JPH0828912A - 氷蓄熱装置用冷熱媒 - Google Patents

氷蓄熱装置用冷熱媒

Info

Publication number
JPH0828912A
JPH0828912A JP16765494A JP16765494A JPH0828912A JP H0828912 A JPH0828912 A JP H0828912A JP 16765494 A JP16765494 A JP 16765494A JP 16765494 A JP16765494 A JP 16765494A JP H0828912 A JPH0828912 A JP H0828912A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ice
water
cooling
heating medium
heat storage
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP16765494A
Other languages
English (en)
Inventor
Tetsuo Kawagoe
哲男 川越
Takao Chiba
孝男 千葉
Yutaka Horie
豊 堀江
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shin Nippon Kucho KK
Momentive Performance Materials Japan LLC
Original Assignee
Shin Nippon Kucho KK
Toshiba Silicone Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shin Nippon Kucho KK, Toshiba Silicone Co Ltd filed Critical Shin Nippon Kucho KK
Priority to JP16765494A priority Critical patent/JPH0828912A/ja
Publication of JPH0828912A publication Critical patent/JPH0828912A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【構成】 25℃における粘度が20〜500cSt で、
−20℃においても液状のシリコーンオイルおよび水を
含有することを特徴とする氷蓄熱装置用冷熱媒;上記の
シリコーンオイルと界面活性剤からなる氷蓄熱式冷熱媒
用添加剤;ならびに上記の冷熱媒を冷却してシリコーン
オイルと氷粒の混合物とし、この混合物を循環させて潜
熱輸送を行うことを特徴とする氷蓄熱システム。 【効果】 低温でも柔らかいシャーベット状の氷を含
む、流動性の優れた冷熱媒を得ることができ、熱搬送能
力を高めて、氷の潜熱を利用した熱交換を容易に行うこ
とが可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、氷蓄熱装置用冷熱媒に
関し、さらに詳細には、空調用蓄熱装置やエネルギー供
給センターに用いられる氷蓄熱装置用冷熱媒に関する。
また本発明は、氷蓄熱式冷熱媒用添加剤、および氷によ
る蓄熱を応用した潜熱輸送方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、蓄熱式冷却方法は、低廉な深夜
電力を利用することを目的としたものであり、深夜電力
で冷凍機を駆動して蓄熱槽内の水を氷の状態で蓄熱して
おき、この氷との熱交換によって冷却された冷熱媒を、
必要に応じて熱交換器に送って、目的物を冷却する方法
である。従来法は、冷熱媒として、蓄熱槽内で形成され
た氷から解けた水、あるいはその氷と熱交換された水ま
たはブラインを使用していたため、目的物に対しては顕
熱交換しか利用されておらず、氷の有する潜熱が有効に
活用されていなかった。
【0003】そこで、冷熱媒である水の中に微粒子状の
氷を混合して搬送管中に流すことができれば、氷の融解
潜熱によって、一定の熱量を送るのに輸送管の径を小さ
