JPH0829907B2 - リニアモータ駆動エレベータ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はリニアモータにより駆動されて昇降するリニ
アモータ駆動エレベータに関するものである。

〔従来の技術〕

第７図〜第10図は従来のリニアモータ駆動エレベータ
を示すもので，図において，（１）は昇降路，（２）は
エレベータのかご，（３）は昇降体すなわちつり合いお
もり，（4a）（4b）は昇降路の上部に設けられた綱車，
（５）は綱車（4a）（4b）に巻き掛けられて一端がかご
（２）の上部に緊結され他端がつり合いおもり（３）に
緊結された主索，（６）は昇降路（１）内に対向して立
設された一対のかご（２）用のガイドレール，（７）は
かご（２）に取付けられガイドレール（６）に摺動自在
に係合したガイドシユー，（８）は昇降路（１）内に対
向して立設された一対のつり合いおもり（３）用のガイ
ドレール，（9a）（9b）はガイドレール（８）を挾んで
対向し，つり合いおもり（３）に固定された軸（10）に
回転可能に支持されてガイドレール（８）上を昇降方向
に転動して，つり合いおもり（３）を昇降方向に案内す
るガイドローラ，（11）はガイドレール（８）の端面に
対向し，つり合いおもり（３）に固定された軸（12）に
回転可能に支持されて，ガイドレール（８）の端面を昇
降方向に転動する端面側のガイドローラ，（13）はガイ
ドレール（８）の両側に位置し，かつガイドレール
（８）とは空隙を保持して対向し，つり合いおもり
（３）に固定された一対のリニアモータの一次コイル，
（14）は一次コイル（13）に電力を供給するパワーケー
ブルである。

なお，ガイドレール（８）は一次コイル（13）に対応
したリニアモータの二次導体として使用される。

次に，上記のように構成された従来のリニアモータ駆
動エレベータの動作について説明する。

かご（２）の上昇または下降運転指令が出ると，制御
装置（図示せず）から所定の運転パターンに従つて制御
された電力がパワーケーブル（14）を通じてリニアモー
タの一次コイル（13）に送られる。

これにより一次コイル（13）に，かご（２）の運転に
対応した昇降力すなわち推力が発生する。この結果，つ
り合いおもり（３）はガイドローラ（9a）（9b）に案内
されガイドレール（８）に沿つて昇降する。つり合いお
もり（３）が昇降すると主索（５）を介してつり合いお
もり（３）と連結されているかご（２）が昇降し所定の
エレベータの運転が行なわれる。

〔発明が解決しようとする課題〕

リニアモータの推力と，一次コイルおよび二次導体間
の空隙との関係を第12図に示す。すなわち，リニアモー
タの推力は空隙ｇが小さいほど大きくなる。従つて，リ
ニアモータ駆動のエレベータにおいては一次コイル（1
3）と二次導体，すなわち，ガイドレール（８）間の空
隙ｇを小さくすることが重要である。

ところで，昇降路（１）内に据付けられた一対のつい
合いおもり（３）用のガイドレール（８）には，第11図
に示すように据付け時に据付け誤差の発生することが多
い。すなわち，第11図（イ）に示すように，対向するガ
イドレール（８）間のづれとして段差Ａが，また第11図
（ロ）に示すように傾きθが生ずることがある。一般に
これ等の据付け誤差は据付け許容値として，例えば第11
図の段差Ａ寸法は最大1mm,角度θは最大0.5°程度が許
容されている。

このようにして据付けられた一対のガイドレール
（８）に案内されて，つり合いおもり（３）が円滑に昇
降するには，第11図に示すようにガイドレール（８）を
挾んで対向するガイドローラ（9a）と（9b）の間隔を，
ガイドレール（８）の据付け許容値に対応して広げる必
要がある。すなわち，ガイドレール（８）とガイドロー
ラ（9a）（9b）との間に間隙を持たせることにより，ガ
イドレール（８）の据付け誤差を吸収し昇降できるよう
にしている。この場合，一次コイル（13）もガイドレー
ル（８）に接触しないようガイドレール（８）から後退
させる必要がある。

