JPH08293135A - 光磁気記録媒体および光磁気記録再生方法 - Google Patents

光磁気記録媒体および光磁気記録再生方法

Info

Publication number
JPH08293135A
JPH08293135A JP9644295A JP9644295A JPH08293135A JP H08293135 A JPH08293135 A JP H08293135A JP 9644295 A JP9644295 A JP 9644295A JP 9644295 A JP9644295 A JP 9644295A JP H08293135 A JPH08293135 A JP H08293135A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
magnetic
layer
reproducing
magneto
recording
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP9644295A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoichi Osato
陽一 大里
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP9644295A priority Critical patent/JPH08293135A/ja
Publication of JPH08293135A publication Critical patent/JPH08293135A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【目的】 光磁気記録媒体の微小磁区に記録を行い、拡
大再生を行う場合の上記の問題点を解決して、より良好
な再生特性(C/N比)を得ることのできる光磁気記録
媒体および記録再生方法を提供する 【構成】 透明基板上に温度勾配によって磁区の動きや
すい磁壁移動層および記録層が適宜中間層を介して積層
された光磁気記録媒体を用い、磁壁移動層の磁気異方性
や膜厚などを最適化し、再生磁界や再生パワーなどを最
適化して再生を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気光学効果によって
記録信号の再生を行う光磁気記録媒体とその記録再生方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】レーザ光照射による熱磁気記録によって
情報磁区を形成し、それを光磁気効果によって読み出す
光磁気記録再生方法では、記録密度を向上させるにはレ
ーザビーム径を小さく絞って、記録磁気を微小化する必
要がある。しかしながら、信号再生時の分解能が光の波
長で決っており、レーザ波長以下のピッチで記録された
情報を読み出すのは困難であった。そこで記録マークを
拡大して読み出す方法がいくつか提案されている。
【0003】特開平1−143041号公報には、情報
の保持層とともに記録された読み出し層の磁区を、読み
出し時には情報保持層からの磁気的な結合を切り、再生
磁界で拡大する方法が示されている。
【0004】また、特開平6−259823号公報に
は、読み出し層に記録された微小磁区を再生ビームによ
る加熱で膨張させて拡大再生する方法が示されている。
【0005】特開平6−290496号公報には、読み
出し層に記録された微小磁区を再生ビームあるいは補助
ビームを用いて形成された温度勾配によって拡大再生す
る方法が示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、そのよ
うに磁界や温度の変化で拡大できる磁区は不安定であっ
て、再現性のある良好な記録再生を行うには、さらなる
改良が望まれている。
【0007】そこで、本発明の目的は、光磁気記録媒体
の微小磁区に記録を行い、拡大再生を行う場合の上記の
問題点を解決して、より良好な再生特性(C/N比)を
得ることのできる光磁気記録媒体および記録再生方法を
提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、基板上に少な
くとも第1磁性層および第2磁性層が積層形成されてい
