JPH0830017B2 - 置換フェノールの製法 - Google Patents

置換フェノールの製法

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JPH0830017B2
JPH0830017B2 JP63254389A JP25438988A JPH0830017B2 JP H0830017 B2 JPH0830017 B2 JP H0830017B2 JP 63254389 A JP63254389 A JP 63254389A JP 25438988 A JP25438988 A JP 25438988A JP H0830017 B2 JPH0830017 B2 JP H0830017B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [発明の利用分野] 本発明は新規な置換フェノールの製造方法に関するも
のである。さらに詳しくは、電子供与性基が置換した1,
1−ジフェニルエタン置換体を酸化して対応する過酸化
物を得て、次いでこれを酸分解する新規な置換フェノー
ルの製造方法に関するものである。
[従来技術とその課題] 1,1−ジフェニルエタンを酸性下で分子状酸素で酸化
することは知られているが、酸性下で酸化するために生
成物は複雑であり、工業的な方法とは言えない。さら
に、1,1−ジフェニルエタンのベンゼン核に種々の置換
基が置換した1,1−ジフェニルエタン置換体を分子状酸
素で酸化することは知られていない。本発明者が1,1−
ジフェニルエタンのベンゼン核に種々の置換基が置換し
た1,1−ジフェニルエタン置換体をアルカリ性下で分子
状酸素により酸化し、さらに酸性下で分解することを研
究した結果、驚くべきことには、特定の置換基の場合に
選択的に置換フェノールが得られることが見出された。
[発明が解決すべき課題] すなわち本発明は2つのフェニル基の置換基の電子供
与性の度合いが相違する1,1−ジフェニルエタン置換体
を、塩基の存在下に、温度40〜150℃で分子状酸素によ
り酸化することによって、該置換体に対応したヒドロペ
ルオキシドを得て、次いでこれを酸分解することを特徴
とする、該電子供与性の度合いが高い方の基を有する置
換フェノールを選択的に製造する方法に関するものであ
る。
具体的には、下記式(I)で表される1,1−ジフェニ
ルエタン置換体を分子状酸素により酸化することによ
り、下記式(II)で表されるヒドロペルオキシドを得
て、次いでこれを酸分解することからなる、下記式(II
I)で表される置換フェノールの製法である。
式(I) 式(II) 式(III) 上式において、R1はR2よりも相対的に電子供与性の度
合が高い置換基である。また、m、nは1から3の整数
である。
以下に、本発明をさらに説明する。
本発明の第一段の反応である酸化反応において用いら
れる出発原料である、上記式(I)で表される1,1−ジ
フェニルエタン置換体は、少なくとも1つの電子供与性
基が置換していることが必要であり、一方のフェニル基
に結合する電子供与基が他のフェニル基に結合する電子
供与基よりも相対的に高い電子供与性を有することが必
要である。かくすることにより、置換フェノールの選択
率や収率が向上する。
すなわち、2つのベンゼン環に置換している置換基
は、互いに電子供与性が相違している置換基である。酸
化とそれに続く過酸化物の分解により、原料の1,1−ジ
フェニルエタン置換体において電子供与性の高い方の置
換基が置換したベンゼン核と炭素原子の炭素/炭素結合
が切断され、その結果より電子供与性の高い方の置換基
が置換した置換フェノールが選択的に生成することにな
る。
本発明においては、R1とR2の電子供与性に差があるこ
とが必要であり、電子供与性基を置換させた1,1−ジフ
ェニルエタン置換体を原料にしてもよく、また逆に電子
吸引性基を置換させた1,1−ジフェニルエタン置換体を
原料にしてもよい。そのほか、電子供与性基と電子吸引
性基とを1,1−ジフェニルエタンのそれぞれのフェニル
基に置換させ、これを原料にすることもできる。いずれ
にしても、本発明の方法によれば、電子供与性の置換基
または、より電子供与性の高い方の置換基が置換した置
換フェノールが選択的に生成する。
本発明において好ましい代表的な電子供与性基は、メ
チル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、
イソブチル、tert−ブチル、sec−ブチル、ペンチルな
