JPH08281873A - 板状複合材 - Google Patents

板状複合材

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JPH08281873A
JPH08281873A JP7087197A JP8719795A JPH08281873A JP H08281873 A JPH08281873 A JP H08281873A JP 7087197 A JP7087197 A JP 7087197A JP 8719795 A JP8719795 A JP 8719795A JP H08281873 A JPH08281873 A JP H08281873A
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plate
laminated
shaped
film
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JP7087197A
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Satoshi Kodera
聰 小寺
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NITTO DENZAI KK
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NITTO DENZAI KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 従来のものに比べて強度が大きく、かつ大量
生産に適するようにする。 【構成】 ガラス板Cと、芯フィルムの両面に接着剤層
の形成されたフィルム状接着剤Bと、板状の積層材Aと
が積層されて形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ガラス板と、合成樹
脂、金属又は木材等の板状の積層材とが、あるいは皮
革、織製品又は紙製品等のシート状の布材である積層材
とが接着剤を介して積層接着されてなる板状複合材に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】複合材料は、異なった性質を有する複数
の材料を組み合わせることによって得られる材料であ
り、複合することによって、単一の材料よりも優れた特
性のものが得られることから、現在、各種の分野で盛ん
に研究されており、すでに実用化され各所で使用されて
いるものは多い。かかる複合材料のうち、強化ガラスで
広く知られるように、板状の複合材料は一般的であり、
工業的にはもちろんのこと、一般の日常生活を営む上に
おいても大いにその恩恵に浴している。
【0003】従来、上記のような板状複合材は、板状の
基材と、板状またはシート状の積層材との間に接着剤が
挟持されて形成され、接着剤の接着力によって基材と積
層材とが一体に結合されている。古くは接着剤は、例え
ばエポキシ樹脂系のような常温で液状のものが塗布され
ていたが、塗布作業が面倒なこと、および乾燥あるいは
重合反応が完了するまでに長時間を要する等作業性が悪
いことから、近年、ホットメルトと通称されるものが使
用されるようになった。
【0004】このホットメルトは、融点の低い(100
℃前後)合成樹脂をフィルム状に展延したものが一般的
であり、このフィルム状接着剤を基材と積層材との間に
挟持させた状態で加熱処理を施し、フィルムの溶融によ
って接着機能を発揮させるようにしたものである。この
ようなフィルム状接着剤によって得られる板状複合材に
ついては、特公平3−36663号公報、特開昭62−
87325号公報、特開平6−293076号公報、特
開平6−293077号公報、特開平6−298549
号公報、特開平6−336909号公報等に記載された
ものが知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来のフィ
ルム状接着剤を用いて形成された板状複合材は、フィル
ム状接着剤自体の融点が低く、他の基材や積層材に比べ
て強度的に劣るため、例えば板状複合材に長手方向に大
きな剪断力が作用した場合など、接着剤層を境にして基
材と積層材とが分離してしまうことがあるなど、強度的
に解決すべき課題を有していた。
【0006】また、板状複合材料を製造するに際して
は、通常フィルム状接着剤がラミネートマシンによって
基材や積層材の表面にラミネートされるが、このときの
ロールからのフィルムの引き出し時に破損することが多
く、従ってラミネートマシンを円滑に運転し得ないこと
から、結局作業者による手作業で基材等にフィルムを積
層せざるを得ず、大量生産に適していないという問題点
を有していた。
【0007】本発明は、上記のような問題点を解決する
ためになされたものであり、従来のものに比べて強度が
大きく、かつ大量生産に適した板状複合材を提供するこ
とを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
ガラス板と、熱可塑性接着剤と、接着剤担持用シート
と、熱可塑性接着剤と、板状の積層材とが積層されてな
る板状複合材である。
【0009】請求項2記載の発明は、2枚のガラス板
と、これらガラス板の間に板状又はシート状の積層材が
積層されるとともに、上記各ガラス板と上記積層材との
間に、それぞれ熱可塑性接着剤と、接着剤担持用シート
と、熱可塑性接着剤とが積層されてなる板状複合材であ
る。
【0010】請求項3記載の発明は、請求項1または2
記載の発明において、上記接着剤担持用シートをポリエ
チレンテレフタレートとしたものである。
【0011】請求項4記載の発明は、請求項1乃至3の
いずれかに記載の発明において、上記熱可塑性接着剤が
