JPH08282106A - 光ディスクおよびその製造方法 - Google Patents

光ディスクおよびその製造方法

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JPH08282106A
JPH08282106A JP7094861A JP9486195A JPH08282106A JP H08282106 A JPH08282106 A JP H08282106A JP 7094861 A JP7094861 A JP 7094861A JP 9486195 A JP9486195 A JP 9486195A JP H08282106 A JPH08282106 A JP H08282106A
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composition
target
recording film
recording
manufacturing
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JP7094861A
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English (en)
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Eiji Ono
鋭二 大野
Yoshitaka Sakagami
嘉孝 坂上
Kenichi Osada
憲一 長田
Nobuo Akahira
信夫 赤平
Masahide Yokoyama
政秀 横山
Hiroshi Hayata
博 早田
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 角速度一定で使用する場合に内周から外周の
全領域において記録、消去、再生のすべての特性に優れ
る光ディスクと、このような光ディスクを安定かつ高速
に成膜可能な方法とを提供する。 【構成】 光ディスクの記録膜組成はGe,Sb,Te
の3元素を含み、Ge,Sb,Teの比率は図1のA,
B,C,Dで囲まれた範囲とし、光ディスクの全領域で
GeとTeの組成比が同じで、光ディスクの内周から外
周にかけてSb量を減少させる。またその製造方法とし
ては、基板を中心軸を共通とする複数のリング状ターゲ
ットに対向し、中心軸が基板とターゲットとで一致する
ように設置し、複数のリング状ターゲットの組成を異な
るものとして、記録膜を複数のリング状ターゲットから
の同時スパッタリング法で作製する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、レーザー光線等の光学
的手段を用いて情報を高密度かつ高速に、記録、再生あ
るいは書換えを行う光ディスクおよびその製造方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】レーザー光線等の光を利用して、光ディ
スク上に高密度な情報の記録再生を行う技術は公知であ
り、現在文書ファイル、静止画ファイル、コンピュータ
用外部メモリ等への応用が行われている。
【0003】最近では書換え可能型の実用化が進み、特
に記録膜のアモルファス状態と結晶状態間の可逆的な状
態変化を利用する相変化光ディスクは、信号トラック上
をレーザースポットが一回通過するだけで、古い信号を
消去しながら新しい信号を記録する、いわゆるオーバー
ライトが可能なため注目されている。このような相変化
光ディスクの記録膜組成としては、Ge,Te,Sb,Se等の合
金がおもに用いられる。
【0004】相変化光ディスクでの一般的なオーバーラ
イト方法は、レーザーパワーを記録信号で記録パワーと
消去パワーの間で変調してトラック上を照射する。記録
パワーで照射された領域は、記録膜が融点に達したのち
冷却されるため、古い記録マークの有無にかかわらずア
モルファス化して新しい信号が記録され、消去パワーで
照射された領域は、記録膜が結晶化温度以上に熱せられ
るため、アモルファス状態の古い信号が結晶化して消去
されるのである。
【0005】従って、相変化光ディスクでは、結晶化速
度が重要なパラメータとなる。つまり、結晶化速度が遅
すぎる(すなわち結晶化時間が長すぎる)と、レーザー
スポットが通過する間に充分に結晶化されず消し残りを
生じる。逆に、結晶化速度が速すぎる(すなわち結晶化
時間が短かすぎる)と、信号を記録する場合に記録膜が
溶融後冷却されても、完全にアモルファス化されず再結
晶化されて、充分な記録マークが得られなかったり、あ
るいは記録マークの形が歪んだりする。すなわち、線速
度(レーザースポットと光ディスクの相対速度)に応じ
て最適な結晶化速度が存在するのである。
【0006】光ディスクの回転方法には主に2通りあ
る。一つは光ディスクの全領域において線速度一定で回
転する方法であり、もう一つは角速度一定(すなわち回
転数一定)で回転する方法である。後者によれば、例え
ば光ヘッドが内周から外周に移動して必要な情報にアク
セスする場合でも、回転数を調整する必要がないため、
高速で行えるというメリットがある。
【0007】ところで、光ディスクを一定の角速度で回
転するとき、その内周と外周では線速度は異なる。内周
で遅く外周で速い。このとき結晶化速度を内周の線速度
に合わせて最適化すると、外周では結晶化が不足して消
し残りが生じ、逆に、外周の線速度に合わせて最適化す
ると、内周では溶融部分の再結晶化が進み大きな記録マ
ークが得られない場合があった。
【0008】これを解消する方法として、特開平1−1
84510号では、記録膜組成を半径方向に変え、結晶
化時間を外周ほど短くした光ディスクが提案されてい
る。具体的にはGeTeとSb2Te3の合金からなる光
ディスクにおいて、内周ではGeTeリッチにして結晶
化速度を遅くし、外周ではSb2Te3リッチにして結晶
