JPH08296161A - 内装材用不織布およびその製造方法 - Google Patents

内装材用不織布およびその製造方法

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JPH08296161A
JPH08296161A JP7099126A JP9912695A JPH08296161A JP H08296161 A JPH08296161 A JP H08296161A JP 7099126 A JP7099126 A JP 7099126A JP 9912695 A JP9912695 A JP 9912695A JP H08296161 A JPH08296161 A JP H08296161A
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JP
Japan
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woven fabric
fiber
nonwoven fabric
denier
interior materials
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Application number
JP7099126A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroshi Onoe
宏 尾上
Yoshikatsu Mizukami
義勝 水上
Hitoshi Ito
仁 伊藤
Hiroki Nagayama
啓樹 永山
Koichi Nemoto
好一 根本
Hiroshi Sugawara
浩 菅原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kanebo Ltd
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Kanebo Ltd
Nissan Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 基材の支持機能と表皮の審美的機能とを一体
化して併有し、更には、柔軟な触感と優れた吸遮音性と
を兼備した単一構造の不織布よりなる内装材を提供す
る。 【構成】 不織布の少なくとも一方の表面を形成する該
不織布構成繊維の少なくとも一部が、好ましくは熱転写
プリントにより直接着色されて不織布表面に意匠模様を
顕出してなる内装材用不織布。この不織布は、0.1デ
ニール〜15.0デニールの熱可塑性合成繊維の短繊維
を主体とする不織布の少なくとも片面を予備成形して平
滑化し、該平滑面の少なくとも1部に直接着色を施して
意匠模様を顕出させることによって取得される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、天井、壁、床(カーペ
ット)等、居住空間の仕切り面、或いは車両の内装用に
用いられる内装材用不織布に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の内装用不織布としては、図1〜図
3に示す垂直断面形状を有するものが知られている。図
1に示すものは、特開平4−303637号公報に開示
されたように、形態安定感を得るための比較的硬めの基
材2、例えば、鋼板、コンクリート、木質ボード、樹脂
ボード、段ボール、レジンフェルト等よりなる基材に、
不織布表皮1を添着した例であり、内装材としての美観
を確保することができる。図2に示すものは、基材と表
皮との間に柔軟でクッション性を有するウレタンやポリ
エチレン等の発泡体シートやフェルト基材3を支持体と
した例であり、例えば、特開昭61−237630号、
特開平2−162171号、特開平3−176241
号、特開平4−176742号等の各公報に開示されて
いる。また、図3に示すものは、不織布よりなる基材4
に不織布表皮を添着した例であり、特願平5−3068
1号、特願平5−118217号として提案されてい
る。
【0003】しかしながら、図1の場合、不織布表皮1
を張り付けても触感は硬く、高級感を損なう。また、内
