JPH08284737A - 内燃機関の吸入空気量予測装置 - Google Patents

内燃機関の吸入空気量予測装置

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JPH08284737A
JPH08284737A JP7082743A JP8274395A JPH08284737A JP H08284737 A JPH08284737 A JP H08284737A JP 7082743 A JP7082743 A JP 7082743A JP 8274395 A JP8274395 A JP 8274395A JP H08284737 A JPH08284737 A JP H08284737A
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JP
Japan
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intake
valve
air amount
intake air
timing
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Application number
JP7082743A
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English (en)
Inventor
Koji Endo
浩二 遠藤
Nobunao Okawa
信尚 大川
Kazushi Katou
千詞 加藤
Tadahisa Osanawa
忠久 長縄
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Publication date
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/10Internal combustion engine [ICE] based vehicles
    • Y02T10/12Improving ICE efficiencies

Abstract

(57)【要約】 【目的】可変バルブタイミング機構により吸気弁の作動
タイミングが調整されても、その閉弁時の吸入空気量を
正確に予測する。 【構成】吸気バルブの作動タイミング調整のために可変
バルブタイミング機構により変更される吸気側カムシャ
フトの角度(変位角VTB)を読み込む(101) 。インジェク
タ通電時間TAUaの算出時において、スロットル開度TA及
びエンジン回転速度NEに基づき定常状態での吸気圧PMTA
を求め(102) 、その値に対し現時点での運転状態を加味
した補正処理を行い一次遅れ処理値PMCRT を算出する(1
03,104) 。変位角VTB を用い吸気バルブの閉弁時期を推
測し(106) 、その直前まで補正処理を連続して行わせ、
スロットルバルブの動作に応じた吸気バルブ閉弁時の予
測吸気圧tPMVLVを求め(108) 、TAUa算出時における吸気
圧センサの検出値と、予測吸気圧tPMVLVとに基づき吸気
閉弁時の吸入空気量相当値として最終予測吸気圧PMFWD
を求める(109) 。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は内燃機関の吸入空気量予
測装置に係り、特に可変バルブタイミング機構が設けら
れた内燃機関において、燃料噴射制御等に使用される吸
入空気量又はその相当値を予測するようにした内燃機関
の吸入空気量予測装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、内燃機関において、燃料噴射弁の
作動をコンピュータによって制御するようにしたものが
ある。この内燃機関では、コンピュータはセンサによっ
て検出された機関回転速度、吸入空気量等に基づき通電
時間を演算し、その時間だけ燃料噴射弁に通電する。す
ると、燃料噴射弁が開弁し、燃料が噴射される。この燃
料噴射弁からの噴射燃料量を機関が要求する値に一致さ
せるためには、燃焼室に吸入される吸入空気量が確定す
る時点、すなわち吸気弁閉弁時での各センサの検出値を
用いて通電時間を演算すればよい。しかし、通電時間の
演算にはある程度の時間を要するばかりでなく、燃料噴
射弁から噴射された燃料が燃焼室に到達するまでに所定
の飛行時間が必要である。従って、燃焼室に供給される
吸入空気量が確定したときに、通電時間を演算して燃料
噴射弁の開弁動作を制御していたのでは、機関要求値に
応じた量の燃料を燃料噴射弁から噴射させることが困難
である。
【0003】これに対しては、吸気行程中の吸入空気量
変化から吸気弁閉弁時の吸入空気量を予測し、その予測
値に基づいて通電時間を演算する技術が種々提案されて
いる。例えば、吸気弁閉弁前の所定の期間において吸入
空気量を複数回検出し、その吸入空気量の変化からその
後の吸入空気量の変化特性を予測し、その特性に基づき
吸気弁閉弁時における吸入空気量を推定するものがあ
る。ところが、この技術を、吸気弁の作動タイミングを
任意に変更する可変バルブタイミング機構を有する内燃
機関に適用すると、以下の不具合を生ずる。この内燃機
関では吸気弁の閉弁時期が内燃機関の運転状況により変
化するので、吸気弁の閉弁時期が遅くなるほど、吸気の
吹き返しにより燃焼室内への吸入空気量が減少し、予測
吸入空気量が実際の吸入空気量よりも多くなってしま
う。
【0004】そこで、例えば特開平5−296082号
公報では、前記のように吸入空気量の変化特性に基づき
推定した吸入空気量を、吸気弁の作動タイミングに応じ
た補正係数にて補正している。閉弁時期が遅い場合に用
いられる補正係数は、早い場合に用いられる補正係数よ
りも小さな値に設定されている。この補正係数を用いた
補正により、閉弁時期が遅いときには早いときに比べて
予測空気量を少なくし、実際の吸入空気量との誤差を小
さくしようとしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、前記公報の
制御装置では、予め設定された補正係数によって予測吸
入空気量が補正されてはいるものの、その補正前の予測
値が、吸気弁閉弁よりもかなり前の期間における吸入空
気量の変化特性に基づき求められたものであり、同閉弁
時までの吸入空気量の変化が考慮されていない。このた
