JPH08296824A - 焼却炉 - Google Patents

焼却炉

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JPH08296824A
JPH08296824A JP12430695A JP12430695A JPH08296824A JP H08296824 A JPH08296824 A JP H08296824A JP 12430695 A JP12430695 A JP 12430695A JP 12430695 A JP12430695 A JP 12430695A JP H08296824 A JPH08296824 A JP H08296824A
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JP
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combustion chamber
primary
supply pipe
furnace body
secondary combustion
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JP12430695A
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Tadami Maeda
忠身 前田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 焼却(燃焼)にともなって発生する排気ガス
の無煙・無臭化、燃焼効率の向上、設備費・ランニング
コストの低減、燃焼時に発生する余熱の利用などこれら
を合理的に実現することのできる焼却炉を提供する。 【構成】 炉体11の内部空間により一次燃焼室27が
形成されている。一次燃焼室27内の上部側に二次燃焼
室61が設けられていて、二次燃焼室61の下部側から
上部側へ抜ける気流通路62・65・66が、二次燃焼
室61の設置領域にある。一次燃焼室27内の気流を二
次燃焼室61内へ誘導するための気流誘導筒67が、炉
体11の上壁面部と二次燃焼室61の壁面部とにわたり
連結されている。排気筒68が二次燃焼室61に連結さ
れて炉体11外へ突出している。一次燃焼室27内に一
次給気管44が導入されている。二次焼室61に通じる
部位に二次給気管49が導入されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は固体・液体・気体を燃焼
(気体の熱処理も含む)させることのできる焼却炉に関
し、とくに廃棄物の焼却処理に適した焼却炉に関する。
【0002】
【従来の技術】廃棄物処理の一手段として古くから採用
されている焼却法(燃焼法)は、廃棄物の自己燃焼作用
を主体にしたものや、燃焼機器を利用して廃棄物の自己
燃焼作用を促進させるものに分けられる。
【0003】可燃性廃棄物には、固体系のものとして厨
芥・紙・木片・合成樹脂片のような雑芥や、化学繊維、
古タイヤなどがあり、液体系の代表例に廃油、気体の代
表例に廃ガスがある。これらの廃棄物は固体系・液体系
・気体系のように大分別されているほか、類似の材質ご
とに中分別されていたり、ほぼ同一の材質ごとに小分別
されていることもある。
【0004】可燃性廃棄物は小分別されているものほど
燃焼条件が単一化する。したがって焼却処理すべき可燃
性廃棄物としては小分別されているのが望ましい。しか
し、一般家庭やその他から排出される膨大な量の廃棄物
(ゴミ)の場合は、これを細かく分別する上で多くの困
難をともない、費用の面でも釣り合いが取れない。それ
ゆえ現状では、雑多なものが混在した廃棄物をそのまま
焼却処理している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】雑多なものが混在した
廃棄物を焼却する場合には、つぎの課題に対する技術的
な配慮が必要である。:煙・臭気などを含む有害物を
発生させたりこれを周囲に拡散させたりしない。:燃
