JPH08287422A - 磁気抵抗効果型ヘッド - Google Patents

磁気抵抗効果型ヘッド

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JPH08287422A
JPH08287422A JP7108122A JP10812295A JPH08287422A JP H08287422 A JPH08287422 A JP H08287422A JP 7108122 A JP7108122 A JP 7108122A JP 10812295 A JP10812295 A JP 10812295A JP H08287422 A JPH08287422 A JP H08287422A
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JP
Japan
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layer
soft magnetic
concentration
magnetostriction
magnetic layer
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JP7108122A
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Masaji Saito
正路 斎藤
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Alps Alpine Co Ltd
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Alps Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 軟磁性層、非磁性層、磁気抵抗効果層の三層
素子を有する磁気抵抗効果型ヘッドにおいて、軟磁性層
のハイト方向への磁化飽和を安定させ、バルクハウゼン
ノイズを低減する。 【構成】 磁気抵抗効果層4cに横バイアス磁界を与え
る軟磁性層4aを、Co−Fe−Taのアモルファス磁
性材料により形成する。このアモルファス磁性材料で
は、Y方向(ハイト方向)に誘導異方性を付与しやす
く、また磁気抵抗変化率(Δρ/ρ)が小さく、ハイト
方向への磁化が安定して、バルクハウゼンノイズを低減
できるものとなる。アモルファス元素であるTaは磁歪
をマイナス側とするが、Feは磁歪をプラス側とする元
素であるため、Feの濃度を選択することにより軟磁性
層の磁歪を調整でき、逆磁歪効果によりハイト方向の磁
化が不安定となるのを防止できるようになる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気抵抗効果を利用し
て磁気を検出するヘッドに係り、特に軟磁性層(SAL
層)の特性を改善し、バルクハウゼンノイズを低減した
磁気抵抗効果型ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】記録媒体からの洩れ磁界などの磁界検出
に使用される磁気抵抗効果型ヘッドでは、図10に示す
ように、軟磁性層(SAL層)4a、非磁性層(SHU
NT層)4b、磁気抵抗効果層(MR層)4cが積層さ
れた三層素子4が使用される。通常、磁気抵抗効果層4
cはFe−Ni系合金(パーマロイ)の層、非磁性層4
bはタンタル(Ta)の層であり、また軟磁性層4a
は、Ni−Fe−Nb系合金により形成される。
【0003】この三層素子4には、縦バイアス層が接続
される。縦バイアス層はハードバイアス層またはエクス
チェンジバイアス層であり、縦バイアス層から磁気抵抗
効果層4cにX方向への縦バイアス磁界が与えられる。
また磁気抵抗効果層4cに電流が与えられると、磁気抵
抗効果層4cからの磁界により軟磁性層4aがハイト方
向(Y方向;検出しようとする磁界の方向と同じ方向)
に磁化され、この磁化により磁気抵抗効果層4cに横バ
イアス磁界が与えられる。この横バイアス磁界と前記縦
バイアス磁界が与えられると、磁気抵抗効果層4cの磁
区方向が図10に示す方向に設定され、磁気抵抗効果素
子4cにて検出しようとする磁界の強度と抵抗値の変化
とが直線性を有するものとなる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記三層素子4のうち
の軟磁性層4aに必要とされる条件を以下に列記する。 軟磁性層4a内の膜応力の方向が不均一な場合、磁歪
λsが大きいと、逆磁歪効果により軟磁性層4aがハイ
ト方向(Y方向)に飽和しきれなくなってバルクハウゼ
ンノイズの原因になる。また軟磁性層4a内の膜応力が
均一な場合、例えば、ハイト方向に引っ張り応力になっ
ているときには、磁歪は、プラスに設定することが望ま
しい。磁歪がプラスで、膜応力がハイト方向への引っ張
り応力となっていると、軟磁性層4aの磁化がハイト方
向へ十分に飽和する。
【0005】比抵抗ρはできるだけ大きいことが必要
である。軟磁性層4aの比抵抗ρが低いと、磁気抵抗効
果素子4cに与えられるべき検出電流が軟磁性層4aに