以上の構造から成るリニアモータ駆動エレベータに
は，次のような問題点があつた。

ａ） リニアモータの一次コイル（13）をガイドレール
（８）に大して，例えば空隙を1mm程度まで接近させて
推力を大きくしたいが，ガイドレール（８）の据付け許
容値の関係から，空隙を2mm程度までしか接近させるこ
とができない。

従つて，リニアモータの持つ推力を効率的に利用する
ことができず，所要の推力を確保するためにはリニアモ
ータの容量を大きくする必要があつた。

ｂ） ガイドレール（８）にガイドローラ（9a）が当接
した状態（第10図に示す）と離れている状態（第９図に
示す）とではガイドレール（８）と一次コイル（13）の
間の空隙g,g′が相違するため，一次コイル（13）に同
じ電力を供給しても発生する推力が異なり，リニアモー
タの正確な制御ができなかつた。

本発明は，かかる問題点を解決するためなされたもの
で，現状のガイドレール（８）の据付け許容値を変える
ことなく，リニアモータの推力を効率的に利用し，かつ
正確に制御できるリニアモータ駆動エレベータを提供す
ることを目的としている。

〔課題を解決するための手段〕

本発明にかかるリニアモータ駆動エレベータには，帯
体からなり互いに離れて昇降路に立設された一対のガイ
ドレール，ガイドレールの間に配設され両側部にガイド
レールを取り囲む取り囲み部を有する昇降体，昇降体の
取り囲み部と，ガイドレールの少くとも一方との間にガ
イドレールを囲むように配設され，かつ，昇降体との係
合部が設けられて，昇降体とはガイドレールの立設方向
と垂直な方向には摺動可能に，またガイドレールの立設
方向に対しては所定位置に保持されるように係合したブ
ラケツト，ガイドレールに対向してブラケツトにガイド
レールとは空隙を保持して固定され，ガイドレールを二
次導体として使用するリニアモータの一次コイル，上記
ガイドレールを挾んで対向して上記ブラケツトに回転可
能に取付けられ上記ガイドレールの立設方向にガイドレ
ール上を転動するガイドローラ，ブラケツトと昇降体の
取り囲み部との間に配設された弾性部材，が設けてあ
る。

〔作用〕

上記のように構成されたリニアモータ駆動エレベータ
には，昇降体と，この昇降体に係合部を介して係合した
ブラケツトとが設けられており，ブラケツトにはガイド
レールに対向したリニアモータの一次コイルと，ガイド
レールを挾んで対向しガイドレール上を転動するガイド
ローラとが設けられ，さらに昇降体とブラケツトの間に
は弾性部材が配設されているので，昇降体が昇降する
時，ブラケツトがガイドレールに追従してガイドレール
の立設方向とは垂直な方向に摺動し，ガイドレールの据
付け誤差を吸収することができる。

〔実施例〕

以下この発明の第１の実施例を第１図〜第５図により
説明する。図中，第７図〜第10図に示された従来装置と
同一または相当部分については同一符号を付し，その説
明は省略しここでは相違する部分を説明する。

