第1実施例のそれと同じである。従って、第1実施例と同じ構成部分には同じ参照符号を付すことによって重複する詳細な説明を省略する。第14実施例以下の各実施例の構成上の特徴は、旋回スクロール6の端板部6a或いはミドルハウジング13に設けられた背圧室19に、先に例示したような、摩擦係数が小さくて耐摩耗性が高い材料からなるアウタシールリング31及びインナシールリング32を設けたことと、それらに対してアウタOリング33及びインナOリング34のような弾性のあるシール部材を付設した点にある。
【0068】
第14実施例の要部を図16に拡大して示す。第14実施例において使用されるアウタシールリング31及びインナシールリング32の断面形状はいずれも長方形である。言うまでもなくこの場合の「長方形」には正方形が含まれる。前述のように、これらは摩擦係数が低くて耐摩耗性が高いカーボン等からなる実質的に弾性変形をしない部材である。従って、背圧室19へ供給される冷媒のような流体がアウタシールリング31及びインナシールリング32の底面312及び322に作用すると、アウタシールリング31及びインナシールリング32が押し上げられる(移動する)ので、それらの頂面311及び321はミドルハウジング13の表面に強く押し付けられた状態で接触する(図34参照)。それらの接触面の間には旋回スクロール6の公転によって僅かに摩擦摺動が生じるが、接触面における面圧が高いため背圧室19内の流体はシールされて外部へ漏れ出ることが阻止される。
【0069】
しかしながら、アウタシールリング31及びインナシールリング32が実質的に弾性変形をしないので、それらの側面から流体が漏洩する可能性がある。そこで、第14実施例においては、背圧室19を形成する円環状の溝6eの外周面192に環状にアウタOリング溝6fが形成され、その中に耐油ゴム製のアウタOリング33を装着して、アウタシールリング31の外周面313に接触させている。また、溝6eの内周面193には環状にインナOリング溝6gが形成され、その中に耐油ゴム製のインナOリング34を装着してインナシールリング32の内周面323に接触させている。アウタOリング33及びインナOリング34を設けたことによって、アウタシールリング31及びインナシールリング32の側面もシールされるので、背圧室19内の加圧された流体が外部へ漏れ出ることが阻止されて、背圧室19が旋回スクロール6に作用するスラスト荷重を効率良く支持することができる。
【0070】
第14実施例の1つの変形例に相当する本発明の第15実施例の要部を図17に示す。この場合はアウタシールリング31の外周面に環状のアウタOリング溝31aが形成されて、それによってアウタOリング33が支持される。また、インナシールリング32の内周面に環状のインナOリング溝32aが形成されて、それによってインナOリング34が支持される。この実施例が第14実施例と同様な効果を奏することは説明の必要がない。
【0071】
第14実施例の他の変形例に相当する本発明の第16実施例の要部を図18に示す。この場合はアウタシールリング31の外周面の下端縁部に環状の切り欠きとしてのアウタOリング溝31bが形成されて、それによってアウタOリング33が支持される。また、インナシールリング32の内周面の下端縁部に環状のインナOリング溝32bが形成されて、それによってインナOリング34が支持される。この実施例も第14実施例と同様な効果を奏することは説明の必要がないものと思われる。
【0072】
第14実施例のいま1つの変形例に相当する本発明の第17実施例の要部を図19に示す。この場合はアウタシールリング31の外周面の下端縁部にテーパー状の切り欠きとしての環状のアウタOリング支持部31cが形成されて、それに対向する円環状の溝6eの外周隅部194との間でアウタOリング33を支持する。また、インナシールリング32の内周面の下端縁部にテーパー状の切り欠きとしての環状のインナOリング支持部32cが形成されて、それに対向する円環状の溝6eの内周隅部194との間でインナOリング34を支持する。この実施例は前述の第16実施例と同様な、従って第14実施例と同様な効果を奏する。
【0073】
図20に本発明の第18実施例の要部を示す。図16に示した前述の第14実施例の要部と比較すると、両者の間に多くの共通点があるが、第14実施例に対する第18実施例の特徴は、アウタシールリング31の外周面313の上端に、外方に向かって突出する円環状の鍔部314を形成したことと、同様に、インナシールリング32の上端に、内方に向かって突出する円環状の鍔部324を形成した点にある。
【0074】
これらの円環状の鍔部314及び324は、アウタシールリング31及びインナシールリング32の頂面311及び321の面積を増大させるので、これらのシールリングのシール性能を向上させると共に、シール面圧を低下させるので、シール面の摩耗を低減して信頼性を高めることができ、摺動摩擦による機械損失をも低減させることができる。
【0075】
