JPH08283667A - コラーゲン賦形物およびその製造方法 - Google Patents

コラーゲン賦形物およびその製造方法

Info

Publication number
JPH08283667A
JPH08283667A JP7088909A JP8890995A JPH08283667A JP H08283667 A JPH08283667 A JP H08283667A JP 7088909 A JP7088909 A JP 7088909A JP 8890995 A JP8890995 A JP 8890995A JP H08283667 A JPH08283667 A JP H08283667A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
collagen
gel
collagen gel
solution
aqueous solution
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP7088909A
Other languages
English (en)
Inventor
Kanehisa Yokoyama
兼久 横山
Hideaki Asai
秀昭 浅井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Bakelite Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Bakelite Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Bakelite Co Ltd filed Critical Sumitomo Bakelite Co Ltd
Priority to JP7088909A priority Critical patent/JPH08283667A/ja
Publication of JPH08283667A publication Critical patent/JPH08283667A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Materials For Medical Uses (AREA)
  • Colloid Chemistry (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 酸性コラーゲン水溶液に、アミノ酸や糖類の
水溶液と中和液を加えてコラーゲンゲルを生成させ、こ
れに蛋白質架橋剤を接触、反応させて架橋化させ、コラ
ーゲン内部の構造を保持させた。さらには、これに無機
塩類の水溶液を接触させてコラーゲンゲル中の不要な成
分を置換除去し、次に純水を接触させて前記無機塩類を
置換除去した。 【効果】 コラーゲンゲルとほゞ同等の構造を保ちなが
ら、コラーゲンゲルに比べて振動耐久性や強度が高く、
かつ保存中における硬さの変化も少なく、コラーゲンゲ
ル本来の生体適合性を保持していて、培養用基材や人工
血管等の素材として適している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、コラーゲンゲルを主と
して医用素材として用いるための、コラーゲンゲルの構
造を保持しながら、その強度を増し、取り扱いを容易に
した、培養基材、人工血管、人工皮膚など生体適合性材
料として応用できる、コラーゲン賦形物およびその製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】コラーゲンは、細胞培養の分野では、細
胞の接着性を付与する目的で培養器表面に塗布したり、
膜状に加工して細胞の共培養に応用されてきた。また近
年、コラーゲンゲル上に肝臓細胞など機能性の細胞を播
種し培養することによって、細胞の機能を維持した培養
に盛んに使用されるようになってきた。細胞培養分野で
使用されるコラーゲンは、コラーゲンの構造が細胞の培
養性や機能の発現に大きく影響を与え、特に近年機能維
持培養に用いられるコラーゲンのゲルの場合、それが特
に顕著である。また、このコラーゲンのゲルは非常に柔
らかく、輸送するのが困難である。その他、凍結乾燥に
より形成させたコラーゲンのスポンジもしばしば使用さ
れている。しかし、このコラーゲンスポンジ内部の構造
は、コラーゲンゲルとは全く構造が異なる。
【0003】また、人工血管の分野では、コラーゲンを
架橋剤により処理し、人工血管内面に導入して生体適合
性を高めるのに使用されている。コラーゲン層に強度を
