JPH08253873A - 金属材料用潤滑性クロメート処理組成物、および処理方法 - Google Patents
金属材料用潤滑性クロメート処理組成物、および処理方法Info
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- JPH08253873A JPH08253873A JP7055884A JP5588495A JPH08253873A JP H08253873 A JPH08253873 A JP H08253873A JP 7055884 A JP7055884 A JP 7055884A JP 5588495 A JP5588495 A JP 5588495A JP H08253873 A JPH08253873 A JP H08253873A
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- lubricating
- component
- silica
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 金属材料上に、耐食性、塗装密着性に優れ、
安全な潤滑性クロメート皮膜を形成する潤滑性クロメー
ト処理組成物およびそれを用いる処理方法を提供する。 【構成】 ワックス又は含フッ素有機化合物を含む潤滑
剤成分が、ポリエチレングリコール基および2分子以上
のエチレンオキサイド付加重合基から選ばれた少なくと
も1員を含むノニオン部分とアニオン部分とを有してい
る複合親水性グループを有するノニオン−アニオン性界
面活性剤を含有する乳化剤により乳化されている水性エ
マルジョンと、6価クロムイオンと、3価クロムイオン
と、シリカ成分とを含有し、3.0未満のpHを有する処
理液を調製し、この処理液を金属材料表面に塗布し、乾
燥して、潤滑性クロメート皮膜を形成する。
安全な潤滑性クロメート皮膜を形成する潤滑性クロメー
ト処理組成物およびそれを用いる処理方法を提供する。 【構成】 ワックス又は含フッ素有機化合物を含む潤滑
剤成分が、ポリエチレングリコール基および2分子以上
のエチレンオキサイド付加重合基から選ばれた少なくと
も1員を含むノニオン部分とアニオン部分とを有してい
る複合親水性グループを有するノニオン−アニオン性界
面活性剤を含有する乳化剤により乳化されている水性エ
マルジョンと、6価クロムイオンと、3価クロムイオン
と、シリカ成分とを含有し、3.0未満のpHを有する処
理液を調製し、この処理液を金属材料表面に塗布し、乾
燥して、潤滑性クロメート皮膜を形成する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属材料用潤滑性クロ
メート処理組成物および処理方法に関するものである。
さらに詳しく述べるならば、本発明は、金属材料の表面
上に、優れた潤滑性と成形加工性とを有し、同時に優れ
た耐食性を有する潤滑性クロメート皮膜を形成するため
の金属材料用潤滑性クロメート処理組成物、およびその
処理方法に関するものである。
メート処理組成物および処理方法に関するものである。
さらに詳しく述べるならば、本発明は、金属材料の表面
上に、優れた潤滑性と成形加工性とを有し、同時に優れ
た耐食性を有する潤滑性クロメート皮膜を形成するため
の金属材料用潤滑性クロメート処理組成物、およびその
処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、金属材料、例えば鉄鋼材料は、
鉄鋼メーカー等の圧延装置により板状、管状、棒状等に
加工され、更に、家電、自動車、建材メーカー等におけ
る各種用途に応じて、プレス、鍛造等の方法により所望
の形状・寸法に加工され、その後、組み立てに供されて
いる。このような成形加工の殆どにおいて、金属材料の
加工面上にプレス油等の油系潤滑剤、石灰石鹸等の固体
潤滑剤、およびりん酸亜鉛皮膜等との組み合わせを含む
潤滑皮膜を形成した後に、当該成形加工が施されてい
る。このような成形加工を行っている現場には、成形装
置およびその周辺部に発生した油汚れ、粉塵の飛散等が
あり、その作業環境は、公害防止、および労働安全衛生
などの観点から好ましくない場合がある。
鉄鋼メーカー等の圧延装置により板状、管状、棒状等に
加工され、更に、家電、自動車、建材メーカー等におけ
る各種用途に応じて、プレス、鍛造等の方法により所望
の形状・寸法に加工され、その後、組み立てに供されて
いる。このような成形加工の殆どにおいて、金属材料の
加工面上にプレス油等の油系潤滑剤、石灰石鹸等の固体
潤滑剤、およびりん酸亜鉛皮膜等との組み合わせを含む
潤滑皮膜を形成した後に、当該成形加工が施されてい
る。このような成形加工を行っている現場には、成形装
置およびその周辺部に発生した油汚れ、粉塵の飛散等が
あり、その作業環境は、公害防止、および労働安全衛生
などの観点から好ましくない場合がある。
【0003】一方、鉄鋼の亜鉛系めっきによる犠牲防食
は、最も効果的で且つ経済的であり、このため、現在で
は、日本における年間粗鋼生産量1億トンの10%にあ
たる1000万トンが亜鉛系めっき鋼板として生産さ
れ、建材、自動車および家電等の広い分野で使用されて
いる。亜鉛による犠牲防食のメカニズムは、亜鉛および
鉄鋼の二つの金属が接触した状況下で局部電池が形成さ
れ、より卑な金属である亜鉛が陽極となり、鉄を陰極化
して、鉄単独の場合の局部電池形成による陽極溶解を防
止し、鉄鋼の腐食を防止するものである。従って、鉄鋼
と接触している亜鉛が消失した時点で防食効果は失われ
る。そこで、その作用効果を長期的に持続させるために
は亜鉛層の腐食を抑制することが必要であり、このため
の対応手段として、亜鉛めっき後にクロメート処理が施
されている。
は、最も効果的で且つ経済的であり、このため、現在で
は、日本における年間粗鋼生産量1億トンの10%にあ
たる1000万トンが亜鉛系めっき鋼板として生産さ
れ、建材、自動車および家電等の広い分野で使用されて
いる。亜鉛による犠牲防食のメカニズムは、亜鉛および
鉄鋼の二つの金属が接触した状況下で局部電池が形成さ
れ、より卑な金属である亜鉛が陽極となり、鉄を陰極化
して、鉄単独の場合の局部電池形成による陽極溶解を防
止し、鉄鋼の腐食を防止するものである。従って、鉄鋼
と接触している亜鉛が消失した時点で防食効果は失われ
る。そこで、その作用効果を長期的に持続させるために
は亜鉛層の腐食を抑制することが必要であり、このため
の対応手段として、亜鉛めっき後にクロメート処理が施
されている。
【0004】この様なクロメート処理が施された亜鉛系
めっき鋼板に対して、潤滑剤としてプレス油等を塗布し
た後、プレス加工等の成形加工が施され、この成形加工
後に、当該金属材料上に残留しているプレス油、金属粉
末等の汚れをトリクロロエチレン等の塩素系溶剤で脱脂
清浄化し、この清浄化表面に塗装等を施した後、組立工
程に送られ最終製品として仕上げられている。
めっき鋼板に対して、潤滑剤としてプレス油等を塗布し
た後、プレス加工等の成形加工が施され、この成形加工
後に、当該金属材料上に残留しているプレス油、金属粉
末等の汚れをトリクロロエチレン等の塩素系溶剤で脱脂
清浄化し、この清浄化表面に塗装等を施した後、組立工
程に送られ最終製品として仕上げられている。
【0005】ところが近年、地球規模での環境保全に対
する意識が高まり、塩素系溶剤、フロン系溶剤等の使用
を規制、もしくは全廃する機運にある。そのため、金属
材料表面上に予め潤滑性を有するクロメート皮膜を形成
し、それによってプレス油などの潤滑剤を塗布すること
なく、つまり無塗油のままで成形加工することを可能と
するような潤滑性クロメート皮膜の開発が強く要望され
ている。
する意識が高まり、塩素系溶剤、フロン系溶剤等の使用
を規制、もしくは全廃する機運にある。そのため、金属
材料表面上に予め潤滑性を有するクロメート皮膜を形成
し、それによってプレス油などの潤滑剤を塗布すること
なく、つまり無塗油のままで成形加工することを可能と
するような潤滑性クロメート皮膜の開発が強く要望され
ている。
【0006】今までに、これらの要望に応えるための種
々の方法が提案されている。これらの当該技術にかかる
従来の技術として、(1)特開昭61−60766号、
(2)特開昭61−227178号、(3)特開昭61
−227179号、(4)特開昭61−231177
号、(5)特開昭61−279687号、(6)特開昭
62−33781号、(7)特開昭62−83172
号、(8)特開昭62−289274号、(9)特開昭
63−162886号、(10)特開平2−43040
号、(11)特開平3−39485号および(12)特
開平3−219086号、および(13)特開平6−9
3461号等の公報により開示された技術が知られてい
る。下記にこれらの従来技術について概説する。
々の方法が提案されている。これらの当該技術にかかる
従来の技術として、(1)特開昭61−60766号、
(2)特開昭61−227178号、(3)特開昭61
−227179号、(4)特開昭61−231177
号、(5)特開昭61−279687号、(6)特開昭
62−33781号、(7)特開昭62−83172
号、(8)特開昭62−289274号、(9)特開昭
63−162886号、(10)特開平2−43040
号、(11)特開平3−39485号および(12)特
開平3−219086号、および(13)特開平6−9
3461号等の公報により開示された技術が知られてい
る。下記にこれらの従来技術について概説する。
【0007】従来技術(1)は、水溶性または水分散性
の有機樹脂、アルコキシシラン化合物、およびシリカか
らなる有機−無機複合体反応物と潤滑剤とを主成分とす
る水系組成物に関するものである。この組成物から形成
される皮膜は、有機−無機複合反応物を主要構成成分と
するものであって、可撓性、および金属素材に対する密
着性が劣り、且つ成形性が十分でないなどの問題を有し
ている。
の有機樹脂、アルコキシシラン化合物、およびシリカか
らなる有機−無機複合体反応物と潤滑剤とを主成分とす