どの低級アルキル基、さらに、これらの低級アルキル基
にカルボキシル基が置換したカルボキシル非置換アルキ
ル基、たとえば、カルボキシエチル基など、これらの低
級アルキル基にシアノ基が置換したシアノ基置換アルキ
ル基、たとえば、シアノエチル基、および同じくこれら
低級アルキル基にメトキシカルボニル、エトキシカルボ
ニルなどのアルコキシカルボニル基などが置換したアル
コキシカルボニルアルキル基またはメトキシ、エトキシ
などの低級アルコキシ基などである。
また、電子吸引性基としての例は、臭素、塩素、ヨウ
素などのハロゲン、ニトロ基、スルホン基、カルボキシ
ル基、メトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどの
アルコキシカルボニル基などである。
R1およびR2として、上記電子供与性基および電子吸引
性基から適宜に選択し組合せて用いることができる。な
お、R2は水素原子であってもよい。
具体的な上記式(I)の1,1−ジフェニルエタン置換
体としては、1−(p−メチルフェニル)−1−フェニ
ルエタン、1−(p−t−ブチルフェニル)−1−フェ
ニルエタン、1−フェニル−1−(ジメチルフェニル)
エタン、1,1−ジ(メチルフェニル)エタン、1−(シ
アノエチル)フェニル−1−フェニルエタン、1−メト
キシフェニル−1−フェニルエタン、1−(メトキシカ
ルボニルエチル)フェニル−1−フェニルエタンなどが
例示される。
本発明の酸化反応においては、分子状酸素による酸化
で上記出発原料の1,1−ジフェニルエタンに対応したヒ
ドロペルオキシドである前記式(II)で表されるヒドロ
ペルオキシドが得られる。
たとえば、1−(p−メチルフェニル)−1−フェニ
ルエタンヒドロペルオキシド、1−(p−t−ブチルフ
ェニル)−1−フェニルエタンヒドロペルオキシド、1
−フェニル−1−(ジメチルフェニル)エタンヒドロペ
ルオキシド、1,1−ジ(メチルフェニル)エタンヒドロ
ペルオキシド、1−(シアノエチル)フェニル−1−フ
ェニルエタンヒドロペルオキシド、1−メトキシフェニ
ル−1−フェニルエタンヒドロペルオキシド、1−(メ
トキシカルボニルエチル)フェニル−1−フェニルエタ
ンヒドロペルオキシドなどのヒドロペルオキシドが得ら
れる。
次いで上記のヒドロペルオキシドを酸分解することに
より、置換フェノールが選択的に製造される。ここで選
択的に製造される置換フェノールは、原料1,1−ジフェ
ニルエタン置換体に置換した置換基のうち、相対的に電
子供与性のより高い置換基が置換したものである。
具体的な、得られる式(III)の置換フェノールとし
ては4−tert−ブチルフェノール、メチルフェノール、
メトキシフェノール、2−(ヒドロキシフェニル)プロ
ピオン酸、2−(3−ヒドロキシフェニル)プロピオニ
トリルなどである。
本発明の第一段の反応である1,1−ジフェニルエタン
置換体の分子状酸化は、塩基の存在下に行なう。この分
子状酸素による酸化を酸性下で行なう場合、生成物が複
雑になり、最終の目的生成物である置換フェノールの生
成が少なくなり好ましくない。
塩基は出発原料としての1,1−ジフェニルエタン置換
体1モルに対して、少なくとも0.06グラム当量を反応系
に供給する。好ましくは、0.1〜3.0、より好ましくは0.
2〜1.0グラム当量の塩基を供給する。存在させるべき塩
基は、その全量を反応開始前に反応系に添加してもよ
く、また分割して反応系に添加してもよい。好ましく
は、数分割し、反応の開始前にその一つを反応系中に添
加し、残りの部分を反応の途中で反応系を添加する。
塩基としては、たとえば、水酸化ナトリウム、水酸化
カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭
酸ナトリウム、炭酸カリウムのようなアルカリ金属化合
物;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化ス
トロンチウムのようなアルカリ土類金属化合物が好まし
く利用される。これらの塩基は2種以上使用することも
できる。本発明の塩基としては、特に水酸化ナトリウ
ム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウムなどが好ましく使
用できる。
本発明の酸化反応は、上記塩基の存在下において、好
ましくは水性媒体の存在下において実施される。水性媒
体の存在下で実施する場合、前記塩基の存在により、酸
化反応における水層のpHは7〜14、好ましくは8.5〜10.