くでき、熱搬送動力も小さくすることができるなどの利
点が考えられ、これまでに、氷の粒子を、たとえばシャ
ーベット状に微細化して搬送管中に流すことなどが検討
されている。しかしながら、いったん微細化した氷どう
しが管路中で結合して氷塊となり、管路を閉塞するとい
う問題があった。さらに、氷と水の比重の違いによっ
て、氷を均一に流すことができないという問題もあっ
た。
【0004】このため、吸水膨潤させた、ポリアクリル
酸のようなポリマーを不凍液に混入し、低温でポリマー
中に存在する水を氷結させることにより、氷どうしの結
合を防止し、良好な流動性を得る技術が提案されている
(特開平4−64839号公報、特開平4−36633
3号公報)。しかしながら、ここに用いられるポリマー
は、エチレングリコール水溶液や塩化カルシウム水溶液
などの電解質系の不凍液に対して、浸透圧により吸水し
た水を放出して不凍液を吸収する傾向があるため、ポリ
マーの吸水量が変化するという問題がある。
【0005】その対策として、ポリマーの表面に保護膜
を作り電解質の浸透を防ぐ方法、または不凍液に油のよ
うな疎水性ブラインを用いる方法が提案されている(特
開平4−64839号公報)。しかし、良好な吸水性を
損なうことなく、ポリマー表面に保護膜を形成する技術
は十分に確立されておらず、また不凍液に油を用いた場
合は、一般に油が不活性であり、また吸水膨潤状のポリ
マー表面も不活性であるため、ポリマー相互に凝集力が
作用して結合したり、さらには蓄熱槽内や管路中に固着
するなどの不具合が生じる。したがって、ポリマー中の
水が結氷しても、鎖状につながった氷または蓄熱槽内や
管路中に固着した氷となり、冷熱媒として望ましい流動
性の良好なシャーベット状の氷は得難い。
【0006】また、氷蓄熱槽の貯水槽内に、比重が水の
1.5倍以上、凝固点が−20℃以下で、水に不溶解な
冷却媒体、たとえばフロリナート(住友スリーエム
(株)製、商品名)のようなフッ素含有不活性液体を、
0℃以下で氷蓄熱槽の底部に貯蔵し、この冷却媒体を蓄
熱槽の上部から散布し、蓄熱槽内に循環させることによ
り氷を析出させることを特徴とした氷蓄熱装置が知られ
ている(特開平4−190028号公報、特開平4−3
13658号公報)。
【0007】これらには、蓄熱槽内において、あるいは
蓄熱槽とは別置の製氷器内において、水と該不活性液体
との接触混合による熱交換により氷を析出させることが
示されている。しかしながら、この場合に冷凍機で直接
冷却されるのは不活性液体のみであり、また目的物を冷
却するには氷蓄熱槽で冷却された水を使用することが示
唆されるのみである。このようなシステムの場合、目的
物との熱交換には、単に顕熱を利用するのみで、潜熱は
利用されていない。したがって、従来の方法に比べて、
一定熱量を送るのに搬送管を小さくすることは難しく、
また、より大きい熱量を伝達するためには、熱交換機の
伝熱面積も大きくせざるを得ないという問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする問題点】本発明は、上記のよ
うな問題を解決するためになされたもので、冷却した場
合に氷結を起こさない流動性の良好なシャーベット状の
氷を作り、この潜熱を利用して冷熱輸送量を増大し、冷
熱輸送効率、経済性を高める氷蓄熱装置用冷熱媒、冷熱
媒用添加剤、および氷蓄熱による潜熱輸送を行う方法を
提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、25℃にお
ける粘度が20〜500cSt であり、かつ低温まで液状
を保つシリコーンオイルと水を含む混合物を冷熱媒とす
ることにより、冷却した場合に氷結を起こさない、流動
性の良好なシャーベット状の氷が得られ、氷蓄熱装置の
循環用冷熱媒として有用であることを見出し、本発明を
完成するに至った。
【0010】すなわち、本発明の氷蓄熱装置用冷熱媒
は、25℃における粘度が20〜500cSt であり、か
つ高くとも−20℃の低温において液状であるシリコー
ンオイルと水を含有し、冷却した場合にシャーベット状
の氷を形成しうる冷熱媒である。
【0011】本発明において使用されるシリコーンオイ