る水系組成物に関するものである。この組成物から形成
される皮膜は、有機−無機複合反応物を主要構成成分と
するものであって、可撓性、および金属素材に対する密
着性が劣り、且つ成形性が十分でないなどの問題を有し
ている。
【0008】従来技術(2)〜(6)には、鋼板の表面
にクロメート皮膜を形成した後、このクロメート皮膜の
上に、有機樹脂としてアクリル系の水性樹脂をベースと
し、これに黒鉛、二硫化モリブデン等の固体潤滑剤、ま
たは、α、β不飽和カルボン酸単量体と、これらと共重
合可能な他の単量体とを共重合したアクリル樹脂に、ク
ロム酸塩、シリカゾル、シランカップリング剤、チタネ
ートカップリング剤、微粒子有色顔料から選ばれた少な
くとも1種を含む組成物を塗布して、耐食性、および潤
滑性に優れた表面皮膜を形成することが開示されてい
る。しかし、この皮膜上に更に上塗り塗装をする場合、
この皮膜が撥水・撥油性を有するために塗装不良や密着
不良を起こしやすいという問題を有している。
にクロメート皮膜を形成した後、このクロメート皮膜の
上に、有機樹脂としてアクリル系の水性樹脂をベースと
し、これに黒鉛、二硫化モリブデン等の固体潤滑剤、ま
たは、α、β不飽和カルボン酸単量体と、これらと共重
合可能な他の単量体とを共重合したアクリル樹脂に、ク
ロム酸塩、シリカゾル、シランカップリング剤、チタネ
ートカップリング剤、微粒子有色顔料から選ばれた少な
くとも1種を含む組成物を塗布して、耐食性、および潤
滑性に優れた表面皮膜を形成することが開示されてい
る。しかし、この皮膜上に更に上塗り塗装をする場合、
この皮膜が撥水・撥油性を有するために塗装不良や密着
不良を起こしやすいという問題を有している。
【0009】従来技術(7)は、エポキシ樹脂、ポリエ
ステル樹脂、およびアクリル樹脂から選ばれる有機樹脂
と、硬化成分であるアミノ樹脂またはポリイソシアネー
トとからなる組成物に、導電性物質、クロム化合物、お
よび潤滑性物質を配合してなる組成物を塗布液として用
いることを特徴とするものである。この方法において
は、導電性物質がカーボンブラック、又はグラファイト
である場合、得られる皮膜の色調は黒色のみとなり、こ
のため用途が限定されてしまう。また導電性物質が金属
粉末、半導体酸化物、リン化鉄の場合は成形性が十分発
揮されないのである。
ステル樹脂、およびアクリル樹脂から選ばれる有機樹脂
と、硬化成分であるアミノ樹脂またはポリイソシアネー
トとからなる組成物に、導電性物質、クロム化合物、お
よび潤滑性物質を配合してなる組成物を塗布液として用
いることを特徴とするものである。この方法において
は、導電性物質がカーボンブラック、又はグラファイト
である場合、得られる皮膜の色調は黒色のみとなり、こ
のため用途が限定されてしまう。また導電性物質が金属
粉末、半導体酸化物、リン化鉄の場合は成形性が十分発
揮されないのである。
【0010】従来技術(8)は、亜鉛含有金属めっき鋼
板のめっき層上にウレタン樹脂および二酸化珪素からな
る複合物質、またはこれらの混合物質を主成分とする皮
膜層を形成するか、もしくは上記複合物質、または混合
物質に亜鉛粉末を含有された物質を主成分とする皮膜層
を形成することを特徴とするものである。しかし、これ
らの物質の皮膜だけでは十分な成形性が得られないとい
う問題がある。
板のめっき層上にウレタン樹脂および二酸化珪素からな
る複合物質、またはこれらの混合物質を主成分とする皮
膜層を形成するか、もしくは上記複合物質、または混合
物質に亜鉛粉末を含有された物質を主成分とする皮膜層
を形成することを特徴とするものである。しかし、これ
らの物質の皮膜だけでは十分な成形性が得られないとい
う問題がある。
【0011】従来技術(9)は、めっき鋼板、又は冷延
鋼板の表面上にクロメート皮膜を形成し、更にその上に
カルボキシル化ポリオレフィン樹脂、液状エポキシ樹
脂、フッ素樹脂、シリカとを含有することを特徴とする
有機複合皮膜を形成するものであるが、フッ素樹脂は、
撥水性とともに撥油性もあわせて有しているため、この
皮膜上に上塗り塗装を施す場合、塗装不良や密着不良を
起こすなどの問題を有している。また、下地処理として
塗布型クロメートを使用し、クロメート皮膜を形成さ
せ、その上に従来技術(9)に開示されている樹脂組成
物を塗装する場合、当該樹脂組成物が水性液であるた
め、この組成物の塗工時に、下地皮膜からクロム化合物
が処理液中に溶出して、当該樹脂組成物の安定性を損ね
るなどの問題を有しているのである。
鋼板の表面上にクロメート皮膜を形成し、更にその上に
カルボキシル化ポリオレフィン樹脂、液状エポキシ樹
脂、フッ素樹脂、シリカとを含有することを特徴とする
有機複合皮膜を形成するものであるが、フッ素樹脂は、
撥水性とともに撥油性もあわせて有しているため、この
皮膜上に上塗り塗装を施す場合、塗装不良や密着不良を
起こすなどの問題を有している。また、下地処理として
塗布型クロメートを使用し、クロメート皮膜を形成さ
せ、その上に従来技術(9)に開示されている樹脂組成
物を塗装する場合、当該樹脂組成物が水性液であるた
め、この組成物の塗工時に、下地皮膜からクロム化合物
が処理液中に溶出して、当該樹脂組成物の安定性を損ね
るなどの問題を有しているのである。
【0012】従来技術(10)は、亜鉛、亜鉛合金、又
はアルミニウム合金によりめっきされた鋼板上に、特定
付着量のクロメート皮膜を形成し、その両面上に、ヒド
ロキシル基、および/又は、カルボキシル基を有する樹
脂と、シリカと、フッ素系樹脂粉末との混合物を含む樹
脂皮膜を塗布形成することを特徴とするものである。し
かしながら、この皮膜上に上塗り塗装を施すと、塗装不
良や密着性不良を起こすという問題がある。
はアルミニウム合金によりめっきされた鋼板上に、特定
付着量のクロメート皮膜を形成し、その両面上に、ヒド
ロキシル基、および/又は、カルボキシル基を有する樹
脂と、シリカと、フッ素系樹脂粉末との混合物を含む樹
脂皮膜を塗布形成することを特徴とするものである。し
かしながら、この皮膜上に上塗り塗装を施すと、塗装不
良や密着性不良を起こすという問題がある。
【0013】従来技術(11)は、亜鉛または亜鉛合金
あるいはアルミニウム合金によりめっきされた鋼板の両
面上に、夫々特定付着量のクロメート皮膜を形成させ、
その上にヒドロキシル基および/またはカルボキシル基
を有する樹脂と、シリカと、融点が110℃以上のポリ
オレフィンワックスとを混合した樹脂混合物を塗布し、
それにより高速プレス成形時に耐パウダリング性に優れ
た鋼板を製造することを特徴とするものである。しか
し、この技術は、潤滑性と密着性を同時に満足させるこ
とに成功したものとは言えない。
あるいはアルミニウム合金によりめっきされた鋼板の両
面上に、夫々特定付着量のクロメート皮膜を形成させ、
その上にヒドロキシル基および/またはカルボキシル基
を有する樹脂と、シリカと、融点が110℃以上のポリ
オレフィンワックスとを混合した樹脂混合物を塗布し、
それにより高速プレス成形時に耐パウダリング性に優れ
た鋼板を製造することを特徴とするものである。しか
し、この技術は、潤滑性と密着性を同時に満足させるこ
とに成功したものとは言えない。
【0014】従来技術(12)は、無機化合物として6
価クロムイオン、または6価クロムイオンと3価クロム
イオンとを含み、有機化合物として特定のアクリル系重
合体エマルジョンを含み、さらに潤滑成分としてノニオ
ン系乳化剤で分散した潤滑剤分散物を含有するpH5以下
の潤滑性に優れた金属表面処理組成物を開示している。
この従来技術(12)は処理液安定性、耐食性、塗装密
着性、および加工成形性は良好であるが、溶接性は未だ
十分に確保されていない。
価クロムイオン、または6価クロムイオンと3価クロム
イオンとを含み、有機化合物として特定のアクリル系重
合体エマルジョンを含み、さらに潤滑成分としてノニオ
ン系乳化剤で分散した潤滑剤分散物を含有するpH5以下
の潤滑性に優れた金属表面処理組成物を開示している。
この従来技術(12)は処理液安定性、耐食性、塗装密
着性、および加工成形性は良好であるが、溶接性は未だ
十分に確保されていない。
【0015】従来技術(13)は、有機潤滑性物質とシ
リカを含有したクロメート皮膜により、耐食性と潤滑性
と導電性に優れたクロメート処理鋼板を開示している。
しかし、ここで開示されているクロメート処理組成物
は、有機潤滑性物質がノニオン系界面活性剤で乳化され
ているため、シリカとの混和安定性を欠き、処理液に沈
澱物あるいは浮遊物を生じ、さらに発泡性が高いため、
連続作業性が劣るなどの問題を有していた。従って、現
状では耐食性、塗装密着性、溶接性、処理液安定性に優
れ、しかも潤滑性も良好な皮膜を同一工程で形成するこ
とが可能な処理組成物および処理方法は開発されていな
いのである。
リカを含有したクロメート皮膜により、耐食性と潤滑性
と導電性に優れたクロメート処理鋼板を開示している。
しかし、ここで開示されているクロメート処理組成物
は、有機潤滑性物質がノニオン系界面活性剤で乳化され
ているため、シリカとの混和安定性を欠き、処理液に沈
澱物あるいは浮遊物を生じ、さらに発泡性が高いため、
連続作業性が劣るなどの問題を有していた。従って、現
状では耐食性、塗装密着性、溶接性、処理液安定性に優
れ、しかも潤滑性も良好な皮膜を同一工程で形成するこ
とが可能な処理組成物および処理方法は開発されていな
いのである。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術の
有する前記問題点を解決し、従来技術において耐食性向
上にために必要とされていた下地処理工程と、成形加工
性を向上させるための潤滑剤処理工程との両者を一工程
で同時に達成することができ、耐食性、塗装密着性、溶
接性、処理液安定性に優れ、しかも、十分な潤滑性を金
属材料に付与することができる皮膜を、安定して金属材
料表面に形成するための新規な金属材料用潤滑性クロメ
ート処理組成物およびその処理方法を提供しようとする
ものである。
有する前記問題点を解決し、従来技術において耐食性向