与えるため、コラーゲン溶液にグルタルアルデヒドなど
の架橋剤を混合し、コラーゲンを架橋させたゲルを人工
血管内面に導入しているが、この方法では、コラーゲン
ゲル層が固くなり人工血管として非常に脆くなるほか、
コラーゲンの内部構造も実際のコラーゲンゲルの構造と
大きく異なり、生体適合性が低下する。さらに、コラー
ゲンの架橋の度合いをコントロールすることが難しく、
架橋処理を行う毎に架橋度が変わり、コラーゲンゲルの
表面や内部構造が異なり、そのため生体適合性能が異な
る結果となる。
【0004】細胞培養分野においても同様に、人工血管
の場合と同じ手法でコラーゲンゲルに強度を付与しよう
としても、コラーゲンゲルの表面と内部とで構造が大き
く変化し、機能性を有する細胞の機能発現の度合いが異
なってくる。また、架橋条件により大きくコラーゲン表
面や内部の構造が異なり、架橋ごとに細胞の機能の発現
性が異なる問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、細胞
培養分野や、人工血管等の医療分野などで使用されるコ
ラーゲンのゲル状素材のこのような欠点を解決しようと
するもので、コラーゲンゲル表面や内部の構造を保持し
たまま、コラーゲンゲルの強度を向上させ、かつ作製ご
とのコラーゲンゲル表面や内部の構造のばらつきが少な
いコラーゲン賦形物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
の結果、架橋剤を用いずに酸性コラーゲン水溶液の中和
によりコラーゲンゲルを形成させた後、蛋白質の架橋剤
を接触、反応させることにより、コラーゲンゲルの表面
および内部の構造を保持し、コラーゲンゲルの強度を増
強できること、さらに架橋剤を作用させるとき、コラー
ゲンゲル内部にアミノ酸類や糖類が含まれていると、架
橋処理ごとの構造や特性のばらつきが小さいこと、およ
び架橋剤による反応終了後、無機塩類を溶解させた溶液
中に浸漬することにより、未反応の架橋剤や副生成物、
その他アミノ酸や糖類を効率よく除去でき、得られたコ
ラーゲン賦形物の経時的な変化が少ないことを見いだ
し、本発明の完成に到った。
【0007】即ち本発明は、酸性コラーゲン水溶液に中
和液を加えてコラーゲンゲルを生成させ、これに蛋白質
架橋剤を接触、反応させて架橋化させ、コラーゲンゲル
内部の構造を保持させたことを特徴とするコラーゲン賦
形物であり、さらには、コラーゲンゲル構造中の未反応
物および副生成物を置換除去し、水、両親媒性有機溶
剤、もしくはこれらの混合液を含有させ、あるいは、こ
れらを凍結乾燥したことを特徴とする。
【0008】またさらには、酸性コラーゲン水溶液に、
ゲル調製成分としてのアミノ酸類や糖類の水溶液、およ
び中和液を加えてコラーゲンゲルを生成させ、もしく
は、コラーゲンゲル生成後に、ゲル調製成分を接触させ
てコラーゲンゲルの構造中に包含させた後、蛋白質架橋
剤を接触、反応させて架橋化させ、コラーゲンゲル内部
の構造を保持させ、これに無機塩類の水溶液を接触させ
て、コラーゲンゲル構造中のゲル調製成分、未反応物お
よび副生成物を置換除去し、次に純水を接触させて前記
無機塩類を置換除去することを特徴とするコラーゲン賦
形物の製造方法である。
【0009】本発明は、架橋剤による処理の前に、コラ
ーゲンゲルの構造を構築し、コラーゲンゲル内部に水を
包含したまま架橋剤を反応させることにより、コラーゲ
ンゲルの構造を保持した状態での架橋が可能であること
と、コラーゲンゲルの内部と外部の濃度差による溶液の
拡散により、即ちコラーゲンゲル内部に外部の溶液が侵
入し、内部の溶液が外部の溶液中に拡散して、コラーゲ
ンゲル内部に貯留した不要な成分を排出できることに基
づく。
【0010】使用するコラーゲンとしては、I型コラー
ゲンなどコラーゲン単体でゲルを形成するものが選ばれ
る。コラーゲンゲルは静置の状態ではゲルの形状を保持
し、内部には水分を保持している。この状態で架橋剤と
接解、反応させると、コラーゲン繊維間の距離が保た
れ、コラーゲン繊維自身の架橋に留まるので、コラーゲ
ンゲル内部の構造は保たれる。コラーゲンゲル中に保持
されている水分中にアミノ酸や糖類が含有されていれ
ば、過剰の架橋剤はこれらと反応し、架橋反応が適度に
進むことがないので、反応時間や架橋剤の濃度による影
響は少なくなり、架橋反応毎のばらつきは小さくなる。
【0011】架橋剤としては、一般には、蛋白質中のア
ミノ基やカルボキシル基と反応して架橋を起こすものが
用いられる。そのような架橋剤としては、グルタルアル
デヒド、ヘキサメチレンジイソシアネート、カルボジイ
