JPH08296054A - 金属材料用潤滑性クロメート処理組成物および処理方法 - Google Patents

金属材料用潤滑性クロメート処理組成物および処理方法

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JPH08296054A
JPH08296054A JP10643595A JP10643595A JPH08296054A JP H08296054 A JPH08296054 A JP H08296054A JP 10643595 A JP10643595 A JP 10643595A JP 10643595 A JP10643595 A JP 10643595A JP H08296054 A JPH08296054 A JP H08296054A
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JP
Japan
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chromate
nonionic
film
composition
acid
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JP10643595A
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English (en)
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Kensuke Mizuno
賢輔 水野
Takashi Ogami
隆 大上
Jun Kawaguchi
純 川口
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Nihon Parkerizing Co Ltd
Original Assignee
Nihon Parkerizing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 金属材料上に、耐食性、塗装密着性に優れ、
安定な潤滑性クロメート皮膜を形成する潤滑性クロメー
ト処理組成物およびそれを用いる処理方法を提供する。 【構成】 ワックス又は含フッ素有機化合物を含む潤滑
剤成分が、ポリエチレングリコール基および2分子以上
のエチレンオキサイド付加重合体からなる基から選ばれ
た少なくとも1員からなるノニオン部分と、アニオン部
分とからなる複合親水性グループを有するノニオン−ア
ニオン複合界面活性剤を含有する乳化剤により乳化され
ている水性エマルジョンと、6価クロムイオンと、3価
クロムイオンとを含有する処理液を調製し、そのpHを
3.0未満に調整し、この処理液を金属材料表面に塗布
し、乾燥して、潤滑性クロメート皮膜を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属材料用潤滑性クロ
メート処理組成物および処理方法に関するものである。
さらに詳しく述べるならば、本発明は、金属材料の表面
上に、優れた潤滑性と成形加工性を有し、同時に優れた
耐食性を有する潤滑性クロメート皮膜を形成するための
金属材料用潤滑性クロメート処理組成物、およびその処
理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、金属材料、例えば鉄鋼材料は、
鉄鋼メーカー等の圧延装置により板状、管状、棒状等に
加工され、更に、家電、自動車、建材メーカー等におけ
る各種用途に応じて、プレス、鍛造等の方法により所望
の形状・寸法に加工され、その後に組み立てられてい
る。このような成形加工の殆どにおいて金属材料の加工
面上にプレス油等の油系潤滑剤、石灰石鹸等の固体潤滑
剤、およびりん酸亜鉛皮膜等との組み合わせを含む潤滑
皮膜を形成した後に、当該成形加工が施されている。こ
のような成形加工を行っている現場には、成形装置およ
びその周辺部に発生した油汚れ、粉塵の飛散等があり、
その作業環境は、公害防止、および労働安全衛生などの
観点から好ましくない場合がある。
【0003】一方、鉄鋼の亜鉛系めっきによる犠牲防食
は、最も効果的で且つ経済的であり、このため、現在で
は、日本における年間粗鋼生産量1億トンの10%にあ
たる1000万トンが亜鉛系めっき鋼板として生産さ
れ、建材、自動車および家電等の広い分野で使用されて
いる。亜鉛による犠牲防食のメカニズムは、亜鉛および
鉄鋼の二つの金属が接触した状況下で局部電池が形成さ
れ、より卑な金属である亜鉛が陽極となり、鉄を陰極化
して、鉄単独の場合の局部電池形成による陽極溶解を防
止し、鉄鋼の腐食を防止するものである。従って、鉄鋼
と接触している亜鉛が消失した時点で防食効果は失われ
る。そこで、その作用効果を長期的に持続させるために
は亜鉛層の腐食を抑制することが必要であり、このため
の対応手段として、亜鉛めっき後にクロメート処理が施
されている。
【0004】この様なクロメート処理が施された亜鉛系
めっき鋼板に対して、潤滑剤としてプレス油等を塗布し
た後プレス加工等の成形加工が施され、この成形加工後
に、当該金属材料上に残留しているプレス油、金属粉末
等の汚れをトリクロロエチレン等の塩素系溶剤で脱脂清
浄化し、この清浄化表面に塗装等を施した後、組立工程
に送られ最終製品として仕上げられている。
【0005】ところが近年、地球規模での環境保全に対
する意識が高まり、塩素系溶剤、フロン系溶剤等の使用
を規制し、もしくは全廃する機運にある。そのため、金
属材料表面上に予め潤滑性を有するクロメート皮膜を形
成し、プレス油などの潤滑剤を塗布することなく、つま
り無塗油のままで成形加工することを可能とするような
潤滑性クロメート皮膜の開発が急がれている。
【0006】今までに、これらの要望に応えるための種
