JPH08294766A - 金属成形における素材搬送方法及びその素材搬送装置 - Google Patents

金属成形における素材搬送方法及びその素材搬送装置

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JPH08294766A
JPH08294766A JP12574295A JP12574295A JPH08294766A JP H08294766 A JPH08294766 A JP H08294766A JP 12574295 A JP12574295 A JP 12574295A JP 12574295 A JP12574295 A JP 12574295A JP H08294766 A JPH08294766 A JP H08294766A
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JP12574295A
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Mitsuru Moritaka
満 森高
Kouichi Betsupu
絋一 別府
Yuichi Ando
優一 安堂
Eiji Ogi
栄治 尾木
Toshiaki Miidokoro
利晃 三井所
Shiyuuji Fujisawa
周示 藤澤
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Kobe Steel Ltd
Nabco Ltd
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Kobe Steel Ltd
Nabco Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、加熱終了後の素材の変形をなくし
て、且つ素材の温度低下を防止しつつ搬送することによ
り、素材を安定、確実に成形機へ供給することのできる
金属成形における素材搬送方法及びその素材搬送装置を
提供することを目的とする。 【構成】 本発明の素材搬送方法は、着脱可能にされた
底部23を有する耐熱/保温性に優れた容器25に装入
された金属素材Aを、容器25の外周側から電磁誘導加
熱手段30で順次、加熱しつつ、容器25の金属素材A
が固液共存域となる目標加熱温度に到達すると、容器2
0の底部23を保持して、成形型2A内に金属素材Aを
押し込むスリーブ体50まで搬送すると共に、容器25
の底部23を取り去って、金属素材Aをスリーブ体50
で底部23側から直接的に授受して、このスリーブ体5
0で金属素材Aを成形型2A内に押し込むものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属素材を固液共存域
で成形加工する成形機等に搬送するために用いられる金
属成形における素材搬送装方法、及びその素材搬送装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】金属素材(以下、単に「素材」という)
の成形加工には、種々の方法があるが、一般的に構造部
品の成形加工には、強度や信頼性の点からプレス鍛造等
の方法が汎用され、また、複雑な形状の成形加工には、
その形状の付与を最大の目的とするため、成形品の特性
は多少劣っていても、重力鋳造、高圧鋳造方法が汎用さ
れ、さらに、近年、素材を固液共存域で加工する方法が
注目され、研究されている。それは、固液共存域での加
工方法が一般的にその領域にある素材の流動性が良好ゆ
えに従来の鍛造法に比べて加工力が小さくて済み、難加
工性素材や複雑形状部品の成形等に対して有利と考えら
れるからである。また、従来の鍛造法に比べて、成形品
の特性の向上も期待されるからである。
【0003】その反面、このような半溶融加工法を用い
て実際に成形作業を実施する場合、留意すべき特有の事
項がある。それは、素材の種類にもよるが、一般に、固
液共存域の温度範囲(固相線と液相線との間の温度差)
が比較的狭く、しかも、その狭い温度範囲で素材を金型
内に充満させなければいけないため、適正な成形開始温
