JPH08283448A - 樹脂複合材料 - Google Patents

樹脂複合材料

Info

Publication number
JPH08283448A
JPH08283448A JP8676095A JP8676095A JPH08283448A JP H08283448 A JPH08283448 A JP H08283448A JP 8676095 A JP8676095 A JP 8676095A JP 8676095 A JP8676095 A JP 8676095A JP H08283448 A JPH08283448 A JP H08283448A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
particles
composite material
thermal expansion
resin
vol
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP8676095A
Other languages
English (en)
Inventor
Kaneo Hamashima
兼男 浜島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP8676095A priority Critical patent/JPH08283448A/ja
Publication of JPH08283448A publication Critical patent/JPH08283448A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Macromonomer-Based Addition Polymer (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】熱伝導率が高くて放熱性に優れ、鋼に近い熱膨
張率を備えた樹脂複合材料を提供する。 【構成】平均粒径10μmのアルミナ粒子と平均粒径1
μmのシリカ粒子とが、不飽和ポリエステル樹脂に複合
添加されている。アルミナ粒子は15〜60vol%、
シリカ粒子は15〜50vol%であり、粒子の総vo
l%は60%以上である。樹脂複合材料は、電動モータ
の固定子11の溝15に装填され、溝15内の巻線コイ
ル部17を封止する封止材20に適用できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は樹脂複合材料に関する。
本発明に係る樹脂複合材料は、例えば産業機器や車両機
器や電子機器や電子素子等の封止用として利用できる。
具体的には電動モータの固定子や回転子に装備される巻
線コイル部を封止する封止材、半導体素子をモールドし
て包む封止材等に利用できる。
【0002】
【従来の技術】電動モ−タに用いられる封止材を例にと
って従来技術について説明する。電動モータでは樹脂材
料で封止することが行われている。この様に封止すれ
ば、水分や湿度等の侵入を防止でき、電気絶縁性を確保
するのに有利である。しかし電動モータの使用に伴い、
電動モータの内部で次第に蓄熱が生じる。特に電流が流
れる巻線コイル部がジュール熱で昇温し、蓄熱され易
い。殊に気密性が高い電動モータ、例えば水中あるいは
高湿度環境下で使用される電動モータでは、巻線コイル
部が昇温し易い。この場合には巻線コイル部における電
気抵抗が増加し、電動モータ駆動時におけるエネルギ−
損失が大きくなり、モータ駆動効率が低下し易い。
【0003】そこで電動モータにおける蓄熱に対応すべ
く、CaCO3 あるいはAl(OH)3 等の無機フィラ
ーを、耐熱性の向上のために含有させた樹脂材料で封止
する技術が知られている。また特開平4−33958号
公報には、ポリフェニレンサルファイド樹脂に、平均粒
径5μm以下のアルミナ粒子を添加して熱伝導性を高め
ると共に、ガラス繊維や炭素繊維等の繊維状強化材を添
加して機械的強度を高めた封止用樹脂材料が開示されて
いる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記したCaCO3
るいはAl(OH)3 等の無機フィラーを複合した樹脂
材料によれば、耐熱性の向上を図り得るものの、熱伝導
率が小さく、放熱性は充分ではない。そのため巻線コイ
ル部が昇温しがちである。また前記公報に係る樹脂材料
によれば、アルミナ粒子が含まれているので熱伝導率を