化速度を速くする方法が開示されている。この方法によ
れば内周から外周まで良好な消去特性が得られる。
【0009】また、上記引例では、このような光ディス
クの製造方法として図12に示す示したように、基板9
を回転させながら、その回転中心に対して偏心した位置
に、2つ以上の蒸発源22あるいはスパッタソースを設
け、さらに基板とソースの間に仕切り板23を設けて、
ディスクの半径方向に組成を変化させる方法が開示され
ている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、発明者
らがさらなる検討を加えた結果、上記の内周ではGeT
eリッチにして結晶化速度を遅くし、外周ではSb2
3リッチにして結晶化速度を速くした光ディスクで
は、内周と外周とで再生信号の振幅が異なる場合がある
ことが分かった。この原因は、GeTeとSb2Te3
の比率を変えると、記録膜の結晶化速度だけでなく、複
素屈折率も大きく変わってしまうためと考えられる。
【0011】相変化光ディスクにおける信号の再生は、
一般的に再生レーザーパワーで信号トラック上を照射し
て、結晶状態とアモルファス状態との反射率の差を検出
することで行う。内周と外周とで複素屈折率が変化する
と、アモルファス状態と結晶状態との反射率も変わり、
結果として内周と外周とで再生信号の振幅が異なり、そ
のために、光ディスクの全記録領域で均質な再生信号品
質が得られなくなってしまう。
【0012】また、上記引例に記載された光ディスクの
製造方法にも、以下のような課題がある。
【0013】まず、基板の回転中心に対して偏心した位
置に、2つ以上の蒸発源あるいはスパッタソースを設け
てあるため、円周方向に同一組成にするには高速で回転
させるか、あるいは成膜レートを遅くする必要がある。
いずれにしても成膜開始から終了するまでに基板を充分
な回数回転しないと、円周方向の組成と膜厚が不均一に
なる。これは光ディスクを大量かつ高速に生産する場合
には、大きな課題となる。
【0014】なお、上記引例では、成膜法の一つとして
真空蒸着法を挙げているが、真空蒸着法はスパッタ法に
比べて薄膜の付着強度が小さく、また成膜時の蒸着源で
の突沸等による基板上異物ができ易いといった課題もあ
る。
【0015】本発明は上記課題を解決し、内周から外周
にかけて結晶化速度が速くなるが、信号の再生特性は変
化しない光ディスクを提供すると共に、このような光デ
ィスクを安定かつ高速に成膜可能な装置を提供すること
を目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明は上記の目的を達
成するため、光ディスクの記録膜組成を少なくともG
e,Sb,Teの3元素を含み構成し、Ge,Sb,T
eの比率は図1のA,B,C,Dで囲まれた範囲とし、
さらに光ディスクの全領域でGeとTeとの組成比が概
ね同じで、光ディスクの内周から外周にかけてSb量を
減少させる。
【0017】あるいは、光ディスクの記録膜組成をG
e、Sb、Teの3元素にさらに他の元素を添加したも
のとし、光ディスクの内周から外周にかけて添加元素の
量を減少させる。
【0018】また、記録膜組成の結晶化速度が内周から
外周にかけて速くなる光ディスクの製造方法としては、
基板を中心軸を共通とするそれぞれ構成元素は概ね同じ
で前記構成元素の組成が異なる複数のリング状ターゲッ
トを概ね同心軸に配置し、前記複数のリング状ターゲッ
トに対向し、前記複数のリング状ターゲットの中心軸
が、基板の中心軸と概ね一致するよう前記基板をに設置
し、前記複数のリング状ターゲットの同時スパッタリン
グ法により、前記基板上に作製する。
【0019】あるいは、それぞれ構成元素は概ね同じで
前記構成元素の組成が異なる円盤状ターゲットと1つ以
上のリング状ターゲットとを概ね同心軸に配置し、前記
円盤状ターゲットと前記リング状ターゲットとに対向
し、前記円盤状ターゲットの中心軸が基板の中心軸と概
ね一致するように前記基板を設置し、前記円盤状ターゲ
ットと前記リング状ターゲットとの同時スパッタリング
法により、前記基板上に前記記録膜を作製する。
【0020】さらには、それぞれ構成元素は概ね同じで
前記構成元素の組成が異なる複数の同心円状のターゲッ
トからなる円盤状ターゲットと基板とを対向し、前記円
盤状ターゲットの中心軸と基板の中心軸とが概ね一致す
るように設置し、前記円盤状ターゲットからのスパッタ
リング法により前記基板上に前記記録膜を作製する。
【0021】
【作用】本発明による上記構成の光ディスクでは、内周
から外周にかけて結晶化速度が速く、かつ内周と外周で
再生振幅がほぼ同じであるため、光ディスクの全領域に
おいて良好な記録消去および再生特性が得られる。
【0022】さらに本発明による光ディスクの製造方法
によれば、内周から外周にかけて結晶化速度の速くなる
光ディスクを、再現性よくかつ高速に作製することが可
能になる。
【0023】
【実施例】以下図面を参照しながら本願発明を詳細に説
明する。
【0024】図2に本願発明による光ディスクの一例の
断面図を示す。1は基板であり、その材質としては一般
的に透明なガラス、石英、ポリカーボネート、ポリメチ
ルメタクリレート等が用いられる。
【0025】基板1上には、第1の誘電体層2、記録膜
3、第2の誘電体層4、反射膜5の順に積層されてい
る。さらに必要に応じて、薄膜層を保護するために保護
カバー6を設けてもよい。
【0026】第1の誘電体層2および第2の誘電体層4
は、透明でかつ熱的に安定な物質がよく、たとえば、金
属や半金属の酸化物、窒化物、カルコゲン化物、フッ化
物、炭化物等およびこれらの混合物であり、具体的には
SiO2,SiO,Al2O3,GeO2,In2O3,Ta2O5,TeO2,TiO2,MoO3,W
O3,ZrO2,Si3N4,AlN,BN,TiN,ZnS,CdS,CdSe,ZnSe,ZnTe,Ag
F,PbF2,MnF2,NiF2,SiC等の単体あるいはこれらの混合物