め、吸気弁閉弁時における吸入空気量を正確に算出する
ことが困難である。
【0006】本発明は前述した事情に鑑みてなされたも
のであり、その目的は可変バルブタイミング機構により
吸気弁の作動タイミングが調整されても、その閉弁時の
吸入空気量を正確に予測することのできる内燃機関の吸
入空気量予測装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、図1に示すように、吸気通路M1を開閉す
る吸気弁M2の作動タイミングを調整するための可変バ
ルブタイミング機構M3を備えた内燃機関M4に用いら
れるものであって、前記吸気通路M1途中のスロットル
弁M5の開度を検出する開度検出手段M6と、前記内燃
機関M4の回転速度を検出する回転速度検出手段M7
と、前記吸気通路M1を通って内燃機関M4に吸入され
る実際の空気の量又はその相当値を検出する吸入空気量
検出手段M8と、前記可変バルブタイミング機構M3に
より調整される吸気弁M2の作動タイミングを検出する
タイミング検出手段M9と、前記吸気弁M2閉弁前の所
定時点において、前記開度検出手段M6によるスロット
ル開度及び前記回転速度検出手段M7による機関回転速
度に基づき、前記内燃機関M4が定常状態を維持したと
仮定した条件下での吸入空気量又はその相当値を推定す
る定常吸入空気量推定手段M10と、前記定常吸入空気
量推定手段M10により推定された吸入空気量又はその
相当値に対し、現時点での運転状態を加味した補正処理
を行う補正処理手段M11と、前記タイミング検出手段
M9による吸気弁M2の作動タイミングに基づき、同吸
気弁M2の閉弁時期を推定する閉弁時期推定手段M12
と、前記補正処理手段M11による補正処理を、前記所
定時点から前記閉弁時期推定手段M12による推定閉弁
時期の直前まで連続して行わせ、前記スロットル弁M5
の動作に応じた前記吸気弁M2閉弁時の吸入空気量又は
その相当値を演算する空気量演算手段M13と、前記所
定時点において前記吸入空気量検出手段M8にて検出さ
れた吸入空気量又はその相当値、及び前記空気量演算手
段M13にて演算された吸入空気量又はその相当値に基
づき、前記吸気弁M2閉弁時の吸入空気量を予測する吸
入空気量予測手段M14とを備えている。
【0008】
【作用】内燃機関M4の作動時には、スロットル弁M5
の開度が開度検出手段M6によって検出され、同機関M
4の回転速度が回転速度検出手段M7によって検出され
る。また、吸気通路M1を通って内燃機関M4に吸入さ
れる実際の空気の量又はその相当値が吸入空気量検出手
段M8によって検出され、可変バルブタイミング機構M
3により調整される吸気弁M2の作動タイミングがタイ
ミング検出手段M9によって検出される。
【0009】そして、これらの検出値に基づき、吸気弁
M2の閉弁時の吸入空気量又はその相当値が以下のよう
にして予測される。吸気弁M2が閉弁する前の所定時点
において、定常吸入空気量推定手段M10は前記スロッ
トル開度及び機関回転速度に基づき、内燃機関M4が定
常状態を維持したと仮定した条件下での吸入空気量を推
定する。
【0010】補正処理手段M11は前記のように推定さ
れた吸入空気量に対し、現時点での運転状態を加味した
吸入空気量の補正処理を行う。閉弁時期推定手段M12
は前記タイミング検出手段M9による吸気弁M2の作動
タイミングに基づき、同吸気弁M2の閉弁時期を推定す
る。空気量演算手段M13は、補正処理手段M11によ
る前記補正処理を、前記所定時点から閉弁時期推定手段
M12による推定閉弁時期の直前まで連続して行わせ、
前記スロットル弁M5の動作に応じた吸気弁閉弁時での
吸入空気量又はその相当値を演算する。吸入空気量予測
手段M14は、前記所定時点での吸入空気量検出手段M
8による実際の吸入空気量又はその相当値と、空気量演
算手段M13によって演算された吸入空気量又は相当値
とに基づき、前記吸気弁閉弁時の吸入空気量を予測す
る。
【0011】従って、吸気弁M2の作動タイミングが可
変バルブタイミング機構M3によって調整されても、そ
の作動タイミングはタイミング検出手段M9によって確
実に検出される。そして、吸気弁M2の正確な閉弁時期
が閉弁時期推定手段M12によって推定される。このた
め、補正処理手段M11による補正処理が、調整後の吸
気弁閉弁時の直前まで行われることとなり、スロットル
弁M5の動作に応じた正確な吸入空気量又はその相当値
が得られる。
【0012】
【実施例】以下、本発明を具体化した一実施例について
図2〜図9に従って説明する。図2に示すように、車両
には内燃機関としてのガソリンエンジン(以下、単にエ
ンジンという)11が搭載されている。エンジン11は
シリンダブロック12及びシリンダヘッド13を備えて
いる。シリンダブロック12には、垂直方向へ延びる複
数の気筒(シリンダ14)が紙面と直交する方向に沿っ
て並設され、各シリンダ14内にはピストン15が往復
動可能に収容されている。各ピストン15はコネクティ
ングロッド16を介しクランクシャフト17に連結され
ている。各ピストン15の往復運動はコネクティングロ
ッド16によって回転運動に変換された後、クランクシ
ャフト17に伝達される。
【0013】シリンダブロック12及びシリンダヘッド
13間において、各ピストン15の上側には燃焼室18
が形成されている。シリンダヘッド13には、各燃焼室
18に連通する吸気ポート19及び排気ポート21がそ
れぞれ設けられている。これらの吸・排気ポート19,
21を開放及び閉鎖するために、シリンダヘッド13に
は吸気バルブ22及び排気バルブ23がそれぞれ略垂直
方向に往復動可能に支持されている。図4に示すよう
に、吸気バルブ22はバルブスプリング24によって、
吸気ポート19を閉鎖する方向(略上方)へ付勢され、
排気バルブ23はバルブスプリング25によって、排気
ポート21を閉鎖する方向(略上方)へ付勢されてい
る。
【0014】シリンダヘッド13において吸気バルブ2
2の上方には吸気側カムシャフト26が回転可能に設け
られ、排気バルブ23の上方には排気側カムシャフト2
7が回転可能に設けられている。吸気側カムシャフト2
6上には吸気バルブ22と同数のカム28が形成され、
排気側カムシャフト27上には排気バルブ23と同数の
カム29が形成されている。
【0015】図2,4に示すように、各カムシャフト2
6,27の端部にそれぞれ設けられたタイミングプーリ