5である。塩基を水性液として系内に加える場合、塩基
は好ましくは0.1〜25重量%濃度の水溶液として加える
ことが適当である。
本発明ではラジカル開始剤を使用しなくても酸化反応
は進行するが、ラジカル開始剤を併用すると酸化反応が
速くなり好ましい。ラジカル開始剤は1,1−ジフェニル
エタン置換体の1モル当り0.001〜0.1モル程度を反応系
に供給すれば充分である。ラジカル開始剤の量がこれよ
り多いと反応が暴走し易い。
ここでラジカル開始剤とは、採用する酸化条件下でラ
ジカルを生成する化合物を指し、−O−O−結合または
−N=N−結合を有する化合物を包含する。このような
化合物としては過酸化物またはアゾ系化合物が挙げられ
る。
具体的なラジカル開始剤としては、過酸化水素、エチ
ルペルオキシド、tert−ブチルヒドロペルオキシド、ジ
−tert−ブチルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシ
ベンゾエート、tert−ブチルペルオキシ−2−エチルヘ
キサノエート、tert−ブチルペルオキシピバレート、2
−エチルヘキサノイルペルオキシド、ピバリルペルオキ
シド、イソオクチルペルオキシモノカーボネート、イソ
アミルペルオキシモノカーボネート、イソオクチルペル
オキシジカーボネート、イソアミルペルオキシジカーボ
ネートのような有機過酸化物、アゾビスシクロヘキシル
カルボニトリル(ACN)、アゾビスイソブチロニトリ
ル、アゾビス−2,2−ジフェニルアセトニトリル、1−t
ert−ブチルアゾ−1−シアノシクロヘキサン、2−ter
t−ブチルアゾ−2−シアノプロパン、2−tert−ブチ
ルアゾ−2−シアノブタンなどのアゾ系化合物などであ
る。これらは適宜に混合して使用される。
より好ましいラジカル開始剤は、たとえば、アゾビス
シクロヘキシルカルボニトリル(ACN)などのアゾ系の
ラジカル開始剤である。
酸化温度は、40〜150℃、好ましくは70〜110℃であ
る。この温度より低いと反応が著しく遅く、またより高
温では反応が暴走したり、副生物が多く生成したりする
ので好ましくない。反応系は、液相に保つために必要で
あれば適宜に加圧する。
本発明の酸化方法は、通常塩基を含有する水相と出発
原料である1,1−ジフェニルエタン置換体を含有する有
機相を機械的攪拌により混合して乳化状態とし、その状
態で分子状酸素と接触することにより実施される。乳化
状態は水相と有機相とを機械的に攪拌混合することによ
り形成することができ、その際、従来公知の乳化剤を利
用し乳化を容易にすることができる。攪拌は一般的には
強いほど好ましい。なお、水相を利用せずに1,1−ジフ
ェニルエタン置換体を含有する有機相のみによって反応
させることもできる。
本発明の反応原料である1,1−ジフェニルエタン置換
体は通常親油性である。それ故、反応に不活性な適宜の
乳化剤を使用して反応原料を乳化させて反応させる。反
応原料である1,1−ジフェニルエタン置換体それ自体が
水に溶解または分散する場合には特に乳化剤を使用する
必要はない。水中の1,1−ジフェニルエタン置換体の濃
度は特に限定されないが、通常は0.005〜0.5g/mlの範囲
から選択される。また、1,1−ジフェニルエタン置換体
を乳化すべき乳化剤の濃度も適宜に選択できるが、通常
0.1〜0.5g/100mlの濃度である。乳化剤は、アルカリ性
下で利用されるために、アニオン系または非イオン系の
乳化剤が適当である。
たとえば、具体的には、脂肪酸石鹸、N−アシルアミ
ノ酸およびその塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、ア
シル化ペプチドなどのカルボン酸塩、アルキルベンゼン
スルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジア
ルキルスルホコハク酸エステル塩、アルキルスルホ酢酸
塩、α−オレフィンスルホン酸塩などのスルホン酸塩な
どのアニオン系界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキ
ルエーテルなどエーテル型、ポリオキシエチレングリセ
リン脂肪酸エステルなどのエーテルエステル型、ポリエ
チレングリコール脂肪酸エステルなどのエステル型など
の非イオン系界面活性剤などが例示される。