等である。
【0027】反射層5は金属膜で構成され、材料として
は例えばAu,Al,Ti,Ni,Cu,Cr等の単体あるいはこれらの
合金を用いることができる。
【0028】なお、第1の誘電体層2、記録膜3、第2
の誘電体層4の膜厚を適切に設計することにより、反射
層5を用いない構造とすることも可能である。
【0029】また、光ディスクの薄膜構成がさらに異な
る場合でも、本願発明の主旨を満たすものであれば本願
発明に含まれる。
【0030】ここで、本発明の光ディスクの特徴は、記
録膜3の結晶化速度が内周より外周の方が速いことであ
り、かつ記録膜の組成が少なくともGe,Sb,Teの
3元素を含み、Ge,Sb,Teの比率は図1のA,
B,C,Dで囲まれた範囲にあり、光ディスクの全領域
でGeとTeの組成比が概ね同じで、光ディスクの内周
から外周にかけてSb量を減少させるたことにある。
【0031】あるいは、光ディスクの記録膜組成をG
e、Sb、Teの3元素に、Pd,Co,Ni,Tl,
Se,In,Au,Ag,Cr等の元素を1種類以上添
加したものとし、光ディスクの内周から外周にかけて添
加元素の量が減少することにある。
【0032】光ディスクにおいて、内周から外周まで良
好な記録消去特性を得るためには、記録膜の結晶化速度
を内周より外周の方を速くすることが望ましい。上述の
引例特開平1−184510号では、記録膜としてGe
SbTeの3元合金を用い、内周と外周でGeTeとS
2Te3の比率を変えた光ディスクが提案されている。
【0033】GeSbTeの3元合金は、相変化光ディ
スク用の記録膜としてよく知られており、薄膜の結晶化
速度は図13のようになることが報告されている(Japa
neseJournal of Applied Physics, Vol.26(1987)Supple
ment26-4,p61)。
【0034】すなわち結晶化速度は、化学量論組成のG
eTeとSb2Te3を結ぶライン上で変化し、GeTe
リッチでは結晶化速度は遅く、Sb2Te3リッチでは結
晶化速度が速くなる。上記引例は、このようなGeSb
Teの3元合金の特徴を利用してなされた発明である。
【0035】しかしながら、発明者らのさらなる検討の
結果、光ディスクの内周と外周で結晶化速度を変えるこ
とは、結晶化速度の異なる任意の2つの組成(構成元素
が異なってもよい)を採用すれば容易に実現できるが、
場合によっては、内周組成と外周組成で複素屈折率が大
きく異なるため、光ディスクの内周と外周で再生信号品
質(特に再生振幅)が異なることが分かった。
【0036】例えば、図3のGeTeとSb2Te3とを
結ぶライン上の点Eと点Fとでは、点Fの組成の方が結
晶化速度は約2倍速いが、複素屈折率が大きく異なるた
め、光ディスクの薄膜構成にしたとき、例えば波長λ=
780nmにおいて、点Eではアモルファス状態と結晶
状態との反射率差ΔRは約30%であるが、点FではΔ
Rは約10%となった(詳細は後述の実施例1参照)。
【0037】相変化光ディスクは、おもにアモルファス
状態と結晶状態との反射率の差を検出して記録された信
号を再生するため、点Eと点Fとの反射率差ΔRの違い
は、結果として内周と外周とでの再生振幅の差となり、
実用上課題となることが分かる。なお、図3は、図1に
示したGe,Sb,Teの3元組成図のSb近傍の領域
を拡大したものである。さらに、図3中の組成点A〜M
に対応する具体的組成については、実施例の最後に列記
する。
【0038】これに対して本発明では、記録膜組成をG
eTeとSb2Te3のライン上の任意の点と、Sb10
0%の点とを結ぶライン上で変化させるのである。例え
ば、図3の点Gと点Hとでは、点Gの組成の方が結晶化
速度は約2倍速いが、複素屈折率の差は小さいため、光
ディスクの薄膜構成にしたとき波長λ=780nmにお
いて、点Gでの反射率差ΔRが約24.5%であるのに
対して、点HではΔRは約24%であり、その差は小さ
く、結果として内周と外周での再生振幅の差も小さく、
実用上問題ないことが分かった。
【0039】また、GeTeとSb2Te3のラインから
Teリッチの組成領域(図1の直線ABよりTe側の組
成領域)でも、組成を選ぶことによって結晶化速度が変
化するが、信号の繰り返し記録による信号品質の低下が
激しいことが分かった。
【0040】さらにGeTeとSb100%とを結ぶラ
インよりGeリッチの組成領域(図1の直線DAよりG
e側の組成領域)では、結晶化時間が1μsより長くな
る。1μsという時間は、例えば直径1μmのレーザー
スポットが、線速度1m/sで光ディスク上の一点を通
過するのに要する時間に相当する。
【0041】一般的に線速度は1m/sより速い速度で
使用されるので、これ以上結晶化時間が長い(すなわ
ち、結晶化速度が遅い)と、光ディスク用の記録膜材料
としては実用的でない。さらに、この領域では融点が高
いため、大きな記録パワーが必要なため、光ディスクの
記録膜に使用できない。
【0042】なお、図1の直線CDよりTeが少ない組
成領域では、結晶化時間が1μsより長く、結晶化速度
が遅くなりすぎて実用的でなくなる。Te量は45%以
上が良い。
【0043】さらに、GeとTeの組成比をGe:Te
=2:5近傍とした本発明の限定領域の組成を選択した
場合(図3の点Gと点Mを結ぶ直線上)には、オーバー
ライトの繰り返し特性が非常に良好となり、100万回
を超えるオーバーライトが実現できる。
【0044】また、本発明においては、記録膜組成とし
てGe,Sb,Teの3元素は必須であるが、本願発明
の主旨を損なわない程度に他の元素が含まれていてもか
まわない。
【0045】なお、一般的にはGe・Sb・Te合金に
対して他の元素を添加すると、ほとんどの場合、結晶化
速度が低下する。すなわち、この特性を利用して添加元
素濃度を内周と外周とで変化させ、結晶化速度を制御す
ることも可能である。