31,32は、タイミングベルト33により前記クラン
クシャフト17に駆動連結されている。そして、同シャ
フト17が回転すると、その回転がタイミングベルト3
3を介して両タイミングプーリ31,32に伝達され
る。タイミングプーリ31の回転にともない吸気側カム
シャフト26が回転すると、カム28の押し下げ力とバ
ルブスプリング24の付勢力とが釣り合うように吸気バ
ルブ22が往復動し、吸気ポート19がそのバルブ22
により開放及び閉鎖される。また、タイミングプーリ3
2の回転にともない排気側カムシャフト27が回転する
と、カム29の押し下げ力とバルブスプリング25の付
勢力とが釣り合うように排気バルブ23が往復動し、排
気ポート21がそのバルブ23により開放及び閉鎖され
る。
【0016】図2に示すように、吸気ポート19にはエ
アクリーナ34、スロットルバルブ35、サージタンク
36、吸気マニホールド37等を備えた吸気通路38が
接続されている。エンジン11外部の空気は吸気通路3
8の各部材34,35,36,37を順に通過して燃焼
室18に取り込まれる。
【0017】スロットルバルブ35は、吸気通路38内
に軸35aにより回動可能に支持されている。軸35a
はワイヤ等を介して運転席のアクセルペダル(図示略)
に連結されており、運転者によるアクセルペダルの踏み
込み操作に連動してスロットルバルブ35と一体に回動
する。吸気通路38を流れる空気の量、すなわち吸入空
気量は、スロットルバルブ35の回動角度に応じて決定
される。サージタンク36は吸入空気の脈動、すなわち
圧力変動を平滑化させるためのものである。
【0018】吸気マニホールド37には気筒数と同数の
インジェクタ39が取付けられている。各インジェクタ
39は電磁弁であり、通電されると開弁して各吸気ポー
ト19へ向けて燃料を噴射する。そして、各インジェク
タ39から噴射される燃料と吸入空気とからなる混合気
は、各燃焼室18内へ導入される。この混合気に着火す
るために、シリンダヘッド13には点火プラグ41が取
付けられている。点火プラグ41は、ディストリビュー
タ42によって分配された点火信号に基づいて駆動され
る。ディストリビュータ42は、イグナイタ43から出
力される高電圧を、クランクシャフト17の回転角、す
なわちクランク角に同期して、点火プラグ41に分配し
て印加する。そして、燃焼室18内へ導入された混合気
は点火プラグ41の点火によって爆発・燃焼される。こ
のときに生じた高温高圧の燃焼ガスによりピストン15
が往復動させられ、クランクシャフト17が回転してエ
ンジン11の駆動力が得られる。
【0019】排気ポート21には、排気マニホールド4
4、触媒コンバータ45等を備えた排気通路46が接続
されている。燃焼室18で生じた燃焼ガスは、排気通路
46の各部材44,45等を順に通ってエンジン11の
外部へ排出される。触媒コンバータ45には、前記燃焼
ガス中の有害物質を浄化するための三元触媒45aが内
蔵されている。
【0020】本実施例のエンジン11においては、混合
気が燃焼室18内に吸入されて燃焼ガスが排出されるま
での期間、すなわち1サイクルの間に、ピストン15が
2往復してクランクシャフト17が2回転する。このサ
イクルは、周知のように、吸入行程、圧縮行程、爆発行
程及び排気行程の4つの行程からなる。吸入行程では、
ピストン15の下降により負圧が発生し、この負圧によ
り燃焼室18内に混合気が吸入される。圧縮行程ではピ
ストン15が上昇して、混合気が圧縮される。爆発行程
では圧縮された混合気の爆発・燃焼によって発生する圧
力によりピストン15が押し下げられる。排気行程では
押し下げられたピストン15が再び上昇して、燃焼ガス
が燃焼室18外へ排出される。
【0021】前記エンジン11の運転状態及び車両の走
行状態を検出するために、カム角センサ51、クランク
角センサ52、水温センサ53、スロットルセンサ5
4、吸気圧センサ55等の各種センサが用いられてい
る。
【0022】カム角センサ51は図3に示すように、吸
気側カムシャフト26上に取付けられたロータ51a
と、その近傍に対向配置された電磁ピックアップ51b
とを備えている。ロータ51aは円盤状の磁性体からな
り、その外周に多数の歯を有している。電磁ピックアッ
プ51bは、吸気側カムシャフト26の回転にともなっ
てロータ51aが回転して、その歯が同ピックアップ5
1bの前方を通過する毎にパルス状のカム角信号を出力
する。
【0023】図2に示すクランク角センサ52の構成は
前記カム角センサ51と同様であり、クランクシャフト
17上に取付けられたロータ(図示略)と、その近傍に
対向配置された電磁ピックアップ(図示略)とを備えて
いる。ロータは円盤状の磁性体からなり、その外周に等
角度毎に多数の歯を有している。電磁ピックアップは、
クランクシャフト17の回転にともないロータが回転し
てその歯が同ピックアップの前方を通過する毎にパルス
状のクランク角信号を出力する。これらのカム角センサ
51及びクランク角センサ52は、後述するCPU89
とともにタイミング検出手段を構成している。また、ク
ランク角センサ52は、CPU89とともに回転速度検
出手段を構成している。
【0024】水温センサ53はシリンダブロック12に
取付けられ、エンジン11の冷却水の温度、すなわち冷
却水温THWを検出する。スロットルセンサ54は開度
検出手段を構成するものであり、吸気通路38のスロッ
トルバルブ35の近傍に取付けられ、そのバルブ35の
軸35aの回動角度、すなわちスロットル開度TAを検
出する。吸気圧センサ55は吸入空気量検出手段を構成
するものであり、サージタンク36に取付けられ、真空
を基準とした場合の同サージタンク36内の圧力、すな
わち吸気圧PMを検出する。
【0025】前述したエンジン11には、図3に示すよ
うに可変バルブタイミング機構(以下、VVTという)
63が設けられている。VVT63は、タイミングプー
リ31、ひいてはクランクシャフト17の回転に対する
吸気側カムシャフト26の位相を変化させることによ
り、吸気バルブ22の作動タイミングをクランク角に関
して連続的に変更するための機構であり、油圧により駆
動される。次に、VVT63の構成について説明する。
【0026】吸気側カムシャフト26は、シリンダヘッ
ド13及びベアリングキャップ64間で回転自在に支持
されている。吸気側カムシャフト26の前端部(図3の