有機相は、出発原料たる1,1−ジフェニルエタン置換
体そのものからなることもでき、または適宜に有機溶媒
を含有させることもできる。
上記有機溶媒としては、たとえば第二級アルキル基で
置換された芳香族炭化水素、ベンゼン、ハロゲン化芳香
族炭化水素、ハロゲン化脂肪族炭化水素、脂肪族飽和炭
化水素、脂環族炭化水素、ニトロ化合物、ニトリルおよ
びスルホキシド類などが例示される。
第二級アルキル基で置換された芳香族炭化水素として
は、具体的には、クメン、ジイソプロピルベンゼン、ト
リイソプロピルベンゼン、メチルイソプロピルベンゼン
(シメン)、フルオロイソプロピルベンゼン、クロロイ
ソプロピルベンゼン、ブロモイソプロピルベンゼン、se
c−ブチルベンゼン、sec−アミルベンゼン、sec−ヘキ
シルベンゼンのようなアルキルベンゼン、ジイソプロピ
ルビフェニルのようなビフェニル類、イソプロピルテト
ラリンのようなテトラリン類、β−イソプロピルナフタ
レンのようなアルキルナフタレン類を利用できる。この
うち、クメン、ジイソプロピルベンゼン、トリイソプロ
ピルベンゼン、ハロゲン化イソプロピルベンゼンなどの
イソプロピルベンゼン類を使用することが好ましい。
また、ハロゲン化芳香族炭化水素類としては、たとえ
ば、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ブロモベンゼ
ン、ジブロモベンゼン、フロロベンゼン、ジフロロベン
ゼンなどが例示される。
ハロゲン化脂肪族炭化水素としては、たとえばクロロ
ホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエタ
ンが例示される。
脂肪族炭化水素としては、たとえばヘキサン、ヘプタ
ン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン
などが例示される。
脂環族炭化水素としては、たとえばシクロヘキサン、
シクロヘプタン、クロロシクロヘキサン、ジクロロヘキ
サンなどが例示される。
ニトロ化合物としてはニトロベンゼン、ニトロメタン
などが例示される。
ニトリル類としては、たとえば、ベンゾニトリル、ア
セトニトリルなどが例示される。
スルホキシド類としては、たとえば、ジメチルスルホ
キシド、ジメチルスルホン、テトラメチレンスルホン
(スルホラン)などが例示される。
これらの有機溶剤のうち、特にクロロベンゼン、ジク
ロロベンゼンなどのハロゲン化芳香族炭化水素を使用す
ることが、溶剤の入手容易さ、反応後の後処理のし易さ
などの点から好ましい。該有機溶剤の使用量は、好まし
くは反応原料の1,1−ジフェニルエタン置換体の100重量
部当り20〜1000重量部、好ましくは50〜300重量部であ
る。
分子状酸素は純酸素を使用してもよく、あるいは窒素
などの不活性ガスとの混合ガス、たとえば空気を利用す
ることもできる。分子状酸素の供給量は特に限定されず
酸化に十分な量を供給すればよい。通常は、酸化反応の
ための仕込1,1−ジフェニルエタン置換体100g当り、酸
素ガス換算で5〜15Nl/時の範囲である。
第一段の酸化反応の反応時間は特に限定されず、1〜
数十時間の範囲から適宜に選択される。
本発明の第一段の酸化反応により、反応原料の1,1−
ジフェニルエタン置換体に対応した前記式(II)で表わ
されるヒドロペルオキシドが得られる。これらのヒドロ
ペルオキシドは通常は比較的安定なため、反応終了後
は、蒸留による分離、あるいは水酸化ナトリウムの20〜
40重量%の水溶液に前記有機相を加えてヒドロペルオキ
シドのナトリウム塩を回収することも可能である。しか
しながら、通常は有機溶媒に溶解させたまま、適宜にヒ
ドロペルオキシドの濃度を調節し、これを次の酸分解工
程に供することが好ましい。そのためには、通常酸化反
応後攪拌を停止し、反応相を静置すれば、ヒドロペルオ
キシドを含有する有機相と水相の2相に分離する。次に
水相を除去し有機相を回収しこれを酸分解工程に供す
る。あるいは、有機相と水相の2相に分離することなく
次の酸分解工程に供することもできる。
本発明の酸分解は、酸性触媒の存在下に行なわれる。
酸性触媒としては、硫酸、塩酸、過塩素酸、燐酸などの
無機酸、クロロ酢酸、パラトルエンスルホン酸などの有
機酸、陽イオン交換樹脂、シリカアルミナ、シリカチタ
