JPH08281945A - インクジェットヘッド及びインクジェットヘッドの製造方法 - Google Patents

インクジェットヘッド及びインクジェットヘッドの製造方法

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JPH08281945A
JPH08281945A JP9401995A JP9401995A JPH08281945A JP H08281945 A JPH08281945 A JP H08281945A JP 9401995 A JP9401995 A JP 9401995A JP 9401995 A JP9401995 A JP 9401995A JP H08281945 A JPH08281945 A JP H08281945A
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etching
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plane
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Yoshinao Miyata
佳直 宮田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 インクキャビティーの配列方向が<112>
方向であることで、小型、低コストのインクジェットプ
リンタのヘッドを提供すること。 【構成】 Si基板102上にSi異方性エッチングに
よってインクキャビティー101を形成する。このと
き、インクキャビティー101の配列方向を<112>
方向に配列することで、インクリザーバー103の幅を
狭くする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は圧電方式のインクジェッ
トプリンタのヘッドに関し、特にインクキャビティーが
格子面(110)の面方位のシリコンを使用したものに
関する。
【0002】
【従来の技術】本発明にかかわる従来技術として、例え
ば米国特許第5265315号明細書記載の薄膜変換機
インクジェットヘッド(公知例1)が開示されている。
【0003】図5に、公知例1のインクチャンバー(以
降インクキャビティーと記す)の拡大断面図を示す。
【0004】インクキャビティー101が形成された格
子面(110)の面方位の単結晶Si基板102上に、
白金、ニッケルのいずれかからなる金属遮断層201、
酸化アルミニウム膜製の振動板202、下電極204、
圧電体膜(PZT膜)205、上電極206が一体成型
されており、ノズル301を有するオリフィスプレート
(以降ノズルプレートと記す)302が接着されてい
る。
【0005】公知例1のインクジェットヘッドでは、格
子面(110)の面方位のSi基板102に形成された
インクキャビティー101と、該Si基板102上に一
体的に形成された振動板202、圧電体膜205、下電
極204、上電極206とからなることが記載されてい
るが、インクキャビティーの配列方向に関する記述はな
い。さらに、公知例1のインクジェットヘッドの圧電体
膜205は、インクキャビティー101毎に蝕刻されて
いない。
【0006】また、例えば特公平6−55733号公報
記載のインクジェットヘッド及びその製造方法(公知例
2)が開示されている。
【0007】図6に公知例2のインクジェットヘッドの
斜視図を示す。
【0008】インクキャビティー101と、インクだめ
(以降インクリザーバーと記す)103と、オリフィス
(以後インク供給口と記す)104が形成された格子面
(110)の面方位の単結晶Si基板102に、(10
0)面方位の単結晶Si基板で作成したノズルプレート
302を接着し、更に硼珪酸ガラス製の振動板202を
Si基板102に静電接合し、圧電体膜205をインク
キャビティー101上の振動板202に接着された構造
である。
【0009】公知例2のインクジェットヘッドでは、イ
ンクキャビティー101の配列方向に関する記述はな
い。また、振動板202や圧電体膜205も一体的に構
成されたものではない。
【0010】更に、一般にインクキャビティーの配列方
向が<111>格子面方位であるインクジェットヘッド
が知られている(公知例3)。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、公知例
1の技術を用いたインクジェットヘッドでは、インクを
ノズルから吐出させるための充分な特性が得られないと
いう課題が存在する。図5に於いて、インクキャビティ
ー101が形成されたSi基板102下にノズルプレー
ト302が配され、Si基板上には厚さ0.2μmの薄
膜金属遮断層201、厚さ0.2μmの酸化アルミニウ
ム製の振動板202、下電極204、圧電体膜205、
上電極206が積層されている。実際に印字を行う際に