電磁波加熱により溶融された後、固化して上記接着剤担
持用シート、ガラス板及び積層材接着されたものであ
る。
【0012】請求項5記載の発明は、請求項1乃至4の
いずれかに記載の発明において、上記積層材を板状の合
成樹脂としたものである。
【0013】請求項6記載の発明は、請求項1乃至4の
いずれかに記載の発明において、上記積層材をシート状
の布材としたものである。
【0014】
【作用】請求項1記載の発明によれば、ガラス板と板状
の積層材との間に、熱可塑性接着剤が両面に有する接着
剤担持用シートを介在して積層した構造であるので、接
着層の積層処理が容易な板状複合材であり、また、この
シートが介在されている分、単にガラス板と積層材だけ
の複合材に比して高い強度を示す。
【0015】請求項2記載の発明によれば、各ガラス板
と積層材との間に、熱可塑性接着剤が両面に有する接着
剤担持用シートを介在して積層した構造であるので、接
着層の積層処理が容易な板状複合材であり、また、この
シートが介在されている分、単にガラス板と積層材だけ
の複合材に比して高い強度を示す。
【0016】請求項3記載の発明によれば、接着剤担持
用シートはポリエチレンテレフタレートが採用されてい
るため、ポリエチレンテレフタレートの強靱性によって
フィルム状接着剤は非常に丈夫なものになる。
【0017】請求項4記載の発明によれば、熱可塑性接
着剤が電磁波加熱により溶融された後、固化して上記接
着剤担持用シート、ガラス板及び積層材接着されたもの
であるため、ガラスおよび積層材に大きな熱的影響を与
えることなく板状複合材料ができあがる。
【0018】請求項5記載の発明によれば、上記積層材
を板状の合成樹脂としたものであるため、この板状の合
成樹脂の強靱性がガラス板に付与され、板状複合材料は
丈夫なものになる。
【0019】請求項6記載の発明によれば、上記積層材
をシート状の布材としたものであるため、ガラス板を通
して布材が見える。
【0020】
【実施例】図1は、本発明の板状複合材料を製造するた
めの製造方法の一例を示す工程図である。この図に示す
ように、本発明の製造方法は、接着剤付与工程P1と、
積層工程P2と、脱気工程P3と、接着工程P4とから
なる基本構成を有している。
【0021】上記接着剤付与工程P1は、積層材Aに熱
可塑性合成樹脂製のフィルム状接着剤(接着剤担持用フ
ィルム)Bを付与する工程であり、この工程に供給され
た積層材Aにはその片面または両面に、後述する接着剤
付与装置1によってフィルム状接着剤Bが付与されるよ
うになっている。
【0022】上記積層工程P2は、接着剤付与工程P1
からの積層体に、ガラス板Cを積層する工程であり、こ
の工程でガラス板Cが積層されることによって、実質的
な複合材料である積層体Dが形成される。積層材Aに対
するガラス板Cの積層操作は、作業者の手作業で行って
もよい。
【0023】具体的には、例えば基材が2層構造である
積層体Dをつくるときには、接着剤付与工程P1で得ら
れた積層材Aを適宜の作業テーブル上に載置し、この上
にガラス板Cを重ね合わせることによって積層体Dが得
られる。また、基材が3層構造である積層体Dをつくる
ときには、作業テーブル上にまずガラス板Cを載置し、
その上に両面にフィルム状接着剤Bの付与された積層材
Aを重ね合わせ、その後さらにガラス板Cを積層材Aの
上に積層して積層体Dが形成される。同様にして4層構
造以上の積層体Dを調製することも可能である。このよ
うにして調製された積層体Dは、複数枚が所定の台車に
積載され、次の脱気工程P3に運ばれる。
【0024】上記脱気工程P3は、積層体D中の積層材
Aとフィルム状接着剤Bとの境界部分、およびフィルム
状接着剤Bとガラス板Cとの境界部分に残留している空
気を抜き取るための工程であり、後述する脱気装置5
(図2)が使用される。この脱気装置5に供給された積
層体Dは、減圧処理によって上記残留空気が除去され、
各基材(積層材Aおよびガラス板C)同士はフィルム状
接着剤Bを介して隙間なく密着した状態になる。このよ
うにして得られた脱気済の積層体Dは、次の接着工程P
4に供給される。
【0025】上記接着工程P4は、上流側の高周波加熱
工程P4′と、これに続く下流側の養生工程P4″とか
ら構成されている。上記高周波加熱工程P4′は、脱気
工程P3で得られた脱気済みの積層体Dに加圧状態で高
周波を印加し、その誘電加熱によってフィルム状接着剤
Bを加熱溶融し、この溶融によってフィルム状接着剤B
に接着剤としての機能を発揮させ、フィルム状接着剤B
を介して相互に積層された基材同士を相互に接着する工
程である。この高周波加熱工程P4′では、後述する高
周波加熱装置6(図3)が使用される。
【0026】そして、高周波加熱工程P4′における所
定時間までは温度管理に基づく加熱処理が施された後、
高周波加熱装置6内において次の養生工程P4″が引き
続き実行される。この養生工程P4″においては、積層
体は電極からの高周波の供給が停止された状態で、上下
の電極板間による押圧挟持状態が所定時間継続される。
これによって自然放冷が施され、溶融状態のフィルム状
接着剤Bが再固化することによって板状複合材Eにな
る。
【0027】このようにして得られた板状複合材Eは、
そのまま製品として出荷されることもあるが、所定の寸
法に切断されて商品化されることもある。この場合には
板状複合材Eは加熱工程P4の下流側に設けられた切断
工程P5に導入される。そして、この切断工程P5にお
いて所定の寸法に切断される。そして、本実施例におい
ては、上記切断工程P5にウォータジェット切断機が適
用され、この切断機によって板状複合材Eを切断するよ
うにしているため、板状複合材Eは、硬柔の材料から形
成されているにも拘らず、正確かつ確実に切断される。
【0028】上記積層材Aとしては、合成樹脂製の板や