左端部)外周には前述したタイミングプーリ31が相対
回動可能に装着されている。吸気側カムシャフト26の
前端には、インナキャップ65が中空ボルト66及びピ
ン67により一体回転可能に取付けられている。
【0027】タイミングプーリ31には、ボルト69及
びピン71によりハウジング68が一体回転可能に取付
けられている。ハウジング68にはキャップ72が取り
外し可能に装着されており、両者68,72によって吸
気側カムシャフト26の前端部及びインナキャップ65
の全体が覆われている。また、タイミングプーリ31の
外周には、タイミングベルト33を掛装するための外歯
31aが多数形成されている。
【0028】吸気側カムシャフト26及びタイミングプ
ーリ31は、ハウジング68及びインナキャップ65間
に介在された、タイミング調整用のリングギヤ73によ
って連結されている。リングギヤ73は略円環形状をな
し、タイミングプーリ31、ハウジング68及びインナ
キャップ65によって囲まれた空間S内に収容されてい
る。リングギヤ73は第1の位置と第2の位置との間で
往復動する。リングギヤ73は第1の位置に配置された
とき、図3に示すようにハウジング68に当接する。こ
のとき、クランクシャフト17に対する吸気側カムシャ
フト26の回転位相が最も遅れ、吸気バルブ22の作動
タイミングがクランクシャフト17の回転に対して最も
遅くなる。リングギヤ73は第2の位置に配置されたと
き、タイミングプーリ31に当接する。このとき、クラ
ンクシャフト17に対する吸気側カムシャフト26の回
転位相が最も進み、吸気バルブ22の作動タイミングが
最も早くなる。
【0029】リングギヤ73の内周及び外周にはそれぞ
れ多数のスプライン歯73a,73bが形成されてい
る。これに対応して、インナキャップ65の外周及びハ
ウジング68の内周にも、それぞれ多数のスプライン歯
65a,68bが形成されている。これらのスプライン
歯73a,73b,65a,68bは、いずれも吸気側
カムシャフト26の軸線に対して交差するヘリカルスプ
ラインからなる。そして、スプライン歯73a,65a
が互いに噛合し、スプライン歯73b,68bが互いに
噛合している。これらの噛合によって、タイミングプー
リ31の回転は、ハウジング68、リングギヤ73及び
インナキャップ65を介して吸気側カムシャフト26に
伝達される。
【0030】第1油圧室74は、前記空間Sにおいてリ
ングギヤ73の前側に形成され、第2油圧室75は後側
に形成されている。各油圧室74,75に潤滑油による
油圧を供給するために本実施例では、エンジン11に既
設のオイルポンプ76が利用される。オイルポンプ76
はクランクシャフト17に駆動連結されており、エンジ
ン11の運転にともない作動してオイルパン77から潤
滑油を吸引及び吐出する。吐出された潤滑油中の異物、
金属粉等はオイルフィルタ78によって除去される。そ
して、オイルフィルタ78を通過した潤滑油はベアリン
グキャップ64、吸気側カムシャフト26、中空ボルト
66等に形成された第1油路79を通って第1油圧室7
4に供給されるとともに、ベアリングキャップ64、吸
気側カムシャフト26等に形成された第2油路81を通
って第2油圧室75に供給される。
【0031】両油路79,81の途中には、各油圧室7
4,75に供給される油圧の大きさを調整するために、
電磁式のオイルコントロールバルブ(以下、OCVとい
う)82が設けられている。OCV82のケーシング8
5は、タンクポート85t、Aポート85a、Bポート
85b及び一対のリザーバポート85rを有している。
タンクポート85tはオイルフィルタ78を介してオイ
ルポンプ76に接続され、Aポート85aは第1油路7
9に接続されている。Bポート85bは第2油路81に
接続され、両リザーバポート85rはオイルパン77に
接続されている。
【0032】ケーシング85内にはスプール84が往復
動可能に収容されている。スプール84の外周には、前
述した2つのポート間での潤滑油の流れを遮断する4つ
のランド84aが形成されている。スプール84の外周
において隣接するランド84a間には、2つのポート間
を連通して潤滑油の流れを許容するパセージ84b,8
4c,84cが形成されている。そして、スプール84
による各ポートの連通状態、すなわちスプール84の軸
線方向における位置を変更することによって、第1油圧
室74及び第2油圧室75に供給される油圧の大きさを
調整することが可能である。
【0033】前記位置調整のために、スプール84の前
側にはそのスプール84を後方へ付勢するスプリング8
6が配置され、後側には通電によって励磁されてスプー
ル84を前方へ押圧する電磁ソレノイド87が配置され
ている。そして、単位時間に占める電磁ソレノイド87
への通電時間の割合(デューティ比)を種々変更する、
いわゆるデューティ制御を行うことにより、スプール8
4をケーシング85内の任意の位置へ移動させることが
可能となっている。
【0034】例えば、100%のデューティ比で電磁ソ
レノイド87が通電されて、スプール84がスプリング
86の付勢力に抗して前方(図の左方)へ移動させられ
ると、パセージ84bによってタンクポート85t及び
Aポート85a間が連通される。すると、オイルポンプ
76から吐出された潤滑油が、第1油路79を通って第
1油圧室74に供給され、リングギヤ73に前側から加
わる油圧が上昇する。これと同時に、後側のパセージ8
4cによって、Bポート85b及び後側のリザーバポー
ト85r間が連通される。すると、第2油圧室75内の
潤滑油は、第2油路81、Bポート85b、リザーバポ
ート85rを通じてオイルパン77に排出され、リング
ギヤ73に後側から加わる油圧が低下する。
【0035】リングギヤ73に対し前側から加わる油圧
が後側から加わる油圧に打ち勝つと、スプライン歯73
a,65a及び73b,68bがヘリカルスプラインで
あることから、同リングギヤ73は第2油圧室75内の
油圧に抗して後方ヘ移動しながら回動する。このとき、
インナキャップ65及びハウジング68に捩じり力が付
与される。
【0036】その結果、タイミングプーリ31に対する
吸気側カムシャフト26の回転位相が変えられ、吸気バ
ルブ22の作動タイミングが早められる。この動作につ
いて、図5(b)のバルブタイミングダイヤグラムを参
照すると、吸気バルブ22の開放期間全体が、そのバル
