JP4798142B2 - 圧縮機 - Google Patents

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Description

本発明は、固定部に対する可動部の変位によって冷媒を圧縮する圧縮機に関する。
一般に、この種の電動圧縮機としては例えばスクロール圧縮機が知られている。このスクロール圧縮機は、冷媒の中に潤滑油を混入しておいて、圧縮された冷媒が吐出室に一時滞留する際に、冷媒から潤滑油を分離するとともに、分離した潤滑油をスクロール等の摺動部や旋回スクロールのスラスト力を受けるための背圧室等に供給している。この潤滑油の供給ルートは、特許文献1に記載されているように、高圧の貯油室から固定スクロール部および可動スクロール部を軸方向に貫通して形成されており、可動スクロールが固定スクロールに対して旋回運動することによって、固定スクロール側の給油通路と可動スクロール側の給油通路が一致したときのみ、間欠的に連通して潤滑油を供給し、両者がずれているときは給油が遮断されるようになっている。
ここで、固定スクロールと可動スクロールとの間には、焼き付き防止のための僅かな間隙が形成されている。このため、固定スクロール側の給油通路からの潤滑油が、上記間隙に漏れ出し可動スクロール側に十分供給されなくなるという問題があった。
本出願人は、かかる課題を解決するため特願2007−33505号(特開2008−196415号公報)を出願し、固定スクロールの給油通路内に、可動スクロールに向かって離接移動可能な筒状の給油通路部材を挿入している。このようにすることによって、この給油通路部材に加わる背圧を利用して、給油通路部材の可動スクロール側端面を可動スクロールの摺動面に押し当て、この部分からの潤滑油漏れを防止している。
しかしながら、このような機構にあっては、運転条件によっては、給油通路部材の可動スクロール摺動面への面圧が強くなり過ぎ、可動スクロール側や給油通路部材側の摺動面に磨耗が発生したり磨耗粉が発生する可能性があり、また給湯量の変化や漏れが生ずるおそれがあるという問題点があった。
特開2005−201173号公報
本発明は、上記問題を解決することをその課題とし、相手側スクロールに対する給油通路部材の面圧を適正な範囲に抑え、潤滑油漏れを防ぐとともに摺動面の磨耗を防止しうる圧縮機を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、冷媒吸入口(13)および冷媒吐出口(22)を有するハウジング(1)と、ハウジング(1)内に収納され、固定部(24)とこの固定部(24)に対して変位可能に配設された可動部(17)と、を有する圧縮機構(4)であって、可動部(17)の変位により冷媒吸入口(13)から低圧冷媒を吸入し、圧縮した高圧冷媒を冷媒吐出口(22)から吐出する圧縮機構(4)と、圧縮機構(4)により圧縮された冷媒から潤滑油を分離する分離部(21b)と、固定部(24)および可動部(17)にそれぞれ設けられ、分離部(21b)からの潤滑油を低圧冷媒と高圧冷媒との圧力差によって前記ハウジング(1)内の摺動部に導く導入路(31,50)と、固定部(24)および可動部(17)のうち高圧側の部材の導入路(31)の低圧側に前記導入路に沿う方向に移動可能に収納されかつ給油穴(67)を有する給油通路部材(61)であって、圧縮機構(4)からの高圧冷媒と低圧冷媒との圧力差により、固定部(24)および可動部(17)のうち低圧側の部材に押圧される給油通路部材(61)と、を備え、給油通路部材(61)の給油穴(67)と低圧側の導入路(50)が連通状態にあるときには、高圧側の導入路(31)内の潤滑油が前記給油通路部材(61)の給油穴(67)通して低圧側の導入路(50)に供給され、非連通であるときには、給油穴(67)が低圧側の部材に当接して閉じられる圧縮機(100)において、給油通路部材(61)のうち、低圧側の部材に当接して摺動する低圧側摺動面(69)の面積が、高圧冷媒が作用する高圧側受圧面(68)の面積より大きい手段を採用する。