図中，（3a）は昇降体すなわちつり合いおもり（３）
の両側部のコ字状部分であつてガイドレール（８）の外
側を取り囲む取り囲み部，（15）はつり合いおもり
（３）とガイドレール（８）との間にあつて，ガイドレ
ール（８）を囲むように設けられたブラケツトで，この
ブラケツト（15）にはガイドレール（８）に対向したリ
ニアモータの一次コイル（13）と，ガイドレール（８）
を挾んで対向し軸（17a）（17b）に回転可能に支持され
てガイドレール（８）上をガイドレール（８）の立設方
向，すなわち昇降方向に転動するガイドローラ（16a）
（16b）と，ガイドレール（８）の端面に対向し軸（1
2）に支持されてガイドレール（８）の端面を昇降方向
に転動するガイドローラ（11）とが設けてある。（3b）
はつり合いおもり（３）に設けられた溝形の摺動部で，
この摺動部（3b）にブラケツト（15）から外方へ張り出
した板状の係合部（15a）が嵌合している。そして，つ
り合いおもり（３）に対してブラケツト（15）の係合部
（15a）が昇降方向と垂直な方向には摺動可能に，ま
た，昇降方向に対しては所定位置を保持するよう係合し
ている。（18a）（18b）はブラケツト（15）と，つり合
いおもり（３）の取り囲み部（3a）との間に設けられた
ばね等からなる弾性部材で，常時はブラケツト（15）を
つり合いおもり（３）の取り囲み部（3a）の中央位置に
保持するよう付勢されている。

なお，ガイドレール（８）はリニアモータの二次導体
として使用される。また，ガイドローラ（16a）（16b）
とガイドレール（８）との間には間隙は設けられておら
ず，さらに一次コイル（13）とガイドレール（８）との
空隙はリニアモータの適性距離である1mm程度まで接近
させてある。

次に，この実施例の動作について説明する。

まず，制御装置から所定の運転パターンに従つて制御
された電力がブラケツト（15）に固定されたリニアモー
タの一次コイル（13）に供給されると，ブラケツト（1
5）には昇降方向の推力が発生する。この時，ガイドレ
ール（８）に第11図に示すような据付け誤差が発生して
いた場合には，ブラケツト（15）は弾性部材（18a）（1
8b）の緩衝作用によつて昇降方向とは垂直方向に，つり
合いおもり（３）との相対位置を変位させてガイドレー
ル（８）に追従し昇降する。ブラケツト（15）が昇降す
ると，これに係合したつり合いおもり（３）が昇降し，
さらに，つり合いおもり（３）に主索（５）を介して連
結されたかご（２）が昇降する。

この実施例によれば，ブラケツト（15）はガイドレー
ル（８）の据付け誤差の影響を受けず，しかもガイドレ
ール（８）と昇降方向に垂直な平面では常に一定の位置
関係を保持して昇降する。従つて，ブラケツト（15）に
固定した１次コイル（13）をガイドレール（８）に適性
距離まで接近させることができ，さらに１次コイル（1
3）とガイドレール（８）との空隙は常に一定に保持す
ることができる。

なお，この実施例は第４図に示すようなガイドレール
（８）の位置であつても適用可能である。すなわち，こ
の実施例は一対のガイドレール（８）を昇降路（１）内
に平行に配置したもので，このガイドレール（８）に対
しても第１の実施例と同様のブラケツト（図示せず）を
配設して，つり合いおもり（３）を昇降させることが可
能である。

第５図は，この発明による第２の実施例を示す。

第１の実施例では，つり合いおもり（３）とブラケツ
ト（15）とが対向する面に複数のばね等の弾性部材（18
a）（18b）を設けてあるが，第２の実施例では昇降体す
なわちつり合いおもり（３）と，ブラケツト（15）とが
対向している一方の面に弾性ゴム（19）を設けて，ブラ
ケツト（15）をつり合いおもり（３）の取り囲み部（3
a）の中央位置に保持するようにしたものである。この
場合も，第１の実施例と同様にブラケツト（15）を昇降
方向とは直角の方向に摺動させることができる。

また，第５図に示すようにガイドレール（８）の端面
に対向するガイドローラは，リニアモータの一次コイル
（13）とガイドレール（８）間の空隙を保持するために
直接機能していないので省略してもよい。

なお，第１および第２の実施例では，つり合いおもり
（３）の取り囲み部（3a）およびこれと係合するブラケ
ツト（15）を一対のガイドレール（８）のそれぞれに対
向するように設けているが，このブラケツト（15）をガ
イドレール（８）の一方のみに設けてもよい。