上にために必要とされていた下地処理工程と、成形加工
性を向上させるための潤滑剤処理工程との両者を一工程
で同時に達成することができ、耐食性、塗装密着性、溶
接性、処理液安定性に優れ、しかも、十分な潤滑性を金
属材料に付与することができる皮膜を、安定して金属材
料表面に形成するための新規な金属材料用潤滑性クロメ
ート処理組成物およびその処理方法を提供しようとする
ものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明者等は前記問題点
を解決するための手段について鋭意検討した結果、6価
クロムイオン、3価クロムイオン、およびシリカ成分を
含むクロメート液に、特定の乳化剤成分を含む潤滑剤成
分を添加することにより前記問題点を解決できる事を新
規に見い出し、本発明を完成した。即ち、本発明の金属
材料用潤滑性クロメート処理組成物は、ワックスおよび
含フッ素有機化合物から選ばれた少なくとも1種を含む
潤滑剤成分と、6価クロムイオンと3価クロムイオン
と、シリカ成分とを含み、前記潤滑剤成分が、ポリエチ
レングリコール基、および2分子以上のエチレンオキサ
イドの付加重合体からなる基から選ばれた少なくとも1
員を含むノニオン部分と、アニオン部分とを有する複合
親水性グループを有するノニオン−アニオン性界面活性
剤により水中に安定に乳化されている水性エマルジョン
であることを特徴とするものである。
を解決するための手段について鋭意検討した結果、6価
クロムイオン、3価クロムイオン、およびシリカ成分を
含むクロメート液に、特定の乳化剤成分を含む潤滑剤成
分を添加することにより前記問題点を解決できる事を新
規に見い出し、本発明を完成した。即ち、本発明の金属
材料用潤滑性クロメート処理組成物は、ワックスおよび
含フッ素有機化合物から選ばれた少なくとも1種を含む
潤滑剤成分と、6価クロムイオンと3価クロムイオン
と、シリカ成分とを含み、前記潤滑剤成分が、ポリエチ
レングリコール基、および2分子以上のエチレンオキサ
イドの付加重合体からなる基から選ばれた少なくとも1
員を含むノニオン部分と、アニオン部分とを有する複合
親水性グループを有するノニオン−アニオン性界面活性
剤により水中に安定に乳化されている水性エマルジョン
であることを特徴とするものである。
【0018】本発明の組成物に含まれる前記水性エマル
ジョンにおいて、前記潤滑剤成分100重量部に対し、
前記アニオン性界面活性剤の含有量が0.5〜20重量
部であることが好ましい。
ジョンにおいて、前記潤滑剤成分100重量部に対し、
前記アニオン性界面活性剤の含有量が0.5〜20重量
部であることが好ましい。
【0019】本発明の組成物に含まれる前記シリカ成分
が、5〜300nmの粒子径を有する、シリカゾル、コロ
イダルシリカ、およびフュームドシリカから選ばれた少
なくとも1種を含むものであることが好ましい。
が、5〜300nmの粒子径を有する、シリカゾル、コロ
イダルシリカ、およびフュームドシリカから選ばれた少
なくとも1種を含むものであることが好ましい。
【0020】本発明の金属材料用潤滑性クロメート処理
組成物はさらにリン酸を含有してもよい。
組成物はさらにリン酸を含有してもよい。
【0021】また、本発明に係る金属材料用潤滑性クロ
メート皮膜処理方法は、本発明の前記潤滑性クロメート
組成物を含む処理液を金属材料の表面に塗布し、これを
乾燥して、前記金属材料表面上にクロム付着量(金属ク
ロム換算)が5〜150mg/m2 の潤滑性クロメート皮
膜を形成固着することを特徴とするものである。
メート皮膜処理方法は、本発明の前記潤滑性クロメート
組成物を含む処理液を金属材料の表面に塗布し、これを
乾燥して、前記金属材料表面上にクロム付着量(金属ク
ロム換算)が5〜150mg/m2 の潤滑性クロメート皮
膜を形成固着することを特徴とするものである。
【0022】
【作用】以下に本発明の構成を詳述する。本発明に供さ
れる金属材料は、主として鋼材、鋼板、亜鉛含有金属め
っき鋼板、アルミニウム合金材料、およびステンレス鋼
材料などがあるが、特にこれらに限定されるものではな
い。
れる金属材料は、主として鋼材、鋼板、亜鉛含有金属め
っき鋼板、アルミニウム合金材料、およびステンレス鋼
材料などがあるが、特にこれらに限定されるものではな
い。
【0023】本発明に係る金属材料用潤滑性クロメート
組成物は、潤滑剤成分を含有する水性エマルジョンと、
無機クロメート成分(6価クロム+3価クロム+シリカ
成分)を含有する水溶液とから構成されるものである。
組成物は、潤滑剤成分を含有する水性エマルジョンと、
無機クロメート成分(6価クロム+3価クロム+シリカ
成分)を含有する水溶液とから構成されるものである。
【0024】そこでまず潤滑剤成分を含有する水性エマ
ルジョンについて説明する。本発明に用いられる潤滑剤
成分は、ワックス、および含フッ素有機化合物から選ば
れた少なくとも1種を含み、下記に示される特定構造を
有するノニオン−アニオン性界面活性剤を含む乳化剤成
分により水性エマルジョン化されて使用に供される。
ルジョンについて説明する。本発明に用いられる潤滑剤
成分は、ワックス、および含フッ素有機化合物から選ば
れた少なくとも1種を含み、下記に示される特定構造を
有するノニオン−アニオン性界面活性剤を含む乳化剤成
分により水性エマルジョン化されて使用に供される。
【0025】本発明において潤滑剤用乳化剤として用い
られる界面活性剤は、親水性グループと、疎水性グルー
プとを有し、この親水性グループはノニオン部分とアニ
オン部分とを含む複合構造を有し、このノニオン部分は
ポリエチレングリコール基、および2分子以上のエチレ
ンオキサイドが付加重合して形成された基から選ばれた
少なくとも1員を含んで構成されたものである。このよ
うなノニオン−アニオン複合親水性グループを有する界
面活性剤を、本発明においては、ノニオン−アニオン性
界面活性剤と呼ぶことにする。
られる界面活性剤は、親水性グループと、疎水性グルー
プとを有し、この親水性グループはノニオン部分とアニ
オン部分とを含む複合構造を有し、このノニオン部分は
ポリエチレングリコール基、および2分子以上のエチレ
ンオキサイドが付加重合して形成された基から選ばれた
少なくとも1員を含んで構成されたものである。このよ
うなノニオン−アニオン複合親水性グループを有する界
面活性剤を、本発明においては、ノニオン−アニオン性
界面活性剤と呼ぶことにする。
【0026】本発明において潤滑剤用乳化剤として用い
られる界面活性剤には、前記親水性グループの構造の他
に特に限定はなく、前述のノニオン−アニオン性界面活
性剤から選ばれた任意の1種以上を使用できる。その親
油性グループ中の前記特定ノニオン部分が、疎水性グル
ープにエステル結合以外での結合方式で結合しているこ
とがより好ましい。
られる界面活性剤には、前記親水性グループの構造の他
に特に限定はなく、前述のノニオン−アニオン性界面活
性剤から選ばれた任意の1種以上を使用できる。その親
油性グループ中の前記特定ノニオン部分が、疎水性グル
ープにエステル結合以外での結合方式で結合しているこ
とがより好ましい。
【0027】本発明に使用するノニオン−アニオン性界
面活性剤の例としては、例えば下記のノニオン性界面活
性剤に硫酸、りん酸、炭酸などの親水性酸を付加させた
もの、およびそれらの塩が挙げられる。
面活性剤の例としては、例えば下記のノニオン性界面活
性剤に硫酸、りん酸、炭酸などの親水性酸を付加させた
もの、およびそれらの塩が挙げられる。
【0028】すなわち、疎水性グループとノニオン性親
水性グループとを有し、本願発明のノニオン性−アニオ
ン性界面活性剤の原料となるノニオン性界面活性化合物
としては、(1)高級アルコールエチレンオキサイド付
加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、多価アルコー
ル脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、高級アル
キルアミンエチレンオキサイド付加物、脂肪酸アミドエ
チレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエ
チレンオキサイド付加物、(2)フェノール−エチレン
オキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサ
イド付加物、スチレン化フェノールエチレンオキサイド
付加物、多核芳香族化合物(ナフタレン、アントラセン
など)のエチレンオキサイド付加物、および(3)多核
芳香族化合物、スチレン化フェノール化合物、ポリビニ
ルフェノール化合物、およびフェノール化合物と、アル
デヒド化合物(フェノルアルデヒド、アセトアルデヒ
ド)又はケトン化合物(アセトン、メチルエチルケト
ン)との縮合物のエチレンオキサイド付加物、などを用
いることができる。これらのノニオン性界面活性化合物
のうち高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アル
キル化フェノールエチレンオキサイド付加物、およびス
チレン化フェノールエチレンオキサイド付加物などを用
いることが好ましい。上記のようなノニオン性親水性基
を有する界面活性化合物に硫酸、りん酸、又は炭酸など
の親水性酸を付加反応させて、アニオン性を示す硫酸エ
ステル(−OSO3 H)、スルホン酸(−SO3 H)、
リン酸エステル(−OPO3 H)、カルボン酸(−CO
OH)あるいは、これらの塩とすることにより、本発明
に有用なノニオン−アニオン性界面活性剤が得られる。
水性グループとを有し、本願発明のノニオン性−アニオ
ン性界面活性剤の原料となるノニオン性界面活性化合物
としては、(1)高級アルコールエチレンオキサイド付
加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、多価アルコー
ル脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、高級アル