この手段によると、高圧側受圧面(68)に加わる高圧側圧力が大きくなる運転条件であっても、高圧側受圧面(68)の面積より低圧側摺動面(69)の面積を大きく形成しているから、低圧側摺動面(69)に加わる圧力を低減することができ、給油通路部材(61)の低圧側摺動面(69)や低圧側の部材の対向面(17d)の磨耗を防止することができる。
また、上記課題を解決するため、可動部(17)の固定部(24)に対する変位は、固定部(24)に対する旋回運動である手段を採用することができ、例えばスクロール型圧縮機を採用することができる。スクロール型圧縮機の旋回半径は比較的小さいため、流量の調整を比較的コンパクトな機構で実現することができる。
また、上記課題を解決するため、給油通路部材(61)は、大径部(66)と小径部(65)とこれら大径部(66)と小径部(65)との間に形成された段差面(61a)とを有し、大径部(66)側の端部に低圧側摺動面(69)が形成され、小径部(65)側の端部に高圧側受圧面が形成されている手段を採用することができる。したがって、小径の高圧側受圧面で受けた力を大径の低圧側摺動面で支持することにより、低圧側摺動面の面圧を所定の範囲に抑えることができる。
上記課題を解決するため、円筒形の給油通路部材(61)において、高圧側受圧面(68)の径をD、低圧側摺動面(69)の径をD、給油穴(67)の径をD、高圧側受圧面(68)に加わる高圧冷媒の圧力をPd、低圧側摺動面(69)と低圧側の部材との間の微小オイル洩れにより低圧側摺動面(69)に加わる圧力をPr、固定部(24)と可動部(17)との間に介在する低圧冷媒の圧力をPs、Pdで示す圧力により給油通路部材(61)に軸方向に加わる力をF、Prで示す圧力により給油通路部材(61)に加わる力をF、Psによって示す圧力によって給油通路部材(61)の段差面(61a)に加わる軸方向の力をF、給湯通路部材(61)に軸方向に最終的に加わる力をF、給油通路部材(61)の軸心からの距離をrとすると、
Figure 0004798142
である手段を採用することができる。このため、低圧側摺動面(69)と可動部(17)との間に僅かに潤滑油が侵入しても、この潤滑油の圧力による力が給油通路部材(61)を可動部(17)に押し付ける力より大きくなることを防止することができ、したがって、低圧側摺動面(69)と可動部(17)との間に隙間が発生することを防ぐことができ、潤滑油の漏洩を防止することができる。
上記課題を解決するため、給油通路部材(61)の低圧側摺動面(69)の直径が、可動部(17)の前記固定部(24)に対する旋回運動の旋回直径より小さい手段を採用することができる。したがって、可動部(17)が固定部(24)に対して旋回している間、摺動面(69)に常に接触している可動部(17)の部分をなくすことができる。これによって、可動部(17)と固定部(24)との摺動部分のオイルの供給性や異物の排出性を向上させることができるとともに、耐摩耗性も向上させることができる。
上記課題を解決するため、圧縮機(100)は、スクロール型圧縮機である手段を採用することができ、また、固定部側導入路(31)は固定スクロール基板部(24a)に設けられ、可動部側導入路(50)は可動スクロール基板部(17a)に設けられている手段を採用することができる。したがって、スクロール圧縮機において、高圧側の潤滑油を低圧側の可動スクロールの摺動部分に十分に供給することができる。そして、本手段は、高圧ゆえに摺動部分に高荷重が加わる二酸化炭素冷媒を使用する圧縮機においてその効果を発揮をすることができる。
なお、上記各手段に付した括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
図1は、本発明のスクロール圧縮機100の内部構造を示す断面図であり、図2は図1中A部分の拡大図である。