高め得るものの、樹脂材料の熱膨張率はかなり大きい。
そのため、激しいヒートサイクルが負荷される環境で使
用すると、クラックが発生するおそれがある。
【0005】特に樹脂材料よりも熱膨張率がかなり小さ
い鋼系材料が相手材である場合には、相手材との熱膨張
差に起因して樹脂材料にクラックが発生するおそれがあ
る。この様にクラックが発生すると、クラックを経て水
分や湿度の侵入を招き易く、耐候性の低下、電気絶縁性
の低下が誘発され易い。更にガラス繊維等の繊維状強化
材が添加される前記公報に係る樹脂材料によれば、繊維
状強化材が嵩むため、熱伝導率を高くし得るアルミナ粒
子の含有率は制約され、樹脂材料の放熱性を向上させる
のに不利である。
【0006】本発明は上記した実情に鑑みなされたもの
であり、高熱伝導性及び低熱膨張性の双方を確保するこ
とにより、放熱性に優れ、かつ、激しいヒートサイクル
条件が負荷される環境に使用されたとしても、鋼系等の
様に相手材の熱膨張率が樹脂よりも小さな場合であって
も、クラックの発生を抑えるのに有利な樹脂複合材料を
提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る樹脂複合
材料は、高熱伝導性を有するアルミナ粒子(以下Al 2
3 粒子ともいう)と低熱膨張性を有するシリカ粒子
(以下SiO2 粒子ともいう)とが、樹脂マトリックス
に複合添加されていることを特徴とするものである。
【0008】請求項2に係る樹脂複合材料は、請求項1
において、アルミナ粒子は15〜60vol%、シリカ
粒子が15〜50vol%であることを特徴とするもの
である。
【0009】
【作用】請求項1に係る樹脂複合材料によれば、高熱伝
導性を有するアルミナ粒子と、低熱膨張性を有するシリ
カ粒子との双方が樹脂マトリックスに複合添加されてい
るため、樹脂複合材料の熱伝導性が向上して放熱性が高
まると共に、樹脂複合材料の熱膨張率が抑制され、樹脂
マトリックス自体の熱膨張率に比べて低下する。よっ
て、樹脂マトリックスよりも低い熱膨張率が得られる。
例えば、鋼系材料に近い熱膨張率(〔10〜18〕×1
-6/℃)が得られる。
【0010】請求項2に係る樹脂複合材料によれば、ア
ルミナ粒子は15〜60vol%であるため、樹脂複合
材料の熱伝導性が向上して放熱性が高まると共に、シリ
カ粒子が15〜50vol%あるため、樹脂複合材料の
熱膨張率は低下する。よって、樹脂マトリックスよりも
低い熱膨張率が得られる。例えば、強磁性体である鋼系
材料に近い熱膨張率(〔10〜13〕×10-6/℃)が
得られる。
【0011】
【実施例】Al2 3 粒子とSiO2 粒子との双方を複
合したハイブリッド複合材料を形成するに先立ち、ま
ず、Al2 3 粒子を複合した複合材料、SiO2 粒子
を複合した複合材料を形成し、その特性を調べる試験を
行った。この試験で用いるAl2 3 粒子、SiO2
子、比較例で用いるガラス繊維の熱伝導率及び熱膨張率
をそれぞれ表1に示した。このSiO2 粒子は非晶質性
をもつものである。非晶性SiO2 は、結晶性SiO2
に比較して熱伝導率及び熱膨張率が小さい。なお熱伝導
率の単位cal/cm・s・℃は、cal・cm-1・s
-1・℃-1の意味である。
【0012】
【表1】 (1)Al2 3 粒子複合材料の特性 樹脂マトリックスを構成する不飽和ポリエステル樹脂
(比重ρ=1.4)の原料1kgに対し、Al2 3
子(比重ρ=3.96)を、それぞれ0.384kg、
0.867kg、1.489kg、2.317kg、
3.473kg、5.207kg、8.102kg、1
0.42kgを混練機を用いて均一に混ぜ合わせた。A
2 3 粒子は平均粒径10μm程度である。Al2
3 粒子は、表1から理解できる様にSiO2 粒子に比較
して熱伝導率が大きく、放熱性を向上させる。
【0013】更に硬化触媒としてベンゾイルパーオキサ
イド5gを樹脂にそれぞれ添加して充分に攪拌し、成形
用原料とした。そして各試験例に係る成形用原料を15
0℃の金型のキャビティに装入して10分間保持して樹
脂を加熱硬化させた。これにより、Al2 3 粒子含有
量が10vol%、20vol%、30vol%、40
vol%、50vol%、60vol%、70vol
%、75vol%の不飽和ポリエステル樹脂複合材料を
成形した。
【0014】更にAl2 3 粒子を含有しない、つまり
Al2 3 粒子が0vol%の不飽和ポリエステル樹脂
のみの成形材料を形成した。そして各材料の熱伝導率及