シート、ガラス板、金属板、紙製品、織製品、皮革、あ
るいは石板や人工大理石等が適用される。上記金属板と
しては、鉛製、真鍮製、あるいは銅製等のものが使用さ
れる。鉛製の金属板は、遮音用あるいは電磁シールド用
として、真鍮製や銅製の金属板は、装飾用として好適で
ある。また、上記紙製品、織製品および皮革も装飾用と
して好適である。
【0029】また、上記合成樹脂としては、ポリエチレ
ン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリビニルクロ
ライド(PVC)、ポリスチレン(PS)、アクリロニ
トリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)、ポリメ
チルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンテレフ
タレート、ポリアミド(PET)、ポリアセタール(P
OM)、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンテ
レフタレート(PPE)、ポリブチレンテレフタレート
(PBT)、ポリサルフォン(PSF)、ポリエーテル
サルフォン(PES)、ポリフェニレンサルファイド
(PPS)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテ
ルアミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケトン(P
EEK)、ポリイミド(PI)、ポリテトラフルオロエ
チレン等を挙げることができる。
【0030】上記フィルム状接着剤Bとしては、エチレ
ン酢酸ビニル共重合体(EVA)、変性EVA、湿気硬
化性ホットメルト接着剤(SBS)、PE、PP、PV
C、ポリビニルブチラール(PVB)、アイオノマー樹
脂等の熱可塑性樹脂を原料として製造されるものであ
る。これらの熱可塑性樹脂のいずれかを、常法に従って
フィルム状(厚み数μm〜1mm)にすることによって
フィルム状接着剤Bが得られる。
【0031】上記のうち、変性EVAがフィルム状接着
剤Bとして特に有効である。この変性EVAは、EVA
を加水分解してその一部をエチレンビニルアルコール共
重合体に変性したものであり、エチレンビニルアルコー
ル共重合体の存在によってフィルム加工性および接着性
力がEVAに比べて向上したものになっている。
【0032】上記SBSは、熱可塑性ゴムに湿気硬化型
のウレタン系ホットメルト接着剤(RHM)を添加して
得られる弾性に優れた湿気硬化型の接着剤である。上記
RHMは、ポリオールに過剰のポリイソシアネートを反
応させて得られる接着剤であり、末端にイソシアネート
基(NCO−)を有している。このプレポリマーが、水
(湿気)と反応することによって三次元の架橋構造が形
成され、これによって硬化する性質を有する接着剤であ
る。このようなRHMが熱可塑性ゴムに添加されてSB
Sが形成されている。接着工程P4でこのSBSを用い
て接着処理が施される。
【0033】以下、上記接着剤付与工程P1、脱気工程
P3、および接着工程P4において使用される装置につ
いて詳細に説明する。
【0034】接着剤付与工程P1で使用される接着剤付
与装置は、いわゆる公知のラミネートマシンであり、マ
シン本体を跨ぐように設けられた上部または上下一対の
支持軸にフィルム状接着剤Bを巻き取ったロールが装着
されており、これらのロールからフィルム状接着剤Bの
先端部が引き出され、積層材Aがマシン本体の上流側か
ら下流側に移動する間に、フィルム状接着剤Bを積層材
Aの表面または表裏に付与するようになっている。
【0035】なお、接着剤付与工程P1においては、上
記のラミネートマシンを用いずに、作業者の手作業によ
って積層材Aにフィルム状接着剤Bを積層するようにし
てもよい。
【0036】図2は、上記脱気工程で使用される脱気装
置の一例を示す側面断面視の図である。この脱気装置5
には積層体Dが供給されて脱気処理が施される。この脱
気装置5は、図2に示すように、内部に減圧室52の形
成された円筒状のケーシング51と、上記減圧室52内
の空気を吸引する吸引ポンプ53とから構成されてい
る。
【0037】上記ケーシング51の一側部にはシール構
造を備えた開閉蓋51aが設けられ、この開閉蓋51a
を閉止することによって減圧室52内は密閉状態になる
ようにしている。また、ケーシング51の頂部には排気
口51bが設けられており、この排気口51bは上記吸
引ポンプ53に連通されている。従って、開閉蓋51a
を閉止した状態で吸引ポンプ53を稼働することによ
り、減圧室52内は減圧状態になる。本実施例において
は、減圧室52内の圧力が0.5気圧以下になるように
吸引ポンプ53が運転制御される。
【0038】脱気装置5の上記構成によれば、積層工程
P2からの積層体Dを、台車Z上でスペーサー54を介
して複数段に積み重ね、それを減圧室52内に搬入し、
開閉蓋51aを閉止して吸引ポンプ53を稼働させるこ
とによって減圧室52内を減圧状態にする。そうする
と、積層材Aとフィルム状接着剤Bとの間、およびフィ
ルム状接着剤Bとガラス板Cとの間に残留している空気
は減圧室52内の減圧環境によって外部に引き出され、
これによって積層体Dの脱気処理が施される。
【0039】図3は、上記接着工程で使用される高周波
加熱装置の一例を示す側面視の説明図であり、図4はそ
の平面視の説明図である。また、図5は同装置の要部の
部分側面図である。図3および図4に示すように、高周
波加熱装置6は、内部に上部電極61aおよび下部電極
61bからなる上下一対の対向電極61を備えた加熱装
置本体60と、この加熱装置本体60の対向電極61に
高周波電力を供給する高周波発生手段9(図4)等を具
備する。
【0040】上記加熱装置本体60は、一側方に脱気済
