JP3141652B2 - インクジェットヘッドおよびインクジェットヘッドの製造方法 - Google Patents

インクジェットヘッドおよびインクジェットヘッドの製造方法

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JP3141652B2
JP3141652B2 JP27985793A JP27985793A JP3141652B2 JP 3141652 B2 JP3141652 B2 JP 3141652B2 JP 27985793 A JP27985793 A JP 27985793A JP 27985793 A JP27985793 A JP 27985793A JP 3141652 B2 JP3141652 B2 JP 3141652B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はインクが吐出するノズル
と、このノズルに連通してインクに圧力を加えるインク
圧力室と、インク圧力室内の圧力を変化させる圧力発生
手段とを具備するインクジェット記録装置の記録ヘッド
とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、高速、高密度の低価格インクジェ
ット記録装置の要求が高まる中、それを実現するために
種々の方策が提案されている。またそれら高速、高密
度、低価格化の要求に沿って、インク供給路とインク圧
力室とノズルとから成るインク流路にも、特公平4−1
5095号公報などに見られる感光性樹脂による方策、
シリコン基材の異方性エッチングによる方策などの種々
の方策が提案されている。
【0003】シリコン基材でインク流路を形成したイン
クジェットヘッドとしては、図8に示した特公昭58−
40509号公報が知られており、この例では表面の結
晶面方位が(100)面のシリコン基材が用いられてい
る。
【0004】一方、K.I.Petersenの“Fabricatin of an
Integrated,Planar Silicon Ink-Jet Structure” IEE
E transactions on electron devices、vol.ED-26、N
o.12、December 1979には図9に示す如く(11
0面)のシリコン基材を用いたインクジェットヘッドが
開示されている。
【0005】また、米国特許第4,312,008号明細
書にも(110)面のシリコン基材を用いたインクジェ
ットヘッドが開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記の従来例を以てし
て、実用的なインクジェットプリンタを実現するために
は以下の問題が生じる。
【0007】まず第一に、樹脂の射出成形による方策や
特公平4−15095号公報に述べられている感光性樹
脂を用いた方策では、射出成形は離型性を、感光性樹脂
では精度を確保するためにインク圧力室を深くできず流
路抵抗が増大して、応答性を低下させてしまう。
【0008】また、インク圧力室は前述の如く樹脂で成
されているため、インクの吐出圧力で、隣接するインク
圧力室とを隔てている側壁が変形し、クロストークと呼
ばれる相互干渉が発生してしまう。
【0009】第二に、特公昭58−40509号公報に
述べられている(100)面のシリコン基材81では、
エッチングによって現れる(111)面が前記(10
0)面に対し傾きを持っているため、インク流路の幅と
深さの比が一定以上に大きくできない。なかんずく充分
に大きな容積を得るために深くする必要があるインク圧
力室82は側壁がシリコン基材の表面に対して、tan-1
√2の角度(略54.7°)で傾斜するため、図8に示す台
形、もしくは三角形(V字型)の断面形状になり、前述
同様に高応答性が得られず小型、高密度化した記録ヘッ
ドに適した方策ではない。
【0010】第三に、図9に示す(110)面のシリコ
ン基材91による異方性エッチングでは、深いインク圧
力室93を形成できるので、幅が狭くても流路抵抗を小
さくでき、複数のインク流路を高密度に配しても高応答
が得られやすい。しかしこの例では、インク供給路92
がシリコン基材91とは別の部材に形成されており、貼
合せの位置精度によりインク供給路92の容積(断面積
と長さ)が変化してしまう。一般に行われているような
インク供給路92の断面積を絞って、インク滴の吐出特
性を安定させるためには、高度な組み立て技術を必要と
する上、インク圧力室93とインク供給路92の接続部
では段差が生じるためにインク流路中の気泡排出性を損
ね、吐出不良の一因となる。
