JPH08299428A - 生体適合性を有するチタン系合金類からなる医療器具 - Google Patents

生体適合性を有するチタン系合金類からなる医療器具

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JPH08299428A
JPH08299428A JP7293730A JP29373095A JPH08299428A JP H08299428 A JPH08299428 A JP H08299428A JP 7293730 A JP7293730 A JP 7293730A JP 29373095 A JP29373095 A JP 29373095A JP H08299428 A JPH08299428 A JP H08299428A
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Henry J Rack
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    • A61L27/00Materials for grafts or prostheses or for coating grafts or prostheses
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    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
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    • A61F2310/00Prostheses classified in A61F2/28 or A61F2/30 - A61F2/44 being constructed from or coated with a particular material
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 生きているヒトの身体上あるいは身体中に長
期間残置することを目的とする、生体適合性のあるチタ
ン系合金類からなる外科用および医療用の移植片類など
の医療器具を提供する。 【解決手段】 Al、Ni、Co、Fe、Cr、Moお
よびW等の毒性のある元素を含有せず、組成をすべて重
量%単位とすると、約2.5〜13%のZr、約20〜
約40%のNb、約4.5%〜約25%のTa、および
残量のTiからなり、TaとNbの合計量が約35〜5
2重量%であり、Nb/Taの比率が2〜13であり、
Ti、Zr、TaおよびNbの相対比率が調整されて、
弾性率が65GPaより低い第四級チタン合金類からな
る医療器具。用いる合金類には、限定された量ではある
が、C、NおよびO等の、毒性のない格子間元素を含有
させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、弾性率が低い、生
体適合性チタン系合金類に関する。より詳しくは、ニオ
ブ、タンタルおよびジルコニウムを含有し、これら元素
間の相対比率によって、展性を持ち、安定したベータ型
形態 (beta (BCC) morphology)を示し、弾性率が70G
Paより低く、且つ引張強度が少なくとも80,000
psiである、生体適合性チタン系合金類に関する。
【0002】本発明は、生体適合性元素からなり、A
l、Fe、Ni、Co、Cr、MoまたはWなどの毒性
金属元素を含まず、したがって、長期間人体上または人
体中に定置させることを目的とする、医療器具に有用な
四元チタン系合金群に関する。このような器具の用途と
して外科用移植片が挙げられるので、解説がしやすいよ
うに、本発明をこの用途に沿って説明する。ただし、上
記合金類は、その化学物理特性から見て、医療部門そし
て非医療部門において、他にも効用があることが理解さ
れるべきである。
【0003】
【従来の技術】外科用移植片の合金は、ヒトに毒性があ
る元素を含むことなく、すべてヒトの組織と生体適合性
を持つ元素からなることが必須である。また、合金に展
性があり、弾性率が人体の骨のそれに匹敵するほど低い
ことが望まれている。生体適合性チタン系合金類は、次
のような多くの合衆国特許に開示されている。
【0004】 スタインマンら 第4,040,129号 (Steinemann et al.) 1973年8月9日発行 ワングら 第4,857,269号 (Wang et al.) 1989年8月18日発行 ワングら 第4,952,236号 (Wang et al.) 1990年8月28日発行 デイビッドソンら 第5,169,597号 (Davidson et al.) 1992年12月2日発行
【0005】これらの特許の開示は、本発明の属する分
野の技術を代表するものであり、且つ従来の技術を説明
するものとして、本願明細書の一部とする。本発明は、
上記の発明で開示されている合金類を改良して、完全な
生体適合性を持ち、弾性率の低い、新規な合金類を提供
するものである。
【0006】スタインマンらの特許においては、各種元
素の毒性を論議し、Nb、Ta、Cr、MoおよびAl
よりなる群から選ばれる少なくとも一種の元素を3〜3
0重量%含有する、チタンおよび/またはジルコニウム
の合金類を開示している。また、数種のα−β型合金類
が、Al、MoおよびCrを含有する多くの合金類とと
もに開示されている。しかしながら、Ti、Nb、Ta
およびZrからなる第四級合金類は開示されていない。
合金の用途が外科用移植片などの医療器具である場合、
Al、CrまたはMoは、その毒性のため、合金中に存
在するのは望ましくない。本発明の合金類にはAl、C
rまたはMoのいずれも含有されていない。
【0007】ワングらの特許二件で開示されている合金