焼効率を高める。:設備費やランニングコストを低く
抑える。:燃焼時の余熱を無駄なく活用する。
【0006】これらの課題を解決するために、大型・中
型・小型など各種の焼却装置(焼却炉)が提供されてい
る。しかし、家庭やその他からの廃棄物(ゴミ)を大量
焼却するための大型焼却装置は、これが建造物化された
巨大なものであるために巨額の設備費を要し、ランニン
グコストもきわめて高い。したがって、大型の焼却装置
には課題が残されている。中型の焼却装置も、内部構
造が複雑であるために課題を十分に解決するには至ら
ない。小型の焼却炉は焼却能力が乏しいために廃棄物の
焼却時に課題・をともなう。
【0007】[発明の目的]本発明はこのような技術的
課題に鑑み、焼却(燃焼)にともなって発生する排気ガ
スの無煙・無臭化、燃焼効率の向上、設備費・ランニン
グコストの低減、燃焼時に発生する余熱の利用など、こ
れらを合理的に実現することのできる焼却炉を提供しよ
うとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係る焼却炉は所
期の目的を達成するために、炉体の内部空間により一次
燃焼室が形成されていること、および、一次燃焼室内の
上部側に二次燃焼室が設けられていて、二次燃焼室の下
部側から上部側へ抜ける気流通路が二次燃焼室の設置領
域にあること、および、一次燃焼室内の気流を二次燃焼
室内へ誘導するための気流誘導筒が、炉体の上壁面部と
二次燃焼室の壁面部とにわたり連結されていること、お
よび、排気筒が二次燃焼室に連結されて炉体外へ突出し
ていること、および、一次燃焼室内に一次給気管が導入
されていること、および、二次焼室に通じる部位に二次
給気管が導入されていることを特徴とする。
【0009】本発明に係る焼却炉の実施態様として下記
に例示するものをあげることができる。点火バーナが一
次燃焼室に対応して備えつけられ、補助バーナが二次燃
焼室に対応して備えつけられている。二次燃焼室が環状
のケースからなり、二次燃焼室の内部が多孔板で仕切ら
れている。一次燃焼室内の中心部に導入された縦型の一
次給気管がその上端に助燃盤を備えている。一次燃焼室
内の中心部に導入された一次給気管の周りに多孔状の燃
焼強化筒が配置されている。一次燃焼室の上部内周面に
多数の気流抑制孔が形成されて、これら気流抑制孔に通
じる給気路が一次燃焼室の壁面に備えつけられている。
一次給気管の下部外周に液体燃料の燃焼皿が取りつけら
れて、その受皿と対応する一次給気管の下部壁に空気噴
射孔が形成されているとともに、液体廃棄物の供給管が
炉体外から一次燃焼室内の受皿上まで配管されている。
気体廃棄物の供給管が炉体外から一次燃焼室内の下部に
導入されていること、一次燃焼室と二次燃焼室とを備え
た炉体が中空の二重壁構造物からなり、その二重壁の空
間部に冷却水の循環系が接続されている。
【0010】
【作用】本発明に係る焼却炉を用いて固体系の可燃性廃
棄物を焼却するときに、炉体内の一次燃焼室に廃棄物を
投入してこれに点火し、一次給気管から一次燃焼室内に
空気を送り込むと、廃棄物が自燃しはじめる。廃棄物の
燃焼にともなって一次燃焼室内には高温の上昇気流が発
生し、これが気流通路、気流誘導筒を通って二次燃焼室
内に至る。二次燃焼室の内部は一次燃焼室内の熱気を受
けて高温化しており、二次給気管からの空気供給も受け
ている。したがって、一次燃焼室内から二次燃焼室内へ
流れ込む気流中に未燃ガスや未燃微粒子が含まれていて
も、これらの未燃物質は二次燃焼室内で完全燃焼する。
以下は二次燃焼室中のガスが排気筒を通って炉体外へ排
出される。この排気ガスは完全燃焼後のものであるので
無煙かつ無臭である。
【0011】本発明に係る焼却炉が液体廃棄物の供給管
や受皿を備えている場合は、可燃性の液体廃棄物を焼却
することができる。このケースにおいては、供給管から
一次燃焼室内の受皿上に液体廃棄物(例:廃油)を供給
してこれに点火し、一次給気管から一次燃焼室内に空気
を送り込む。以下は上記と同様にして液体廃棄物が焼却