第６図は，この発明による第３の実施例を示すもの
で，この実施例は，昇降体すなわちかご（２）側にリニ
アモータの駆動源を設けたものである。

この実施例では，ブラケツト（15）が，ガイドレール
（20）に対してかご（２）の両側部に設けられ，このブ
ラケツト（15）は第１の実施例と同様の構成から成る。
この場合も，第１の実施例と同様にブラケツト（15）が
ガイドレール（20）に追従して昇降し，このブラケット
（15）に係合したかご（２）が昇降する。

〔発明の効果〕

以上説明した通り，この発明によるリニア駆動エレベ
ータは，昇降体に，この昇降体と係合したブラケツトが
設けられており，このブラケツトにはガイドレールに対
向したリニアモータの一次コイルと，ガイドレールを挾
んで対向しガイドレール上を転動するガイドローラとが
設けられ，さらに昇降体とブラケツトとの間には弾性部
材が設けられており，ガイドレールに据付け誤差が発生
していても，ブラケツトがガイドレールに追従しガイド
レールの昇降方向とは垂直な方向に摺動して昇降し，こ
のブラケツトに係合した昇降体はガイドレールの据付け
誤差を吸収して昇降するので，ブラケツトに固定したリ
ニアモータの一次コイルをガイドレールに対して適性距
離まで接近させることが可能となり，リニアモータの推
力を効率的に使用することができ，また，昇降体が昇降
中，一次コイルとガイドレールとの空隙は常に一定に保
持されるのでリニアモータの推力を正確に制御すること
ができ，乗心地のよいリニアモータ駆動エレベータを得
ることができる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は，この発明の第１の実施例を示すリニアモータ
駆動エレベータの横断面図，第２図は第１図の要部拡大
図，第３図は第２図のIII-III矢視断面図，第４図はガ
イドレールの他の配置例を示すエレベータの横断面図，
第５図はこの発明の第２の実施例を示す第２図相当図，
第６図はこの発明の第３の実施例を示すエレベータの横
断面図，第７図は従来のリニアモータ駆動エレベータの
構成図，第８図は同じく横断面図，第９図および第10図
は第８図の要部拡大図，第11図はエレベータのガイドレ
ールの据付け誤差を説明するための図，第12図はリニア
モータの特性図である。 （２）……昇降体（かご），（３）……昇降体（つり合
いおもり），（８）……ガイドレール，（13）……一次
コイル，（15）……ブラケツト，（11），（16a,）（16
b）……ガイドローラ，（18a），（18b），（19）……
弾性部材。 なお，図中同一部分または相当部分は同一符号により示
す。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】帯体からなり互いに離れて昇降路に立設さ
   れた一対のガイドレール， 上記ガイドレールの間に配設され両側部に上記ガイドレ
   ールを取り囲む取り囲み部を有する昇降体， 上記昇降体の上記取り囲み部と，上記ガイドレールの少
   くとも一方との間に上記ガイドレールを囲むように配設
   され，かつ，上記昇降体との係合部が設けられて，上記
   昇降体とは上記ガイドレールの立設方向と垂直な方向に
   は摺動可能に，また上記ガイドレールの立設方向に対し
   ては所定位置に保持されるように係合したブラケツト， 上記ガイドレールに対向して上記ブラケツトに上記ガイ
   ドレールとは空隙を保持して固定され，上記ガイドレー
   ルを二次導体として使用するリニアモータの一次コイ
   ル， 上記ガイドレールを挾んで対向して上記ブラケツトに回
   転可能に取付けられ上記ガイドレールの立設方向に上記
   ガイドレール上を転動するガイドローラ， 上記ブラケツトと上記昇降体の上記取り囲み部との間に
   配設された弾性部材， とを備えたことを特徴とするリニアモータ駆動エレベー
   タ。