図1に示すように、このスクロール圧縮機100は、略水平に配置される横置き型圧縮機であって、金属製で両端が閉鎖された略円筒状のハウジング1を備える。このハウジング1は、筒状のハウジング本体1aと、このハウジング本体1aの軸方向一端側開口部(図中左側開口部)にはめ込まれた蓋部1bと、軸方向他端側開口部(図中右側開口部)にはめ込まれた蓋部1cとを有している。
ハウジング1内にはモータ部3が配置されており、モータ部3はロータ9およびステータ11を備える。ロータ9は、磁石からなる円筒部材であり、ロータ9の中空部には、駆動軸10が圧入固定されている。ステータ11は、ハウジング1内に支持され、ステータコア(磁性体からなる)に対してステータコイル11aが回巻きされて構成されている。ステータ11は、ロータ9に回転磁界を与えてロータ9を回転させる。
駆動軸10は、金属製からなるもので水平方向に配置されている。駆動軸10の一端部(図中左側)は、軸受部材29aにより回転自在に支持されている。軸受部材29aは、支持壁6を介してハウジング1の内壁により支持されている。軸受部材29aと支持壁6とはボルトBOにより締結されている。
支持壁6には、潤滑油を流す潤滑油通路(図示省略)が設けられている。駆動軸10の他端部(図中左側)は、軸受部材29bにより回転自在に支持される。軸受部材29bは、ハウジング1の内壁により支持されている。
駆動軸10には、その軸方向に延びるように形成されて軸方向両端部の間を貫通する給油穴10aと、給油穴10a側から軸受部材29a側に連通する油注入穴10cが形成されている。駆動軸10には、給油穴10a側から軸受部材29b側に連通する油注入穴10bが形成されている。軸受部材29aには、給油穴10aに連通して軸方向一端部に開口する油排出穴29dが設けられている。
なお、油排出穴29dを止め栓により閉栓させ、油注油孔10cを通る潤滑油を増やすようにしてもよい。
駆動軸10の他端部には、その一端部側に対して軸がずれて形成される偏心部10eが形成される。偏心部10eには、可動スクロール17のボス部17cが嵌合されている。これにより、駆動軸10の回転に伴い、可動スクロール17が旋回運動することになる。
可動スクロール17は、固定スクロール24とともに、冷媒を圧縮する圧縮機構4を構成し、可動スクロール17は、ボス部17cとともに、可動基板部17aおよび旋回羽根部17bを備えている。可動基板部17aは、円盤状に形成されており、旋回羽根部17bは、可動基板部17aから駆動軸10に対して反対側に突出し、かつ渦巻状に形成されている。
固定スクロール24は、固定基板部24aおよび固定羽根部24bを備えている。固定基板部24aは、円盤状に形成され、可動基板部17aに対向して配置されている。固定スクロール24および可動スクロール17の間には、圧縮室18が形成されている。
固定羽根部24bは、固定基板部24aから可動基板部17aに向けて突出し、かつ渦巻状に形成されている。固定羽根部24bおよび旋回羽根部17bは、圧縮室18で、互いに噛み合うように配置されている。固定基板部24aは、軸受部材29bにより支持されている。固定基板部24aは、軸受部材29bに対してボルトにより締結されている。
固定基板部24aに対して外周側には、吸入口13が設けられており、吸入口13は、ハウジング1に対して外側に開口して、かつ圧縮室18に連通するように設けられている。
固定基板部24aに対して駆動軸10の反対側には吐出室20aが設けられている。固定基板部24aには、吐出孔19が設けられており、吐出孔19は、吐出室20aおよび圧縮室18の間を連通している。吐出室20aには、逆止弁20が設けられている。逆止弁20は、圧縮室18から吐出孔19を介して吐出される高温冷媒が逆流することを止める弁体である。