される。
【0012】本発明に係る焼却炉が気体廃棄物の供給管
を備えている場合は、その気体廃棄物を焼却および/ま
たは熱処理することができる。このケースの一例とし
て、可燃性の気体廃棄物(可燃性廃棄ガス)を焼却する
ときは、供給管から一次燃焼室内の下部に可燃性廃棄ガ
スを供給してこれに点火し、一次給気管から一次燃焼室
内に空気を送り込めばよい。こうした場合の可燃性廃棄
ガスは、前述したと同様の一次燃焼作用・二次燃焼作用
を受けて焼却される。また、化学的な酸化で安定する気
体廃棄物や高温処理で無臭化する気体廃棄物なども、こ
れらを炉体の内部に送り込み、一次燃焼室・二次燃焼室
で高温加熱したり酸化させたりすることで処理される。
【0013】
【実施例】本発明に係る焼却炉の一実施例について、図
面を参照して説明する。
【0014】図1〜図5において、11は炉体、31は
冷却水用の循環系、41は燃焼空気用の送風系、51〜
54は燃焼強化筒、61は二次燃焼室、65は気流誘導
筒、66は排気筒、71は点火バーナ、73は補助バー
ナをそれぞれ示す。
【0015】図1〜図3を参照して明らかなように、炉
体11は胴壁と天井壁と底壁(炉床壁)とを備えた中空
体からなり、胴壁と天井壁とが二重壁で構成されてい
る。炉体11の二重壁部分を構成している内壁板12と
外壁板13との間は水套用の空間部14となっている。
炉体11の天井壁側にある空間部14には蒸気排出用・
冷却水のオーバフロー用を兼ねる吐出管15が設けられ
ている。炉体11の胴壁には投入口15が形成されてお
り、その胴壁の下部には図示しない水抜き口が設けられ
る。炉体11の底壁は図示例のごとき輪形の脚台を外部
底面に有する。炉体11の投入口16を開閉するための
開閉蓋17も水套用空間部(図示せず)を有する二重壁
構造からなり、これの一部には耐熱性透明板を利用した
透視窓18が形成されている。開閉蓋17は投入口16
にあてがわれ、複数のヒンジ19を介して炉体11の胴
壁に取りつけられている。炉体11側の水套用空間部1
4と開閉蓋17側の水套用空間部とは、耐熱性・耐圧性
・可撓性を有するホース20を介して互いに通じてい
る。開閉蓋17の開閉端をロックするためのレバー付き
ロック部材21は、投入口16の側部と対応して炉体胴
壁の一部(外壁板13の表面)に回転自在に取りつけら
れている。炉体11の胴壁において、投入口16の下位
部分には開閉蓋22を備えた灰出口23が設けられてい
る。炉体11の内部において、内壁板12の上部には周
方向に分布する多数の気流抑制孔24が形成されてい
る。また、炉体胴壁側にある空間部14内において、内
壁板12の上部外周面には各気流抑制孔24を覆うよう
にして断面コ字形の環状部材25が取りつけられてい
る。したがって炉体11の上部側には、その周方向に沿
う給気路26が環状部材25と内壁板12の一部とで形
成されており、当該給気路26が各気流抑制孔24と通
じている。かかる炉体11の場合は、その内部空間が一
次燃焼室27として利用される。
【0016】図1〜図3を参照して明らかなように、冷
却水用の循環系31は、開閉自在なキャップ付きの注水
口32を有するラジエータ33と、ラジエータ33のア
ウトレット側に接続されたパイプ34と、ラジエータ3
3のインレット側に接続されたパイプ35と、パイプ3
5に備えつけられた冷却水循環用のポンプ36とからな
る。図示はされていないが、両パイプ34・35には周
知のバルブ・コックなどが備えられる。かかる循環系3
1の場合は、ラジエータ33とポンプ36が炉体11の
上面に設置され、パイプ34の端部が炉体11の胴壁下
部(外壁板13の開口部)に接続され、パイプ35が炉
体11の天井壁(外壁板13の開口部)に接続されてい
る。したがって冷却水用の循環系31は、前述した水套
用の空間部14と通じている。
【0017】図1〜図3を参照して明らかなように、炉
体11の内部・その他に支燃用の空気を送り込むための
送風系41は、送風機42と、送風機42の吹出口に接
続された給気元管43と、給気元管43の先端側で分岐