分流しやすくなり、磁気抵抗効果素子4cでの磁気検出
出力が低下する。
【0006】磁気抵抗変化率(Δρ/ρ)は小さい方
が好ましい。(Δρ/ρ)が大きいと、検出すべきY方
向への外部磁界により、軟磁性層4aのハイト方向の磁
化が不安定になり、バルクハウゼンノイズが大きくな
る。
【0007】飽和磁化Bsは1.0T(テスラ)以下
であることが好ましい。すなわち、軟磁性層4aにて飽
和する磁化は、磁気抵抗効果層4cにて飽和する磁化よ
りも小さいことが好ましい。この磁化の飽和は、それぞ
れの層の飽和磁化Bsと層の厚さにより決められる。た
だし、記録媒体に高密度記録された磁界を検出するため
には、軟磁性層4aと磁気抵抗効果層4cがそれぞれ薄
い層であることが必要で、両層はほぼ同じ厚さに形成さ
れるのが一般的である。ここで、磁気抵抗効果層4cの
飽和磁化は1.0T程度であるため、軟磁性層4aの飽
和磁化は、1.0T以下が好ましく、さらに好ましくは
1.0T〜0.6T程度である。
【0008】磁気抵抗効果層4cに横バイアス磁界を
与えるという軟磁性層4aの機能に着目すると、軟磁性
層4aは誘導異方性磁界(Hk)が大きく、例えば磁場
中で成膜しまたは成膜後の磁場中のアニール処理によ
り、誘導異方性をハイト方向へ設定しやすいものである
ことが望ましい。軟磁性層4aの磁化をハイト方向へ安
定させるためには誘導異方性磁界が30(Oe;エルス
テッド)以上であることが好ましい。
【0009】軟磁性層4aを構成する材料としては上記
〜で列記した全ての条件を満たすものとすべきであ
る。下記の表1の左欄には、従来の三層素子4の軟磁性
層4aを構成するNi−Fe−Nb系合金について、上
記〜の各特性を示されている。この表1によれば、
の条件である比抵抗ρが小さく、また誘導異方性磁界
(Hk)が非常に小さいものとなっている。また磁気抵
抗変化率(Δρ/ρ)が比較的大きな値を示している。
【0010】このように、従来の三層素子4での軟磁性
層4aは比抵抗ρが小さいために、磁気抵抗効果素子4
cに与えられるべき電流が軟磁性層4aに分流しやす
く、よって磁気検出出力が小さいものとなっている。ま
た、従来の軟磁性層4aは誘導異方性磁界(Hk)が小
さく、ハイト方向(Y方向)への磁化の飽和が不十分で
ある。また磁気抵抗変化率(Δρ/ρ)が比較的大きい
ために、記録媒体などからの外部磁界によりハイト方向
への磁化にゆるぎが生じやすいものとなっている。よっ
て、バルクハウゼンノイズを低減させることに限界が生
じている。
【0011】本発明は上記従来の課題を解決するもので
あり、ハイト方向へ大きな誘導異方性磁界を付与できる
材料により軟磁性層を形成し、また軟磁性層の磁気抵抗
変化率を低くしてバルクハウゼンノイズを低減できるよ
うにした磁気抵抗効果型ヘッドを提供することを目的と
している。
【0012】また、膜応力と磁歪との関係が軟磁性層の
磁化に及ぼす影響に着目し、軟磁性層内の応力が不均一
である場合と、均一である場合とで、それぞれ軟磁性層
のハイト方向への磁化を安定させることができるよう
に、各元素の濃度を設定した磁気抵抗効果型ヘッドを提
供することを目的としている。
【0013】さらに本発明は、軟磁性層の比抵抗を低下
させて軟磁性層への電流の分流を抑制し、高い磁気検出
出力を得ることが可能な磁気抵抗効果型ヘッドを提供す
ることを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、非磁
性層を介して重ねられた磁気抵抗効果層および軟磁性層
と、前記磁気抵抗効果層への電流供給経路とを有する磁
気抵抗効果型ヘッドであって、前記軟磁性層が、磁性元
素としてのコバルト(Co)ならびに鉄(Fe)と、ア
モルファス化元素Xとから成るアモルファス磁性材料に
より形成されていることを特徴とするものである。
【0015】請求項2の発明は上記請求項1において、
アモルファス化元素Xを、タンタル(Ta)、ニオブ
(Nb)、イットリウム(Y)、ニッケル(Ni)、ボ
ロン(B)、シリコン(Si)、チタン(Ti)、バナ
ジウム(V)、クロム(Cr)、ジルコニウム(Z
r)、モリブデン(Mo)、ハフニウム(Hf)、タン
グステン(W)のうちのいずれか1種類以上としたもの
である。
【0016】請求項3の発明は上記請求項1または2に
おいて、コバルト(Co)の濃度を70〜85(at
%)、鉄(Fe)の濃度を0〜24(at%)、アモル
ファス化元素Xの濃度を6〜30(at%)としたもの
である。
【0017】請求項4の発明は上記請求項1において、
軟磁性層の膜応力の大きさと方向が不均一な場合に、ア
モルファス化元素Xを、タンタル(Ta)、ニオブ(N
b)、イットリウム(Y)、ニッケル(Ni)のうちの
いずれか1種類以上とし、鉄(Fe)の濃度を2〜6
(at%)、コバルト(Co)の濃度を70〜83(a
t%)、アモルファス化元素Xの濃度を13〜28(a
t%)としたものである。
【0018】請求項5の発明は上記請求項1において、
軟磁性層の膜応力が均一である場合に、アモルファス化
元素Xを、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、イット