々の方法が提案されている。これら従来の技術として、
(1)特開昭61−60766号、(2)特開昭61−
227178号、(3)特開昭61−227179号、
(4)特開昭61−231177号、(5)特開昭61
−279687号、(6)特開昭62−33781号、
(7)特開昭62−83172号、(8)特開昭62−
289274号、(9)特開昭63−162886号、
(10)特開平2−43040号、(11)特開平3−
39485号および(12)特開平3−219086
号、および(13)特開平6−93461号等の公報に
より開示されたものが知られている。下記にこれらの従
来技術について概説する。
【0007】従来技術(1)は、水溶性または水分散性
の有機樹脂、アルコキシシラン化合物、およびシリカか
らなる有機−無機複合体反応物と潤滑剤とを主成分とす
る水系組成物に関するものである。この組成物から形成
される皮膜は、有機−無機複合反応物を主要構成成分と
するものであるが、可撓性、および金属素材に対する密
着性が劣り、且つ成形性が十分でないなどの問題を有し
ている。
【0008】従来技術(2)〜(6)には、鋼板の表面
にクロメート皮膜を形成した後、このクロメート皮膜の
上に、有機樹脂としてアクリル系の水性樹脂をベースと
し、これに黒鉛、ニ硫化モリブテン等の固体潤滑剤、ま
たは、α,β不飽和カルボン酸単量体と、これらと共重
合可能な他の単量体とを共重合したアクリル樹脂に、ク
ロム酸塩、シリカゾル、シランカップリング剤、チタネ
ートカップリング剤、微粒子有色顔料から選ばれた少な
くとも1種を含む組成物を塗布して、耐食性、および潤
滑性に優れた表面皮膜を形成することが開示されてい
る。しかし、この皮膜上に更に上塗り塗装をする場合、
この皮膜が撥水・撥油性を有するために塗装不良や密着
不良を起こしやすいという問題を有している。
【0009】従来技術(7)は、エポキシ樹脂、ポリエ
ステル樹脂、およびアクリル樹脂から選ばれる有機樹脂
と、硬化成分であるアミノ樹脂またはポリイソシアネー
トとからなる組成物に、導電性物質、クロム化合物、お
よび潤滑性物質を配合してなる組成物を塗布液として用
いることを特徴とするものである。この方法において
は、導電性物質がカーボンブラック、又はグラファイト
である場合、得られる皮膜の色調は黒色のみとなり、こ
のため用途が限定されてしまう。また導電性物質が金属
粉末、半導体酸化物、又はリン化鉄の場合は成形性が十
分発揮されないという欠点がある。
【0010】従来技術(8)は、亜鉛含有金属めっき鋼
板のめっき層上に、ウレタン樹脂および二酸化珪素の複
合物質、またはこれらの混合物質を主成分とする皮膜層
を形成するか、もしくは上記複合物質、または混合物質
に亜鉛粉末を含有させた物質を主成分とする皮膜層を形
成することを特徴とするものである。しかし、これらの
物質の皮膜だけでは十分な成形性が得られないという問
題がある。
【0011】従来技術(9)は、めっき鋼板、又は冷延
鋼板の表面上にクロメート皮膜を形成し、更にその上に
カルボキシル化ポリオレフィン樹脂、液状エポキシ樹
脂、フッ素樹脂、およびシリカを含有する有機複合皮膜
を形成することを特徴とするものであるが、フッ素樹脂
は、撥水性とともに撥油性もあわせて有しているため、
この皮膜上に上塗り塗装を施す場合、塗装不良や密着不
良を起こすなどの問題を有している。また、下地処理と
して塗布型クロメートを使用し、クロメート皮膜を形成
させ、次に従来技術(9)に開示されている樹脂組成物
を塗装する場合、この樹脂組成物が水性質であるため、
この組成物の塗工時に、下地皮膜からクロム化合物が処
理液中に溶出して、当該樹脂組成物の安定性を損ねるな
どの問題を有している。
【0012】従来技術(10)は、亜鉛、亜鉛合金、又
はアルミニウム合金によりめっきされた鋼板上に、特定
付着量のクロメート皮膜を形成し、その両面上に、ヒド
ロキシル基、および/又は、カルボキシル基を有する樹
脂と、シリカと、フッ素系樹脂粉末との混合物を含む樹
脂皮膜を塗布形成することを特徴とするものである。し
かしながら、この皮膜上に上塗り塗装をすると、塗装不
良や密着性不良を起こすという問題がある。
【0013】従来技術(11)は、亜鉛または亜鉛合金
あるいはアルミニウム合金によりめっきされた鋼板の両
面上に、それぞれ特定付着量のクロメート皮膜を形成さ
せ、その上にヒドロキシル基および/またはカルボキシ
ル基を有する樹脂と、シリカと、融点が110℃以上の
ポリオレフィンワックスとを混合した樹脂混合物を塗布
し、それにより高速プレス成形時に耐パウダリング性に
優れた鋼板を製造することを特徴とするものである。し
かし、この技術は、潤滑性と密着性を同時に満足させる
ことに成功したものとは言えない。
【0014】従来技術(12)は、無機化合物として6
価クロムイオン、または6価クロムイオンと3価クロム
イオンとを含み、有機化合物として特定のアクリル系重
合体エマルジョンを含み、さらに潤滑成分とし、ノニオ
ン系乳化剤で分散された潤滑剤分散物を含有し、pH5以
下の、潤滑性に優れた金属表面処理組成物を開示してい
る。この従来技術(12)は処理液安定性、耐食性、塗
装密着性、および加工成形性は良好であるが、溶接性、
アース性は未だ十分に確保されていない。
【0015】従来技術(13)は、有機潤滑性物質とシ
リカを含有したクロメート皮膜により被覆され、耐食性
と潤滑性と導電性とに優れたクロメート処理鋼板を開示
している。しかし、ここで開示されているクロメート処
理組成物において、有機潤滑性物質がノニオン系界面活
性剤により乳化されているため、シリカとの混和安定性
を欠き、処理液に沈澱物あるいは浮遊物を生じ、さらに
発泡性が高いため、連続作業性が劣るなどの問題を有し
ている。さらに、形成された皮膜がシリカを含有してい
るため溶接性も充分ではない。従って、現状では耐食