吐出室20aの下流側には、オイル分離機構21bが設けられており、オイル分離機構21bは、内筒と外筒とからなる周知の二重筒構造の旋回流体型油分離器である。オイル分離機構21bは、吐出室20aから冷媒供給通路21aを介して供給される冷媒から潤滑油を分離する。オイル分離機構21bに対して外周側には、ハウジング1を貫通して開口する吐出口22が設けられている。吐出口22は、オイル分離機構21bで潤滑油を除かれた冷媒を水冷媒熱交換器に向けて吐出するために設けられている。
オイル分離機構21bの下側には、高圧貯油室40が設けられており、高圧貯油室40は、オイル分離機構21bから給油通路21cを介して流下した潤滑油を貯める。固定スクロール24の固定基板部24aには、固定側給油通路31が設けられており、その一端が高圧貯油室40内部に開口しているとともに、他端が固定基板部24aの可動スクロール17側の対向面24dに開口している。
一方、可動スクロール17の可動基板部17aには、可動側給油通路50が設けられている。この可動側給油通路50は、その一端が可動基板部17aの固定スクロール24側の対向面17dに開口しており、L字型に屈曲した後、他端が貯油室51に連通している。この貯油室51は、偏心部10eおよび可動基板部17aの間に形成され、駆動軸10の給油穴10aに連通している。
ここで、固定側給油通路31のうち可動基板17側には、図2に示すように、可動ピン61が収納された可動ピン収納部62が形成されている。この可動ピン収納部62は、可動基板部17aの対向面17dに垂直な軸線を有する円柱状の空洞からなる主収納部63を有している。この主収納部63の可動スクロール17側には、主収納部63より大径の拡径収納部64が形成されている。
一方、可動ピン61は、主収納部63に軸方向移動可能に液密状態で嵌合された円柱状の主可動部65と、この主可動部65の可動スクロール17側に形成され主可動部65より大径で拡径収納部64に収納可能な大きさの拡径可動部66とを有しており、この主可動部65と拡径可動部66との間に段差面61aが形成されている。また、この可動ピン61には、軸方向に給油穴67が形成されており、潤滑油が通過できるようになっている。そして、可動ピン61の高圧貯油室40側には、固定側給油通路31中の潤滑油の圧力を受ける直径D、面積Sの油圧受面68が形成されており、可動ピン61の可動スクロール17側には、対向面17dに当接して摺動する直径D、面積Sの摺動面69が形成されている。
このような構成において、固定側給油通路31に高圧の潤滑油が供給されると、可動ピン61の油圧受面68に潤滑油の圧力が加わり、可動ピン61は可動スクロール17の対向面17dに押圧される。したがって、図2に示すように、可動ピン61の給油穴67と可動側給油通路50とがずれている状態では、可動ピン61内の給油穴67は可動スクロール17の対向面17dによって閉鎖されており、給油穴67中の潤滑油が可動スクロール17と固定スクロール24との間の間隙Kaに洩れることはない。この状態から、可動スクロール17が固定スクロール24に対して旋回運動をして、可動ピン61の給油穴67と可動側給油通路50とが一致すると、固定側給油通路31と可動側給油通路50とが連通し、固定側給油通路31から可動側給油通路50に潤滑油が供給される。このように、可動スクロール17の固定スクロール24に対する旋回運動に伴い、潤滑油は固定側給油通路31から可動側給油通路50へ間欠的に供給される。また、この圧縮機100はスクロール型で、固定スクロール24に対する可動スクロール17の旋回半径は比較的小さい。したがって、潤滑油の流量調整を比較的コンパクトな機構で達成することができる。
そして、この圧縮機1にあっては、油圧受面68の面積より摺動面69の面積のほうが大きいように、すなわち、D<D、S<Sとなるように形成されている。したがって、油圧受面68に加わる高圧側圧力が大きくなる運転条件であっても、油圧受面68の面積Sより摺動面69の面積Sを大きく形成しているから、摺動面69に加わる圧力を低減することができ、可動ピン61の摺動面69や可動基板17aの対向面17dの磨耗を防止することができる。