更に、これらの円環状の鍔部314及び324は、背圧室19を構成する円環状の溝6eの中へアウタシールリング31及びインナシールリング32が完全に落ち込むのを阻止し、背圧室19の底面191とアウタシールリング31及びインナシールリング32の底面312及び322との間に所定の大きさの隙間を形成させる。従って、背圧室19内へ供給される流体の圧力が確実にアウタシールリング31及びインナシールリング32の底面312及び322に作用し、それらを押し上げてミドルハウジング13の表面との接触位置へ移動させる(図35参照)ので、アウタシールリング31及びインナシールリング32のシール作用が十分に発揮される。
【0076】
このように、シールリングの端部における摺動面の面積を増大させて面圧を低減させるために、或いはアウタシールリング31又はインナシールリング32が背圧室19の中へ完全に落ち込むのを阻止するために設けられる鍔部は、第18実施例に限らず他の実施例においても設けることができる。
【0077】
図21に本発明の第19実施例の要部を示す。第19実施例の特徴は、前述の第9実施例(図10)等と同様に、第14実施例(図16)における2つのシールリング31及び32に相当するシールリング部431及び432が共通の連結部分433によって一体的に連結された形のシールリング41を使用する。シールリング41の連結部433には1個或いは複数個の連通孔434が設けられていて、環状の溝6eの内部に形成される上部の空間と下部の空間を連通させて共通の背圧室19を構成している。それによって、第19実施例におけるシールリング41のアウタシールリング部431とインナシールリング部432は、第14実施例における2つのシールリング31及び32と実質的に同じ作用をすることができる。2つのシールリング部431及び432が連結部433によって一体化されているので、部品点数が少なくなると共に組み付けが容易になる。
【0078】
図22に示す第20実施例は、前述の第19実施例(図21)に第18実施例(図20)の考え方を適用したものである。即ち、第20実施例の特徴は、アウタシールリング部431の外周面の上端に外方に向かって突出する円環状の鍔部435を形成したことと、インナシールリング部432の内周面の上端に内方に向かって突出する円環状の鍔部436を形成した点にある。その効果は第18実施例と第19実施例の効果を加えたようなものになる。
【0079】
図23に本発明の第21実施例としてのスクロール型圧縮機を示す。スクロール型圧縮機としての基本的な構成と作動は、前述の第1実施例(図1)と同じである。第21実施例の特徴は、第1実施例(図1)や第14実施例(図15)等のスクロール型圧縮機においては、旋回スクロール6の端板部6aに形成された環状の溝6eによって構成されている背圧室19を、第13実施例(図14)の場合と同様に、ミドルハウジング13の側に形成された環状の溝13aによって構成している点にある。しかしながら、第21実施例の要部である背圧室19内の構成は図16に示す第14実施例と同じであるから、第21実施例は実質的に前述の第14実施例と同様な効果を奏する。従って、図20に示す第18実施例から図22に示す第20実施例等の実施例についても、第21実施例のように、ミドルハウジング13側に背圧室19を設けた変形例を考えることができる。
【0080】
図24に本発明の第22実施例の要部を示す。第22実施例は、図17に示す前述の第15実施例と比較して、アウタシールリング31及びインナシールリング32の頂面311及び321の面積が増大している点が異なる。これは、頂面311及び321に鍔部314及び324が形成されているためで、それによって図20に示す前述の第18実施例と同様な効果を奏する。その他の点では、前述の第15実施例と同様な効果を奏する。
【0081】
図25に要部を示す第23実施例は、図18に示す第16実施例と、図20に示す第18実施例とを折衷したものと見ることができる。それによって、第23実施例においては第16実施例と第18実施例の和の効果が得られる。
【0082】
また、同じような考え方から、図26に要部を示す第24実施例は、図19に示す第17実施例と、図20に示す第18実施例とを折衷したものと見ることができる。それによって、第24実施例においては第17実施例と第18実施例の和の効果が得られる。
【0083】
図27に要部を示す第25実施例は、図17に示す第15実施例と、図21に示す第19実施例の考え方とを折衷したものと見ることができる。従って、第25実施例においては第15実施例と第19実施例の和の効果が得られる。
【0084】
また、同じような考え方から、図28に要部を示す第26実施例は、図25に示す第23実施例と、図22に示す第20実施例とを折衷したものと見ることができる。従って、第26実施例においては第20実施例と第23実施例の和の効果が得られる。
【0085】
図29に要部を示す第27実施例は、図18に示す第16実施例と、図21に示す第19実施例の考え方とを折衷したものと見ることができる。従って、第27実施例においては第16実施例と第19実施例の和の効果が得られる。
【0086】
また、同じような考え方から、図30に要部を示す第28実施例は、図18に示す第16実施例と、図22に示す第20実施例とを折衷したものと見ることができる。従って、第28実施例においては第16実施例と第20実施例の和の効果が得られる。