は、インクをインクキャビティー内に満たし、上下の電
極層間で電界をかけることで圧電体膜205を図の矢印
方向ア及びア’方向に縮ませる。すると、薄膜金属遮断
層201及び、酸化アルミニウム製の振動板202との
応力差によってインクキャビティー部上の膜が図中イ方
向にたわむことになる。このようにしてたわんだ分の体
積分の一部がノズル301から吐出する。我々は、この
時のたわみ量を詳細に検討した結果、このような構造の
インクジェットヘッドでは充分なたわみ量が得られない
ことを発見した。もちろん充分なたわみ量が得られない
場合でも、インクキャビティー101の面積を増加させ
ることで対応できるものの、インクキャビティー101
の幅を増加させることはノズルの配列密度を低下させる
ことになる。またインクキャビティーの長さを増加させ
ることは、インクジェットヘッドの大型化をまねき、コ
スト増加につながることになる。
【0012】また、公知例2のようにして構成されたイ
ンクジェットヘッドでは、インクキャビティーが<11
1>格子方向に配列されたインクジェットヘッドではイ
ンクリザーバーの壁面を<111>格子方向と垂直な
(110)面で構成する必要があった。しかしながら、
Siを異方性エッチングすることで(110)面を形成
することはきわめて困難である。そこで、従来は(11
0)面を微少な(111)面を連続させることで構成し
ていた。しかしながら、このような方法では微少な(1
11)を残すために、一般的に補償パターンと呼ばれる
パターンを形成することになる。この補償パターンはS
iのエッチングと共に徐々に短縮し、エッチング終了時
に微少な(111)面を残すことが可能になる程度に一
定の長さが必要になる。このことはインクリザーバーの
幅が少なくとも補償パターンの長さよりも広い必要があ
り、よって、インクジェットヘッドの大型化の要因にな
っていた。
【0013】そこで、本発明はインクジェットヘッドの
小型化を実現すると共に、より安価なインクジェットヘ
ッドを提供することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
めに、本発明のインクジェットヘッドは、複数のノズル
口と、該ノズル口の各々に連通する細長く形成された複
数のインクキャビティーと、該インクキャビティー内の
インクに接しインクを加圧する振動板と、該振動板を振
動する手段と、前記インクキャビティーに連通してイン
クを供給するインク供給口と、該インク供給口に連通す
るインクリザーバーとを有するインクジェットヘッドで
あって、前記インクキャビティーが格子面(110)の
面方位のSi基板上に形成されたインクジェットヘッド
であり、かつ前記複数のインクキャビティーの配列方向
が<112>の格子方向であることを特徴とする。
【0015】また、前記圧電素子が、第一の電極膜と該
第一の電極膜上に形成された圧電体膜と、該圧電体膜上
に形成された第二の電極膜とから成り、前記振動板上に
形成され、前記Si基板と共に一体的に形成されている
ことを特徴とする。
【0016】また、前記インクキャビティー上に配設さ
れる圧電体膜が、インクキャビティーの幅方向に於いて
は、インクキャビティーの幅よりも狭い部分が存在する
ことを特徴とする。
【0017】また、前記インク供給口が、前記インクキ
ャビティーの長手方向に少なくとも2ヶ所形成された構
造であることを特徴とする。
【0018】また、前記インクジェットヘッドの製造方
法に於いて、Si基板上に耐エッチング膜を形成する工
程と、Si基板上に第一の電極膜を成膜する工程と、該
第一の電極膜上に圧電体膜を成膜する工程と、該圧電体
膜上に第二の電極膜を成膜する工程と、少なくとも前記
第二の電極膜及び、前記圧電体膜をパターニングする工
程とを含み、前記圧電体膜が形成されたSi基板の面に
対するもう一方の面上に形成された前記耐エッチング膜
の一部を除去してパターニングする第一の耐エッチング
膜エッチング工程と、前記耐エッチング膜の別の一部を
薄くしてパターニングする第二の耐エッチング膜エッチ
ング工程と、第一の耐エッチング膜エッチング工程で除
去された部位のSiをエッチングする第一のSiエッチ
ング工程と、第二の耐エッチング膜エッチング工程で薄
くした部位を除去してパターニングする第三の耐エッチ
ング膜エッチング工程と、第三の耐エッチング膜エッチ
ング工程で除去された部位のSiをエッチングする第二
のSiエッチング工程とを含むことを特徴とする。
【0019】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。尚、実施例中の結晶格子の表記は、格子面を表す
場合は(110)と表記し、格子方向を表す場合は<1
10>と表記する。また、単位格子の1barの表記に
ついては−1と記す。
【0020】図1(a)は、本発明のインクジェットヘ
ッド平面図であり、図1(b)は、本発明のインクジェ