ミドや水溶性の多価エポキシ化合物などが挙げられる
が、中でもグルタルアルデヒドやヘキサメチレンジイソ
シアネートが分子量が小さく、本発明においては、コラ
ーゲンゲル内部の構造を壊す可能性が少なく適してい
る。未反応のグルタルアルデヒドは細胞に対して毒性を
有するが、無機塩類水溶液中への浸漬により容易に除去
でき、毒性を示すことはなくなる。
【0012】架橋反応後は、コラーゲンゲル中に貯留し
た未反応の架橋剤や副生成物を除去する必要がある。コ
ラーゲンゲルの内部は水の動きが遅く、純水に浸漬した
だけでは、純水のコラーゲンゲル内部への拡散は起こり
にくく、除去が難かしい。特に、アミノ酸類や糖類など
から成るゲル調製成分は、コラーゲンや水との親和性が
高いため、コラーゲンゲルの構造中からの除去は非常に
難かしい。このような場合には、コラーゲンゲルを無機
塩類等の高濃度の溶液と接触させて、溶液の濃度差を利
用してコラーゲンゲル内に拡散させ、コラーゲン内部に
貯留している不要な成分と置換させることにより、排出
することが出来、効果がある。
【0013】この高濃度溶液の溶質は、コラーゲンゲル
内部に進入して不要な成分を排出させた後、最終的には
それ自身も水と交換して排出、除去されなければならな
い。このような処理を効率よく進めるためには、コラー
ゲンゲル内での移動が速やかに行われることが必要で、
そのためには、分子量が小さく、かつ、溶液全体の電荷
が中性であることが好ましく、そのような溶質としては
無機塩類が最も適する。また、使用する無機塩類として
は、金属イオンが沈殿を生じないものであることが必要
であり、また毒性が低いことが望ましく、そのような金
属としてはナトリウムやカリウムが挙げられる。陰イオ
ンとしてはイオンの大きさが小さく動き易いほうが好ま
しく、これらを総合的にみると、塩化ナトリウムまたは
塩化カリウムが使用する無機塩類として適当である。
【0014】また、コラーゲンゲルに接触させる水溶液
は、コラーゲンゲル内部に速やかに浸入して、コラーゲ
ンゲル内部に貯留しているゲル調製成分等を外部に拡散
させる役目をするものであるから、濃度をなるべく高く
し、濃度勾配をなるべく大きくするのが効率が高く、従
って飽和溶液を用いるのが好ましい。このような高濃度
の溶液を接触させることによる構造の崩解や変化が危惧
されるが、コラーゲンゲルが架橋剤により強度を付与さ
れているため、そのような問題は生じない。
【0015】次に、本発明のコラーゲンゲル賦形物の製
造手順について、その一例を具体的に述べる。先ず、酸
性コラーゲンI型溶液に、リン酸緩衝液および水酸化ナ
トリウム水溶液を混合し、中和されたコラーゲンゲル形
成溶液を調製し、プレートやシャーレのウェルや型など
に分注し、37℃で加温してコラーゲンゲルを形成させ
る。このとき、リン酸緩衝液に、必要に応じてアミノ酸
や糖類を添加しても良い。
【0016】次に、蛋白質の架橋剤を溶解させた水溶液
を分注し静置することにより、コラーゲンゲルに架橋処
理を施す。蛋白質の架橋液には、一般にpH7.4に調
製されたグルタルアルデヒド溶液を用いる。架橋が終了
したら、無機塩類の飽和水溶液を分注する。この際用い
る無機塩類としては、上述したとおり、塩化ナトリウム
などが適当である。飽和塩化ナトリウム水溶液を分注し
数時間静置するが、その量はコラーゲンゲルの容積の2
倍以上とするのが望ましい。この操作により、コラーゲ
ンゲル中に貯留した未反応の架橋剤や副生成物、架橋反
応の安定化のために添加したアミノ酸や糖類は、容易に
塩化ナトリウム溶液と置換されコラーゲンゲル外に除去
される。続いて、飽和塩化ナトリウム溶液をピペットな
どで吸引除去し、純水を加えて静置する。この過程で、
塩化ナトリウムがコラーゲンゲル外に除去され、代って
コラーゲンゲルの構造内は水で満される。
【0017】さらに必要に応じて、エタノール等の両親
媒性有機溶剤と水の混合液を分注して静置する操作を、
段階的にエタノール濃度を高めた水との混合液を用いて
順次に繰り返すことにより、コラーゲンゲル中の水分を
置換、除去する。この過程で、コラーゲンゲル中に残留
している塩化ナトリウム等は完全に除去され、また、水
分の含量も段階的に減少して行く。そして最後に、水を
加えない100%エタノールで同様に処理することによ
り、コラーゲンゲル中の水分量が0に近い所まで脱水さ
れる。このようにして、両親媒性有機溶剤でコラーゲン
ゲル内の水を置換することにより、コラーゲンゲルの保
存性を高めることが出来、また、本発明のコラーゲン賦
形物を培養基材や人工血管などに使用するために、培養