みの積層体Dの供給口62aを、他側方に排出口62b
を有する横長箱型のケーシング62と、このケーシング
62の内部の下半分に循環移動可能に設けられコンベヤ
ベルト7とを備えている。このコンベヤベルト7は、高
周波透過性能を有する例えば合成樹脂製の材料が適用さ
れる。本実施例においてはポリテトラフルオロエチレン
製のものが用いられている。
【0041】上記電極61の電極面にフェルト材やゴム
材からなる緩衝材層61cが配置されており、フェルト
材やゴム材の緩衝性によって押圧状態で加熱された脱気
済みの積層体Dの撓み等の変形が吸収されるとともに、
フェルト材が断熱材の作用をすることによって、脱気済
みの積層体Dの表面からの対向電極61への伝熱が抑制
され、これによって積層体D内での厚み方向の温度勾配
が緩やかになり、脱気済みの積層体Dが撓もうとするよ
うな熱応力の影響が確実に抑制される。
【0042】なお、ガラス板Cが一方側のみのときは、
それに対向する側の対向電極61にのみ干渉剤層61c
を配設するようにしてもよい。また、電極61コンベヤ
ベルト7のポリテトラフルオロエチレンが緩衝材として
の役割を果たすので、この面にガラス板Cを対向させる
ことで、特にフェルト材の緩衝材層7aを設けずに済ま
せることも可能である。
【0043】上記コンベヤベルト7はケーシング62内
の下半分に内設され、上記供給口62aおよび排出口6
2bに支持軸回りに回転自在に設けられた前方ローラ7
1および後方ローラ72、さらにこれら両ローラ71,
72の下部の適所に設置された複数の補助ローラ73に
張設されている。後方ローラ72の下部には駆動モータ
75が設置され、この駆動モータ75の回転駆動は伝達
ベルト75aを介して後方ローラ72に伝達されるよう
になっている。従って、駆動モータ75を駆動させるこ
とによってこの回転は伝達ベルト75aおよび後方ロー
ラ72を介してコンベヤベルト7に伝えられ、コンベヤ
ベルト7は図3において時計方向に循環移動するように
なっている。そして、上記上部電極61aの電極面と、
前方ローラ71の上方に向いた表面との間に加熱空間S
が形成されている。
【0044】上記コンベヤベルト7の上流側は、ケーシ
ング62の上半分の上流側よりも水平方向に前方に突出
している。そして、この突出したコンベヤベルト7を内
装するために、ケーシング62の下部半分は上部半分よ
りも前方に突出し、この部分に積層体Dを供給するため
の上部が開放した引継ぎ部64が形成されている。この
ように引継ぎ部64でコンベヤベルト7を露出させるこ
とで、脱気工程P3からの積層体Dの引き継ぎ作業を容
易にしている。
【0045】上記ケーシング62の側部の上下方向中央
部には、図3に示すように、適宜の個所にガラス張りの
覗き窓65が設けられており、この覗き窓65からケー
シング62内の積層体Dの加熱状況を目視観察すること
ができるようになっている。
【0046】そして、本発明においては、表面が上部電
極61aに対向するコンベヤベルト7の裏面側に平板状
の下部電極61bがコンベヤベルト7と近接乃至は摺動
状態で配置されている。上記下部電極61bはケーシン
グ62内に固定されているのに対して、上部電極61a
は上下動が可能になっている。電極昇降機構8はケーシ
ング62の内部にあって上部電極61aを上下動させる
ためのものである。
【0047】この電極昇降機構8は、ケーシング62内
の上部に水平に配設されている支持板80上に据え付け
られた昇降モータ81、この昇降モータ81の回転軸8
1aの回転を上下動に変換する方向変換機82、および
この方向変換機82内に設けられ、かつ支持板80を貫
通して上部電極61aに連結されるラック軸83とから
構成されている。方向変換機82内には回転軸81aと
同心の図略のピニオンが設けられており、このピニオン
とラック軸83とが噛合している。従って、昇降モータ
81の回転駆動によって回転軸81aが回転すると、こ
の回転はピニオンを介してラック軸83の上下動に変換
される。上記支持板80を貫通したラック軸83の下端
部は上部電極61aに連結される部材を介して上部電極
61aに結合されている。
【0048】なお、方向変換機82のラック軸83に代
えてネジ軸を採用してもよい。このネジ軸を支持板80
に設けられた雌ネジの螺設されている軸受に螺着し、水
平方向に延びる回転軸81aの回転を傘歯車等を介して
垂直方向に延びるネジ軸の回転に変換することによって
ネジ軸を上下動させることができる。
【0049】従って、昇降モータ81を駆動させてラッ
ク軸83を下降させれば、上部電極61aが下降して加
熱空間Sの上下幅が狭くなり、逆に昇降モータ81を逆
駆動させて上部電極61aを上昇させることにより加熱
空間Sの上下幅は広くなる。
【0050】図6は、高周波加熱装置に適用される高周
波発生手段の一例を示すブロック図である。この図に示
すように、高周波発生手段9は、高周波加熱装置6を統
括的に制御する制御回路91と、この制御回路91に種
々の操業データを入力するための操作部92と、高周波
電力を発生する高周波発生部93とから構成されてい
る。上記制御回路91は、操作部92を介して入力され
た操業データを基に、各部の駆動および高周波発生部9
3への電力の供給を制御するようになっている。
【0051】本実施例においては、高周波発生手段9
は、13.56MHzの高周波を発生するように設計さ
れているが、本発明は、周波数が13.56MHzに限
定されるものではなく、電磁波加熱用として使用し得る
数MHz〜数GHzの範囲の高周波またはマイクロ波が
適用可能である。
【0052】上記操作部92には、高周波ON・OFF
スイッチ92a、ベルトON・OFFスイッチ92b、
上部電極61aが上昇するように昇降モータ81を駆動
させる上昇ボタン92c、上部電極61aが下降するよ