度に対する素材加熱温度の選択、及び加熱終了後、成形
機までの搬送中の温度降下をできるだけ防止する必要が
ある。
【0004】このように、素材を搬送する方法として、
特公平2−7748号公報や特開平5−318091号
公報に記載されたものがある。この種のものにおいて
は、加熱処理後の素材を機械的につかんで、或いは底板
を有する半円筒状の容器で加熱処理後の素材をすくい取
り成形機の搬送するものである。また、一般に、固液共
存域への素材の加熱には、組織の粗大化を防止するため
に急速加熱を行う必要があるため、高周波加熱を用いら
れる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
技術においては、以下の問題が存在する。一般に、高周
波加熱による素材の目標加熱終了温度は素材合金の種類
や成形品形状により異なるものであり、また、固液共存
域では素材の変形抵抗は極めて小さいものである。
【0006】従って、従来技術(特公平2−7748号
公報に記載のもの)の素材を機械的につかんで、成形機
に搬送する方法では、目標加熱終了温度、すなわち必要
とされる加熱終了温度によっては、素材の変形なしに機
械的につかんで搬送することが難しく、また、加熱終了
時から成形機までの搬送中に素材は大気と直接接触する
ため、素材の温度が低下しやすい傾向にある。この結
果、搬送中に素材に変形が生じ、また、素材の温度低下
をきたすと、素材を安定、確実に成形機に装入し、且つ
容易に成形加工することができなくなるという問題があ
った。
【0007】また、従来技術(特開平5−318091
号公報記載のもの)においても、素材が充満される容器
の半分が開放されているため、搬送中に素材の温度が低
下しやすい傾向にあり、また、成形機のダイス孔へはこ
の容器を回転(反転)させて素材を装入する必要があ
る。この結果、搬送中に素材の温度低下をきたすと、目
標加熱終了温度によっては、素材の固相率が高くなり、
成形機のダイス孔への安定した装入が困難となるという
問題があった。
【0008】本発明は、このような問題を解決するため
になされたもので、加熱終了後の素材の変形をなくし
て、且つ素材の温度低下を防止しつつ搬送することによ
り、素材を安定、確実に成形機へ供給することのできる
金属成形における素材搬送方法及びその素材搬送装置を
提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記問題を解決するた
め、本発明の金属成形における素材搬送装置では、請求
項1においては、加熱されて固液共存域にされた金属素
材を成形機の成形型内に搬送する金属成形における素材
搬送方法において、(1)着脱可能にされた底部を有す
る耐熱/保温性に優れた容器に密閉して装入された前記
金属素材を、前記容器の外周側から電磁誘導加熱手段で
順次、加熱しつつ、前記容器内の金属素材が固液共存域
となる目標加熱温度に到達すると、前記容器の底部を保
持して、前記成形機の成形型内に前記固液共存域の金属
素材を押し込むスリーブ体まで搬送すると共に、(2)
前記容器の底部を取り去って、当該容器内の前記固液共
存域の金属素材を前記スリーブ体で前記容器の底部側か
ら直接的に授受して、当該スリーブ体で前記固液共存域
の金属素材を前記成形型内に押し込むものである。
【0010】請求項2においては、電磁誘導加熱手段で
固液共存域に加熱された金属素材を成形機に搬送する金
属成形における素材搬送装置において、着脱可能な底部
を有し内部に前記金属素材を密閉に装入する耐熱/保温
性に優れた材料で形成された容器と、前記容器の底部を
保持して前記電磁誘導加熱手段の内外、及び前記成形機
へ又その逆に移動させると共に、前記容器の底部を着脱
するアーム体と、前記アーム体で容器の底部が取り去ら
れた前記容器内から前記固液共存域の金属素材を前記容
器の底側から直接的に授受して、前記成形機の成形型内
に当該固液共存域の金属素材を押し込むスリーブ体とで
構成されているものである。
【0011】
【作用】このように本発明の金属成形における素材搬送
方法及びその素材搬送装置によれば、耐熱/保温性に優
れた容器内に装入された金属素材を電磁誘導加熱手段で