ニアなどの固体無機酸または有機酸などが利用される。
酸性触媒として無機酸または有機酸を利用する場合、分
解反応による危険を避けるために溶媒を使用することが
好ましい。たとえばアセトン、メチルエチルケトン、ジ
エチルイソブチルケトンなどのケトン類、酢酸などの有
機酸、あるいは水などを使用することが好ましい。
酸分解の反応温度は、通常30〜150℃、好ましくは40
〜90℃の範囲で行なう。この温度範囲を外れると、いず
れも目的化合物の収率が低下するので好ましくない。酸
分解の反応時間は特に限定されないが、通常は数分から
数時間の範囲で行なうことができる。
酸分解終了後、酸分解混合物から目的化合物である前
記式(III)で表わされる置換フェノールが回収され
る。回収方法としては、前記酸性触媒に無機酸あるいは
有機酸を使用した場合には、酸分解混合物に、たとえば
ジエチルエーテルなどの抽出溶媒を加えて抽出分離した
後、溶媒を留去し、さらに蒸留あるいは晶析などにより
置換フェノールを回収することができる。
また、前記酸性触媒に固体酸を使用した場合には、酸
分解混合物から該固体酸触媒を濾過などにより除去した
後、前述と同様にして置換フェノールを回収することが
できる。
[発明の効果] 本発明の方法によれば、1,1−ジフェニルエタン置換
体から高い選択率をもって、置換フェノールを製造する
ことができる。すなわち電子供与性基を出発原料の1,1
−ジフェニルエタン置換体が有するために、置換フェノ
ールが選択的に製造され高い収率で得られる。
[実施例] 以下に実施例により本発明を詳述する。
参考製造例 1−[3−(1−メトキシカルボニルエチル)フェニ
ル]−1−フェニルエタンの合成 500mlの滴下漏斗、還流冷却器および攪拌機付きの2l
三つ口フラスコ中に、金属マグネシウム28g(1.15モ
ル)を入れ、乾燥窒素を流して充分乾燥させた後、モレ
キュラーシーブ5Aで乾燥したテトラヒドロフラン50mlを
滴下して室温で激しく攪拌しておく。しかる後に、3−
臭化ビニルベンゼン183g(1.0モル)を乾燥済みのテト
ラヒドロフラン500mlと混合した溶液を徐々に2時間か
けて滴下した。滴下開始後温度を80℃として、滴下終了
後もそのままの温度で更に1時間攪拌を続け、グリニャ
ール試薬(臭化3−ビニルフェニルマグネシウム)を得
た。次に該試薬を(1−塩化エチル)ベンゼンン94g
(0.67モル)および1,3−ビス(ジフェニルホスフィ
ノ)プロパン配位塩化ニッケル(II)触媒5.4gを500ml
乾燥エーテルに混合し、攪拌している中へ2時間かけて
徐々に滴下した。滴下中は容器内を0℃に保持し、滴下
終了後、温度を35℃にしてそのまま24時間攪拌を続け
た。しかる後に反応液を氷水(氷1000g、水500g)中に
投入し、分液して油層を回収した後、エーテルおよびテ
トラヒドロフランを減圧留去して1−フェニル−1−
(3−ビニルフェニル)エタンを収率74%で得た。
このようにして得られた1−フェニル−1−(3−ビ
ニルフェニル)エタン43.0g、塩化パラジウム(II)0.7
4g、トリフェニルホスフィン2.19g、メチルアルコール1
3.4gおよび溶媒としてトルエン90mlを500mlの攪拌機付
きオートクレーブに入れ、一酸化炭素によつて常温で15
0kg/cm2まで加圧し、更に加熱して125℃まで昇温し、同
時に400kg/cm2まで昇圧した。一酸化炭素の吸収が無く
なった後、16時間反応を続けた。反応終了後、反応液を
1〜2mmHgにおいて減圧蒸留し、沸点148〜153℃の留分
1−[3−(1−メトキシカルボニルエチル)フェニ
ル]−1−フェニルエタン47.6gを得た。
この留分の分析結果は以下の通りである。1 H−NMR:(CDCl3、δppm) 6.80〜7.50(9H、多重線) 4.00〜4.30(1H、4重線) 3.55〜3.80(4H、多重線) 1.40〜1.70(6H、4重線) IR:(Neat)cm-1 3030、2980、1735、1605、1492、1453、900、765 705 元素分析:(C18H20O2として) 計算値 C: 80.57% H: 7.51% O: 11.92% 実測値 C: 80.53% H: 7.50% O: 11.97% 実施例1 1,1−ジフェニルエタン置換体として1−(4−メチ
ルフェニル)−1−フェニルエタン10.3g(52.8mmo