【0011】第四に米国特許第4,312,008号明細
書に開示される方策では(110)面のシリコン基材
を、断面形状が台形、乃至は長方形となるインク圧力室
と、断面形状がV字型となるノズルとインク供給路とを
組合わせて形成することはできない。
【0012】そこで本発明の目的とするところは、充分
に大きな容積のインク圧力室と、且つ供給路の幅(延い
ては容積)の安定したインク供給路とを同時に兼ね備え
たシリコンからなる流路基材が得られるため、小型化、
高密度化に最適であって、インクの吐出応答性が高いイ
ンクジェットヘッドを廉価に提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明のインクジェット
ヘッドは、一端はインク供給路を介してインク溜まりに
連通し、他端はインク滴を吐出するノズルに連通した複
数のインク圧力室を有したインクジェットヘッドにおい
て、結晶方位(110)面が表面となる単結晶シリコン
基材には、供給路と圧力室を形成する空間を具備してお
り、供給路を形成する空間は基材の表面に対して傾斜し
た二つの(111)面の壁面によって形成され、圧力室
を形成する空間はシリコン基材の表面に対し垂直であ
る、少なくとも二つの(111)面の壁面によって形成
されていることを特徴とする。係るインクジェットヘッ
ドにおいて、基材に形成された供給路の二つの(11
1)面は、V字型の溝を成していることを特徴とする。
また、本発明のインクジェットヘッドは、一端はインク
供給路を介してインク溜まりに連通し、他端はインク滴
を吐出するノズルに連通した複数のインク圧力室を有し
たインクジェットヘッドにおいて、結晶方位(110)
面が表面となる単結晶シリコン基材には、ノズルと圧力
室を形成する空間を具備しており、ノズルを形成する空
間は基材の表面に対して傾斜した二つの(111)面の
壁面によって形成され、圧力室を形成する空間はシリコ
ン基材の表面に対し垂直である、少なくとも二つの(1
11)面の壁面によって形成されているを特徴とする。
係るインクジェットヘッドにおいて、基材に形成された
ノズルの二つの(111)面は、V字型の溝を成してい
ることを特徴とする。また、本発明のインクジェットヘ
ッドの製造方法は、一端はインク供給路を介してインク
溜まりに連通し、他端はインク滴を吐出するノズルと連
通した複数のインク圧力室を有するインクジェットヘッ
ドにおいて、(1)エッチング速度が結晶方位に依存す
るエッチング液によって、結晶方位(110)面の単結
晶シリコン基材の表面に対して傾斜した二つの(11
1)面を壁面に有する第1の空間と、表面に対し垂直で
あり、少なくとも二つの(111)面を壁面に有する第
2の空間とを異方性エッチングする工程と、(2)然る
後に、(111)面から成り第1の空間と、第2の空間
とを仕切る隔壁を除去する工程と、によって成ることを
特徴とする。また、係るインクジェットヘッドの製造方
法において、第1の空間はインク供給路の容積を実質的
に決定する空間であって、第2の空間はインク圧力室の
容積を実質的に決定する空間であることを特徴とする。
また、係るインクジェットヘッドの製造方法において、
第1の空間はノズルの容積を実質的に決定する空間であ
って、第2の空間はインク圧力室の容積を実質的に決定
することを特徴とする。また、係るインクジェットヘッ
ドの製造方法において、隔壁を等方性エッチングで除去
することを特徴とする。
【0014】また、その構成を実現するためのインクジ
ェットヘッドの製造方法は、(1) エッチング速度が
結晶方位に依存するエッチング液によって、結晶面方位
(110)面の単結晶シリコン基材を前記(110)面
に対して傾斜した二つの(111)面を壁面に有する第
1の空間と、前記(110)面に対し垂直である、少な
くとも二つの(111)面を壁面に有する第2の空間と
に異方性エッチングする工程と、(2) 然る後に、
(111)面から成り前記第1の空間と前記第2の空間
とを仕切る隔壁を除去する工程と、によって成ることを
特徴とする。
【0015】
【実施例】本発明をより詳細に説述するために、添付の
図面に従ってこれを説明する。
【0016】本実施例は、解像度360dpi(dot/inc
h)のプリンタを実現すべく、180dpiの複数のノズ
ルを2列に並べたものである。
【0017】図1は、本実施例を適用したインクジェッ
トヘッドの一例を示した分解斜視図である。図1のよう
にヘッドフレーム12内を貫通する取り付け穴17は、
圧力発生手段であるところの圧電変換器1のX軸、Y軸
方向の位置決めをするべく、後述するベース部材5を拘
持している。圧電変換器1の長手方向の先端面は、振動