うに昇降モータ81を駆動させる下降ボタン92dが設
けられている。
【0053】上記高周波ON・OFFスイッチ92aか
らの操作信号は制御信号として制御回路91に出力され
る。高周波ON・OFFスイッチ92aがON操作され
たときには高周波発生部93の動作が開始され、OFF
操作されたときには高周波発生部93の動作が停止され
る。また、ベルトON・OFFスイッチ92bからの操
作信号も制御回路91に出力され、ベルトON・OFF
スイッチ92bがON操作されたときには駆動モータ7
5が駆動開始し、OFF操作されたときには駆動モータ
75の回転駆動は停止される。
【0054】上記上昇ボタン92cおよび下降ボタン9
2dからの操作信号は、制御回路91を介して昇降モー
タ81に伝達され、昇降モータ81を回転駆動させるこ
とによって上部電極61aによる積層体Dの押圧力の調
節が行われる。
【0055】上記高周波発生部93は、電源回路94
と、この電源回路94から電力を得て高周波を発生する
高周波発生回路95と、この高周波発生回路95の出力
側に設けられた整合回路96とから構成されている。上
記電源回路94は、例えば220Vの商用電源を所定レ
ベルの直流電源に変換するものである。また、上記高周
波発生回路95は、電源回路94からの所定レベルの直
流電圧を得て所要レベルの高周波エネルギーを発生する
自励発振式の高周波発生回路である。
【0056】さらに、上記整合回路96は、高周波発生
回路95と一対の対向電極61間にセットされる積層体
Dとの整合をとる回路であり、変成器97の他、図略の
整合用コンデンサを有している。上記変成器97には入
力側コイルL1と出力側コイルL2とのトランスを有
し、上記出力側コイルL2は一端が上部電極61aに、
他端が下部電極61bとアースとに接続されている。
【0057】供給電力を設定する場合、同調条件を順次
ずらしておくようにしてもよい。あるいは電力供給レベ
ルが固定的であれば、電源回路94や高周波発生回路9
5の定格としてそれぞれ決まった所要のものを採用して
もよい。なお、間欠的に高周波を供給する場合、駆動時
間に与えられた熱が休止時間中にフィルム状接着剤B内
に拡散することになるので、その分温度分布の均一化、
すなわち均一加熱が行われることになる。
【0058】本高周波加熱装置による上記構成によれ
ば、まず、積層体Dが引継ぎ部64に供給された時点で
ベルトスイッチ92bをON操作する。コンベヤベルト
7の移動によって積層体Dは下流側に送られ、上記加熱
空間Sに搬入された時点でベルトスイッチ92bがOF
F操作される。このコンベヤベルト7の停止状態で下降
ボタン92dがONされ、図5に二点鎖線で示すよう
に、上部電極61aが下降し、積層体Dは所定の圧力に
加圧された状態になる。この加圧状態でスイッチ92a
をONすることにより高周波発生部93が駆動して対向
電極61間に所定の電力の供給が開始され、この加圧状
態の積層体Dへの高周波印加が所定時間継続される(高
周波加熱工程P4′)。
【0059】そして、所定の時間が経過すると、スイッ
チ92aがOFF操作されて積層体Dへの高周波の供給
が所定時間停止される。この高周波の供給停止後に引き
続いて積層体Dは押圧挟持された状態を維持され、この
状態で徐冷され、この徐冷によって一旦溶融したフィル
ム状接着剤Bが再固化し、これによって積層体Dを構成
する各基材がフィルム状接着剤Bを介して確実に接着さ
れるようになる(養生工程P4″)。
【0060】所定時間経過後、上昇ボタン92cがON
操作され、上部電極61aによる積層体の加圧が解除さ
れる。その後、ベルトスイッチ92bがON操作され、
コンベヤベルト7の駆動によって上記板状複合材Eは排
出口62bから外部に導出される。
【0061】以後、上記のスイッチ操作を繰り返しつつ
適時に積層体Dを供給口62aからコンベヤベルト7上
に順次供給することにより、板状複合材Eが排出口62
bから順次導出される。
【0062】なお、上記制御回路91内に各種の積層体
Dに合致した設定加熱時間や設定養生時間を予め入力し
ておき、内蔵された図略のタイマを基に制御回路91内
における上記設定値との比較によって実際の誘電加熱お
よび養生処理を時間で管理する制御を行ったり、温度セ
ンサを設け、積層体Dの温度を逐一検出して制御回路9
1に入力するようにし、制御回路91においてこの検出
結果を予め記憶されている設定温度との比較で判別して
加熱処理や養生処理を制御するようにしてもよい。
【0063】また、積層体Dに対する押圧力が既知の場
合は、圧力センサで上部電極61aの積層体Dに対する
押圧力を検出するようにし、この押圧力が予め設定され
た押圧力になるまで上部電極61aを下降させるように
すれば、作業者のスイッチ操作による積層体Dの押圧作
業を自動化することが可能になる。
【0064】さらに、コンベヤベルト7の駆動・停止に
ついても、位置センサを設けてコンベヤベルト7上の積
層体Dの位置を検出するようにすることによって、スイ
ッチ操作に負うことなくコンベヤベルト7の駆動・停止
を自動化することが可能になる。
【0065】ところで、内部加熱による発熱量(W/cm
2)は、 P=((5/9)/1012)・f・E2・ε・tan δ によって示される。ここに、fは高周波の周波数、Eは
電界の強さ(V/cm)、εは誘電率、tanδは誘電体損
失角であり、特に(ε×tanδ)は誘電体損失係数と呼
ばれている。上記の式より、発熱量Pは、電界の強さの
自乗(E2)と損失係数(ε×tanδ)とに比例してお
り、特に損失係数0.01〜1のものが接着剤として好
ましい。
【0066】そして、本発明においては、基材は、ガラ
スや硬質のPC等、接着剤よりは損失係数の小さいもの
が用いられているのに対して、接着剤は、上記範囲のも
のが用いられているため、積層体Dに印加された高周波