液や生理的食塩水などと置換したい場合、速やかに実施
出来る利点が得られる。
【0018】またさらに必要に応じて、上記のようにし
て調製したコラーゲンゲル(賦形物)に、凍結乾燥処理
を施しても良い。これにより、乾燥した状態で保存出来
るだけでなく、使用時には培養液や生理的食塩水で容易
に湿潤させることが出来て、便利である。
【0019】
【実施例】次に、実施例と比較例により本発明をさらに
具体的に説明する。 〔実施例1〕0.3%酸可溶化コラーゲンI型溶液とL
−15培地、および中和液を8:1:1の割合で混合
し、コラーゲンゲル形成用溶液を調製して、24穴プレ
ート(住友ベークライト製 MS−80240)の各ウ
ェル中に、500μl/ウェル宛分注し、37℃で加温
しコラーゲンゲルを形成させた後、2%グルタルアルデ
ヒド溶液を1ml/ウェルの割合で分注し、25℃で1時
間静置して架橋をおこなった。ウェル中のグルタルアル
デヒド溶液を除去したのち、飽和食塩水を1ml/ウェル
の割合で分注して室温で2時間静置し、さらに、飽和食
塩水を除き、純水1ml/ウェル量を分注して室温で1時
間静置し、コラーゲン賦形物を得た。このコラーゲン賦
形物を、内部の水分が蒸発しないようにウェルを純水で
満たして保存し、各試験に供した。
【0020】〔実施例2〕実施例1と同様にしてコラー
ゲンゲルを形成、架橋させ、飽和食塩水および純水で処
理したコラーゲン賦形物を、さらに、ウェルから純水を
除き、エタノール1ml/ウェル量を分注し静置する操作
を3回繰り返して脱水した。この構造中にエタノールを
包含したコラーゲン賦形物を、ウェルにエタノールを満
たした状態で保存し、次の各試験に供した。
【0021】〔実施例3〕実施例1で得られたコラーゲ
ン賦形物を凍結乾燥し、乾燥状態を保つため防湿包装を
施して保存し、次の各試験に供した。
【0022】〔比較例1〕0.3%酸可溶化コラーゲン
I型溶液と2%グルタルアルデヒド溶液を8:2の割合
で混合して、コラーゲンゲル形成用溶液を調製し、実施
例1で用いたと同じ24穴プレートの各ウェル中に、5
00μl/ウェル宛分注して室温で30分静置し、次い
で純水1ml/ウェルを分注して室温で1時間静置し、コ
ラーゲン賦形物を得た。これを、実施例1と同様ウェル
に純水を満たして保存し、各試験に供した。
【0023】〔比較例2〕実施例1と同じ24穴プレー
トを使用し、0.3%酸可溶化コラーゲンI型溶液、リ
ン酸緩衝液、および中和液を8:1:1の割合で混合し
て、コラーゲンゲル形成用溶液を調製し、各ウェル中に
正確に500μl/ウェル宛分注し、37℃で加温しコ
ラーゲンゲル(賦形物)を得た。これを実施例1および
比較例1と同様にウェルに純水を満たして保存し、各試
験に供した。
【0024】〔コラーゲン賦形物の厚みの比較試験〕コ
ラーゲン賦形物の構造および密度の比較を行うため、各
実施例および比較例で得られたコラーゲン賦形物とコラ
ーゲンゲルの厚みの比較を行った。実施例2については
内部のエタノールを純水で置換し、また、実施例3につ
いては純水を加えてコラーゲン賦形物に水を包含させた
状態て厚みを測定し、比較例2で得られたコラーゲンゲ
ルの厚みを100として比較した。
【0025】〔コラーゲン賦形物の振動耐久性試験〕輸
送時等の振動に対する耐久性の確認を行うため、実施例
および比較例で得られたコラーゲン賦形物を、プレート
ごと振とう機にかけ、振幅3cm、100回/分で24時
間振動を与え、コラーゲン賦形物およびコラーゲンゲル
の崩壊の状況を比較した。
【0026】〔保存における硬さの変化の比較〕室温2
5℃において6ヶ月間保存し、コラーゲン賦形物および
コラーゲンゲルの硬さの変化を、調製直後の硬さと比較
した。実施例2については内部のエタノールを純水で置
換し、また、実施例3については純水を加えてコラーゲ
ン賦形物に水を包含させた状態で硬さを測定した。各々
調製直後および調製後6ヶ月保存したものについて硬さ
を測定し、調製直後の比較例2のコラーゲンゲルの硬さ
を100として数値化した。
【0027】
【表1】
【0028】試験結果は表1に示した通りで、本発明に
よるコラーゲン賦形物は、厚みの減少が少なくコラーゲ
ンゲルと同等の構造を保っているばかりでなく、振動を
加えても崩解や変形を生ずることがなく、従来の方法で
架橋させたコラーゲンゲル(比較例1)に比較して耐久
性に優れ、また保存によるコラーゲン賦形物の硬さの変
化が少なく、経時的な架橋の進行が殆んどなく安定なこ
とが明白である。
【0029】
【発明の効果】本発明のコラーゲン賦形物は、コラーゲ
ンゲルとほぼ同等の構造を保ちながら、コラーゲンゲル