リウム(Y)、ニッケル(Ni)のうちのいずれか1種
類以上とし、鉄(Fe)の濃度を4〜24(at%)、
コバルト(Co)の濃度を70〜82(at%)、アモ
ルファス化元素Xの濃度を6〜26(at%)としたも
のである。
【0019】
【作用】従来技術の課題の欄で述べたように、磁気抵抗
効果型ヘッドの三層素子での軟磁性層(SAL層)は、
磁場中での成膜工程や成膜後の磁場中でのアニール処理
により、誘導異方性磁界が付与されやすいものであるこ
とが好ましい。また、軟磁性層としては保持力(Hc)
が小さいことも必要条件である。
【0020】上記誘導異方性磁界を付与しやすくし、ま
た保持力を小さく抑えるために本発明での軟磁性層は、
磁性元素を含むアモルファス材料により形成している。
アモルファス材料は、磁性原子どうしを方向性規則配列
にしやすく、誘導異方性磁界を付与しやすいものとな
る。なお、磁性元素はその量が増えるにしたがって誘導
異方性磁界を付与しやすいものとなる。また軟磁性層は
キュリー温度を比較的高くする必要があり、そのために
磁性元素としてコバルト(Co)を用いている。また異
なる磁性元素を含むことにより誘導異方性磁界を付与し
やすくなるため、本発明では磁性元素としてコバルト
(Co)と鉄(Fe)を含むものとしている。すなわち
本発明は、磁性元素としてのコバルトならびに鉄と、ア
モルファス化元素Xを含んで構成され、これが前記請求
項1の発明である。
【0021】上記アモルファス化元素Xは、タンタル
(Ta)、ニオブ(Nb)、イットリウム(Y)、ニッ
ケル(Ni)、ボロン(B)、シリコン(Si)、チタ
ン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、ジル
コニウム(Zr)、モリブデン(Mo)、ハフニウム
(Hf)、タングステン(W)のうちのいずれか1種類
以上を選択できる。これが請求項2の発明である。
【0022】請求項3の発明は、コバルトと鉄とアモル
ファス化元素X(特にタンタル(Ta))から成る材料
がアモルファス状態(非晶質状態)となるための各濃度
範囲を示したものである。
【0023】鉄ならびにコバルトおよびアモルファス化
元素Xとから成るアモルファス磁性材料、特に、アモル
ファス化元素Xとしてタンタル(Ta)を代表としたも
のでは、表1の右欄に示すように、誘導異方性磁界(H
k)が大きくなって軟磁性層をハイト方向へ磁化飽和し
やすくなる。また磁気抵抗変化率(Δρ/ρ)が小さく
なって、外部磁界が作用したときに軟磁性層のハイト方
向への磁化のゆらぎが低下する。ハイト方向への誘導異
方性を付与しやすくし、また磁化方向のゆるぎを低下で
きることによりバルクハウゼンノイズを低減できる。ま
た、表1に示すように、アモルファス磁性材料により形
成した本発明の軟磁性層では、比抵抗ρが大きくなり、
磁気抵抗効果層に与えられるべき電流の分流を抑制で
き、磁気検出出力を高くすることが可能になる。
【0024】次に、図7に示すように、軟磁性層では、
ハイト方向への異方性磁界が、磁歪と膜応力との相関関
係による影響(逆磁歪効果)を受ける。まず、軟磁性層
での膜の応力が不均一である場合、逆磁歪効果による異
方性磁界が、ハイト方向への磁化の飽和を低下させるよ
うに作用する。すなわち軟磁性層の膜応力が不均一な場
合は、逆磁歪効果による異方性磁界が、ハイト方向への
磁化の安定を損ねるものとなり、よって、磁歪の絶対値
を小さく抑えることが必要である。この場合に、本発明
では、磁歪をマイナスとし得るアモルファス元素を選択
し、また磁性元素として鉄を含ませ、この鉄により磁歪
をプラス側に調整できるようにしている。アモルファス
化元素が磁歪をマイナス側にするものであれば、鉄の濃
度を調節することにより、磁歪の絶対値を例えば2×1
-6以内に抑えることができる。
【0025】このように、磁歪をマイナスにできるアモ
ルファス化元素を選択し、しかも鉄の濃度の調節により
磁歪の絶対値を所定値(2×10-6)以内にでき、且つ
軟磁性層がアモルファス状態で存在できるようにしたも
のが請求項4の発明である。
【0026】次に、軟磁性層の膜の応力の方向が均一で
ある場合で、引っ張り応力がハイト方向(Y方向)であ
れば、磁歪をプラスにしておくことにより逆磁歪効果に
よる異方性磁界の方向はハイト方向となり、軟磁性層で
は磁界がハイト方向に飽和しやすくなる。ここで、アモ
ルファス化元素として磁歪をマイナス側にするものが選
択された場合には、鉄の濃度により磁歪をプラス側にで
きる。磁歪をマイナス側とするアモルファス化元素を使
用し、鉄の濃度の調整により磁歪をプラス側として、ハ
イト方向への磁化を安定させ、しかもアモルファス状態
で存在できるようにしたものが請求項5の発明である。
【0027】また請求項2の発明で例示したアモルファ
ス化元素のうちで請求項4と請求項5に例示されていな
い元素は、元々磁歪をプラス側とするように作用するも
のである。よって膜応力が均一な場合には、請求項2の
うちの請求項4と5に例示されていないアモルファス化
元素のいずれを使用した場合であっても、磁化をハイト
方向へ安定化させることが可能である。