び熱膨張率を測定した。熱伝導率はレーザフラッシュ法
に基づき測定した。熱膨張率は熱膨張計により測定し
た。試験結果を図1に示す。図1の横軸はAl2 3
子含有量を示し、左方の縦軸は熱伝導率を示し、右方の
縦軸は熱膨張率を示す。図1の特性線A1は複合材料の
熱伝導率の結果を示し、特性線B1は複合材料の熱膨張
率の結果を示す。図1から理解できる様にAl2 3
子含有量が0%のときには、つまり樹脂のみの材料では
熱伝導率は4×10-4cal/cm・s・℃程度であ
り、熱膨張率は50×10-6/℃程度である。
【0015】特性線A1から理解できる様に、樹脂にA
2 3 粒子を複合すると、熱伝導率は大幅に向上す
る。特にAl2 3 粒子含有率20vol%を超えたP
1領域あたりから、急激に熱伝導率が大きくなることが
わかる。特性線A1から理解できる様に、例えば含有率
60vol%では70×10-4cal/cm・s・℃程
度であった。
【0016】一方、熱膨張率については、熱膨張率を示
す特性線B1から理解できる様にAl2 3 粒子の含有
率の増加に伴って、熱膨張率は低下するものの、ほぼ複
合可能な上限値付近である75vol%であっても、熱
膨張率は17.5×10-6/℃程度であり、強磁性体系
の鋼の熱膨張率(〔10〜13〕×10-6/℃)に比較
して大きい。故に、Al2 3 粒子による複合だけで
は、前記した低い熱膨張率を備えた複合材料は、事実上
得られないことがわかる。 (2)SiO2 粒子複合材料の特性 前述のAl2 3 粒子をSiO2 粒子(比重ρ=2.2
1)に代えた。そして前述同様に、樹脂マトリックスを
構成する不飽和ポリエステル樹脂の原料に、SiO2
子を混練して成形用原料とした。SiO2 粒子の平均粒
径は1μmである。用いたSiO2 粒子は、表1から理
解できる様に熱膨張率が0.5×10-6/℃であり、A
2 3 粒子の熱膨張率に比較してかなり小さい。
【0017】この試験例では、樹脂原料1kgに対する
SiO2 粒子の混合量は、0.215kg、0.485
kg、0.831kg、1.292kg、1.938k
g、2.907kg、4.522kg、5.815kg
である。従って成形後の複合材料中のSiO2 粒子含有
量は、10vol%、20vol%、30vol%、4
0vol%、50vol%、60vol%、70vol
%、75vol%である。
【0018】そして前述した(1)の場合と同様に、こ
れらSiO2 粒子複合材料の熱伝導率、熱膨張率を測定
した。その結果を図2に示す。図2の横軸はSiO2
子含有量を示し、左方の縦軸は熱伝導率を示し、右方の
縦軸は熱膨張率を示す。図2の特性線A2は複合材料の
熱伝導率の結果を示し、図2の特性線B2は複合材料の
熱膨張率の結果を示す。
【0019】熱伝導率を示す特性線A2から理解できる
様に、樹脂にSiO2 粒子を複合化しても、熱伝導率は
緩やかな上昇特性を示すものの、Al2 3 粒子の場合
のようには熱伝導率は急激に大きくならない。一方、図
2の特性線B2から理解できる様に、SiO2 粒子が増
加すると、熱膨張率は急激に低下し、SiO2 粒子含有
量60vol%にて10×10-6/℃付近と大幅に低下
し、ほぼ強磁性体系の鋼の熱膨張率並み(〔10〜1
3〕×10-6/℃)となる。更に、複合可能限界値付近
である75vol%までSiO2 粒子を添加すると、4
×10-6/℃という、極めて熱膨張率が小さな複合材料
を得ることができる。 (3)Al2 3 粒子とSiO2 粒子とを含むハイブリ
ッド複合材料の特性 樹脂マトリックスを構成する不飽和ポリエステル樹脂の
原料にAl2 3 粒子とSiO2 粒子との双方を添加し
たハイブリッド複合材料を成形した。成形方法は(1)
の場合と基本的には同様である。ここでは、Al2 3
粒子及びSiO 2 粒子の割合及び総vol%を変化さ
せ、NO.1〜NO.13の本発明に係る各種の複合材
料を形成した。
【0020】ここでも前述同様に熱伝導率及び熱膨張率
を測定した。表2にその結果を示す。比較例1〜3につ
いても同様に試験した。比較例1ではAl2 3 粒子が
75vol%含まれており、SiO2 粒子は複合されて
いない。比較例2では、Al 2 3 粒子含有率は50v
ol%であり、ガラス繊維含有率は10vol%であ
る。比較例2に係るガラス繊維は平均直径が20μm、
平均長さが1mmである。比較例3は従来のモータ封止
材であり、CaCO3 粒子(平均粒径10μm)含有率
は55vol%であり、ガラス繊維含有率は10vol