された一次給気管44・二次給気管49とからなる。図
4に明示されているように、一次給気管44には、その
先端部周面と長さ方向中間部周面に多数の空気噴射孔4
5・46が形成されている。図示はされていないが、こ
れら給気元管43・一次給気管44・二次給気管49に
も周知のバルブが備えられる。かかる送風系41の場合
は、送風機42が炉体11の上面に設置され、一次給気
管44が炉体胴壁の内部(水套用空間部14内)および
炉体底壁の外面を経由して炉体11の一次燃焼室27内
にまで引き込まれ、二次給気管49の先端側が後述する
気流誘導筒65内に挿入されている。この送風配管にお
ける一次給気管44に関して、一次燃焼室27内に引き
込まれた一次給気管部分は一次燃焼室27内の中央部
(炉体11の炉心部)で起立して縦型を呈しており、一
方の各空気噴射孔45は一次燃焼室27内の上部側に位
置しており、他方の各空気噴射孔46は炉体11の底壁
側に近接している。また、一次給気管44の上端面には
逆円錐形の助燃盤47が取りつけられており、一次給気
管44の外周部であって各空気噴射孔46の直下には、
炉体底壁の内面に接する受皿48が取りつけられてい
る。
【0018】図3・図4を参照して明らかなように、複
数の燃焼強化筒51〜54は互いに径の異なる多孔状の
ものからなる。これらのうち、燃焼強化筒51は、一次
燃焼室27内に引き込まれた一次給気管44の縦型部分
を覆い、燃焼強化筒52は燃焼強化筒51を覆ってい
る。また、燃焼強化筒53は燃焼強化筒52の上部を覆
い、燃焼強化筒54は燃焼強化筒53を覆っている。こ
うして一次燃焼室27内に配置された各燃焼強化筒51
〜54は、周知の手段で所定位置に保持される。ちなみ
に燃焼強化筒51の場合は、一次給気管44の前記縦型
部分にわたる複数のステー(図示せず)や炉体11の底
壁内面にわたる複数のステー(図示せず)を介してこれ
らの部分に固定され、各燃焼強化筒51〜54の場合
は、これらの内外周面にわたる複数本のステー(図示せ
ず)を介して相互に固定される。
【0019】図3・図5を参照して明らかなように、二
次燃焼室61はリング状のケースで構成されており、中
心部に気流通路62を有する。二次燃焼室61の内部は
複数の長い多孔板63と複数の短い多孔板64とで仕切
られている。図5に明示されているように、長い各多孔
板63の内側端・外側端はリング状二次燃焼室61内の
両周面に接している。また、二枚の短い多孔板64は、
これらの内側端が二次燃焼室61内の周面に接し、これ
らの外側端が互いに突き合って尖鋭な形状をなしてい
る。かかる二次燃焼室61は、炉体11の内部たる一次
燃焼室27内において燃焼強化筒53・54上に配置さ
れ、一次燃焼室27の周面・上面との間に気流通路65
・66を介在している。この場合の気流通路62は一次
給気管44の縦型部分や各燃焼強化筒51〜54と同心
状に並んでいる。
【0020】気流誘導筒67は、これの一端が炉体11
の上部(炉体天井壁の開口部)に接続されているととも
に、これの他端が二次燃焼室61の一部(二次燃焼室上
面の開口部)に接続されている。したがって、炉体11
内の上部と二次燃焼室61の内部とは気流誘導筒67を
介して互いに通じている。また、前述した二次給気管4
9の先端側は、二次焼室61に通じる部位すなわち気流
誘導筒67内に挿入されている。排気筒68は、これの
一端が二次燃焼室61の一部(二次燃焼室上面の開口
部)に接続され、これの他端が炉体11の天井壁を貫通
して外部へ突出している。排気筒68内には、前述した
吐出管15の上端が挿入されている。
【0021】点火バーナ71は炉体11の一次燃焼室2
7に対応して備えつけられている。より具体的には点火
バーナ71の火炎噴射口72が炉体11の胴壁下部に取
りつけられてその胴壁を貫通している。このようにして
炉体11に取りつけられた点火バーナ71の火炎噴射口
72は炉体11内の受皿48と向き合っている。補助バ
ーナ73は二次燃焼室61に対応して備えつけられてい
る。より具体的には補助バーナ73の火炎噴射口74が