膜11aと剛体突起11bとから成る振動板11と、流
路基材100と、ノズル10aを形成したノズル基材1
0の順に積層された接合体の、剛体突起部11bに接合
されており、Z軸方向の位置決めを得ている(図4参
照)。
【0018】図2は本実施例のインクジェットヘッドで
あって、枢要部を拡大した図である。
【0019】流路基材100は、結晶の面方位が(11
0)面から成る単結晶シリコンである。前記シリコン基
材100は、エッチング速度が結晶方位に依存するエッ
チング液によってエッチングする所謂異方性エッチング
により、インク圧力室101、インク供給路102、イ
ンク溜り103(以下、それぞれを圧力室101、供給
路102、溜部103と称す)からなるインク流路の容
積を実質に決定する空間101aと102aと103a
とを具備している。さらに図示してはいないが、熱によ
る酸素原子の拡散処理などの不純物原子をシリコンに添
加した保護膜によってインク流路の表面を調質し、イン
クに対する耐性とインクとの親和性とを向上させてい
る。なお、前述の保護膜は本発明の目的達成のために必
ずしも必須のものではなく、使用するインクの選択、最
適化によって実使用上問題ない範囲に抑えることもでき
る。
【0020】供給路102は断面形状を三角形(V字
型)にし、長方形の圧力室101の容積よりも小さくし
てある。これは供給路102の流路抵抗を、圧力室10
1よりも大きくしてインク滴の吐出効率を効果的に向上
させるものであって、吐出時にノズル10aに流入する
インク量を多くし、同時に供給路102より溜部103
へ流出するインク量が小さくなるようにしている。
【0021】なお、圧力室101となる空間101a
は、結晶軸方位<211>軸に平行な(111)面に囲
繞された平行四辺形であって、且つ供給路102となる
空間102aは<110>軸に平行して傾斜する(11
1)面からなっている。このインク供給路102となる
空間102aを、インクの流れと気泡の排出を円滑にす
るために圧力室101となる空間101aの平行四辺形
の鋭角側の隅み配置した。
【0022】このようなシリコン基材100の一方の面
にノズル基板10を接合し、他方の面には振動板11を
接合して、圧力室101と供給路102と溜部103と
が成される。
【0023】圧力室101へのインクの供給は、連通関
係にあるインク供給管13とインク連絡口14と溜部1
03と供給路102とを通じて行われる(図1参照)。
【0024】図3は、本実施例を適用したインクジェッ
トヘッドの吐出力発生手段の斜視図である。
【0025】インクを液滴として吐出させるための圧力
発生手段は、圧電変換器1であって、圧電体2と内部電
極3a、3bとが、交互に積み重ねられた多層構造であ
る。さらに圧電変換器1には、外部電極4a、4bが形
成されており、外部電極4aは内部電極3aと、外部電
極4bは内部電極3bと、それぞれが電気的に接続して
いる。また圧電変換器1の長手方向の略半分はベース部
材5(の上の基台電極6)に接合され、接合されていな
い他略半分の先端は、前述の如く振動板11と接合して
いる(図2参照)。このような積層型にすることにより
低い電圧で大きな変位を得ることができる。また縦振動
型振動子を用いることにより、たわみ振動子に比べて高
い圧力を発生させることができるため、シリコン基材1
00での高密度化の利点を大きく生かせる。
【0026】かかる構成において、インク滴の吐出動作
は図4(a)〜(c)に示す如くである。圧電変換器1
を駆動する駆動配線は図4中には図示していないが、圧
電変換器1に形成された第1と第2の内部電極3a、3
bと、同じく圧電変換器1に形成された第1と第2の外
部電極4a、4bと、基台電極6とを通じて動作信号が
入力されるものである。
【0027】圧電変換器1は、図4(a)に示すように
常態において待機状態であるが、図4(b)に示すよう
に圧電変換器1に電圧が印加されると、ノズル基板10
と直交する方向(図1のZ軸方向)に収縮しながら、剛
体突起部20bを介して振動板11を引っ張り、圧力室
101の容積を増大させる。この時インク20は表面張
力によってノズル10aにメニスカスを形成し、容積の
増大によって発生した負の圧力が、溜部103内に充填
されているインク20を供給路102を介して圧力室1
01に引き込む。次に電圧を急激に解除すると図4
(c)に示すように、圧電体2に充電されていた電荷が
急激に放電され、圧電変換器1の引っ張り力は失われ
る。圧電変換器1と振動板11とには弾性的な復元力が
生じ、圧力室101の容積は急激に減少して行く。この
容積の減少によって圧力室101内には正の圧力が発生