類には、3%より少ない用量ではあるが、Fe、Mn、
Cr、CoおよびNiよりなる群から選ばれる少なくと
も一種の共晶ベータ安定剤(eutectoid beta stabilize
r) が含有されている。これらの各々の元素は、Ti、
Zr、NbまたはTaよりもはるかに毒性が強い。さら
に、これらの特許では合金類の弾性率(E)が66.9
〜100GPaであると説明されているが、ほとんどの
合金の弾性率は75〜100GPaである。ワングらの
合金類とは異なり、本発明の合金類はワングらが必要と
している、毒性を有する共晶安定剤のいずれも含有して
いない。
【0008】デイビッドソンらの特許第5,169,5
97号では、二つの特異的合金、すなわちTi−13Z
r−13Nb合金およびTi−18Zr−6Nb合金が
開示されている。これらの合金類の弾性率は85GPa
より低く、好ましくは60〜85GPaである。本発明
の合金類ではTiとZrの含量が少なく、また、Taと
Nbの合計量を調節して弾性率を低くする点で、デビッ
ドソンらの特許と異なっている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、生き
ているヒトの身体上または身体中に長期間残置すること
を目的とする、新しい改良合金類からなる医療器具を提
供することにある。本発明の他の目的は、約65GPa
より低く、好ましくは50〜60GPaの弾性率をも
つ、生体適合性のある新しい改良チタン系合金類からな
る医療器具を提供することにある。
【0010】本発明のさらに他の目的は、Ti、Nb、
TaおよびZrからなり、65GPaより低い弾性率を
もつ、生体適合性のあるチタン系合金類からなる医療器
具を生産することにある。本発明のさらに他の目的は、
本発明の新規合金類からなる外科用移植片を提供するこ
とにある。
【0011】本発明のさらに他の目的は、約2〜約9原
子百分率のZr、合計量で約22〜30原子百分率のN
bおよびTa、および残量のTiから実質的になり、T
aに対するNbの原子比率が2〜16であるチタン系合
金類を提供することにある。本発明の合金類を重量百分
率に換算すると、2.5〜13%のZr、20〜40%
のNb、5〜25%のTa、合計量で約36.5〜47
%のNbとTa、および残量のTiとなる。
【0012】本発明のさらに他の目的は、溶体の状態で
焼きなましたときに等方性となる、Ta、NbおよびZ
rを含有し、生体適合性のある、安定したβ型チタン系
合金類を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、請求項1に記載の医療器具は、2.5〜13重量%
のZr、20〜40重量%のNb、4.5〜25重量%
のTaおよび残量のTiから実質的になり、NbとTa
の合計量が35〜52重量%であり、Nb/Taの比率
が2〜13であり、且つ約65GPaより低い弾性率を
もつようにTi、Zr、TaおよびNbの相対比率が定
められる、等方性の生体適合性チタン合金から形成され
ることを特徴とする。請求項2に記載の医療器具は、上
記合金が29.2重量%のNb、12.4重量%のT
a、7.1重量%のZrおよび残量のTiから実質的に
なることを特徴とする。
【0014】請求項3に記載の医療器具は、上記合金が
23.8重量%のNb、21.6重量%のTa、4.6
重量%のZrおよび残量のTiから実質的になることを
特徴とする。請求項4に記載の医療器具は、上記合金が
35.3重量%のNb、5.7重量%のTa、7.3重
量%のZrおよび残量のTiから実質的になることを特
徴とする。請求項5に記載の医療器具は、35.3重量
%のNb、5.7重量%のTa、7.3重量%のZrお
よび残量のTiからなることを特徴とする。請求項6に
記載の医療器具は、NbとTaの合計量が38〜46重
量%であることを特徴とする。
【0015】請求項7に記載の医療器具は、Tiの含量
が46〜58重量%であることを特徴とする。請求項8
に記載の医療器具は、上記合金が、Ti、Zr、Nbお
よびTaの他に、合計量が0.5重量%より少ない、
C、NおよびOよりなる群から選ばれる少なくとも一種
の格子間元素を含有することを特徴とする。請求項9に
記載の医療器具は、外科用移植片であることを特徴とす
る。請求項10に記載の医療器具は、補てつ用移植片で
あることを特徴とする。
【0016】請求項11に記載の医療器具は、上記合金
が、約2〜9原子百分率のZr、合計量が約24〜30
原子百分率となるようなNbおよびTa、および残量の
Tiから実質的になり、且つNb/Taの原子比率が
1.9〜16であることを特徴とする。請求項12に記
載の医療器具は、上記合金が溶体の状態で焼きなました
ものであることを特徴とする。
【0017】請求項13に記載の医療器具は、Zr含量
が約4〜約7原子百分率、TaとNbの合計量が約22
〜約28原子百分率であって、且つ弾性率が約58GP
aより低いことを特徴とする。請求項14に記載の医療
器具は、Nb/Taの原子比率が約4〜6であることを
特徴とする。請求項15に記載の医療器具は、Nb/T
aの原子比率が約10〜14であることを特徴とする。
請求項16に記載の医療器具は、弾性率が、添付する図
1に示す通り57GPaより低いことを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明は、Zr、NbおよびTa
を含有するチタン系合金類の弾性率を示す図1と関連し
ながら、次の説明により明確ないし明白となる。図1
は、次の表1〜表4に示す合金類を基にして作成された
ものである。
【0019】
【表1】
【0020】
【表2】
【0021】
【表3】
【0022】
【表4】
【0023】表1〜表4は、所望の組成を形成するため
に、アーク炉あるいはプラズマ炉中で溶解した、純粋な
元素金属から調製される本発明で用いられる合金類を示