ブ22の開放のタイミングを早めるようにシフトされ
る。吸気バルブ22と排気バルブ23とがともに開いて
いるバルブオーバラップ期間が拡大される。リングギヤ
73の後方への移動にともない、そのリングギヤ73が
タイミングプーリ31に当接して第2の位置で停止した
とき、吸気バルブ22の開放及び閉鎖のタイミングが最
も早められる。
【0037】一方、図3において例えば、電磁ソレノイ
ド87が通電されずデューティ比が0%となって、スプ
リング86の付勢力によってスプール84が後方(図の
右方)へ移動させられると、パセージ84bによりタン
クポート85t及びBポート85b間が連通される。す
ると、オイルポンプ76から吐出された潤滑油が第2油
路81を通って第2油圧室75に供給され、リングギヤ
73に後側から加わる油圧が上昇する。また、前側のパ
セージ84cによって、Aポート85a及び前側のリザ
ーバポート85r間が連通される。すると、第1油圧室
74内の潤滑油は、第1油路79、Aポート85a、リ
ザーバポート85rを通ってオイルパン77に排出さ
れ、リングギヤ73に前側から加わる油圧が低下する。
【0038】リングギヤ73に対し後側から加わる油圧
が前側から加わる油圧に打ち勝つと、同リングギヤ73
は第1油圧室74内の油圧に抗して前方ヘ移動しながら
回動する。このとき、インナキャップ65及びハウジン
グ68に捩じり力が付与される。
【0039】その結果、タイミングプーリ31に対する
吸気側カムシャフト26の回転位相が変えられ、吸気バ
ルブ22の作動タイミングが遅らされる。この動作につ
いて、図5(a)のバルブタイミングダイヤグラムを参
照すると、吸気バルブ22の開放期間全体が、そのバル
ブ22の開放のタイミングを遅らせるようにシフトさ
れ、バルブオーバラップ期間が縮小される。リングギヤ
73の前方への移動にともない、そのリングギヤ73が
ハウジング68に当接して第1の位置で停止されたと
き、吸気バルブ22の開放及び閉鎖のタイミングが最も
遅らされる。
【0040】上記のようにVVT63が構成されている
ため、OCV82の電磁ソレノイド87に対するデュー
ティ比を変化させて同VVT63を作動させることによ
り、吸気バルブ22の作動タイミング、ひいてはバルブ
オーバラップ期間を、図5(a)に示す状態と、図5
(b)に示す状態との間で連続的に変更することができ
る。
【0041】ところで、上述した各種センサ51〜55
による検出値に基づき、各インジェクタ39、イグナイ
タ43及びOCV82を制御するために電子制御装置
(以下、ECUという)88が用いられている。ECU
88は図6に示すように、中央処理装置(CPU)8
9、読出し専用メモリ(ROM)90、ランダムアクセ
スメモリ(RAM)91、バックアップRAM92、外
部入力回路93及び外部出力回路94を備えている。こ
れらの各回路89〜94はバス95によって互いに接続
されている。
【0042】ROM90は所定の制御プログラムや初期
データを予め記憶している。例えば、ROM90は図7
に示す最終予測吸気圧PMFWDを算出するためのプロ
グラムを記憶している。CPU89は前記ROM90に
記憶された制御プログラム及び初期データに従って各種
の演算処理を実行する。RAM91はCPU89による
演算結果を一時的に記憶する。バックアップRAM92
はECU88に対する電力供給が停止された後にも、R
AM91内の各種データを保持する。
【0043】外部入力回路93には、前述したカム角セ
ンサ51、クランク角センサ52、水温センサ53、ス
ロットルセンサ54及び吸気圧センサ55がそれぞれ接
続されている。一方、外部出力回路94には、各インジ
ェクタ39、イグナイタ43及びOCV82がそれぞれ
接続されている。
【0044】そして、各センサ51〜55の検出信号は
外部入力回路93を介してCPU89に入力される。C
PU89はそれらの入力に基づき、エンジン回転速度N
E、変位角VTB等を算出する。さらに、CPU89は
これらの算出値に基づき、各インジェクタ39、イグナ
イタ43及びOCV82を作動させ、燃料噴射制御、点
火時期制御、バルブタイミング制御等を実行する。
【0045】例えば、CPU89は、クランク角センサ
52が出力するクランク角信号の時間間隔を計測するこ
とにより、単位時間当たりのクランクシャフト17の回
転数であるエンジン回転速度NEを演算する。CPU8
9はカム角信号の発生と同時にクランク角信号を入力
し、その後、予め設定された基準のクランク角信号を入
力するまでの同信号のパルス数に基づき、吸気側カムシ
ャフト26の回転位相、すなわち変位角VTBを演算す
る。この変位角VTBとは、吸気バルブ22の作動タイ
ミングの調整のために、VVT63により変更される吸
気側カムシャフト26の角度である。
【0046】燃料噴射制御のために、CPU89は吸気
通路38を通って燃焼室18へ導かれる吸入空気の量を
求め、その吸入空気によって燃焼される燃料の質量、す
なわち燃料噴射量を求める。ここで、燃料噴射量はイン
ジェクタ39のニードルバルブ(図示略)が開いている
間に燃料が噴射される噴射時間、すなわち、ニードルバ
ルブを作動させるためのソレノイドコイル(図示略)へ
の通電時間によって決定される。そのため、CPU89
は燃料噴射量に関連するパラメータとしてインジェクタ
通電時間TAUaを算出する。より詳しくは、エンジン
回転速度NE及び吸入空気量に基づいて基本燃料噴射時
間TPを演算する。その値TPを冷却水温THW、吸気
温等で定まる補正係数FKによって補正し、インジェク
タ通電時間TAUaを得る。この時間TAUaにわたり
各インジェクタ39のソレノイドコイルに通電し、同イ
ンジェクタ39から噴射される燃料量を制御する。
【0047】ここで、吸気圧がエンジン1サイクル当た
りに燃焼室18に吸入される吸入空気量に略比例するこ
とから、本実施例では吸気圧を吸入空気量の相当値とし
て用いている。ただし、吸気圧センサ55の検出値に
は、同センサ55を構成するダイヤフラムによる応答遅
れ等が存在するので、加減速時等の過渡運転時には、実
際の吸気圧の変化に対して、検出された吸気圧の変化に
時間遅れが生ずる。過渡運転時に吸気圧センサ55の検
出値をそのまま吸入空気量相当値として用いると、検出
値が実際の値からずれてしまう。
【0048】これに対し本実施例では、後述するように
応答性の良いスロットルセンサ54によって検出された