また、この圧縮機100にあっては、図3に示すように、可動ピン61の給油穴67の径をD、可動ピン61の油圧受面68に加わる高圧側冷媒の圧力をPd、可動ピン61の摺動面69と可動基板部17aの対向面17dとの間の微小オイル洩れにより軸心からrの距離の摺動面69に加わる圧力をPr、固定基板部24aの対向面24dと可動基板部17aの対向面17dとの間に介在する低圧冷媒の圧力をPs、前記Pdで示す圧力により可動ピン61に軸方向に加わる力をF、前記Prで示す圧力により可動ピン61に加わる力をF、前記Psによって示す圧力によって可動ピン61の段部面61aに加わる軸方向の力をF、可動ピン61に軸方向に最終的に加わる力をF、摺動面69に加わる平均圧力をPとすると、
Figure 0004798142
となるようにしている。
図3に示すように、可動ピン61の給油穴67が、可動側給油通路50から外れ、可動基板部17aの対向面17dに対向する位置にある場合、給油穴67からの潤滑油が可動ピン61の摺動面69と可動基板部17aの対向面17dとの間に僅かに侵入する。このため、両者の間に図3に示すような潤滑油による圧力分布が発生し、可動ピン61を可動基板部17aから引き離す方向に力が作用する。この力は摺動面69の径Dが大きいほど大きくなり、差圧による押圧力に打ち勝ってしまうと、可動ピン61の摺動面69と可動基板部17aの対向面17dとの間に隙間が発生してしまい、潤滑油の洩れの原因となる。
このようなことを防止するため、この圧縮機100にあっては、摺動面69が対向面17dに押し付けられるように、すなわちF>0となるように、D,D,Dを設定し、潤滑油の洩れを防止している。
また、この圧縮機100にあっては、図4Aに示すように、可動ピン61の摺動面69の外形Dが、固定スクロール24に対する可動スクロール17の旋回直径2εより小さく設定されている。これは、摺動面69の外形Dが、固定スクロール24に対する可動スクロール17の旋回直径2εより大きいと、図4Bに示すように、摺動面69と可動スクロール17の対向面17dとが常時接触する部分Gが形成されてしまい、この部分のオイル供給が不十分となったり摺動面間の異物が滞留したりするからである。これに対してこの圧縮機100にあっては、このように常時接触する部分がないため、摺動面間のオイルの供給性を向上させることができるとともに、摺動面間の異物の排出性が良好となり、耐摩耗性も向上させることができる。
次に、このような圧縮機100について可動ピン61の傾転モーメントについて検討する。傾転モーメントは、可動側給油通路50が可動ピン61の給油穴67にさしかかった時が最も厳しくなる。可動ピンが傾転を起こすと、潤滑油の漏れ、可動ピンの摺動面の異常磨耗等の不具合を引き起こす。
図5Aは本実施形態の圧縮機100の可動ピン61を示し、図5Bは拡径部がない円柱状の可動ピン161を示す。これらの図において、可動基板部17aは、固定基板部24aに対して矢印S方向に相対移動しており、可動基板部17aの可動側給油通路50が可動ピン61の給油穴67直前にさしかかっている状態を示している。これらの図において、圧力Prにより可動ピン61に加わる力Fの作用点の軸線からの距離をa、摺動面69のうち可動基板部17aの進行方向後方側の端縁に加わる反力をF、軸線から反力Fが加わる作用点までの距離をr、可動ピン61,161の摺動面69と可動基板部17aの対向面17dとの間の摩擦係数をμ、反力Fによって可動基板部17aの進行方向に加わる摩擦力をμF,この摩擦力μFに対する反力μFが加わる作用点から可動基板部17aの対向面17dまでの距離をlとすると、傾転モーメントの釣り合い式は、
Figure 0004798142
となる。よって、
Figure 0004798142
となる。
故に、傾転しないためには、F>0の関係、すなわちr>μlの関係が必要である。したがって、本実施の形態の圧縮機100の可動ピン61のように、摺動面69の半径rを大きくした方が傾転を起こしにくく、漏れ、耐磨耗性に対して有利である。