順次、加熱しつつ、容器内の金属素材が固液共存域とな
る目標加熱温度に到達すると、容器の底部を保持して、
スリーブ体まで搬送すると共に、容器の底部を取り去っ
て、当該容器内の固液共存域の金属素材をスリーブ体で
容器の底部側から直接的に授受して、当該スリーブ体で
固液共存域の金属素材を成形型内に押し込むようにして
いるので、成形機の成形型内にスリーブ体で搬送する直
前まで容器内の金属素材を耐熱/保温性に優れたその容
器内で保温することで、金属素材の温度降下を極めて小
さく抑制することができると共に、金属素材の搬送が容
器の底部、及び素材の底側を基準として行われるので、
金属素材を機械的につかむことがなく、金属素材の変形
を抑制することができる。また、成形する部品の形状等
によっては、金属素材を固液共存域の低い固相率に加熱
することが必要な場合があり、必然的に素材が自重で変
形しても上記スリーブ体へ搬送することが可能である。
【0012】更に、固液共存域の金属素材を耐熱/保温
性の容器内に密閉に装入して成形機に搬送するので、ス
リーブ体で固液共存域の金属素材を直接的に授受するま
では、この金属素材が外気等に直接接触することがな
く、搬送中の金属素材の温度降下を極めて小さく抑制す
ることができる。
【0013】
【実施例】以下、本発明の一実施例である金属成形にお
ける素材搬送方法及び素材搬送装置について、図面を参
照して説明する。
【0014】図1及び図2は、本実施例における素材搬
送装置1の構成と、成形機2との配置関係を示した上面
図、及び側面図であって、まず、素材搬送装置1と成形
機2の構成について説明する。図1及び図2において、
1は素材搬送装置、2は成形型2Aを有する成形機であ
る。素材搬送装置1は、成形機2と所定の間隔を隔てて
回転可能に立設された支柱体3と、この支柱体3から半
径外方向に放射状に延びる複数のアーム体4A〜4H、
及び成形機2と素材搬送装置1間を往復移動する移動機
構40とを主要部として構成されている。
【0015】この支柱体3は、駆動モータ6の回転軸6
Aにギヤ7、8を介して連結されており、この駆動モー
タ6を駆動させることで回転軸6Aが回転して、ギヤ
7、8を介して回転される。また、支柱体3には、この
軸線方向に昇降する複数の昇降機構9A〜9Hが設けら
れており、各昇降機構9A〜9Hは支柱体3に外嵌され
て固定された筒状ガイド10、この筒状ガイド10に係
合する昇降台11、及び昇降台11を支柱体3の軸線方
向に昇降移動させる昇降シリンダ12とで構成されてい
る。この筒状ガイド10は、この軸線方向に亘って延び
て、周方向に相互に所定間隔を隔てて(例えば、相互に
45度の角度)、複数のガイドレール13、13、・・
・が形成されており、この各ガイドレール13、13、
・・・にはそれぞれ昇降台11が係合されている。そし
て、各昇降台11には、昇降シリンダ12のロッド12
Aがそれぞれ連結されており、この各昇降シリンダ12
の伸縮により支柱体3の軸線方向に昇降可能とされてい
る。また、各昇降シリンダ12のシリンダ本体12A
は、それぞれ支柱体3の上端に固定された板部材3Aに
固定されている。
【0016】各アーム体4A〜4Hは、周方向に相互に
所定間隔を隔てて(例えば、相互に45度の角度)、支
柱体3の昇降機構9A〜9Hのそれぞれに連結されてお
り、支柱体3の回転に追従して回転可能に、且各昇降機
構9A〜9Hで支柱体3の軸線方向に昇降可能にされて
いる。各アーム体4A〜4Hは、各昇降機構9A〜9H
の各昇降台11に連結される移動シリンダー15とこの
移動シリンダ15のシリンダ本体15B上に重ねて固定
されたスライドシリンダ16とで構成されており、各ア
ーム体4A〜4Hの移動シリンダー15は、このロッド
15Aを支柱体3の半径外方向に突出する状態で、シリ
ンダ本体15Bを各昇降台11に固定することにより昇
降機構9A〜9Hに連結されている。また、各アーム体
4A〜4Hを構成する各シリンダー15には、このロッ
ド15A先端に耐熱/保温性の優れた材料で形成された
容器体25が載置される載置台17が取り付け固定され
いる。この載置台17は、各移動シリンダー15のロッ
ド15A先端から突出しており、このロッド15Aの軸