【0046】特に添加元素として、Pd,Co,Ni,
Tl,Se,In,Au,Ag,Crのうちの少なくと
も一つを選択すると、結晶化速度が低下し、かつ複素屈
折率の変化が小さいため、光ディスクの反射率変化量Δ
Rはほぼ一定で、かつ結晶化温度の低下もないことがわ
かった。なお、添加量は20%以下がよい。これより多
いと結晶化速度が急激に低下したり、あるいは複素屈折
率が大きく変化する場合がある。
【0047】また、本願発明の記録膜の結晶化速度を内
周より外周の方を速くした光ディスクの作製は、図4に
断面図を示したような装置により可能となる。なお、図
5は図4に示したターゲットと基板との位置関係を示す
見取り図である。
【0048】リング状の内側ターゲット7と外側ターゲ
ット8とは中心軸10を共通とするものであり、またそ
の中心軸10をさらに共通として基板9が、ターゲット
7及び8と対向している。2つのターゲット7及び8の
組成を変えると、内周から外周に向かって組成の変化す
る光ディスクが作製できる。
【0049】図6に、それぞれのターゲットから成膜し
た場合の基板位置における半径方向の成膜速度分布、お
よび両者の合計の成膜速度分布を示す。なお、図6での
成膜速度は、合計の成膜速度の最大値で規格化して示し
てある。また、本来記録膜厚は、光ディスクの内周から
外周まで均一にしなければならないが、図6のように内
周ターゲットと外周ターゲットの成膜速度を調整するこ
とにより、略均一化できることが分かる。
【0050】このとき、記録膜組成を内周から外周にか
けて、図3点Hから点Gまで変化させるためには、例え
ば内周ターゲット組成として点HよりSbリッチな点J
の組成、外周ターゲット組成としては点GよりSbプア
な点Iの組成を選ぶ。このときの記録膜組成のディスク
半径方向の分布を、図7に示す。組成点I,G,H,J
は、それぞれGe量:Te量=2:5の直線上にあっ
て、Sb量が変化しているため、図7では記録膜組成を
Sb量で代表して示した。この光ディスクにおける記録
領域が、例えば最内周で半径25mm、最外周で半径6
0mmとすれば、最内周の半径25mmでほぼ点Hの組
成になり、最外周の半径60mmでほぼ点Gの組成にな
り、かつ内周から外周にかけて徐々にSb量が減少して
いるのがわかる。
【0051】記録膜組成とターゲット組成の関係は、タ
ーゲット形状、TS距離(ターゲットと基板の距離)、
基板の大きさ等によって変わるものであるが、記録膜の
組成を、Ge,Sb,Teの3元組成図である図1の
A,B,C,Dで囲まれた範囲とし、さらに光ディスク
の全領域でGeとTeとの組成比概ねが同じで、かつ光
ディスクの内周から外周にかけてSb量を減少させたも
のとするためには、リング状のターゲット組成も、Ge
とTeとの組成比が概ね同じで、かつGe量よりTe量
の方が多く、内周ターゲットから外周ターゲットにかけ
てSb量を減少させればよい。ただし、ターゲット組成
としては上記実施例のごとく、図1のA,B,C,Dで
囲まれた領域の外にくる場合もある。
【0052】なお、図5ではリング状ターゲットは2つ
としたが、3つ以上にしてもよい。この場合中間のター
ゲット組成は、内側ターゲットの組成と外側ターゲット
の組成との間の組成にする。このようにして3つ以上の
ターゲットを用い成膜した記録膜の結晶化速度は、内周
から外周にかけてより連続的に速くできる。
【0053】また、リング状ターゲットの数を増やす
と、基板サイズが大きくなっても、TS距離をあまり大
きくすることなく均質な膜厚分布を得ることが可能とな
る。したがって、スパッタされた原子の基板への付着率
が高くなり、ターゲット材料の有効利用ができる。
【0054】また、図5では内側ターゲットもリング状
であったが、例えば図8のように、中心のターゲットを
リング状ではなく、円盤状ターゲット14としてもよ
い。この場合のターゲット組成の選び方は、上述のすべ
てリング状ターゲットを用いた場合と同じである。ま
た、リング状ターゲット15の数は2つ以上でもよく、
リング状ターゲットの数を増やすと、基板サイズが大き
くなってもTS距離をあまり大きくすることなく均質な
膜厚分布を得ることが可能となり、ターゲット材料の有
効利用ができる。
【0055】さらには、例えば図9のように、一つのタ
ーゲット16を同心円状に組成の異なる複数の領域に分
割したターゲットで構成し、内側領域17と外側領域1
8とで組成を変えることで、光ディスクの内周から外周
にかけて結晶化速度の速くなるディスクを作製すること
も可能である。
【0056】この製法のメリットは、従来の一般的な円
盤状ターゲットを用いるスパッタリング装置で成膜でき
ることである。すなわち、シンプルな装置によって、内
側から外周にかけて結晶化速度が速くなる光ディスクを
作製することが可能となる。
【0057】なお、ターゲットの分割は2つ以上の領域
に分割されればいくつでもよいが、ターゲットの製造を
考えた場合は2分割がよい。なお、この場合のターゲッ
ト組成の選び方は、上述のすべてリング状ターゲットを
用いた場合に準じるものである。
【0058】なお、図5および図8の製法の、図9の製
法に対するメリットは、ターゲットの製法が容易なこと
にある。例えば図9のように、一つのターゲットを2つ
以上に分割するとその境界ができる。この境界に隙間等
ができると異常放電の原因になるため、高度なターゲッ
ト製作技術が必要になる。これに対して例えば図5およ
び図8の製法では、ターゲットはそれぞれ単一の組成の
ため、異常放電等の心配はない。
【0059】また、記録膜がGe・Sb・Te合金に、
さらに他の添加元素を添加した組成からなる場合は、内
側のターゲットほど添加元素の量を多くすればよい。例
えば図5では外側ターゲット8より内側ターゲット7で
の添加元素量を多くし、図8ではリング状ターゲット1
5より円盤状ターゲット14の添加元素量を多くし、ま
た図9では外側領域18より内側領域17での添加元素