【0087】
図31に要部を示す第29実施例は、図19に示す第17実施例と、図22に示す第20実施例の考え方とを折衷したものと見ることができる。従って、第29実施例においては第17実施例と第20実施例の和の効果が得られる。
【0088】
また、同じような考え方から、図32に要部を示す第30実施例は、図31に示す第29実施例と、図22に示す第20実施例とを折衷したものと見ることができる。従って、第30実施例においては第29実施例と第20実施例の和の効果が得られる。
【0089】
以上の説明から明らかなように、第1実施例から第30実施例までの各実施例に共通している事項として捉えることができる本発明の特徴の1つは、背圧室19を構成する溝6e或いは13aの中において、高圧の流体の圧力を受けた環状のシールリング11,12,31,32や、シールリング部211,212,221,222,431,432等が移動することによって相手方の面に押し付けられるように構成した点にあるので、この特徴を明示するために、シールリングの移動の態様を図33から図35の各図にまとめて例示する。これらの図における矢印がそれぞれのシールリングの移動を示している。ここで移動と言うのは直線的な変位のみを意味するものではなく、傾斜、即ち傾動をも含んでいる。
【0090】
図36及び図37に本発明の第31実施例を示す。図36に示す第31実施例のスクロール型圧縮機も、前述の各実施例におけるそれと同様な基本的構成を有するので、同じ構成部分には同じ参照符号を付すことによって重複する詳細な説明を省略する。第31実施例のスクロール型圧縮機の特徴は背圧室19に設けられたシールリング51の構成にある。第31実施例の特徴とするシールリング51は図37に示すような構成を有する。即ち、断面形状がH形であるシールリング51は、図10,11,12,13,21,22,27,28,29,30,31,32に示すような、断面が長方形或いはそれに近い形状のアウタシールリング部511と、やはり断面が長方形或いはそれに近い形状のインナシールリング部512と、それらを連結する連結部513が一体化されたものである。アウタシールリング部511の外径は旋回スクロール6の端板部6aに形成された円環状の溝6eの外周径に等しく、インナシールリング部512の内径は溝6eの内周径に等しくなっている。それによって、シールリング51は溝6eの中で僅かに移動することができる。
【0091】
シールリング51の連結部513によって背圧室19内の有効な空間が上下2つの部分に区画されるので、圧力導入孔6dに常時接続している下部の背圧室前室19aと、上部の吸入室14側の背圧室後室19bとを連通させるために、所定の直径を有する連通孔514が連結部513に設けられている。連通孔514の直径(或いは断面積)は、それが流体の絞り部61として冷媒のような被圧縮流体に対して有効な絞り作用する程度に小さい。アウタシールリング部511及びインナシールリング部512の頂面は、ミドルハウジング13の平坦な表面に対して摺動可能に接触するシール面515及び516となっている。
【0092】
一般に、背圧室19にアウタシールリングとインナシールリングを設けただけの場合には、起動時のように作動室9の圧力が低くて、圧力導入孔6dを介して背圧室19へ導入される冷媒(一般には流体)の圧力が低い時には、ミドルハウジング13の表面とそれに対向しているシールリングのシール面との間に垂直に作用する面圧が低くなって、背圧室19からシールリングのシール面に沿って吸入室14へ逃げる冷媒の漏れ量が多くなる。また、冷媒に異物が混入していて、その異物がシール面とミドルハウジング13の表面との間に挟まった時にも、シール面に沿って漏れ出る冷媒の量が多くなる。それによって、背圧室19の圧力上昇が不十分となって、旋回スクロール6に作用するスラスト荷重を十分に支持することができなくなるために、ミドルハウジング13の表面と旋回スクロール6の端板部6aとの間に大きい摩擦力が発生して、機械損失や摩耗が増加することがある。
【0093】
このような時でも第31実施例のスクロール型圧縮機においては、そのシールリング51が前述のような構成を有することから、シールリング51のシール面515及び516は、絞り部61となる小径の連通孔514を除いて閉じられた背圧室前室19aに作用する圧力によって、ミドルハウジング13の表面に押し付けられるので、シール面515及び516に十分な大きさの面圧が発生するために高いシール性能が得られるし、アウタシールリング部511は半径方向外方に向かって拡径して溝6eの外周面に押し付けられると共に、インナシールリング部512は半径方向内方に向かって縮径して溝6eの内周面に押し付けられるので、シールリング51の外周面及び内周面においても冷媒の漏れが防止される。
【0094】
シール面515及び516に沿って吸入室14へ漏れ出る冷媒は、その前に小径の連通孔514からなる絞り部61を通過しなければならないから、絞り部61によって背圧室前室19aと背圧室後室19bとの間に大きい圧力差を生じるので、その圧力差によってシールリング51のシール面515及び516をミドルハウジング13の表面に押し付ける力や、アウタシールリング部511を拡径させると共にインナシールリング部512を縮径させる力が大きくなって、これらがシールリング51の高いシール性能をもたらす。
