JPH0828319A - 内燃機関の燃料噴射制御装置 - Google Patents

内燃機関の燃料噴射制御装置

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JPH0828319A
JPH0828319A JP13917794A JP13917794A JPH0828319A JP H0828319 A JPH0828319 A JP H0828319A JP 13917794 A JP13917794 A JP 13917794A JP 13917794 A JP13917794 A JP 13917794A JP H0828319 A JPH0828319 A JP H0828319A
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combustion engine
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Masakazu Yamada
山田  正和
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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 内燃機関の停止中での燃料噴射弁からの燃料
洩れの有無にかかわらずHCの排出を低減し、かつ安定
した始動性を確保することができる内燃機関の燃料噴射
制御装置を提供することにある。 【構成】 4気筒火花点火式ガソリンエンジン1には吸
気管2が接続されている。エンジン1における各気筒毎
の吸気管2にはインジェクタ6がそれぞれ配置されてい
る。エンジン1はスタータモータの駆動により始動する
ことができるようになっている。ECU27は、エンジ
ン1の始動開始後の2サイクルのみ、エンジン停止時の
インジェクタ6からの燃料洩れが無いとしたときのリー
ン側の失火限界となる燃料量に対し、空燃比に関するシ
ステム公差のうちリーン側許容最大値分だけリッチ側に
ズラした燃料量を、インジェクタ6から噴射させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、内燃機関の燃料噴射
制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、エンジン始動時において、エンジ
ン停止中のインジェクタ(燃料噴射弁)の洩れ燃料によ
るオーバーリッチを防止するため、エンジンの停止時間
よりインジェクタの洩れ燃料を推定し、その分減量する
技術がある(特開昭63−195356号公報,実開昭
62−101047号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、エンジン停
止中のインジェクタからの洩れ燃料を推定するのは非常
に困難である。つまり、インジェクタバルブシート部の
油密性の不完全により燃料洩れが発生するが、そのシー
ト部の油密性の不完全さは製造ばらつきがあり製品によ
り異なる。そのため、洩れ燃料は例えば約0〜7mm3
/minとさまざまである。
【0004】しかし、従来技術は洩れ燃料のばらつきが
ある場合は全く考えていない。そのため、燃料洩れの無
いインジェクタ(洩れ燃料=0mm3 /min)をエン
ジンに取り付けた場合は、実際には洩れが無いのに、従
来技術ではエンジンの停止時間から洩れ燃料を推定して
求め燃料噴射量を減量することになりリーンによる失火
が生じHCが多量に排出される懸念がある。
【0005】そこで、この発明の目的は、内燃機関の停
止中での燃料噴射弁からの燃料洩れの有無にかかわらず
HCの排出を低減し、かつ安定した始動性を確保するこ
とができる内燃機関の燃料噴射制御装置を提供すること
にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、内燃機関の吸気系に燃料を噴射する燃料噴射弁と、
前記燃料噴射弁を駆動して燃料噴射量を制御する燃料噴
射制御手段とを備えた内燃機関の燃料噴射制御装置にお
いて、前記燃料噴射制御手段は、内燃機関の始動開始後
の所定サイクルまで、内燃機関停止時の燃料噴射弁から
の燃料洩れが無いとしたときのリーン側の失火限界とな
る燃料量近傍のリッチ側の燃料量を、前記燃料噴射弁か
ら噴射させるようにした内燃機関の燃料噴射制御装置を
その要旨とする。
【0007】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
の発明における前記リーン側の失火限界となる燃料量近
傍のリッチ側の燃料量とは、リーン側の失火限界となる
燃料量に対し、空燃比に関するシステム公差のうちリー
ン側許容最大値分だけリッチ側にズラした燃料量とした
内燃機関の燃料噴射制御装置をその要旨とする。
【0008】請求項3に記載の発明は、請求項1に記載
の発明において、内燃機関の始動開始後の所定サイクル
まで、サイクルの経過に伴い燃料量をリッチ側に移行さ
せるようにした内燃機関の燃料噴射制御装置をその要旨
とする。
【0009】請求項4に記載の発明は、請求項1に記載
の発明において、内燃機関の始動開始後の所定サイクル
まで、吸気行程の経過に伴い燃料量をリッチ側に移行さ
せるようにした内燃機関の燃料噴射制御装置をその要旨
とする。
【0010】請求項5に記載の発明は、請求項1に記載
の発明において、内燃機関の始動開始後の所定燃焼サイ
クルまで、リッチにより異常燃焼した気筒を検出すると
ともにその異常燃焼した気筒を記憶し、次回の内燃機関
の始動から当該気筒の燃料量を減量するようにした内燃
機関の燃料噴射制御装置をその要旨とする。
【0011】請求項6に記載の発明は、請求項5に記載
の発明における記憶内容を、異常燃焼した気筒と、当該
気筒に関する減量のための補正係数とした内燃機関の燃
料噴射制御装置をその要旨とする。
【0012】請求項7に記載の発明は、請求項6に記載
の発明における記憶領域を、内燃機関が停止した時にお
ける内燃機関の温度状態と、内燃機関の停止から内燃機
関の始動までの時間あるいはそれに相当する要素とによ
り分割したものとした内燃機関の燃料噴射制御装置をそ
の要旨とする。
【0013】請求項8に記載の発明は、請求項5に記載
の発明において、異常燃焼した気筒以外の気筒に対して
も燃料量を減量するようにした内燃機関の燃料噴射制御
装置をその要旨とする。
【0014】
【作用】請求項1に記載の発明は、燃料噴射制御手段
は、内燃機関の始動開始後の所定サイクルまで、内燃機
関停止時の燃料噴射弁からの燃料洩れが無いとしたとき
のリーン側の失火限界となる燃料量近傍のリッチ側の燃
料量を、燃料噴射弁から噴射させる。
【0015】その結果、内燃機関の停止中に燃料噴射弁
から燃料洩れが無い場合には、燃焼室への混合気がリー
ン側の失火限界近傍のリッチ側となり、燃焼される。よ
って、リーンによる失火が回避されるとともに多量のH
Cの排出が回避される。又、内燃機関の停止中に燃料噴
射弁から燃料洩れが有った場合には、燃焼室への混合気
がリッチになることによりHCの排出量が増加するまで
かなり余裕があり通常の洩れ燃料量であればHCが多量
に排出されるのが回避される。さらに、多大な洩れ燃料
量であったとしてもHCの排出を最小限に抑えることが
できる。
【0016】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
の発明の作用に加え、燃料噴射制御手段は、内燃機関の
始動開始後の所定サイクルまで、リーン側の失火限界と
なる燃料量に対し、空燃比に関するシステム公差のうち
リーン側許容最大値分だけリッチ側にズラした燃料量
を、燃料噴射弁から噴射させる。ここで、空燃比に関す