て、第1および第2磁性層が次の2式、
【0009】
【数4】Hc1<Hc2
【0010】
【数5】Tc1>Tc2 (上記式中、Hc1およびHc2はそれぞれ第1磁性層お
よび第2磁性層の保磁力、Tc1およびTc2はそれぞれ
第1および第2磁性層のキュリー温度を示す。)の条件
を満足し、しかも第1磁性層は、基板面内方向の着磁飽
和磁化の大きさが垂直方向成分に対し10%〜100%
であって垂直方向および面内方向の2軸異方性を持つこ
とを特徴とする光磁気記録媒体を提供する。
【0011】なお、上記本発明の媒体において、第1お
よび第2磁性層の間に下記式の条件を満足する第3磁性
層が設けられていてもよい。
【0012】
【数6】Tc3<Tc2 (上記式中、Tc3は第3磁性層のキュリー温度を示
す。) さらに、上記本発明の媒体において、第1磁性層が、希
土類−遷移金属合金系であって遷移金属の副格子磁化優
位であってもよい。
【0013】さらに本発明は、上記の光磁気記録媒体を
用い、該記録媒体に予め記録されたテストパターンを再
生磁界を変えながら再生して信号ジッターの最小となる
再生磁界を求め、その再生磁界を印加して再生を行う光
磁気記録再生方法を提供する。
【0014】さらに本発明は、上記の光磁気記録媒体を
用い、該記録媒体に予め記録されたテストパターンを再
生磁界を変えながら再生して、第1磁性層にかかる磁界
が実質的にゼロとなるような再生磁界を求め、その再生
磁界を印加して再生を行う光磁気記録再生方法を提供す
る。
【0015】
【作用】本発明の光磁気記録再生方法においては、本発
明の光磁気記録媒体を用い、消去過程(第1および第2
磁性層を、消去バイアス磁界と消去レーザパワーによっ
て一方向に揃える)の後に、逆向きの記録バイアス磁界
を印加しながら、記録レーザパルスを照射して第1およ
び第2磁性層の磁化の向きを反転させて、記録(情報磁
区の形成)を行う。
【0016】特に本発明の方法においては、そのような
情報の記録がなされた光磁気記録媒体からの情報の読み
出し過程に特徴がある。すなわち、再生ビーム照射で記
録磁区の有無を読み出すに当って、再生ビームの強度を
調整して、第1磁性層と第2磁性層の間の磁気的な結合
が切れるかあるいはごく弱くなるまで温度上昇可能な領
域が形成されるようにする。ただしその昇温は、第2磁
性層のキュリー温度より低くなければならない。
【0017】すなわち、そのような再生の際、ビームス
ポットの高温部の温度では、第1磁性層と第2磁性層の
交換結合がほぼ切断される。従って、再生温度でも大き
な保磁力を保つ第2磁性層に形成された記録磁区は安定
であるが、保磁力が十分小さい第1磁性層は、外部から
の磁界や温度の変化に対して不安定な状態となる。そこ
で、その不安定となった磁区に再生バイアス磁界を印加
して磁区を拡大させ、大きな再生出力を得るものであ
る。
【0018】そのような磁区拡大による再生方法は、特
開平1−143041号公報や特開平6−259823
号公報などに示されている。
【0019】ただし、それら従来技術に示されたように
単に磁区を拡大するだけでは、記録磁区の形成されない
(消去された磁区)部分の割合が減少するだけである。
つまり、再生スポット内がすべて記録磁区の時とすべて
消去磁区の時の再生信号のレベル差が再生信号の最大振
幅であるが、記録磁区を拡大して再生すれば、再生スポ
ット内がすべて記録磁区の場合の信号レベルに近づく
が、逆に消去磁区が狭くなり信号振幅は大きくならな
い。
【0020】その磁区拡大の原理は次のように説明され
る。例えば「バブル技術ハンドブック」(1976年オ
ーム社発行)46ページの磁気バブルの駆動力の説明に
もあるように、保磁力の小さい第1磁性層の、膜厚、磁
化、ブロッホ磁壁エネルギー密度およびバイアス磁界な
どの磁壁を取り巻く環境条件に勾配があると、磁壁を移
動させる駆動力が生じる。
【0021】そこで再生時には、ビームによってビーム
スポット高温部領域での第1および第2磁性層の交換結
合がほぼ切断されて第1磁性層が不安定になった時に、
記録磁壁は高温部中心へと引き寄せられる。これは高温
部では、磁化の減少が大きく、温度勾配に対応して磁化
の勾配が形成され、これに対応して磁壁を高温部へと引
き寄せる駆動力が発生するからである。
【0022】第1磁性層と第2磁性層の交換結合が切れ