のエネルギーは、基材にはほとんど影響を与えず、接着
剤の自己発熱に消費され、これによって接着剤のみが加
熱溶融され、外部加熱の場合のように基材に熱的影響を
与えることがない。
【0067】図7は、本発明において使用されるフィル
ム状接着剤の一例を示す断面図である。この図に示すよ
うに、フィルム状接着剤Bは、薄層の芯フィルムaの表
裏に接着剤層bの積層された3層構造のものが用いられ
ている。因に、本実施例においては、芯フィルムaとし
て厚さ36μmのPETフィルムが用いられ、このPE
Tフィルムの表裏に変性EVAからなる接着剤層bを積
層したものが採用されている。
【0068】このような芯フィルムaを有する3層構造
のフィルム状接着剤Bを用いることにより、フィルム状
接着剤Bが非常に丈夫でかつ取り扱いが容易なものにな
り、その結果上記接着剤付与工程P1における積層材A
への接着剤付与処理において、塗布などの面倒な作業を
行うことなく、フィルム状接着剤Bをただ単に積層材A
に被せるようにするだけで接着剤の付与作業を行い得る
とともに、積層操作時にロールから相当の引張り力でフ
ィルム状接着剤Bの端部を引き出しても破損することが
なくなるなど確実かつ容易にに積層材Aに接着剤を付与
する上で極めて有効である。
【0069】以下、図8〜図11を基に本発明の板状複
合材Eについて説明する。なお、図8〜図11において
は、各材の積層状態が判るように模式的に示しているの
で、実際の厚さの寸法比とは異なるものもある。特にフ
ィルム状接着剤Bの厚みについては誇張されている。
【0070】図8は、本発明の板状複合材の第1実施例
を示す断面図である。この実施例においては、積層材A
としてガラス板が用いられ、この積層材Aとガラス板C
とがフィルム状接着剤Bを介して積層され、板状複合材
Eが形成されている。この板状複合材Eは、上記接着剤
付与工程P1においていずれか一方のガラス板の片面に
のみフィルム状接着剤Bが積層されて、積層工程P2に
おいてこの積層材Aのフィルム状接着剤B側に他のガラ
ス板Cが積層されて積層体Dにされ、その後この積層体
Dについて脱気工程P3および接着工程P4での処理を
順次施すことによって製造されている。
【0071】かかる板状複合材Eは、2枚のガラス板の
間に接着剤層が挟持されたいわゆる強化ガラスであり、
1枚物のガラスに比較して、接着剤層の接着作用により
強度が各段に向上するとともに、破損したときに破片が
飛び散らないという利点を有している。用途としては、
建築分野では、窓ガラスやトップライト用等が挙げら
れ、電気分野ではLCDのカバーパネル、ブラウン管用
のカバー、電子レンジ用のカバー等が挙げられ、自動車
分野ではサンルーフシェード用等を挙げることができ
る。
【0072】図9は、本発明の板状複合材の第2実施例
を示す断面図である。この実施例においては、上記と同
様に2枚の板ガラスCを用いている。そして、2枚のガ
ラス板C間に織製品、皮革あるいは合成樹脂製シート等
からなるウェブ状の挟持材X(積層材Aに対応)が挟持
された状態で板状複合材Eが形成されている。各ガラス
板Cと挟持材Xとの間にはフィルム状接着剤Bが介在さ
れている。このような板状複合材Eは、まず上記接着剤
付与装置1を用いてに挟持材Xの両面にフィルム状接着
剤Bを付与し、これを2枚のガラス板Cで挟持し、その
後、脱気工程P3および接着工程P4における所定の処
理を施すことによって製造される。
【0073】このような板状複合材Eは、フィルム状接
着剤Bを介した積層構造であることから、強度が向上さ
れているとともに、上記挟持材Xがガラス板Cを通して
外部から見えるため、装飾的に優れたものになる。
【0074】かかる板状複合材Eは、建築分野では、装
飾用を兼ねた壁面用や間仕切り用、ドアーの化粧板、テ
ーブルの表面材、システムキッチンの表面材、さらには
インテリア調度用等の材料として利用することができ、
自動車分野では、観光バス等の内装材等として利用する
ことができる。
【0075】図10は、本発明の板状複合材の第3実施
例を示す断面図である。この実施例においては、板状複
合材Eはガラス板Cと、フィルム状接着剤Bと、人工大
理石からなる積層材Aとの3層構造で形成されている。
この例の板状複合材Eも装飾用内装材として利用するこ
とができる。用途は図9の第2実施例と同様である。
【0076】図11は、本発明の板状複合材の第4実施
例を示す断面図である。この実施例においては板状複合
材Eは、2枚のガラス板Cに、フィルム状接着剤Bを介
してPC等からなる合成樹脂板の積層材Aが挟持されて
形成されている。かかる板状複合材Eは、強度の非常に
高い強化ガラスとして利用することができる。
【0077】なお、図11においては、各材料の厚み寸
法の比が正確に示されていないが、例えば、板状複合材
Eが通常の強化ガラスの場合は、それぞれの厚み寸法
は、板ガラスが約0.7mm、フィルム状接着剤Bが約
0.14mm(PET:36μm、メルセンG:約50
μm×2)、PCが約5mmとされ、合計の厚みが6〜
7mmに設定される場合が多い。また、板状複合材Eを
液晶パネル板に適用する場合には、PCおよび板ガラス
を上記よりも薄いものにし、合計厚みを約1.3mm
(ガラス板0.3mm+PC板0.7mm+ガラス板
0.3mm)に設定したものが用いられる。かかるLC
Dパネルは非常に強靱であり、LCDの劣化や破損防止
に対して有効である。
【0078】図12は、他の例の高周波加熱装置を示す
側面視の断面説明図である。この例の高周波加熱装置
6′は内部が密閉可能に形成され、脱気工程P3と接着
工程P4とに同時に適用可能な構造を備えたものであ
る。図12に示すように、この高周波加熱装置6′は、
気密性を有する加熱空間S′を形成する円筒状の減圧容
器620と、上記加熱空間S′内に設けられた上部電極
610と、この上部電極610に対向可能に設けられた