炉体11の胴壁上部に取りつけられてその胴壁および二
次燃焼室61の周壁を貫通している。このようにして炉
体11に取りつけられた補助バーナ73の火炎噴射口7
4は、二次燃焼室61内において尖鋭な形状をなしてい
る短い両多孔板64の先端部と向き合っている。その
他、液体廃棄物の供給管75が炉体11の底壁を貫通し
て一次燃焼室27内の受皿48上まで配管されており、
気体廃棄物の供給管76も炉体11の底壁を貫通して一
次燃焼室27内の受皿48付近まで配管されている。こ
れら供給管75・76の基端部は図示しないタンクまた
はボンベなどに接続されている。
【0022】上記のようにして各部・各部材が組み立て
られるときの二次燃焼室61は、既述の固定状態にある
両燃焼強化筒53・54上に取りつけられて固定され、
および/または、炉体11の所定部に装備された気流誘
導筒67・排気筒68・補助バーナ73などと連結され
て固定される。
【0023】上述した図示例の焼却炉において、透視窓
18は、たとえば周知の耐熱性ガラスからなり、ヒンジ
19・ロック部材21などは既製の金属金具からなる。
ラジエータ33・ポンプ36・送風機42・点火バーナ
71・補助バーナ73なども主に市販品が用いられる。
ちなみに、点火バーナ71・補助バーナ73としてはオ
イルバーナが用いられる。また、炉体11やこれに関連
するその他の構成部材については、主として耐熱性金属
からなるものが用いられるが、部分的には耐熱性セラミ
ックが採用されることもある。なお、各燃焼強化筒51
〜54が金属製である場合は、これらの素材として厚さ
1.5mm程度の鉄板を採用するのが望ましい。
【0024】図1〜図5に例示された焼却炉を用いて固
体系の可燃性廃棄物・液体廃棄物・気体廃棄物などを焼
却したり熱処理したりする例を以下に説明する。
【0025】固体系の可燃性廃棄物を焼却するときは、
炉体11の投入口16から一次燃焼室27内に廃棄物を
投入して投入口16を閉じた後、点火バーナ71を介し
て一次燃焼室27内の廃棄物に点火するほか、廃棄物へ
の点火と同期または前後して送風系41の送風機42を
稼働させ、一次給気管44の各空気噴射孔45・46や
その他から一次燃焼室27内に空気を送り込む。このよ
うにすると廃棄物が燃焼しはじめる。
【0026】可燃性廃棄物(固体系)の燃焼初期におい
ては、廃棄物が安定した自燃状態を呈するまで点火バー
ナ71の火力を利用する。廃棄物の燃焼初期において一
次燃焼室27内に発生する未燃ガスや未燃微粒子は、一
次燃焼室27内の周面沿いに上昇し、両気流通路65・
66を通って気流誘導筒67側へ流れ込もうとする。こ
れに対して、送風機42→一次給気管44の一部→給気
路26→各気流抑制孔24の経路で一次燃焼室27内に
噴射される空気は、未燃ガスや未燃微粒子を一次燃焼室
27内の中心部(炉心部)側へ押しやる。したがって、
未燃ガス・未燃微粒子が気流誘導筒67側へ短絡的に通
過することは殆どない。このような状況の一次燃焼室2
7内においては、空気噴射孔45・46や気流抑制孔2
4から噴射される空気と燃焼初期の発生ガスとが互いに
混じり合い、時間の経過とともに廃棄物の燃焼も安定す
る。この時点では、燃焼初期に発生した未燃ガス・未燃
微粒子の殆どが完全燃焼し、未燃ガス・未燃微粒子の発
生も燃焼初期と比べて大幅に減少する。また、助燃盤4
7や各燃焼強化筒51〜54が一次燃焼室27内の熱気
を受けて高温赤熱化するために、一次燃焼室27内がよ
り高温化し、二次燃焼室61も一次燃焼室27内の熱気
で高温化する。
【0027】一次燃焼室27内への給気を続行しながら
廃棄物を旺盛に自燃させていくと、一次燃焼室27内の
ガスが前記よりも高温化かつ膨張し、一次燃焼室27内
に高温の上昇気流が発生する。一次燃焼室27内の上昇
気流は、各気流抑制孔24から噴射される空気の抑制力
を上回るものである。したがって上昇気流は、各気流通
路62・65・66や気流誘導筒67を通り、しかも、
気流誘導筒67内において二次給気管49から供給され
る空気と混じり合いながら二次燃焼室61内に至る。