性、塗装密着性、溶接性、処理液安定性に優れ、しかも
潤滑性も良好な皮膜を同一工程で形成するような処理組
成物および処理方法は未だ開発されていないのである。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術の
有する前記問題点を解決し、従来技術において耐食性向
上のために必要とされていた下地処理工程と、成形加工
性を向上させるための潤滑剤処理工程との二つの工程を
単一工程で同時に達成することができ、耐食性、塗装密
着性、溶接性、アース性、および処理液安定性に優れ、
しかも、十分な潤滑性を金属材料に付与することができ
る皮膜を、安定して金属材料表面に形成するための新規
な金属材料用潤滑性クロメート処理組成物およびその処
理方法を提供することを目的とするものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明者等は前記問題点
を解決するための手段について鋭意検討した結果、6価
クロムイオン、および3価クロムイオンを含むクロメー
ト液に、特定の乳化剤成分により乳化分散された潤滑剤
成分を添加することにより前記問題点を解決できる事を
見い出し、本発明を完成した。
【0018】即ち、本発明の金属材料用潤滑性クロメー
ト処理組成物は、ワックスおよび含フッ素有機化合物か
ら選ばれた少なくとも1種を含む潤滑剤成分と、6価ク
ロムイオンと3価クロムイオンとを含み、前記潤滑剤成
分が、ポリエチレングリコール基、および2分子以上の
エチレンオキサイドの付加重合体からなる基から選ばれ
た少なくとも1員を含むノニオン部分と、アニオン部分
とを有する複合親水性グループを有するノニオン−アニ
オン複合界面活性剤により水中に安定に乳化されている
水性エマルジョンとして含まれていることを特徴とする
ものである。
【0019】本発明の組成物に含まれる前記水性エマル
ジョンにおいて、前記潤滑剤成分100重量部に対し、
前記ノニオン−アニオン複合界面活性剤の含有量が0.
5〜20重量部であることが好ましい。
【0020】本発明の金属材料用潤滑性クロメート処理
組成物は、さらにリン酸およびフッ化物より選ばれる少
なくとも1種を含有していてもよい。
【0021】また、本発明に係る金属材料用潤滑性クロ
メート皮膜処理方法は、上記本発明の潤滑性クロメート
組成物を含む水性処理液を、金属材料の表面に塗布し、
これを乾燥して前記金属材料表面上にクロム付着量(金
属クロム換算)で5〜150mg/m2 の潤滑性クロメー
ト皮膜を形成固着することを特徴とするものである。
【0022】
【作用】以下に本発明の構成を詳述する。本発明が対象
とする金属材料は、主として鋼材、鋼板、亜鉛含有金属
めっき鋼板、アルミニウム合金材料、およびステンレス
鋼材料などがあるが、特にこれらに限定されるものでは
ない。
【0023】本発明における金属材料用潤滑性クロメー
ト組成物は、潤滑剤成分を含有する水性エマルジョン
と、無機クロメート成分(6価クロム+3価クロム)の
水溶液とから構成されるものである。
【0024】そこでまず潤滑成分を含有する水性エマル
ジョンについて説明する。本発明に用いられる潤滑剤成
分は、ワックス、および含フッ素有機化合物から選ばれ
た少なくとも1種を含み、下記に示される特定構造を有
するノニオン−アニオン複合界面活性剤を含む乳化剤成
分により水性エマルジョン化され、使用に供される。
【0025】本発明において潤滑剤用乳化剤として用い
られるノニオン−アニオン複合界面活性剤は、親水性グ
ループと、疎水性グループとを有し、この親水性グルー
プはノニオン部分とアニオン部分とを含む複合構造を有
し、このノニオン部分はポリエチレングリコール基、お
よび2分子以上のエチレンオキサイドが付加重合して形
成された基から選ばれた少なくとも1員を含んで構成さ
れたものである。このようなノニオン−アニオン複合親
水性グループを有する界面活性剤を、本発明において
は、ノニオン−アニオン複合界面活性剤と呼ぶことにす
る。
【0026】本発明において潤滑剤用乳化剤として用い
られる界面活性剤には、前記複合親水性グループの構造
の他に限定はなく、前述のノニオン−アニオン複合界面
活性剤から選ばれた任意の1種以上を使用できる。その
複合親油性グループの中の前記特定ノニオン部分が、疎
水性グループにエステル結合とは異る結合方式で結合し
ていることがより好ましい。
【0027】本発明に使用するノニオン−アニオン複合
界面活性剤の例としては、例えば下記のノニオン性界面
活性剤に硫酸、りん酸、炭酸などの親水性酸を付加させ
たもの、およびそれらの塩が挙げられる。
【0028】すなわち、疎水性グループとノニオン性親
水性グループとを有し、本願発明のノニオン性−アニオ
ン複合界面活性剤の原料となるノニオン性界面活性化合
物としては、(1)高級アルコールエチレンオキサイド
付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、多価アルコ
ール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、高級ア
ルキルアミンエチレンオキサイド付加物、脂肪酸アミド
エチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコール
エチレンオキサイド付加物、(2)フェノール−エチレ
ンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキ
サイド付加物、スチレン化フェノールエチレンオキサイ
ド付加物、多核芳香族化合物(ナフタレン、アントラセ
ンなど)のエチレンオキサイド付加物、および(3)多
核芳香族化合物、スチレン化フェノール化合物、ポリビ
ニルフェノール化合物、およびフェノール化合物と、ア
ルデヒド化合物(フェノールアルデヒド、アセトアルデ
ヒド)又はケトン化合物(アセトン、メチルエチルケト