ルは、25℃における粘度が20〜500cSt の液状の
もので、かつ−20℃の低温において液状のものであ
る。相互に相溶性で、混合後の粘度がこの範囲内にあれ
ば、種類や粘度の異なる2種類以上のシリコーンオイル
を混合して使用してもよい。
【0012】上記のシリコーンオイルは、平均単位式: Ra SiO(4-a)/2 (式中、Rは置換または非置換の1価の炭化水素基を表
し、aは1.9〜2.4の数である)で示されるポリオ
ルガノシロキサンである。Rとしては、メチル、エチ
ル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル、デシル、
ドデシルなどのアルキル基;シクロヘキシル、シクロオ
クチルなどのシクロアルキル基;フェニル、トリルなど
のアリール基;ビニル、アリル、プロペニルなどのアル
ケニル基;およびこれらの基の炭素に結合した水素原子
の一部または全部がハロゲン原子、アミノ基、シアノ
基、水酸基、アルコキシル基、エポキシ基、カルボキシ
ル基、アルコキシカルボニル基、メルカプト基などで置
換された基、たとえばクロロメチル、3,3,3−トリ
フルオロプロピル、シアノプロピルなどが例示され、ア
ルキル基、アリール基、およびフルオロアルキル基が好
ましく、メチル、フェニル基、および3,3,3−トリ
フルオロプロピル基が特に好ましい。
【0013】そのシロキサン骨格構造は直鎖状、環状、
分岐状のいずれでもよいが、−20℃の低温から、室温
以上の広範囲の温度範囲にわたって良好な流動性を示す
オイル状のものが得やすいことから、直鎖状のものが好
ましく、上記の平均単位式のaの値は、通常、1.9〜
2.4であり、好ましくは1.95〜2.2である。
【0014】このようなポリオルガノシロキサンとして
は、ポリメチルシロキサン、ポリエチルシロキサン、ポ
リメチルフェニルシロキサン、ポリメチルヘキシルシロ
キサン、ポリメチル−3,3,3−トリフルオロプロピ
ルシロキサン、ポリメチルヘキシルシロキサン、ポリメ
チルオクチルシロキサンなどが例示され、ケイ素原子に
複数のRが結合している場合は、それらのRは任意のケ
イ素原子に結合していて差支えない。低温から高温に至
る広範囲の温度で液状を保ち、温度による粘度の変化が
小さく、かつ表面張力が小さいことから、一般には分子
中のRの90%以上がメチル基であることが好ましく、
100%がメチル基であるポリメチルシロキサンが特に
好ましいが、−45℃以下の低温で使用する場合には、
フェニル基のような巨大な基を5〜9モル%有すること
が好ましい。
【0015】シリコーンオイルの粘度は、揮発性が低
く、引火点が高いので安全上有利であり、また、流動性
に優れて搬送動力が少なくて済み、熱伝達率が良好であ
ることから、前述のように、25℃において20〜50
0cSt であり、好ましくは50〜100cSt である。2
0cSt 未満では揮発性があって引火点が低く、また50
0cSt を越えると必要な搬送動力が大きく、熱伝達率が
低下する。さらに、シリコーンオイルはその分子構造に
よって低温における特性が異なるが、高くとも−20℃
までの低温において液状を保つことが、低温蓄熱を必要
とする用途において必要である。
【0016】冷熱媒の成分としてシリコーンオイルを使
用した場合は、シリコーンオイルの表面張力が低く、そ
のため生成する氷の粒子の表面上を良好に覆うため、シ
リコーンオイルが良好な潤滑剤となり、氷粒子どうしや
氷粒子と循環路の管路との間の摩擦を低減したり、管路
への氷の付着や氷塊の形成を防止するという特徴があ
る。またシリコーンオイルは化学的に安定なので取扱い
上安全であり、また金属やプラスチックなどを腐食する
ことがないので、装置や配管の耐久性を損なうことがな
いという特徴がある。また、上記の選択範囲のシリコー
ンオイルは凝固点が低く、−20℃ないしそれ以下の低
温まで冷却が可能であり、低温での粘度上昇も小さく、
流動性などの特性の低下も小さいため、より低温での蓄
熱が可能となる。さらにその比重が氷とほぼ同一である
ので、均一な組成の冷熱媒が得られるという特徴があ
る。
【0017】特にシリコーンオイルの粘度を20〜50
