JPH08283467A - はっ水性ゴム組成物 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ゴム製自動車タイヤ、ゴム摺動物品等のゴム
製品表面への水滴、水膜の付着および油膜等の付着にと
もなう摩擦力の低下を防止するためのはっ水性ゴム組成
物を提供する。 【構成】 平均分子量５００〜１００００で平均粒子
０．５μｍ〜１０μｍの末端までフッ素化した低分子量
四フッ化エチレン（ポリテトラフルオロエチレン）樹脂
をシリコン系カップリング剤またはフッソ系カップリン
グ剤で表面処理し、この表面処理した低分子量四フッ化
エチレンをゴム組成物に５〜４０部混入し、硬化反応を
経て得られる組成物であることを特徴とする。 【効果】 水との接触角が１４０゜以上と非常に高く、
さらに表面層が摩擦等により摩耗しても水との接触角は
１４０以上を保ち、そのはっ水効果は優れている。この
ため、水の影響を受けやすい自動車タイヤ、ゴムローラ
に使用することにより水の影響を受けない安定した摩耗
特性を発現するとともに、摩耗面は水膜による滑り現象
を防止できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明ははっ水性ゴム組成物、さ
らに詳細にはゴム組成物（成形品）にはっ水性を持た
せ、水の存在下での摩耗において成形品表面に全く水を
受け付けないようにし、水の影響を受けない安定した摩
耗特性を発現するとともに、さらに摩耗面は水膜による
滑り現象は発生せず、雨中、雪および氷結道路でのゴム
製自動車タイヤ、水の存在下でのゴムローラ等の摺動物
品および摩耗性ゴム成形品に適したはっ水性ゴム組成物
に関するものである。

【０００２】

【従来の技術および問題点】従来、ゴム製自動車タイヤ
およびゴム摺動物品の表面は無処理、または、表面処理
剤ではっ水処理、滑り止め処理等が行われているが、特
に、はっ水処理については充分な効果は得られず、表面
には水膜、水滴および油膜が付着し、対物との摩擦面で
は滑り止め効果は発揮されていないのが現状である。

【０００３】自動車タイヤでは、使用時の路面との接面
においてゴム表面が摩耗を受け、表面が削り取られ常に
新しいゴム面が露出されるため、表面処理剤によるはっ
水処理やゴム成形品からブルーミングしたり逃避する処
理剤の混合では、充分なはっ水効果は発揮できない。

【０００４】また、ゴムローラ等の摩擦力を必要とする
摺動物品では、水の付着によりゴムローラの摩擦力は低
下し、機能を発揮しない。

【０００５】本発明の目的はゴム製自動車タイヤ、ゴム
摺動物品等のゴム組成物の表面への水滴の、水膜の付着
および油膜等の付着にともなう摩擦力の低下にともなう
障害の発生を防止するため、はっ水性ゴム組成物を提供
することにある。

【０００６】

【問題点を解決するための手段】上記問題点を解決する
ため、本発明によるはっ水性ゴム組成物は、平均分子量
５００〜１００００で平均粒子０．５μｍ〜１０μｍの
末端までフッ素化した低分子量四フッ化エチレン（ポリ
テトラフルオロエチレン）樹脂をシリコン系カップリン
グ剤またはフッソ系カップリング剤で表面処理し、この
表面処理した低分子量四フッ化エチレンをゴム組成物に
５〜４０部混入し、硬化反応を経て得られる組成物であ
ることを特徴とするものである。

【０００７】本発明のはっ水性ゴム組成物は通常の作業
環境温度で容易に成形加工および加硫処理（硬化反応処
理）ができ、加硫処理後のゴム成形品は充分なはっ水
性、耐摩耗性、耐久性を有し、かつ、充分な機械的特性
を有していることを特徴とし、はっ水性を要求される摺
動用ゴム製品にも使用できるものである。

【０００８】従来の技術によるゴム組成物のはっ水性付
与には、はっ水処理剤によって行われている。このはっ
水処理剤にはシリコーン系、フッソ系、鉱物油および植
物油等の防水剤が一般的に使用されているが、防水性の
目安となる処理表面での水との接触角は１１０゜以下で
あり、さらに表面が摩耗した場合の接触角はさらに低下
し、１００゜以下になり、ほとんどはっ水処理効果は期
待できない。