量を多くすれば、光ディスクの内周から外周にかけて結
晶化速度の速くなるディスクを作製することが可能であ
る。
【0060】なお、基板は成膜時にターゲット上で回転
(自転)させてもよい。しかし、ターゲット構成が中心
軸に対して回転対称であり、かつ基板もターゲットと中
心軸を共通としているため、基板上の組成と膜厚も中心
に対して等方的になる。したがって、ターゲットに対し
て基板を静止対向としてもよく、この場合光ディスクの
回転機構が不要になるため装置構成が簡単になる。
【0061】また、例えば図5または図8の構成による
製法のように、複数の独立したターゲットを用いる場合
には、それぞれのターゲット寿命を同一にすることが望
ましい。すなわち、光ディスクの成膜可能枚数が両者と
もに同じであれば、ターゲット交換時期を常に同じにで
きるため、成膜装置の停止期間を短くでき、したがって
成膜装置の稼動率を向上できる。
【0062】それぞれのターゲットからの必要な成膜速
度は、基板形状、TS距離、ターゲット形状等によって
異なる。したがって、光ディスクの成膜可能枚数を両者
ともに同じにする(ターゲットの寿命を同じにする)た
めには、それぞれの成膜速度に応じてターゲットの厚み
を調整すればよい。
【0063】なお、多元の真空蒸着法により例えば図1
0に示したような蒸着源および基板を設置し、成膜する
ことも可能である。例えば中心の蒸着源19に、図3の
点Jの組成材料、中心から離れた蒸着源20に点Iの組
成材料を設置し、同時蒸着により成膜して、内周から外
周にかけて結晶化速度が遅くなる光ディスクを作製する
ことが可能である。
【0064】しかし、前述のように、真空蒸着法はスパ
ッタ法に比べて薄膜の付着強度が小さく、また成膜時の
蒸着源での突沸等による基板上異物ができ易いといった
課題に加えて、蒸着源は一般的には点であり、基板上の
組成と膜厚を中心に対して等方的にするには、基板を回
転する必要がある。特に、量産時等に短時間で成膜する
場合には、高速での回転が必要となり、実用的でない。
【0065】また、蒸着法で一つの蒸着源から複数の元
素からなる合金を蒸発させる場合、元素による融点や蒸
気圧の違いによって、成膜される元素の比率が蒸発源の
組成と違ったり、時間とともに変化することがあり、こ
の点からも実用的でない。
【0066】(実施例1)本発明による光ディスクを作
製する前に、記録膜組成と光ディスクの反射率の関係を
求めた。
【0067】光ディスク構成にした場合の反射率は、1
2×18mmのガラス基板上に図2と同じ構成で成膜
し、成膜直後のアモルファス状態の反射率Raおよび3
00℃で5分間熱処理した結晶状態の反射率Rcを測定
し、反射率差ΔR=Rc−Raを求めた。
【0068】誘電体層の材料は、第1の誘電体層、第2
の誘電体層ともにSiO2を20mol%添加したZn
Sであり、また反射層の材料はAlである。各膜厚は、
第1の誘電体層が174nm、記録膜厚が30nm、第
2の誘電体層が23nm、反射層厚が100nmであ
る。また、測定波長は780nmである。
【0069】このようにして薄膜構成を同一にして、記
録膜組成を図1のA,B,C,Dで囲まれた領域の近傍
で種々変化させ、記録膜組成と光ディスクの反射率との
関係を求めた。なお、成膜はすべてスパッタリング法で
行った。
【0070】図11にその結果を示す。図中では光ディ
スク構造にした時の反射率差ΔRの組成比依存性を等高
線で示した。前出の図13では、GeTeとSb2Te3
とを結ぶライン上で組成を変化させると、結晶化速度が
変化することが示されているが、図11からは、光ディ
スクとしての反射率変化量ΔRも大きく変化してしまう
ことが分かる。
【0071】これに対して、GeTeとSb2Te3を結
ぶライン上の任意の点の組成に、さらにSbを添加した
場合には、ΔRはほとんど変化しないことが分かる。す
なわち、ΔRを変化させることなく、図13のように結
晶化速度のみを変化させることが可能となる。
【0072】ただし、Sb量が多すぎると、図13から
わかるように、結晶化時間が長くなる。前出のJapanese
Journal of Applied Physics, Vol.26(1987)Supplemen
t26-4,p61に記載の方法と同じ方法で、結晶化速度を測
定した結果、図1の直線CDより右の領域、すなわち、
Teが45%より少ない領域では、結晶化時間は1μs
を超えてしまい、光ディスクの記録材料としては不適と
なることがわかった。
【0073】なお、図11においてSb2Te3近傍の組
成ではΔRが小さいが、これは薄膜構成が記録膜の複素
屈折率変化に適合していないためである。つまり各薄膜
の膜厚を最適化することで、ΔRを例えば20%以上の
大きな値にすることが可能である(ただしその場合Ge
Te近傍の組成ではΔRは小さくなる)。すなわち、例
えば点BからさらにSbを添加した点Cにかけて組成を
変化させた場合でも、光ディスク構成を最適化すれば光
ディスクの全領域でΔRを20%以上にでき、良好な信
号品質が得られる。
【0074】なお、内周から外周にかけてGeTeとS
2Te3とを結ぶライン上で組成を変化させて結晶化速
度を変える場合でも、薄膜の膜厚も内周から外周にかけ
て変化させれば、全領域において大きな反射率変化が得
られるが、薄膜の膜厚を一つの光ディスク内で変化させ
るのは量産性を考えた場合困難である。
【0075】また、図13からわかる様に、GeTeと
Sb2Te3とのライン上の組成から離れるほど結晶化速
度は遅くなる。従って、GeTeとSb2Te3とのライ
ン上の任意の組成点からGeとSbの組成比を同じにし
て、光ディスクの内周と外周でTeの濃度を変えること
でも、内周と外周とで結晶化速度を変えることができ
る。しかし、この場合は図11から分かるように、Te
濃度変化による光学定数変化が大きく、内周と外周とで
反射率が大きく変わってしまうため良くない。