0cSt の範囲に選択することにより、低温領域において
氷が柔らかいシャーベット状を良好に保ち、冷熱媒の流
動性が優れているという特徴がある。
【0018】本発明の氷蓄熱装置用冷熱媒に使用する水
は、蒸留水、イオン交換水あるいは水道水など特に限定
されないが、水の凝固点を著しく降下させる不純物を含
有しないものが好ましい。これは氷点(凝固点)が低す
ぎると氷結させるための冷凍機の負荷が大きくなり、不
利となるためである。氷点は−5℃以上が好ましく、−
1℃以上がさらに好ましい。
【0019】水の配合量は、氷の潜熱による熱交換が有
効に行われ、また水が結氷した場合の冷熱媒の流動性を
良好なものに保持するために、シリコーンオイル100
重量部に対して10〜200重量部が好ましく、30〜
150重量部が特に好ましい。10重量部未満では氷の
潜熱による熱交換が不十分であり、200重量部以上で
は、氷を形成したときの流動性が悪くなる。
【0020】本発明の冷熱媒に、シリコーンオイルと水
のほかに、本発明の特徴を損なわない範囲で、その他の
成分を配合することができる。その場合、冷熱媒中の水
の配合割合は、これらの成分の配合量によっても変化す
るが、一般に冷熱媒中の水の配合割合は、熱交換の効率
や結氷した状態の冷熱媒の流動性の観点から、10〜6
0重量%が好ましく、30〜50重量%が特に好まし
い。
【0021】本発明の冷熱媒に、水が結氷した状態の流
動性を向上させる目的で、さらに界面活性剤を使用する
のが好ましい。
【0022】このような界面活性剤としては、アルキル
硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、
N−アシルメチルタウリン塩、ポリオキシエチレンアル
キルエーテル酢酸塩、アルキルスルホカルボン酸塩、ア
ルキルリン酸塩などのアニオン系界面活性剤;ソルビタ
ン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグ
リセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリ
ン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリコール脂肪
酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポ
リオキシエチレンアルキルフェニルエーテルなどのノニ
オン系界面活性剤;アルキルアンモニウム塩、アルキル
ベンジルアンモニウム塩などのカチオン系界面活性剤;
ポリオキシエチレン−ポリジメチルシロキサン共重合体
などのシリコーン系界面活性剤;C817CO2 NH
4 、C1021SO3 Na、C817SO2 NH(C2
4 O)20Hなどのフッ素系界面活性剤などが例示され
る。
【0023】界面活性剤の使用量は、粒子径の小さなシ
ャーベット状の氷が得やすく、結氷時の冷熱媒の流動性
を良好なものにできることから、シリコーンオイル10
0重量部に対して、0.01〜20重量部が好ましく、
0.01〜5重量部が特に好ましい。0.01重量部未
満では粒子径の小さなシャーベット状の氷が得にくく、
20重量部を越えると、逆に結氷時の冷熱媒の流動性を
損ねることがある。
【0024】以上を総合して、本発明における冷熱媒の
特に好ましい組成例は、シリコーンオイル、水および界
面活性剤を含む混合物であり、たとえば次のような混合
物が例示される。 シリコーンオイル 100重量部 界面活性剤 0.01〜20重量部 水 10〜200重量部
【0025】なお、本発明の冷熱媒には、本発明の特徴
を損なわない範囲で、各種の添加剤をさらに配合するこ
とができる。このような添加剤としては、冷熱媒の耐久
性を向上させる目的で配合される次亜塩素酸ナトリウ
ム、ソルビン酸、イソチアゾリン系化合物などの防腐
剤;およびトリエタノールアミン、キレート剤などの防
錆剤が例示される。
【0026】また、冷熱媒の含水率を上げる目的で、各
種の吸水性物質・保水性物質を配合することもできる。
このような吸水性物質としては、デンプン系、セルロー
ス系、多糖類などの天然高分子類のカルボキシメチル化