以上説明したように、この圧縮機100にあっては、固定側給油通路31のうち可動基板17側には、可動ピン収納部62が形成され、この可動ピン収納部62は、円柱状の空洞からなる主収納部63と、この主収納部63より大径の拡径収納部64とを有し、また、可動ピン収納部62には、可動ピン61が収納され、この可動ピン61は、主収納部62に軸方向移動可能に液密状態で嵌合された円柱状の主可動部65と、この主可動部65より大径で拡径収納部64に収納された拡径可動部66とを有している。また、この可動ピン61には、軸方向に給油穴67が形成され潤滑油が通過できるようになっており、高圧貯油室40側には、固定側給油通路31中の潤滑油の圧力を受ける油圧受面68が形成され、可動スクロール17側には、対向面17dに当接して摺動する摺動面69が形成されている。そして、摺動面69の面積は、油圧受面68の面積より大きくなされている。したがって、油圧受面68に加わる高圧側圧力が大きくなるような運転条件であっても、油圧受面68の面積より摺動面69の面積を大きく形成しているから、摺動面69に加わる圧力を低減することができ、摺動面の磨耗を防止することができる。
また、この圧縮機100にあっては、固定基板部24aと可動基板部17aとの間に僅かに侵入した潤滑油の圧力による可動ピン61を固定基板部24aから引き離す力Fが、油圧受面68に加わる高圧側冷媒による力Fと可動ピン61の段部面61aに加わる低圧冷媒による軸方向の力Fとの和より小さくなるように、油圧受面68の直径D、摺動面69の直径D、給油穴67の直径Dを設定している。このため、摺動面69と可動基板部17aとの間に僅かに潤滑油が侵入しても、この潤滑油の圧力による力が可動ピンを可動基板部17aに押し付ける力より大きくなることはない。したがって、摺動面69と可動基板部17aとの間に隙間が発生することを防ぐことができ、潤滑油漏れを防止することができる。
また、この圧縮機100にあっては、可動ピン61の摺動面69の外形Dが、固定スクロール24に対する可動スクロール17の旋回直径2εより小さく設定されている。このため、可動スクロールが固定スクロールに対して旋回している間、対向面17d上で摺動面69に常に接触している部分をなくすことができ、したがって、摺動面間のオイルの供給性や異物の排出性を向上させることができるとともに、耐摩耗性も向上させることができる。
また、この圧縮機100にあっては、可動ピン61の摺動面69の外形Dを大きくしているから、傾転を起こしにくく、したがって漏れを防止しやすく耐磨耗性にも優れた圧縮機を提供することができる。
なお、上記実施の形態においては、圧縮機として可動スクロール17が固定スクロール24に対して旋回して冷媒を圧縮するスクロール圧縮機を採用しているが、これに限る必要はなく、本発明の圧縮機をレシプロ型圧縮機、ロータリ型圧縮機に適用してもよい。
本発明の一実施の形態であるスクロール圧縮機を示す斜視図。 図1に示すスクロール圧縮機の可動ピンを示す拡大断面図。 図2に示す可動ピンに加わる圧力および力を示す断面図。 図1に示す圧縮機において、固定スクロールに対する可動スクロールの旋回直径が可動ピンの摺動面の直径より大きい場合の軌跡を示す図。 図1に示す圧縮機において、固定スクロールに対する可動スクロールの旋回直径が可動ピンの摺動面の直径より小さい場合の軌跡を示す図。 図2に示す可動ピンに加わる傾転モーメントを示す断面図。 拡径部を有しない可動ピンに加わる傾転モーメントを示す断面図。
符号の説明
1 ハウジング
4 圧縮機構
13 吸入口
17 可動スクロール
21b オイル分離機構
22 吐出口
24 固定スクロール
31 固定側給油通路
50 可動側給油通路
61 可動ピン
61a 段差面
67 給油穴
68 油圧受面
69 摺動面
100 スクロール圧縮機

Claims (6)

  1. 冷媒吸入口(13)および冷媒吐出口(22)を有するハウジング(1)と、