装材に吸遮音性が要求される場合、基材2が硬いと、空
気に対する通気性が全くないか、または極めて小さい状
態となり、十分な吸遮音性を得ることができない。図2
の場合は、クッション性を有する発泡体やフェルトを基
材3として用いるため、触感や吸遮音性は改善される
が、構成が複雑となり材料コスト、製造コストの上昇を
招くことになり好ましくない。図3の場合は、触感、吸
遮音性も改善されるが、表皮、基材に同じ不織布を用い
ながら、それぞれ別個に製造した不織布を再び積層して
張り付ける工程を必要とする煩わしさがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
従来の問題点に着目してなされたもので、少なくとも一
方の表面に例えばプリント等によって意匠模様を直接施
すことによって、基材の支持機能と表皮の審美的機能と
を一体化して併有するとともに、更には、柔軟な触感と
優れた吸遮音性とを兼備した単一構造の不織布よりなる
内装材を提供し、上記問題点を解決することを目的とす
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の内装材用不織布
は、不織布の少なくとも一方の表面を形成する不織布構
成繊維の少なくとも一部が着色されて不織布表面に意匠
模様を顕出してなることを特徴とする。
【0006】本発明の内装材用不織布は、基材としての
支持機能を確保するために、使用時の端部や取り付け部
等の特殊な箇所を除いた主体部分の平均の厚みが好まし
くは2mm〜100mm、更に好ましくは、3mm〜5
0mmであり、平均の見かけ密度が好ましくは0.01
g/cm3 〜0.8g/cm3 、更に好ましくは0.0
15g/cm3 〜0.2g/cm3 である。平均の厚み
が小さ過ぎると柔軟な触感が得られない場合がある他、
強度的にも弱くなり支持体としての十分な剛性が不足
し、固定感や安定感に欠ける場合がある。逆に平均の厚
みが大き過ぎると、その表面に意匠模様を施す工程、例
えば捺染工程等が困難となる。また、平均の見かけ密度
が低過ぎると、強度的に弱くなり剛性を損ない、支持体
としての機能を損なう他、表面に意匠模様を施す工程が
困難となる。逆に、高過ぎると、繊維の使用量が増大す
ることによるコストアップや触感が硬くなる等の問題が
生じる虞れがある。
【0007】不織布の表面に意匠模様を施す方法として
は、転写等の乾式プリント方式や、スクリーンプリン
ト、ローラプリント、インクジェット等の湿式プリント
方式を適用して色柄を置くことが一応可能である。しか
しながら、不織布の厚みが2mm以下であれば、湿式方
式を適用する点に問題はないが、本発明のように2mm
〜100mmの厚さを有する不織布の場合は、湿式のプ
リントで必要となる例えば脱脂処理、発色、乾燥処理等
の後処理が大掛かりとなるので、乾式プリント方式が有
利である。即ち、図4に示すように、熱転写プリントシ
ート6の模様面を不織布7と重ね合わせ、両者を熱盤
5,8により加熱加圧した後、不織布から熱転写プリン
トシート6を剥離して不織布7上に意匠模様を転写する
熱転写プリント法が特に好ましい。
【0008】熱転写プリントにより意匠模様を施す不織
布は、あらかじめ熱処理またはニードルパンチング等に
よって予備成形して表面を平滑化しておくことにより、
更に均一に意匠模様を転写することが可能となる。
【0009】不織布を構成する短繊維としては、繊維径
が0.1〜15.0デニールのものが好ましく、更に好
ましくは、0.5〜5.0デニール、特に、1.0〜
3.0デニールの熱可塑性合成繊維、好ましくは線状ポ
リエステル繊維が適用される。上記繊維径が小さ過ぎる
とカード機の通過性が劣り、品質の良い不織布が得られ
ない。一方、繊維径が大き過ぎると表面の肌理が粗くな
るので好ましくない。
【0010】上記ポリエステル繊維のうち、特に入手容
易なポリエチレンテレフタレート繊維は融点や引張強
度、モジュラスが比較的高くマトリックス繊維としての
支持機能を有効に果たすので好ましい。更に好ましく
は、ホモポリエステルと共重合ポリエステルとを繊維軸
に沿って複合したサイド・バイ・サイド型コンジュゲー
ト繊維は熱処理により捲縮を発現し不織布の交絡度を高
め成形性が増すので好ましい。