キルアミンエチレンオキサイド付加物、脂肪酸アミドエ
チレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエ
チレンオキサイド付加物、(2)フェノール−エチレン
オキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサ
イド付加物、スチレン化フェノールエチレンオキサイド
付加物、多核芳香族化合物(ナフタレン、アントラセン
など)のエチレンオキサイド付加物、および(3)多核
芳香族化合物、スチレン化フェノール化合物、ポリビニ
ルフェノール化合物、およびフェノール化合物と、アル
デヒド化合物(フェノルアルデヒド、アセトアルデヒ
ド)又はケトン化合物(アセトン、メチルエチルケト
ン)との縮合物のエチレンオキサイド付加物、などを用
いることができる。これらのノニオン性界面活性化合物
のうち高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アル
キル化フェノールエチレンオキサイド付加物、およびス
チレン化フェノールエチレンオキサイド付加物などを用
いることが好ましい。上記のようなノニオン性親水性基
を有する界面活性化合物に硫酸、りん酸、又は炭酸など
の親水性酸を付加反応させて、アニオン性を示す硫酸エ
ステル(−OSO3 H)、スルホン酸(−SO3 H)、
リン酸エステル(−OPO3 H)、カルボン酸(−CO
OH)あるいは、これらの塩とすることにより、本発明
に有用なノニオン−アニオン性界面活性剤が得られる。
【0029】なお本発明において、潤滑剤をエマルジョ
ン化するのに用いる手法について特に制限はなく、通常
行われている乳化方法、すなわち極性基を利用する方
法、乳化剤を使用する方法、機械的方法等の任意の手法
が使用可能である。本発明の水性エマルジョンにおい
て、潤滑剤成分100重量部に対して、ノニオン−アニ
オン性界面活性剤の含有量が0.5〜20重量部である
ことが好ましい。この含有量が0.5重量部未満である
と、得られる水性エマルジョンの安定性が不十分となる
場合があり、また無機クロメート成分との混和安定性に
おいても不十分になることがある。また、それが20重
量部を超えると得られる皮膜の耐水性が不十分になり、
また塗膜密着性(特に二次密着性)が不十分になること
がある。
ン化するのに用いる手法について特に制限はなく、通常
行われている乳化方法、すなわち極性基を利用する方
法、乳化剤を使用する方法、機械的方法等の任意の手法
が使用可能である。本発明の水性エマルジョンにおい
て、潤滑剤成分100重量部に対して、ノニオン−アニ
オン性界面活性剤の含有量が0.5〜20重量部である
ことが好ましい。この含有量が0.5重量部未満である
と、得られる水性エマルジョンの安定性が不十分となる
場合があり、また無機クロメート成分との混和安定性に
おいても不十分になることがある。また、それが20重
量部を超えると得られる皮膜の耐水性が不十分になり、
また塗膜密着性(特に二次密着性)が不十分になること
がある。
【0030】本発明に用いられる潤滑剤成分中には、上
記ワックスおよび/又は含フッ素有機化合物の他に黒
船、二硫化モリブデン、油脂類などの従来既知の潤滑剤
を含んでいてもよい。ただし、黒鉛、二硫化モリブデン
等を含む潤滑剤成分を本発明の処理液中に含有させて使
用する場合、形成する皮膜は黒く着色し、この皮膜が形
成された金属材料を成形加工した場合、成形加工の度合
いによっては着色度合いが変化し外観ムラとなることが
ある。又、油脂類を潤滑成分として使用した場合には、
次の工程で塗装される場合に脱脂を行わなければならな
いので、工程上不利になることがある。
記ワックスおよび/又は含フッ素有機化合物の他に黒
船、二硫化モリブデン、油脂類などの従来既知の潤滑剤
を含んでいてもよい。ただし、黒鉛、二硫化モリブデン
等を含む潤滑剤成分を本発明の処理液中に含有させて使
用する場合、形成する皮膜は黒く着色し、この皮膜が形
成された金属材料を成形加工した場合、成形加工の度合
いによっては着色度合いが変化し外観ムラとなることが
ある。又、油脂類を潤滑成分として使用した場合には、
次の工程で塗装される場合に脱脂を行わなければならな
いので、工程上不利になることがある。
【0031】本発明で使用するワックスについては、特
に制限はないが、好ましいワックスの種類として具体的
に例をあげると、パラフィンワックス、マイクロクリス
タリンワックス、およびポリエチレン系ワックスなどが
あり、これらは本発明によりエマルジョン化される。中
でも融点が50〜150℃のワックスを用いることがよ
り好ましい。融点が50℃未満のワックスを用いると潤
滑性が不十分になることがあり、また150℃超の融点
を有するワックスを用いるとこれをエマルジョン化する
ことが困難な場合があり、このようなワックスのエマル
ジョンを含む処理液から形成される皮膜は必然的に不均
一な潤滑剤成分を皮膜中に含むので潤滑性が不十分にな
ることがある。又、本発明に使用する含フッ素有機化合
物についても特に制限はなく、例えば、ポリエチレン
(PE)の繰り返し単位−(CH2−CH2 )−のHを
フッ素原子で置換したポリマーすなわち、ポリフッ化ビ
ニル(PVF)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、
ポリトリフルオロエチレン(PTrFE)、ポリテトラ
フルオロエチレン(PTFE)およびこれらのポリマー
とオレフィン系との共重合物またこれらの変性物など各
種の高分子化合物が挙げられる。特にPTFEが低い磨
擦係数を有するため好ましく、市販のPTFEのパウダ
ーを水中に分散乳化したもの、又は乳化重合法により製
造されたPTFEエマルジョンを使用することもでき
る。
に制限はないが、好ましいワックスの種類として具体的
に例をあげると、パラフィンワックス、マイクロクリス
タリンワックス、およびポリエチレン系ワックスなどが
あり、これらは本発明によりエマルジョン化される。中
でも融点が50〜150℃のワックスを用いることがよ
り好ましい。融点が50℃未満のワックスを用いると潤
滑性が不十分になることがあり、また150℃超の融点
を有するワックスを用いるとこれをエマルジョン化する
ことが困難な場合があり、このようなワックスのエマル
ジョンを含む処理液から形成される皮膜は必然的に不均
一な潤滑剤成分を皮膜中に含むので潤滑性が不十分にな
ることがある。又、本発明に使用する含フッ素有機化合
物についても特に制限はなく、例えば、ポリエチレン
(PE)の繰り返し単位−(CH2−CH2 )−のHを
フッ素原子で置換したポリマーすなわち、ポリフッ化ビ
ニル(PVF)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、
ポリトリフルオロエチレン(PTrFE)、ポリテトラ
フルオロエチレン(PTFE)およびこれらのポリマー
とオレフィン系との共重合物またこれらの変性物など各
種の高分子化合物が挙げられる。特にPTFEが低い磨
擦係数を有するため好ましく、市販のPTFEのパウダ
ーを水中に分散乳化したもの、又は乳化重合法により製
造されたPTFEエマルジョンを使用することもでき
る。
【0032】次に、本発明の金属材料用潤滑性クロメー
ト処理組成物に含まれる無機クロメート成分について説
明する。
ト処理組成物に含まれる無機クロメート成分について説
明する。
【0033】無機クロメート成分含有水溶液に含まれて
いる6価クロムイオン、3価クロムイオンおよびシリカ
成分の濃度には特に限定はないが、処理液として用いら
れるときの全クロムイオン(6価クロムイオン+3価ク
ロムイオン)濃度は1〜100g/リットルであること
が好ましい。この濃度が1g/リットル未満では、得ら
れる皮膜の耐食性が不十分になることがあり、またそれ
が100g/リットル超としても、得られる皮膜の耐食
性は飽和に達しているため経済的ではない。また、3価
クロムイオン/6価クロムイオンの重量比は2/8から
7/3の範囲にあることが好ましい。この比が2/8未
満では、形成される皮膜中の6価クロムの含有率が過度
に高まる為、得られる皮膜の耐水性が不十分になること
がある。またそれが7/3を超過すると形成される皮膜
中の6価クロムの含有率が過度に低下するため、得られ
る皮膜の耐食性が不十分となることがある。6価クロム
イオンの供給源には特に制限はないが、例えばクロム
酸、重クロム酸、及びこれらの塩類などを使用できる。
同様に、3価クロムイオンの供給源としては、硝酸クロ
ム、リン酸クロム、フッ化クロム、クロム酸の還元物な
どが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではな
い。一方、シリカ/全クロムイオン(6価クロムイオン
+3価クロムイオン)の重量比は1/5〜10/1の範
囲であることが好ましい。この比が1/5未満である
と、シリカ成分添加の効果(耐食性の向上、耐指紋性の
向上)が不十分になることがあり、また、それが10/
1を超えると、その効果は飽和し、経済的に不利益であ
り、且つできる皮膜が嵩高くなり溶接性を低下させる場
合もあるので好ましくない。
いる6価クロムイオン、3価クロムイオンおよびシリカ
成分の濃度には特に限定はないが、処理液として用いら
れるときの全クロムイオン(6価クロムイオン+3価ク
ロムイオン)濃度は1〜100g/リットルであること
が好ましい。この濃度が1g/リットル未満では、得ら
れる皮膜の耐食性が不十分になることがあり、またそれ
が100g/リットル超としても、得られる皮膜の耐食
性は飽和に達しているため経済的ではない。また、3価
クロムイオン/6価クロムイオンの重量比は2/8から
7/3の範囲にあることが好ましい。この比が2/8未
満では、形成される皮膜中の6価クロムの含有率が過度
に高まる為、得られる皮膜の耐水性が不十分になること
がある。またそれが7/3を超過すると形成される皮膜
中の6価クロムの含有率が過度に低下するため、得られ