%である。比較例3に係るガラス繊維は平均直径が20
μm、平均長さが1mmである。比較例1〜3の結果も
表2に示す。なお表2におけるvol%は、複合材料全
体を100vol%としたときの割合を示す。
【0021】
【表2】 表2から理解できる様に、No.1〜No.13の複合
材料では、Al2 3粒子とSiO2 粒子との総vol
%は64〜75vol%とかなり高い。
【0022】No.1の複合材料ではAl2 3 粒子含
有率10vol%である。この場合には、SiO2 粒子
を54vol%複合することにより、熱膨張率が11.
0×10-6/℃となり、鋼並みの低い熱膨張率が得られ
るが、熱伝導率は比較例3で示す従来のモータ封止材と
大差ない。従ってNo.1の複合材料は、この様な熱膨
張率が要請されるものの、放熱性の要請があまり大きく
ない用途に適する。
【0023】No.2〜No.11の複合材料では、A
2 3 粒子含有率15〜60vol%である。この場
合にはSiO2 粒子を50〜15vol%ハイブリッド
複合することにより、前記した鋼並みの低い熱膨張率
で、かつ、比較例3で示す従来のモ−タ封止材を大幅に
上回る高い熱伝導率の封止材を得ることができる。N
o.12及びNo.13の複合材料ではAl2 3 粒子
含有率は65vol%及び70vol%である。複合で
きる粒子体積率の上限値が75vol%付近であるた
め、Al2 3 粒子が多量に含有されているNo.12
及びNo.13の複合材料では、SiO2 粒子は10〜
5vol%程度しか含有させることができない。従っ
て、熱伝導率は高く良好な放熱性が得られるものの、熱
膨張率が13.5×10-6/℃、14.5×10-6/℃
となり、前記した低い熱膨張率が得られない。従って、
No.12及びNo.13の複合材料は、放熱性の要請
は高いものの、熱膨張率の要請が高くない場合に有利で
ある。
【0024】また上記した比較例1では前述の様にAl
2 3 粒子のみの複合であり、SiO2 粒子は複合され
ていないため、Al2 3 粒子を75vol%まで複合
化しており、熱伝導率はかなり大きく良好な放熱性が得
られるものの、熱膨張率が17.5×10-6/℃とかな
り大きい。比較例2では、前述の様にAl2 3 粒子は
50vol%、ガラス繊維含有率は10vol%であ
る。この様な比較例2ではガラス繊維が嵩むことによ
り、フィラー含有率が制約され、熱膨張率は25.5×
10-6/℃とさらに大きくなる。
【0025】比較例3は前述の様にCaCO3 粒子含有
率は55vol%であり、ガラス繊維含有率は10vo
l%である。この様な比較例3では表2に示す様に熱伝
導率が小さく放熱性が不充分であり、熱膨張率も20.
2×10-6/℃と大きい。以上の説明から理解できる様
に、Al2 3 粒子とSiO2 粒子とのハイブリッド複
合により、複合材料の熱膨張率を低く抑えることがで
き、特に強磁性体系の鋼に近い熱膨張率を容易に得るこ
とができる。更に高い熱伝導率を得ることができ、放熱
性も高め得る。
【0026】この様な特性が得られる組成比は、表2か
ら理解できる様に、複合材料全体を100vol%とし
たとき、Al2 3 粒子15〜60vol%、SiO2
粒子50〜15vol%が好ましい。但し、複合材料の
用途や種類、複合材料の要求特性、相手材の熱膨張率等
に応じて、Al2 3 粒子及びSiO2 粒子の割合は適
宜変更できる。例えば放熱性の要求が大きな場合にはA
2 3 粒子の割合を増加させる。例えばAl2 3
子30〜60vol%、SiO2 粒子15〜40vol
%とすることにより、極めて放熱性に優れた封止材料と
することができる。
【0027】樹脂も不飽和ポリエステル樹脂に限定され
るものではなく、公知の熱硬化性樹脂または熱可塑性樹
脂を採用できる。例えばフェノール樹脂、エポキシ樹
脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエチレン樹
脂、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリアミド樹脂
等の少なくとも1種を採用できる。 (4)上記複合材料を封止材として適用した場合の例 上記複合材料を封止材として用いた場合について試験し
た。この場合には出力15KWの電動モータを用い、電
動モータの固定子のうち巻線コイル部を保持する溝に、
表2に示すNo.1〜13の各複合材料を封止材として
それぞれ装填した。固定子は強磁性体系の炭素鋼(熱膨