【0076】(実施例2)次に、GeSbTe3元合金
に、さらに他の元素を添加した場合における、添加元素
の量と、反射率差ΔRおよび結晶化時間の関係を求め
た。ΔRを求めた場合のサンプル構成および測定方法は
実施例1と同様であり、また結晶化時間の求め方は前出
のJapanese Journal of Applied Physics, Vol.26(198
7)Supplement26-4,p61に記載の方法と同じである。
【0077】(表1)に、GeSbTe3元合金の組成
として図3の点Hの組成を選択し、それに他の元素を添
加した場合の結果を示す。表からわかるように、GeS
bTe3元合金にPd,Co,Seを添加すると全ての
場合、結晶化速度が遅くなるのが分かる。ただし、添加
量が20%を超えると結晶化時間が1μsを超えたり、
あるいは反射率差ΔRが小さくなったりするため、添加
量は20%以下がよい。
【0078】なお、添加元素としては他にNi,Tl,
In,Au,Cr,Agを用いても同様の結果となっ
た。また、複数の元素を同時に添加してもよい。
【0079】また、Ge,Sb,Teの組成として点H
以外の図1のA,B,C,Dで囲まれた領域の他の組成
を用いても、同様に反射率差ΔRをほとんど変化させる
ことなく結晶化速度を遅くできることが分かった。
【0080】
【表1】
【0081】(実施例3)図4の構成のスパッタ装置に
より光ディスクを作製して記録消去特性を測定した。内
側ターゲットのサイズは外径66mm(直径)、内径3
4mm、厚さ6mm、外側ターゲットのサイズは外径1
42mm、内径108mm、厚さ6mmである。ターゲ
ット組成は、内側が図3の点Jの組成、外側が図3の点
Iの組成である。内側ターゲットと外側ターゲットと
は、スパッタパワーを独立して制御することが可能であ
る。
【0082】基板は、信号記録用のトラックを設けた直
径123mmのポリカーボネイト基板であり、ターゲッ
ト上35mmの位置で静止対向している。基板上には予
め誘電体層のZnS−SiO2が174nm成膜してあ
る。
【0083】真空室11の内部を3×10-7Torrま
で排気系13で排気後、ガス導入口12からArガスを
導入して3mTorrのガス圧のもとで、2つのターゲ
ットからの同時スパッタリングにより、基板上に記録膜
厚を30nm成膜した。その後、ZnS−SiO2を2
3nm、反射層としてAlを100nm成膜した。さら
に、その上にUV樹脂をオーバーコートし、光ディスク
とした。また、記録膜はスパッタリング後はアモルファ
ス状態であるため、レーザー照射によって全面結晶化し
て光ディスクを初期化した。これを光ディスク1とす
る。
【0084】なお、記録膜の組成を光ディスク1と同一
条件で成膜した場合、信号記録の最内周領域である半径
25mm近傍で図3の点Hの組成、最外周領域である半
径60mm近傍で図3の点Gの組成であることをICP
分析法で確認した。
【0085】ここで、比較例として上記光ディスク1と
同じ構成で、記録膜組成だけが異なる3種類の光ディス
クを作製した。光ディスク2は記録膜組成が全領域にお
いて光ディスク1の最内周と同じ点Hの組成であり、光
ディスク3は記録膜組成が全領域において光ディスク1
の最外周と同じ点Gの組成である。また、光ディスク4
は、記録膜組成が全領域において、点Hの組成と点Gの
組成との中間である点Kの組成である。
【0086】作製した光ディスク1〜4を波長780n
m、対物レンズの開口数(NA)0.55の記録再生装置
で、記録再生特性を測定した。
【0087】信号の記録再生評価は、以下の手順で行な
った。光ディスクを記録再生装置に設置し、スピンドル
モータを1800rpm一定で回転させて、半導体レー
ザーからの光ビームを光学系により、微小な光スポット
として記録薄膜層に照射し、フォーカスおよびトラッキ
ング制御をかけた。
【0088】最初に半径25mmの位置で周波数f1
(0.785MHz)とf2(0.589MHz)との
信号をともに、デューティ50%で交互に20回オーバ
ーライトし、f1のCNR(信号対雑音比)と、f1の
上にf2をオーバーライトした場合のf1成分の消去率
とを求めた。なお、測定は、CNRが飽和する記録パワ
ーと、最大の消去率が得られる消去パワーとで行った。
また、このときの線速度は4.71m/sであり、記録
マーク長はf1のとき3.0μm、f2のとき4.0μmで
ある。
【0089】次に、半径60mmの位置で周波数f3
(1.885MHz)とf4(1.414MHz)との
信号をともに、デューティ50%で交互に20回オーバ
ーライトし、f3のCNRと、f3の上にf4をオーバ
ーライトした場合のf3成分の消去率とを求めた。この
ときの線速度は11.31m/sであり、記録マーク長
はf3のとき3.0μm、f4のとき4.0μmであり、半
径25mmの場合と同じである。
【0090】測定結果を(表2)に示す。本発明による
光ディスク1では、最内周、最外周ともに良好な記録・
消去特性が得られることが分かる。これに対し、光ディ
スク2では結晶化速度が遅いため、外周で充分な消去率
が得られていないことが分かる。光ディスク3では内周
においてCNRが非常に小さい。これは、結晶化速度が
速いため、線速度の遅い内周では、充分な大きさのアモ
ルファスの記録マークが得られないためと考えられる。
また、光ディスク4では結晶化速度が内周では速すぎ、
外周では遅すぎるために、内周のCNR低下と外周の消
去不足が観察される。
【0091】すなわち、本発明による光ディスクによっ
て、初めて最内周から最外周まで良好な記録消去特性が
得られることが分かる。
【0092】なお、記録膜の複素屈折率が内周と外周で
差が小さいため、反射光変化ΔRが内外周ほぼ同じであ
り、結果として内外周ともに良好なCNRが得られてい
る。
【0093】
【表2】
【0094】(実施例4)基板およびターゲットを図9
に示した構成のスパッタ装置により、光ディスクを作製