ットヘッドの図1(a)のA−A’断面図である。図1
(a)のSi基板の表面は、(110)の面として説明
するが(−110)、(1−10)、(−1−10)の
Si基板を使用しても同様であることは自明である。
【0021】また、本実施例では圧電素子が、下電極、
圧電体膜、上電極とから成り、振動板と共にSi基板に
形成されたインクキャビティーと一体的に形成された例
について説明するが、これに限られるものではない。す
なわち、従来の如く振動板、の駆動方法として振動板背
面にピエゾ素子を接着して振動させるタイプのインクジ
ェットヘッドや、振動板を静電気力で振動させるタイプ
のインクジェットヘッドでも適用ができる。
【0022】図1(a)に於いて、102はSi基板、
103はインクリザーバー、101はインクキャビティ
ー、104はインクリザーバー103に連通し、インク
キャビティー101の長手方向の2箇所に配されたイン
ク供給口、105はインク導入口である。また、106
−aはSiの異方性エッチングによって出現し、(11
0)面に垂直な(1−11)面であり、106−bは
(1−11)面106−aと等価な(−11−1)面、
107−aは、同様に(110)面に垂直な(1−1−
1)面であり、107−bは、(1−1−1)面107
−aと等価な(−111)面、108はSiの異方性エ
ッチングによって(110)面と約35度の角度で出現
する(111)面であり、109は同様にSiの異方性
エッチングによって(110)面と約35度の角度で出
現する(11−1)面である。以降、(110)面に垂
直な(1−11)面、(−11−1)面、(1−1−
1)面、(−111)面については、単に垂直な(11
1)面と記す。また、(110)面と約35度の角度で
出現する(111)面、及び(11−1)面は、単に3
5度の(111)面と記す。
【0023】また、インクキャビティー101の配列方
向は、(1−1−1)面107−aと(110)面を晶
帯面とする晶帯軸<−1−1−2>の格子方向または、
これと等価な格子方向<112>方向に配列されてい
る。
【0024】図1(b)に於いて、図1(a)には記載
していないが、302はノズルプレート、301はノズ
ル、202は振動板、204は下電極、205は圧電体
膜、206は上電極である。
【0025】図1(a)に於いて、インクは、インク導
入口105からインクリザーバー103に導入される。
図1(a)及び、図1(b)に於いて、インクリザーバ
ー103に満たされたインクはインク供給口104を通
じインクキャビティー101に供給され、インクキャビ
ティー101内に充填される。インクキャビティー10
1に充填されたインクは、図1(b)に於いて、インク
キャビティー101下の振動板202下に形成された下
電極204と上電極206間に電界をかけることで、下
電極204と上電極206間の圧電体膜205が変形
し、インクがノズル301から吐出する。
【0026】ここで、インク供給口104が、インクキ
ャビティー101の長手方向に少なくとも2箇所必要な
理由を説明する。
【0027】図2(a)は従来のインク供給口が一箇所
の場合のインクジェットヘッドの断面図であって、40
1は気泡、矢印ウは、インクの流れる方向を示すもので
ある。インクジェットヘッドの場合、インク中に空気等
の気泡が侵入する。この気泡がインクキャビティー10
1内にあると、圧電体膜205の変形によって振動板2
02がたわむことでインクに発生する圧力が低下し、イ
ンクの吐出特性が変化してしまう。このため、気泡40
1を排出する必要がある。気泡401の排出は通常、ノ
ズル301からポンプでインクを強制的に排出させるこ
とで行う。この時、図2(a)のように異方性エッチン
グによって(110)面と約35度の角度で出現する
(111)面108と、ノズルプレート302とで囲ま
れたような狭角部が存在すると、狭角部に溜まった気泡
401はインクの流速が極端に遅いために排出できなく
なる。
【0028】これに対し、本発明のインクジェットヘッ
ドの断面図を示す図2(b)の様に、インクリザーバー
103の長手方向にインク供給口104があると、イン
クの流れが図2(b)のエの方向になり、気泡が溜まる
ことがなく、速やかに気泡が排出できるものである。
【0029】また、インクキャビティーの配列方向が<
−1−1−2>、又は<112>方向であることによる
効果について説明する。以降、インクキャビティーの配
列方向は<112>方向と記す。
【0030】図3(a)には、従来のインクキャビティ
ーの配列方向が<111>方向である場合のインクキャ
ビティーの平面図を示す。インクリザーバー103の壁
を形成する場合、インクキャビティー壁の格子面は(1
12)面となるため、通常の異方性エッチングではアン
ダーカットが大きくなり、インクリザーバー103の形
状を維持することは困難である。そこで(112)面を