【0095】
このように、第31実施例においては、シール面515及び516における冷媒の漏れ量が多い時ほど絞り部61における絞り効果が大きくなるので、漏れ量を減少させるようにシール面515及び516等の押し付け力が大きくなるという構成になっている。また、シール面515及び516における漏れ量が減少すると絞り部61を通過する冷媒の量も減少するため、絞り部61による減圧効果も少なくなって背圧室前室19aと背圧室後室19bとの間の圧力差も小さくなる。それによってシール面515及び516や溝6eの外周面及び内周面における押し付け力も小さくなるため、小径の絞り部61を有しない前述の実施例のシール機構と同様に、機械損失の少ない状態でスクロール型圧縮機を運転することができる。このようにして、背圧室19へ導入する冷媒の漏れ量が小さくて運転効率の高いスクロール型圧縮機が得られる。
【0096】
第31実施例の変形例として、図38に本発明の第32実施例の要部を示す。第31実施例を示す前述の図37と対比すれば明らかなように、第32実施例のシールリング51は第31実施例のそれと概ね同様な形状を有するが、高圧側の背圧室前室19aと低圧側の背圧室後室19bとの間を仕切る隔壁として機能する連結部513に大き目の連通孔514を形成すると共に、その連通孔514の中へ固定のピン62を挿入して、連通孔514とピン62との隙間によって絞り部61を構成している。ピン62は溝6eの底部に螺着等の方法で固定されているので、ピン62を交換して太さを変化させることにより絞り部61の断面積を容易に変更することができる。なお、ピン62及び連通孔514の断面形状は円形のほか、多角形等とすることもできる。
【0097】
第31実施例の第2の変形例として、図39に本発明の第33実施例の要部を示す。第31実施例を示す図37や、第32実施例を示す図38と対比すれば明らかなように、第33実施例のシールリング51は第31実施例や第32実施例のそれと概ね同様な形状を有するが、高圧側の背圧室前室19aと低圧側の背圧室後室19bとの間を仕切る隔壁として機能する連結部513に連通孔514を形成すると共に、その連通孔514の一方の開口を隙間を残して覆う邪魔板63を設けた点にある。
【0098】
この場合は、邪魔板63を連通孔514の入口側、即ち、背圧室前室19a内に設けた例を示しているが、邪魔板63を、連通孔514の出口側となる背圧室後室19b内に設けてもよい。邪魔板63は、例えば図示しないボルト等からなるステーを使用して溝6e内に固定することができる。その際に連結部513との間の隙間の大きさを調整することが可能になる。第33実施例における絞り部61は、邪魔板63とシールリング51との間の隙間と、それに直列な連通孔514とによって構成される。
【0099】
図40に本発明の第34実施例の要部を示す。第34実施例においては別体のアウタシールリング11とインナシールリング12が使用される。アウタシールリング11の内周面には内側に向かって突出する鍔部517が形成されていると共に、インナシールリング12の外周面には外側に向かって突出する鍔部518が形成されていて、アウタシールリング11及びインナシールリング12が溝6e内に装着された状態においては、それらの鍔部517及び518は相互に対向して、それらの間に微小な隙間64が形成される。この場合は微小な隙間64が絞り部61を構成する。また、鍔部517及び518は溝6eの内部の有効な空間を高圧側の背圧室前室19aと低圧側の背圧室後室19bに分割する隔壁として作用する。
【0100】
このように、第34実施例におけるアウタシールリング11及びインナシールリング12は基本的には別体のものであるが、製造や組み立ての便宜を図るために、鍔部517と518のそれぞれ一部を突き合わせて接続することにより、アウタシールリング11及びインナシールリング12を一体のものとして製作してもよい。この場合は、アウタシールリング11及びインナシールリング12が一体化して単一のシールリング51になると共に、第31実施例(図37参照)における連通孔514が幅の狭い円弧状のスリットに換わった場合と同じになる。
【0101】
第32実施例から第34実施例は、いずれもシールリングに関連する部分に絞り部61を形成して、背圧室後室19bに対して背圧室前室19aが高圧となるように、それらの間に必要な圧力差を与えるので、前述の第31実施例と同様な優れたシール効果と、機械損失の減少及びシール面の摩耗の防止効果を奏することができる。
【0102】
第31実施例乃至第34実施例においては、シールリングを装着してシールすべき背圧室19を旋回スクロール6の端板部6aに大きな環状の溝6eとして形成しているが、前述の第13実施例(図14)や、第21実施例(図23)と同様に、背圧室19をミドルハウジング13の側に形成された大きな環状の溝13aによって構成してもよいことは言うまでもない。この場合も前述の第31実施例乃至第34実施例と同様な効果が得られる。