し記録消去特性を測定した。
【0095】ターゲットサイズは直径200mmであ
り、直径80mmのところで同心円状に2分割されてい
る。ターゲット組成は、内側が図3の点Mの組成、外側
が図3の点Lの組成である。スパッタリング時には、放
電によるエロージョン領域がターゲットの内側と外側の
両領域を被うため、ターゲットの内側領域と外側領域と
からそれぞれの組成が同時にスパッタリングされる。
【0096】なお、光ディスクの基板形状、記録膜組成
以外の薄膜構成、各薄膜の膜厚、成膜条件、初期化方法
はすべて実施例3と同じとした。また、記録膜成膜の場
合、基板はターゲット上40mmの位置で静止対向して
いる。本願発明によるこの光ディスクを光ディスク5と
する。
【0097】なお、記録膜の組成は光ディスク5と同一
条件で成膜した場合、信号記録の最内周領域である半径
25mm近傍で図3の点Hの組成、最外周領域である半
径60mm近傍で図3の点Gの組成であることをICP
分析法で確認した。作製した光ディスク5の記録消去特
性を、実施例3と同じ評価装置および評価条件で測定し
た。その結果、光ディスク5では最内周でCNRが5
9.8dB、消去率が−31.9dBであり、また最外
周ではCNRが60.5dB、消去率が−31.0dB
となった。すなわち、光ディスク1と同様に、最内周、
最外周ともに良好な記録・消去特性が得られることが分
かる。
【0098】(実施例5)本発明との比較例として光デ
ィスクの内周で図3の点Eの組成、外周で図3の点Fの
組成を有する光ディスク6を作製した。光ディスクの基
板、薄膜構成は実施例3と同じである。
【0099】作製した光ディスクの評価方法は実施例3
に準ずるが、光ディスク6は光ディスク1に比べて記録
膜の結晶化速度が速いため、光ディスクの回転数を24
00rpmとし、実施例3の場合の約1.33で回転さ
せた。そして周波数f1〜f4も1.33倍し、記録さ
れるマーク長を実施例3の場合と同じにした。
【0100】測定の結果、光ディスク6では最内周でC
NRが62.5dB、消去率が−32.7dBであり、
また最外周ではCNRが52.3dB、消去率が−3
1.1dBとなった。内周から外周にかけて結晶化速度
が速くなるため、最内周、最外周ともに良好な消去特性
が得られる。しかしながら、CNRは最内周では良好で
あるが、最外周においてCNRが小さいのがわかる。顕
微鏡観察の結果、最外周でも充分大きなアモルファスの
記録マークが形成されていた。したがって、最外周でC
NRが小さい原因は反射率変化ΔRが小さいことによる
ものと考えられる。
【0101】なお、本明細書で用いた各組成を現わすA
〜Mの各点のat%で表示した具体的組成は、 A:(Ge,Sb,Te)=(50, 0,50) B:(Ge,Sb,Te)=( 0,40,60) C:(Ge,Sb,Te)=( 0,55,45) D:(Ge,Sb,Te)=(45,10,45) E:(Ge,Sb,Te)=(35,12,53) F:(Ge,Sb,Te)=( 7,35,58) G:(Ge,Sb,Te)=(22,22,56) H:(Ge,Sb,Te)=(20,29,51) I:(Ge,Sb,Te)=(23,20,57) J:(Ge,Sb,Te)=(19,34,47) K:(Ge,Sb,Te)=(21,26,53) L:(Ge,Sb,Te)=(23,19,58) M:(Ge,Sb,Te)=(18,36,46) である。
【0102】
【発明の効果】以上のように本発明による光ディスク
は、内周から外周にかけて結晶化速度が速く、かつ内周
と外周で再生振幅がほぼ同じであるため、角速度一定の
場合でも光ディスクの全領域において良好な記録消去お
よび再生特性が得られる。従って、全領域にわたって高
品質な信号記録が可能であり、かつ高速アクセスも実現
できる光ディスクを容易に提供できる。
【0103】さらに本発明による光ディスクの製造方法
によれば、上記高パフォーマンスの光ディスクを、再現
性よくかつ高速に作製することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光ディスクの記録膜組成の領域を示す
Ge,Sb,Teの3元合金組成図
【図2】本発明の光ディスクの断面構造を示す図
【図3】実施例で採用したターゲットおよび記録膜の組
成を表わすGe,Sb,Teの3元合金組成図
【図4】本発明による光ディスクの製造方法を実現する
スパッタ装置の一例の構成図
【図5】図4のスパッタ装置の基板とターゲットの位置
関係を示す見取図
【図6】図4のスパッタ装置で成膜した場合の成膜速度
の分布を示す図
【図7】図4のスパッタ装置で成膜した場合の光ディス
クの半径方向の組成分布を示す図
【図8】本発明による光ディスクの製造方法を実現する
異なる態様のスパッタ装置の基板とターゲットの位置関
係を示す見取図
【図9】本発明による光ディスクの製造方法を実現する
さらに異なる態様のスパッタ装置の基板とターゲットの
位置関係を示す見取図
【図10】本発明による光ディスクを同時蒸着法で製造
する場合の蒸着装置を示す図
【図11】光ディスクの反射率変化ΔRと記録膜組成の
関係を示す図
【図12】引例に於ける光ディスクの製造方法を示す図
【図13】Ge,Sb,Teの3元合金からなる記録膜
組成と結晶化速度の関係を示す図
【符号の説明】 1 基板 2 第1の誘電体層 3 記録膜 4 第2の誘電体層 5 反射膜 6 保護カバー 7 内側ターゲット 8 外側ターゲット 9 基板 10 中心軸 11 真空室 12 ガス導入口 13 排気系 14 円盤状ターゲット 15 リング状ターゲット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 赤平 信夫 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 横山 政秀 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 早田 博 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】光の照射によって光学的に識別可能な状態