ン)との縮合物のエチレンオキサイド付加物、などを用
いることができる。これらのノニオン性界面活性化合物
のうち高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アル
キル化フェノールエチレンオキサイド付加物、およびス
チレン化フェノールエチレンオキサイド付加物などは工
業的に入手しやすいので、これらを用いることが好まし
い。
【0029】上記のようなノニオン性親水性基を有する
界面活性化合物に硫酸、りん酸、又は炭酸などの親水性
酸を付加反応させて、アニオン性を示す硫酸エステル
(−OSO3 H)、スルホン酸(−SO3 H)、リン酸
エステル(−OPO3 H)、カルボン酸(−COOH)
あるいは、これらの塩とすることにより、本発明に有用
なノニオン−アニオン複合界面活性剤が得られる。
【0030】なお本発明において、潤滑剤をエマルジョ
ン化するのに用いる手法について特に制限はなく、通常
行われている乳化方法、すなわち極性基を利用する方
法、乳化剤を使用する方法、機械的方法等の手法が適宜
に使用可能である。本発明の水性エマルジョンにおい
て、潤滑剤成分100重量部に対して、ノニオン−アニ
オン複合界面活性剤の含有量が0.5〜20重量部であ
ることが好ましい。この含有量が0.5重量部未満であ
ると、得られる水性エマルジョンの安定性が不十分とな
る場合があり、また無機クロメート成分との混和安定性
においても不十分になることがある。また、それが20
重量部を超えると得られる皮膜の耐水性が不十分にな
り、また塗膜密着性(特に二次密着性)が不十分になる
ことがある。また、エマルジョンの安定性を高めるため
に、ノニオン性界面活性剤を併用してもよい。但し、こ
のときのノニオン性界面活性剤の添加量は、ノニオン−
アニオン複合界面活性剤の含有重量の1/2以下である
ことが好ましい。この重量比が1/2を超えると、得ら
れる処理液の安定性が不十分になることがある。
【0031】本発明に使用されるワックスについては、
特に制限はないが、好ましいワックスの種類として具体
的に例をあげると、パラフィンワックス、マイクロクリ
スタリンワックス、ポリエチレン系ワックスなどであ
り、これらは本発明によりエマルジョン化されて使用さ
れる。これらの中でも融点が50〜150℃のワックス
を用いることがより好ましい。融点が50℃未満のワッ
クスを用いると、潤滑性が不十分になることがあり、ま
た150℃超の融点を有するワックスを用いると、これ
をエマルジョン化することが困難な場合があり、このよ
うなワックスのエマルジョンを含む処理液から形成され
る皮膜は必然的に潤滑剤成分を不均一に含むので潤滑性
が不十分になることがある。
【0032】又、本発明に使用される含フッ素有機化合
物にも特に制限はなく、例えばポリエチレン(PE)の
繰り返し単位−(CH2−CH2)−の水素原子をフッ
素原子で置換したポリマー、すなわちポリフッ化ビニル
(PVF)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリ
トリフルオロエチレン(PTrFE)、ポリテトラフル
オロエチレン(PTFE)およびこれらのポリマーとオ
レフィン系との共重合物またこれらの変性物など各種の
高分子含フッ素有機化合物が挙げられる。特にPTFE
は低い摩擦係数を有するため本発明に好ましいものであ
って、市販のPTFEパウダーを水中に乳化したもの、
又は乳化重合により製造したエマルジョンを使用するこ
ともできる。
【0033】本発明に用いられる潤滑剤成分中には、上
記ワックスおよび/又は含フッ素有機化合物の他に、黒
鉛、二硫化モリブデン、油脂類などの従来既知の潤滑剤
を含んでいてもよい。ただし、黒鉛、二硫化モリブデン
等を含む潤滑剤成分を本発明の処理液中に含有させて使
用する場合、形成する皮膜は黒く着色し、この皮膜が形
成された金属材料を成形加工した場合、成形加工の度合
いによっては着色度合いが変化し外観ムラとなることが
ある。又、油脂類を潤滑成分として使用した場合には、
次の工程で塗装される場合に脱脂を行わなければならな
いので、工程上不利になることがある。
【0034】次に、本発明の金属材料用潤滑性クロメー
ト処理組成物に含まれる無機クロメート成分について説
明する。
【0035】無機クロメート成分含有水溶液に含まれて
いる6価クロムイオン、3価クロムイオンの濃度には特
に限定はないが、処理液として用いられるときの全クロ
ムイオン(6価クロムイオン+3価クロムイオン)濃度
は1〜100g/リットルであることが好ましい。この
濃度が1g/リットル未満では、得られる皮膜の耐食性
が不十分になることがあり、またそれが100g/リッ
トル超としても、得られる皮膜の耐食性は飽和に達して
いるため経済的に不利になる。
【0036】本発明の組成物において、3価クロムイオ
ン/6価クロムイオンの重量比は2/8から7/3の範
囲にあることが好ましい。この比が2/8未満では、形
成される皮膜中の6価クロムの含有率が過度に高まる
為、得られる皮膜の耐水性が不十分になることがある。
またそれが7/3を超過すると形成される皮膜中の6価
クロムの含有率が過度に低下するため、得られる皮膜の
耐食性が不十分となることがある。6価クロムイオンの
供給源には特に制限はないが、例えばクロム酸、重クロ
ム酸、及びこれらの塩類などを使用できる。同様に、3
価クロムイオンの供給源としては、硝酸クロム、リン酸
クロム、フッ化クロム、クロム酸の還元物などが挙げら
れるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0037】なお、本発明の金属材料用潤滑性クロメー
ト組成物を含有する水性処理液を安定に保持する為に
は、処理液中に含まれる3価クロムイオンの状態を安定
化することが重要である。その為には処理液のpHを3.