る温度で、すでに第1磁性層の磁壁をビームスポットの
高温部中心へと引き寄せる駆動力がある場合には、再生
中に、次のような現象で再生磁区が拡大し、大きな再生
信号振幅を得られる。
【0023】つまり第1磁性層と第2磁性層の間の磁気
的な結合が切れた瞬間に磁壁が存在すれば、磁壁はビー
ムスポット最高温度部へと移動するから、ビームスポッ
トの中でそこの磁区だけが拡大する、そしてビームスポ
ットが通過し温度が下がると、第1磁性層と第2磁性層
は交換結合し、拡大した磁区は再び元の大きさに戻る。
つまりこの移動拡大している磁区からの再生信号だけが
拡大される。またこの移動速度が再生ビームの走査速度
より十分大きくないと磁区が移動拡大する前に再生ビー
ムが通り過ぎることになる。
【0024】磁壁の移動速度は、再生ビームの走査速度
(再生の線速度)の3倍以上、好ましくは10倍程度が
必要となる。
【0025】また、実際の情報記録再生においては、光
ヘッドからの漏れ磁界や記録磁性層からの浮遊磁界など
が再生時に移動層に影響を与えて、移動層における磁区
の移動拡大が妨げられる。従って、本発明の記録再生方
法においては、その点を考慮して、再生時には実質的に
移動層に磁界が印加されないようにするとよい。すなわ
ち、具体的には、予め媒体に記録されているテストパタ
ーンを再生し、第1磁性層にかかる磁界が実質的にゼロ
となるような再生磁界を求め、実際の再生時には、その
再生磁界で再生を行うことが効果的である。
【0026】また、再生時の再生信号におけるジッター
は、再生磁界によって大きく変化することから、予め媒
体に記録されているテストパターンを再生して、ジッタ
ーが最小となるような再生磁界を求め、実際の再生時に
は、その再生磁界で再生を行うことも効果的である。
【0027】以下、図面を参照しながら、本発明の光磁
気記録媒体を詳細に説明する。
【0028】本実施例の光磁気記録媒体は、図1に示す
ように、少なくとも透光性基板(透明基板)1上に第1
磁性層(磁壁移動層)2および第2磁性層(記録層)3
とを積層してなるものである。また、その第1磁性層2
と第2磁性層3の間に、以下に説明する第3磁性層(中
間層)4を設けることもできる。
【0029】ここでは図2の構成の媒体について説明す
る。図2の媒体における磁壁移動層2、中間層4および
記録層3は垂直磁気異方性を有しており、その材料とし
ては、大きなカー回転角を示す希土類−遷移金属系合
金、ガーネット結晶系材料、Pt/Co合金または多層
膜などが使用される。磁壁移動層2の保磁力をHc1
キュリー温度をTc1とし、記録層の保磁力をHc2、キ
ュリー温度をTc2とし、中間層のキュリー温度をTc3
とすると、次の関係がある。
【0030】
【数7】Hc1<Hc2
【0031】
【数8】Tc1>Tc2>Tc3 磁壁移動層2は、温度勾配による小さな駆動力だけで移
動させるため、できるだけ小さな保磁力Hc1が望まし
い。すなわち、500 Oe以下、好ましくは200 O
e以下とする。また再生ビームで読み出し中に、磁壁移
動層2のキュリー温度付近まで昇温すると、カー回転角
が減少し、磁壁も動きにくくなるので、記録層3に対し
ても高いキュリー温度であることが好ましく、150〜
400℃、好ましくは200〜350℃とする。
【0032】また磁壁移動層2は、詳しく実施例にて示
すように、基板1の面に垂直と面内の2軸の異方性を有
するものが望ましい。具体的には2K Oe程度の小さ
な外部磁界で着磁飽和し、基板面内方向の着磁飽和磁化
の大きさが、垂直方向成分に対し10%〜100%のも
のが良い。10%以下のものは温度勾配による磁壁の移
動が小さく、100%以上のものは面内異方性が大きす
ぎて、良好な記録磁区が形成されない、再生信号振幅が
小さいなどの欠点を有する。
【0033】また磁壁移動層2が希土類−遷移金属合金
系の場合は遷移金属の副格子磁化優位の組成が望まし
い。希土類の副格子磁化が優位の組成ではキュリー温度
が低下したり、再生温度で垂直磁気異方性が大きくな
り、温度勾配による磁壁の移動が小さくなって好ましく
ない。
【0034】記録層3は、例えば5K Oe以上の大き
な保磁力と100〜250℃の熱磁気記録に適したキュ
リー温度が必要である。
【0035】中間層4は、再生時に磁壁移動層2と記録