    間で変化する記録膜を基板上に有する光記録再生媒体に
    おいて、前記記録膜の組成は、少なくともGe,Sb,
    Teの3元素を含み、Ge,Sb,Teの3元素のat
    %比率が下記A,B,C,Dの各点で囲まれる範囲内
    で、 A:(Ge,Sb,Te)=(50, 0,50) B:(Ge,Sb,Te)=( 0,40,60) C:(Ge,Sb,Te)=( 0,55,45) D:(Ge,Sb,Te)=(45,10,45) さらに、前記記録膜の全領域でGeとTeとの組成比が
    概ね同じで、かつ前記光記録再生媒体の内周から外周に
    かけてSb量が減少することを特徴とする光ディスク。
  2. 【請求項2】GeとTeとの組成比が、概ね2:5であ
    ることを特徴とする請求項1記載の光ディスク。
  3. 【請求項3】記録膜の組成のGe、Sb、Teの3元素
    に、他の添加元素を含み、光記録再生媒体の内周から外
    周にかけて前記添加元素の量が減少することを特徴とす
    る請求項1または2何れかに記載の光ディスク。
  4. 【請求項4】添加元素が、Pd,Co,Ni,Tl,S
    e,In,Au,Ag,Crの少なくとも1つであるこ
    とを特徴とする請求項3記載の光ディスク。
  5. 【請求項5】添加元素の添加量が20at%以下である
    ことを特徴とする請求項3または4何れかに記載の光デ
    ィスク。
  6. 【請求項6】光の照射によって光学的に識別可能な状態
    間で変化する記録膜を有し、前記記録膜組成は内周から
    外周にかけて結晶化速度が速くなる光記録再生媒体の製
    造方法であって、それぞれ構成元素は概ね同じで前記構
    成元素の組成が異なる複数のリング状ターゲットを概ね
    同心軸に配置し、前記複数のリング状ターゲットに対向
    し、前記複数のリング状ターゲットの中心軸が、基板の
    中心軸と概ね一致するように前記基板を設置し、前記複
    数のリング状ターゲットの同時スパッタリング法によ
    り、前記基板上に前記記録膜を作製することを特徴とす
    る光ディスクの製造方法。
  7. 【請求項7】リング状ターゲットの数が2つであること
    を特徴とする請求項6記載の光ディスクの製造方法。
  8. 【請求項8】光の照射によって光学的に識別可能な状態
    間で変化する記録膜を有し、前記記録膜組成は内周から
    外周にかけて結晶化速度が速くなる光記録再生媒体の製
    造方法であって、それぞれ構成元素は概ね同じで前記構
    成元素の組成が異なる円盤状ターゲットと1つ以上のリ
    ング状ターゲットとを概ね同心軸に配置し、前記円盤状
    ターゲットと前記リング状ターゲットとに対向し、前記
    円盤状ターゲットの中心軸が基板の中心軸と概ね一致す
    るように前記基板を設置し、前記円盤状ターゲットと前
    記リング状ターゲットとの同時スパッタリング法によ
    り、前記基板上に前記記録膜を作製することを特徴とす
    る光ディスクの製造方法。
  9. 【請求項9】リング状ターゲットの数が1つであること
    を特徴とする請求項8記載の光ディスクの製造方法。
  10. 【請求項10】光の照射によって光学的に識別可能な状
    態間で変化する記録膜を有し、前記記録膜組成は内周か
    ら外周にかけて結晶化速度が速くなる光記録再生媒体の
    製造方法であって、それぞれ構成元素は概ね同じで前記
    構成元素の組成が異なる複数の同心円状のターゲットか
    らなる円盤状ターゲットと基板とを対向し、前記円盤状
    ターゲットの中心軸と基板の中心軸とが概ね一致するよ
    うに設置し、前記円盤状ターゲットからのスパッタリン
    グ法により前記基板上に前記記録膜を作製することを特
    徴とする光ディスクの製造方法。
  11. 【請求項11】円盤状ターゲットを構成するターゲット
    が2つであることを特徴とする請求項10記載の光ディ
    スクの製造方法。
  12. 【請求項12】ターゲットの組成は、少なくともGe、
    Sb、Teの3元素を含み、全てのターゲットにおける
    GeとTeとの組成比が概ね同じで、Ge量よりTe量
    の方が多く、外側に配置するターゲットほどSb量が少
    ないことを特徴とする請求項6、8または10何れかに
    記載の光ディスクの製造方法。
  13. 【請求項13】ターゲットのGeとTeとの組成比が、
    概ね2:5であることを特徴とする請求項12記載の光
    ディスクの製造方法。
  14. 【請求項14】ターゲットの組成のGe、Sb、Teの
    3元素に、他の添加元素を含み、内側に配置するターゲ
    ットより外側に配置するターゲットの方が、前記添加元
    素の添加量が少ないことを特徴とする請求項6、8また
    は10何れかに記載の光ディスクの製造方法。
  15. 【請求項15】添加元素が、Pd,Co,Ni,Tl,
    Se,In,Au,Ag,Crの少なくとも1つである
    ことを特徴とする請求項14記載の光ディスクの製造方
    法。
  16. 【請求項16】複数のターゲットの厚みを変えたことを
    特徴とする請求項6、8または10何れかに記載の光デ
    ィスクの製造方法。
  17. 【請求項17】基板は記録膜の作製時に、ターゲットに
    対し静止対向していることを特徴とする請求項6、8ま
    たは10何れかに記載の光ディスクの製造方法。
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