物;これらの天然高分子類とアクリロニトリル、アクリ
ル酸などとのグラフトポリマー;およびポリビニルアル
コール系、ポリアクリル酸塩系、ポリアクリルアミド
系、ポリオキシエチレン系などの非水溶性の合成高分子
類;また保水性物質としては、無機系ではカーボンブラ
ックのような微粉炭など、天然または合成繊維では、そ
の断面がリング状あるいは凹凸状で、保水性のある繊維
チップなどが例示される。
【0027】本発明において吸水性物質を配合する場合
は、粉末状のものを使用することが好ましい。粉末の形
状としては、無定型粉末状、球形粒状、リン片状、短繊
維状などが例示されるが、得られる冷熱媒の流動性が良
好なことから、無定型粉末状または球形粒状がより好ま
しく、球形粒状が特に好ましい。また粉末の平均粒子径
としては、10〜1,000μm のものを使用するのが
好ましい。
【0028】本発明の冷熱媒に使用するシリコーンオイ
ルに吸水性物質を併用する場合、一般の有機オイルと吸
水性物質との併用と比べて、吸水性高分子化合物の吸水
性が低下することがなく、また吸水した吸水性高分子化
合物を結氷させても、たがいに結合したり、この結合が
管路中で起こって管路の閉塞に至るなどの問題がないと
いう特徴がある。それゆえ、良好な流動性を有する冷熱
媒が得られ、さらに界面活性剤を併用することにより、
この特徴が優れたものとなるほか、冷熱媒組成物中の粒
状の吸水性高分子化合物の分散性を良好なものとでき
る。吸収性高分子化合物を併用する場合の配合量は、シ
ャーベット状の均一な組成の冷熱媒が得られ、また吸水
した吸水性高分子化合物が結氷した場合でも良好な流動
性が得られることから、シリコーンオイル100重量部
に対して、吸水性高分子化合物の乾燥重量として0.1
〜50重量部が好ましく、5〜20重量部が特に好まし
い。0.1重量部未満では吸水性高分子化合物を配合す
る効果がなく、50重量部を越えると、結氷した際に良
好な流動性が得られない。
【0029】また、吸水性高分子化合物としてポリアク
リル酸塩系などのイオン性ポリマーを用いる場合は、高
い吸水倍率が得られるが、一般に吸水倍率が高いと膨潤
度が高まり、吸水性高分子中の水が結氷した場合に多孔
質の氷になりやすく、その結果、シリコーンオイルが氷
に吸収されて流動性が低下することがある。この場合
は、吸水倍率を100倍以下のものとすることによって
多孔質の氷の生成を抑えることにより、冷熱媒の流動性
を良好なものとできる。好ましくは吸水倍率が10〜5
0倍のものを使用するのがよい。また吸水性高分子化合
物としてポリエチレングリコールを使用した場合でも、
同様な傾向がある。
【0030】本発明の氷蓄熱装置用冷熱媒には、本発明
の特徴を損なわない範囲で、各種の鉱油、合成油などを
配合することができる。鉱油としては、パラフィン系、
ナフテン系、芳香族系、オレフィン系およびこれらの混
合物を主成分とするものが例示され;また合成油として
は、各種の炭化水素油、フッ素化炭化水素油などが例示
される。
【0031】本発明の氷蓄熱装置用冷熱媒は、各成分を
氷蓄熱装置の氷蓄熱槽に加えることにより調製できる
が、あらかじめ別の容器で混合させてから加えてもよ
い。シリコーンオイルと水を混合しただけでは一般に分
離しやすいが、装置内で冷熱媒を循環させて結氷させる
ことにより、得られる氷粒を分散状態とすることが可能
であり、特に界面活性剤を加えることにより、良好な分
散状態が得られるようになる。装置内で循環させたとき
に、熱交換器、搬送管、ポンプなどを通過する際に流体
摩擦応力を受けて、冷熱媒を分散状態とすることができ
るが、必要ならば、あらかじめ氷蓄熱装置の運転前に、
あるいは運転と平行して、振とう、撹拌、エアーバブリ
ングなどの方法で分散させたり;コロイドミル、ホモジ
ナイザー、ホモミキサー、超音波乳化機などの乳化装置
を用いて分散させてもよい。装置内で冷熱媒を冷凍機で
冷却する段階で水が微粒子状に分散していればよく、そ
のため、冷凍機の直前に上記の分散・乳化装置を設置す
ることが好ましい。冷凍機で冷却する段階での水の粒子
が大きいと、得られる氷粒含有冷熱媒を装置内で循環さ
せる場合に閉塞が起きやすく、また小さすぎると流動性