る皮膜の耐食性が不十分となることがある。6価クロム
イオンの供給源には特に制限はないが、例えばクロム
酸、重クロム酸、及びこれらの塩類などを使用できる。
同様に、3価クロムイオンの供給源としては、硝酸クロ
ム、リン酸クロム、フッ化クロム、クロム酸の還元物な
どが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではな
い。一方、シリカ/全クロムイオン(6価クロムイオン
+3価クロムイオン)の重量比は1/5〜10/1の範
囲であることが好ましい。この比が1/5未満である
と、シリカ成分添加の効果(耐食性の向上、耐指紋性の
向上)が不十分になることがあり、また、それが10/
1を超えると、その効果は飽和し、経済的に不利益であ
り、且つできる皮膜が嵩高くなり溶接性を低下させる場
合もあるので好ましくない。
【0034】なお、本発明の金属材料用潤滑性クロメー
ト処理液を安定に保持する為には、処理液中に含まれる
3価クロムイオンの状態を安定化することが重要であ
る。その為には処理液のpHを3.0未満に調節する事が
好ましい。処理液のpHを3.0未満に調節するために使
用する酸の種類には特に制限はない。本発明の皮膜処理
液に特に好ましいpH調整用酸を具体的に示すと、リン
酸、クロム酸、重クロム酸等の無機酸類、ギ酸、酢酸、
グリコール酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、アクリル
酸、メタアクリル酸、マレイン酸等の有機カルボン酸
類、アクリル酸、メタアクリル酸、マレイン酸等のビニ
ル重合性を有するカルボン酸類の単独重合体、もしくは
共重合体等を例示することができる。これらの酸から選
ばれた1種以上を使用すると、得られる皮膜の塗装性、
耐食性等を阻害しないので好ましい。これらの酸は、無
機クロメート成分水溶液中に含まれていてもよいし、或
は、処理液調製の際に添加されてもよい。
ト処理液を安定に保持する為には、処理液中に含まれる
3価クロムイオンの状態を安定化することが重要であ
る。その為には処理液のpHを3.0未満に調節する事が
好ましい。処理液のpHを3.0未満に調節するために使
用する酸の種類には特に制限はない。本発明の皮膜処理
液に特に好ましいpH調整用酸を具体的に示すと、リン
酸、クロム酸、重クロム酸等の無機酸類、ギ酸、酢酸、
グリコール酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、アクリル
酸、メタアクリル酸、マレイン酸等の有機カルボン酸
類、アクリル酸、メタアクリル酸、マレイン酸等のビニ
ル重合性を有するカルボン酸類の単独重合体、もしくは
共重合体等を例示することができる。これらの酸から選
ばれた1種以上を使用すると、得られる皮膜の塗装性、
耐食性等を阻害しないので好ましい。これらの酸は、無
機クロメート成分水溶液中に含まれていてもよいし、或
は、処理液調製の際に添加されてもよい。
【0035】特に好ましい酸として、リン酸をあげるこ
とができる。この酸と3価クロムイオンとが、3価クロ
ムイオン/酸の当量比が1/3以上になるように配合す
ることが好ましい。この当量比が1/3未満では、酸の
比率が過大となるので得られる皮膜の耐水性が低下し、
耐食性が劣化することがある。
とができる。この酸と3価クロムイオンとが、3価クロ
ムイオン/酸の当量比が1/3以上になるように配合す
ることが好ましい。この当量比が1/3未満では、酸の
比率が過大となるので得られる皮膜の耐水性が低下し、
耐食性が劣化することがある。
【0036】本発明の金属材料用潤滑性クロメート処理
組成物は、そのクロメート成分水溶液中にシリカ成分を
含むが、シリカ成分としては、特に5〜300nmの粒子
径を有するコロイダルシリカ、シリカゾル、フュームド
シリカから選ばれた少なくとも1種であることがより好
ましい。その粒子径が300nmを超えると、そのような
シリカを含有する処理液を用いて形成された皮膜の表面
に凹凸を生ずることがあり、このため外観の光沢性が損
なわれることがある。又、粒子径が5nm未満のシリカゾ
ルを含有する皮膜処理液を用いると、シリカゾルの比表
面積が過大になり、処理液の安定性を損なうことがあ
る。上記シリカ成分は、クロメート処理液調製の際に添
加されてもよい。
組成物は、そのクロメート成分水溶液中にシリカ成分を
含むが、シリカ成分としては、特に5〜300nmの粒子
径を有するコロイダルシリカ、シリカゾル、フュームド
シリカから選ばれた少なくとも1種であることがより好
ましい。その粒子径が300nmを超えると、そのような
シリカを含有する処理液を用いて形成された皮膜の表面
に凹凸を生ずることがあり、このため外観の光沢性が損
なわれることがある。又、粒子径が5nm未満のシリカゾ
ルを含有する皮膜処理液を用いると、シリカゾルの比表
面積が過大になり、処理液の安定性を損なうことがあ
る。上記シリカ成分は、クロメート処理液調製の際に添
加されてもよい。
【0037】本発明において、金属材料用潤滑性クロメ
ート処理液に含有されたシリカ成分の効果を説明する。
一般に、クロメート処理液中に含まれるシリカ成分の効
果として、主に耐食性の向上と、耐指紋性の向上効果が
知られている。本発明における金属材料用潤滑性クロメ
ート処理液においても、シリカ成分は同様の効果を示
す。
ート処理液に含有されたシリカ成分の効果を説明する。
一般に、クロメート処理液中に含まれるシリカ成分の効
果として、主に耐食性の向上と、耐指紋性の向上効果が
知られている。本発明における金属材料用潤滑性クロメ
ート処理液においても、シリカ成分は同様の効果を示
す。
【0038】又、本発明における金属材料用潤滑性クロ
メート処理液における潤滑剤成分の含有比率は、潤滑剤
成分/全クロムイオン(6価クロムイオン+3価クロム
イオン)の重量比が1/50〜100/1の範囲内にあ
ることが好ましい。潤滑剤成分の重量比が1/50未満
では、得られる皮膜の潤滑性能が不十分となることがあ
る。又、それが100/1を超えると選らばれる皮膜の
耐食性、溶接性の劣化を招くことがある。
メート処理液における潤滑剤成分の含有比率は、潤滑剤
成分/全クロムイオン(6価クロムイオン+3価クロム
イオン)の重量比が1/50〜100/1の範囲内にあ
ることが好ましい。潤滑剤成分の重量比が1/50未満
では、得られる皮膜の潤滑性能が不十分となることがあ
る。又、それが100/1を超えると選らばれる皮膜の
耐食性、溶接性の劣化を招くことがある。
【0039】本発明における金属材料用潤滑性クロメー
ト処理組成物のクロメート成分水溶液中には、上記成分
以外に、例えば通常のクロメート液中に含まれる亜鉛、
鉄、ニッケル、コバルト、アルミニウム、チタニウム、
及びジルコニウム等の金属を可溶性塩類等として含んで
いてもよく、また潤滑剤成分含有水性エマルジョン中に
は、ポリアクリル酸、マレイン酸・メチルビニルエーテ
ル共重合体、ポリアクリルアママイド等の水溶性高分
子、アクリル酸エステル系共重合体エマルジョン、スチ
レン、アクリル酸エステル系共重合体エマルジョン、エ
ポキシ樹脂エマルジョン、エチレン・アクリル酸共重合
体エマルジョン、ポリエステル樹脂エマルジョン等が含
まれていてもよい。特にビスフェノール骨格を有するエ
ポキシ樹脂のエマルジョンを添加すると、得られる皮膜
の塗装密着性の向上に効果がある。上記の添加成分は、
処理液調製の際に添加してもかまわない。
ト処理組成物のクロメート成分水溶液中には、上記成分
以外に、例えば通常のクロメート液中に含まれる亜鉛、
鉄、ニッケル、コバルト、アルミニウム、チタニウム、
及びジルコニウム等の金属を可溶性塩類等として含んで
いてもよく、また潤滑剤成分含有水性エマルジョン中に
は、ポリアクリル酸、マレイン酸・メチルビニルエーテ
ル共重合体、ポリアクリルアママイド等の水溶性高分
子、アクリル酸エステル系共重合体エマルジョン、スチ
レン、アクリル酸エステル系共重合体エマルジョン、エ
ポキシ樹脂エマルジョン、エチレン・アクリル酸共重合
体エマルジョン、ポリエステル樹脂エマルジョン等が含
まれていてもよい。特にビスフェノール骨格を有するエ
ポキシ樹脂のエマルジョンを添加すると、得られる皮膜
の塗装密着性の向上に効果がある。上記の添加成分は、
処理液調製の際に添加してもかまわない。
【0040】次に、本発明の潤滑性皮膜形成処理方法に
ついて説明する。この処理方法においては、3.0未満
のpHを有する処理液を調製し、これを金属材料表面に塗
布し、乾燥する。これら塗布および乾燥方法に制限はな
く、通常知られる浸漬、シャワー等の方法により金属材
料表面上に処理液層を形成し、この際、エアーブロー、
またはロール等により処理液の塗布量を調節してもよ
く、又はロールコート法、スプレーコート法など任意の
方法で所望の塗布を施すことができる。本発明の方法に
より形成される皮膜量には制限はないが、金属材料の表
面に、3価クロムイオンと6価クロムイオンとの合計ク
ロム付着量が5〜150mg/m2 (金属クロム換算とし
て)の範囲内にあることが好ましい。3価のクロムイオ
ンと6価クロムイオンとの合計クロム付着量が5mg/m
2 未満では、得られる皮膜の耐食性が不十分になること
があり、またそれが150mg/m2 超であっても、得ら
れる皮膜の耐食性能が飽和し、経済的でないことがあ
る。
ついて説明する。この処理方法においては、3.0未満
のpHを有する処理液を調製し、これを金属材料表面に塗
布し、乾燥する。これら塗布および乾燥方法に制限はな
く、通常知られる浸漬、シャワー等の方法により金属材
料表面上に処理液層を形成し、この際、エアーブロー、
またはロール等により処理液の塗布量を調節してもよ
く、又はロールコート法、スプレーコート法など任意の
方法で所望の塗布を施すことができる。本発明の方法に
より形成される皮膜量には制限はないが、金属材料の表
面に、3価クロムイオンと6価クロムイオンとの合計ク
ロム付着量が5〜150mg/m2 (金属クロム換算とし
て)の範囲内にあることが好ましい。3価のクロムイオ