るシステム公差とは、燃料噴射弁の噴射特性等の公差を
意味する。
【0017】その結果、内燃機関の停止中に燃料噴射弁
から燃料洩れが無く、かつ、空燃比に関するシステム公
差のうちリーン側許容最大値分だけリーン側にズレた場
合には、燃焼室への混合気がリーン側の失火限界とな
り、燃焼される。よって、リーンによる失火が回避され
るとともに多量のHCの排出が回避される。
【0018】請求項3に記載の発明は、請求項1に記載
の発明の作用に加え、内燃機関の始動開始後の所定サイ
クルまで、サイクルの経過に伴い燃料量をリッチ側に移
行させる。その結果、サイクルの経過に伴い内燃機関の
吸気系内に拡散あるいは残留している燃料噴射弁の洩れ
燃料が減少していくが、リッチ側に移行させることによ
り、より安定した燃焼となりエミッションも増加しな
い。
【0019】請求項4に記載の発明は、請求項1に記載
の発明の作用に加え、内燃機関の始動開始後の所定サイ
クルまで、吸気行程の経過に伴い燃料量をリッチ側に移
行させる。その結果、吸気行程の経過に伴い内燃機関の
吸気系内に拡散あるいは残留している燃料噴射弁の洩れ
燃料が減少していくが、リッチ側に移行させることによ
り、より安定した燃焼となりエミッションも増加しな
い。
【0020】請求項5に記載の発明は、請求項1に記載
の発明の作用に加え、内燃機関の始動開始後の所定燃焼
サイクルまで、内燃機関の停止中に燃料噴射弁から多大
な洩れ燃料があった際のリッチにより異常燃焼した気筒
が検出されて、その異常燃焼した気筒が記憶される。そ
して、次回の内燃機関の始動から当該気筒の燃料量が減
量される。その結果、リッチによる異常燃焼に伴うHC
の多量排出と始動性悪化が回避される。
【0021】請求項6に記載の発明は、請求項5に記載
の発明の作用に加え、異常燃焼した気筒と、当該気筒に
関する減量のための補正係数とが記憶され、次回の内燃
機関の始動での燃料量の減量に反映される。よって、例
えば、異常燃焼の検出回数等により、より正確な燃料量
の減量が行われる。
【0022】請求項7に記載の発明は、請求項6に記載
の発明の作用に加え、記憶領域が、内燃機関が停止した
時における内燃機関の温度状態と、内燃機関の停止から
内燃機関の始動までの時間あるいはそれに相当する要素
とにより分割される。そして、次回の内燃機関の始動時
において該当する領域のデータを用いて燃料量の減量が
行われる。よって、記憶領域の分割にて蒸発燃料を精度
よく把握でき、精度の高い減量が行われる。
【0023】請求項8に記載の発明は、請求項5に記載
の発明の作用に加え、異常燃焼した気筒以外の気筒に対
しても燃料量が減量される。よって、ムダな燃料の噴射
が抑制される。
【0024】
【実施例】
(第1実施例)以下、この発明を具体化した第1実施例
を図面に従って説明する。
【0025】図1には、内燃機関の燃料噴射制御装置の
全体概略図を示す。同装置は車両に搭載されるものであ
る。内燃機関としての4気筒火花点火式ガソリンエンジ
ン1には吸気管2と排気管3とが接続されている。吸気
管2の最上流部にはエアクリーナ4が設けられ、エアク
リーナ4から吸気が吸気管2内に吸入されるようになっ
ている。吸気管2の途中にはサージタンク5が設けられ
ている。エンジン1における各気筒毎の吸気管(吸気ポ
ート)2にはインジェクタ(燃料噴射弁)6がそれぞれ
配置されている。又、燃料タンク7内の燃料が燃料ポン
プ8により吸い上げられ、燃料フィルタ9を通してプレ
ッシャレギュレータ10に供給され、プレッシャレギュ
レータ10にて調圧され再び燃料タンク7に戻される。
この一定圧力に調圧された燃料がインジェクタ6に供給
されている。そして、インジェクタ6はバッテリ15か
らの電力供給により開弁する。その結果、燃料が噴射さ
れ、吸入空気と混合されて混合気となって吸気弁11を
介してエンジン1における各気筒毎の燃焼室12に供給
される。
【0026】又、エンジン1における各気筒毎の燃焼室
12にはスパークプラグ13がそれぞれ配置されてい
る。そして、イグナイタ14によりバッテリ15の電圧
から高電圧が生成され、ディストリビュータ16により
各気筒毎のスパークプラグ13に分配される。
【0027】又、吸気管2の途中に設けられたスロット
ルバルブ17を迂回するようにバイパス通路18が形成
され、同バイパス通路18にはアイドルスピードコント
ロールバルブ19が配置されている。そして、エンジン
アイドル時には、アイドルスピードコントロールバルブ
19の開度調整によりエンジン回転数が調整される。
【0028】吸気管2の最上流部には吸気温センサ20
が設けられ、同センサ20により吸気温が検出できるよ
うになっている。又、吸気管2のスロットルバルブ17
の配置位置近傍にはスロットル開度センサ21が設けら
れ、同スロットル開度センサ21によりスロットルバル
ブ17の開度が検出できるようになっている。さらに、
吸気管内圧力センサ22によりサージタンク5の内の吸
気管内圧力(吸気圧)が検出できるようになっている。
【0029】エンジン1にはエンジン冷却水の温度を検
出するための水温センサ23が設けられている。又、デ
ィストリビュータ16内には気筒判別センサ24とクラ
ンク角センサ25が配置されている。クランク角センサ
25は、エンジン1のクランク軸またはカム軸の回転に
伴う所定のクランク角毎にクランク角信号を発生する。
又、気筒判別センサ24は、エンジン1のクランク軸ま
たはカム軸に回転に伴う特定気筒の特定位置毎に気筒判
別信号を発生する。より具体的には、図8に示すよう
に、気筒判別センサ24から二種類の気筒判別信号が出
力されるとともにクランク角センサ25からクランク角
信号が出力される。ここで、気筒判別信号とは、今エン
ジンがどの位置にあるか知る信号であり、図8の実施例
では、第1気筒の圧縮TDC及び第4気筒の圧縮TDC
にて発生する信号である。
【0030】尚、気筒判別信号は特定気筒の特定位置
(例えば、第1気筒の圧縮TDC)を少なくともクラン
ク軸720℃Aに1回は検出する信号であり、クランク
角信号はクランク軸180℃A中に複数個発生し、少な
くとも30℃A以下の周期で発生する信号である。
【0031】図1において、エンジン1の排気管3には
酸素濃度センサ26が設けられ、この酸素濃度センサ2
6によりエンジン1の排気ガス中の酸素濃度が検出でき
るようになっている。
【0032】又、同エンジン1にはスタータモータ(図
示略)が設けられており、スタータモータがバッテリ1
5からの電力供給を受けて駆動してエンジン1を始動
(クランキング)するようになっている。
【0033】燃料噴射制御手段としての電子制御ユニッ
ト(以下、ECUという)27はマイクロコンピュータ
を中心に構成されている。ECU27にはスタータスイ
ッチ28からのスタータモータ駆動に伴う信号が入力さ
れる。又、ECU27には吸気温センサ20、スロット
ル開度センサ21、吸気管内圧力センサ22、水温セン
サ23、気筒判別センサ24、クランク角センサ25、
及び酸素濃度センサ26が接続されている。そして、E
CU27はこれらセンサからの信号を入力して、吸気
温、スロットルバルブ17の開度、吸気管内圧力(吸気
圧)、エンジン冷却水温、排気ガスの酸素濃度、エンジ
ン回転数等を検知する。
【0034】又、ECU27にはバッテリ15が接続さ
れており、ECU27は同バッテリ15の電圧を検知す
る。さらに、ECU27にはインジェクタ6が接続さ
れ、ECU27はインジェクタ6を駆動(開弁時間を調
整)して燃料噴射量を制御する。
【0035】次に、このように構成した内燃機関の燃料
噴射制御装置の作用を説明する。図2〜図7にはECU
27が実行する処理(フローチャート)を示す。以下、