0未満に調節する事が好ましい。処理液のpHを3.0未
満に調節するために使用する酸の種類には特に制限はな
い。本発明の皮膜処理液に特に好ましいpH調整用酸を具
体的に示すと、リン酸、クロム酸、重クロム酸等の無機
酸類、ギ酸、酢酸、グリコール酸、クエン酸、酒石酸、
リンゴ酸、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸等の
有機カルボン酸類、アクリル酸、メタクリル酸、マレイ
ン酸等のビニル重合性を有するカルボン酸類の単独重合
体、もしくは共重合体等がある。これらの酸から選ばれ
た1種以上を使用すると、得られる皮膜の塗装性、耐食
性等を阻害しないので好ましい。これらの酸は、無機ク
ロメート成分水溶液中に含まれていてもよいし、或は、
処理液調製の際に添加されてもよい。
【0038】特に好ましい酸として、リン酸と、フッ酸
と、珪フッ化水素酸、ジルコンフッ化水素酸、チタンフ
ッ化水素酸等の錯フッ化物をあげることができる。これ
ら酸と3価クロムイオンとが、3価クロムイオン/酸の
当量比で1/3以上になるように配合することが好まし
い。この当量比が1/3未満では、酸の比率が過大とな
るので得られる皮膜の耐水性が低下し、耐食性が劣化す
る場合がある。
【0039】本発明における金属材料用潤滑性クロメー
ト処理液中の潤滑剤成分の含有比率は、潤滑剤成分/全
クロムイオン(6価クロムイオン+3価クロムイオン)
の重量比で1/50〜100/1の範囲内にあることが
好ましい。潤滑剤成分の重量比が1/50未満では、得
られる皮膜の潤滑性能が不十分となることがある。又、
それが100/1を超えると得られる皮膜の耐食性、溶
接性、アース性の劣化を招くことがある。
【0040】本発明の金属材料用潤滑性クロメート処理
組成物において、そのクロメート成分水溶液中には、上
記成分以外に、通常のクロメート液中に含まれる成分、
例えば亜鉛、鉄、ニッケル、コバルト、アルミニウム、
チタニウム、又はジルコニウム等の金属を可溶性塩類等
として含んでいてもよい。また潤滑剤成分含有水性エマ
ルジョン中には、ポリアクリル酸、マレイン酸・メチル
ビニルエーテル共重合体、ポリアクリルアマイド等の水
溶性高分子、アクリル酸エステル系共重合体エマルジョ
ン、スチレン、アクリル酸エステル系共重合体エマルジ
ョン、エポキシ樹脂エマルジョン、エチレン・アクリル
酸共重合体エマルジョン、又はポリエステル樹脂エマル
ジョン等を含んでもよい。特にビスフェノール骨格を有
するエポキシ樹脂のエマルジョンの添加は、得られる皮
膜の塗装密着性の向上に効果的である。上記の添加成分
は、処理液調製の際に添加してもよい。
【0041】次に、本発明の潤滑性皮膜形成処理方法に
ついて説明する。この処理方法においては、前記組成物
を含みかつ3.0未満のpHを有する水性処理液を調製
し、これを金属材料表面に塗布し、乾燥する。これら塗
布および乾燥方法に制限はなく、通常に知られている浸
漬、シャワー等の方法により金属材料表面上に処理液層
を形成し、エアーブロー、またはロール等により処理液
の塗布量を調節してもよく、又はロールコート法、スプ
レーコート法など任意の方法で所望量の塗布を施すこと
ができる。
【0042】本発明の方法により形成される皮膜量には
制限はないが、金属材料の表面に3価クロムイオンと6
価クロムイオンを合計したクロム付着量が5〜150mg
/m 2 (金属クロム換算として)の範囲内にあることが
好ましい。クロム付着量が5mg/m2 未満では、得られ
る皮膜の耐食性が不十分になることがあり、またそれが
150mg/m2 超であっても、得られる皮膜の耐食性能
が飽和し、経済的でないことがある。
【0043】潤滑剤成分として、ワックス、および含フ
ッ素有機化合物から選ばれた少なくとも1種を含有する
本発明のクロメート処理液を金属材料表面に塗布し、こ
の塗布液層を乾燥することにより金属材料表面に形成さ
れた皮膜は、一般に知られているクロメート皮膜の外観
と大きく変わることがなく、黄色から無色に近い外観を
呈する。つまり、加工度合いによる外観色調の変化が極
めて少ないため、外観品質が劣化することがない。この
ような製品外観は、実用上好ましいものである。
【0044】又、塗布液層の乾燥方法にも特に制限はな
く、熱風、高周波誘導加熱等の、用途、生産性、および
経済性に応じて適宜に選択された乾燥方法を用いること
ができる。また、加熱温度、加熱時間についても特に制
限はなく、金属材料、用途、生産性、および経済性に応
じて適宜の乾燥条件を選択できる。
【0045】次に、本発明の作用効果について説明す
る。本発明の方法に用いられる処理液は、無機クロメー
ト成分水溶液に由来する3価クロムイオンと、6価クロ
ムイオンとを含み、且つそのpHを3.0未満に調整して
使用する。この処理液に含まれる3価クロムイオンは、