【0011】更に、本発明の不織布を構成する繊維は、
少なくとも2種類の短繊維からなり、支持機能を果たす
マトリックス繊維と繊維相互間を熱融着するバインダー
繊維とを含んでなることが好ましい。かかるバインダー
繊維としては、通常共重合ポリマー、例えば、イソフタ
ル酸等の共単量体によって融点を低下させた共重合ポリ
エステル等が好適に使用される。バインダー繊維は熱処
理、例えばホモポリエステルの軟化点以下の温度で軟化
或いは溶融して融着性を発現する。熱処理は、マトリッ
クス繊維の軟化点温度未満、バインダー繊維の融着性発
現温度で行われるが、単独の工程としても或いは上記の
平滑化熱処理、熱転写時の熱処理等を利用してもよい。
かかる熱処理により、バインダー繊維と交わる構成繊維
は交点において接着し、不織布に形態安定性を付与する
他、マトリックス繊維の支持機能と協働して、図5に示
すようにそれに添設する不織布9の面の凹凸形状10を
吸収したり、図6に示すように意図的に凹凸10を表面
に安定に付与することも可能となる。勿論両面に同時に
凹凸形状を付与することも可能である。
【0012】バインダー繊維は、上記の熱融着性ポリマ
ーよりなる単一成分繊維でもよいが、ホモポリマーを芯
成分とし、熱融着性共重合ポリマーを鞘成分とするシー
ス・コア型コンジュゲート繊維を用いれば、芯成分の支
持機能を維持したまま熱融着機能を果たすことができる
ので更に好適である。また、サイド・バイ・サイド型コ
ンジュゲート繊維とすれば、過度の融着点の形成による
不織布の硬化を防ぐこともできる。
【0013】繊維の横断面形状としてはレギュラーの円
形、或いは偏平、Y形、中空形等の異形断面等、特に制
限はない。特に、中空糸を適量ブレンドすることによ
り、不織布の吸遮音特性を調節することができる。更
に、中空糸をサイド・バイ・サイドのコンジュゲート繊
維とすることにより、捲縮発現による交絡性、成形性の
向上に寄与することもできる。
【0014】繊維の色調に関しても特に制限はなく、一
般的な白色の他、各種色調の原着繊維を単独または組み
合わせて使用することも可能である。特に、原着繊維を
用いることにより、表面の意匠模様色彩と組み合わせ、
装飾、美観の幅を広げることができる。
【0015】
【実施例】以下に本発明を実施例についいて更に詳述す
る。実施例中、「部」は重量部である。実施例1および
2、比較例1および2では天井材を目的とした場合につ
いて示す。
【0016】(実施例1)この実施例においては、天井
材として経時的な撓みを防止するために、バインダー繊
維を多めに配合した。即ち、不織布の繊維配合としては
6デニール、51mm長の中空円形断面の通常ホモポリ
エステル/コポリエステル、サイド・バイ・サイド型コ
ンジュゲート短繊維:50部、および2デニール、51
mm長の円形断面シース・コア型ホモポリエステルコア
/コポリエステルシース(融点170℃)コンジュゲー
トポリエステル系バインダー短繊維:50部とした。先
ず、最初に上記繊維配合でカードクロスレイヤー法によ
り不織布を形成し、180℃で熱処理して、目付1.0
kg/m2 、厚み30mmの予備成形体7を得た。次い
で、図4に示すように得られた予備成形体7と熱転写プ
リントシート6(凸版印刷製)の転写面を対向して重ね
合わせ、プレス機5、8で約1分間、210℃で20m
mの厚みに圧縮した。加熱加圧終了後、不織布予備成形
体から熱転写プリントシートを剥がし、不織布上に意匠
模様が転写されたことを確認し、表皮模様が基材と一体
化された不織布9を得た。意匠模様が転写された不織布
9を再び200℃に加熱し、図7に示す成形型11を装
着したプレス機に投入し、成形後の厚みが10mmとな
るように加熱圧縮した。しかる後、プレスから取り出さ
れた不織布は意匠模様の変化もなく、見栄えは不織布表
皮付きの比較例の天井材と遜色のないことが判明した。
このものは、安定感、固定感を有すると同時に、触感も
柔らかく、比較例よりも好ましい性能を示した。
【0017】(実施例2)この実施例においては、不織
布の構成繊維として原着繊維を用いた。即ち、不織布の
繊維配合としては、グレーに原着した6デニール、51
mm長の円形断面の通常ポリエチレンテレフタレート短
繊維:50部、および同様にグレーに原着した2デニー