線方向に貫通する貫通溝18が、この突出する部分に支
柱体3の軸線方向に貫通する装入穴19がそれぞれ形成
されている。また、容器25は、図3に示すように、載
置台17の装入穴19に同心にして載置され、且つこの
装入穴19より小径の孔部21が貫通する筒状体22
と、この筒状体22の孔部21と載置台17の装入穴1
9とを連通/遮断してする底部23、及び筒状体22の
上部開口22Aを塞いで孔部21に内嵌された蓋体24
とで構成されており、この底部23は載置台17の貫通
溝18に内嵌合されていると共に、スライドシリンダー
16のロッド16Aに連結されて貫通溝18内を摺動自
在にされている。また、容器25の筒状体22は、図3
に示すように、耐熱性の優れた材料(例えば、セラミッ
ク材)で形成された外筒部26とこの外筒部26内に嵌
合されて保温性に優れた材料(例えば、熱伝導率の断熱
材)で形成された内筒部27とで構成されて素材Aが装
入されると共に、蓋体24の貫通孔24Aから筒状体2
2の内部の温度状態を検出する、例えば、シース熱電対
により温度測定をする温度検出器28が挿入されてい
る。
【0017】また、アーム体4Aを除く各アーム体4B
〜4Hの載置台17上には、電磁誘導加熱手段となる高
周波加熱コイル30がそれぞれ設けられている。各高周
波加熱コイル30は、各アーム体4B〜4Hの載置台1
7上に載置された容器25の外側から嵌合可能に配置さ
れている。
【0018】移動機構40は、成形機2の成形型2Aの
直下から素材搬送装置1のアーム体4H側に延びるガイ
ドレール41とこのガイドレール41上を走行可能とさ
れた移動台42、及び移動台42を走行移動させる走行
シリンダ43とで構成されており、この移動台42には
スリーブ体50が載置されている。このスリーブ体50
は容器25の筒状体22より多少大径の搬入孔51が形
成されて移動台42上に立設されていると共に、この搬
送孔51内に素材昇降機構55を有している。この昇降
機構55は、スリーブ体50の搬入孔51内に嵌合され
た素材昇降台を兼ねるチップ(プランジャ)56とこの
チップ56を支柱体3の軸線方向に昇降移動させるロッ
ド57及びシリンダ(図示しない)とで構成されてい
る。
【0019】本実施例の素材搬送装置1は、以上のよう
に構成されるが、次に、この素材搬送装置1を用いて、
素材を成形機2の成形型2Aまで搬送する方法(搬送手
順)について、図1及び図4乃至図6に基づいて説明す
る。尚、説明の便宜上、各アーム体4A〜4Hの載置台
17上に載置されている容器25は、各高周波加熱コイ
ル30の下方に位置しており、また、この内部には素材
Aが装入されていないものとする。
【0020】(1)まず、図1に示す素材投入位置X
(アーム体4Aが位置する箇所)に、駆動モータ6を駆
動して支柱体3を回転させることにより、逐次、各アー
ム4A〜4Hの容器25を位置させ、この容器25の筒
状体22と底部23で形成される空間内に、押盤60を
介して素材Aを装入して蓋体24を筒状体22の孔部2
1内に嵌合することで素材Aを密閉に装入する。そし
て、支柱体3を回転させて、各アーム体4A〜4Hの載
置台17上に載置された容器25を各高周波加熱コイル
30の直下に位置するように配置した後、各昇降機構9
A〜9Hを作動することにより上昇させて各高周波加熱
コイル30内に各容器25を挿入して、この各高周波加
熱コイル30で各容器25内の素材Aを加熱する。この
とき、各温度検出器28で各容器25内の素材Aの温度
が検出されている。
【0021】(2)次いで、各高周波加熱コイル30で
加熱された各容器25内の素材Aの温度が、目標加熱温
度に達して、この素材Aが固液共存域の状態になると、
例えば、図1に示すアーム体4Hだけを、図4(a)に
示すように、この昇降機構9Hで降下させて高周波加熱
コイル30内から外に取り出だし、アーム体4Hの移動
シリンダ15及びスライドシリンダ16とを作動させ
て、図4(b)に示すように、ロッド15A及びロッド
16Aを成形機2内まで伸長させる。これにより、アー
ム体4Hの載置台17上に載置された容器25が移動機
構40のガイドレール41上に位置する。
【0022】(3)そして、移動機構40の移動台42