に比べて振動耐久性や強度が高く、かつ保存中における
変化も少なく、培養用基材や人工血管などの基材とし
て、コラーゲンゲル本来の生体適合性を保持し、かつ、
強度および保存性を高めた素材として好適である。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸性コラーゲン水溶液に中和液を加えて
    コラーゲンゲルを生成させ、これに蛋白質架橋剤を接
    触、反応させて架橋化させ、コラーゲンゲル内部の構造
    を保持させたことを特徴とするコラーゲン賦形物。
  2. 【請求項2】 架橋化させたコラーゲンゲルに、水、両
    親媒性有機溶剤、もしくはこれらの混合液を接触させ
    て、コラーゲンゲル構造中の未反応物および副生成物を
    置換除去したことを特徴とする、請求項(1)記載のコ
    ラーゲン賦形物。
  3. 【請求項3】 架橋化させたコラーゲンゲルを凍結乾燥
    したことを特徴とする、請求項(1)もしくは請求項
    (2)記載のコラーゲン賦形物。
  4. 【請求項4】 酸性コラーゲン水溶液にゲル調製成分お
    よび中和液を加えてコラーゲンゲルを生成させ、蛋白質
    架橋剤を接触、反応させて架橋化させ、コラーゲンゲル
    内部の構造を保持させた後、これに無機塩類の水溶液を
    接触させて、コラーゲンゲル構造中のゲル調製成分、未
    反応物および副生成物を置換除去し、次に純水を接触さ
    せて前記無機塩類を置換除去することを特徴とするコラ
    ーゲン賦形物の製造方法。
  5. 【請求項5】 ゲル調製成分がアミノ酸もしくは糖類の
    水溶液であることを特徴とする、請求項(4)記載のコ
    ラーゲン賦形物の製造方法。
  6. 【請求項6】 酸性コラーゲン水溶液に中和液を加えて
    コラーゲンゲルを生成させ、これにアノミ酸もしくは糖
    類の水溶液を接触させてコラーゲンゲルの構造中に包含
    させた後、蛋白質架橋剤を接触、反応させて架橋化さ
    せ、コラーゲンゲル内部の構造を保持させ、これに無機
    塩類の水溶液を接触させて、コラーゲンゲル構造中のゲ
    ル調製成分、未反応物および副生成物を置換除去し、次
    に純水を接触させて前記無機塩類を置換除去することを
    特徴とするコラーゲン賦形物の製造方法。
  7. 【請求項7】 無機塩類の水溶液が飽和溶液であること
    を特徴とする、請求項(4)ないし請求項(6)のいず
    れかに記載のコラーゲン賦形物の製造方法。
  8. 【請求項8】 無機塩類が、塩化ナトリウムもしくは塩
    化カリウムであることを特徴とする、請求項(4)ない
    し請求項(7)のいずれかに記載のコラーゲン賦形物の
    製造方法。
  9. 【請求項9】 コラーゲンゲル構造中の無機塩類を置換
    除去したコラーゲン賦形物に、更に、両親媒性有機溶
    剤、もしくは両親媒性有機溶剤と水との混合液を接触さ
    せて、水分の含有量を減少させたことを特徴とする、請
    求項(4)ないし請求項(8)のいずれかに記載のコラ
    ーゲン賦形物の製造方法。
  10. 【請求項10】 両親媒性有機溶剤が、メタノール、エ
    タノール、アセトンの中から選ばれた1つであることを
    特徴とする、請求項(9)記載のコラーゲン賦形物の製
    造方法。
  11. 【請求項11】 架橋化させたコラーゲンゲルを凍結乾
    燥することを特徴とする、請求項(4)ないし請求項
    (10)のいずれかに記載のコラーゲン賦形物の製造方
    法。
JP7088909A 1995-04-14 1995-04-14 コラーゲン賦形物およびその製造方法 Pending JPH08283667A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7088909A JPH08283667A (ja) 1995-04-14 1995-04-14 コラーゲン賦形物およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7088909A JPH08283667A (ja) 1995-04-14 1995-04-14 コラーゲン賦形物およびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH08283667A true JPH08283667A (ja) 1996-10-29

Family

ID=13956078