下部電極611と、加熱空間S′内を減圧する吸引ポン
プ53と、上記上部電極610を昇降させる昇降機構と
を有している。上記上部電極610および下部電極61
1の互いに対向する面には、上記と同様の緩衝材612
が設けられている。上記台車Z′は載置台を有し、この
載置台は金属からなっていて下部電極611を兼ね、上
部電極610、下部電極611間に高周波が照射される
ようになっている。
【0079】上記減圧容器620の一側部には気密蓋6
02が設けられ、この気密蓋602を閉止してロックす
ることにより、加熱空間S′の気密性が充分に確保され
るようになっている。従って、気密蓋602をロックし
た状態で吸引ポンプ53を駆動させることにより、加熱
空間S′内は減圧状態になる。本実施例においては、加
熱空間S′内は少なくとも0.5気圧にまでは減圧され
るように設計されている。
【0080】上記減圧容器620の天井部には一対のシ
リンダ603が減圧容器620を貫通して立設され、こ
のシリンダ603の下部から加熱空間S′内にシリンダ
ロッド604が没入されている。そして、このシリンダ
ロッド604の下端部に上部電極610が固定され、シ
リンダ603を駆動することによるシリンダロッド60
4の上下動によって上部電極610が昇降するようにな
っている。
【0081】上記台車Z′の下部電極611上に所要数
の積層体Dが積載され、この積層体Dの積載された台車
Z′が加熱空間S′内に運び込まれて積層体B1の加熱
処理が減圧状態で行われるようになっている。
【0082】具体的には、上昇位置にある上部電極61
0に対向するように加熱空間S′内で台車Z′の位置設
定を行い、設定後に吸引ポンプ53を運転して加熱空間
S′内を減圧し、これによって各積層体D内に残留して
いる空気を脱気する脱気工程P3の処理を施し、その
後、シリンダ603の駆動によって上部電極610を下
降させ、これによって積層体B1を両電極間に押圧挟持
する。その後、電極610,611を介して積層体B1
に高周波を印加し、高周波加熱を行うようにしている。
【0083】このように、減圧容器620内に加熱加圧
部を内装することにより、脱気処理と高周波加熱処理と
を一つの装置を用いて実行することが可能になり、脱気
装置5が不要な分設備コストを低減させることが可能に
なる。
【0084】上記の実施例においては、接着剤はフィル
ム状のものが用いられているが、フィルム状の接着剤を
用いる代りに、熱可塑性樹脂からなる加熱状態で液状の
接着剤を積層材Aの表面に散布することで塗布するよう
にしてもよい。そのためには、接着剤付与装置1のロー
ルが装着される位置に加熱手段を有する接着剤加熱溶融
ホッパを設けるとともに、このホッパの下端面に複数の
接着剤塗布ノズルをコンベヤベルトの幅方向全長に亘っ
て配設し、上記ベルトによって移動している積層材Aの
表面にノズルを介して接着剤を押出し供給するようにし
た接着剤付与装置を採用すればよい。
【0085】また、上記実施例においては、接着剤は熱
可塑性のものが用いられているが、本発明は接着剤が熱
可塑性のものを適用することに限定されるものではな
く、エポキシ系、ウレタン系、あるいはアクリル系等の
熱硬化性接着剤を適用してもよい。
【0086】上記の実施例においては、一方の基材とし
てガラス板Cが用いられているが、ガラス板の代わりに
鉄板、銅板、アルミ板等の金属板や、石膏ボード、化粧
合板、人工大理石等を用いてもよい。但し、基材として
金属板を用いるときは上記高周波加熱に代えて、コイル
の中に金属板を通過させるようにして加熱する誘導加熱
を採用することができる。
【0087】具体的には、金属板が通過できるような径
にコイルを巻成し、このコイル内を貫通するようにベル
トコンベヤ等の移送手段を配設し、100Hz〜2MH
zの周波数の交流電流をコイルに供給して磁界を形成さ
せた状態で、移送手段を駆動させて金属板をコイルの中
に導入するようにすればよい。そうすれば、コイルの中
に導入された金属板は、上記交番磁界を受けて所定の温
度に誘導加熱され、移送手段によってコイル内から導出
される。そして、この導出された金属板の上面に、フィ
ルム状接着剤Bの積層された積層体Dの接着剤層の方を
重ね合わせることによって、接着剤が加熱溶融し、これ
によって接着剤の接着機能が発揮され、金属板を基材と
する板状複合材が得られる。
【0088】(製作例)種々の板状複合材を上記の製造
方法によって試験的に製造した。接着剤としては、厚さ
36μmのポリエチレンテレフタレートのフィルムの表
裏に、変性EVAを、厚さ50μmになるように積層し
たフィルム状のもの、その他表1および表2に示すもの
を用いた。また、基材としては、板ガラス、人工大理石
の板、PC製の板等の板状物、織布、和紙、皮革等のシ
ート状物を用いた。そして、これらの基材で接着剤を挟
持し、加圧した状態で高周波を印加して加熱し、さらに
その後、加圧状態を所定時間継続しつつ徐冷して板状複
合材を得た。高周波を印加する電極板の表面には、緩衝
材としてのフェルト材を貼設した。
【0089】製作時の諸条件を表1および表2に示す。
なおこれらの表において、積層構造は、「基材+接着剤
+基材」のように表示し、これらの積層物がさらにn枚
積層されて板状複合材が形成されている場合は「×n」
として表示した。また、GLはガラス板を、PCはポリ
カーボネート製の板またはフィルムを示し、それらの前
に付された単位のない数字はmm単位の厚み寸法を示し
ているとともに、μの付されている数字はμm単位の厚
み寸法を示している。また、フィルム状接着剤について
は、芯フィルムの材質はPETであり、その厚み寸法は
36μmである。また、Aは芯フィルムの採用されてい
ない熱可塑性合成樹脂からなる通常の接着剤であり、
B、CおよびDはそれぞれ他の種類の通常の接着剤であ
る。
【0090】
【表1】