を走行シリンダ43で走行させて、図5(a)に示すよ
うに、アーム体4Hの容器25の直下であって、スリー
ブ体50の搬入孔51を容器25の筒状体22の孔部2
1の軸心に一致させると共に、スリーブ体50を容器2
5に連続するように配置する。その後、スリーブ体50
の昇降機構55を作動させることにより、図5(b)に
示すように、チップ56を載置台17の装入穴19内に
挿入して、容器25の底部24の直下に位置させる。そ
して、アーム体4Hのスライドシリンダ16を作動させ
て、図5(c)に示すように、このロッド16Aを本体
16B側に引き込んで容器25の底部23を支柱体3側
にスライドさせる。これにより、容器25の孔部21と
スリーブ体4Hの搬送孔51とが載置台17の装入穴1
9を介して連通する状態になり、固液共存域の素材Aの
自重等により、この素材Aが載置台17の装入穴19を
介してチップ56に直接的に授受されると共に、このチ
ップ56を降下させることにより、素材Aが容器25か
らスリーブ体50内に装入される。
【0023】(4)スリーブ体50内に固液共存域の素
材Aが装入されると、移動機構40で移動台42を成形
機2の成形型2A側に走行させて、図6(a)に示すよ
うに、スリーブ体50を成形機2の成形型2Aの直下に
位置させる。次いで、昇降機構55を作動させることに
より、チップ56を上昇させて、図6(b)に示すよう
に、固液共存域の素材Aを、押盤60を介して成形機2
の成形型2A内に押し込んで、この成形型2A内の全体
に素材Aを充填して、成形品を成形する。
【0024】(5)素材Aのスリーブ体50への装入が
完了したアーム体4Hの容器25は、スライドシリンダ
16の作動で底部23をスライドさせることにより再び
密閉状態にされると共に、移動シリンダ15を作動して
ロッド15Aをこのシリンダ本体15B側に引き込ん
で、容器25を高周波加熱コイル30の直下に位置させ
る。そして、アーム体4A、4Hを除く、各アーム体4
B〜4Gの昇降機構9B〜9Gを作動させて、各アーム
体4B〜4Gの容器25を各高周波加熱コイル30内か
ら外側に降下させた後、駆動モータ6を駆動してこの回
転軸6Aを回転させることによりギヤ7、8を介して支
柱体3を回転させて、アーム体4Hが素材投入位置Xに
位置し、且つ各アーム体4A〜4Gがそれぞれ所定角度
(例えば、45度)だけ移送された各高周波加熱コイル
30の直下に位置した時点で、駆動モータ6の駆動を停
止する。
【0025】(6)この後、再び、各アーム体4A〜4
Gの昇降機構9A〜9Hを作動して各アーム体4A〜4
Gを上昇させて、各容器25を各高周波加熱コイル30
内に挿入して、この各高周波加熱コイル30で各容器2
5内の素材Aを加熱する。そして、以降は、上記(1)
乃至(5)記載の手順を繰り返すことで、順次、固液共
存域の素材Aを成形機2の成形型2A内に搬送する。
【0026】このように、本実施例の金属成形における
素材搬送方法及びその素材搬送装置によれば、耐熱/保
温性に優れた容器25内に充満された素材Aを各高周波
加熱コイル30で順次、加熱し、容器25内の素材Aが
固液共存域となる目標加熱温度に到達すると、各容器2
5の底部23を各アーム体4A〜4Hでそれぞれ保持し
て、スリーブ体50まで搬送すると共に、容器25の底
部23を取り去って、この容器50内の固液共存域の素
材Aをスリーブ体50で容器25の底部23側から直接
的に授受して、スリーブ体50で固液共存域の素材Aを
成形型2A内に押し込むようにしているので、成形機2
の成形型2A内にスリーブ体50で搬送する直前まで各
容器25内の素材Aを耐熱/保温性に優れたその容器内
で保温することで、素材Aの温度降下を極めて小さく抑
制することができると共に、素材Aの搬送が容器25の
底部23、及び素材Aの底側を基準として行われるの
で、素材Aを機械的につかむことがなく、素材Aの変形
を抑制することができ、素材Aを安定、確実に成形機2
の成形型2Aに装入して、成形加工することが可能とな
る。また、成形する部品の形状等によっては金属素材を
固液共存域の低い固相率になるまで加熱することが必要
な場合があり、必然的に素材が自重で変形しても上記ス