ンと6価クロムイオンとの合計クロム付着量が5mg/m
2 未満では、得られる皮膜の耐食性が不十分になること
があり、またそれが150mg/m2 超であっても、得ら
れる皮膜の耐食性能が飽和し、経済的でないことがあ
る。
【0041】潤滑剤成分として、ワックス、およびPT
FEから選ばれた少なくとも1種を含有する本発明のク
ロメート処理液を金属材料表面に塗布し、ついで乾燥す
ることにより金属材料表面に形成された皮膜は、一般に
知られているクロメート皮膜の外観と大きく変わること
がなく、黄色から無色に近い外観を呈する。つまり、加
工度合いによる外観色調の変化が極めて少ないため、外
観品質が劣化することがなく、このような製品は、実用
上好ましいものである。
FEから選ばれた少なくとも1種を含有する本発明のク
ロメート処理液を金属材料表面に塗布し、ついで乾燥す
ることにより金属材料表面に形成された皮膜は、一般に
知られているクロメート皮膜の外観と大きく変わること
がなく、黄色から無色に近い外観を呈する。つまり、加
工度合いによる外観色調の変化が極めて少ないため、外
観品質が劣化することがなく、このような製品は、実用
上好ましいものである。
【0042】又、塗布した後の乾燥方法にも特に制限は
なく、熱風、高周波誘導加熱等、用途、生産性、経済性
に応じた乾燥方法を用いることができ、また、加熱温
度、加熱時間についても特に制限はなく、金属材料、用
途、生産性、経済性に応じて適宜の乾燥条件を選択でき
る。
なく、熱風、高周波誘導加熱等、用途、生産性、経済性
に応じた乾燥方法を用いることができ、また、加熱温
度、加熱時間についても特に制限はなく、金属材料、用
途、生産性、経済性に応じて適宜の乾燥条件を選択でき
る。
【0043】本発明の作用効果について説明する。本発
明の方法における処理液は、無機クロメート成分水溶液
に由来する3価クロムイオンと、6価クロムイオンと、
シリカ成分とを含み、且つそのpHを3.0未満に調整し
て使用する。ここに含まれる3価クロムイオンは、多価
のカチオンであって、エマルジョン粒子表面の電荷を中
和する作用がある。一般的に、粒子の表面電荷を中和す
ると、その粒子の分散性は不安定化し凝集する傾向を生
ずる。つまり、親水基としてアニオン部分のみを有する
アニオン性界面活性剤は、3価クロムイオンによって中
和されるため、そのイオン性が低下するとともに、親水
性が低下してしまい、界面活性剤としての作用をなくし
てしまう場合がある。
明の方法における処理液は、無機クロメート成分水溶液
に由来する3価クロムイオンと、6価クロムイオンと、
シリカ成分とを含み、且つそのpHを3.0未満に調整し
て使用する。ここに含まれる3価クロムイオンは、多価
のカチオンであって、エマルジョン粒子表面の電荷を中
和する作用がある。一般的に、粒子の表面電荷を中和す
ると、その粒子の分散性は不安定化し凝集する傾向を生
ずる。つまり、親水基としてアニオン部分のみを有する
アニオン性界面活性剤は、3価クロムイオンによって中
和されるため、そのイオン性が低下するとともに、親水
性が低下してしまい、界面活性剤としての作用をなくし
てしまう場合がある。
【0044】又、同時に処理液中に存在する6価クロム
イオンは、強力な酸化剤であり、且つ、処理液pHを3.
0未満に保つ必要がある。このため無機クロメート成分
水溶液を、潤滑剤成分を含有する水性エマルジョンに混
合した際に、急激なpH変化が生じ、そのため粒子表面の
ジータ(ζ)電位が急激に変化し分散の不安定化を招き
凝集する傾向を生ずる。この様なエマルジョン粒子の分
散不安定化を防止し、安定な分散状態を保つためには、
ノニオン性界面活性剤を含有する乳化剤を使用すること
が効果的である。
イオンは、強力な酸化剤であり、且つ、処理液pHを3.
0未満に保つ必要がある。このため無機クロメート成分
水溶液を、潤滑剤成分を含有する水性エマルジョンに混
合した際に、急激なpH変化が生じ、そのため粒子表面の
ジータ(ζ)電位が急激に変化し分散の不安定化を招き
凝集する傾向を生ずる。この様なエマルジョン粒子の分
散不安定化を防止し、安定な分散状態を保つためには、
ノニオン性界面活性剤を含有する乳化剤を使用すること
が効果的である。
【0045】しかしながら、ノニオン性界面活性剤は、
シリカ成分と混合された場合、このシリカ成分を凝集沈
澱させる作用を有している。シリカ成分は、pH3.0未
満において弱いながらもアニオン性を示すことがしられ
ており、アニオン性界面活性剤とは水溶液中で静電気的
な反発をするため凝集沈澱することはない。
シリカ成分と混合された場合、このシリカ成分を凝集沈
澱させる作用を有している。シリカ成分は、pH3.0未
満において弱いながらもアニオン性を示すことがしられ
ており、アニオン性界面活性剤とは水溶液中で静電気的
な反発をするため凝集沈澱することはない。
【0046】本発明により6価クロムイオンと、3価ク
ロムイオンと、シリカと、潤滑剤成分を安定に液中に存
在させることができたのは、潤滑剤成分を乳化させるた
めの界面活性剤が、その親水性グループとしてノニオン
部分とアニオン部分とを有する複合構造を有しているた
めである。つまり、複合親水性グループのノニオン部分
により、3価クロムイオンによる電荷の中和や、表面電
位の変化によるエマルジョン粒子の凝集を防ぎ、かつそ
のアニオン部分によりシリカとの凝集作用を抑制してい
るものと考えられる。
ロムイオンと、シリカと、潤滑剤成分を安定に液中に存
在させることができたのは、潤滑剤成分を乳化させるた
めの界面活性剤が、その親水性グループとしてノニオン
部分とアニオン部分とを有する複合構造を有しているた
めである。つまり、複合親水性グループのノニオン部分
により、3価クロムイオンによる電荷の中和や、表面電
位の変化によるエマルジョン粒子の凝集を防ぎ、かつそ
のアニオン部分によりシリカとの凝集作用を抑制してい
るものと考えられる。
【0047】また、本発明における潤滑剤成分として用
いられる含フッ素有機化合物および、ワックス等は、そ
れ自体の摩擦係数が非常に低く、低摩擦材料として広く
知られるものであり、それをエマルジョン化して潤滑剤
成分として使用することについても公知であるが、pHが
3.0未満のシリカを含むクロメート処理液中では、乳
化剤の作用が十分に持続せず、これを含むクロメート処
理液はエマルジョン粒子やシリカが凝集し易く、処理液
として安定性が甚だ不十分なものとならざるを得ない。
いられる含フッ素有機化合物および、ワックス等は、そ
れ自体の摩擦係数が非常に低く、低摩擦材料として広く
知られるものであり、それをエマルジョン化して潤滑剤
成分として使用することについても公知であるが、pHが
3.0未満のシリカを含むクロメート処理液中では、乳
化剤の作用が十分に持続せず、これを含むクロメート処
理液はエマルジョン粒子やシリカが凝集し易く、処理液
として安定性が甚だ不十分なものとならざるを得ない。
【0048】ところが本発明においては、前述の特定ノ
ニオン−アニオン性界面活性剤により安定に乳化された
潤滑剤成分を含有する水性エマルジョンは、6価クロム
イオンと3価クロムイオンとシリカ成分を含有するクロ
メート成分水溶液にスムーズに混合することが可能にな
り、かつ3.0未満のpHを有する処理液中でも乳化剤の
作用が持続し、処理液の安定性が実用に耐え得る程に向
上する。本発明の処理液組成物の長所・利点はまさに潤
滑剤成分を、上記のようなノニオン−アニオン複合親水
性グループを有する特定界面活性剤を用いて乳化し、こ
の水性エマルジョンを、6価クロムイオン、3価クロム
イオン、およびシリカ成分を含有する水溶液に混合し、
きわめて安定な水性組成物にした点にある。
ニオン−アニオン性界面活性剤により安定に乳化された
潤滑剤成分を含有する水性エマルジョンは、6価クロム
イオンと3価クロムイオンとシリカ成分を含有するクロ
メート成分水溶液にスムーズに混合することが可能にな
り、かつ3.0未満のpHを有する処理液中でも乳化剤の
作用が持続し、処理液の安定性が実用に耐え得る程に向
上する。本発明の処理液組成物の長所・利点はまさに潤
滑剤成分を、上記のようなノニオン−アニオン複合親水
性グループを有する特定界面活性剤を用いて乳化し、こ
の水性エマルジョンを、6価クロムイオン、3価クロム
イオン、およびシリカ成分を含有する水溶液に混合し、
きわめて安定な水性組成物にした点にある。
【0049】
【実施例】下記実施例により本発明を具体的に説明する
が、本発明の範囲はこれらの実施例により限定されるも
のではない。
が、本発明の範囲はこれらの実施例により限定されるも
のではない。
【0050】実施例1〜12及び比較例1〜6 (1)無機クロメート成分水溶液の調製方法 表1に示された組成を有する無機クロメート成分水溶液
Iを調製するために、まず無水クロム酸100gを純水
250g中に溶解し、この水溶液にメタノールを加え、
クロム酸を一部還元し6価クロムイオン/3価クロムイ
オンの重量比を7/3に調整し、次にこれにシリカ成分
および純水を加えて全量を1kgに調整した。また、表1
の無機クロメート成分水溶液IIおよびIII を、それぞれ
クロメート成分水溶液Iと同様の手順により表1に示さ
れた組成になるように調製した。
Iを調製するために、まず無水クロム酸100gを純水
250g中に溶解し、この水溶液にメタノールを加え、
クロム酸を一部還元し6価クロムイオン/3価クロムイ
オンの重量比を7/3に調整し、次にこれにシリカ成分
および純水を加えて全量を1kgに調整した。また、表1
の無機クロメート成分水溶液IIおよびIII を、それぞれ
クロメート成分水溶液Iと同様の手順により表1に示さ
れた組成になるように調製した。
【0051】(2)潤滑剤成分含有水性エマルジョン
を、表2の組成となるように調製した。 (3)クロメート処理液の調製 表1に示した無機クロメート成分溶液I〜III のいずれ
か1種と、表2に示した潤滑剤成分含有水性エマルジョ
ンa〜eのいずれか1種とを、表3に示された組成とな
るように配合してクロメート処理液を調製した。