【0028】前述のとおり、二次燃焼室61の内部は一
次燃焼室27内の熱気を受けて高温化しており、二次給
気管49から空気も供給されている。したがって、一次
燃焼室27内から二次燃焼室61内へ流れ込む気流中に
未燃ガス・未燃微粒子が含まれていても、これらの未燃
物質は二次燃焼室61内で完全燃焼する。それでも完全
燃焼しない未燃ガス・未燃微粒子が出る場合は、補助バ
ーナ73を点火し、補助バーナ73の火力を併用して残
存未燃物質を完全燃焼させる。以下は、二次燃焼室61
中のガスが排気筒68を通って炉体11外へ排出され
る。この排気ガスは、完全燃焼後のものであるために無
煙かつ無臭であり、有害な物質を殆ど含んでいない。
【0029】液体系の可燃性廃棄物、たとえば、廃油を
焼却するときは、廃油タンク(図示せず)に通じる供給
管75から一次燃焼室27内の受皿48上に廃油を供給
し、点火バーナ71を介して受皿48上の廃油に点火す
るほか、廃油への点火と同期または前後して送風系41
の送風機42を稼働させ、一次給気管44の各空気噴射
孔45・46やその他から一次燃焼室27内に空気を送
り込む。このようにすると廃油が燃焼しはじめる。その
後は、廃油の燃焼状況に応じて廃油の供給量・空気の供
給量をコントロールする。以下、液体廃棄物は上記と同
様に焼却され、無煙無臭化(無害化)された排気ガスの
みが排気筒68から炉体11外へ排出される。
【0030】可燃性廃棄ガスを焼却するときも、廃棄ガ
スタンク(図示せず)に通じる供給管76から一次燃焼
室27内に廃棄ガスを噴射し、点火バーナ71を介して
廃棄ガス廃油に点火するほか、廃棄ガスへの点火と同期
または前後して送風系41の送風機42を稼働させ、一
次給気管44の各空気噴射孔45・46やその他から一
次燃焼室27内に空気を送り込む。このようにすると廃
棄ガスが燃焼しはじめる。その後は、廃棄ガスの燃焼状
況に応じて廃油の供給量・空気の供給量をコントロール
する。以下、可燃性廃棄ガスは上記と同様に焼却され、
無煙無臭化(無害化)された排気ガスのみが排気筒68
から炉体11外へ排出される。
【0031】不燃性または難燃性の廃棄ガスを酸素雰囲
気下で熱処理して化学的に安定なものにするときは、点
火バーナ71・補助バーナ73を点火状態にしてこれら
の火炎を定常的に一次燃焼室27内・二次燃焼室61内
へ吹き込み、送風系41の送風機42を稼働させて一次
給気管44・二次給気管49の所定部から一次燃焼室2
7内・二次燃焼室61内に空気を送り込み、さらに、廃
棄ガスタンク(図示せず)に通じる供給管76から一次
燃焼室27内に廃棄ガスを送り込む。このようにする
と、廃棄ガスは高温下での酸化作用を受けて有害物質な
どに変化しない安定なものになり、これが排気筒68か
ら炉体11外へ排出される。なお、この際の処理済ガス
を大気中に放出しないときは、排気筒68から排出され
る処理済ガスをタンク内に回収する。
【0032】その他の使用例として、固体系廃棄物・液
体系廃棄物・気体系廃棄物の二つ以上を同時に焼却した
り熱処理したりすることができる。もちろん、本発明に
係る焼却炉は、廃棄物以外のものを焼却する場合にも利
用することができる。
【0033】上述した各使用例において、炉体11を冷
却したり湯沸かしを行なったりするときは、循環系31
の各部内を冷却水(例:上水)で満たしておき、ポンプ
36を稼働させる。このようにしたときの冷却水は、ラ
ジエータ33→パイプ34→水套用空間部14→パイプ
35→ポンプ36→ラジエータ33のように循環し、か
かる循環時に炉体11からの熱を吸収して高温化すると
同時に炉体11を冷却する。この際にラジエータ33は
循環系31内の熱湯を所定温度まで冷却する。循環系3
1内の熱湯がラジエータ33の冷却能力を上回るほどオ
ーバヒートして蒸気化し、水套用空間部14が異常高圧
になったときには、水套用空間部14内の蒸気および/
または熱湯が吐出管15から循環系31外へ放出され
る。また、給湯のために水套用空間部14の熱湯を循環
系31の適所から取り出して利用することもできる。こ