多価のカチオンとして作用し、エマルジョン粒子表面の
電荷を中和する作用がある。一般的に、粒子の表面電荷
を中和すると、その粒子の分散は不安定化し凝集する傾
向を生ずる。つまり、親水性基として作用するアニオン
部分しか有していないアニオン性界面活性剤は、3価ク
ロムイオンに中和されてしまうため、そのイオン性が低
下するとともに、親水性も低下してしまい界面活性剤と
しての作用を失ってしまう場合がある。
【0046】又、同時に処理液中に存在する6価クロム
イオンは強力な酸化剤であり、且つ処理液pHを3.0未
満に保持しているので、無機クロメート成分水溶液を潤
滑剤成分を含有する水性エマルジョンと混合すると、急
激なpH変化が生じ、そのため潤滑剤成分粒子表面のジー
タ(ζ)電位が急激に変化し、その分散の不安定化を招
き凝集する傾向を生ずる。この様な潤滑剤成分エマルジ
ョン粒子の分散不安定化を防止し、安定な分散状態を保
つためには、ノニオン性界面活性剤を含有する乳化剤を
使用することが効果的である。
【0047】しかしながら、ノニオン性界面活性剤のノ
ニオン部分(エチレングリコール基および2分子以上の
エチレンオキサイドの付加重合体からなる基)は6価ク
ロムイオンによって酸化されるため、その親水性が低下
し、その結果界面活性剤としての機能を失い、エマルジ
ョンの分散安定性が損なわれるばかりか、3価クロムイ
オンの増加による無機クロメート成分自体の安定性も損
われることがある。一方、6価クロムイオンは処理液中
ではクロム酸イオンあるいは重クロム酸イオンとして存
在していることが知られている。つまり、6価クロムは
アニオンとして処理液中に存在しているのである。その
ため、水溶液中において本発明のノニオン−アニオン複
合界面活性剤と6価クロムイオンとは静電気的に反発す
るため、界面活性剤分子中のノニオン部分は6価クロム
イオンによって酸化され難いと考えられる。
【0048】本発明により、6価クロムイオンと、3価
クロムイオンと、潤滑剤成分とを安定に処理液中に存在
させ、その処理液が実用に耐えられるほどの経時安定性
を得ることができたのは、潤滑剤成分が、複合親水基と
してノニオン部分とアニオン部分とを有する特定のノニ
オン−アニオン複合界面活性剤を含む乳化剤により、安
定に乳化されているためである。つまり、ノニオン部分
により、3価クロムイオンによる電荷の中和や、表面電
位の変化によるエマルジョン粒子の凝集を防ぎ、かつア
ニオン部分により6価クロムイオンによるノニオン部分
の酸化を抑制し、潤滑剤成分エマルジョンを安定化して
いるのである。
【0049】また、本発明において、潤滑剤成分として
用いられる含フッ素有機化合物および、ワックス等は、
それ自体の摩擦係数が非常に低く、低摩擦材料として広
く知られるものであり、それをエマルジョン化して潤滑
剤成分として使用することについても公知であるが、pH
が3.0未満のクロメート処理液中では乳化剤の作用が
十分に持続せず、これを含むクロメート処理液はエマル
ジョン粒子が不安定になり易く、処理液としての安定性
が甚だ不十分なものとならざるを得ない。ところが本発
明においては、前述の特定ノニオン−アニオン複合界面
活性剤を用いて安定に乳化した潤滑剤成分を含有する水
性エマルジョンを用いるので、6価クロムイオンと3価
クロムイオンとを含有するクロメート成分水溶液と均一
かつ安定に混合でき、しかも3.0未満のpHを有する処
理液中でも乳化剤の作用が持続し、処理液の安定性が実
用に耐え得る程に向上する。本発明の処理液組成物の長
所・利点はまさにこの点にある。
【0050】
【実施例】下記実施例により本発明を具体的に説明する
が、本発明の範囲はこれらの実施例により限定されるも
のではない。
【0051】実施例1〜12及び比較例1〜6 (1)無機クロメート成分水溶液の調製方法 表1に示された組成を有する無機クロメート成分水溶液
Iを調製するために、まず無水クロム酸100gを純水
500gで溶解し、この水溶液にメタノールを加え、ク
ロム酸を一部還元し6価クロムイオン/3価クロムイオ
ンの重量比を7/3に調整した後、純水を加えて全量が
1kgになるように調整した。また無機クロメート成分水
溶液IIおよびIII を、それぞれクロメート成分水溶液I
と同様の手順により表1に示された組成になるように調
製した。
【0052】(2)潤滑剤成分含有水性エマルジョン
を、表2の組成となるように調製した。 (3)クロメート処理液の調製 表1に示した無機クロメート成分溶液I〜III と、表2
に示した潤滑剤成分含有水性エマルジョンa〜eを、表
3に示された組成となるように配合してクロメート処理
液を調製した。
【0053】(4)供試板作製 市販の電気亜鉛めっき鋼板(EG)、溶融亜鉛めっき鋼
板(GI)、合金化溶融亜鉛めっき鋼板(GA)、5%
アルミニウム含有溶融亜鉛めっき鋼板(GF)、又はア
ルミニウムめっき鋼板(AS)を供試材として用いた。