が悪くなる。そのため、装置の大きさなどによって異な
るが、一般に得られる氷粒の平均粒子径が0.1〜5mm
となるように、水を分散させることが好ましい。
【0032】一般に本発明の冷熱媒の成分である水は入
手しやすい成分である。そのため、水とその他の成分を
別けて取り扱い、これらを氷蓄熱装置の設置された現場
で混合することが、取扱い上有利な場合もある。このよ
うな場合には、水以外の成分を冷熱媒用の添加剤として
調製し、氷蓄熱装置の設置された現場で水に配合し、冷
熱媒を調製するのが好ましい。
【0033】その場合、シリコーンオイルに界面活性剤
を配合したものを、冷熱媒用の添加剤とすることが特に
好ましい。すなわち、本発明の氷蓄熱式冷熱媒用添加剤
は、25℃における粘度が20〜500cSt であり、か
つ高くとも−20℃の低温において液状であるシリコー
ンオイルと界面活性剤からなることを特徴とする。界面
活性剤の好ましい配合量は、シリコーンオイル100重
量部に対して、上述と同様の理由で0.01〜20重量
部である。
【0034】シリコーンオイルと界面活性剤の混合物
は、一般に均質で、時間の経過による分離のない混合物
とすることができる。さらに、水を加えないため、混合
物の粘度変化や菌などの発生による変質を抑えることが
できるため、保存安定性が良好であり、また保管スペー
スも少なくて済み、長期保存も可能となるので、取扱い
上有利である。
【0035】本発明の氷蓄熱方法は、上述のような、2
5℃における粘度が20〜500cSt であり、かつ高く
とも−20℃の低温において液状であるシリコーンオイ
ルおよび水を含む冷熱媒を冷却してシャーベット状の氷
粒を形成し、これを循環させて潜熱輸送を行うことを特
徴とする。
【0036】図1に、本発明の冷熱媒を使用した氷蓄熱
式冷却システムを示す。このシステムは、冷凍機装置
1、蓄熱装置10および冷熱供給装置20で構成されて
おり、冷凍機装置1は圧縮機2、凝縮機3、冷却塔4、
膨張弁5、熱交換器6およびこれらを接続する管路7、
8からなり;蓄熱装置10は熱交換器6、蓄熱槽11、
循環ポンプ12およびこれらを接続する管路13からな
り;また冷熱供給装置20は蓄熱槽11、循環ポンプ2
1、冷房負荷22およびこれらを接続する管路23から
なっている。このシステムにおいて、冷熱媒Aは管路1
3、23を循環する。また本発明においては、結氷した
冷熱媒は蓄熱装置の管路13にのみ循環させ、冷熱供給
装置の管路23には蓄熱槽内で熱交換を行って、他の熱
媒、たとえば水またはブラインを循環させるという方法
を用いてもよい。
【0037】
【発明の効果】本発明によって、特定の粘度範囲と低温
特性のシリコーンオイルを使用することにより、低温に
おいて氷が柔らかいシャーベット状を保って、冷熱媒の
流動性が優れ、氷を含有した冷熱媒を氷蓄熱装置内に良
好に循環させることができ、氷どうしの結合などによ
る、搬送管内における閉塞・固着なども生じない。ま
た、氷の潜熱を利用した熱交換が容易となるため、熱搬
送能力を効率的に高めることができ、あるいは搬送管を
小径化できるため搬送動力を小さくできるなどの特徴を
有する。また吸水性ポリマーを併用する場合でも、本発
明の冷熱媒組成物では、ポリマーの吸水性の低下、ポリ
マーどうしの結合、ポリマーの搬送管内での固着もな
く、良好な循環が可能となる。さらに、シリコーンオイ
ルは凝固点が低く、低温における潤滑特性の低下が小さ
いことから、より低温でも冷熱媒として使用することが
でき、蓄熱容量や熱搬送能力を高めることができる。
【0038】したがって、本発明の氷蓄熱装置用冷熱媒
や、それを用いる氷蓄熱システムは、エネルギー供給設
備、建物などの空調設備、食品製造プロセスの冷却設
備、農産物の予冷・保管のための冷却設備などに有用で
ある。
【0039】
【実施例】以下、実施例および比較例を挙げ、本発明を
さらに詳しく説明する。なお、これらの実施例および比
較例中の「部」は「重量部」を表し、「%」は「重量
%」を表す。本発明は、これらの実施例によって限定さ
れるものではない。
【0040】実施例1 25℃における粘度が50cSt のポリジメチルシロキサ
ン100部、牛脂アシルメチルタウリンナトリウム0.