【0028】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。図8は縦
バイアス層としてハードバイアス層を使用した磁気抵抗
効果型ヘッドを記録媒体の対向側から示した拡大図、図
9は縦バイアス層としてエクスチェンジバイアス層を使
用した磁気抵抗効果型ヘッドを記録媒体の対向側から示
した拡大図である。
【0029】図8と図9のいずれにおいても、三層素子
4が、下から順に軟磁性層(SAL層)4a、非磁性層
(SHUNT層)4b、磁気抵抗効果層(MR層)4c
として構成されている。この実施例では、軟磁性層4a
が、磁性元素としてのコバルト(Co)と鉄(Fe)お
よび、アモルファス化元素Xとしてのタンタル(Ta)
を含むアモルファス(非晶質)磁性材料により形成され
ている。また非磁性層4bはタンタル(Ta)であり、
磁気抵抗効果層4cはNi−Fe系合金(パーマロイ)
である。
【0030】図8の磁気抵抗効果型ヘッドでは、センダ
ストなどにより形成された下部シールド層2の上に、A
23などによる下部ギャップ層11が形成され、その
上に前記三層素子4が設けられている。三層素子4の両
側には、縦バイアス層9としてハードバイアス層が形成
されている。この縦バイアス層9は、Co−Cr−Ta
(コバルト−クロム−タンタル)系合金などにより形成
されている。ハイト方向(Y方向)の膜内において、縦
バイアス層9上には、Cu(銅)またはW(タングステ
ン)などの電気抵抗の小さい導電性材料の主電極層5が
形成されている。三層素子4と縦バイアス層9の上に
は、Al23などによる上部ギャップ層12が形成さ
れ、さらにその上に下地層3aおよびセンダストなどの
上部シールド層3が形成されている。
【0031】図9では、三層素子4の両側部上面に重ね
られるようにして、縦バイアス層9としてのエクスチェ
ンジバイアス層が形成されている。この縦バイアス層9
は、Fe−Mn(鉄−マンガン)系合金などの反強磁性
層である。なお、図9において、他の層構成は図8と同
じである。また図8と図9に示すTwはトラック幅であ
る。図8と図9に示す磁気抵抗効果型ヘッドは、ハード
ディスクなどの磁気記録媒体にY方向から対向する。Y
方向が記録媒体からの洩れ磁界の方向である。また、磁
気抵抗効果型ヘッドと磁気記録媒体との相対的な移動方
向はZ方向である。
【0032】ハードバイアス層またはエクスチェンジバ
イアス層となる縦バイアス層9により磁気抵抗効果層4
cに縦バイアス磁界が与えられ、磁気抵抗効果層4cが
X方向へ単磁区化される。検出電流は、主電極層5から
縦バイアス層9を経て三層素子4に対しX方向へ与えら
れる。磁気抵抗効果素子4cに検出電流が与えられる
と、磁気抵抗効果層4cからの磁界により、軟磁性層4
aがハイト方向(Y方向)に磁化される。軟磁性層4a
の磁化により、磁気抵抗効果層4cに横バイアス磁界が
与えられ、磁気抵抗効果層4cの磁区方向が図10にて
矢印で示す方向に設定され、これにより磁気抵抗効果層
4cでは、磁気記録媒体からY方向へ与えられる洩れ磁
界(外部磁界)による抵抗の変化が直線性をもつように
なる。
【0033】次に、上記軟磁性層4aの特性と、この軟
磁性層4aを形成する材料の各元素の濃度との関係を説
明する。本発明では、軟磁性層4aの材料として誘導異
方性の磁界を付与しやすいアモルファス磁性材料を使用
している。誘導異方性は、磁性原子どうしの方向性規則
配列に起因するものであるが、アモルファス膜では磁性
原子を方向性規則配列させやすく、よって誘導異方性を
付与しやすいものとなる。誘導異方性は、例えば磁場中
で成膜し、または成膜後に磁場中でアニール処理するこ
とにより、ハイト方向(Y方向)に付与される。
【0034】このアモルファス磁性材料は、磁性元素と
アモルファス化元素とを含むものであるが、誘導異方性
を付与しやすくするために複数種類の磁性元素を使用し
ている。まず、磁性元素として、キュリー温度の高い材
料を主元素とすることが好ましく、そのためにコバルト
(Co)を使用している。さらに他の磁性元素として鉄
(Fe)を使用しているが、鉄を使用している理由は、
鉄の濃度により軟磁性層4aの磁歪を調節しやすいから
である。
【0035】アモルファス化元素Xは、タンタル(T
a)、ニオブ(Nb)、イットリウム(Y)、ニッケル
(Ni)、ボロン(B)、シリコン(Si)、チタン
(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、ジルコ
ニウム(Zr)、モリブデン(Mo)、ハフニウム(H
f)、タングステン(W)のいずれか1種以上のものが
選択されて使用される。ここで、アモルファス化元素が
磁歪に与える影響の相違により、上記アモルファス化元
素を第1の集合と第2の集合に別けることができる。第
1の集合はタンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、イット
リウム(Y)、ニッケル(Ni)であり、第2の集合
は、ボロン(B)、シリコン(Si)、チタン(T
i)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、ジルコニウ