図8を用いてECU27の処理を説明していく。
【0036】図8において、aがスタータ信号を示し、
bとcが360℃A毎に交互に発生する気筒判別信号を
示し、dは所定角度毎(例えば、30℃A毎)に発生す
るクランク角信号を示し、eは第1気筒の噴射を、f,
g,hは各々第3、4、2気筒の噴射を示す。
【0037】図2において、スタータスイッチ28がオ
ン操作され、スタータモータが駆動されると同ルーチン
処理が開始される。そして、ECU27はステップ10
1で始動時非同期噴射タイミングか否か判断する。本実
施例では、このタイミングとはスタータスイッチ28が
オン操作された後50msec経過したか否かを指すも
のである。ECU27は始動時非同期噴射タイミング
(図8のt1のタイミング)であると、ステップ102
でインジェクタ6から全気筒同時非同期噴射を実行す
る。
【0038】図3には、図2のステップ102における
始動時の非同期噴射パルスの算出処理を示す。同処理は
スタータスイッチ28のオン操作(スタータモータの駆
動開始)により同ルーチン処理が開始される。ECU2
7はステップ201で水温THWと吸気温THAと吸気
圧Pmを検出し、ステップ202で図9のマップを用い
てその時の水温THWに応じた始動時非同期噴射パルス
TASY を算出する。さらに、ECU27はステップ20
3で図10のマップを用いて吸気温THAに応じた補正
係数FTHA を求め、始動時非同期噴射パルスTASY に補
正係数FTHA を乗算して始動時非同期噴射パルスTASY
に対して空気密度に関する補正を行う(TASY ←TASY
・FTHA )。そして、ECU27はステップ204で図
11のマップを用いて吸気圧Pmに応じた補正係数FPM
を求め、始動時非同期噴射パルスTASY に補正係数FPM
を乗算して始動時非同期噴射パルスTASY に対して大気
圧(吸気圧Pm)による空気密度に関する補正を行う
(TASY ←TASY ・FPM)。
【0039】さらに、ECU27はステップ205でバ
ッテリ電圧BATを検出し、ステップ206でバッテリ
電圧BATに応じた無効噴射パルスTVを算出する。そ
して、ECU27はステップ207で始動時非同期噴射
パルスTASY に無効噴射パルスTVを加算して最終噴射
パルスTAU(=TASY +TV)を算出する。
【0040】ここで、ステップ202〜204における
始動時非同期噴射パルスTASY の設定方法について以下
に説明する。始動時非同期噴射パルスTASY は燃焼可能
なできる限りリーンな空燃比(A/F)となるように設
定する。つまり、空燃比(A/F)に関するシステムは
公差をもっており、A/Fに関するシステム公差のリー
ン側(リーン側許容最大値)が、エンジン停止時のイン
ジェクタ6からの燃料洩れが無いとしたときのリーン失
火限界となるように設定する。
【0041】図12を用いてさらに詳細に説明する。図
12は、本発明者らの研究により求めた水温THWが2
5℃での始動時非同期噴射パルスに対するHC排出量及
び空燃比(A/F)の関係を示す。尚、この関係はエン
ジン機種によって異なるため始動時非同期噴射パルスT
ASY の設定はエンジン機種毎に求めた方がよい。
【0042】又、空燃比(A/F)に関するシステム公
差は、インジェクタ6の噴射特性(バルブデポジットの
影響を含む)、プレッシャレギュレータ10の調圧特
性、水温センサ23の特性、吸気温センサ20の特性、
吸気管内圧力センサ22の特性、始動時の燃料ポンプ8
の昇圧特性、エンジン自体の圧縮比等の影響による各気
筒間のリーン失火限界のばらつき、吸入ポート形状等の
影響による各気筒間の壁面ウェット量ばらつき、燃料性
状等を考慮して求めることができる。空燃比(A/F)
に関するシステム公差は、一般的に±20〜40%程度
である。又、A/Fはエンジン機種毎に壁面ウェットが
若干異なるため、燃焼室内に入る燃料割合が異なる。よ
って、この壁面ウェットによっても非同期噴射パルスに
対するA/Fの傾きが図12の二点鎖線で示すようにエ
ンジン機種毎に若干変化する。そのため、図12に示す
ようにリーン側(−)のシステム公差限界がリーン失火
限界となる噴射パルスに壁面ウェットを考慮した始動時
非同期噴射パルスTASY を設定(A/Fで約14〜1
8)すれば、たとえインジェクタ6から燃料洩れが無く
ても燃焼することができ、かつ、燃料洩れがあっても、
非同期噴射パルスをできる限りリーンに設定しているた
めに燃焼室12への混合気がリッチになることによりH
Cの排出量が増加するまではかなり余裕があり、通常の
洩れ燃料であればHC多量排出域から外れHCの増加な
く燃焼できる。又、多大な洩れ燃料であったとしても、
燃焼室12への混合気がリッチの部分燃焼によるHC多
量排出域に入るが、HCの排出を最小限に抑えることが
できる。
【0043】つまり、今、A/Fに関するシステム公差
が±30%であった場合、水温THWが25℃、吸気温
THAが20℃、吸気圧Pmが760mmHgであった
とすると、図9からTASY =43msとなり、図10,
11の補正係数FTHA =1、FPM=1であるので、補正
後のTASY =43msとなる。図12においてTASY=
43msは、エンジン停止時のインジェクタ6からの燃
料洩れが無いとしたときのリーン側失火限界値となるパ
ルス幅30msに対しリーン側許容最大値−30%だけ
ズレたパルス幅(30/0.7=43)である。
【0044】図8において、この最終噴射パルスTAU
だけ全気筒同時非同期噴射が行われる(図8のt1〜t
2タイミング)。又、ECU27は図4に示す処理を所
定クランク毎に実行している。
【0045】ECU27はステップ301で最初の同期
噴射か否か判定し、最初の同期噴射であると判定すると
ステップ302で気筒判別信号の検出を待つ。そして、
ECU27は気筒判別信号が検出されると(図8のt3
のタイミング)、ステップ303で始動時非同期噴射が
完了したことを確認した上で、ステップ304に移行す
る。ECU27はステップ304で図8に示すように気
筒判別時点(t3のタイミング)から時間の逆算により
非同期噴射開始タイミング(時間)TASと非同期噴射終
了タイミング(時間)TAFを算出する。つまり、TAS,
TAFの時間とエンジン回転数Neより角度を換算してい
る。その後、ECU27はステップ305で非同期噴射
開始タイミングTASと非同期噴射終了タイミングTAFに
より非同期噴射が各気筒でのどの位置で行われたのかを
求める。
【0046】ECU27はステップ306に移行して、
ステップ305で求めた非同期噴射開始・終了位置か
ら、各気筒1回目の同期噴射タイミングを求める。ここ
で、各気筒1回目の同期噴射タイミングの求め方は、非
同期噴射燃料と各気筒1回目の同期噴射燃料が同一の吸
気行程で重複して吸入されず、かつ、吸気行程で燃料供
給が抜けることなく噴射できるタイミングである。つま
り、非同期噴射による燃料が最初に吸入される気筒から
同期噴射を開始することになる。
【0047】上記のように、吸気行程で燃料の重複ある
いは燃料の抜けを防止することにより正しい燃料調量が
でき、無駄な燃料を供給することなく、エミッションの
増加も防止することができる。さらに、非同期噴射が吸
気弁11の閉じる時期に重なって、非同期噴射が次の行
程へ分割されるような非同期噴射タイミングであるなら
ば、次の同期噴射タイミングの該気筒の燃料量を減量す
ることにより、より正確な燃料調量が可能となる。
【0048】引き続き、図4のステップ307で噴射タ
イミングになったかどうか判定し、噴射タイミングとな
るとステップ308で同期噴射を実行する(図8のt4
〜t5、t6〜t7、t8〜t9)。
【0049】図8においては、噴射タイミングは第1及