【0103】
図41に本発明の第35実施例の要部を示す。第35実施例のスクロール型圧縮機も、前述の各実施例、例えば第31実施例と同様に図36に示すような全体構成を有するので、全体構成を示す図面は省略する。第35実施例のスクロール型圧縮機の特徴は、前述の各実施例のように旋回スクロール6の端板部6aに形成された大径の溝6e、或いはミドルハウジング13に形成された大径の溝13aを背圧室19としてそれらの中に大径のシールリングを設けるのではなく、図41に例示したように、旋回スクロール6の端板部6aに多数の小径の窪み6hを形成すると共に、それらの窪み6hの中に断面形がH形の小径のシール材25をそれぞれ摺動可能に挿入した点にある。
【0104】
それぞれのシール材25はH形の断面形を有し、上下に小さな背圧室前室と背圧室後室を区画形成する隔壁251が設けられていると共に、その隔壁251に小径の連通孔252が形成されているので、この連通孔252が絞り部61となる。シール材25の材質は前述の各実施例におけるシールリングと同様なものであってもよく、その外径は窪み6hの内径と同じである。図示していないが、シール材25の一端側の背圧室前室は圧力導入孔6dのような通路によって作動室9或いは吐出室15(いずれも図1参照)等の高圧側に連通している。シール材25は窪み6hに対して1個ずつでよく、内外二重に設ける必要はない。
【0105】
第35実施例においては、多数の小さな窪み6hの中へ供給される高圧の流体によって、旋回スクロール6に作用するスラスト荷重に対抗する小さな力をそれぞれ発生するので、それらの小さな力の合力によってスラスト荷重を支持することができる。その他の作用効果等は前述の各実施例の場合と同様である。また、窪み6hの代わりに、ミドルハウジング13の側に多数の窪みを設けて、それらにシール材25を挿入しても同様な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示す縦断面図である。
【図2】第1実施例の要部を拡大して示す断面図である。
【図3】第2実施例の要部を拡大して示す断面図である。
【図4】第3実施例の要部を拡大して示す断面図である。
【図5】第4実施例の要部を拡大して示す断面図である。
【図6】第5実施例の要部を拡大して示す断面図である。
【図7】第6実施例の要部を拡大して示す断面図である。
【図8】第7実施例の要部を拡大して示す断面図である。
【図9】第8実施例の要部を拡大して示す断面図である。
【図10】第9実施例の要部を拡大して示す断面図である。
【図11】第10実施例の要部を拡大して示す断面図である。
【図12】第11実施例の要部を拡大して示す断面図である。
【図13】第12実施例の要部を拡大して示す断面図である。
【図14】本発明の第13実施例を示す縦断面図である。
【図15】本発明の第14実施例を示す縦断面図である。
【図16】第14実施例の要部を拡大して示す断面図である。
【図17】第15実施例の要部を拡大して示す断面図である。
【図18】第16実施例の要部を拡大して示す断面図である。
【図19】第17実施例の要部を拡大して示す断面図である。
【図20】第18実施例の要部を拡大して示す断面図である。
【図21】第19実施例の要部を拡大して示す断面図である。
【図22】第20実施例の要部を拡大して示す断面図である。
【図23】本発明の第21実施例を示す縦断面図である。
【図24】第22実施例の要部を拡大して示す断面図である。
【図25】第23実施例の要部を拡大して示す断面図である。
【図26】第24実施例の要部を拡大して示す断面図である。
【図27】第25実施例の要部を拡大して示す断面図である。
【図28】第26実施例の要部を拡大して示す断面図である。
【図29】第27実施例の要部を拡大して示す断面図である。
【図30】第28実施例の要部を拡大して示す断面図である。
【図31】第29実施例の要部を拡大して示す断面図である。
【図32】第30実施例の要部を拡大して示す断面図である。
【図33】第1実施例に対応するシールリングの移動を示す要部の断面図である。
【図34】第14実施例に対応するシールリングの移動を示す要部の断面図である。
【図35】第18実施例に対応するシールリングの移動を示す要部の断面図である。
【図36】本発明の第31実施例を示す縦断面図である。
【図37】第31実施例の要部を拡大して示す断面図である。
【図38】第32実施例の要部を拡大して示す断面図である。
【図39】第33実施例の要部を拡大して示す断面図である。
【図40】第34実施例の要部を拡大して示す断面図である。
【図41】第35実施例の要部を拡大して示す分解斜視図である。
【符号の説明】
1…シャフト
1a…クランク部
2…モータ
6…旋回スクロール
6a…端板部
6b…渦巻き形の羽根部
6d…圧力導入孔
6e…環状の溝6e
6h…窪み
8…固定スクロール
8a…端板部
8b…渦巻き形の羽根部
9…作動室
11,31…アウタシールリング
12,32…インナシールリング
13…ミドルハウジング
13a…環状の溝
14…吸入室
15…吐出室
19…背圧室
25…シール材
33,34…Oリング