す。得られたインゴットは、合金からなる器具の用途に
合わせた形状に鍛造されたり、機械加工される。溶体を
熱処理して確実にすべてがβ型構造となるようにした
り、あるいは所望の場合には、熱処理および/または加
工を併用してα−β型合金を生産することができる。
【0024】本発明の生体適合性を有するチタン−ジル
コニウム−ニオブ−タンタル合金類には、低い弾性率に
悪影響を及ぼさない限り、毒性がない一種以上の侵入型
元素(C、NおよびO)を添加して、合金の物性に有益
な効果を与えることができる。本発明の合金類に対する
これら元素の添加量は、0.5重量%を越えてはならな
い。
【0025】図1は、表1および2に示している2〜9
原子百分率のZr、合計量が22〜27原子百分率のT
aとNbを含有し、Nb/Taの各種原子比率が1.9
〜16であるチタン系合金類の弾性率をプロットしたも
のである。
【0026】図1から、2〜9原子百分率のZrを含有
し、Nb/Taの原子比率が1.9〜16である本発明
の第四級合金類の弾性率は、47.1〜66.4GPa
であることが読み取れる。特に好ましい合金類は、グラ
フ上に示すもののうち、弾性率が最低である合金類であ
る。このように好ましい合金類は、表のうちTA5、T
A7およびTA22の三種で、重量%による組成は次の
通りである。 Nb 23.8% Ta 21.6% Zr 4.6% Ti 残量 Nb 29.2% Ta 12.4% Zr 7.1% Ti 残量 Nb 35.3% Ta 5.7% Zr 7.3% Ti 残量
【0027】コリングス(Collings)の「Sourcebook of
Titanium Alloy Superconductivity」(Plenum Press
社、New York and London (1983))において、さらにま
た、ドイツ特許公開公報第2,350,199号におい
ても、Ta、NbおよびZrのうち一種以上の元素を含
有する超伝導Ti合金類が説明されていることに注目し
なければならない。しかしながら、これらの開示の何処
にも、医療器具として、低い弾性率が望ましい特性とい
える超伝導合金類が有用であることが示唆されていな
い。
【0028】本発明の合金類から形成した移植片類に
は、コーティングや、不動態化等の他の表面処理を施す
ことによって、効用を向上させることができる。以上、
本発明の好ましい実施態様を説明したが、特許請求の範
囲に示された限定を除き、この実施態様をもって本発明
を限定することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の合金類の弾性率をプロットした図であ
る。

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2.5〜13重量%のZr、20〜40
    重量%のNb、4.5〜25重量%のTaおよび残量の
    Tiから実質的になり、NbとTaの合計量が35〜5
    2重量%であり、Nb/Taの比率が2〜13であり、
    且つ約65GPaより低い弾性率をもつようにTi、Z
    r、TaおよびNbの相対比率が定められる、等方性の
    生体適合性チタン合金から形成される医療器具。
  2. 【請求項2】 上記合金が29.2重量%のNb、1
    2.4重量%のTa、7.1重量%のZrおよび残量の
    Tiから実質的になる請求項1に記載の医療器具。
  3. 【請求項3】 上記合金が23.8重量%のNb、2
    1.6重量%のTa、4.6重量%のZrおよび残量の
    Tiから実質的になる請求項1に記載の医療器具。
  4. 【請求項4】 上記合金が35.3重量%のNb、5.
    7重量%のTa、7.3重量%のZrおよび残量のTi
    から実質的になる請求項1に記載の医療器具。
  5. 【請求項5】 35.3重量%のNb、5.7重量%の
    Ta、7.3重量%のZrおよび残量のTiからなる請
    求項1に記載の医療器具。
  6. 【請求項6】 NbとTaの合計量が38〜46重量%
    である請求項1に記載の医療器具。
  7. 【請求項7】 Tiの含量が46〜58重量%である請
    求項1に記載の医療器具。
  8. 【請求項8】 上記合金が、Ti、Zr、NbおよびT
    aの他に、合計量が0.5重量%より少ない、C、Nお
    よびOよりなる群から選ばれる少なくとも一種の格子間
    元素を含有する請求項1に記載の医療器具。
  9. 【請求項9】 外科用移植片である請求項1に記載の医
    療器具。
  10. 【請求項10】 補てつ用移植片である請求項1に記載
    の医療器具。
  11. 【請求項11】 上記合金が、約2〜9原子百分率のZ
    r、合計量が約24〜30原子百分率となるようなNb
    とTa、および残量のTiから実質的になり、且つNb
    /Taの原子比率が1.9〜16である請求項1に記載
    の医療器具。
  12. 【請求項12】 上記合金が溶体の状態で焼きなました
    ものである請求項1に記載の医療器具。
  13. 【請求項13】 Zrの含量が約4〜約7原子百分率で
    あり、TaとNbの合計量が約22〜約28原子百分率
    であって、且つ弾性率が約58GPaより低い請求項1
    に記載の医療器具。
  14. 【請求項14】 Nb/Taの原子比率が約4〜6であ
    る請求項1に記載の医療器具。
  15. 【請求項15】 Nb/Taの原子比率が約10〜14
    である請求項1に記載の医療器具。
  16. 【請求項16】 弾性率が、添付する図1に示す通り5
    7GPaより低い請求項1に記載の医療器具。
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