び第3気筒では気筒判別時点から100°CA経過時
(Te =Tf =100°CA)、第4気筒では280°
CA経過時(Tg =280°CA)、第2気筒では46
0°CA経過時(Th =460°CA)としている。
【0050】このとき、第1気筒の場合、非同期噴射燃
料は既に吸入されているので気筒判別信号検出後Te 経
過した後に噴射を開始する。Te というのはTDCにて
インジェクタ6を駆動させることを避けるための時間で
ある。つまり、TDCにおいてはエンジン1の回転抵抗
が大きくバッテリ15の負荷が大きくなる。これによ
り、スタータモータによるクランキング中でのバッテリ
電圧の低下が防止され、かつ、インジェクタ6の最低作
動電圧以下になることが未然に防止される。又、第4気
筒の場合、非同期噴射燃料は最初の気筒判別信号検出後
に吸入される。従って、この吸気行程を過ぎたTg 後に
最初の同期噴射を実行する。
【0051】又、ここで始動時の同期噴射は吸気行程に
対して可能な限り早いタイミングで噴射する方がよい。
なぜなら、燃料の蒸発時間を十分得ることができ、より
少ない燃料によって始動できエミッションを低減できる
からである。
【0052】尚、本実施例では同期噴射は独立噴射とし
ているが、2グループ噴射としてもよい。又、図8では
第3気筒の同期噴射燃料の蒸発時間を長くとるために、
気筒判別後(Tf 後)早いタイミングで噴射しその結果
として第1気筒の同期噴射と同じタイミングで噴射して
いる。従って、各気筒とも蒸発時間を長くとれるような
タイミングで噴射を行えばよく、第1気筒と第3気筒の
噴射タイミングとを必ずしも同時とする必要はない。
【0053】一方、図4のステップ301において始動
開始後最初の同期噴射でないと、つまり、始動開始後2
回目以降の同期噴射であると、ステップ309で噴射タ
イミングになったかどうか判定し、噴射タイミングとな
るとステップ310で同期噴射を実行する。
【0054】図5,図6,図7には、図4でのステップ
308,310における同期噴射パルスの算出処理を示
す。同ルーチン処理は所定クランク毎に開始される。図
5において、ECU27はステップ401で各気筒1回
目の同期噴射が終了したかどうか判定し、各気筒1回目
の同期噴射が終了していない場合は、図6のステップ4
02に移行する。
【0055】ECU27はステップ402では、水温
(THW),吸気温(THA),吸気圧(Pm)を検出
し、ステップ403で図13のマップを用いて水温(T
HW)に応じた各気筒1回目の同期噴射パルスTASY1を
求める。ECU27はステップ404で図10のマップ
を用いて吸気温THAに応じた補正係数FTHA を求め、
各気筒1回目の同期噴射パルスTASY1に補正係数FTHA
を乗算して各気筒1回目の同期噴射パルスTASY1に対し
て空気密度に関する補正を行う(TASY1←TASY1・FTH
A )。そして、ECU27はステップ405で図11の
マップを用いて吸気圧Pmに応じた補正係数FPMを求
め、各気筒1回目の同期噴射パルスTASY1に補正係数F
PMを乗算して各気筒1回目の同期噴射パルスTASY1に対
して大気圧(吸気圧Pm)による空気密度に関する補正
を行う(TASY1←TASY1・FPM)。
【0056】ここで、前述の始動開始後1サイクル目の
非同期噴射パルスTASY と、各気筒1回目の同期噴射パ
ルスTASY1とを異なる値としたのは、次の理由による。
つまり、エンジン停止時にインジェクタ6からの燃料の
洩れが無いと想定して(始動開始後の最初の非同期噴射
時に、吸気ポート等に壁面付着燃料が無いと想定し
て)、非同期噴射時に非常に多くの燃料が供給され、そ
の壁面付着燃料が各気筒1回目の同期噴射と重複して始
動開始後2サイクル目の吸気行程で吸入される。従っ
て、各気筒1回目の同期噴射パルスTASY1は、始動開始
後1サイクル目の非同期噴射パルスTASY に対し、少な
めでよい。
【0057】さらに、図5のステップ401で各気筒1
回目の同期噴射と各気筒2回目以降の同期噴射を分けた
理由は、上記各気筒1回目の同期噴射パルスTASY1が2
回目以降の同期噴射で要求されるパルスと異なるためで
ある。つまり、エンジン停止時にインジェクタ6からの
燃料の洩れがある場合には、始動開始後2サイクル目の
吸気行程では、エンジン停止中のインジェクタ6の洩れ
燃料が吸入される。即ち、エンジン停止中にインジェク
タ6から洩れた燃料は、特に高温時に蒸発して吸気ポー
ト,サージタンク5,さらにはスロットルバルブ17付
近まで拡散し、低温になると液化していく。従って、各
気筒1回の吸気行程では、洩れ燃料は全て吸入されず、
サージタンク5等の吸気系に残った燃料が2回目以降の
吸気行程でも吸入されることになる。ここで、何回目ま
で吸入されるかは、エンジンの排気量や吸気系の容積に
より変わるため、エンジン毎によって異なる。(本実施
例では2サイクル目まで吸入されるとする。一般的に
は、1〜3サイクルである。) このように、インジェクタ6の洩れ燃料が吸入されるこ
とも考慮して、図14に示すように、各気筒1回目の同
期噴射パルスは非同期噴射パルスと同様にできるだけリ
ーン側に設定する。
【0058】つまり、今、A/Fに関するシステム公差
が±30%であった場合、水温THWが25℃、吸気温
THAが20℃、吸気圧Pmが760mmHgであった
とすると、図13からTASY1=11msとなり、図1
0,11の補正係数FTHA =1、FPM=1であるので、
補正後のTASY =11msとなる。図14においてTAS
Y1=11msは、エンジン停止時のインジェクタ6から
の燃料洩れが無いとしたときのエンジン始動開始後2サ
イクル目におけるリーン側失火限界値となるパルス幅
7.5msに対しリーン側許容最大値−30%だけズレ
たパルス幅(7.5/0.7=11)である。
【0059】続いて、ECU27は図6のステップ40
6で各気筒1回目の同期噴射パルスTASY1を有効噴射パ
ルスTAUE とする。そして、ECU27は図5のステッ
プ407へ移行し、ステップ407でバッテリ電圧BA
Tを検出し、ステップ408でバッテリ電圧BATに応
じて無効噴射パルスTVを算出する。そして、ECU2
7はステップ409で有効噴射パルスTAUE に無効噴射
パルスTVを加算して最終噴射パルスTAU(=TAUE
+TV)を算出する。
【0060】一方、ECU27は図5のステップ401
において各気筒1回目の同期噴射が終了していると(つ
まり2回目の同期噴射になっていると)、ステップ41
0に移行する。ECU27はステップ410で今回のエ
ンジン回転数Neが400rpmより小さいか否か判定
し、Ne<400rpmであると、ステップ411に移
行する。そして、ECU27はステップ411で前回の
エンジン回転数Neが400rpm以上か否か判定し、
400rpm未満ならばステップ413に移行し、40
0rpm以上ならばステップ412で今回のエンジン回
転数Neが200rpm以下か否か判定する。ECU2
7はステップ411の処理後、あるいは、ステップ41
2で今回のエンジン回転数Neが200rpm以下なら
ば(エンジン始動時)、ステップ413で水温THW、
吸気温THA、吸気圧Pmを検出し、ステップ414で
水温THWに応じて始動時噴射パルスTSTA を算出す
る。そして、ECU27はステップ415で図10のマ
ップを用いて吸気温THAに応じた補正係数FTHA を求
め、始動時噴射パルスTSTA に補正係数FTHA を乗算し
て始動時噴射パルスTSTA に対して空気密度に関する補
正を行う(TSTA ←TSTA ・FTHA )。そして、ECU
27はステップ416で図11のマップを用いて吸気圧
Pmに応じた補正係数FPMを求め、始動時噴射パルスT