張率:11.2×10-6/℃)で形成されている。巻線
コイル部は銅系である。ちなみに文献によれば、銅の熱
膨張率は〔16〜18〕×10-6/℃程度である。
【0028】そして放熱性測定試験として、電動モータ
を全出力で始動し、始動から30分後の巻線コイル部の
温度を熱電対で測定した。更に比較例1〜3の各材料を
用い、同様な条件で巻線コイル部を保持した溝に複合材
料を装填し、同様に巻線コイル部の温度を測定した。測
定結果を表3の温度の欄に示す。
【0029】
【表3】 表3における温度の欄から理解できる様に、NO.1で
は150℃、NO.2では130℃、NO.3では12
5℃、NO.4では120℃であり、Al2 3 粒子の
含有率が高くなるつれて、巻線コイル部の温度が次第に
低下する傾向が得られる。これは熱伝導率が高いAl2
3 粒子が多く含有されているため、封止材を構成する
複合材料における放熱性が向上しているためと推察され
る。
【0030】従来の一般的なモータ封止材である比較例
3では、熱伝導率及び放熱性が充分ではないため、表3
に示す様に、巻線コイル部の温度は160℃と最も高温
であった。Al2 3 粒子が含有されているNo.2〜
No.13の複合材料、同様にAl2 3 粒子が含有さ
れている比較例1、2の複合材料では、従来の一般的な
モータ封止材である比較例3と比べて、巻線コイル部の
温度が明らかに低く、放熱性が高まっていることがわか
る。
【0031】更に同様の電動モータを用いてヒートサイ
クル試験を行った。この試験では上記電動モ−タにて、
冷却(−20℃)−加熱(150℃)を1サイクルとし
て、1000サイクルまで実施し、封止材に発生するク
ラックについて観察した。この試験では冷却は、電動モ
ータのハウジングに冷風を2時間吹きつけたことによ
り、加熱は熱風をハウジングに2時間吹きつけることに
より行った。更にヒートサイクル後における封止材と固
定子との境界における隙間の有無についても肉眼及び顕
微鏡で観察した。その結果を表3に示す。
【0032】表3から理解できる様にNo.1〜No.
11の複合材料によれば、1000サイクルまで全くク
ラックが発生することはなかった。またNo.1〜N
o.13の複合材料によれば、1000サイクルまで封
止材と固定子との境界における隙間も発生することはな
かった。しかし、No.12の複合材料では800サイ
クルでクラックが発生していた。またNo.13の複合
材料では600サイクルでクラックが発生していた。N
o.12の複合材料はSiO2 粒子含有量が10vol
%と小さいため、熱膨張率が13.5×10-6/℃と大
きく、固定子と封止材との熱膨張差が大きいためである
と推察される。No.13の複合材料も、同様にSiO
2 粒子含有量が5vol%と小さいため、熱膨張率が1
4.5×10-6/℃と大きいためであると推察される。
このことからも、No.12、No.13の複合材料
は、熱膨張率が比較的大きな用途に適するといえる。
【0033】これに対して表2から理解できる様に、比
較例1の材料では200サイクルでクラックが発生し、
400サイクルで隙間が発生した。比較例2の材料では
クラックは発生しないものの、100サイクルで隙間が
発生していた。比較例3の材料ではクラックは発生しな
いものの、200サイクルで隙間が発生していた。以上
の結果より、No.1〜No.13の本発明に係る複合
材料によれば、特にNo.2〜No.11の本発明に係
る複合材料によれば、高い放熱性と、高いヒートサイク
ル性つまり熱衝撃性とを併有することを確認できた。
【0034】No.2〜No.11の複合材料は封止材
として良好な特性を示すが、放熱性に主眼を置いた場合
には、中でもNo.5〜No.11、即ちAl2 3
子30〜60vol%、SiO2 粒子40〜15vol
%の範囲で、とり分け良好な特性が得られることがわか
る。 (適用例)電動モータに適用した例を図3及び図4に示
す。この電動モータは、アルミ合金製のハウジング10
と、ハウジング10に固定された筒状の固定子11と、
固定子11の内部に配置された永久磁石をもつ回転子1
2と、回転子12に同軸的に保持された回転軸13とを
備えている。ハウジング10は蓋体10a及び軸受10
bをもつ。
【0035】固定子11は固定子鉄芯を構成するもので
あり、強磁性体からなる鋼で構成されている。固定子1
1の内周部には、内周11x側が開口する溝15が周方
向に所定の間隔で多数個列設されており、回転子12を
回転させる回転磁界を形成すべく、露出部17aをもつ