    前記ハウジング(1)内に収納され、固定部(24)とこの固定部(24)に対して変位可能に配設された可動部(17)と、を有する圧縮機構(4)であって、前記可動部(17)の変位により前記冷媒吸入口(13)から低圧冷媒を吸入し、圧縮した高圧冷媒を前記冷媒吐出口(22)から吐出する圧縮機構(4)と、
    前記圧縮機構(4)により圧縮された冷媒から潤滑油を分離する分離部(21b)と、
    前記固定部(24)および前記可動部(17)にそれぞれ設けられ、前記分離部(21b)からの潤滑油を前記低圧冷媒と前記高圧冷媒との圧力差によって前記ハウジング(1)内の摺動部に導く導入路(31,50)と、
    前記固定部(24)および前記可動部(17)のうち高圧側の部材の導入路(31)の低圧側に前記導入路に沿う方向に移動可能に収納されかつ給油穴(67)を有する給油通路部材(61)であって、前記圧縮機構(4)からの高圧冷媒と低圧冷媒との圧力差により、前記固定部(24)および前記可動部(17)のうち低圧側の部材に押圧される給油通路部材(61)と、を備え、
    前記給油通路部材(61)の給油穴(67)と前記低圧側の導入路(50)が連通状態にあるときには、前記高圧側の導入路(31)内の潤滑油が前記給油通路部材(61)の前記給油穴(67)通して前記低圧側の導入路(50)に供給され、非連通であるときには、前記給油穴(67)が前記低圧側の部材に当接して閉じられる圧縮機(100)において、
    前記給油通路部材(61)のうち、前記低圧側の部材に当接して摺動する低圧側摺動面(69)の面積が、高圧冷媒が作用する高圧側受圧面(68)の面積より大きく、
    前記可動部(17)の前記固定部(24)に対する変位は、前記固定部(24)に対する旋回運動であり、
    前記給油通路部材(61)の前記低圧側摺動面(69)の直径が、前記可動部(17)の前記固定部(24)に対する旋回運動の旋回直径より小さいことを特徴とする圧縮機。
  2. 前記給油通路部材(61)は、大径部(66)と小径部(65)とこれら大径部(66)と小径部(65)との間に形成された段差面(61a)とを有し、前記大径部(66)側の端部に前記低圧側摺動面(69)が形成され、前記小径部(65)側の端部に前記高圧側受圧面が形成されていることを特徴とする請求項に記載の圧縮機。
  3. 請求項に記載の円筒形の給油通路部材(61)において、前記高圧側受圧面(68)の径をD、前記低圧側摺動面(69)の径をD、前記給油穴(67)の径をD、前記高圧側受圧面(68)に加わる前記高圧冷媒の圧力をPd、前記低圧側摺動面(69)と前記低圧側の部材との間の微小オイル洩れにより前記低圧側摺動面(69)に加わる圧力をPr、固定部(24)と可動部(17)との間に介在する低圧冷媒の圧力をPs、前記Pdで示す圧力により前記給油通路部材(61)に軸方向に加わる力をF、前記Prで示す圧力により前記給油通路部材(61)に加わる力をF、前記Psによって示す圧力によって前記給油通路部材(61)の段差面(61a)に加わる軸方向の力をF、前記給湯通路部材(61)に軸方向に最終的に加わる力をF、前記給油通路部材(61)の軸心からの距離をrとすると、
    Figure 0004798142
    であることを特徴とする請求項に記載の圧縮機。
  4. 前記圧縮機(100)は、スクロール型圧縮機であることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の圧縮機。
  5. 前記固定部側導入路(31)は前記固定スクロール基板部(24a)に設けられ、前記可動部側導入路(50)は前記可動スクロール基板部(17a)に設けられていることを特徴とする請求項に記載の圧縮機。
  6. 前記冷媒は、二酸化炭素であることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の圧縮機。
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