l)、ステアリン酸ナトリウム0.04g、反応開始剤として
のアゾビスシクロヘキシルカルボニトリル(ACN)0.7g
および1%炭酸ナトリウム水溶液30mlの混合物を85℃で
激しく攪拌しながら純酸素を4l/hrの速度で10時間導入
した。室温まで冷却した後、反応液の過酸化物濃度をヨ
ードメトリーで測定したところ反応率は15.2%であっ
た。このようにして得られた過酸化物溶液のうち2mlを
氷酢酸と10%硫酸水溶液の1:1混合液25mlに加え、50℃
で4時間攪拌した。生成物はガスクロマトグラフおよび
マススペクトルで分析したところ、反応生成物中のフェ
ノール類のうち4−メチルフェノールの選択率は86.6%
であったのに対し置換基のないフェノールでは13.4%に
過ぎなかった。
実施例2、3 次の第1表に記載の1,1−ジフェニルエタン置換体を
用いて実施例1と同様にして反応させた。
結果は第1表にまとめて示す。
実施例4 1,1−ジフェニルエタン置換体として、参考製造例で
合成した1−[3−(1−メトキシカルボニルエチル)
フェニル]−1−フェニルエタン14.2g(52.8mmol)な
らびにステアリン酸ナトリウム0.04g、反応開始剤とし
てのアゾビスシクロヘキシルカルボニトリル(ACN)0.7
gおよび1%炭酸ナトリウム水溶液30mlの混合物を85℃
で激しく攪拌しながら純酸素を4l/hrの速度で10時間導
入した。反応の進行に従って反応溶液が酸性になるのを
防ぐため炭酸ナトリウム水溶液を追加した。
このようにして得られたヒドロペルオキシドを含む溶
液を室温まで冷却した後、硫酸酸性にしエーテルで抽出
した。エーテル層のヒドロペルオキシド濃度をヨードメ
トリーで測定したところ反応率は30.0%であった。
蒸留によりエーテルを除去した残渣に10%硫酸水溶液
100mlを加え攪拌しながら還流温度で4時間加熱した。
室温まで冷却した後、エーテルで抽出した。エーテル
層は硫酸マグネシウムで乾燥した後蒸留によりエーテル
を除去した。残渣に5%硫酸を含むメタノール溶液を50
ml加え還流温度で4時間加熱した。生成物は中和した
後、油分はエーテルで抽出し、更にエーテルを蒸留で除
去した後、ガスクロマトグラフおよびマススペクトルで
分析したところ、反応生成物中のフェノール類のうち2
−(3−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチルの選
択率は66.4%であったのに対し置換基のないフェノール
では33.6%に過ぎなかった。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07C 69/732 9546−4H // C07B 61/00 300

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】2つのフェニル基の置換基の電子供与性の
    度合いが相違する1,1−ジフェニルエタン置換体を、塩
    基の存在下に、温度40〜150℃において分子状酸素によ
    り酸化することによって、該置換体に対応したヒドロペ
    ルオキシドを得て、次いでこれを酸分解することを特徴
    とする、該電子供与性の度合いが高い方の基を有する置
    換フェノールを選択的に製造する方法。
  2. 【請求項2】下記式(I)で表される1−ジフェニルエ
    タン置換体を分子状酸素により酸化して、下記式(II)
    で表されるヒドロペルオキシドを得て、次いでこれを酸
    分解することを特徴とする下記式(III)で表される置
    換フェノールの製法。 式(I) 式(II) 式(III) 上式において、R1はR2よりも相対的に電子供与性の度合
    が高い置換基である。また、m、nは1から3の整数で
    ある。
  3. 【請求項3】前記R1が低級アルキル基、低級カルボキシ
    アルキル基、低級シアノアルキル基、低級アルコキシ
    基、低級アルコキシカルボニルアルキル基から選択され
    る請求項2記載の置換フェノールの製法。
  4. 【請求項4】前記R2が水素原子またはハロゲン原子であ
    る請求項2記載の置換フェノールの製法。
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