7部および水43.2部を撹拌混合して、冷熱媒を調製
した。これを図1の装置を用いて循環させて流動性を評
価した。測定は25℃、0℃および−5℃で行い、−5
℃の場合は得られた氷の状態も評価した。結果を表1に
示す。
【0041】実施例2 25℃における粘度が100cSt で、フェニル基含有量
が全有機基の8モル%のポリメチルフェニルシロキサン
100部、牛脂アシルメチルタウリンナトリウム0.3
6部および水43.0部を実施例1と同様に混合して、
冷熱媒を調製した。これを実施例1と同様に評価した。
結果を表1に示す。
【0042】実施例3 25℃における粘度が200cSt で、オクチル基含有量
が全有機基の10モル%のポリメチルオクチルシロキサ
ン100部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム
0.36部および水43.0部を実施例1と同様に混合
して、冷熱媒を調製した。これを実施例1と同様に評価
した。結果を表1に示す。
【0043】実施例4 25℃における粘度が100cSt のポリジメチルシロキ
サン100部および水25.0部をコロイドミルで混合
して、冷熱媒を調製した。これを実施例1と同様に評価
した。結果を表1に示す。
【0044】実施例5 25℃における粘度が100cSt のポリジメチルシロキ
サン100部、ポリオキシエチレン(20)オクチルフ
ェニルエーテル0.7部および水43.2部を実施例1
と同様に混合して、冷熱媒を調製した。これを実施例1
と同様に評価した。結果を表1に示す。
【0045】実施例6 25℃における粘度が50cSt のポリジメチルシロキサ
ン100部と牛脂アシルメチルタウリンナトリウム0.
7部とを混合撹拌して均一にし、混合液を調製した。得
られた混合液100.7部、水43.2部およびポリア
クリル酸塩系の吸水性高分子(日本触媒化学工業(株)
製、商品名、アクアリックCA)10部を、図1の装置
の蓄熱槽に配合し、装置内を循環させて均一とした。こ
れを実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
【0046】比較例1 シリコーンオイルとして、25℃における粘度が5cSt
のポリジメチルシロキサンを使用したほかは実施例1と
同様に混合して、冷熱媒を調製した。これを実施例1と
同様に評価した。結果を表1に示す。
【0047】比較例2 シリコーンオイルとして、25℃における粘度が2,0
00cSt のポリジメチルシロキサンを使用したほかは実
施例1と同様に混合して、冷熱媒を調製した。これを実
施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
【0048】比較例3 シリコーンオイルの代わりにエチレングリコールを使用
したほかは実施例1と同様に混合して、冷熱媒を調製し
た。これを実施例1と同様に評価した。結果は表1に示
すように、氷結しないので、氷の潜熱を利用できない状
態であった。
【0049】比較例4 シリコーンオイルの代わりに1,2,3−トリクロロプ
ロパンを使用したほかは実施例1と同様に混合して、冷
熱媒を調製した。これを実施例1と同様に評価した。結
果を表1に示す。
【0050】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の冷熱媒を使用した氷蓄熱装置の一例を
示す概念図である。
【符号の説明】
A 冷熱媒 1 冷凍機装置 2 圧縮機 3 凝縮機 4 冷却塔 5 膨張弁 6 熱交換器 7 管路 8 管路 10 蓄熱装置 11 蓄熱槽 12 循環ポンプ 13 管路 20 冷熱供給装置 21 循環ポンプ 22 冷房負荷 23 管路
フロントページの続き (72)発明者 千葉 孝男 東京都中央区日本橋本石町4丁目4番20号 三井第2別館 新日本空調株式会社内 (72)発明者 堀江 豊 東京都港区六本木6丁目2番31号 東芝シ リコーン株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 25℃における粘度が20〜500cSt
    であり、かつ高くとも−20℃の低温において液状であ
    るシリコーンオイルと水を含有し、冷却した場合にシャ
    ーベット状の氷を形成しうる氷蓄熱装置用冷熱媒。
  2. 【請求項2】 さらに界面活性剤を含む請求項1記載の
    氷蓄熱装置用冷熱媒。
  3. 【請求項3】 冷熱媒が、シリコーンオイル100重量
    部、界面活性剤0.01〜20重量部および水10〜2
    00重量部を含む請求項2記載の氷蓄熱装置用冷熱媒。
  4. 【請求項4】 25℃における粘度が20〜500cSt
    であり、かつ高くとも−20℃の低温において液状であ
    るシリコーンオイルと界面活性剤からなる氷蓄熱式冷熱
    媒用添加剤。
  5. 【請求項5】 25℃における粘度が20〜500cSt
    であり、かつ高くとも−20℃の低温において液状であ
    るシリコーンオイルと水を含む混合物からなる冷熱媒を
    冷却してシャーベット状の氷を形成し、これを循環させ
    て潜熱輸送を行うことを特徴とする氷蓄熱方法。
JP16765494A 1994-07-20 1994-07-20 氷蓄熱装置用冷熱媒 Withdrawn JPH0828912A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP16765494A JPH0828912A (ja) 1994-07-20 1994-07-20 氷蓄熱装置用冷熱媒

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP16765494A JPH0828912A (ja) 1994-07-20 1994-07-20 氷蓄熱装置用冷熱媒

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0828912A true JPH0828912A (ja) 1996-02-02

Family

ID=15853771