ル、51mm長の円形断面シース・コア型ホモポリエス
テルコア/コポリエステルシース(融点170℃)コン
ジュゲートポリエステル系バインダー短繊維:50部と
した。以下実施例1と同様の処理を行い、表皮意匠模様
が基材と一体化された成形天井材を得た。見栄えは不織
布表皮付きの比較例の天井材と遜色なくまた、原着繊維
と転写プリントによる意匠模様とを組み合わせたことに
より、装飾性の幅が広がることが判明した。
【0018】(実施例3)不織布の繊維配合としては2
デニール、51mm長のY型断面の通常ポリエチレンテ
レフタレート短繊維:30部、6デニール、51mm長
の円形断面通常ホモポリエステル/コポリエステル、サ
イド・バイ・サイド型コンジュゲート短繊維:20部、
および2デニール、51mm長の円形断面シース・コア
型ホモポリエステルコア/コポリエステルシース(融点
170℃)コンジュゲートポリエステル系バインダー短
繊維:50部とした。以下実施例1と同様の処理を行
い、表皮意匠模様が基材と一体化された成形天井材を得
た。見栄えは不織布表皮付きの比較例の天井材と遜色な
くまた、安定感、固定感を有すると同時に、触感も柔ら
かく、比較例よりも好ましい性能を示した。
【0019】(実施例4)この実施例では、意匠模様を
施す方法として、ローラープリント捺染法を用いた。不
織布の繊維配合は実施例3と同様とした。先ず最初に上
記不織布を180℃で熱処理して目付1.0kg/
2 、厚み30mmの予備成形体を得た。次いで、図8
に示すような従来慣用のローラー捺染機により、捺染を
行った。即ち、案内ローラー14により供給走行する不
織布8を、捺染する模様に対応した柄を刻設した捺染ロ
ーラー12とバックアップローラー13(捺染中の不織
布を支持するために捺染ローラー12の上に設けられて
いる。)の間に通すことにより捺染する。15はドクタ
ーである。
【0020】プリント色糊としては、次ぎに示す配合の
ものを用いた。 分散染料 -------------0.1〜10部 増粘剤 -------------- 0〜10部 元糊 -------------- 0〜60部 水 -------------- 10〜70部 その他 -------------- 0〜3 部 ここでは染料として分散染料を用いたが、特に限定され
ることなく、反応性染料、カチオン染料、顔料などを適
宜用いることができる。また、分散染料としては、日本
化薬(株)製の「カヤロンポリエステル」や住友化学工
業(株)製の「スミカロン」(何れも商標名)等を用い
ることができる。増粘剤はインクの粘度を調整すうため
に配合し、元糊は繊維への染料付着を高めるために配合
する。その他としては、元糊の硬化を促進するための触
媒や消泡剤等を含有することもできる。インクの粘性は
B型粘度計を用いて温度25℃でJIS Z 8803
に従って測定した数値が100cps以上が好ましく、
より好ましくは200〜1500cpsである。
【0021】上記条件で捺染後、速やかに熱風乾燥機
(一の瀬式自動スクリーン捺染機付属の乾燥機モデル6
000)を用いて120℃で90秒間乾燥した。乾燥し
て得られた不織布は、実質的にぼやけのない鮮明な色彩
模様が顕出し、表皮意匠模様が基材と一体化されている
ことを確認した。この不織布を再び200℃に加熱し、
図7に示したプレス機に投入し、成形後の厚みが10m
mとなるように加熱圧縮した。加熱加圧後プレスから取
り出された不織布は色柄模様の変化もなく、見栄えは不
織布表皮付きの比較例の天井材と遜色ないことが判明し
た。
【0022】(実施例5)この実施例では、意匠模様を
捺染する方法として、スクリーンプリント方式を用い
た。不織布の繊維配合は実施例3と同様とした。先ず最
初に上記不織布を180℃で熱処理して目付1.0kg
/m2 、厚み30mmの予備成形体を得た。次いで、図
9に示すような従来慣用のスクリーン捺染機により捺染
を行った。即ち、間歇走行するコンベア21上に載置さ
れ移動する不織布8の走行通路上に、捺染柄に対応する
透過柄模様20を施したスクリーン製版19を昇降動自
在な型枠18に設置し、スクリーン上に捺染糊17を供
給し、型枠18を下降させてスキージ16で圧力を掛け
ることにより捺染する。
【0023】プリント色糊としては、次ぎに示す配合の