スロットル開度TAとエンジン回転速度NEとから定常
状態での吸気圧PMTAを演算する。これを一次遅れ処
理して時間遅れのない現時点の吸気圧(なまし値PMC
RT4)を演算するとともに、燃焼室18への吸入空気
量が確定する吸気バルブ閉弁時の吸気圧(予測吸気圧t
PMVLV)を演算する。さらに、現時点と予測時点の
演算による吸気圧(PMCRT4,tPMVLV)の差
を求め、現時点の吸気圧PMにこの差を加算して最終予
測吸気圧PMFWDを算出するようにしている。なお、
最終予測吸気圧PMFWDの算出原理については、特開
平2−42160号公報に開示されたものに準じてい
る。
【0049】また、点火時期の制御のために、CPU8
9はエンジン回転速度NEと吸気圧PMとに基づいて基
本点火進角ABSEを演算し、その値を吸気温、冷却水
温THW等で定まる補正係数IKによって補正すること
により実行点火進角を演算する。この実行点火進角に基
づきイグナイタ43に一次電流の遮断信号を出力して点
火時期を制御する。
【0050】さらに、バルブタイミングの制御のため
に、CPU89は予め用意された制御マップを用い、吸
気圧PM及びエンジン回転速度NEに基づき目標変位角
VTTを算出する。そして、実際の変位角VTBが目標
変位角VTTに合致するようにOCV82の電磁ソレノ
イド87へのデューティ比を変化させ、同OCV82の
各ポートの開放割合をフィードバック制御する。この制
御により、VVT63の両油圧室74,75へ供給され
る油圧が調整される。そして、吸気バルブ22の作動タ
イミングがエンジン11の運転状態に応じて連続的に変
更され、もってバルブオーバラップ期間が連続的に調整
される。
【0051】次に、前記最終予測吸気圧算出ルーチンの
各処理の内容を、図7のフローチャートに従って説明す
る。このルーチンは所定時間(例えば、8ms)毎に起動
される。
【0052】CPU89はまずステップ101におい
て、各種センサ54,55によって検出されたスロット
ル開度TA及び吸気圧PMをそれぞれ読み込む。また、
前述したようにして算出したエンジン回転速度NE及び
変位角VTBをそれぞれ読み込む。
【0053】続いて、ステップ102において、予め用
意された制御マップを参照し、前記エンジン回転速度N
Eとスロットル開度TAとに対応する定常状態での吸気
圧PMTAを求める。この制御マップは、予め実験等に
よりスロットル開度TA及びエンジン回転速度NEに対
応する吸気圧を測定し、その吸気圧が安定したときの値
に基づき作成されたものである。この吸気圧PMTA
は、加速時には図8に示すようにスロットル開度TAの
変化に時間遅れなく対応して変化する。
【0054】次に、ステップ103において、予め用意
された制御マップを参照し、エンジン回転速度NEと前
記定常状態での吸気圧PMTAとに対応する一次遅れの
時定数TIMCAを算出する。ステップ104におい
て、次式(1)に従い一次遅れ処理値PMCRTを算出
する。
【0055】 PMCRT(i) =PMCRT(i-1) +{PMTA−PMCRT(i-1) }・TIMCA…(1) 上記式(1)中のPMCRT(i-1) は前回演算周期で求
めた吸気圧の一次遅れ処理値である。
【0056】ステップ105において、前記一次遅れ処
理値PMCRTを次式(2)に従いさらに一次遅れ処理
して、なまし値PMCRT4を求める。このなまし値P
MCRT4は、吸気圧センサ55によって検出される吸
気圧PMと同じ応答を持つ値である。仮に、スロットル
バルブ35の漏れ空気量、大気圧等がそれぞれ変化して
いないものとすると、上記なまし値PMCRT4は吸気
圧センサ55の検出値(吸気圧PM)と同一となる。
【0057】 PMCRT4(i) =PMCRT4(i-1) +{PMCRT(i) −PMCRT4(i-1) } …(2) 上記式(2)中のPMCRT4(i-1) は前回演算周期で
求めたなまし値である。
【0058】次に、ステップ106において、予測時間
tTFWDを計算により求める。予測時間tTFWD
は、現時点(インジェクタ通電時間TAUaの算出時
点)から、その時間TAUaを反映した噴射量を吸入す
る気筒の吸気バルブ閉弁時までの時間である。この予測
時間tTFWDは、実質的には、図9に示すように噴射
に反映される通電時間TAUaをメインルーチンで計算
してから実際に噴射が開始されるまでの時間(T1)
と、燃料噴射時間TAU(T2)と、噴射終了から吸気
バルブ閉弁までの時間(T3)とからなる。
【0059】下記式(3)には予測時間tTFWDの演
算式の一例を示す。この演算式が適用されるのは、以下
の(a)〜(d)の各種条件を満たすエンジンである。
(a)6気筒を有すること。(b)噴射方式は、各気筒
の吸気行程前に燃料を噴射させる、いわゆる独立噴射方
式であるか、あるいは気筒を複数のグループに分け、対
応するインジェクタをそのグループ毎に作動させる、い
わゆるグループ噴射方式であること。これらの噴射方式
においては、吸気バルブ22が開弁する前に噴射を確実
に終わらせる必要がある。VVT63によって吸気バル
ブ22の開弁期間が変化させられることを考慮し、ここ
では噴射の終了時期の平均がピストン15の上死点前7
5°CAであるものとする。(c)インジェクタ通電時
間TAUaの算出のためのメインルーチンが8(ms)の演
算周期で行われること。(d)VVT63によって吸気
バルブ22の作動タイミングが最も遅らされたときの同
バルブ22の閉弁時期が、ピストン15の下死点後55
°CA(クランク角)であること。
【0060】 tTFWD=T120・(310−VTB)/120 +TAUa+tTB+8 …(3) 上記式(3)中のT120は、クランク角を時間換算す
るために用いられる値であり、クランクシャフト17が
120°CA回転するのに要する時間である。tTBは
燃料遅れ時間であり、より詳しくはインジェクタ39の
無効噴射時間、開弁遅れ時間、噴霧飛行時間の合計であ
る。
【0061】上記式(3)の理論的根拠を以下に述べ
る。メインルーチンの演算周期は前述したように短い
(8ms)ので、燃料噴射から次の燃料噴射までの間には
インジェクタ通電時間TAUaが複数回算出される。そ
のうち、実際に噴射に反映させられる通電時間TAUa
は、その噴射開始時期の直前に計算されたものである。
それ以前に求められた通電時間TAUaは用いられな
い。従って、予測時間tTFWDは、実質上、前述した