供試板のサイズは縦300mm、横200mm、厚さ0.6
〜0.8mmのものを用いた。この供試板を、予め日本パ
ーカライジング株式会社製のアルカリ脱脂剤(商品名:
ファインクリーナー4336、濃度=20g/リット
ル、脱脂剤温度=60℃、脱脂時間=10秒、脱脂方法
=スプレー法)で脱脂し、次いで水洗し、水切りしたの
ち、実施例1〜12および比較例1〜6の各々におい
て、この供試板に、各処理液をロールコーターを用い
て、WET塗布量;5ml/m2 になるように塗布し、1
00℃(到達板温)で5秒間乾燥した。また、比較例7
においては、潤滑剤a(固形分20%)を#3バーコー
ト塗装し、同様に乾燥した。供試板処理内容を表3に示
す。
【0054】(5)性能試験 (イ)裸耐食性 前記の条件で作製した各種処理鋼板を用い、JIS−Z
−2371による塩水噴霧試験を、各々の素材に応じ
て、EG、およびGI材には150時間、GAに対して
は100時間、GF材に対しては240時間、AS材に
対しては360時間施し、腐食発生面積を目視により評
価した。
【0055】(ロ)加工性 前記の条件で作製した各種処理鋼板を用い、高速円筒深
絞り試験機により、絞り速度=10m/分、ブランク径
=88mmφ、ポンチ径=40mmφの条件(絞り比=2.
2)下で、皺押さえ荷重を0.5Ton 刻みで順次増加さ
せて、破断に至る限界皺押さえ荷重(Ton )を測定し、
下記のように評価した。 <評価基準> 優 5……破断荷重:4.0Ton 以上 ↑ 4……破断荷重:2.5Ton 以上4.0Ton 未満 3……破断荷重:1.5Ton 以上2.5Ton 未満 ↓ 2……破断荷重:0.5Ton 以上1.5Ton 未満 劣 1……破断荷重:0.5Ton 未満
【0056】(ハ)動摩擦係数 バウデン摩擦摩耗試験機(条件:圧着子=SUJ−2、
10mmφ、摺動速度10mm/sec 、摺動回数20回、室
温)により、実施例の製品に対しては荷重100gの条
件で動摩擦係数(摺動回数10回目)を測定した。ま
た、比較例の一部の試験板に対しては荷重100gにお
ける動摩擦係数が測定できなかったため、プレス油(パ
ーカー興産株式会社製、NOX RUST 550HN)を1〜2g/
2 塗油した条件で測定を行った。
【0057】(ニ)溶接性 電気亜鉛ニッケル合金メッキ鋼板について、スポット溶
接を以下の条件で連続的に行うと、徐々に溶接端子が劣
化し、溶接性が悪くなるので、その劣化度により溶接性
が評価できる。すなわち、打点100点毎に30mm×1
00mmの別の試験片を溶接し、その試験片の引張強度が
400kg維持できるまでの打点回数を記録した。 <溶接条件> 加圧力………200kg 電流…………8.5kA 通電時間……10サイクル 電極形状……R40(ラジアス型) 電極材質……クロム−銅
【0058】(ホ)アース性(層間抵抗値) JIS−C−2550に準じて層間抵抗値の測定を行
い、下記評価基準で評価した。 <評価基準> 優 ◎……0.2以上0.4未満 ↑ ○……0.4以上0.8未満 ↓ △……0.8以上1.5未満 劣 ×……1.5以上 (単位:Ω・cm2 /枚)
【0059】(ホ)塗装性 表1に記した条件で作製した各種処理鋼板に、大日本塗
料株式会社製のメラミン・アルキッド塗料(商品名;デ
リコン#700)を塗膜厚25μmとなるようにバーコ
ートし、140℃で30分焼付け乾燥を行い塗装板を作
製した。上記のように作製した塗装板について、下記の
条件にて塗装性能試験を実施した。
【0060】(i)一次密着性 <ゴバン目試験>カッターナイフで塗膜面に100個の
1mm角ゴバン目状の切込みを入れたのち、ゴバン目面に
対し、セロテープによる剥離テストを施し、塗膜の残存
ゴバン目個数を測定し、評価した。
【0061】<デュポン衝撃試験>塗膜面に、撃心形状
1/2インチφ、荷重500g、距離50cmの条件でデ
ュポン衝撃を施した後、これにセロテープ剥離を施し塗
膜の残存状態を目視にて評価した。
【0062】(ii)二次密着性 塗装板を沸騰水中に2時間浸漬した後、下記の条件にて
密着性試験を実施した。 <ゴバン目試験>カッターナイフで塗膜面に1mm角で1
00個のゴバン目状の切込みを入れたのち、ゴバン目面
にセロテープ剥離を施し、塗膜の残存ゴバン目個数を計
測し評価した。つまり、塗膜の残存個数の多い程、塗膜
密着性が優れていることを示す。
【0063】<デュポン衝撃試験>塗膜面に、撃心形状
1/2インチφ、荷重500g、距離50cmの条件でデ
ュポン衝撃を施した後、セロテープ剥離を施し塗膜の残
存状態を目視にて評価した。
【0064】(iii )塗装後耐食性試験 塗装面に金属素地に達するまでのクロスカットを入れ、
これに塩水噴霧試験(JIS−Z2371)を500時
間施した後、クロスカット部からの塗膜剥離幅をmm単位
で測定した。つまり、mm数の少ないほど、塗装後の耐食