し、ノズル10aよりインク滴20aが吐出する。圧電
変換器1は、図4(a)にある待機状態に再び戻り、次
の動作信号に待機する。
【0028】本実施例では圧電変換器1の寸法を、配列
方向(図1のX軸方向)の個々の圧電変換器の幅を80
μm、配列方向の個々の圧電変換器の配列ピッチを略1
41μm、積層方向の厚みを略0.5mm、積層方向の積
層ピッチつまり内部電極間距離を略20μm、長手方向
(図1のY軸方向)の長さを略8mm、その内積層長さを
略5mmとした。この寸法で内部電極3a、3b間に略2
0Vの電圧を印加することにより、圧電変換器の非接合
の先端で2μm以上の変位と、30万パスカルの圧力を
得ることができ、最終的に略0.1μgのインク滴を7
kHzの応答周波数で吐出することができた。
【0029】さらに、このような構造のインクジェット
ヘッドにおいて流路基材を感光性樹脂などの樹脂にした
場合には、樹脂の剛性が低いためにインクの吐出圧力に
よって隣接する圧力室101とを隔てる側壁の撓んだ
り、流路基材100全体が厚み方向に変形してしまう。
その結果、インク滴の量の減少や、動作信号が入力され
ていないノズル10aからインクが吐出する所謂クロス
トークが発生し、インク吐出性能の低下があった。しか
し本発明のシリコンによる流路基材は、樹脂に比べて非
常に高い剛性が得られるため、上記の問題は全く発生し
なかった。
【0030】上記本発明の構成を実現するための製造方
法を以下に述べる。
【0031】図5(a)〜(d)に、本発明の製造工程
の一実施例を示す。
【0032】まず、表面の結晶面方位が(110)面と
なる単結晶シリコン基材100を、900〜1100℃
に加熱し、酸素、水蒸気などの酸化剤の高温の気体の中
に置いて、その表面に酸素原子を拡散する。本実施例で
は、この熱酸化処理によって厚さ1.7μmから成るシ
リコン酸化物の膜200を形成した。シリコン酸化物の
膜200は後述する異方性エッチング工程でのマスクの
役割を果たし、その形成手段は前述した熱酸化処理の他
に、CVD(化学気相気堆積)法や、イオン注入法、陽
極酸化法によっても差し支えない。またシリコン酸化物
の膜以外にも、シリコン窒化物の膜や、ホウ素やガリウ
ム原子を添加した所謂p型シリコン膜や、ヒ素やアンチ
モン原子を添加した所謂n型シリコン膜を形成しても差
し支えない。
【0033】なおシリコン基材100の厚みは0.1〜
0.5mmが好適であって、さらに好適は0.15〜0.
3mmである。本実施例では厚さ0.18mmのシリコン基
材100を用いた。
【0034】次に、樹脂レジストを前記シリコン基材上
にパターニングし、フッ酸水溶液などの酸エッチング液
によってシリコン酸化物の膜200を選択的に除去す
る。
【0035】次に、樹脂レジストを除去すると、図5
(a)に示すように前工程のエッチングによってパター
ニングされた、シリコン酸化物の膜200のマスクパタ
ーンが現れる。窓部201は圧力室101に相当する部
位、窓部202は供給路102に相当する部位、窓部2
03は溜部103に相当する部位となる。
【0036】次に、水酸化ナトリウム水溶液や水酸化カ
リウム水溶液などの結晶方位に依存して、エッチング速
度が変化するエッチング液によって、シリコン基材10
0を異方性エッチングする。シリコン基材100の異方
性エッチングは、図5(b)に示す過程を経て、図5
(c)に示す状態で終了する。すなわち、異方性エッチ
ングされた窓部201は、図5(b)に示すようにシリ
コン基材100の表面の(110)面に対して垂直な
(111)面と、傾斜した(111)面が発現する。一
方、窓部にも傾斜した(111)面が発現する。さらに
異方性エッチングを進行させると、図5(c)に示すよ
うに、窓部201の斜めの(111)面は消失して、垂
直な(111)面が新たに発現する。以上の工程によっ
て、圧力室101の容積を実質的に決定する貫通した空
間101a、供給路102の容積を実質的に決定する貫
通しない空間102a、並びに溜部103の容積を実質
的に決定する貫通した空間103aが、垂直な(11
1)面204に仕切られて形成される。
【0037】本実施例では、80℃に加熱した20[重
量%]の水酸化ナトリウム水溶液によって、前記シリコ
ン基材100を異方性エッチングして、略90分間の浸
漬で図5(c)に示すような形状を得た。
【0038】つぎに、前述の垂直な(111)面から成
って、圧力室101となる空間101aと供給路となる
空間102aとを仕切る隔壁204aと、同様に供給路
となる空間102aと溜部となる空間103aとを仕切
る隔壁204bとをフッ酸水溶液などの等方性エッチン