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7088909A Pending JPH08283667A (ja) 1995-04-14 1995-04-14 コラーゲン賦形物およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH08283667A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005079879A1 (ja) * 2004-02-25 2005-09-01 Ihara & Company Ltd. コラーゲンゲルおよびその製造方法
WO2010087015A1 (ja) * 2009-02-02 2010-08-05 東洋紡績株式会社 神経再生誘導管
JP2014519843A (ja) * 2011-06-23 2014-08-21 ナショナル チェン クン ユニバーシティー 接着性細胞組織ゲル
JP2021519185A (ja) * 2018-03-27 2021-08-10 デイタム デンタル リミテッド コラーゲンを含む成形ブロック
EP4116320A4 (en) * 2020-06-22 2023-08-16 Toppan Inc. GEL COMPOSITION AND MANUFACTURING METHOD THEREOF, AND THREE-DIMENSIONAL TISSUE BODY AND MANUFACTURING METHOD THEREOF

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005079879A1 (ja) * 2004-02-25 2005-09-01 Ihara & Company Ltd. コラーゲンゲルおよびその製造方法
US8105629B2 (en) 2004-02-25 2012-01-31 Ihara & Company Ltd. Collagen gel and process of producing the same
WO2010087015A1 (ja) * 2009-02-02 2010-08-05 東洋紡績株式会社 神経再生誘導管
JP4572996B2 (ja) * 2009-02-02 2010-11-04 東洋紡績株式会社 神経再生誘導管
EP2404622A1 (en) * 2009-02-02 2012-01-11 Toyo Boseki Kabushiki Kaisha Nerve regeneration-inducing tube
JPWO2010087015A1 (ja) * 2009-02-02 2012-07-26 東洋紡績株式会社 神経再生誘導管
EP2404622A4 (en) * 2009-02-02 2013-01-23 Toyo Boseki THE NERVE REGENERATION INDUCING TUBE
US8741328B2 (en) 2009-02-02 2014-06-03 Toyo Boseki Kabushiki Kaisha Nerve regeneration-inducing tube
EP2987508A1 (en) * 2009-02-02 2016-02-24 Toyobo Co., Ltd. Nerve regeneration-inducing tube
JP2014519843A (ja) * 2011-06-23 2014-08-21 ナショナル チェン クン ユニバーシティー 接着性細胞組織ゲル
JP2021519185A (ja) * 2018-03-27 2021-08-10 デイタム デンタル リミテッド コラーゲンを含む成形ブロック
EP4116320A4 (en) * 2020-06-22 2023-08-16 Toppan Inc. GEL COMPOSITION AND MANUFACTURING METHOD THEREOF, AND THREE-DIMENSIONAL TISSUE BODY AND MANUFACTURING METHOD THEREOF

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Kost et al. Glucose‐sensitive membranes containing glucose oxidase: Activity, swelling, and permeability studies