層3の磁気的な結合が切れるように、例えば70〜15
0℃の低いキュリー温度Tc3を持つ必要がある。
【0036】磁壁移動層2の膜厚は10〜200nmが
好ましい。10nm以下では十分な再生信号振幅が得ら
れず、200nm以上では記録ノイズが増大する。
【0037】記録層3の膜厚は、10〜400nmが好
ましい。10nm以下では、磁壁移動層2の影響で記録
ノイズが増大し、400nm以上では記録層3自体の浮
遊磁界で記録ノイズが増大する。
【0038】中間層4の膜厚は、5〜30nmが好まし
い。5nm以下では、中間層4がキュリー温度Tc3
達しても交換結合が切れない可能性がある。30nm以
上では、磁壁移動層2と記録層3の交換結合が弱くなっ
て、記録層3の磁区が磁壁移動層2に十分転写されず、
再生信号品質が劣化する。
【0039】
【実施例】以下、実施例によって、本発明を具体的に説
明する。
【0040】磁壁移動量の評価 本発明の記録媒体をセクターマークを有する基板上に成
膜し、記録再生実験を行なう。
【0041】まず記録トラックを消去(一方向に着磁)
後、セクターマークの特定位置のピット信号をトリガー
にして1パルス記録を行い、孤立マークを形成する。再
生信号の波形はデジタルオシロスコープを用いて解析す
る。記録時に用いたセクターマークの特定位置のピット
信号を基準にして、再生信号波形立ち上がりおよび立ち
下がり位置(今回の評価ではピークの1/2高さになる
位置を選んだ)をタイムインターバルアナライザーを用
いて測定し、基準位置からの時間間隔を上記孤立マーク
の前エッジ位置および後エッジ位置を表す値とした。次
に、再生時のレーザパワーと印加磁界を変化させなが
ら、その時間間隔を測定した。
【0042】ここで図3は、再生磁界を印加せず、再生
レーザパワーを初期値の1mWから5mWまで上昇させ
たときに得られる立ち上がり時間間隔(前エッジ)の変
化を再生パワー1mWの値を基準にして示す。時間間隔
変化が大きくなることは、前エッジがセクターアーク特
定位置方向へ移動していることを示す。測定装置は、
(株)シバソク製LM520で、レーザ波長780n
m、対物レンズN.A.0.53で、記録再生時の媒体線速
は約10m/secであった。記録した孤立マーク長さ
は、2μmであった。
【0043】ここでは、本発明の記録媒体(実施例1の
媒体)と従来の媒体(比較例1の媒体)とについて、測
定を行った。
【0044】実施例1の媒体は、ポリカーボネイト基板
上に65nmのSi34膜、60nmのGdFe磁壁移
動層、10nmのTbFe中間層、60nmのTbFe
Co記録層、65nmのSi34膜を積層したものであ
る。
【0045】その移動層の磁気特性は、Gd20Fe8
0at%;Feセンス;保磁力0.15K Oe;キュ
リー温度250℃であり、中間層の磁気特性は、Tb2
6Fe74at%;Tbセンス;保磁力2.0KOe;
キュリー温度130℃であり、記録層の磁気特性は、T
b24Fe66Co10at%;Tbセンス;保磁力2
0K Oe;キュリー温度230℃である。
【0046】また比較例1の記録媒体は、上記実施例1
の媒体で移動層と中間層を設けず、記録層だけを設けた
ものである。
【0047】図3において、再生レーザパワーを上昇さ
せると、孤立マークの磁壁に近づく再生ビームスポット
は、そのビーム中心部方向に昇温する温度勾配を形成す
る。そして磁壁は高温部へと移動することで、前後のエ
ッジはより前方に(測定時間間隔がより短くなるよう
に)移動する。今回の測定では、時間間隔が10ns短
くなるのは、0.1μm前方に移動したことに相当す
る。再生パワーを大きくするほど、形成される温度勾配
の大きさおよび領域がいずれも広がることから、温度勾
配により磁壁が移動できる層を有する実施例1の媒体で
はエッジの移動量が大きくなる。
【0048】それに対して従来の記録層のみの比較例1
の媒体では、磁壁の移動は見られない。
【0049】磁区拡大再生実験 上記の実施例1の媒体と比較例1の媒体をそれぞれ用い
て、以下の記録条件で微小マークを記録再生し、本発明
の光磁気媒体を用いたほうが大きな再生C/N値を得ら
れることを示す。
【0050】前記の(株)シバソク製評価装置LM52
0を用いて、記録媒体回転線速度10m/sec、記録
デューティ50%で、記録マーク長さは0.6μmであ