時間T1,T2,T3の合計となる。
【0062】時間T1は、平均的には最終予測吸気圧P
MFWDの算出周期の1/2である。すなわち、この算
出周期は、通常のエンジン設計思想の下では、エンジン
回転速度NEが3000(rpm)以下では8(ms)以下の要
求として設定しているので、T1=8/2=4(ms)とみ
なすことができる。時間T2は、メインルーチンで求め
られたインジェクタ通電時間TAUaと、前記燃料遅れ
時間tTBとの合計である。
【0063】また、燃料噴射の終了からピストン上死点
までのクランク角の変化が75°CA、ピストン上死点
から下死点までのクランク角の変化が180°CA、ピ
ストン下死点から吸気バルブ閉弁までのクランク角の変
化が55°CAである。このうち、吸気バルブ22の閉
弁時期はVVT63の作動により変動する。従って、燃
料噴射の終了時点から吸気バルブ22の閉弁時までのク
ランク角の変化は75+180+55−VTB、すなわ
ち(310−VTB)°CAである。前記したようにク
ランク角が120°CA変化するのにT120の時間を
要することから、このT120に(310−VTB)/
120を乗算すれば、(310−VTB)°CAを時間
に変換し、時間T3が得られる。
【0064】さらに、予測時間tTFWDは、後述する
ように最終予測吸気圧PMFWDの算出に際し、なまし
計算の演算回数を求めるために使用される。演算回数の
算出時には予測時間tTFWDが演算周期Δtによって
除算されるが、その除算による端数を考慮し、上記時間
T1,T2,T3のほかに所定時間(演算周期Δtの半
分、この場合4ms)が予測時間tTFWD中に含ませら
れる。
【0065】従って、予測時間tTFWDは、時間T1
(=4ms)、時間T2(=TAUa+tTB)、時間T
3(=T120・(310−VTB)/120)及び前
記所定時間(4ms)の和となり、前述した式(3)が得
られる。
【0066】CPU89は、ステップ107において、
インジェクタ通電時間TAUaの算出時点から吸気バル
ブ22の閉弁時までに行われるこのルーチンの演算回数
tNFWDを次式(4)に従って求める。
【0067】 tNFWD=tTFWD/Δt …(4) 上記式(4)中、Δtは最終予測吸気圧算出ルーチンの
演算周期であり、この場合8msである。ステップ108
において、下記式(5)を前記演算回数tNFWD、繰
り返し実行する。
【0068】 tA(i) =tA(i-1) +TIMCA・{PMTA・KPA−tA(i-1) } …(5) 上記式(5)中、KPAは大気圧補正係数であり、tA
の初期値は前記一次遅れ処理値PMCRTである。そし
て、前記式(5)をtNFWD回繰り返し実行したとき
のtA(i) は、吸気バルブ22の閉弁時の予測吸気圧t
PMVLVとなる。
【0069】ここで、吸気圧PMとなまし値PMCRT
4とが等しければ、予測吸気圧tPMVLVを吸気バル
ブ22の閉弁時の最終的な予測吸気圧として用いてもよ
いが、実際にはずれがある。このため、ステップ109
において、次式(6)に従い最終予測吸気圧PMFWD
を求める。
【0070】 PMFWD=PM+(tPMVLV−PMCRT4) …(6) つまり、予測時点での吸気圧tPMVLVと現時点(T
AUa算出時)の吸気圧(なまし値PMCRT4)との
差に、現時点での吸気圧センサ55による吸気圧PMを
加算することにより最終予測吸気圧PMFWDを得る。
ステップ109の処理を実行した後にこのルーチンを終
了する。
【0071】前記最終予測吸気圧算出ルーチンにおい
て、CPU89によるステップ102の処理は定常状態
での吸気圧PMTAを算出するための定常吸入空気量推
定手段を実現し、ステップ104の処理は一次遅れ処理
値PMCRTを算出するための補正処理手段を実現す
る。また、ステップ106の処理は予測時間tTFWD
を算出するための閉弁時期推定手段を実現し、ステップ
108の処理は予測吸気圧tPMVLVを算出するため
の空気量演算手段を実現する。ステップ109の処理は
最終予測吸気圧PMFWDを算出するための吸入空気量
予測手段M14を実現する。
【0072】このように本実施例では、時間遅れの少な
いスロットル開度TAとエンジン回転速度NEとに基づ
き定常状態での吸気圧PMTAを演算し、その値を一次
遅れ処理することにより時間遅れのない現時点の吸気圧
(なまし値PMCRT4)を算出している。また、燃焼
室18への吸入空気量が確定する吸気バルブ22の閉弁
時の吸気圧(予測吸気圧tPMVLV)を予測してい
る。そして、現時点と予測時点の演算による吸気圧PM
CRT4,tPMVLVの差を求め、現時点の測定によ
る吸気圧PMにこの差を加算して最終予測吸気圧PMF
WDを算出するようにしている。このため、エンジン1
1の過渡運転時において、吸気圧センサ55の応答遅れ
によりその検出値が実際の吸気圧からずれても、吸気バ
ルブ閉弁時の吸気圧(最終予測吸気圧PMFWD)を遅
れなしに精度良く算出することができる。
【0073】特に、本実施例においては、予測吸気圧t
PMVLVの演算に先立ち、インジェクタ通電時間TA
Uaの算出時から吸気バルブ22の閉弁時までに要する
時間(予測時間tTFWD)を推定している。この際、
燃料噴射が終了してから吸気バルブ22が閉弁するまで
の時間T3の算出にあたりクランク角の変化を用い、こ
れを時間に変換している。そして、このクランク角の変
化量の中に、VVT63による吸気バルブ22の変位角
VTBを含ませて(反映させて)いる。従って、VVT
63の作動にともない吸気バルブ22の開弁期間、特に
閉弁のタイミングが、例えば図9において二点鎖線で示
すように変化しても、燃料噴射終了時から吸気バルブ閉
弁時までのクランク角の変化を精度良く求め、時間T
3、ひいては正確な予測時間tTFWDを得ることがで
きる。
【0074】その結果、エンジン11の要求する値に近
いインジェクタ通電時間TAUaが得られるので、この
値を用いた燃料噴射により加速時等の過渡運転時におい
ても空燃比を正確に制御し、排気エミッション、燃費、
ドライバビリティ等の向上を図ることができる。
【0075】なお、本発明は次に示す別の実施例に具体
化することができる。 (1)前記実施例での吸気圧センサ55による吸気圧P
Mに代え、吸気通路38にエアフロメータ等の流量セン
サを設け、その検出値(吸入空気量)を吸気バルブ22