51…シールリング
61…絞り部
251…隔壁
252…連通孔
314,324…鍔部
Claims (24)
- ハウジングと、前記ハウジングによって軸支されていると共に一部に偏心したクランク部を有するシャフトと、渦巻き形の羽根部及び端板部を有し前記シャフトのクランク部によって駆動されることにより公転運動をする旋回スクロールと、該旋回スクロールと噛み合う渦巻き形の羽根部及び端板部を有すると共に前記ハウジングに固定された固定スクロールとを備えていて、前記旋回スクロールが前記シャフトのクランク部によって駆動されて公転運動をする時に、前記旋回スクロールの羽根部と前記固定スクロールの羽根部との間に形成される複数個の作動室が外周部から中心部に向かって移動する間に、該作動室の容積が連続的に縮小することにより該作動室内において流体を圧縮するスクロール型圧縮機であって、更に、
前記作動室内の流体の圧縮圧力が上昇するのに伴って前記旋回スクロールに作用する前記シャフトの軸線方向のスラスト荷重を支持するために、前記旋回スクロールの背後に前記ハウジングの一部として設けられたミドルハウジングと、
前記旋回スクロールの端板部の背面と、それに対向してそれを支持している前記ミドルハウジングの表面とのいずれか一方に少なくとも一条形成されて背圧室を構成する環状の溝と、
前記環状の溝内へ高圧の流体を導入するための通路と、
前記環状の溝の中に移動可能に組み付けられた少なくとも1個の環状のシールリングとを備えていて、
前記シールリングを前記環状の溝の外周面或いは内周面に向かって付勢する弾性体が前記シールリングの背後に配置されていることを特徴とするスクロール型圧縮機。 - ハウジングと、前記ハウジングによって軸支されていると共に一部に偏心したクランク部を有するシャフトと、渦巻き形の羽根部及び端板部を有し前記シャフトのクランク部によって駆動されることにより公転運動をする旋回スクロールと、該旋回スクロールと噛み合う渦巻き形の羽根部及び端板部を有すると共に前記ハウジングに固定された固定スクロールとを備えていて、前記旋回スクロールが前記シャフトのクランク部によって駆動されて公転運動をする時に、前記旋回スクロールの羽根部と前記固定スクロールの羽根部との間に形成される複数個の作動室が外周部から中心部に向かって移動する間に、該作動室の容積が連続的に縮小することにより該作動室内において流体を圧縮するスクロール型圧縮機であって、更に、
前記作動室内の流体の圧縮圧力が上昇するのに伴って前記旋回スクロールに作用する前記シャフトの軸線方向のスラスト荷重を支持するために、前記旋回スクロールの背後に前記ハウジングの一部として設けられたミドルハウジングと、
前記旋回スクロールの端板部の背面と、それに対向してそれを支持している前記ミドルハウジングの表面とのいずれか一方に少なくとも一条形成されて背圧室を構成する環状の溝と、
前記環状の溝内へ高圧の流体を導入するための通路と、
前記環状の溝の中に移動可能に組み付けられた少なくとも1個の環状のシールリングとを備えていて、
前記シールリングが、前記環状の溝の外周面に沿って装着された第1のシールリングと、前記環状の溝の内周面に沿って装着された第2のシールリングとから構成されていると共に、いずれも耐摩耗性と耐油性を有し弾性のあるゴム、合成樹脂或いは金属のような材料から製作されており、前記第1のシールリングは、前記環状の溝の外周面のうちで溝の底面に近い部分に対向する部分が、前記背圧室内へ装着される前の無荷重状態において前記環状の溝の外周径よりも外径が大きくなる環状の突条を形成していると共に、前記第2のシールリングは、前記環状の溝の内周面のうちで溝の底面に近い部分に対向する部分が、前記無荷重状態において前記環状の溝の内周径よりも内径が小さくなる環状の突条を形成していることを特徴とするスクロール型圧縮機。 - ハウジングと、前記ハウジングによって軸支されていると共に一部に偏心したクランク部を有するシャフトと、渦巻き形の羽根部及び端板部を有し前記シャフ トのクランク部によって駆動されることにより公転運動をする旋回スクロールと、該旋回スクロールと噛み合う渦巻き形の羽根部及び端板部を有すると共に前記ハウジングに固定された固定スクロールとを備えていて、前記旋回スクロールが前記シャフトのクランク部によって駆動されて公転運動をする時に、前記旋回スクロールの羽根部と前記固定スクロールの羽根部との間に形成される複数個の作動室が外周部から中心部に向かって移動する間に、該作動室の容積が連続的に縮小することにより該作動室内において流体を圧縮するスクロール型圧縮機であって、更に、
前記作動室内の流体の圧縮圧力が上昇するのに伴って前記旋回スクロールに作用する前記シャフトの軸線方向のスラスト荷重を支持するために、前記旋回スクロールの背後に前記ハウジングの一部として設けられたミドルハウジングと、
前記旋回スクロールの端板部の背面と、それに対向してそれを支持している前記ミドルハウジングの表面とのいずれか一方に少なくとも一条形成されて背圧室を構成する環状の溝と、
前記環状の溝内へ高圧の流体を導入するための通路と、
前記環状の溝の中に移動可能に組み付けられた少なくとも1個の環状のシールリングとを備えていて、