った(記録周波数16.7MHz)。
【0051】実施例1の媒体では10mWの記録パワー
で、記録層のみの比較例1の媒体では6mWの記録パワ
ーで記録デューティ50%となった。
【0052】再生信号の評価は、基準となる1mWから
再生パワーを上昇させながら、スペクトラムアナライザ
ーによりC/N値を、オシロスコープにより再生信号振
幅を測定した。
【0053】以下の表1に結果を示す。
【0054】表1の結果から、再生パワーを大きくする
に連れて、再生信号の振幅も上昇することがわかる。し
かしながら、ノイズ成分も大きくなることから、C/N
値は変わらないのが普通である(比較例1の媒体の結果
参照)。しかしながら、本発明の媒体である実施例1の
媒体における結果では、再生パワーを1mWから3mW
まで上昇させたときに、従来の媒体に比ベて再生信号振
幅の上昇が著しい。その結果、再生パワー2.5mWお
よび3mWでは、1mWの時に比ベてC/N値が約3d
B上昇した。
【0055】このように本発明の媒体である実施例1の
媒体を用いて、再生パワー条件を選べば、微小磁区を拡
大し、再生信号振幅を増大させて、より大きなC/値を
得ることが可能なことが分かる。
【0056】
【表1】 磁壁移動層の組成依存性を調べる実験 スパッタ法で、セクターマークを有するポリカーボネイ
ト基板上に、75nmのSiC膜、65nmのGdFe
磁壁移動層、15nmのDyFe中間層、80nmのG
dTbFe記録層、75nmのSiCを積層して、本発
明の記録媒体を2種作製した。すなわち、GdFe磁壁
移動層の組成だけを表2のように変えて、実施例2およ
び3の媒体を作製した。
【0057】また、比較のため、実施例2および3の媒
体と同様の層構成で、面内飽和磁化優位の媒体(比較例
2の媒体)、垂直飽和磁化優位の媒体(比較例3および
4の媒体)および中間層のキュリー温度が記録層のキュ
リー温度と等しい媒体(比較例5の媒体)をそれぞれ作
製した。
【0058】ここで、DyFe中間層は、Dy20Fe
80at%、Feセンス、保磁力1.5K Oe、キュ
リー温度120℃の磁気特性であり、記録層は、Gd1
8Tb8Fe74at%、GdTbセンス、保磁力6K
Oe、キュリー温度200℃の磁気特性であった。
【0059】
【表2】 これらの実施例および比較例の媒体について、前述の実
験方法と同様にして、磁壁移動量測定と磁区拡大再生の
実験を行なった。結果を表3に示す。ここで磁壁移動量
は共に最大となった3.5mWの再生パワーでの値を示
す。磁区拡大再生では最大のC/N値と、このときの再
生パワー値を示す。
【0060】表3に示した結果から、磁壁移動量が大き
く拡大再生が可能な移動層を有する媒体は、面内異方性
磁化成分の割合が、垂直成分に対して10〜100at
%の割合である実施例の媒体に限られることがわかる。
このように、ある程度の面内磁化成分を持つ組成を持つ
組成で移動が大きいのは、再生ビームスポットが形成す
る温度勾配に沿って(基板面垂直から面内方向への傾
斜)磁化が配向できる(基板面内方向に傾斜)ためと考
えられる。
【0061】
【表3】 磁壁移動層の膜厚依存性を調べる実験 スパッタ法で、セクターマークを有するポリカーボネイ
ト基板上に、70nmのAlN膜、移動層としてNdG
dFeCo膜、10nmのGdHoFe中間層、40n
mのDyFeCo記録層、70nmのAlN膜を積層し
て、本発明の記録媒体をいくつか作製した。すなわち、
NdGdFeCo磁壁移動層の膜厚だけを表4のように
変えて実施例4〜10の媒体を作製した。
【0062】なお、移動層NdGdFeCoは、Nd5
Gd15Fe70Co10at%、Feセンス、保磁力
150 Oe、キュリー温度230℃の磁気特性であ
り、中間層GdHoFeは、Gd20Ho7Fe73a
t%、GdHoセンス、保磁力1K Oe、キュリー温
度140℃の磁気特性である。
【0063】記録層DyFeCoは、Dy22Fe66
Co12at%、Feセンス、保磁力8K Oe、キュ
リー温度200℃の磁気特性を示す。
【0064】これら作製媒体について、前述の実験条件
で磁壁移動量測定を行なった。結果を表4に示す。な
お、その表では、デューティ50%で0.6μmのマー
クを記録できるパワー、および再生レーザーパワー3.