ム(Zr)、モリブデン(Mo)、ハフニウム(H
f)、タングステン(W)である。
【0036】本発明の実施例では、第1の集合に含まれ
るタンタル(Ta)を例示し、以下においてその特性を
説明する。図1は、軟磁性層4aを形成するCo−Fe
−Taの合金材料の各元素の濃度(at%)と、膜の状
態との関係を示した濃度分布表である。正三角形の底辺
は、Coの濃度であり、図示右方向が濃度増加方向であ
る。左辺はFeの濃度であり、三角形の頂点から底辺に
向かって濃度増加方向となる。右辺はTaの濃度であ
り、三角形の底辺から頂点に向かって濃度増加方向であ
る。三角形中の直線(イ)は構造境界線であり、この構
造境界線(イ)を境として底辺側の領域では結晶状態と
なり、構造境界線(イ)を境として頂点側の領域ではア
モルファス(非晶質)状態となる。
【0037】本発明での軟磁性層4aは誘導異方性を付
与しやすくするためにアモルファス状態であることが条
件となる。図1の表からCo−Fe−Taの合金材料が
アモルファス状態であるための各元素の濃度を読み取る
と、コバルト(Co)の濃度が70〜85(at%)、
鉄(Fe)の濃度が0〜24(at%)、アモルファス
化元素Xとして例示しているタンタル(Ta)の濃度が
6〜30(at%)である。本発明の実施例では、軟磁
性層4aが上記組成範囲のアモルファス磁性材料により
形成される。
【0038】上記組成範囲では、鉄(Fe)の濃度が0
(at%)の場合があり得る。後に説明するが、磁歪の
絶対値を低下させ、または磁歪を所定値以上に大きくす
る必要がある場合には、鉄(Fe)を含むものであるこ
とが好ましい。ただし、膜応力が均一で且つアモルファ
ス化元素が磁歪をプラス側とするものであっては、Fe
が0(at%)であってもよい。鉄を含まないものであ
っても、表1に示すように、誘導異方性を付与しやすい
こと、比抵抗(ρ)を大きくできること、また磁気抵抗
変化率(Δρ/ρ)を小さくできる点において従来のN
i−Fe−Nb系合金よりも軟磁性層4aの材料として
は優れたものとなる。
【0039】図1では、Co−Fe−Ta合金のアモル
ファス磁性材料を黒丸にて7種類例示しているが、その
うち、タンタル(Ta)の濃度を18.5(at%)に
固定して、鉄(Fe)の濃度xおよび、コバルト(C
o)の濃度(81.5−x)を変化させたものを5種類
示している。この5種類のそれぞれを(a)(b)
(c)(d)(e)としている。(a)は鉄の濃度が0
(at%)、(e)は鉄の濃度がほぼ14(at%)で
あり、(b)(c)(d)は、鉄の濃度が(a)と
(e)の中間に位置するものである。
【0040】図2は、上記(a)ないし(e)につい
て、誘導異方性磁界と保持力を調べた結果である。図2
の線図の横軸は鉄(Fe)の濃度(at%)であり、左
辺の縦軸は、磁場中で成膜した軟磁性層4aの誘導異方
性磁界Hk(Oe)を示している。(ロ)は、前記
(a)から(e)のそれぞれについて膜厚を300オン
グストロームとしたときの誘導異方性磁界を示し、
(ハ)は(a)から(e)のそれぞれについて膜厚を3
μmとしたときの誘導異方性磁界を示している。
【0041】(ロ)では、誘導異方性磁界が27(O
e)から33(Oe)の範囲であり、(ロ)では、15
(Oe)から26(Oe)の範囲である。表1に示した
従来の軟磁性層4aの材料であるNi−Fe−Nb系合
金に比べ、(イ)(ロ)は共に誘導異方性磁界が大き
く、誘導異方性をハイト方向(図10のY方向)へ付与
した場合に、Y方向へ磁化を飽和させやすいことが解
る。また、最近のハードディスク用の磁気抵抗効果型ヘ
ッドでは、高密度記録信号の再生のために三層素子4が
薄型になってきており、軟磁性層4aの膜厚は300オ
ングストローム程度に設定されるものとなっている。膜
厚を300オングストローム程度としたとき、Co−F
e−Taのアモルファス磁性材料では、図1および表1
に示すように、誘導異方性磁界がきわめて大きくなる。
【0042】また、図2の右辺の縦軸は、保持力Hc
(Oe)を示している。図2中の(ニ)は、前記(a)
ないし(e)のそれぞれを300オングストロームの膜
厚に成膜したときの磁化容易軸方向への保持力を示し、
(ホ)は、同じく(a)ないし(e)のそれぞれを30
0オングストロームの膜厚に成膜したときの磁化困難軸
方向への保持力を示している。300オングストローム
程度の膜厚では磁化容易軸方向の保持力が5(Oe)未
満の低い値であり、軟磁性層4aの材料として適してい
ることが解る。
【0043】次に、図3は上記(a)から(e)のそれ
ぞれについて、鉄(Fe)の濃度(at%)と磁歪λs
(×10-6)との関係を示している。図3では、鉄(F
e)の濃度が高くなると、磁歪λsが大きくなっていく
のが解る。すなわち(a)〜(e)のそれぞれでは、ア
モルファス元素として前記第1の集合から代表されるタ
ンタル(Ta)を含んでいるが、このTaは磁歪をマイ
ナス側とする元素である。一方Feは磁歪を増加させる
元素である。したがって、タンタル(Ta)のように磁
歪をマイナス側とするアモルファス元素と鉄(Fe)を