巻線コイル部17が各溝15に保持されている。そし
て、巻線コイル部17が各溝15に配置された固定子1
1を金型(150℃程度)のキャビティに保持し、その
状態でキャビティ内を減圧し、Al2 3粒子及びSi
2 粒子を添加した流動性を備えた樹脂材料をキャビテ
ィに装填した。更に樹脂材料を金型内で加熱硬化させ、
封止材20を成形した。巻線コイル部17は封止材20
により封止され、電気絶縁性が向上している。
【0036】この封止材20は上記した複合材料で構成
されており、封止材全体を100vol%としたときA
2 3 粒子30〜60vol%、SiO2 粒子40〜
15vol%を含む。固定子11の溝15付近を図5に
模式的にかつ概念的に示す。巻線コイル部17付近を模
式的にかつ概念的に図6に示す。巻線コイル部17は、
銅線17aと、銅線17aに被覆された絶縁層としての
エナメル層17bとをもつ。図6に模式的に示す様に隣
設し合う巻線コイル部17の隙間に、封止材20が含浸
している場合には、巻線コイル部17と封止材20との
密着性の向上、封止性向上に有利である。
【0037】巻線コイル部17と封止材20との境界に
おいては、固定子11と封止材20との境界に比較し
て、クラックや隙間は発生しにくく、問題は事実上生じ
ない。巻線コイル部17の銅線17aは線状に伸びてい
ること、銅線17a自体の容積が小さいことによると、
推察される。封止材20に含有されるAl2 3 粒子及
びSiO2 粒子は、繊維ではなく、上記した様に微小な
粒であるため、巻線コイル部17間の隙間が微小である
場合であっても、巻線コイル部17間の隙間に封止材2
0を含浸させ易い。
【0038】この例では、回転子12の外周部と固定子
11の内周部との間の距離を高精度化するため、溝15
に封止材20を封入した状態の固定子11の内周11x
側を切削刃具により切削加工する。一般的にAl2 3
粒子の硬度はHv1800以上、SiO2 粒子の硬度は
Hv700〜900程度と考えられている。これらの粒
子は前述の様に微細であるため、切削加工性は確保でき
る。
【0039】また図7は半導体素子に適用した場合であ
る。この例では多数個の脚23をもつ半導体素子基板の
外側を封止材22で一体的にモールドしている。 (その他) ○上記した説明では、電動モ−タの固定子11である強
磁性体である鋼系材料と同程度の低い熱膨張率を有し、
かつ熱伝導性が高くて放熱性が高い特性を備えた封止材
について述べてきたが、本発明に係る複合材料の用途
は、上記した封止材のみに限定されるものではない。 ○更に本発明に係る上記樹脂複合材料を封止材として用
いる場合においても、必ずしも電動モ−タの固定子の溝
に保持されている巻線コイル部の封止に限定されるもの
ではなく、回転子に巻線コイル部が巻回される構造の電
動モ−タの場合には、回転子の巻線コイル部を封止する
封止材に適用することもできる。
【0040】更に他の産業機器、電気機器、電子機器、
車両機器の封止材にも適用できる。また、Al2 3
子とSiO2 粒子との割合を種々に変えることにより、
相手材がオーステナイト鋼系の材料の場合にも適応でき
る。オーステナイト鋼系の材料(オーステナイト系であ
る18−8ステンレス鋼や高Mn鋼)の場合には、文献
によれば、熱膨張率率は一般的には17.3×10-6
℃である。
【0041】更に本発明に係る樹脂複合材料を、鋼系以
外の金属に近い熱膨張率へと適応させることもできる。
例えばAl2 3 粒子やSiO2 粒子の割合を調整し
て、熱膨張率を(23〜26)×10-6/℃に設定すれ
ば、アルミニウム系やマグネシウム系にも適応できる。 ○また上記した例では、Al2 3 粒子の平均直径は1
0μmであり、SiO2粒子の平均直径は1μmとして
いるが、粒径はこれに限定されるものではなく、適宜変
更できる。Al2 3 粒子の粒径範囲とSiO2 粒子の
粒径範囲を変えれば、大きな粒径の粒子間に小さな粒径
の粒子を配置させるのに有利となり、双方の粒子を高密
度で複合させ得るのに、つまり複合材料におけるAl2
3 粒子やSiO2 粒子の含有量を多くするのに有利で
ある。従って複合材料に課される要求特性に応じて、粒
径が大きなAl2 3 粒子と粒径が小さなSiO2 粒子
とを複合する第1形態、或いは、粒径が小さなAl2
3 粒子と粒径が大きなSiO 2 粒子とを複合する第2形
態を選択でき、或いは、粒径が同程度のAl2 3 粒子
とSiO2 粒子とを複合する第3形態を選択することも
できる。