ものを用いた。 分散染料 -------------0.1〜10部 増粘剤 --------------- 0〜 5部 元糊 --------------- 0〜70部 水 ---------------10〜60部 その他 --------------- 0〜 3部 ここでは染料として分散染料を用いたが、特に限定され
ることなく、反応性染料、カチオン染料、顔料などを適
宜用いることができる。インクの粘性はB型粘度計を用
いて温度25℃でJIS Z 8803に従って測定し
た数値が50cps以上が好ましく、より好ましくは1
00〜1000cpsである。
【0024】スクリーン製版のメッシュは50以上が好
ましいが、より好ましくは柄模様の繊細さ、ライン速度
等を考慮すると80〜180メッシュのものを用いるこ
とがよい。上記条件で捺染後、速やかに熱風乾燥機(一
の瀬式自動スクリーン捺染機付属の乾燥機モデル600
0)を用いて120℃で90秒間乾燥した。乾燥して得
られた不織布は、実質的にぼやけのない鮮明な色彩柄模
様が顕出し、表皮意匠模様が基材と一体化されているこ
とを確認した。この不織布を再び200℃に加熱し、図
7に示したプレス機に投入し、成形後の厚みが10mm
となるように加熱圧縮した。加熱加圧後プレスから取り
出された不織布は色柄模様の変化もなく、見栄えは不織
布表皮付きの比較例の天井材と遜色ないことが判明し
た。
【0025】(実施例6)この実施例では、意匠模様を
捺染する方法としてインクジェットプリント法を用い
た。不織布の繊維配合は実施例3と同様とした。先ず最
初に上記不織布を180℃で熱処理して目付1.0kg
/m2 、厚み30mmの予備成形体を得た。インクジェ
ットプリント染色機としてはパルスジェット方式のもの
を用いた。染色用インクとしては、次ぎに示す配合のも
のを用いた。 分散染料 --------------- 2〜25部 増粘剤 --------------- 0〜 5部 水 ---------------40〜90部 その他 --------------- 0〜 3部 ここでは染料として分散染料を用いたが、特に限定され
ることなく、反応性染料、カチオン染料、顔料などを適
宜用いることができる。インクの粘性は、精度、ノズル
詰まり、捺染速度などを考慮すると、B型粘度計を用い
て温度25℃でJIS Z 8803に従って測定した
数値が1.2〜30cpsが好ましく、より好ましくは
2.0〜20cpsである。染色のドット数としては、
少なくとも1ドット/mmが好ましいが、より好ましく
は、柄模様の繊細さ、ライン速度等を考慮すると2〜8
ドット/mmで行うことがよい。
【0026】上記条件で連続捺染後、速やかに熱風乾燥
機(一の瀬式自動スクリーン捺染機付属の乾燥機モデル
6000)を用いて120℃で90秒間乾燥した。乾燥
して得られた不織布は、実質的にぼやけのない鮮明な色
彩柄模様が顕出し、表皮意匠模様が基材と一体化されて
いることを確認した。この不織布を再び200℃に加熱
し、図7に示したプレス機に投入し、成形後の厚みが1
0mmとなるように加熱圧縮した。加熱加圧後プレスか
ら取り出された不織布は色柄模様の変化もなく、見栄え
は不織布表皮付きの比較例の天井材と遜色ないことが判
明した。
【0027】(比較例1)段ボールよりなる基材に対
し、柄模様をプリントされたニードリング不織布(厚み
1mm)を表皮として接着剤で貼りつけて図1に示すよ
うに積層した。
【0028】(比較例2)ポリフェニレンオキシド発泡
体の成形体を基材とし、比較例1で使用したニードリン
グ不織布を表皮とし、更に基材とし表皮との間にウレタ
ン発泡体を介挿し、それぞれを接着剤で一体的に貼り合
わせて図2に示すような積層体とした。
【0029】(比較例3)実施例1で用いた繊維配合の
不織布を基材に対し、比較例1で使用したニードリング
不織布を表皮として接着剤で貼りつけて図3に示すよう
に積層した。
【0030】実施例7と比較例4では、壁材としての適
用を考慮した場合を示す。 (実施例7)不織布の繊維配合としては2デニール、5
1mm長の偏平断面形状の通常ホモポリエステル(ポリ
エチレンテレフタレート)短繊維:70部、および2デ
ニール、51mm長の円形断面シース・コア型ホモポリ