含んだアモルファス磁性材料では、鉄の濃度を増加させ
ると、磁歪の絶対値が0となるものあるいは0に近い値
となるものを容易に調整できることになる。この磁歪は
膜の応力との関係で異方性磁界に影響を与えるが、この
点については後に詳しく述べる。
【0044】図4は、前記(a)(b)(c)(d)
(e)を300オングストロームの膜厚にて形成したと
きの、鉄(Fe)の濃度(at%)と比抵抗ρ(μΩ・
cm)との関係を示している。比抵抗ρは鉄の濃度によ
りあまり左右されず、(a)から(e)のいずれも比抵
抗ρが160(μΩ・cm)と高い値である。軟磁性層
4aの比抵抗を高くでき、磁気抵抗効果層4aへ与えら
れるべき電流の分流を抑制できることが解る。
【0045】図5は、前記(a)(b)(c)(d)
(e)を300オングストロームの膜厚にて形成したと
きの、鉄(Fe)の濃度(at%)と、磁気抵抗変化率
(Δρ/ρ)(%)との関係を示している。この図から
は、鉄の濃度が増加すると磁気抵抗変化率が高くなって
いくのが解るが、鉄(Fe)の濃度が14(at%)以
下であると、磁気抵抗変化率が0.02%以下と、きわ
めて低いことが解る。よってこのアモルファス磁性材料
を使用した軟磁性層4aでは、外部磁界によりハイト方
向の磁化のゆらぎが生じにくいものとなる。
【0046】図6は、前記(a)(b)(c)(d)
(e)を300オングストロームの膜厚にて形成したと
きの、鉄(Fe)の濃度(at%)と、飽和磁化Ms
(T)との関係を示している。(a)から(e)のいず
れも飽和磁化Msは、0.6〜1.0(T)の範囲であ
り、軟磁性層4aの材料として適していることが解る。
以下の表1は、従来の軟磁性層の材料であるNi−Fe
−Nb系材料と、(a)〜(e)で代表されるCo−F
e−Taのアモルファス磁性材料とで、前記各特性を対
比させたものである。
【0047】
【表1】
【0048】上記表1からCo−Fe−Taのアモルフ
ァス磁性材料では、軟磁性層4aの機能上要求される条
件のうちの、誘導異方性磁界Hk、比抵抗ρ、および磁
気抵抗変化率(Δρ/ρ)のそれぞれにおいて、従来の
Ni−Fe−Nbよりも優れていることが解る。また軟
磁性層をアモルファス材料とすることにより、誘導異方
性を付与しやすく且つ保持力Hcを低くできるのである
が、アモルファス化元素はTaだけに限られず、他の元
素を使用して、同様にCoとFeを含んだアモルファス
磁性材料を構成でき、また表1の右欄に示したのとほぼ
同等の特性を得ることができる。
【0049】Taとほぼ同じ特性を発揮できるアモルフ
ァス化元素としては、前記第1の集合と第2の集合であ
るニオブ(Nb)、イットリウム(Y)、ニッケル(N
i)、ボロン(B)、シリコン(Si)、チタン(T
i)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、ジルコニウ
ム(Zr)、モリブデン(Mo)、ハフニウム(H
f)、タングステン(W)を挙げることができる。上記
のいずれか1種以上とCoとFeとの合金とし、Coと
Feとアモルファス化元素Xの濃度を図1のアモルファ
ス状態となる範囲に設定することにより、軟磁性層4a
の材料として従来のものよりも優れたものとなる。
【0050】上記いずれかのアモルファス化元素を使用
した場合に、図1から、コバルト(Co)の濃度が70
〜85(at%)、鉄(Fe)の濃度が0〜24(at
%)、アモルファス化元素Xの濃度が6〜30(at
%)の範囲とすることにより、表1の右欄とほぼ同等の
特性のアモルファス磁性材料を得ることができる。
【0051】次に、軟磁性膜4aの膜応力と磁歪との層
間関係により磁化方向に及ぼす影響(逆磁歪効果)につ
いて説明する。磁性材料の膜応力をσ、磁歪をλsとす
ると、これと誘導異方性磁界Hkとの関係は、
【0052】
【数1】 である。
【0053】すなわち、膜応力σと磁歪λsの関係によ
る磁気弾性エネルギーEは数2で表わされる。
【0054】
【数2】
【0055】このエネルギーEを異方性磁界Hkに換算
すると、数3に示すようになる。なお、Msは飽和磁化
である。
【0056】
【数3】
【0057】図7は、上記数3においてMs=0.6
(T)(図6参照)とおき、磁歪λs(×10-6)の絶
対値と膜応力σ{MPa(メガパスカル)=107(d
yn/cm2)}との関係で、逆磁歪効果による異方性
磁界Hkを表わしたものである。図7から、膜応力と磁
歪が大きくなると、逆磁歪効果による異方性磁界が大き
くなることが解る。
【0058】膜応力と磁歪との相関関係による逆磁歪効
果の異方性磁界は、軟磁性層4aの膜応力が不均一なと
きと、均一なときとで異なる影響を与える。まず、軟磁
性層4aの膜応力の大きさ(引っ張り応力または圧縮応
力の大きさ)と方向が不均一であるときには、逆磁歪効
果による異方性磁界Hk(図7に示すHk)の大きさと
方向も不均一になる。よって軟磁性層4aではハイト方
向(Y方向)に向けるべき磁化の方向に対し、上記逆磁
歪効果の異方性磁界によりゆらぎが与えられる。
【0059】したがって、軟磁性層4aの膜応力の大き
さと方向が不均一な場合には、逆磁歪効果の異方性磁界