微少な(111)面で構成する必要がある。このような
(112)面を得る場合、例えば図3(b)のフォトマ
スク図に示すような、マスクパターンを使用する。50
1は補償パターンと呼ばれ、(110)面のエッチング
が進むにつれて徐々に短縮し、(110)面のエッチン
グ終了時に微少な(111)面で構成された(112)
面を得るように長さを調整する。一般的には、補償パタ
ーンは厚さが300μm程度の(110)面を有するS
i基板をエッチングする場合、約1mm程度の長さが必
要になる。従って図3(a)のようなインクキャビティ
ーの場合、約3mm以上の幅が補償パターンのために必
要になる。
【0031】これに対し、本発明のインクジェットヘッ
ドは図1(a)の如く、インクキャビティーが<112
>方向に配列されているため、インクリザーバーを垂直
な(111)面で構成することができ、インクリザーバ
ーの幅を最小限にすることができる。従ってより小型の
インクジェットヘッドを得ることができ、コスト上昇を
最小限に抑えることが可能になるものである。
【0032】ここで本発明のインクジェットヘッドの製
造方法について説明する。図4(a)〜図4(h)は本
発明のインクジェットヘッドの製造方法を示す模式図で
ある。それぞれ、左側が図1(a)に於けるA−A’方
向の断面を示し、右側がB−B’方向の断面である。
尚、本実施例中で説明する材料については、導電、絶
縁、機械的等の機能が満たされれば、これに限定される
ものではない。また、実施例中の寸法も同様にこれに限
定されるものではない。
【0033】まず、図4(a)の如く、Si基板102
に熱酸化等の方法でSiO2層110を1μm程度の厚
さに形成した。SiO2層110は、この上に形成され
る能動素子の絶縁膜として機能すると共に、Si基板1
02のエッチング時にエッチングマスクとして機能す
る。次に、ZrをスパッタリングターゲットとしてSi
O2層110上に成膜し、熱酸化法で0.8μm厚さの
酸化ジルコニウム製の振動板202を形成した。酸化ジ
ルコニウム製の振動板202はヤング率が高く、圧電体
膜205のひずみをたわみ変位に効率よく変換できる振
動板として機能する。更にPtをスパッタリングターゲ
ットとして0.2μmの厚さの下電極204を成膜し、
1.0μm厚のPZT等の圧電体膜205、0.2μm
厚の上電極206をAlを成膜した。
【0034】次に図4(b)の如く上電極206、圧電
体膜205、下電極204に適当にパターニングを行っ
た。上電極206は、図1(a)に示したような複数の
インクキャビティー101に対応し、それぞれ独立して
引き出され、適宜選択された駆動回路に接続できるよう
引き出されていることが望ましい。また、図4(b)の
圧電体膜は前記のインクキャビティー101に対応して
パターニングする必要はないが、後述の如くインクキャ
ビティー101毎に分割され、パターニングされている
ことが望ましい。更に、下電極204は、それぞれ分割
された圧電体膜205に共通に接続されていることが望
ましい。このようなパターニングを行う場合、下電極2
04、圧電体膜205、上電極206についてそれぞれ
の膜の成膜後にパターニングを行い、積層を繰り返して
も差し支えない。また、以下、圧電体膜205が成膜さ
れた側のSi基板102の面を能動面と称する。
【0035】次に、図4(c)の如く能動面の裏面(非
能動面と記す)に一般的なポジ型のフォトレジスト60
1をパターニングし、SiO2層110をパターニング
した。SiO2層110のパターニングには弗化水素酸
と弗化アンモニウムを1:6の割合で混合した緩衝弗酸
液を用いて行った。このとき、約1μmの厚さで形成さ
れたSiO2層110は10分程度でパターンが形成で
きる。
【0036】次に、図4(d)の如く、インク供給口1
04を形成する部分のSiO2パターン111のフォト
レジストを感光し、現像処理を行った後、約5分程度前
述の緩衝弗酸液でエッチングを行った。これにより、イ
ンク供給口104を形成する部分のSiO2パターンの
厚さは、約0.5μmになる(このように、すでにパタ
ーニングした部分以外のレジストを感光し、現像を行
い、SiO2の膜厚の異なる部分を形成する技術を多重
露光法と称する)。
【0037】次に、レジストを除去した後、図4(e)
の如くSi基板102の異方性エッチングを行う。異方
性エッチングは、10%の水酸化カリウム溶液を80℃
程度に加熱して行った。これにより、インクキャビティ
ー101、インクリザーバー103が形成される。ま
た、水酸化カリウム溶液でSi基板102の異方性エッ
チングを行うと、SiO2も徐々に溶解し、約0.4μ
m程度薄くなる。従ってインク供給口104を形成する
部分のSiO2パターン111の厚さは0.1μm程度
であり、それ以外の部分は0.6μm程度の厚さになっ
た。
【0038】次に、図4(f)の如く、前述の緩衝弗酸
液に1分程度浸漬し、SiO2のエッチングを行った。