STA に補正係数FPMを乗算して始動時噴射パルスTSTA
に対して大気圧(吸気圧Pm)による空気密度に関する
補正を行う(TSTA ←TSTA ・FPM)。
【0061】さらに、ECU27はステップ417で始
動時噴射パルスTSTA を有効噴射パルスTAUE とする。
さらに、ECU27はステップ407でバッテリ電圧B
ATを検出し、ステップ408でバッテリ電圧BATに
応じて無効噴射パルスTVを算出する。そして、ECU
27はステップ409で有効噴射パルスTAUE に無効噴
射パルスTVを加算して最終噴射パルスTAU(=TAU
E +TV)を算出する。
【0062】一方、ECU27はステップ410で今回
のエンジン回転数Neが400rpm以上であったりス
テップ412で今回のエンジン回転数Neが200rp
m以上であると(エンジン始動後)、図7のステップ4
18に移行する。
【0063】ECU27はステップ418でエンジン回
転数Neを検出し、ステップ419で吸気圧Pmを検出
する。そして、ECU27はステップ420で吸気圧変
化量ΔPmを算出し、ステップ421で吸気温THAを
検出する。さらに、ECU27はステップ422で水温
THWを検出し、ステップ423でスロットル開度TA
を検出する。続いて、ECU27はステップ424で排
気中の酸素濃度を検出し、ステップ425でエンジン回
転数Neと吸気圧Pmに応じて基本噴射パルスTp を算
出する。そして、ECU27はステップ426で水温T
HWに応じて水温補正係数FWLを算出し、ステップ42
7で水温THWと始動後経過時間に応じて始動後補正係
数FASE を算出する。さらに、ECU27はステップ4
28で吸気温THAに応じて吸気温補正係数FTHA を算
出し、ステップ429でスロットル開度TAとエンジン
回転数Neと吸気圧Pmに応じて高負荷補正係数FOTP
を算出する。
【0064】次に、ECU27はステップ430で排気
中の酸素濃度に応じて空燃比フィードバック補正係数F
A/F を算出し、ステップ431で吸気圧変化量ΔPmに
応じて加速補正パルスTACC を算出する。そして、EC
U27はステップ432で次式を用いて有効噴射パルス
TAUE を算出する。
【0065】TAUE =Tp ・FWL・FTHA ・(FASE +
TOTP )・FA/F +TACC ECU27はステップ432でこのように有効噴射パル
スTAUE を算出した後は、図5のステップ407に移行
する。そして、前述したように、ECU27はステップ
407,408でバッテリ電圧BATに応じて無効噴射
パルスTVを算出し、ステップ409で有効噴射パルス
TAUE に無効噴射パルスTVを加算して最終噴射パルス
TAU(=TAUE +TV)を算出する。
【0066】このように本実施例では、ECU27は、
エンジン1の始動開始後の2サイクルの吸気行程まで、
エンジン停止時のインジェクタ6からの燃料洩れが無い
としたときのリーン側の失火限界となる燃料量(図12
では30ms、図14では7.5ms)近傍のリッチ側
の燃料量を、インジェクタ6から噴射させるようにし
た。その結果、エンジン1の停止中にインジェクタ6か
ら燃料洩れが無い場合には、燃焼室12への混合気がリ
ーン側の失火限界近傍のリッチ側となり、燃焼される。
よって、リーンによる失火が回避されるとともに多量の
HCの排出が回避される。又、エンジン1の停止中にイ
ンジェクタ6から燃料洩れが有った場合には、燃焼室1
2への混合気がリッチになることによりHCの排出量が
増加するまでかなり余裕があり通常の洩れ燃料量であれ
ばHCが多量に排出されるのが回避される。さらに、多
大な洩れ燃料量であったとしてもHCの排出を最小限に
抑えることができる。このように、エンジン1の停止中
でのインジェクタ6からの燃料洩れの有無にかかわらず
HCの排出を低減し、かつ失火がなく安定した始動性を
確保することができることとなる。
【0067】又、リーン側の失火限界となる燃料量近傍
のリッチ側の燃料量として、リーン側の失火限界となる
燃料量に対し、空燃比に関するシステム公差のうちリー
ン側許容最大値分だけリッチ側にズラした燃料量とし
た。その結果、エンジン1の停止中にインジェクタ6か
ら燃料洩れが無く、かつ、空燃比に関するシステム公差
のうちリーン側許容最大値分だけリーン側にズレた場合
には、燃焼室12への混合気がリーン側の失火限界とな
り、燃焼される。よって、リーンによる失火が回避され
るとともに多量のHCの排出が回避される。このよう
に、空燃比に関するシステム公差があっても、エンジン
1の停止中でのインジェクタ6からの燃料洩れの有無に
かかわらずHCの排出を低減し、かつ失火がなく安定し
た始動性を確保することができることとなる。
【0068】又、従来技術(特開昭63−195356
号公報,実開昭62−101047号公報)では、エン
ジン停止中の時間経過を測定している必要があり、ムダ
な電力および回路が必要であった。しかし、本実施例で
はエンジン1の停止時間を計測することなく、HCの排
出を低減し、かつ安定した始動性を確保することができ
る。
【0069】尚、本実施例の応用としては、次の態様に
て実施してもよい。例えば、上記実施例では図4のステ
ップ304において気筒判別時点より逆算して非同期噴
射開始タイミングTASと非同期噴射終了タイミングTAF
を算出する際に、逆算の方法としてTAS, TAFの時間と
エンジンの回転数Neより角度を換算したが、クランク
角信号のパルス数を噴射開始および終了時点から気筒判
別までカウントアップして算出してもよい。この方が、
Neの誤差がなく、より正確に求めることができる。
【0070】又、上記実施例では、始動開始後2サイク
ル目の吸気行程までインジェクタ6の洩れ燃料が吸入さ
れるとして、2サイクル目の吸気行程で吸入される燃料
量(1回目の同期噴射まで)をリーン側に設定したが、
エンジンによっては3サイクル目以降の吸気行程まで洩
れ燃料が吸入される場合があり、その時は3サイクル目
以降の噴射をリーン側に設定してもよい。
【0071】さらに、エンジン始動開始後2サイクル、
3サイクルと経過する毎に吸気系内に拡散あるいは残留
しているインジェクタの洩れ燃料が減少していくため、
徐々に燃料噴射量をリーン側からリッチ側に移行してい
った方がより安定した燃焼となり、エミッションも増加
しない。徐々にリーン側からリッチ側に移行していく方
法としては、サイクル毎でもよいし、吸気行程毎でもよ
い。吸気行程毎に行えばより正確に要求通りリッチにで
きる。例えば、サイクル毎に燃料噴射量をリーン側から
リッチ側へ移行させる場合には、図15を用いればよ
い。この図15は図13に対応するものであり、始動開
始後2サイクル目(1回目の同期噴射)は図15の特性
線L1を用い、始動開始後3サイクル目(2回目の同期
噴射)は図15の特性線L2を用いればよい。
【0072】又、上記実施例では、非同期噴射実行タイ
ミングをスタータに同期して行ったがクランク角信号
(例えば、スタータ・オン後に最初に受信したクランク
角信号)で行ってもよい。その方が、非同期噴射開始タ
イミングを逆算する時に、気筒判別までのクランク信号
の数をカウントアップしていくことにより時間とNeに
よる逆算方式に比べ換算誤差がなく、より正確に求める
ことができる。 (第2実施例)次に、第2実施例を第1実施例との相違
点を中心に説明する。
【0073】本実施例は、第1実施例でのエンジン始動
時の非同期噴射後の当該燃料による燃焼に対し、エンジ
ン1の停止中のインジェクタ6から多大な洩れ燃料があ
った際のリッチにより異常燃焼した気筒を検出して次回
のエンジン始動時に当該気筒への非同期噴射燃料を減量
するようにしている。本実施例では、図16に示すよう