Hkをなるべく小さく抑えることが必要である。軟磁性
層4aにおいて、SALバイアスによりハイト方向へ向
こうとする異方性磁界の大きさは通常50〜200(O
e)程度である。よって、SALバイアス(横バイア
ス)によるバルクハウゼンノイズを抑制するためには、
逆磁歪効果による異方性磁界を10(Oe)以下程度に
抑えることが好ましい。
【0060】また、軟磁性層4aは数百オングストロー
ムの膜厚にて形成されるが、この程度の膜厚にて成膜さ
れた場合に、膜に与えられる応力は100MPa(メガ
パスカル)程度かそれ以下である。そこで図7におい
て、膜応力が100MPa以下で且つ逆磁歪効果による
異方性磁界Hkがほぼ10(Oe)以下となる条件を求
めると、磁歪λsの絶対値を2×10-6以下とすること
が必要である。
【0061】磁歪λsの絶対値を上記の範囲に調整でき
るものとしては、アモルファス化元素Xが磁歪をマイナ
スにできることが必要である。図3に示したように、ア
モルファス元素がタンタル(Ta)で代表されるように
磁歪λsをマイナスにするものであると、鉄(Fe)の
濃度を増加させ、磁歪λsをプラス側へ移行させること
により前記マイナス側の磁歪を相殺する調整が可能であ
る。図3から、磁歪λsの絶対値を2×10-6以下とす
るためには、鉄の濃度を2〜6(at%)の範囲とする
ことが必要である。
【0062】図1では鉄の濃度が上記の2〜6(at
%)となる範囲をαで示している。この範囲で且つCo
−Fe−Taがアモルファス状態であるためには、コバ
ルト(Co)の濃度が70〜83(at%)、タンタル
(Ta)の濃度が13〜28(at%)である。よっ
て、Co−Fe−Taの材料により軟磁性層4aを形成
し、且つ膜の応力の大きさと方向が不均一な場合、逆磁
歪効果がハイト方向への磁化に影響を与えないようにす
るために、鉄(Fe)の濃度を2〜6(at%)、コバ
ルト(Co)の濃度を70〜83(at%)、タンタル
(Ta)の濃度を13〜28(at%)の範囲とするこ
とが好ましい。
【0063】またこのことは、タンタル以外のアモルフ
ァス化元素を使用したときも同様である。タンタル以外
のアモルファス元素で磁歪をマイナス側とするものを使
用し、特に前記第1の集合である、ニオブ(Nb)、イ
ットリウム(Y)、ニッケル(Ni)のうちのいずれか
1種類以上を使用すると、図3および図7とほぼ同等の
特性が得られる。よって上記第1の集合のいずれかのア
モルファス化元素を使用して軟磁性層4aを形成し、且
つ膜の応力の大きさと方向が不均一である場合に、鉄
(Fe)の濃度を2〜6(at%)、コバルト(Co)
の濃度を70〜83(at%)、アモルファス化元素X
の濃度を13〜28(at%)とすることが好ましい。
【0064】次に、軟磁性層4aの膜応力の方向が均一
である場合、例えばハイト方向(Y方向)へ引っ張り応
力になっているときには、磁歪をプラスに設定しておけ
ば逆磁歪効果による異方性磁界は、軟磁性層4aでの磁
化の方向をハイト方向へ安定させるものとして作用す
る。図3に示すCo−Fe−Taのアモルファス磁性材
料では、鉄(Fe)の濃度を4(at%)以上とする
と、磁歪λsの絶対値をプラス側にでき、逆磁歪効果が
軟磁性層4aのハイト方向への磁化を安定させるものと
して機能する。
【0065】図1では、鉄の濃度が4(at%)以上と
なる範囲をβで示している。このβの範囲でCo−Fe
−Taがアモルファス状態であるためには、鉄の濃度が
24(at%)以下、コバルト(Co)の濃度が70〜
82(at%)、タンタル(Ta)の濃度が6〜26
(at%)の範囲である。よってCo−Fe−Taによ
り軟磁性層を形成し且つ膜応力が均一である場合には、
鉄とコバルトとタンタルの濃度を上記の範囲とすること
が好ましい。また、図3において、磁歪λsをさらにプ
ラス側とすると、逆磁歪効果の異方性磁界により、ハイ
ト方向の磁化がさらに安定する。このことから鉄(F
e)の濃度は6(at%)以上が好ましく、さらに好ま
しくは10(at%)以上である。
【0066】また、前述のように、第1の集合のアモル
ファス化元素、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、イ
ットリウム(Y)、ニッケル(Ni)はいずれも、磁歪
をマイナス側とし、鉄の濃度を高くすることにより磁歪
を0以上とすることが可能である。よって第1の集合の
アモルファス化元素のいずれか1種類以上を含む材料に
より軟磁性層を形成した場合に、図3と同様に鉄の濃度
の範囲を選択することができる。
【0067】よって、CoとFeと第1の集合のいずれ
か1種類以上のアモルファス化元素Xにより軟磁性層を
形成し、且つ膜の応力が均一である場合には、軟磁性層
の磁化をハイト方向へ安定させるために、鉄(Fe)の
濃度を4〜24(at%)、コバルト(Co)の濃度を
70〜82(at%)、アモルファス化元素Xの濃度を
6〜26(at%)とすることが好ましい。
【0068】また、アモルファス化元素の第2の集合で
あるボロン(B)、シリコン(Si)、チタン(T
i)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、ジルコニウ