【0042】但し粒径が0.1μm未満では粒子が凝集
し易く、通常の攪拌混合手段では均一混合性が容易では
ないため、配慮が必要である。また粒径が過大になる
と、例えば100μmを越えると、複合材料の強度が低
下する傾向となる。 ○上記した例では非晶質のSiO2 粒子を用いている
が、場合によっては非晶質のSiO2 粒子と結晶質のS
iO2 粒子とを併用することもできる。
【0043】(付記)上記した例から次の技術的思想も
把握できる。 ○アルミナ繊維、シリカ繊維、ガラス繊維等の繊維が含
有されていない非繊維型であることを特徴とする請求項
1に係る樹脂複合材料。 ○SiO2 粒子は非晶質性をもつ請求項1に記載の樹脂
複合材料。 ○低熱膨張性を有する非晶質性のシリカ粒子が樹脂マト
リックスに添加されていることを特徴とする樹脂複合材
料。 ○SiO2 粒子は、熱伝導率が(30〜50)×10-4
cal/cm・s ・℃、特に40×10-4cal/cm・s ・℃であ
り、熱膨張率が(0.2〜1)×10-6/℃、特に0.
5×10-6/℃である請求項1に記載の樹脂複合材料。 ○樹脂複合材料における熱伝導率は(37〜105)c
al/cm・s・℃、熱膨張率は(11〜12)×10
-6/℃であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂複
合材料。 ○固定子と、固定子に対して回転可能な回転子と、回転
子及び固定子の一方に保持された巻線コイル部と、巻線
コイル部を封止する請求項1に係る樹脂複合材料からな
る封止材とを備えた電動モータ。
【0044】
【発明の効果】請求項1に係る樹脂複合材料によれば、
樹脂複合材料の熱伝導性が向上して放熱性が高まると共
に、樹脂複合材料の熱膨張率は抑制される。そのため樹
脂マトリックス自体よりも放熱性に優れ、樹脂マトリッ
クス自体よりも低い熱膨張率が得られる。従って相手材
と共に用いる際に、相手材の熱膨張率が低い場合であっ
ても、クラックや隙間の発生を抑制できる。
【0045】アルミナやシリカは繊維の形態で複合する
ことも考えられる。しかしこの場合には繊維は嵩ばるの
で、含有率を高めるのに不利である。この点請求項1に
係る樹脂複合材料によれば、アルミナやシリカを粒子の
形態で複合しているので、繊維の形態で複合する場合に
比較して含有率を高めるのに有利であり、従って熱伝導
性の向上、熱膨張率の低減に有利である。アルミナ粒子
の粒径とシリカ粒子の粒径とを変えた場合には、含有率
を高めるのに一層有利であり、樹脂複合材料に課される
要求特性が厳しい場合においても対処し易い。
【0046】請求項2に係る樹脂複合材料によれば、ア
ルミナ粒子は15〜60vol%、シリカ粒子が15〜
50vol%であるため、樹脂複合材料の熱伝導性が向
上して放熱性が高まると共に、樹脂複合材料の熱膨張率
は抑制され、鋼系材料、特に強磁性体系の鋼に近似した
熱膨張率を得るのに有利である。従って相手材が鋼系材
料である場合に適する。
【図面の簡単な説明】
【図1】Al2 3 粒子の含有量と熱伝導率及び熱膨張
率との関係を示すグラフである。
【図2】SiO2 粒子の含有量と熱伝導率及び熱膨張率
との関係を示すグラフである。
【図3】適用例に係る電動モータの縦断面図である。
【図4】電動モータの固定子付近の横断面図である。
【図5】巻線コイル部が保持された溝付近の拡大断面図
である。
【図6】巻線コイル部が封止材で封止されている状態を
示す断面図である。
【図7】半導体素子に適用して例を示す斜視図である。
【符号の説明】
図中、11は固定子、12は回転子、15は溝、17は
巻線コイル部、20は封止材を示す。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】高熱伝導性を有するアルミナ粒子と低熱膨
    張性を有するシリカ粒子とが、樹脂マトリックスに複合
    添加されていることを特徴とする樹脂複合材料。
  2. 【請求項2】アルミナ粒子は15〜60vol%、シリ
    カ粒子が15〜50vol%であることを特徴とする請
    求項1に記載の樹脂複合材料。
JP8676095A 1995-04-12 1995-04-12 樹脂複合材料 Pending JPH08283448A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8676095A JPH08283448A (ja) 1995-04-12 1995-04-12 樹脂複合材料