に、ECU27には不揮発性メモリ27aが備えられ、
同不揮発性メモリ27aには図17に示すデータが記憶
される。このデータは、気筒を示すk値(以下、気筒カ
ウント値kという)に対応した異常燃焼カウント値X#k
である。本実施例では4気筒エンジンに具体化している
ので、気筒カウント値k=1,2,3,4である。又、
異常燃焼カウント値X#kは気筒毎に用意されており、第
1気筒のための異常燃焼カウント値X#1と第2気筒のた
めの異常燃焼カウント値X#2と第3気筒のための異常燃
焼カウント値X#3と第4気筒のための異常燃焼カウント
値X#4を備えている。異常燃焼カウント値X#k
「0」,「1」,「2」,「3」の何れかの値をとり、
#k=0のときにはk気筒にリッチによる異常燃焼は発
生しておらず、X#k=1のときにはk気筒にリッチによ
る異常燃焼が1回発生していることを意味し、X#k=2
のときにはk気筒にリッチによる異常燃焼が2回発生し
ていることを意味し、X#k=3のときにはk気筒にリッ
チによる異常燃焼が3回発生していることを意味してい
る。この異常燃焼カウント値X#kのカウント動作につい
ては後述する。又、リッチによる異常燃焼の検出は、点
火(燃焼)によるエンジン回転数の上昇が所定値以上か
否かにより行われる。この判定処理については後述す
る。
【0074】尚、不揮発性メモリ27aの代わりに、イ
グニッションキー・オフ時にもバッテリ電力が供給され
るバックアップメモリを用いてもよい。要は、エンジン
停止時においても記憶内容が保持されるものであればよ
い。
【0075】そして、ECU27は第1実施例の図3の
処理の代わりに図18の処理を行うようになっている。
又、ECU27は図19の処理も行う。まず、図19の
処理について、図20を用いて説明する。この処理は、
リッチによる異常燃焼気筒(k)およびその回数(異常
燃焼カウント値X#k)を求めるためのものであり、本ル
ーチンは点火毎(本実施例では4気筒なので、180°
CA毎)に行う。
【0076】ECU27はステップ601でカウンタの
値nが「4」以下か否か判定する。ここで、カウンタの
値nは、イグニッションキー・オン後の点火の回数に応
じた値であり、イグニッションキー・オン時(コンピュ
ータ初期時)に初期値n=1がセットされる。そして、
図20において、点火タイミングt1,t2,t3,t
4,t5にて後記ステップ614で「1」インクリメン
トされる。
【0077】ECU27はカウンタの値nが「4」以下
であれば、ステップ602で現在のエンジン回転数Ne
をNe(n)としてメモリ(RAM)に記憶する。そし
て、ECU27はステップ603でカウンタの値nが
「3」以上か否か判定し、「3」未満であれば、つま
り、n=1(最初の点火)、あるいは、n=2(2回目
の点火)であれば、ステップ614でnを「1」インク
リメントし本ルーチンを終了する。
【0078】つまり、エンジン1の始動開始後における
最初の点火時(n=1)には、未だその点火によりその
気筒が正常燃焼したかどうかが不明なため、即ち、燃焼
による回転上昇が不明なため、判定できないからであ
る。又、エンジン1の始動開始後の2回目の点火時(n
=2)でも異常判定を行わないのは、次の理由による。
本実施例ではスタータに同期して非同期噴射を行うた
め、エンジン1の始動開始後における2回目の点火時
(n=2)には、非同期噴射による燃料が最初に吸入さ
れる気筒は吸気弁11が閉じる時期と重なると、分割さ
れて入る。その結果、燃料量が少なくリーン燃焼により
十分な回転上昇が得られなく、誤判定する可能性があ
る。そのために、第1回目の点火に関する正常燃焼の判
定は行わないようにしている。
【0079】このように、正常燃焼したかどうかの判定
は、3回目の点火時(n=3)に行われる。ECU27
はステップ603においてn≧3であれば、ステップ6
04で前回(180°CA前)のエンジン回転数Ne
(n−1)と今回のエンジン回転数Ne(n)の差ΔN
e(n)を求める。この回転上昇(ΔNe(n))によ
り(n−1)番目の点火が正常燃焼したかどうか以下の
ように判定する。
【0080】ECU27はステップ605で、HCの低
排出域での正常なる燃焼が行われたかどうかの比較値Δ
NeHを読み込む。この比較値ΔNeHは、図22にお
いてHC低排出域での最大燃料量における回転上昇ΔN
eである。この比較値ΔNeHはエンジン機種毎に異な
るため、エンジン機種毎に求めておく。ただし、比較値
ΔNeHは、図22に示すように、非同期噴射パルス設
定範囲のリーン側最小値での回転上昇ΔNemin より小
さくする必要がある。そのため、図23に示すように、
HC低排出域での最大燃料量における回転上昇ΔNe’
が、非同期噴射パルス設定範囲のリーン側最小値での回
転上昇ΔNemin より大きい場合には、ΔNemin に所
定値α(例えば、30rpm)を減算した値(=ΔNe
min −α)を比較値ΔNeHとする。
【0081】ECU27は図19のステップ606で水
温THWを読み込み、ステップ607で図24のマップ
を用いて水温THWに応じた補正係数k1を求める。さ
らに、ECU27はステップ608でエンジン回転数N
e(n)から図25のマップを用いてエンジン回転数N
e(n)に応じた補正係数k2を求める。
【0082】そして、ECU27は図19のステップ6
09で比較値ΔNeHを補正する。これは、ステップ6
05で求めた比較値ΔNeHに、補正係数k1およびk
2を乗算することにより行う(ΔNeH←ΔNeH・k
1・k2)。ここで、補正係数k1で補正を行うのは、
水温や潤滑油温の低下とともにエンジンフリクションが
増加して回転上昇が鈍るためである。又、補正係数k2
で補正を行うのは、エンジン回転の上昇とともにエンジ
ンフリクションが増加して回転上昇が鈍るためである。
【0083】引き続き、ECU27はステップ610で
エンジン回転数の変化ΔNe(n)と比較値ΔNeHと
を比較し、ΔNe(n)≧ΔNeHならば、正常燃焼し
ていると判定し、ステップ614でカウンタの値nを
「1」インクリメントして本ルーチンを終了する。一
方、ECU27はステップ610でΔNe(n)<ΔN
eHならば、回転上昇が鈍く正常燃焼していないと判定
してステップ611で(n−1)番目の点火気筒(#
k)を求め、その気筒kに対応した異常燃焼カウント値
#kを「1」インクリメントする。そして、その値を不
揮発性メモリ27aに記憶する。尚、異常燃焼カウント
値X#kは、工場からの出荷時に、初期化されX #k=0と
なっている。
【0084】ここで、例えば、図20においてエンジン
回転数推移線Lで示すように、n=3(3回目の点火)
時に図19のステップ610でΔNe(3)<ΔNeH
となった場合は、ステップ611で、(3−1)=2番
目の点火、つまり、第4気筒の点火による燃焼が異常燃
焼と判定してX#4=1をセットする。
【0085】又、ECU27は図19のステップ611
の処理を行った後、ステップ612,613で異常燃焼
カウント値X#kが「4」以上とならないようにする。つ
まり、ステップ612で異常燃焼カウント値X#k
「4」以上か否か判定し、X#k≧4ならば、ステップ6
13でX#k=0にする。その後、ステップ614に移行
してカウンタの値nを「1」インクリメントする。
【0086】一方、ECU27は前記ステップ601に
おいてカウンタの値nが「5」以上となると、本ルーチ
ンを終了する。次に、図18の処理について、図21を
用いて説明する。この処理は、始動時の非同期噴射パル
スの算出処理であり、スタータスイッチ28のオン操作
(スタータモータの駆動開始)により処理が開始され
る。
【0087】ECU27はステップ501で水温THW