を、表2の組成となるように調製した。 (3)クロメート処理液の調製 表1に示した無機クロメート成分溶液I〜III のいずれ
か1種と、表2に示した潤滑剤成分含有水性エマルジョ
ンa〜eのいずれか1種とを、表3に示された組成とな
るように配合してクロメート処理液を調製した。
【0052】(4)供試板作製 市販の電気亜鉛めっき鋼板(EG)、溶融亜鉛めっき鋼
板(GI)、合金化溶融亜鉛めっき鋼板(GA)、5%
アルミニウム含有溶融亜鉛めっき鋼板(GF)、又はア
ルミニウムめっき鋼板(AS)を供試材として用いた。
供試板のサイズは縦300mm、横200mm、厚さ0.6
〜0.8mmであった。この供試板を、予め日本パーカラ
イジング株式会社製のアルカリ脱脂剤(商品名:ファイ
ンクリーナー4336、濃度=20g/リットル、脱脂
剤温度=60℃、脱脂時間=10秒、脱脂方法=スプレ
ー法)で脱脂し、水洗し、水切りした。次に、実施例1
〜12および比較例1〜6の各々において、この供試板
に、各処理液をロールコーターを用いて、WET塗布
量;5ml/m2 になるように塗布し、100℃(到達板
温)で5秒間乾燥した。供試板処理条件を表3に示す。
板(GI)、合金化溶融亜鉛めっき鋼板(GA)、5%
アルミニウム含有溶融亜鉛めっき鋼板(GF)、又はア
ルミニウムめっき鋼板(AS)を供試材として用いた。
供試板のサイズは縦300mm、横200mm、厚さ0.6
〜0.8mmであった。この供試板を、予め日本パーカラ
イジング株式会社製のアルカリ脱脂剤(商品名:ファイ
ンクリーナー4336、濃度=20g/リットル、脱脂
剤温度=60℃、脱脂時間=10秒、脱脂方法=スプレ
ー法)で脱脂し、水洗し、水切りした。次に、実施例1
〜12および比較例1〜6の各々において、この供試板
に、各処理液をロールコーターを用いて、WET塗布
量;5ml/m2 になるように塗布し、100℃(到達板
温)で5秒間乾燥した。供試板処理条件を表3に示す。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】〔表2の註〕 (1)ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリ
ン酸ナトリウム (2)ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル
硫酸アンモニウム (3)ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル (4)ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリ
ウム (5)ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸
ナトリウム (6)ポリオキシエチレンラウリルエーテル
ン酸ナトリウム (2)ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル
硫酸アンモニウム (3)ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル (4)ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリ
ウム (5)ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸
ナトリウム (6)ポリオキシエチレンラウリルエーテル
【0056】
【表3】
【0057】(5)性能試験 (イ)裸耐食性 前記の条件で作製した各種処理鋼板を用い、JIS−Z
−2371による塩水噴霧試験を、各々の素材に応じ
て、EG,GI材には200時間、GAには120時
間、GF材には300時間、AS材には400時間施
し、腐食発生面積を目視により評価した。 <評価基準> 優 5・・・錆発生面積:5%未満 ↑ 4・・・錆発生面積:5%以上10%未満 3・・・錆発生面積:10%以上15%未満 ↓ 2・・・錆発生面積:15%以上25%未満 劣 1・・・錆発生面積:25%以上
−2371による塩水噴霧試験を、各々の素材に応じ
て、EG,GI材には200時間、GAには120時
間、GF材には300時間、AS材には400時間施
し、腐食発生面積を目視により評価した。 <評価基準> 優 5・・・錆発生面積:5%未満 ↑ 4・・・錆発生面積:5%以上10%未満 3・・・錆発生面積:10%以上15%未満 ↓ 2・・・錆発生面積:15%以上25%未満 劣 1・・・錆発生面積:25%以上
【0058】(ロ)加工性 前記の条件で作製した各種処理鋼板を用い、高速円筒深
絞り試験機により、絞り速度=10m/分、ブランク径
=88mmφ、ポンチ径=40mmφの条件(絞り比=2.
2)下で、皺押さえ荷重を0.5Ton 刻みで順次増加さ
せて、破断に至る限界の皺押さえ荷重(Ton )で評価し
た。 <評価基準> 優 5・・・破断荷重:4.0Ton 以上 ↑ 4・・・破断荷重:2.5Ton 以上〜4.0Ton 未満 3・・・破断荷重:1.5Ton 以上〜2.5Ton 未満 ↓ 2・・・破断荷重:0.5Ton 以上〜1.5Ton 未満 劣 1・・・破断荷重:0.5Ton 未満
絞り試験機により、絞り速度=10m/分、ブランク径
=88mmφ、ポンチ径=40mmφの条件(絞り比=2.
2)下で、皺押さえ荷重を0.5Ton 刻みで順次増加さ
せて、破断に至る限界の皺押さえ荷重(Ton )で評価し
た。 <評価基準> 優 5・・・破断荷重:4.0Ton 以上 ↑ 4・・・破断荷重:2.5Ton 以上〜4.0Ton 未満 3・・・破断荷重:1.5Ton 以上〜2.5Ton 未満 ↓ 2・・・破断荷重:0.5Ton 以上〜1.5Ton 未満 劣 1・・・破断荷重:0.5Ton 未満
【0059】(ハ)動摩擦係数 バウデン摩擦摩耗試験機(条件:圧着子=SUJ−2,
10mmφ、摺動速度10mm/sec 、摺動回数50回、室
温)により、各供試製品に対しては荷重1kgの条件で動
摩擦係数(摺動回数50回目)を測定した。但し、比較
例の一部の試験板に対しては荷重1kgで動摩擦係数を測
定できなかったため、プレス油(パーカ興産株式会社
製、NOX RUST 550HN)を1〜2g/m2
塗油した条件で測定を行った。
10mmφ、摺動速度10mm/sec 、摺動回数50回、室
温)により、各供試製品に対しては荷重1kgの条件で動
摩擦係数(摺動回数50回目)を測定した。但し、比較
例の一部の試験板に対しては荷重1kgで動摩擦係数を測
定できなかったため、プレス油(パーカ興産株式会社
製、NOX RUST 550HN)を1〜2g/m2
塗油した条件で測定を行った。
【0060】(ニ)溶接性 電気亜鉛ニッケル合金メッキ鋼板について、スポット溶
接を下記の条件で連続的に行うと、徐々に溶接端子が劣
化し、溶接性が悪くなるので、その劣化度により溶接性
が評価できる。すなわち、打点100点毎に、30mm×
100mmの供試片を溶接し、当該試験片の引張強度が4
00kgを維持可能な打点回数を記録した。 <溶接条件> 加圧力・・・200kg 電流・・・8.5kA 通電時間・・・10サイクル 電極形状・・・R40(ラジアス型) 電極材質・・・クロム−銅 <評価基準> 優 5・・・5000点以上 ↑ 4・・・4000点以上〜5000点未満 3・・・3000点以上〜4000点未満 ↓ 2・・・2000点以上〜3000点未満 劣 1・・・2000点未満
接を下記の条件で連続的に行うと、徐々に溶接端子が劣
化し、溶接性が悪くなるので、その劣化度により溶接性
が評価できる。すなわち、打点100点毎に、30mm×
100mmの供試片を溶接し、当該試験片の引張強度が4
00kgを維持可能な打点回数を記録した。 <溶接条件> 加圧力・・・200kg 電流・・・8.5kA 通電時間・・・10サイクル 電極形状・・・R40(ラジアス型) 電極材質・・・クロム−銅 <評価基準> 優 5・・・5000点以上 ↑ 4・・・4000点以上〜5000点未満 3・・・3000点以上〜4000点未満 ↓ 2・・・2000点以上〜3000点未満 劣 1・・・2000点未満
【0061】(ホ)塗装性 各種供試処理鋼板に、大日本塗料株式会社製のメラミン
・アルキッド塗料(商品名;デリコン#700)を、塗
膜厚さが25μmとなるようにバーコートし、140℃
で30分の焼付け乾燥を施し、塗装板を作製した。上記
のように作製した塗装板について、下記の条件にて塗装
性能試験を実施した。
・アルキッド塗料(商品名;デリコン#700)を、塗
膜厚さが25μmとなるようにバーコートし、140℃
で30分の焼付け乾燥を施し、塗装板を作製した。上記
のように作製した塗装板について、下記の条件にて塗装
性能試験を実施した。
【0062】(i)一次密着性 <ゴバン目エリクセン試験>カッターナイフで供試塗膜
面に1mm角で100個のゴバン目状の切込みを入れたの
ち、ゴバン目箇所をエリクセン試験機にて5mm押し出
し、セロテープ剥離を行った後の塗膜の残存ゴバン目個
数で評価した。
面に1mm角で100個のゴバン目状の切込みを入れたの
ち、ゴバン目箇所をエリクセン試験機にて5mm押し出
し、セロテープ剥離を行った後の塗膜の残存ゴバン目個
数で評価した。
【0063】<デュポン衝撃試験>供試塗膜面に、撃心
形状1/2インチφ、荷重500g、距離50cmの条件
でデュポン衝撃を施した後、セロテープ剥離を行ない塗
膜の残存状態を目視にて評価した。
形状1/2インチφ、荷重500g、距離50cmの条件
でデュポン衝撃を施した後、セロテープ剥離を行ない塗
膜の残存状態を目視にて評価した。
【0064】(ii)二次密着性 供試塗装板を沸騰水中に4時間浸漬した後、下記の条件
にて密着性試験を実施した。 <ゴバン目エリクセン試験>カッターナイフで供試塗膜
面に1mm角で100個のゴバン目状の切込みを入れたの
ち、ゴバン目箇所をエリクセン試験機にて5mm押し出
し、セロテープ剥離を行った後の塗膜の残存ゴバン目個
数で評価した。つまり、塗膜の残存個数の多い程、塗膜
密着性が優れていることを示す。