これによって、インク供給口104を形成する部分のS
iO2パターン111は除去されるが、それ以外のSi
O2膜110は0.5μm程度の厚さで残る。
【0039】次に、図4(g)の如く、インク供給口1
04を形成するために、約40%の水酸化カリウム溶液
に浸漬した。これによって、インク供給口104を形成
した。
【0040】更に、Si基板102を分割し、図4
(h)の如く、例えばノズル301を有するステンレス
製のノズルプレート302を接着し、インクジェットヘ
ッドを得た。
【0041】このようにして得たインクジェットヘッド
の圧電体膜205は上電極206、下電極204間に電
界を印加することで伸縮変位(ひずみ)をする。例え
ば、縮み変位をした場合、振動板202との応力が生
じ、変位は図の上方向の変位(たわみ)する。このたわ
みによってインクキャビティー101の体積が変化し、
加圧されたインクの一部はインク供給口104からイン
クリザーバー側へ逆流するものの、一部はノズル301
から吐出する。
【0042】ここで、図4(h)の右図に於いて、イン
クキャビティー101の幅に対して、圧電体膜205の
幅が狭い方がよい理由について説明する。
【0043】グラフ1は、x軸にインクキャビティー1
01の壁面から圧電体膜205までの距離を取り、y軸
には振動板202の変位量を取ってプロットしたもので
ある。x軸、y軸の単位はμmである。また、このとき
のインクキャビティーの幅は80μmである。更に、イ
ンクキャビティー101の壁面から圧電体膜205まで
の距離が負の場合は圧電体膜205の幅がインクキャビ
ティー101の幅よりも広いことを意味する。
【0044】
【表1】
【0045】表1によると、圧電体膜205の幅がイン
クキャビティー101より広い場合には変位量も低く、
あまり変化がないことが分かる。圧電体膜205とイン
クキャビティー101の幅が同じ場合(距離=0)の所
から急激に変位量が拡大し、距離が5μm程度の所で極
大となる。これはインクキャビティー101の壁の直上
の剛性が、圧電体膜205が無いことによって低下する
ことで曲げ剛性が低下し、変形しやすくなるためであ
る。更に圧電体膜205の幅を狭くする(インクキャビ
ティー101の壁と圧電体膜205間の距離を大きくす
る)と、徐々に変位量が減少する。これは、圧電体膜2
05の幅が徐々に狭くなることに起因し、上電極206
と下電極204間に印加した電界によって圧電体膜20
5に発生する力が減少するためである。
【0046】尚、圧電体膜205の幅がインクキャビテ
ィー101の幅より狭い部分はインクキャビティー10
1の長手方向の全体にわたって幅を狭く形成する必要は
なく、一部インクキャビティー101よりも広くても同
様の効果が得られる。
【0047】
【発明の効果】以上述べてきたように本発明のインクジ
ェットヘッドは、インクキャビティーが格子面(11
0)の面方位のSiであって、該複数のインクキャビテ
ィーの配列方向が<112>の格子方向であることで、
小型で安価なインクジェットヘッドを提供できるもので
ある。また、インクキャビティー、振動板、圧電体膜、
電極が一体的に形成された構造であると、より安価なイ
ンクジェットヘッドが提供できる。
【0048】更に、インク供給口が、インクキャビティ
ーの長手方向に少なくとも2ヶ所形成された構造である
ことでインク中の気泡がインクキャビティー内に停滞す
ることが無く、信頼性の高いインクジェットヘッドを提
供できる。
【0049】また、インクキャビティー上に配設される
圧電体膜が、インクキャビティーの幅方向に於いては、
インクキャビティーの幅よりも狭い部分が存在すること
で、振動板の変位が大きくなり、より高性能で小型のイ
ンクジェットヘッドを提供できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、本発明のインクジェットヘッドの平
面図であり、(b)は、本発明のインクジェットヘッド
のA−A’断面図である。
【図2】(a)は、従来のインク供給口が1カ所の場合
のインクジェットヘッドの断面図であり、(b)は、本
発明のインク供給口が2カ所の場合のインクジェットヘ
ッドの断面図である。
【図3】(a)は、従来のインクキャビティーの配列方
向が<111>である場合のインクキャビティーの平面
図であり、(b)は、従来のインクキャビティーの配列
方向が<111>である場合のインクキャビティーのフ
ォトマスク図である。
【図4】(a)〜(h)は、本発明のインクジェットヘ
ッドの製造方法を示す断面図である。
【図5】従来のインクジェットヘッドの公知例1の拡大
断面図である。
【図6】従来のインクジェットヘッドの公知例2の拡大
断面図である。
【符号の説明】