と吸気温THAと吸気圧Pmを検出し、ステップ502
で図9のマップを用いてその時の水温THWに応じた始
動時非同期噴射パルスTASY を算出する。さらに、EC
U27はステップ503で図10のマップを用いて吸気
温THAに応じた補正係数FTHA を求め、始動時非同期
噴射パルスTASY に補正係数FTHA を乗算して始動時非
同期噴射パルスTASYに対して空気密度に関する補正を
行う(TASY ←TASY ・FTHA )。そして、ECU27
はステップ504で図11のマップを用いて吸気圧Pm
に応じた補正係数FPMを求め、始動時非同期噴射パルス
TASY に補正係数FPMを乗算して始動時非同期噴射パル
スTASY に対して大気圧(吸気圧Pm)による空気密度
に関する補正を行う(TASY ←TASY ・FPM)。
【0088】ECU27はステップ505で気筒カウン
ト値kを「1」にセットする。そして、ECU27はス
テップ506で4気筒まで処理が終了したか否かを判定
し、終了していればステップ511へ移行し、終了して
いなければステップ507へ移行する。ECU27はス
テップ507で不揮発性メモリ27aに記憶されている
異常燃焼カウント値X#kが「0」か否か、即ち、k気筒
(当初はk=1)が異常なしか否か判定し、「0」であ
れば、ステップ508で始動時非同期噴射パルスTASY
#k(k気筒の噴射パルス)=TASY をセットする。一
方、ECU27はステップ507において異常燃焼カウ
ント値X#kが「0」以外であり、当該気筒が異常燃焼で
あった場合には、ステップ510で次式により始動時非
同期噴射パルスTASY #kを求める。
【0089】 TASY #k=TASY −(1/3)・TASY ・X#k ここで、減算するのは、リッチによる異常燃焼を防止す
るためにリーン側に燃料量を設定するためである。又、
減算量については、一気に減量してリーン失火域に入る
のを防ぐため、(1/3)TASY のパルス幅を減算して
いる。それでも、異常燃焼が発生すると、前述の図19
のステップ611においてX#k=2になるので、このと
きは(2/3)TASY のパルス幅を減算する。
【0090】このように異常燃焼カウント値X#kは、
「0」のときには始動時非同期噴射パルスTASY に対し
減量補正が行われず、「0」以外のときにはその値に応
じた減量補正が行われ。つまり、異常燃焼カウント値X
#kは、減量のための補正係数となる。
【0091】ECU27はステップ508あるいは51
0を処理した後、ステップ509で気筒カウント値kを
「1」インクリメントしてステップ506に戻る。この
ように、ステップ506〜510を繰り返すことによ
り、第1気筒から第4気筒までの異常燃焼カウント値X
#kの内容に応じた始動時非同期噴射パルスTASY #kを求
める。
【0092】一方、ECU27は、ステップ506でk
>5になったら、ステップ511でバッテリ電圧BAT
を検出し、ステップ512でバッテリ電圧BATに応じ
た無効噴射パルスTVを算出し、ステップ513で各気
筒への最終噴射パルスTAU #kをセットする。つまり、
始動時非同期噴射パルスTASY #kに無効噴射パルスTV
を加算して最終噴射パルスTAU#k(=TASY #k+T
V)を算出する。
【0093】その結果、図20に示すように、第4気筒
の点火による燃焼が異常燃焼と判定されてX#4=1とな
っている場合には、図21に示すように、次回の始動か
ら第4気筒に対し(1/3)TASY だけ減算される。
【0094】このように本実施例では、エンジン1の始
動開始後の1回目の燃焼サイクルにおいて、リッチによ
り異常燃焼した気筒を検出するとともにその異常燃焼し
た気筒を示すデータ(X#k=1,2,3)X#kを不揮発
性メモリ27aに記憶し、次回のエンジン1の始動から
当該気筒の燃料量を減量するようにした。その結果、リ
ッチによる異常燃焼に伴うHCの多量排出と始動性悪化
が回避される。
【0095】又、その記憶内容を、異常燃焼した気筒
と、当該気筒に関する減量のための補正係数(即ち、X
#k=1,2,3)とした。よって、異常燃焼の検出回数
が次回のエンジン1の始動での燃料量の減量に反映さ
れ、正確な燃料の減量が行われる。
【0096】さらに、リーン側に対してはシステム公差
を考慮してリーン失火しない領域で始動時非同期噴射パ
ルスTASY を決めているため、異常燃焼が発生した場合
は、油密洩れによるリッチ燃焼と推定できる。そのた
め、燃料量を減量する方向への補正を行えばよく、図2
2におけるHC低排出域での燃焼を行わせるべく同領域
に対しリーン側およびリッチ側に振らせることにより同
領域内に収束させる場合に比べ、収束性がよい。
【0097】この第2実施例の応用として以下の態様に
て実施してもよい。 (イ)減量したときに、回転数の上昇が見られない場合
には、他の要因による異常燃焼と考えられるため、減量
しないようにしてもよい。即ち、異常燃焼カウント値X
#kを「0」にする(初期値に戻す)。
【0098】(ロ)図26に示すように、異常燃焼カウ
ント値X#kを記憶する領域を細分化して、蒸発燃料を精
度よく把握して、より精度の高い減量を行わせてもよ
い。この領域は、エンジンを停止した時のエンジン冷却
水温THW(エンジンが停止した時におけるエンジンの
温度状態)とエンジン1を停止させていた時間とをファ
クタとしている。エンジン冷却水温THWは、水温セン
サ23にて検出し、エンジン停止時間は、エンジン停止
のためにイグニッションキーをオフしてからエンジン始
動のためにスタータスイッチ28をオンさせるまでの時
間を測定することにより求める。つまり、インジェクタ
6の洩れ燃料はエンジン停止時の水温とエンジン停止時
間により図27に示すように変化する。エンジン停止時
間により蒸発燃料量が変化するのは、例えば、停止時の
水温が80℃の場合、エンジン停止直後から洩れが発生
してその量が増加していき2時間ぐらいで燃料配管内の
圧力が低下して洩れが無くなり、かつ温度が低くなって
いくので液化が始まり、その後に、蒸発燃料量が少なく
なっていく。又、エンジン停止時の水温により蒸発燃料
量が変化するのは、水温が低い方が燃料の膨張が少な
く、燃料配管の圧力が早く低下し、かつ水温が低いと蒸
発量が少なくなるためである。
【0099】データ記憶方法としては、エンジン停止時
の水温THWとエンジン停止時間をメモリに記憶してお
き、エンジン始動時に異常判定を行い異常燃焼があった
場合には該当する領域のデータ(X#k)を更新する。
又、そのデータを用いた燃料減量方法としては、エンジ
ン始動時において(図18のステップ506〜510に
おいて)エンジン停止時の水温THWとエンジン停止時
間に応じた領域のデータデータ(X#k)を読み出して燃
料量に反映させる。
【0100】この場合、イグニッションキーをオフして
からスタータスイッチ28をオンさせるまでの時間測定
によるエンジン停止時間の代わりに、エンジン停止から
エンジン始動までの時間に相当する要素として、推定エ
ンジン停止時間を用いてもよい。この推定エンジン停止
時間は、例えば、エンジン停止時の水温THWと次のエ
ンジン始動時の水温THWから推定する。つまり、図2
8に示す三次元マップを用い、エンジン停止時の水温と
次のエンジン始動時の水温から、予めエンジ停止時間を
求めるためのデータを用意しておき、例えば、エンジン
停止時の水温80℃と次のエンジン始動時の水温60℃
ならばエンジン停止時間が2時間であると推定する。あ
るいは、エンジン冷却水温の代わりに、エンジン潤滑油
の温度を用いて推定エンジン停止時間を求めるようにし
てもよい。
【0101】(ハ)図26に示した記憶領域毎に減量す
る割合を変えてもよい。つまり、例えば、図27で示し