グ液によって除去する。なお、等方性エッチング液によ
ればシリコン酸化物の膜200も同時に除去され、その
除去速度はシリコン基材100と略同等の速度である。
従って、本実施例での前記隔壁204の厚さは、シリコ
ン酸化物の膜200の厚さと同じ1.7μmに成るよう
にした。また、前記隔壁204の他の除去手段として、
超音波振動などの衝撃によって除去する手段も有効であ
る。
【0039】次に、インクへの耐性やインクとの親和性
を得るために保護膜(図示しない)を形成する。形成す
る膜の種類、並びに形成手段は前述のマスクパターン2
00の工程と同じであるが、熱酸化処理によってシリコ
ン酸化物の保護膜を形成するのが最も好適である。
【0040】この様にして、空間101aと空間102
aとを形成する過程で隔壁204(204aと204
b)を設けると、異方性エッチングで副次的に発生する
前述平行四辺形の鋭角部の過度のエッチングを防ぐこと
ができ、結果、空間101aと空間102aとを所望す
る形状に正確に形成することができた。
【0041】また、供給路102と圧力室101とを同
一部品(シリコン基材100)内に集約しているため、
シリコンのエッチングの利点である形状精度が生かさ
れ、複数のインク流路間の吐出特性のバラツキや製造ロ
ット間のバラツキも小さくすることができた。さらに他
の結晶方位面に対してエッチング速度が遅い(111)
面しか残らないので、異方性エッチング工程における条
件変動の許容範囲が広く、非常に安定した形状品質を確
保できる。
【0042】図6は、本発明の別の実施例を示したイン
クジェットヘッドの要部を示した斜視図である。一つの
圧力室101に対して複数の供給路102を備えてお
り、本実施例では二つの供給路102から成っている。
また、本実施例では圧力室101となる空間101aの
平行四辺形の一方の鋭角側と鈍角側のそれぞれの隅に、
供給路102となる二つ空間102aを配置しているた
め、インクの流れと気泡の排出がさらに向上できる。
【0043】図7は本発明の、さらに別の実施例を示し
たインクジェットヘッドの要部を示した斜視図である。
本実施例では、ノズルの容積を実質的に決定する空間1
04aも供給路102の空間102aと同様にして形成
しており、シリコン基材100の周縁にノズル104を
配した、所謂エッジイジェクト型の記録ヘッドへの好適
適用例である。なお複数のノズル104を一つの面上に
配列させるために、前記周縁部100aを回転砥石刃な
どの切断手段によって平坦に仕上げている。
【0044】以上のように複数のインク供給路102を
所望する流路抵抗に安定して形成でき、且つ充分に大き
な容積を持ったインク圧力室101とを両立して、シリ
コン基材100に形成できた。また、流路基材100の
シリコンは脆弱で損傷しやすい材料であるが、複数のイ
ンク供給路102とインク圧力室101とは隣接するイ
ンク供給路102とインク圧力室101とを介して両持
ち梁的な構成にできるため、インク供給路102とイン
ク圧力室101とを形成した後のシリコン基材100の
取扱いを簡便にすることができた。
【0045】また、一般に販売されている3インチ径の
(110)面のシリコンウェハーを使用すれば、同時に
20個以上の流路基板100の収量があるため、一流路
基板あたりに所要する製造時間と材料費とが非常に少な
く、廉価に製造できる。
【0046】
【発明の効果】以上述べたように本発明の構成と方法に
よれば、インク圧力室の容積を充分に大きくでき、且つ
供給路の幅(延いては容積)の安定したインク供給路と
を同時に兼ね備えたシリコン基板からなる流路基板が得
られるため、小型化、高密度化に最適であって、インク
の吐出応答性が高いインクジェットヘッドを廉価に提供
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を適用したインクジェットヘッ
ドを俯瞰する分解斜視図である。
【図2】本発明の実施例を適用したインクジェットヘッ
ドの要部の斜視図である。
【図3】本発明の実施例を適用したインクジェットヘッ
ドの圧力発生手段を示した図である。
【図4】本発明のインクジェットヘッドの動作を示す図
である。
【図5】本発明のインクジェットヘッドの製造方法の一
実施例を示す製造工程図である。
【図6】本発明のインクジェットヘッドの別の実施例を
示す図である。
【図7】本発明のインクジェットヘッドの別の実施例を
示す図である。
【図8】従来技術を示す図である。
【図9】従来技術を示す図である。
【符号の説明】