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8676095A JPH08283448A (ja) 1995-04-12 1995-04-12 樹脂複合材料

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH08283448A true JPH08283448A (ja) 1996-10-29

Family

ID=13895711

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP8676095A Pending JPH08283448A (ja) 1995-04-12 1995-04-12 樹脂複合材料

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH08283448A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008061498A (ja) * 2000-10-25 2008-03-13 Conception & Dev Michelin Sa 回転電気装置と、その製造方法
JP2009091548A (ja) * 2007-09-21 2009-04-30 Ricoh Co Ltd ペースト組成物、絶縁膜、多層配線構造、プリント基板、画像表示装置、及びペースト組成物の製造方法
KR101294821B1 (ko) * 2011-12-29 2013-08-08 (주)유로코리아 방열효과가 향상된 코어리스 고정자 구비 에이에프피엠 발전기

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008061498A (ja) * 2000-10-25 2008-03-13 Conception & Dev Michelin Sa 回転電気装置と、その製造方法
JP4637888B2 (ja) * 2000-10-25 2011-02-23 ミシュラン ルシェルシュ エ テクニーク ソシエテ アノニム 回転電気装置と、その製造方法
JP2009091548A (ja) * 2007-09-21 2009-04-30 Ricoh Co Ltd ペースト組成物、絶縁膜、多層配線構造、プリント基板、画像表示装置、及びペースト組成物の製造方法
KR101294821B1 (ko) * 2011-12-29 2013-08-08 (주)유로코리아 방열효과가 향상된 코어리스 고정자 구비 에이에프피엠 발전기

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4091422B2 (ja) 回転電気装置と、その製造方法
US5490319A (en) Thermotropic liquid crystal polymer composition and insulator
US4128527A (en) Dynamoelectric machine having coil windings and core encapsulated with resin-filler composition
JP6203235B2 (ja) 電磁コイル及びその製造方法
JP3576119B2 (ja) 回転電機のコイル及びこのコイルの絶縁に用いられるマイカーテープ
US5459190A (en) Thermotropic liquid crystal polymer composition and insulator
EP0553831A2 (en) Thermotropic liquid crystal polymer composition and insulator
JPH08283448A (ja) 樹脂複合材料
CA2925388C (en) Slot sealing material, slot seal and method for producing a slot seal
US11908604B2 (en) Composite material molded article, reactor, comprising a roughened surface
JP3579917B2 (ja) 電食防止転がり軸受
JP3778154B2 (ja) 電食防止転がり軸受
WO2012017646A1 (ja) モールド構造体及びそれを有するモータ
JP2010166809A (ja) 回転電機
JP3567334B2 (ja) エポキシワニス組成物とその使用方法
JP5586111B2 (ja) 射出成形体及びその製造方法
EP4262059A1 (en) Stator, rotating electric machine, and method for manufacturing stator
JP7364925B2 (ja) アキシャルギャップ型モータの回転子用ヨーク
WO2022113419A1 (ja) 磁性体及び磁性素子
WO2023181902A1 (ja) 磁性体及び磁性素子
JP2017046409A (ja) 電動機要素、電動機要素の製造方法、電動機、装置
JP2017085837A (ja) 電動機要素、電動機要素の製造方法、電動機、装置
JPS60255030A (ja) 無鉄心電機子
JP2006280084A (ja) モータ用ステータ
JP2004218846A (ja) 電食防止転がり軸受

Legal Events

Date Code Title Description
A02 Decision of refusal

Effective date: 20040507

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02