前記シールリングが、前記環状の溝の外周面に沿って装着された断面長方形の第1のシールリングと、前記環状の溝の内周面に沿って装着された断面長方形の第2のシールリングとから構成されていると共に、いずれも耐摩耗性と耐油性を有し弾性のあるゴム、合成樹脂或いは金属のような材料から製作されており、前記第1のシールリングは、前記環状の溝の外周面に対向する部分が、前記背圧室内へ装着される前の無荷重状態において前記環状の溝の外周径よりも外径が大きくなると共に、前記第2のシールリングは、前記環状の溝の内周面に対向する部分が、前記無荷重状態において前記環状の溝の内周径よりも内径が小さくなるように設定されていることを特徴とするスクロール型圧縮機。 - ハウジングと、前記ハウジングによって軸支されていると共に一部に偏心したクランク部を有するシャフトと、渦巻き形の羽根部及び端板部を有し前記シャフトのクランク部によって駆動されることにより公転運動をする旋回スクロールと、該旋回スクロールと噛み合う渦巻き形の羽根部及び端板部を有すると共に前記ハウジングに固定された固定スクロールとを備えていて、前記旋回スクロールが前記シャフトのクランク部によって駆動されて公転運動をする時に、前記旋回スクロールの羽根部と前記固定スクロールの羽根部との間に形成される複数個の作動室が外周部から中心部に向かって移動する間に、該作動室の容積が連続的に縮小することにより該作動室内において流体を圧縮するスクロール型圧縮機であって、更に、
前記作動室内の流体の圧縮圧力が上昇するのに伴って前記旋回スクロールに作用する前記シャフトの軸線方向のスラスト荷重を支持するために、前記旋回スクロールの背後に前記ハウジングの一部として設けられたミドルハウジングと、
前記旋回スクロールの端板部の背面と、それに対向してそれを支持している前記ミドルハウジングの表面とのいずれか一方に少なくとも一条形成されて背圧室を構成する環状の溝と、
前記環状の溝内へ高圧の流体を導入するための通路と、
前記環状の溝の中に移動可能に組み付けられた少なくとも1個の環状のシールリングとを備えていて、
前記シールリングが前記環状の溝の外周面に沿って装着される第1のシールリング部と、前記環状の溝の内周面に沿って装着される第2のシールリング部と、前記第1のシールリング部及び前記第2のシールリング部を一体的に接続する連結部とから構成されていると共に、それらの各部分が耐摩耗性と耐油性を有し弾性のあるゴム、合成樹脂或いは金属のような材料から製作されており、前記第1のシールリング部は、前記環状の溝の外周面のうちで溝の底面に近い部分に対向する部分が、前記背圧室内へ装着される前の無荷重状態において前記環状の溝の外周径よりも外径が大きくなる環状の突条を形成していると共に、前記第2のシールリング部は、前記環状の溝の内周面のうちで溝の底面に近い部分に対向する部分が、前記無荷重状態において前記環状の溝の内周径よりも内径が小さくなる環状の突条を形成していることを特徴とするスクロール型圧縮機。 - ハウジングと、前記ハウジングによって軸支されていると共に一部に偏心したクランク部を有するシャフトと、渦巻き形の羽根部及び端板部を有し前記シャフトのクランク部によって駆動されることにより公転運動をする旋回スクロールと、該旋回スクロールと噛み合う渦巻き形の羽根部及び端板部を有すると共に前記ハウジングに固定された固定スクロールとを備えていて、前記旋回スクロールが前記シャフトのクランク部によって駆動されて公転運動をする時に、前記旋回スクロールの羽根部と前記固定スクロールの羽根部との間に形成される複数個の作動室が外周部から中心部に向かって移動する間に、該作動室の容積が連続的に縮小することにより該作動室内において流体を圧縮するスクロール型圧縮機であって、更に、
前記作動室内の流体の圧縮圧力が上昇するのに伴って前記旋回スクロールに作用する前記シャフトの軸線方向のスラスト荷重を支持するために、前記旋回スクロールの背後に前記ハウジングの一部として設けられたミドルハウジングと、
前記旋回スクロールの端板部の背面と、それに対向してそれを支持している前記ミドルハウジングの表面とのいずれか一方に少なくとも一条形成されて背圧室を構成する環状の溝と、
前記環状の溝内へ高圧の流体を導入するための通路と、
前記環状の溝の中に移動可能に組み付けられた少なくとも1個の環状のシールリングとを備えていて、
前記シールリングが前記環状の溝の外周面に沿って装着される断面長方形の第1のシールリング部と、前記環状の溝の内周面に沿って装着される断面長方形の第2のシールリング部と、前記第1のシールリング部及び前記第2のシールリング部を一体的に接続する連結部とから構成されていると共に、それらの各部分が耐摩耗性と耐油性を有し弾性のあるゴム、合成樹脂或いは金属のような材料から製作されており、前記第1のシールリング部は、前記環状の溝の外周面に対向する部分が、前記背圧室内へ装着される前の無荷重状態において前記環状の溝の外周径よりも外径が大きくなると共に、前記第2のシールリング部は、前記環状の溝の内周面に対向する部分が、前記無荷重状態において前記環状の溝の内周径よりも内径が小さくなるように設定されていることを特徴とするスクロール型圧縮機。 - 請求項1ないし5のいずれかにおいて、前記環状のシールリングが、前記環状の溝の中でその断面形状が僅かに傾斜することができるように装着されていることを特徴とするスクロール型圧縮機。