【０００９】本発明によるはっ水性ゴム組成物での水と
の接触角は、加硫後の表面で１２０゜以上、摩耗面で１
４０゜以上、はっ水処理効果の接続時間は屋外使用で５
年間以上であり、従来の技術とは添加する四フッ化エチ
レン樹脂の平均分子量、平均粒子径、およびブレンド技
術、安定化技術が全く異なる。

【００１０】本発明によるはっ水性ゴム組成物に使用す
る四フッ化エチレンは、前述のように平均分子量が５０
０〜１００００である。平均分子量が５００未満である
と、後述の表より明らかなように水との接触角が小さく
なり、一方１００００を越えると、同様に水との接触角
が小さくなるとともに、耐候性にも問題を生じる。

【００１１】また本発明による四フッ化エチレンの平均
粒径は、０．５〜１０μｍである。平均粒径が１０μｍ
を越えると、接触角が小さくなって、良好な効果が得ら
れないからである。

【００１２】前述の四フッ化エチレンはゴム基材中に５
〜４０重量部添加される。四フッ化エチレンの添加量が
５重量部未満では、はっ水効果が非常に低下、４０重量
部を越えると粘性が高すぎ、ゴム中への分散が困難で作
業性におちる。

【００１３】本発明によれば、前述の四フッ化エチレン
はシリコーン系あるいはフッ素系カップリング剤で発水
処理が行なわれる。このようなシリコーン系ないしフッ
素系カップリング剤は、本発明において基本的に限定さ
れるものではなく、従来この種の発水性の付与に使用さ
れるものを有効に使用することができる。

【００１４】前述のような四フッ化エチレンを添加する
ゴムは、本発明において基本的に限定されるものではな
く、たとえば天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴムに添
加することができる。

【００１５】

【実施例１】天然ゴム１００部に表面処理（シランカッ
プリング剤による表面処理）を行った低分子量四フッ化
エチレン樹脂（平均分子量６０００、平均粒子３．８μ
ｍ）を２０部、カーボンブラック５０部、老化防止剤１
部、架橋剤２部を添加し、充分混合撹拌した後、１０ｍ
ｍ厚のシートを作製し、加硫処理を行いゴム成形品とし
た。

【００１６】この結果、ゴム成形品表面での水との接触
角は１４１゜、表面を１ｍｍ摩耗した後の水との接触角
も１４３゜であり、また、５年分の耐候性加速試験で異
常がなかった。

【００１７】

【比較例２】天然ゴム１００部に表面処理（シランカッ
プリング剤による表面処理）を行った低分子量四フッ化
エチレン樹脂（平均分子量８０００、平均粒子１０．５
μｍ）を２０部、カーボンブラック５０部、老化防止剤
１部、架橋剤２部を添加し、充分混合撹拌した後、１０
ｍｍ厚のシートを作製し、加硫処理を行いゴム成形品と
した。

【００１８】この結果、ゴム成形品表面での水との接触
角は１２０゜、表面を１ｍｍ摩耗した後の水との接触角
も１００゜であり、また、５年分の耐候性加速試験で水
との接触角も１００゜以下になり充分なはっ水性が得ら
れなかった。

【００１９】

【００２０】

【発明の効果】以上説明したように本発明のはっ水性ゴ
ム組成物によるゴム成形品表面の水との接触角は１４０
゜以上と非常に高く、さらに表面層が摩擦等により摩耗
しても水との接触角は１４０以上を保ち、そのはっ水効
果は優れている。このため、水の影響を受けやすい自動
車タイヤ、ゴムローラに使用することにより水の影響を
受けない安定した摩耗特性を発現するとともに、摩耗面
は水膜による滑り現象を防止できるなどその適用効果は
大きい。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高井 健一 東京都千代田区内幸町１丁目１番６号 日 本電信電話株式会社内 (72)発明者 斎藤 武雄 東京都武蔵野市緑町３丁目９番11号 株式 会社アフティ内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】平均分子量５００〜１００００で平均粒子
   ０．５μｍ〜１０μｍの末端までフッ素化した低分子量
   四フッ化エチレン（ポリテトラフルオロエチレン）樹脂
   をシリコン系カップリング剤またはフッソ系カップリン
   グ剤で表面処理し、この表面処理した低分子量四フッ化
   エチレンをゴム組成物に５〜４０部混入し、硬化反応を
   経て得られる組成物であることを特徴とするはっ水性ゴ
   ム組成物。