エステルコア/コポリエステルシース(融点130℃)
コンジュゲートポリエステル系バインダー短繊維:30
部とした。先ず、最初に上記繊維配合でカードクロスレ
イヤー法により不織布を形成し、160℃で熱処理し
て、目付0.5kg/m2 、厚み15mmの予備成形体
を得た。次いで、予備成形体と熱転写プリントシートの
転写面を対向させて重ね合わせ、プレス機で約1分間、
210℃で10mmの厚みに圧縮した。加熱加圧終了
後、不織布から熱転写プリントシートを剥がし、不織布
上に意匠模様が転写されたことを確認し、表皮意匠模様
が基材と一体化された不織布を得た。意匠模様が転写さ
れた不織布を再び160℃に加熱し、プレス機に投入
し、成形後の厚みが5mmとなるように加熱圧縮した。
しかる後、プレスから取り出された不織布は意匠模様の
変化もなく、見栄えは不織布表皮付きの比較例の壁材と
遜色のないことが判明した。このものは、触感が柔らか
く、比較例よりも好ましい性能を示した。
【0031】(比較例4)比較例1で使用したニードリ
ング不織布表皮に、クッション性を得るための3mm厚
ポリエチレン発泡体シートを接着積層したものを比較対
象とした。
【0032】実施例8〜10および比較例5〜7ではク
ッション性を有する床材(カーペット材)としての適用
を考慮した場合を示す。 (実施例8)不織布の繊維配合としては6デニール、5
1mm長の中空環状断面形状のサイド・バイ・サイド型
ホモポリエステル/コポリエステルコンジュゲート短繊
維:80部、および2デニール、51mm長の円形断面
シース・コア型ホモポリエステルコア/コポリエステル
シース(融点110℃)コンジュゲートポリエステル系
バインダー短繊維:20部とした。先ず、最初に上記繊
維配合でカードクロスレイヤー法により不織布を形成
し、150℃で熱処理して、目付1.0kg/m 2 、厚
み30mmの予備成形体を得た。次いで、予備成形体と
熱転写プリントシートの転写面を対向させて重ね合わ
せ、プレス機で約1分間、210℃で25mmの厚みに
圧縮した。加熱加圧終了後、不織布から熱転写プリント
シートを剥がし、不織布上に意匠模様が転写されたこと
を確認し、表皮意匠模様が基材と一体化された不織布を
得た。意匠模様が転写された不織布を再び150℃に加
熱し、図10に示すような成形型11を装着したプレス
機に投入し、成形後の厚みが20mmとなるように加熱
圧縮した。しかる後、プレスから取り出された不織布は
意匠模様の変化もなく、見栄えは不織布表皮付きの比較
例のカーペット材と遜色のないことが判明した。このも
のは、クッション性を有するので、乗用車のカーペット
に用いる場合に要求される騒音振動を減衰する効果を奏
し、また踏み心地も柔らかいため、フェルトやウレタン
等のアンダークッション材と積層する必要性がないこと
が確認された。
【0033】(実施例9)この実施例は、繊維に原着し
た実施例である。不織布の繊維配合としてはブラウンに
原着した6デニール、51mm長の円形断面の単一成分
ポリエチレンテレフタレート短繊維:80部、および同
様にブラウンに原着した2デニール、51mm長の円形
断面シース・コア型ホモポリエステルコア/コポリエス
テルシース(融点110℃)コンジュゲートポリエステ
ル系バインダー短繊維:20部とした。以下実施例8と
同様の処理を行い、表皮意匠模様が基材と一体化された
不織布を得た。得られたカーペット材は、クッション性
を有するので、乗用車のカーペットに用いる場合に要求
される騒音振動を減衰する効果を奏し、また踏み心地も
柔らかいため、フェルトやウレタン等のアンダークッシ
ョン材と積層する必要性がないことが確認された。この
ものの見栄えは不織布表皮付きの比較例と同等であっ
た。原着繊維と転写プリントによる模様処理を組み合わ
せたことにより、装飾性の幅が広がることが確認され
た。
【0034】(実施例10)この実施例では、繊維径を
変えた場合の実施例を示す。不織布の繊維配合としては
13デニール、51mm長の中空環状断面形状のサイド
・バイ・サイド型ホモポリエステル/コポリエステルコ
ンジュゲート短繊維:80部、および4デニール、51
mm長の円形断面シース・コア型ホモポリエステルコア
/コポリエステルシース(融点110℃)コンジュゲー