5mWでの、前後のマークエッジの位置変化(いずれも
走査再生ビームスポットに近づく方向/前方に移動)を
示す。
【0065】
【表4】 表4に示した結果から、移動層の膜厚を大きくするほ
ど、前・後エッジとも移動量が大きくなることが分か
る。ただし実施例5〜8の媒体では、連続マーク(マー
ク長さ1μm)を記録して、記録ノイズは小さく、C/
N値も48dBを超えたが、移動層厚さが400nm以
上の実施例9〜10は、記録ノイズが大きくなり、C/
N値は40dB以下となった。
【0066】中間層の効果を調ベる実験 スパッタ法で、セクターマークを有するポリカーボネイ
ト基板上に、80nmのAl23膜、移動層として60
nmのGdFeCo層、TbFeCoの中間層を組成お
よび膜厚を変えて設け、次に、70nmのTbFeCo
記録層、80nmのAl23膜を積層して本発明の記録
媒体を作製した(実施例11〜17の媒体)。
【0067】移動層GdFeCoは、Gd20Fe70
Co10at%、Feセンス、保磁力120 Oe、キ
ュリー温度280℃、面内飽和磁化成分の垂直飽和磁化
成分に対する割合は60%であった。記録層TbFeC
oは、Tb25Fe63Co12at%、Tbセンス、
保磁力15K Oe、キュリー温度240℃であった。
【0068】作製ディスクを用いて、前述の磁壁移動測
定の条件で測定実験を行なった。記録パワーは、11m
W、再生パワーは3.5mWであった。結果を表5に示
す。
【0069】
【表5】 表5の結果から、中間層のキュリー温度が低い媒体ほ
ど、同じ再生パワーでの移動量が大きいことが分かる。
中間層厚が50nmと大きい実施例7の媒体では、記録
ノイズが大きくなる。
【0070】また中間層がない実施例11の媒体では、
中間層の有する構成のものに比ベて移動量が小さくなる
ことが分かる。これは移動層が記録層/中間層の界面か
らの交換結合で固定されて動きにくくなるためである。
【0071】再生磁界の効果を調べる実験 以上の移動量の測定時には、磁界を印加しなかった。し
かし磁壁の移動部では磁化の反転が起こっていることか
ら、再生時に磁界印加すれば、その反転を妨げたり、促
進する効果があると考えられる。そこで移動層の垂直異
方性を変えた媒体を作製し、再生時の印加磁界を変化さ
せて、移動量の大きさを測定した。
【0072】記録媒体は次のように作製した。スパッタ
法で、セクターマークを有するポリカーボネイト基板上
に、65nmのSi34膜、各種組成の40nmのGd
Fe移動層(Feセンス、キュリー温度約250℃)、
20nmの膜厚の中間層TbFe(Tb16Fe84a
t%、Feセンス、保磁力2K Oe、キュリー温度1
20℃)、40nmの記録層(Tb10Dy10Fe7
0Co10at%、FeCoセンス、保磁力15K O
e、キュリー温度220℃)、65nmのSi34膜を
設けた(実施例18、20および22の媒体)。また、
中間層がない以外はこれらと同様の媒体も作製した(実
施例19、21および23の媒体)。
【0073】次の表6に、作製媒体の移動層の特性を示
す(組成および磁気異方性)。
【0074】
【表6】 次に、表6に示したいくつかの媒体に再生磁界を印加し
ながら前述の方法および条件で移動量の測定を行なっ
た。記録方向(+)と消去方向(−)の両方向で50
Oeおよび100 Oe、そして磁界なし、という5つ
の条件でその測定を行なった。その結果を表7に示す。
なお測定は、記録パワー11mW、再生パワー3.5m
Wで行なった。
【0075】
【表7】 表7の結果から、移動層の面内異方性が大きい実施例1
8〜21のディスクは、再生磁界の影響が小さいことが
分かる。移動量の大きい実施例20および21では、記
録方向(磁区を広げる方向)に磁界を印加すると移動量
は大きくなる傾向を示した。また中間層のない実施例2
1のディスクでは、磁界印加で移動量が小さくなる傾向
が見られた。
【0076】これを磁壁移動層の垂直磁気異方性と対応
させて整理するとつぎのようになる。
【0077】垂直磁気異方性の大きい移動層(実施例2
2および23の媒体のもの)では、再生磁界が垂直方向
に加えられると、やや面内に傾いて移動した磁壁が、垂
直方向に戻されるので移動量は小さくなる。移動量が大
きい組成(実施例20および21の媒体)でも、中間層
のないもの(実施例21の媒体)は、移動層と記録層界
面が交換結合しているので、磁壁の移動は起こらず、再
生磁界が垂直方向に加わると磁壁は磁性層界面を基準に
垂直方向に配向する。その結果、移動量は小さくなる。
【0078】そこで実際の情報記録に際しては、光ヘッ
ドからの漏れ磁界、記録磁性層からの浮遊磁界などを考
慮して、再生時には実質的に移動層に磁界が印加されな
いようにするとよい。
【0079】次に、上記実施例18〜23の媒体につい
て、磁区拡大再生実験と同様の条件で連続マークの記録
再生実験を行なった(記録マーク長さ0.6μm、記録
パワーはデューティが50%となる7〜11mW、再生
パワーは3.5mW)。同様に再生磁界を変えながら、
C/N値とジッターを測定した。この結果を表8に示
す。