にて密着性試験を実施した。 <ゴバン目エリクセン試験>カッターナイフで供試塗膜
面に1mm角で100個のゴバン目状の切込みを入れたの
ち、ゴバン目箇所をエリクセン試験機にて5mm押し出
し、セロテープ剥離を行った後の塗膜の残存ゴバン目個
数で評価した。つまり、塗膜の残存個数の多い程、塗膜
密着性が優れていることを示す。
【0065】<デュポン衝撃試験>供試塗膜面に、撃心
形状1/2インチφ、荷重500g、距離50cmの条件
でデュポン衝撃を施した後、セロテープ剥離を行ない塗
膜の残存状態を目視にて評価した。
形状1/2インチφ、荷重500g、距離50cmの条件
でデュポン衝撃を施した後、セロテープ剥離を行ない塗
膜の残存状態を目視にて評価した。
【0066】(iii )塗装後耐食性試験 供試塗装面に金属素地に達するまでのクロスカットを入
れ、これに塩水噴霧試験(JIS−Z2371)を50
0時間施した後、クロスカット部からの塗膜剥離幅をmm
単位で測定した。つまり、mm数の少ないほど、塗装後の
耐食性が優れていることを示す。
れ、これに塩水噴霧試験(JIS−Z2371)を50
0時間施した後、クロスカット部からの塗膜剥離幅をmm
単位で測定した。つまり、mm数の少ないほど、塗装後の
耐食性が優れていることを示す。
【0067】<薬剤安定性試験>各供試処理液を室温で
1ヶ月静置し、液外観を目視にて評価した。 <評価基準> 優 ◎・・・変化なし(塗布可能) ↑ ○・・・極微量の沈澱物の発生(塗布可能) ↓ △・・・僅かの沈澱物、浮遊物の発生(塗布不可能) 劣 ×・・・ゲル化、沈澱物の発生(塗布不可能)
1ヶ月静置し、液外観を目視にて評価した。 <評価基準> 優 ◎・・・変化なし(塗布可能) ↑ ○・・・極微量の沈澱物の発生(塗布可能) ↓ △・・・僅かの沈澱物、浮遊物の発生(塗布不可能) 劣 ×・・・ゲル化、沈澱物の発生(塗布不可能)
【0068】上記試験結果を表4に示す。
【0069】
【表4】
【0070】〔表4の註〕 (*)1 プレス油(パーカー興産株式会社製、NOX
RUST 550HN)を塗油したときの値。比較例1
〜3はプレス油を塗油しないと摺動回数1〜2回で焼き
付いてしまい測定可能であった。 (*)2 比較例7においては、摺動回数10〜20回で
焼き付いてしまった。
RUST 550HN)を塗油したときの値。比較例1
〜3はプレス油を塗油しないと摺動回数1〜2回で焼き
付いてしまい測定可能であった。 (*)2 比較例7においては、摺動回数10〜20回で
焼き付いてしまった。
【0071】表4から明らかなように、本発明の潤滑性
クロメート処理液を用いた実施例1〜12において、形
成された皮膜は摩擦係数が小さく、加工性が良好で、溶
接性、裸耐食性、塗装性においても優れた性能を示し
た。それに対し、従来技術である比較例1〜3の処理液
を用いて形成された皮膜は、摩擦係数が大きく、加工性
が大幅に劣っているので、プレス油などの潤滑油を塗油
せずには加工することも摩擦係数を測定することも不可
能であった。一方、比較例4,5では薬剤安定性が低
く、試験板の作製すらできなかった。また、比較例6の
処理液を用いて形成された皮膜は摩擦係数が小さく、加
工性にも優れていたが、絶縁性が大きい為、スポット溶
接が大幅に劣り、裸耐食性も塗装性も大幅に劣ってい
た。比較例7は加工性は良好であるものの、プレス油を
塗油しないと動摩擦係数が測定できず、裸耐食性、塗装
性が劣り、薬剤安定性においても潤滑剤成分が浮上して
しまい、劣っていた。
クロメート処理液を用いた実施例1〜12において、形
成された皮膜は摩擦係数が小さく、加工性が良好で、溶
接性、裸耐食性、塗装性においても優れた性能を示し
た。それに対し、従来技術である比較例1〜3の処理液
を用いて形成された皮膜は、摩擦係数が大きく、加工性
が大幅に劣っているので、プレス油などの潤滑油を塗油
せずには加工することも摩擦係数を測定することも不可
能であった。一方、比較例4,5では薬剤安定性が低
く、試験板の作製すらできなかった。また、比較例6の
処理液を用いて形成された皮膜は摩擦係数が小さく、加
工性にも優れていたが、絶縁性が大きい為、スポット溶
接が大幅に劣り、裸耐食性も塗装性も大幅に劣ってい
た。比較例7は加工性は良好であるものの、プレス油を
塗油しないと動摩擦係数が測定できず、裸耐食性、塗装
性が劣り、薬剤安定性においても潤滑剤成分が浮上して
しまい、劣っていた。
【0072】
【発明の効果】本発明の金属材料用潤滑性クロメート処
理組成物およびそれを含む処理液を用いた処理方法は、
各種金属材料表面に、潤滑性、溶接性、裸耐食性、及び
塗装性が優れたクロメート皮膜を効率良く形成すること
ができ、プレス作業環境も大幅に改善することができる
ので、実用上大きな効果を奏するものである。
理組成物およびそれを含む処理液を用いた処理方法は、
各種金属材料表面に、潤滑性、溶接性、裸耐食性、及び
塗装性が優れたクロメート皮膜を効率良く形成すること
ができ、プレス作業環境も大幅に改善することができる
ので、実用上大きな効果を奏するものである。
Claims (5)
- 【請求項1】 ワックスおよび含フッ素有機化合物から
選ばれた少なくとも1種を含む潤滑剤成分と、6価クロ
ムイオンと、3価クロムイオンと、シリカ成分とを含
み、前記潤滑剤成分が、ポリエチレングリコール基、お
よび2分子以上のエチレンオキサイドの付加重合体から
なる基から選ばれた少なくとも1員を含むノニオン部分
とアニオン部分とを有する複合親水性グループを有する
ノニオン−アニオン性界面活性剤により水中に安定に乳
化された水性エマルジョンであることを特徴とする金属
材料用潤滑性クロメート処理組成物。 - 【請求項2】 前記水性エマルジョンにおいて、前記潤
滑剤成分100重量部に対し、前記ノニオン−アニオン
性界面活性剤の含有量が0.5〜20重量部である、請
求項1に記載の金属材料用潤滑性クロメート処理組成
物。 - 【請求項3】 前記シリカ成分が、5〜300nmの粒子
径を有する、シリカゾル、コロイダルシリカ、およびフ
ュームドシリカから選ばれた少なくとも1種を含む請求
項1又は請求項2に記載の金属材料用潤滑性クロメート
処理組成物。 - 【請求項4】 さらにリン酸を含有する、請求項1〜3
のいずれか1項に記載の金属材料用潤滑性クロメート処
理組成物。 - 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の金
属材料用潤滑性クロメート処理組成物を含有する処理液
を金属材料の表面に塗布し、これを乾燥して、前記金属
材料表面上に、クロム付着量(金属クロム換算で)が5
〜150mg/m2 の潤滑性クロメート皮膜を形成するこ
とを特徴とする金属材料の潤滑性クロメート皮膜処理方
法。
Priority Applications (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7055884A JPH08253873A (ja) | 1995-03-15 | 1995-03-15 | 金属材料用潤滑性クロメート処理組成物、および処理方法 |
TW85103032A TW442579B (en) | 1995-03-15 | 1996-03-13 | Aqueous chromate treatment composition and process for metal material |
CN 96108096 CN1141355A (zh) | 1995-03-15 | 1996-03-15 | 水性铬酸盐处理组合物及处理金属材料的方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7055884A JPH08253873A (ja) | 1995-03-15 | 1995-03-15 | 金属材料用潤滑性クロメート処理組成物、および処理方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08253873A true JPH08253873A (ja) | 1996-10-01 |
Family
ID=13011537
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7055884A Pending JPH08253873A (ja) | 1995-03-15 | 1995-03-15 | 金属材料用潤滑性クロメート処理組成物、および処理方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH08253873A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP0877832A2 (en) * | 1995-11-30 | 1998-11-18 | Henkel Corporation | Chromate treatment bath composition and process for application to metals |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS56127690A (en) * | 1980-02-11 | 1981-10-06 | Berol Kemi Ab | Mechanical working of metal and lubricant concentrate used therein |
JPH03219086A (ja) * | 1990-01-23 | 1991-09-26 | Nippon Parkerizing Co Ltd | 潤滑性に優れた金属表面処理組成物 |
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1995
- 1995-03-15 JP JP7055884A patent/JPH08253873A/ja active Pending
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