トポリエステル系バインダー短繊維:20部とした。以
下実施例8と同様の処理を行い、表皮意匠模様が基材と
一体化された不織布を得た。得られたカーペット材は、
クッション性を有するので、乗用車のカーペットに用い
る場合に要求される騒音振動を減衰する効果を奏し、ま
た踏み心地も柔らかいため、フェルトやウレタン等のア
ンダークッション材と積層する必要性がないことが確認
された。このものの見栄えは不織布表皮付きの比較例の
カーペット材と遜色のないことも確認された。
【0035】(比較例5)10mm厚、目付0.6kg
/m2 のフェルトをアンダークッション基材とし、厚み
3mmのプリントされたニードリング不織布を表皮とし
て、両者を接着剤で貼り付けて得た積層体を比較例4と
した。
【0036】(比較例6)10mm厚、目付0.6kg
/m2 の発泡ウレタンをアンダークッション基材とし、
厚み3mmのプリントされたニードリング不織布を表皮
として、両者を接着剤で貼り付けて得た積層体を比較例
5とした。
【0037】(比較例7)熱成形可能な不織布を基材と
し、プリントされたニードリング不織布を表皮として、
両者を接着剤で貼り付けて得た積層体を比較例7とし
た。比較例7で用いた熱成形可能な不織布は実施例7で
用いた配合のものと同じものを用い、それぞれを接着剤
で貼り付けて得た積層体を比較例6とした。
【0038】上記実施例1〜3の天井材および実施例7
の壁材用不織布、及び公知の不織布である比較例2およ
び3について、それぞれ、見栄え、触感、吸遮音性、構
成の簡素さを、比較例1または比較例4の積層体と対比
した結果を表1に示す。
【表1】
【0039】また、上記実施例8〜10および比較例
6、7のカーペット材用不織布について、それぞれ、見
栄え、踏み心地、吸遮音性、構成の簡素さを、比較例5
の積層体と対比した結果を表2に示す。
【表2】
【0040】
【発明の効果】以上の説明から明らかな通り、本発明に
よれば、不織布の構成を剛性やクッション性を確保する
ための基材(支持体)としての機能を有する成形可能な
不織布において、少なくとも片面の表面形成繊維の少な
くとも一部が着色されて、表面に意匠模様を顕出し、そ
の模様面が内装表皮としての機能を有するため、このよ
うに表皮と基材とが区別されることなく一体化された不
織布を適用することにより、次のような効果がある。
【0041】1.単一の不織布で表皮としての見栄え即
ち美観と基材に要求される支持体としての固定感、安定
感及びクッション性の機能を同時に得られるので、構成
を簡素化できる。 2.表皮と基材とを接着する必要がなくなり、製法に際
し工程が単純化される。 3.表皮、基材、接着剤等、異なった素材を積層する必
要がなくなるので、リサイクル面で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来公知の内装材の1例を示す垂直断面図であ
る。
【図2】従来公知の内装材の別の1例を示す垂直断面図
である。
【図3】従来公知の内装材の更に他の1例を示す垂直断
面図である。
【図4】本発明の不織布製造方法の着色工程の具体例を
示す、工程説明図である。
【図5】本発明の不織布の好適な態様の使用例を示す垂
直断面図である。
【図6】本発明の不織布の好適な態様の別の使用例を示
す垂直断面図である。
【図7】本発明の不織布の製造方法における成形工程の
1例を示す説明図である。
【図8】本発明の不織布の製造方法における着色工程の
1例を示す概要図である。
【図9】本発明の不織布の製造方法における着色工程の
別の1例を示す概要図である。
【図10】本発明の不織布の製造方法における成形工程
の別の1例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 プリントされたニードリング不織布 2 基材 3 クッション材 4 クッション性不織布 5 熱盤 6 熱転写プリントシート 7 未処理不織布 8 基盤 9 被処理不織布 10 凹凸部分 11 プレス型