の閉弁時の吸入空気量の予測に用いてもよい。
【0076】(2)前記実施例では、最終予測吸気圧P
MFWDの算出に際し、予測吸気圧tPMVLVからな
まし値PMCRTを減じ、その結果を吸気圧PMに加算
したが、なまし値PMCRTから吸気圧PMを減じ、そ
の結果を予測吸気圧tPMVLVから減算するようにし
てもよい。
【0077】(3)本発明は、バルブオーバラップ期間
を連続的に調整しないタイプのVVTを搭載したエンジ
ンにも適用可能である。このようなVVTとしては、例
えば前記実施例において、リングギヤ73を第1の位置
及び第2の位置のいずれかに保持して、吸気バルブの作
動タイミングを切り換えるようにしたものが挙げられ
る。
【0078】(4)本発明の吸入空気量予測装置は、吸
気バルブ22だけでなく排気バルブ23の作動タイミン
グを調整するVVTを搭載したエンジンにも適用可能で
ある。
【0079】(5)予測時間tTFWDの算出に際し用
いられる式(3)は、前述した(a)〜(d)の条件を
満たすエンジンのために用意されたものである。従っ
て、異なる条件に関しては、その条件に応じて項目の内
容を変更してもよい。ただし、噴射終了から吸気バルブ
閉弁時までのクランク角の変化中に、変位角VTBは必
須である。
【0080】以上、本発明の各実施例について説明した
が、各実施例から把握できる請求項以外の技術的思想に
ついて、以下にそれらの効果とともに記載する。 (イ)請求項1に記載の予測装置において、前記内燃機
関は吸気弁の開弁時よりも前に燃料噴射を終了するもの
であり、吸気弁の閉弁時期の推定に際し前記閉弁時期推
定手段は、燃料噴射の終了時から吸気弁閉弁時までの内
燃機関の回転角度を求め、その回転角度を時間に変換す
るようにした内燃機関の吸入空気量予測装置。
【0081】このような構成とすれば、タイミング検出
手段によって検出される作動タイミングが内燃機関の回
転角度によって表される場合には、吸気弁の閉弁時期を
精度良く推定できる。
【0082】
【発明の効果】以上説明したように本発明では、吸気弁
の作動タイミングに基づきその閉弁時期を推定し、機関
定常状態での吸入空気量に対する補正処理を、吸気弁閉
弁前の所定時点から推定閉弁時期の直前まで連続して行
わせるようにしている。このため、可変バルブタイミン
グ機構により吸気弁の作動タイミングが調整されても、
その閉弁時の吸入空気量を正確に予測することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の概念構成図。
【図2】エンジン及びその周辺部品の概略構成図。
【図3】VVTの概略構成図。
【図4】エンジンの動弁機構を示す断面図。
【図5】(a),(b) は吸・排気バルブの開放期間を示すダ
イヤグラム。
【図6】ECUとその周辺部品との電気的接続関係を示
すブロック図。
【図7】最終予測吸気圧算出ルーチンの処理内容を示す
フローチャート。
【図8】最終予測吸気圧の算出原理を示す説明図。
【図9】予測時間とクランク角との関係を示す説明図。
【符号の説明】
11…内燃機関としてのガソリンエンジン、22…吸気
バルブ、35…スロットルバルブ、38…吸気通路、5
1…タイミング検出手段の一部を構成するカム角セン
サ、52…タイミング検出手段の一部及び回転速度検出
手段の一部を構成するクランク角センサ、54…開度検
出手段としてのスロットルセンサ、55…吸入空気量検
出手段を構成する吸気圧センサ、63…可変バルブタイ
ミング機構(VVT)、89…タイミング検出手段の一
部及び回転速度検出手段の一部を構成するとともに、定
常吸入空気量推定手段、補正処理手段、開弁時期推定手
段、空気量演算手段及び吸入空気量予測手段の各々を構
成するCPU、TA…スロットル開度、PM…吸入空気
量相当値としての吸気圧、NE…エンジン回転速度、V
TB…作動タイミングとしての変位角、PMTA…定常
状態での吸気圧、PMCRT4…なまし値、tTFWD
…予測時間、tPMVLV…予測吸気圧、PMFWD…
最終予測吸気圧。
フロントページの続き (72)発明者 長縄 忠久 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車 株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 吸気通路を開閉する吸気弁の作動タイミ
    ングを調整するための可変バルブタイミング機構を備え
    た内燃機関に用いられるものであって、 前記吸気通路途中のスロットル弁の開度を検出する開度
    検出手段と、 前記内燃機関の回転速度を検出する回転速度検出手段
    と、 前記吸気通路を通って内燃機関に吸入される実際の空気
    の量又はその相当値を検出する吸入空気量検出手段と、 前記可変バルブタイミング機構により調整される吸気弁
    の作動タイミングを検出するタイミング検出手段と、 前記吸気弁閉弁前の所定時点において、前記開度検出手
    段によるスロットル開度及び前記回転速度検出手段によ
    る機関回転速度に基づき、前記内燃機関が定常状態を維
    持したと仮定した条件下での吸入空気量又はその相当値
    を推定する定常吸入空気量推定手段と、 前記定常吸入空気量推定手段により推定された吸入空気
    量又はその相当値に対し、現時点での運転状態を加味し
    た補正処理を行う補正処理手段と、 前記タイミング検出手段による吸気弁の作動タイミング
    に基づき、同吸気弁の閉弁時期を推定する閉弁時期推定
    手段と、 前記補正処理手段による補正処理を、前記所定時点から
    前記閉弁時期推定手段による推定閉弁時期の直前まで連
    続して行わせ、前記スロットル弁の動作に応じた前記吸
    気弁閉弁時の吸入空気量又はその相当値を演算する空気
    量演算手段と、 前記所定時点において前記吸入空気量検出手段にて検出
    された吸入空気量又はその相当値、及び前記空気量演算
    手段にて演算された吸入空気量又はその相当値に基づ
    き、前記吸気弁閉弁時の吸入空気量を予測する吸入空気
    量予測手段とを備えた内燃機関の吸入空気量予測装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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