リーブ体へ搬送することが可能である。
【0027】更に、固液共存域の素材Aを耐熱/保温性
の容器25内に密閉に充満して成形機2の成形型2Aに
搬送するので、スリーブ体55で固液共存域の素材Aを
直接的に授受するまでは、この素材Aが外気等に直接接
触することがなく、搬送中の素材Aの温度降下を極めて
小さく抑制することができるので、素材Aを安定、確実
に成形機2の成形型2Aに装入して、容易に成形加工す
ることができる。
【0028】更に、素材Aの底側、すなわち、素材Aの
搬送中に、この押盤60との接触により素材Aの温度低
下が他部より比較的大きく、固相率が大きくなり易い側
から、スリーブ体50で授受して、このスリーブ体50
で素材Aの底側と反対側から成形機2の成形型2A内
に、素材Aを押し込んでいるので、成形型2Aにより、
容易、且つ安定して固液共存域の素材Aを装入して成形
加工することが可能となる。
【0029】尚、本実施例における素材搬送装置1で
は、アーム体4A〜4Hを8本配置した場合を示した
が、これに限定されるものでなく、1本乃至複数本のア
ーム体を配置したものであってもよい。また、昇降機構
9A〜9Hや移動機構40の構成については、本実施例
における素材搬送装置1で示した構成に限定されるもの
でなく、他の機構を用いたものであってもよい。また、
本実施例における素材搬送装置1では、素材Aと底部2
3との間に押盤60を介装した場合を示したが、押盤6
0を介装することなく、直接、素材Aを底部23に当接
させて容器25内に装入するようにしたものであっても
よい。
【0030】
【発明の効果】このように本発明の金属成形における素
材搬送方法及びその素材搬送装置によれば、耐熱/保温
性に優れた容器内に装入された金属素材を電磁誘導加熱
手段で順次、加熱しつつ、容器内の金属素材が固液共存
域となる目標加熱温度に到達すると、容器の底部を保持
して、スリーブ体まで搬送すると共に、容器の底部を取
り去って、当該容器内の固液共存域の金属素材をスリー
ブ体で容器の底部側から直接的に授受して、当該スリー
ブ体で固液共存域の金属素材を成形型内に押し込むよう
にしているので、成形機の成形型内にスリーブ体で搬送
する直前まで容器内の金属素材を耐熱/保温性に優れた
その容器内で保温することがで、金属素材の温度降下を
極めて小さく抑制することができると共に、金属素材の
搬送が容器の底部、及び素材の底側を基準として行われ
るので、金属素材を機械的につかむことがなく、金属素
材の変形を抑制することができ、固液共存域の金属素材
をスリーブ体で安定、確実に成形機の成形型に装入し
て、成形加工することが可能となる。また、成形する部
品の形状等によっては金属素材を固液共存域の低い固相
率にまで加熱することが必要な場合があり、必然的に素
材が自重で変形しても上記スリーブ体へ搬送することが
可能となる。
【0031】更に、固液共存域の金属素材を耐熱/保温
性の容器内に密閉に充満して成形機に搬送するので、ス
リーブで固液共存域の金属素材を直接的に授受するまで
は、この金属素材が外気等に直接接触するこのがなく、
搬送中の金属素材の温度降下を極めて小さく抑制するこ
とができるので、金属素材を安定、確実に成形機の成形
型に装入することが可能となる。
【0032】更に、押盤との接触により金属素材の底
側、すなわち、金属素材の搬送中に、温度低下が他部よ
り比較的大きく、固相率が大きくになり易い側から、ス
リーブ体で授受して、このスリーブ体で金属素材の底側
と反対側から成形機の成形型内に、金属素材を押し込む
んでいるので、成形型により容易、且つ安定して固液共
存域の金属素材を装入して、成形加工することが可能と
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例における素材搬送装置の全体
構成と、成形機との配置関係を示した上面図である。
【図2】本発明の一実施例における素材搬送装置の構成
と、成形機との配置関係を示した側面図である。
【図3】本発明の一実施例における素材搬送装置に用い
られる容器の構成を示す、図2の要部拡大図である。
【図4】本発明の一実施例における素材搬送方法を説明