1 圧電変換器 7 接着剤 8a フレキシブル配線基板 8b フレキシブル配線基板 15 供給管接続口 16 制御基板 20 インク 100 流路基材(単結晶シリコン基材) 101 インク圧力室(圧力室) 101a インク圧力室の容積を実質的に決定する空間 102 インク供給路(供給路) 102a インク供給路の容積を実質的に決定する空間 103 インク溜り(溜部) 103a インク溜りの容積を実質的に決定する空間 104 ノズル 104a ノズルの容積を実質的に決定する空間 200 シリコン酸化物の膜(マスクパターン) 201 インク圧力室に部位するマスクパターンの窓
部 202 インク供給路に部位するマスクパターンの窓
部 203 インク溜りに部位するマスクパターンの窓部 204 隔壁 204a 圧力室の空間と供給路の空間とを仕切る隔壁 204b 供給路の空間と溜部の空間とを仕切る隔壁
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41J 2/045 B41J 2/055 B41J 2/16

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一端はインク供給路を介してインク溜ま
    りに連通し、他端はインク滴を吐出するノズルに連通し
    た複数のインク圧力室を有したインクジェットヘッドに
    おいて、 結晶方位(110)面が表面となる単結晶シリコン基材
    には、前記供給路と前記圧力室を形成する空間を具備し
    ており、前記供給路を形成する空間は前記基材の表面に
    対して傾斜した二つの(111)面の壁面によって形成
    され、前記圧力室を形成する空間は前記シリコン基材の
    表面に対し垂直である、少なくとも二つの(111)面
    の壁面によって形成されていることを特徴とするインク
    ジェットヘッド。
  2. 【請求項2】 前記基材に形成された前記供給路の二つ
    の(111)面は、V字型の溝を成していることを特徴
    とする請求項1記載のインクジェットヘッド。
  3. 【請求項3】 一端はインク供給路を介してインク溜ま
    りに連通し、他端はインク滴を吐出するノズルに連通し
    た複数のインク圧力室を有したインクジェットヘッドに
    おいて、 結晶方位(110)面が表面となる単結晶シリコン基材
    には、前記ノズルと前記圧力室を形成する空間を具備し
    ており、前記ノズルを形成する空間は前記基材の表面に
    対して傾斜した二つの(111)面の壁面によって形成
    され、前記圧力室を形成する空間は前記シリコン基材の
    表面に対し垂直である、少なくとも二つの(111)面
    の壁面によって形成されているを特徴とするインクジェ
    ットヘッド。
  4. 【請求項4】 前記基材に形成された前記ノズルの二つ
    の(111)面は、V字型の溝を成していることを特徴
    とする請求項3記載のインクジェットヘッド。
  5. 【請求項5】 一端はインク供給路を介してインク溜ま
    りに連通し、他端はインク滴を吐出するノズルと連通し
    た複数のインク圧力室を有するインクジェットヘッドに
    おいて、 (1)エッチング速度が結晶方位に依存するエッチング
    液によって、結晶方位(110)面の単結晶シリコン基
    材の表面に対して傾斜した二つの(111)面を壁面に
    有する第1の空間と、前記表面に対し垂直であり、少な
    くとも二つの(111)面を壁面に有する第2の空間と
    を異方性エッチングする工程と、 (2)然る後に、(111)面から成り前記第1の空間
    と、前記第2の空間とを仕切る隔壁を除去する工程と、 によって成ることを特徴とするインクジェットヘッドの
    製造方法。
  6. 【請求項6】 前記第1の空間はインク供給路の容積を
    実質的に決定する空間であって、前記第2の空間はイン
    ク圧力室の容積を実質的に決定する空間であることを特
    徴とする請求項5記載のインクジェットヘッドの製造方
    法。
  7. 【請求項7】 前記第1の空間はノズルの容積を実質的
    に決定する空間であって、前記第2の空間はインク圧力
    室の容積を実質的に決定することを特徴とする請求項5
    記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  8. 【請求項8】 前記隔壁を等方性エッチングで除去する
    ことを特徴とする請求項5記載のインクジェットヘッド
    の製造方法。
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