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP16765494A Withdrawn JPH0828912A (ja) 1994-07-20 1994-07-20 氷蓄熱装置用冷熱媒

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0828912A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0856393A (ja) * 1995-07-24 1996-02-27 Hitachi Ltd プラント制御方法及び装置
JP2001131538A (ja) * 1999-10-29 2001-05-15 Toho Chem Ind Co Ltd 高密度冷熱蓄熱輸送用組成物
US6430957B1 (en) 1999-05-25 2002-08-13 Agency Of Industrial Science & Technology Ministry Of International Trade & Industry Method and apparatus for thermal transportation using polyvinyl alcohol
JP2004294055A (ja) * 2004-05-07 2004-10-21 Tama Tlo Kk 氷蓄熱装置
JP2010127505A (ja) * 2008-11-26 2010-06-10 Keio Gijuku 水和物生成方法と蓄熱材及び蓄熱装置

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0856393A (ja) * 1995-07-24 1996-02-27 Hitachi Ltd プラント制御方法及び装置
US6430957B1 (en) 1999-05-25 2002-08-13 Agency Of Industrial Science & Technology Ministry Of International Trade & Industry Method and apparatus for thermal transportation using polyvinyl alcohol
JP2001131538A (ja) * 1999-10-29 2001-05-15 Toho Chem Ind Co Ltd 高密度冷熱蓄熱輸送用組成物
JP4627578B2 (ja) * 1999-10-29 2011-02-09 東邦化学工業株式会社 高密度冷熱蓄熱輸送用組成物
JP2004294055A (ja) * 2004-05-07 2004-10-21 Tama Tlo Kk 氷蓄熱装置
JP2010127505A (ja) * 2008-11-26 2010-06-10 Keio Gijuku 水和物生成方法と蓄熱材及び蓄熱装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6432320B1 (en) Refrigerant and heat transfer fluid additive
US20040069454A1 (en) Composition for enhancing thermal conductivity of a heat transfer medium and method of use thereof
ES2958625T3 (es) Composición lubricante y método para la preparación de la misma
WO2003060035A1 (en) Composition for enhancing thermal conductivity of a heat transfer medium and method of use thereof
US20230348771A1 (en) Heat transfer mixture
JPH0828912A (ja) 氷蓄熱装置用冷熱媒
CA2303496C (en) Method and apparatus for thermal transportation using polyvinyl alcohol
RU2579786C1 (ru) Охлаждающая композиция для двигателя внутреннего сгорания и способ эксплуатации двигателя внутреннего сгорания
KR0142138B1 (ko) 얼음-저장 시스템용 냉열매
JP2004307772A (ja) 潜熱蓄冷熱共晶体組成物
US11753570B2 (en) Heat transfer mixture
JPH10110161A (ja) 氷蓄熱装置用冷熱媒
JP5584395B2 (ja) パラフィン系蓄熱材組成物
JPH07126614A (ja) 潜熱型蓄熱材料
JP2004143229A (ja) 潜熱蓄熱剤組成物
Modak et al. Agglomeration control of ice particles in ice-water slurry system using surfactant additives
JPH09194817A (ja) 熱媒体と熱媒体循環システム
JP7334691B2 (ja) 非水冷却液組成物及び冷却システム
JPH06271841A (ja) 氷蓄熱装置用冷熱媒
JP2007204517A (ja) 蓄熱材、蓄熱装置、ヒートポンプシステム、ソーラーシステム
JPH11158459A (ja) 熱媒体
RU2814501C2 (ru) Многокомпонентная охлаждающая наножидкость
JPH0464839A (ja) 蓄熱式冷却方法
JP2004067986A (ja) 潜熱蓄熱材及びその製造方法
JPH10183109A (ja) ブライン組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20011002