するための図であって、(a)は高周波加熱コイルから
容器を取り出す状態を示す拡大図、(b)は容器を成形
機内に搬送する状態を示す要部拡大図である。
【図5】本発明の一実施例における素材搬送方法を説明
するための図であって、(a)はスリーブ体を容器の直
下に移動さた状態を示す要部拡大図、(b)はスリーブ
体の昇降台を上昇移動させた状態を示す要部拡大図、
(c)は容器からスリーブ体内に素材を装入する状態を
示す要部拡大図である。
【図6】本発明の一実施例における素材搬送方法を説明
するための図であって、(a)はスリーブ体を成形機の
成形型の直下に移動させた状態を示す要部拡大図、
(b)はスリーブ体内の素材を成形型内に押し込む状態
を示す要部拡大図である。
【符号の説明】
1 素材搬送装置 2 成形機 2A 成形型 4A〜4H アーム体 25 容器 30 高周波加熱コイル(電磁誘導加熱手段) 50 スリーブ体 A 金属素材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 安堂 優一 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内 (72)発明者 尾木 栄治 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内 (72)発明者 三井所 利晃 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内 (72)発明者 藤澤 周示 兵庫県神戸市東灘区住吉台4−5−501

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 加熱されて固液共存域にされた金属素材
    を成形機の成形型内に搬送する金属成形における素材搬
    送方法において、 (1)着脱可能にされた底部を有する耐熱/保温性に優
    れた容器に密閉して装入された前記金属素材を、前記容
    器の外周側から電磁誘導加熱手段で順次、加熱しつつ、
    前記容器内の金属素材が固液共存域となる目標加熱温度
    に到達すると、前記容器の底部を保持して、前記成形機
    の成形型内に前記固液共存域の金属素材を押し込むスリ
    ーブ体まで搬送すると共に、 (2)前記容器の底部を取り去って、当該容器内の前記
    固液共存域の金属素材を前記スリーブ体で前記容器の底
    部側から直接的に授受して、当該スリーブ体で前記固液
    共存域の金属素材を前記成形型内に押し込むことを特徴
    とする金属成形における素材搬送方法。
  2. 【請求項2】 電磁誘導加熱手段で固液共存域に加熱さ
    れた金属素材を成形機に搬送する金属成形における素材
    搬送装置において、 着脱可能な底部を有し内部に前記金属素材を密閉に装入
    する耐熱/保温性に優れた材料で形成された容器と、 前記容器の底部を保持して前記電磁誘導加熱手段の内
    外、及び前記成形機へ又その逆に移動させると共に、前
    記容器の底部を着脱するアーム体と、 前記アーム体で容器の底部が取り去られた前記容器内か
    ら前記固液共存域の金属素材を前記容器の底側から直接
    的に授受して、前記成形機の成形型内に当該固液共存域
    の金属素材を押し込むスリーブ体とで構成されているこ
    とを特徴とする金属成形における素材搬送装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010125516A (ja) * 2008-12-01 2010-06-10 Toyota Motor Corp 保温スリーブ
JP2014237172A (ja) * 2013-05-09 2014-12-18 東芝機械株式会社 固液共存状態金属の製造装置、固液共存状態金属の製造方法及び固液共存状態金属を用いた成形方法
JP2020089911A (ja) * 2018-12-07 2020-06-11 芝浦機械株式会社 ダイカストマシン及び金属加熱供給装置

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