- 請求項2において、前記第1のシールリングの外周面と、前記第2のシールリングの内周面との少なくとも一方の一部にテーパー面が形成されていることにより、前記環状の突条の一部がエッジ状の突出縁部となっていることを特徴とするスクロール型圧縮機。
- 請求項2,3又は7において、前記第1のシールリングと前記第2のシールリングとの間に配置されて、前記第1のシールリングを前記環状の溝の外周面に向かって付勢すると共に、前記第2のシールリングを前記環状の溝の内周面に向かって付勢する弾性体が設けられていることを特徴とするスクロール型圧縮機。
- 請求項4又は5において、前記連結部の少なくとも一部が一つのシールリング部として、相手方の面に直接に接触するように構成されていることを特徴とするスクロール型圧縮機。
- 請求項4,5又は9において、前記第1のシールリング部と前記第2のシールリング部との間に配置されて、前記第1のシールリング部を前記環状の溝の外周面に向かって付勢すると共に、前記第2のシールリング部を前記環状の溝の内周面に向かって付勢する弾性体が設けられていることを特徴とするスクロール型圧縮機。
- 請求項1ないし10のいずれかにおいて、更に、前記シールリングの側面と前記環状の溝の側面との間をシールするように装着された弾性のある環状のシール部材とを備えていることを特徴とするスクロール型圧縮機。
- 請求項11において、前記弾性のある環状のシール部材がゴム製のOリングであることを特徴とするスクロール型圧縮機。
- 請求項11又は12において、前記環状のシールリングの主成分がカーボン、金属、合成樹脂、及びセラミックスの中から選択されることによって、前記環状のシールリングが優れた自己潤滑性と高い硬度を備えていることを特徴とするスクロール型圧縮機。
- 請求項11ないし13のいずれかにおいて、前記弾性のある環状のシール部材が、前記シールリングとそれに対向する前記背圧室の面のいずれか一方に形成された環状の支持部によって所定の位置に支持されていることを特徴とするスクロール型圧縮機。
- 請求項1ないし14のいずれかにおいて、前記環状のシールリングの端部に摺動面積を拡大する鍔部が形成されていることを特徴とするスクロール型圧縮機。
- 請求項11ないし15のいずれかにおいて、前記シールリングが、前記背圧室を構成する前記環状の溝の外周面に沿って装着される第1のシールリング部と、前記環状の溝の内周面に沿って装着される第2のシールリング部と、前記第1のシールリング部及び前記第2のシールリング部を一体的に接続する連結部とが一体化されたものとして構成されていることを特徴とするスクロール型圧縮機。
- 請求項4,5,16のいずれかにおいて、前記連結部に少なくとも1個の連通孔が形成されていることを特徴とするスクロール型圧縮機。
- 請求項17において、前記連結部によって背圧室内の有効な空間を高圧側の部分と低圧側の部分とに分割すると共に、前記高圧側の部分と前記低圧側の部分との間に圧力差を発生させるために、前記連結部に形成された前記連通孔が所定の開口面積を有することによって流体のための絞り部が構成されていることを特徴とするスクロール型圧縮機。
- 請求項18において、前記連通孔にピンが挿入されて、前記連通孔と前記ピンとの隙間によって前記絞り部が構成されていることを特徴とするスクロール型圧縮機。
- 請求項18において、前記連通孔の開口部分に近接して邪魔板が設けられて、前記邪魔板とシールリングとの隙間及び前記連通孔によって前記絞り部が構成されていることを特徴とするスクロール型圧縮機。
- 請求項2,3,7又は8において、前記第1のシールリングと前記第2のシールリングが、それぞれ相互に対向するように半径方向に突出する鍔部を備えていて、背圧室を構成する環状の溝の中に組み付けられた状態においてそれらの鍔部の間に所定の大きさの隙間が形成されると共に、前記鍔部によって前記背圧室内の有効な空間が高圧側の部分と低圧側の部分とに分割され、前記高圧側の部分と前記低圧側の部分との間に圧力差を発生させるために、前記鍔部の間に形成された前記隙間が所定の開口面積を有することによって流体のための絞り部が構成されることを特徴とするスクロール型圧縮機。
- 請求項1ないし21のいずれかにおいて、前記シャフトが前記ハウジングに直接に取り付けられたモータによって回転駆動されるように構成されていることを特徴とするスクロール型圧縮機。
- 請求項1ないし22のいずれかにおいて、前記シャフトが車両に搭載された内燃機関のような外部の原動機によって回転駆動されるように構成されていることを特徴とするスクロール型圧縮機。
- 請求項1ないし23のいずれかにおいて、圧縮すべき前記流体が冷凍サイクル内を流れる冷媒であって、しかも、圧縮された後の前記冷媒の圧力が冷媒の臨界圧力以上の高さとなるように設定されていることを特徴とするスクロール型圧縮機。
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