【0091】
【表2】
【0092】表1に示す全ての板状複合材について、各
層の基材が相互に確実に接着されているとともに、ガラ
ス板単独のものに比べて格段に強度が向上していること
が確認された。また、ガラス板を用いていないものにつ
いても、接着状態が良好であることが確認された。
【0093】
【発明の効果】上記請求項1記載の発明によれば、ガラ
ス板と板状の積層材との間に、熱可塑性接着剤が両面に
有する接着剤担持用シートを介在して積層した構造であ
るので、接着層の積層処理が容易な板状複合材であり、
また、このシートが介在されている分、単にガラス板と
積層材だけの複合材に比して高い強度を示し、板状複合
材を丈夫なものにする上で好都合である。
【0094】上記請求項2記載の発明によれば、各ガラ
ス板と積層材との間に、熱可塑性接着剤が両面に有する
接着剤担持用シートを介在して積層した構造であるの
で、接着層の積層処理が容易な板状複合材であり、ま
た、このシートが介在されている分、単にガラス板と積
層材だけの複合材に比して高い強度を示し、板状複合材
を丈夫なものにする上で好都合である。
【0095】上記請求項3記載の発明によれば、接着剤
担持用シートはポリエチレンテレフタレートが採用され
ているため、ポリエチレンテレフタレートの強靱性によ
ってフィルム状接着剤を非常に丈夫なものにすることが
可能になる。
【0096】上記請求項4記載の発明によれば、熱可塑
性接着剤が電磁波加熱により溶融された後、固化して上
記接着剤担持用シート、ガラス板及び積層材接着された
ものであるため、ガラスおよび積層材に大きな熱的影響
を与えることなく板状複合材料を得ることが可能であ
る。
【0097】上記請求項5記載の発明によれば、上記積
層材を板状の合成樹脂としたものであるため、この板状
の合成樹脂の強靱性がガラス板に付与され、板状複合材
料を丈夫なものにする上で好都合である。
【0098】上記請求項6記載の発明によれば、上記積
層材をシート状の布材としたものであるため、ガラス板
を通して布材を見通すことが可能になり、布材に模様等
を施すことによって板状複合材を美麗なものにすること
ができ、板状複合材を化粧板等として使用する上で好都
合である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る板状複合材を製造するための製造
方法の一例を示す工程図である。
【図2】脱気工程で使用される脱気装置の一例を示す側
面断面視の説明図である。
【図3】接着工程で使用される高周波加熱装置の一例を
示す側面視の説明図である。
【図4】図3の平面視の説明図である。
【図5】図3の要部の部分側面図である。
【図6】高周波加熱装置に適用される高周波発生手段の
一例を示すブロック図である。
【図7】本発明方法に係る接着剤フィルムの一例を示す
断面図である。
【図8】本発明方法に係る板状複合材の第1実施例を示
す断面部である。
【図9】本発明方法に係る板状複合材の第2実施例を示
す断面図である。
【図10】本発明方法に係る板状複合材の第3実施例を
示す断面図である。
【図11】本発明方法に係る板状複合材の第4実施例を
示す断面図である。
【図12】他の例の高周波加熱装置を示す側面視の断面
説明図である。
【符号の説明】
P1 接着剤付与工程 P2 積層工程 P3 脱気工程 P4 接着工程 P5 切断工程 A 積層材 B フィルム状接着剤 C ガラス板 D 積層体 E 板状複合材 1 接着剤付与装置 11 枠体 5 脱気装置 51 蓋体 52 減圧室 53 吸引ポンプ 6,6′ 高周波加熱装置 61 高周波対向電極 61a 上部電極 61b 下部電極 610 押圧電極 611 移動電極 62 ケーシング 602 気密蓋 603 シリンダ 604 シリンダロッド 7 コンベヤベルト 7a 緩衝材層 8 電極昇降機構 9 高周波発生手段 91 制御回路 92 操作部 93 高周波発生部 94 電源回路 95 高周波発生回路 96 整合回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B32B 27/36 B32B 27/36 // B29K 67:00 B29L 7:00

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガラス板と、熱可塑性接着剤と、接着剤
    担持用フィルムと、熱可塑性接着剤と、板状の積層材と
    が積層されてなる板状複合材。
  2. 【請求項2】 2枚のガラス板と、これらガラス板の間
    に板状又はシート状の積層材が積層されるとともに、上
    記各ガラス板と上記積層材との間に、それぞれ熱可塑性
    接着剤と、接着剤担持用フィルムと、熱可塑性接着剤と
    が積層されてなる板状複合材。
  3. 【請求項3】 上記接着剤担持用フィルムは、ポリエチ
    レンテレフタレートであることを特徴とする請求項1又
    は2記載の板状複合材。
  4. 【請求項4】 上記熱可塑性接着剤は電磁波加熱により
    溶融された後、固化して上記接着剤担持用フィルム、ガ
    ラス板及び積層材とを接着したものであることを特徴と
    する請求項1乃至3のいずれかに記載の板状複合材。
  5. 【請求項5】 上記積層材は、板状の合成樹脂であるこ
    とを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の板状
    複合材。
  6. 【請求項6】 上記積層材は、シート状の布材であるこ
    とを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の板状
    複合材。
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