のような給湯により水套用空間部14内の水量が減少し
たときは、これを自明の手段で補給する。
【0034】本発明において請求項2〜9に記載されて
いる技術的事項は任意の選択事項であるから、本発明に
係る焼却炉は上述した実施例に限定されない。したがっ
て、本発明においては、これらの選択内容如何で固体系
廃棄物・液体系廃棄物・気体系廃棄物のいずれか一つの
み・または・二つのみを処理する焼却炉にもなる。ま
た、炉体11を冷却する必要がないときや既述の湯沸か
しを行なわないときは、炉体11として一重壁構造のも
のが用いられ、冷却水用の循環系31が省略される。さ
らに、燃焼強化筒51〜54、点火バーナ71・補助バ
ーナ73なども不可欠でなく、必要に応じて炉体11に
備えつけられる。その他、二次給気管49が二次燃焼室
61に直接接続されることもある。炉体11としては、
図示例のごとき円筒形(楕円筒形を含む)のほか、多角
筒形・円錐形・角錐形なども任意に採用することができ
る。
【0035】
【発明の効果】本発明に係る焼却炉はつぎのような効果
を有する。
【0036】焼却炉を用いて燃焼物(固体・液体・気体
など)を焼却処理するときに、一次燃焼室内で燃焼物を
燃焼させるだけでなく、その際に発生した気流を二次燃
焼室内に通して当該気流に含まれる残存未燃物を完全燃
焼させる。したがって、燃焼物焼却時の排気ガスを格別
の処理なしに高度に無害化(無煙・無臭化)することが
できる。
【0037】一次燃焼室内の上部側に二次燃焼室が設け
られているので、燃焼物の自燃している一次燃焼室内の
熱気を受けて二次燃焼室内が自然に高温化する。すなわ
ち、二次燃焼室を高温化するために別途の手段を必要と
しないから、設備上の合理化やランニングコストの低減
をはかることができる。
【0038】燃焼室を一次・二次に分け、一次燃焼室内
で燃焼物の燃焼・焼却、二次燃焼室内で残存未燃物の完
全燃焼を行なう。すなわち、未燃ガスや未燃微粒子が発
生しないように燃焼物を一挙に完全燃焼させるのでな
く、上記のような二段階燃焼により燃焼物を完全燃焼に
まで至らせるから、焼却処理が簡易化されて燃焼効率も
高まる。
【0039】一次燃焼室・二次燃焼室を主体にした構成
であり、しかも、二次燃焼室が一次燃焼室に内蔵されて
いるので、焼却炉が簡潔かつコンパクトに仕上がり、コ
ストダウンもはかれる。
【0040】その他については以下のとおりである。炉
体が中空の二重壁構造物からなり、二重壁の空間部に冷
却水の循環系が接続されている場合は、炉体を冷却した
り湯沸かしすることができる。点火バーナ・補助バーナ
が装備されている場合は所期の目的を達成する上での利
便性がより高まる。二次燃焼室が環状のケースからな
り、二次燃焼室の内部が多孔板で仕切られている場合、
縦型の一次給気管がその上端に助燃盤を備えている場
合、一次燃焼室内の中心部に導入された一次給気管の周
りに多孔状の燃焼強化筒が配置されている場合など、こ
れらのケースでは、燃焼物の燃焼ないし焼却をより効果
的に行なうことができる。一次給気管の下部外周に液体
燃料の燃焼皿が取りつけられ、その受皿と対応する一次
給気管の下部壁に空気噴射孔が形成され、液体廃棄物の
供給管が炉体外から一次燃焼室内の受皿上まで配管され
ている場合は、可燃性液体の焼却が行ないやすい。気体
廃棄物の供給管が炉体外から一次燃焼室内の下部に導入
されている場合は、気体廃棄物の燃焼や熱処理が行ない
やすい。一次燃焼室の上部内周面に多数の気流抑制孔が
形成されており、これら気流抑制孔に通じる給気路が一
次燃焼室の壁面に備えつけられている場合は、未燃ガス
や未燃微粒子を一次燃焼室内に長く滞在させてこれを発
生量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る焼却炉の一実施例を示した正面図
である。
【図2】本発明に係る焼却炉の一実施例を示した平面図
である。
【図3】本発明に係る焼却炉の一実施例を略示した縦断
面図である。
【図4】本発明に係る焼却炉の炉心部を拡大して示した
切り欠き正面図である。