性が優れていることを示す。
【0065】<処理液安定性試験>表3に示されている
処理液の各々を室温および40℃の恒温槽中で1ヶ月静
置し、その後液外観を目視により評価した。○評価以上
のものが実用可能である。 <評価基準> 優 ◎……変化なし(塗布可能) ↑ ○……潤滑剤成分が沈澱あるいは浮上したが、軽く揺り動かした程度で 均一に再分散した(塗布可能) ↓ △……沈澱物、あるいは浮上物の再分散しにくい(塗布不可能) 劣 ×……ゲル化、あるいは沈澱物の固化(塗布不可能)
【0066】上記試験結果を表4に示す。
【0067】
【表1】
【0068】
【表2】
【0069】
【表3】
【0070】
【表4】
【0071】表4の結果から明らかなように、本発明の
潤滑性クロメート処理液を用いた実施例1〜12におい
て、形成された皮膜は摩擦係数が小さく、加工性が良好
で、溶接性、アース性、裸耐食性、塗装性においても優
れた性能を示し、処理液の経時安定性も大変優れてい
た。それに対し、比較例1〜4の処理液を用いて形成さ
れた皮膜は、摩擦係数が大きく、加工性が大幅に劣って
いるので、プレス油などの潤滑油を塗布せずには加工す
ることは不可能であり、また摩擦係数を測定することも
できなかった。一方、比較例5および6においては、加
工性、裸耐食性、溶接性、アース性、塗装性が良好であ
ったが、処理液の経時安定性が劣悪であった。また、比
較例7の処理液を用いて形成された皮膜は摩擦係数が小
さく、加工性にも優れていたが、絶縁性が大きい為、溶
接性、およびアース性が大幅に劣り、裸耐食性も塗装性
も大幅に劣っていた。
【0072】
【発明の効果】本発明の金属材料用潤滑性クロメート処
理組成物およびそれを含む処理液を用いた処理方法は、
各種金属材料表面に、潤滑性、溶接性、アース性、裸耐
食性、及び塗装性が優れたクロメート皮膜を効率良く形
成することができ、実用に耐えられる程の処理液安定性
を有し、プレス作業環境も大幅に改善することができる
ので、実用上大きな効果を奏するものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C10N 40:20

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ワックスおよび含フッ素有機化合物から
    選ばれた少なくとも1種を含む潤滑剤成分と、6価クロ
    ムイオンと、3価クロムイオンとを含み、前記潤滑剤成
    分が、ポリエチレングリコール基、および2分子以上の
    エチレンオキサイドの付加重合体からなる基から選ばれ
    た少なくとも1員のノニオン部分と、アニオン部分とを
    有する複合親水性グループを有するノニオン−アニオン
    複合界面活性剤により、水中に安定に乳化された水性エ
    マルジョンとして含まれていることを特徴とする金属材
    料用潤滑性クロメート処理組成物。
  2. 【請求項2】 前記水性エマルジョンにおいて、前記潤
    滑剤成分100重量部に対し、前記ノニオン−アニオン
    複合界面活性剤の含有量が0.5〜20重量部である、
    請求項1に記載の金属材料用潤滑性クロメート処理組成
    物。
  3. 【請求項3】 さらにリン酸およびフッ化物から選ばれ
    る少なくとも1種を含有する、請求項1または2に記載
    の金属材料用潤滑性クロメート処理組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項に記載の金
    属材料用潤滑性クロメート処理組成物を含む水性処理液
    を、金属材料の表面に塗布し、これを乾燥して前記金属
    材料表面上にクロム付着量(金属クロム換算で)5〜1
    50mg/m2の潤滑性クロメート皮膜を形成することを
    特徴とする金属材料用潤滑性クロメート処理方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0877832A2 (en) * 1995-11-30 1998-11-18 Henkel Corporation Chromate treatment bath composition and process for application to metals
US7153348B2 (en) * 2000-09-07 2006-12-26 Nippon Steel Corporation Hexavalent chromium-free surface-treating agent for Sn or Al-based coated steel sheet, and surface treated steel sheet

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