101・・・インクキャビティー 102・・・Si基板 103・・・インクリザーバー 104・・・インク供給口 105・・・インク導入口 106−a・・・(1−11)面 106−b・・・(−11−1)面 107−a・・・(1−1−1)面 107−b・・・(−111)面 108・・・(111)面 109・・・(11−1)面 110・・・SiO2層 111・・・供給口を形成する部分のSiO2パターン 201・・・金属遮断層 202・・・振動板 204・・・下電極 205・・・圧電体膜 206・・・上電極 301・・・ノズル 302・・・ノズルプレート 401・・・気泡 501・・・補償パターン 601・・・フォトレジスト

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数のノズル口と、該ノズル口の各々に
    連通する細長く形成された複数のインクキャビティー
    と、該インクキャビティー内のインクに接しインクを加
    圧する振動板と、該振動板を振動する手段と、前記イン
    クキャビティーに連通してインクを供給するインク供給
    口と、該インク供給口に連通するインクリザーバーとを
    有するインクジェットヘッドであって、 前記インクキャビティーが格子面(110)の面方位の
    Si基板上に形成されたインクジェットヘッドであり、
    かつ前記複数のインクキャビティーの配列方向が<11
    2>の格子方向であることを特徴とするインクジェット
    ヘッド。
  2. 【請求項2】 前記振動板の振動手段として、第一の電
    極膜と該第一の電極膜上に形成された圧電体膜と、該圧
    電体膜上に形成された第二の電極膜とから成る圧電素子
    が前記振動板上に形成され、前記Si基板と共に一体的
    に形成されていることを特徴とする請求項1記載のイン
    クジェットヘッド。
  3. 【請求項3】 前記インクキャビティー上に配設される
    圧電体膜が、インクキャビティーの幅方向に於いては、
    インクキャビティーの幅よりも狭い部分が存在すること
    を特徴とする請求項1または2記載のインクジェットヘ
    ッド。
  4. 【請求項4】 前記インク供給口が、前記インクキャビ
    ティーの長手方向に少なくとも2ヶ所形成された構造で
    あることを特徴とする請求項1記載のインクジェットヘ
    ッド。
  5. 【請求項5】 Si基板上に耐エッチング膜を形成する
    工程と、該Si基板上に第一の電極膜を成膜する工程
    と、該第一の電極膜上に圧電体膜を成膜する工程と、該
    圧電体膜上に第二の電極膜を成膜する工程と、少なくと
    も前記第二の電極膜及び、前記圧電体膜をパターニング
    する工程とを含み、 前記圧電体膜が形成されたSi基板の面に対するもう一
    方の面上に形成された前記耐エッチング膜の一部を除去
    してパターニングする第一の耐エッチング膜エッチング
    工程と、 前記耐エッチング膜の別の一部を薄くしてパターニング
    する第二の耐エッチング膜エッチング工程と、 第一の耐エッチング膜エッチング工程で除去された部位
    のSiをエッチングする第一のSiエッチング工程と、 第二の耐エッチング膜エッチング工程で薄くした部位を
    除去してパターニングする第三の耐エッチング膜エッチ
    ング工程と、 第三の耐エッチング膜エッチング工程で除去された部位
    のSiをエッチングする第二のSiエッチング工程とを
    含むことを特徴とするインクジェットヘッドの製造方
    法。
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EP96106204A EP0738599B1 (en) 1995-04-19 1996-04-19 Ink Jet recording head and method of producing same
EP99121357A EP0974466B1 (en) 1995-04-19 1996-04-19 Ink jet recording head and method of producing same
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US08/795,565 US5922218A (en) 1995-04-19 1997-02-06 Method of producing ink jet recording head

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1134321A (ja) * 1997-07-17 1999-02-09 Mita Ind Co Ltd インクジェットヘッド
JP2008105418A (ja) * 2006-09-27 2008-05-08 Fujifilm Corp 液体吐出ヘッドの製造方法

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