ム(Zr)、モリブデン(Mo)、ハフニウム(H
f)、タングステン(W)は、磁歪λsをプラス側にす
るものであるため、膜の応力が均一な軟磁性層である場
合には、これらのいずれか1種類以上と、CoとFe
(0at%を含む)とで、アモルファス磁性材料を形成
することにより、ハイト方向への磁化を安定させること
が可能である。
【0069】
【発明の効果】以上のように本発明では、三層素子を構
成する軟磁性層のハイト方向の磁化の飽和を安定させ、
また磁気抵抗変換率(Δρ/ρ)を低下させて、バルク
ハウゼンノイズを低減できるものとなる。また、軟磁性
層の比抵抗ρを高くでき、磁気抵抗効果層に与えるべき
電流が軟磁性層に分流するのを抑制できる。
【0070】さらに、第1の集合のアモルファス化元素
のいずれか1種類以上を含むアモルファス磁性材料によ
り軟磁性層を形成した場合には、鉄の濃度を選択するこ
とにより、膜の応力が不均一なときと、均一なときの双
方においてハイト方向への磁化を安定させることができ
る。
【0071】また第2の集合のアモルファス化元素のい
ずれかを含むものでは、膜の応力が均一である場合に、
ハイト方向への磁化を安定させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】軟磁性層の材料となるCo−Fe−Taの各元
素の濃度と層の構造との関係を示す線図、
【図2】軟磁性層を形成するCo−Fe−Taのアモル
ファス磁性材料の、鉄の濃度と、誘導異方性磁界および
保持力との関係を示す線図、
【図3】軟磁性層を形成するCo−Fe−Taのアモル
ファス磁性材料の、鉄の濃度と磁歪との関係を示す線
図、
【図4】軟磁性層を形成するCo−Fe−Taのアモル
ファス磁性材料の、鉄の濃度と比抵抗との関係を示す線
図、
【図5】軟磁性層を形成するCo−Fe−Taのアモル
ファス磁性材料の、鉄の濃度と磁気抵抗変化率との関係
を示す線図、
【図6】軟磁性層を形成するCo−Fe−Taのアモル
ファス磁性材料の、鉄の濃度と飽和磁化との関係を示す
線図、
【図7】軟磁性層を形成するCo−Fe−Taのアモル
ファス磁性材料での、磁歪と膜応力との相関関係による
逆磁歪効果の異方性磁界を示す線図、
【図8】ハードバイアス層を用いた磁気抵抗効果型ヘッ
ドを示す拡大正面図、
【図9】エクスチェンジバイアス層を用いた磁気抵抗効
果型ヘッドを示す拡大正面図、
【図10】三層素子の各層の作用を説明する斜視図、
【符号の説明】
4 三層素子 4a 軟磁性層 4b 非磁性層 4c 磁気抵抗効果層 5 主電極 9 縦バイアス層

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性層を介して重ねられた磁気抵抗効
    果層および軟磁性層と、前記磁気抵抗効果層への電流供
    給経路とを有する磁気抵抗効果型ヘッドであって、前記
    軟磁性層が、磁性元素としてのコバルト(Co)ならび
    に鉄(Fe)と、アモルファス化元素Xとから成るアモ
    ルファス磁性材料により形成されていることを特徴とす
    る磁気抵抗効果型ヘッド。
  2. 【請求項2】 アモルファス化元素Xは、タンタル(T
    a)、ニオブ(Nb)、イットリウム(Y)、ニッケル
    (Ni)、ボロン(B)、シリコン(Si)、チタン
    (Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、ジルコ
    ニウム(Zr)、モリブデン(Mo)、ハフニウム(H
    f)、タングステン(W)のうちのいずれか1種類以上
    である請求項1記載の磁気抵抗効果型ヘッド。
  3. 【請求項3】 コバルト(Co)の濃度が70〜85
    (at%)、鉄(Fe)の濃度が0〜24(at%)、
    アモルファス化元素Xの濃度が6〜30(at%)であ
    る請求項1または2記載の磁気抵抗効果型ヘッド。
  4. 【請求項4】 軟磁性層の膜応力の大きさと方向が不均
    一で、アモルファス化元素Xが、タンタル(Ta)、ニ
    オブ(Nb)、イットリウム(Y)、ニッケル(Ni)
    のうちのいずれか1種類以上であり、鉄(Fe)の濃度
    が2〜6(at%)、コバルト(Co)の濃度が70〜
    83(at%)、アモルファス化元素Xの濃度が13〜
    28(at%)である請求項1記載の磁気抵抗効果型磁
    気ヘッド。
  5. 【請求項5】 軟磁性層の膜応力が均一で、アモルファ
    ス化元素Xが、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、イ
    ットリウム(Y)、ニッケル(Ni)のうちのいずれか
    1種類以上であり、鉄(Fe)の濃度が4〜24(at
    %)、コバルト(Co)の濃度が70〜82(at
    %)、アモルファス化元素Xの濃度が6〜26(at
    %)である請求項1記載の磁気抵抗効果型磁気ヘッド。
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