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊藤 仁 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 (72)発明者 永山 啓樹 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 (72)発明者 根本 好一 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 (72)発明者 菅原 浩 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 不織布の少なくとも一方の表面を形成す
    る該不織布構成繊維の少なくとも一部が着色されて不織
    布表面に意匠模様を顕出してなることを特徴とする内装
    材用不織布。
  2. 【請求項2】 主体部分の平均の厚みが2mm〜100
    mmであり、平均の見かけ密度が0.01g/cm3
    0.8g/cm3 である請求項1の内装材用不織布。
  3. 【請求項3】 前記平均の厚みが3mm〜50mmであ
    り、前記平均の見かけ密度が0.015g/cm3
    0.2g/cm3 である請求項2の内装材用不織布。
  4. 【請求項4】 前記着色が熱転写プリント、スクリーン
    プリント、ローラープリントおよびインクジェットより
    なる捺染法または染色法のいずれか1つの着色法による
    ものである請求項1〜3のいずれか1項の内装材用不織
    布。
  5. 【請求項5】 前記着色法が熱転写プリントである請求
    項4の内装材用不織布。
  6. 【請求項6】 構成繊維が0.1デニール〜15.0デ
    ニールの熱可塑性合成繊維の短繊維を主体とする請求項
    1〜5のいずれか1項の内装材用不織布。
  7. 【請求項7】 構成繊維が0.5デニール〜5.0デニ
    ールの短繊維である請求項6の内装材用不織布。
  8. 【請求項8】 構成繊維が1.0デニール〜3.0デニ
    ールの短繊維である請求項7の内装材用不織布。
  9. 【請求項9】 前記熱可塑性繊維がポリエステル繊維で
    ある請求項6〜8の内装材用不織布。
  10. 【請求項10】 前記ポリエステル繊維が少なくとも捲
    縮性コンジュゲート繊維を含んでなる請求項9の内装材
    用不織布。
  11. 【請求項11】 構成繊維がマトリックス繊維と熱融着
    性バインダー繊維とを含む少なくとも2種類の短繊維か
    らなり、上記熱融着性バインダー繊維により構成繊維の
    交点が接合されてなる請求項6〜10のいずれか1項の内
    装材用不織布。
  12. 【請求項12】 前記熱可塑性合成繊維として原着繊維
    を用いる請求項6〜11のいずれか1項の内装材用不織
    布。
  13. 【請求項13】 0.1デニール〜15.0デニールの
    熱可塑性合成繊維の短繊維を主体とする不織布の少なく
    とも片面を予備成形して平滑化し、該平滑面の少なくと
    も1部に直接着色を施して意匠模様を顕出させることを
    特徴とする内装材用不織布の製造方法。
  14. 【請求項14】 前記不織布がその主体部分において2
    mm〜100mmの平均の厚みと、0.01g/cm3
    〜0.8g/cm3 の平均の見かけ密度を有するもので
    ある請求項13の内装材用不織布の製造方法。
  15. 【請求項15】 前記着色法が熱転写プリントである請
    求項13または14のいずれか1項の内装材用不織布の製造
    方法。
  16. 【請求項16】 前記熱可塑性繊維がポリエステル繊維
    である請求項13〜15のいずれか1項の内装材用不織布の
    製造方法。
  17. 【請求項17】 構成繊維がマトリックス繊維と熱融着
    性バインダー繊維とを含む少なくとも2種類の短繊維か
    らなり、上記熱融着性バインダー繊維により構成繊維の
    交点を接合する熱処理工程を含む請求項13〜16のいずれ
    か1項の内装材用不織布の製造方法。
  18. 【請求項18】 前記熱可塑性合成繊維として原着繊維
    を用いる請求項13〜17のいずれか1項の内装材用不織布
    の製造方法。
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