【図5】本発明に係る焼却炉の二次燃焼室を拡大して示
した横断面図である。
【符号の説明】
11 炉体 14 水套用の空間部 16 投入口 24 気流抑制孔 25 環状部材 26 給気路 27 一次燃焼室 31 冷却水の循環系 32 注水口 33 ラジエータ 34 パイプ 35 パイプ 36 ポンプ 41 送風系 42 送風機 43 給気元管 44 一次給気管 45 空気噴射孔 46 空気噴射孔 47 助燃盤 48 受皿 49 二次給気管 51 燃焼強化筒 52 燃焼強化筒 53 燃焼強化筒 54 燃焼強化筒 61 二次燃焼室 62 気流通路 63 多孔板 64 多孔板 65 気流通路 66 気流通路 67 気流誘導筒 68 排気筒 71 点火バーナ 73 補助バーナ 75 液体廃棄物の供給管 76 気体廃棄物の供給管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 F23M 5/08 F23M 5/08 A

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炉体の内部空間により一次燃焼室が形成
    されていること、および、一次燃焼室内の上部側に二次
    燃焼室が設けられていて、二次燃焼室の下部側から上部
    側へ抜ける気流通路が二次燃焼室の設置領域にあるこ
    と、および、一次燃焼室内の気流を二次燃焼室内へ誘導
    するための気流誘導筒が、炉体の上壁面部と二次燃焼室
    の壁面部とにわたり連結されていること、および、排気
    筒が二次燃焼室に連結されて炉体外へ突出しているこ
    と、および、一次燃焼室内に一次給気管が導入されてい
    ること、および、二次焼室に通じる部位に二次給気管が
    導入されていることを特徴とする焼却炉。
  2. 【請求項2】 点火バーナが一次燃焼室に対応して備え
    つけられ、補助バーナが二次燃焼室に対応して備えつけ
    られていること、二次燃焼室が環状のケースからなり、
    二次燃焼室の内部が多孔板で仕切られていること、一次
    燃焼室内の中心部に導入された縦型の一次給気管がその
    上端に助燃盤を備えていること、一次燃焼室内の中心部
    に導入された一次給気管の周りに多孔状の燃焼強化筒が
    配置されていること、一次燃焼室の上部内周面に多数の
    気流抑制孔が形成されて、これら気流抑制孔に通じる給
    気路が一次燃焼室の壁面に備えつけられていること、一
    次給気管の下部外周に液体燃料の燃焼皿が取りつけられ
    て、その受皿と対応する一次給気管の下部壁に空気噴射
    孔が形成されているとともに、液体廃棄物の供給管が炉
    体外から一次燃焼室内の受皿上まで配管されているこ
    と、気体廃棄物の供給管が炉体外から一次燃焼室内の下
    部に導入されていること、一次燃焼室と二次燃焼室とを
    備えた炉体が中空の二重壁構造物からなり、その二重壁
    の空間部に冷却水の循環系が接続されていることなど、
    これらの技術的事項を一つ以上含んでいる請求項1記載
    の焼却炉。
JP12430695A 1995-04-25 1995-04-25 焼却炉 Pending JPH08296824A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005026617A1 (ja) * 2003-09-10 2005-03-24 Yamane-Noubokujo Inc. 燃焼炉および焼却炉
US7066377B2 (en) 1999-06-24 2006-06-27 Athlete Fa Corporation Ball mounting method
CN106402876A (zh) * 2016-11-19 2017-02-15 无锡大功机械制造有限公司 一种带升降式炉排的燃烧炉

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