RU2381238C2 (ru) Способ получения глюкозочувствительных полимерных гидрогелей
CZ2011241A3 (cs) Amfoterní materiál na bázi sítované kyseliny hyaluronové, zpusob jeho prípravy, materiály obsahující aktivní cinidla uzavrené v síti hyaluronanu, zpusob jejich prípravy a jejich použití
Dickinson et al. Biodegradation of a poly (α‐amino acid) hydrogel. I. In vivo
CN108129687B (zh) 一种表面为磷酰胆碱的仿细胞外层膜结构涂层的制备方法
EP3689901A1 (en) Method for producing collagen vitrigel, method for producing purified collagen vitrigel, and collagen vitrigel and purified collagen vitrigel produced by said methods
Lozinsky et al. Influence of succinylation of a wide-pore albumin cryogels on their properties, structure, biodegradability, and release dynamics of dioxidine loaded in such spongy carriers
HU208840B (en) Process for crosslinking collagens with diphenyl phosphoryl azide
TWI230619B (en) Method of crosslinking of porous biodegradable polymers
CN109481339B (zh) 一种胶原基复合水凝胶面膜材料及其制备方法和应用
JPH08283667A (ja) コラーゲン賦形物およびその製造方法
KR102076909B1 (ko) 알지네이트 그라프트 공중합체를 포함하는 생체적합성 하이드로젤 및 이의 제조방법
Murali et al. Bionic, porous, functionalized hybrid scaffolds with vascular endothelial growth factor promote rapid wound healing in Wistar albino rats
JP3437430B2 (ja) コラーゲン成形体及びコラーゲン成形体の作製法
JP2507885B2 (ja) 絹フィブロインハイドロゲル
Greville et al. Observations on the fragmentation of isolated flight-muscle mitochondria from Calliphora erythrocephala (Diptera)
CN106905554B (zh) 一种含有氨基的磷酰胆碱聚合物与戊二醛仿生涂层增密的方法
WO2016172365A1 (en) Cell-collagen-silica composites and methods of making and using the same
CN112940302B (zh) 金属离子介导的胶原蛋白凝胶、制备方法及应用
DE60122500T2 (de) Verfahren zur herstellung von proteinhaltigen hydrogelen
CN104672484A (zh) 一种交联多聚糖组织工程多孔支架的制备方法
Giammona et al. New hydrogel matrices based on chemical crosslinked α, β-polyas parthydrazide: Synthesis, characterization and in vivo biocompatibility studies
JPH11322807A (ja) 架橋ヒアルロン酸スポンジの製造方法
RU2652126C1 (ru) Способ получения глюкозочувствительных полимерных гидрогелей
CA2626778A1 (en) Angiogenesis-promoting substrate