たように、エンジン停止時の水温が80℃で、エンジン
停止から2時間が経過した時に蒸発燃料量がピークとな
るため、この領域においては減量する割合を増やすよう
にする。
【0102】(ニ)ある1つの気筒が異常燃焼したと判
定された場合、他の気筒も減量してもよい。つまり、例
えば、図29に示すように、第1気筒(#1)に洩れ量
が多いインジェクタ6が付いた場合、他の気筒のインジ
ェクタ6の洩れが無くても他の気筒へ、時間経過ととも
に蒸発燃料が拡散していくためである。従って、例え
ば、図26,29の領域VII で第1気筒が失火した時、
#1=1とするとともにX#2, #3, #4=0.2と設
定する。又、図26,29の領域Iで、第1気筒が失火
した時は、停止時間が0〜30分では、他の気筒への拡
散が少ないためX #1=1とするだけでよい。このよう
に、異常燃焼した気筒以外の気筒に対しても減量するこ
とによりムダな燃料の噴射が抑制できる。
【0103】(ホ)前記実施例では、1サイクルの燃焼
(非同期噴射による燃焼)について述べたが、油密洩れ
は吸気系に拡散して2サイクル目、3サイクル目の燃焼
に影響を及ぼすことがあるので、2サイクル目、3サイ
クル目の噴射量に関しても同様の方法で減量制御を行っ
てもよい。
【0104】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1に記載の
発明によれば、内燃機関の停止中での燃料噴射弁からの
燃料洩れの有無にかかわらずHCの排出を低減し、かつ
安定した始動性を確保することができる。
【0105】請求項2に記載の発明によれば、請求項1
に記載の発明の効果に加え、空燃比に関する公差があっ
ても、内燃機関の停止中での燃料噴射弁からの洩れ燃料
の有無にかかわらずHCの排出を低減し、かつ安定した
始動性を確保することができる。
【0106】請求項3および請求項4に記載の発明によ
れば、請求項1に記載の発明の効果に加え、より安定し
た燃焼となりエミッションも増加しない。請求項5に記
載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加
え、リッチによる異常燃焼に伴うHCの多量排出と始動
性悪化を回避できる。
【0107】請求項6に記載の発明によれば、請求項5
に記載の発明の効果に加え、より正確に燃料量の減量を
行うことができる。請求項7に記載の発明によれば、請
求項6に記載の発明の効果に加え、記憶領域の分割にて
蒸発燃料を精度よく把握でき、精度の高い減量を行うこ
とができる。
【0108】請求項8に記載の発明は、請求項5に記載
の発明の効果に加え、異常燃焼した気筒以外の気筒に対
しても燃料量が減量され、ムダな燃料の噴射が抑制でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例の内燃機関の燃料噴射制御装置の全
体概略図である。
【図2】作用を説明するためのフローチャートである。
【図3】作用を説明するためのフローチャートである。
【図4】作用を説明するためのフローチャートである。
【図5】作用を説明するためのフローチャートである。
【図6】作用を説明するためのフローチャートである。
【図7】作用を説明するためのフローチャートである。
【図8】作用を説明するためのタイムチャートである。
【図9】マップを示すグラフである。
【図10】マップを示すグラフである。
【図11】マップを示すグラフである。
【図12】非同期噴射パルス幅に対する空燃比およびH
C排出量の関係を示すグラフである。
【図13】マップを示すグラフである。
【図14】1サイクル目の同期噴射パルス幅に対する空
燃比およびHC排出量の関係を示すグラフである。
【図15】第1実施例の応用例のマップを示すグラフで
ある。
【図16】第2実施例の内燃機関の燃料噴射制御装置の
全体概略図である。
【図17】第2実施例における記憶内容を説明するため
の説明図である。
【図18】第2実施例の作用を説明するためのフローチ
ャートである。
【図19】第2実施例の作用を説明するためのフローチ
ャートである。
【図20】第2実施例の作用を説明するためのタイムチ
ャートである。
【図21】第2実施例の作用を説明するためのタイムチ
ャートである。
【図22】非同期噴射パルス幅に対する回転上昇および
HC排出量の関係を示すグラフである。
【図23】非同期噴射パルス幅に対する回転上昇および
HC排出量の関係を示すグラフである。
【図24】マップを示すグラフである。
【図25】マップを示すグラフである。
【図26】記憶領域を示す説明図である。
【図27】蒸発燃料量の推移を示す説明図である。
【図28】マップを示すグラフである。
【図29】蒸発燃料量の推移を示す説明図である。
【符号の説明】
1…内燃機関としてのエンジン、2…吸気管、6…イン
ジェクタ(燃料噴射弁)、27…燃料噴射制御手段とし
てのECU。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内燃機関の吸気系に燃料を噴射する燃料
    噴射弁と、 前記燃料噴射弁を駆動して燃料噴射量を制御する燃料噴
    射制御手段とを備えた内燃機関の燃料噴射制御装置にお
    いて、 前記燃料噴射制御手段は、内燃機関の始動開始後の所定
    サイクルまで、内燃機関停止時の燃料噴射弁からの燃料
    洩れが無いとしたときのリーン側の失火限界となる燃料
    量近傍のリッチ側の燃料量を、前記燃料噴射弁から噴射
    させるようにしたことを特徴とする内燃機関の燃料噴射
    制御装置。
  2. 【請求項2】 前記リーン側の失火限界となる燃料量近
    傍のリッチ側の燃料量とは、リーン側の失火限界となる
    燃料量に対し、空燃比に関するシステム公差のうちリー
    ン側許容最大値分だけリッチ側にズラした燃料量である
    請求項1に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
  3. 【請求項3】 内燃機関の始動開始後の所定サイクルま
    で、サイクルの経過に伴い燃料量をリッチ側に移行させ
    るようにした請求項1に記載の内燃機関の燃料噴射制御
    装置。
  4. 【請求項4】 内燃機関の始動開始後の所定サイクルま
    で、吸気行程の経過に伴い燃料量をリッチ側に移行させ
    るようにした請求項1に記載の内燃機関の燃料噴射制御
    装置。
  5. 【請求項5】 内燃機関の始動開始後の所定燃焼サイク
    ルまで、リッチにより異常燃焼した気筒を検出するとと
    もにその異常燃焼した気筒を記憶し、次回の内燃機関の
    始動から当該気筒の燃料量を減量するようにした請求項
    1に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
  6. 【請求項6】 前記記憶内容は、異常燃焼した気筒と、
    当該気筒に関する減量のための補正係数である請求項5
    に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
  7. 【請求項7】 前記記憶領域は、内燃機関が停止した時
    における内燃機関の温度状態と、内燃機関の停止から内
    燃機関の始動までの時間あるいはそれに相当する要素と
    により分割したものである請求項6に記載の内燃機関の
    燃料噴射制御装置。
  8. 【請求項8】 前記異常燃焼した気筒以外の気筒に対し
    ても燃料量を減量するようにした請求項5に記載の内燃
    機関の燃料噴射制御装置。
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