【0080】表8に示した結果から、ジッター値は、い
ずれの媒体とも再生磁界がゼロ付近で最小になっている
ことがわかる。得られるC/N値よりもジッター値の方
が再生磁界による変化が大きいので、再生時のレーザパ
ワー値および印加磁界を変えながら再生信号のジッタ一
値を最小になるよう調整すれば良好な再生を行うことが
できる。
【0081】
【表8】
【0082】
【発明の効果】上述したように、透明基板上に温度勾配
によって磁区の動きやすい移動層および記録層が適宜中
間層を介して積層された本発明の光磁気記録媒体におい
て、移動層の磁気異方性や膜厚などを最適化し、再生時
に再生磁界や再生パワーなどを最適化することで、記録
された微小マークを良好に再生することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光磁気記録媒体の1例の構成を示す模
式的断面図である。
【図2】本発明の光磁気記録媒体の別の例の構成を示す
模式的断面図である。
【図3】本発明および従来の記録媒体における再生レー
ザパワーと記録磁区の移動値の関係を示すグラフであ
る。
【符号の説明】
1 透光性基板(透明基板) 2 第1磁性層(磁壁移動層) 3 第2磁性層(記録層) 4 第3磁性層(中間層)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に少なくとも第1磁性層および第
    2磁性層が積層形成されていて、第1および第2磁性層
    が次の2式、 【数1】Hc1<Hc2 【数2】Tc1>Tc2 (上記式中、Hc1およびHc2はそれぞれ第1磁性層お
    よび第2磁性層の保磁力、Tc1およびTc2はそれぞれ
    第1および第2磁性層のキュリー温度を示す。)の条件
    を満足し、しかも第1磁性層は、基板面内方向の着磁飽
    和磁化の大きさが垂直方向成分に対し10%〜100%
    であって垂直方向および面内方向の2軸異方性を持つこ
    とを特徴とする光磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 第1および第2磁性層の間に下記式の条
    件を満足する第3磁性層が設けられている請求項1記載
    の光磁気記録媒体。 【数3】Tc3<Tc2 (上記式中、Tc3は第3磁性層のキュリー温度を示
    す。)
  3. 【請求項3】 第1磁性層が、希土類−遷移金属合金系
    であって遷移金属の副格子磁化優位である請求項1また
    は2記載の光磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれかに記載の光
    磁気記録媒体を用い、該記録媒体に予め記録されたテス
    トパターンを再生磁界を変えながら再生して信号ジッタ
    ーの最小となる再生磁界を求め、その再生磁界を印加し
    て再生を行う光磁気記録再生方法。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし3のいずれかに記載の光
    磁気記録媒体を用い、該記録媒体に予め記録されたテス
    トパターンを再生磁界を変えながら再生して、第1磁性
    層にかかる磁界が実質的にゼロとなるような再生磁界を
    求め、その再生磁界を印加して再生を行う光磁気記録再
    生方法。
JP9644295A 1995-04-21 1995-04-21 光磁気記録媒体および光磁気記録再生方法 Pending JPH08293135A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9644295A JPH08293135A (ja) 1995-04-21 1995-04-21 光磁気記録媒体および光磁気記録再生方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9644295A JPH08293135A (ja) 1995-04-21 1995-04-21 光磁気記録媒体および光磁気記録再生方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH08293135A true JPH08293135A (ja) 1996-11-05

Family

ID=14165140

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP9644295A Pending JPH08293135A (ja) 1995-04-21 1995-04-21 光磁気記録媒体および光磁気記録再生方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH08293135A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0899727A2 (en) * 1997-09-01 1999-03-03 Canon Kabushiki Kaisha Signal-reproducing method utilizing magnetic domain wall displacement and apparatus therefor
US7092318B2 (en) 2002-01-11 2006-08-15 Victor Company Of Japan, Limited Magneto-optical recording medium having a plurality of magnetic layers
US7126884B2 (en) 2002-01-11 2006-10-24 Victor Company Of Japan, Limited Magneto-optical recording medium having multiple magnetic layers

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0899727A2 (en) * 1997-09-01 1999-03-03 Canon Kabushiki Kaisha Signal-reproducing method utilizing magnetic domain wall displacement and apparatus therefor
EP0899727A3 (en) * 1997-09-01 2000-03-15 Canon Kabushiki Kaisha Signal-reproducing method utilizing magnetic domain wall displacement and apparatus therefor
US6345016B1 (en) 1997-09-01 2002-02-05 Canon Kabushiki Kaisha Signal-reproducing method and apparatus utilizing light beam generated temperature distribution and magnetic domain wall displacement
US7092318B2 (en) 2002-01-11 2006-08-15 Victor Company Of Japan, Limited Magneto-optical recording medium having a plurality of magnetic layers
US7126884B2 (en) 2002-01-11 2006-10-24 Victor Company Of Japan, Limited Magneto-optical recording medium having multiple magnetic layers

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH06290496A (ja) 光磁気記録媒体、再生方法および再生装置
JP3332750B2 (ja) 磁気記録媒体、記録方法、再生方法、及び、磁性記録媒体の製造方法
JP3477384B2 (ja) 光磁気記録媒体
JPH087350A (ja) 光磁気記録媒体およびそれを用いた光磁気記録再生装置
JP3177395B2 (ja) 光磁気記録媒体及びその再生方法
JP3078145B2 (ja) 光磁気記録媒体の製造方法
KR100478684B1 (ko) 자벽이동형 광자기기록매체 및 그 재생방법
JP2000163815A (ja) 光磁気記録媒体及び再生装置並びに再生方法
JP3477386B2 (ja) 光磁気記録媒体及び再生装置
JPH08293135A (ja) 光磁気記録媒体および光磁気記録再生方法
JP3474464B2 (ja) 光磁気記録媒体
JP3412879B2 (ja) 光磁気記録媒体
JPH11195252A (ja) 光磁気記録媒体
JP3424806B2 (ja) 光磁気記録媒体に記録された情報の再生方法
US6770387B2 (en) Magneto-optical recording medium and method of reproducing the same
JP2000173116A (ja) 光磁気記録媒体及び再生装置
JP2001126327A (ja) 光磁気記録媒体
JP3363936B2 (ja) 情報の読み出し方法
JP3079308B2 (ja) 光磁気記録媒体
JP3592399B2 (ja) 光磁気記録媒体
JP2002170292A (ja) 光磁気記録媒体及びその再生方法
JPH08249737A (ja) 光学的記録媒体および再生方法
JPH05182267A (ja) 光磁気記録媒体およびその記録方法
JP2000021036A (ja) 磁性記録媒体およびその再生方法
JPH0536147A (ja) 光磁気記録方法

Legal Events

Date Code Title Description
A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20040303