JPH08277497A - 表面処理亜鉛めっき金属板の製造方法 - Google Patents
表面処理亜鉛めっき金属板の製造方法Info
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- JPH08277497A JPH08277497A JP10481595A JP10481595A JPH08277497A JP H08277497 A JPH08277497 A JP H08277497A JP 10481595 A JP10481595 A JP 10481595A JP 10481595 A JP10481595 A JP 10481595A JP H08277497 A JPH08277497 A JP H08277497A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 高温多湿の環境においても優れた耐食性を有
し、かつ皮膜の耐疵付き性および耐摩耗性に優れた亜鉛
めっき金属板、または着色亜鉛めっき金属板の製造方法
を提供する。 【構成】 亜鉛めっき後陽極処理、陰極処理、浸漬処理
のいずれかの処理を施してめっき層を着色させた金属板
を、クロム酸塩、または重クロム酸塩のいずれかを 5〜
100g/l含む水溶液に、20 %濃度のコロイダルシリカを 5
〜300g/l添加した水溶液中で、1〜10 A/m2の電流密度で
電解処理する。さらに、この上層に無機系あるいは有機
系の表面処理皮膜を形成させる。
し、かつ皮膜の耐疵付き性および耐摩耗性に優れた亜鉛
めっき金属板、または着色亜鉛めっき金属板の製造方法
を提供する。 【構成】 亜鉛めっき後陽極処理、陰極処理、浸漬処理
のいずれかの処理を施してめっき層を着色させた金属板
を、クロム酸塩、または重クロム酸塩のいずれかを 5〜
100g/l含む水溶液に、20 %濃度のコロイダルシリカを 5
〜300g/l添加した水溶液中で、1〜10 A/m2の電流密度で
電解処理する。さらに、この上層に無機系あるいは有機
系の表面処理皮膜を形成させる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐食性および耐疵付き
性に優れた表面処理亜鉛めっき金属板の製造方法に関す
る。より詳しくは、複写機などの内装に用いられる着色
亜鉛めっき金属板上にシリカを含む層を設けることによ
り、耐食性を向上させるとともに、コピー用紙の出し入
れ時におけるコピー用紙の擦過による表面処理皮膜の疵
付き、および摩耗を著しく減少せしめた、表面処理亜鉛
めっき金属板の製造方法に関する。
性に優れた表面処理亜鉛めっき金属板の製造方法に関す
る。より詳しくは、複写機などの内装に用いられる着色
亜鉛めっき金属板上にシリカを含む層を設けることによ
り、耐食性を向上させるとともに、コピー用紙の出し入
れ時におけるコピー用紙の擦過による表面処理皮膜の疵
付き、および摩耗を著しく減少せしめた、表面処理亜鉛
めっき金属板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、金属板の装飾性や光吸収性、吸熱
性、あるいは光の反射防止性を向上させることを目的と
して、めっき金属板のめっき表面を暗色に着色する方法
が試みられている。中でも亜鉛めっきをコバルト、ニッ
ケル、モリブデンなどとの合金亜鉛めっきとして金属板
上に電着させた後、合金めっき用の浴と同一の浴中で陽
極処理する方法(特公昭 61-38276 号公報)、合金亜鉛
を金属板上に電着させた後金属イオンを含む水溶性化合
物を含む水溶液中で陽極処理する方法(特公昭61-60915
号公報)、亜鉛または亜鉛合金めっき鋼板をコバルトイ
オンおよびまたはニッケルイオンと他の塩を含む水溶液
中で陰極処理する方法(特開昭 60-190588号公報)など
の、合金亜鉛を電気めっきした後、電解処理することに
より暗色に着色する方法や、ニッケルめっきまたはニッ
ケル合金めっき鋼板を、硝酸あるいは硝酸を主成分とす
る混酸、あるいは混酸に硝酸塩または硫酸塩を添加した
浴、もしくは次亜塩素酸などの酸化剤を主成分とする浴
中で浸漬処理する方法(特開昭60-121275 号公報)が、
短時間処理で安定した暗色皮膜が得られる方法として行
われている。これらの着色めっき金属板においては、耐
食性および着色表面の美観を向上させることを目的とし
て、亜鉛めっき後、電解処理または浸漬処理してめっき
層を着色させた後の表面に直接、もしくはさらにクロメ
ート処理を施した後、シリカを含有する水溶液を塗布
し、乾燥させてシリカを含有する皮膜を形成させたり、
ニッケルめっき層を着色処理した後クロメート処理皮膜
や燐酸塩処理皮膜を形成させ、さらにその上層として有
機高分子皮膜を形成させている。しかし、これらの着色
めっき金属板は通常の環境で使用する場合には十分な耐
食性を有しているが、高温多湿の環境における使用には
耐食性が不十分であり、かつ複写機などの内装に用いら
れた場合、コピー用紙の出し入れ時に、コピー用紙が着
色めっき金属板上を擦過することによって生じる表面処
理皮膜の疵付き、および摩耗に対する耐久性が必ずしも
十分ではない。
性、あるいは光の反射防止性を向上させることを目的と
して、めっき金属板のめっき表面を暗色に着色する方法
が試みられている。中でも亜鉛めっきをコバルト、ニッ
ケル、モリブデンなどとの合金亜鉛めっきとして金属板
上に電着させた後、合金めっき用の浴と同一の浴中で陽
極処理する方法(特公昭 61-38276 号公報)、合金亜鉛
を金属板上に電着させた後金属イオンを含む水溶性化合
物を含む水溶液中で陽極処理する方法(特公昭61-60915
号公報)、亜鉛または亜鉛合金めっき鋼板をコバルトイ
オンおよびまたはニッケルイオンと他の塩を含む水溶液
中で陰極処理する方法(特開昭 60-190588号公報)など
の、合金亜鉛を電気めっきした後、電解処理することに
より暗色に着色する方法や、ニッケルめっきまたはニッ
ケル合金めっき鋼板を、硝酸あるいは硝酸を主成分とす
る混酸、あるいは混酸に硝酸塩または硫酸塩を添加した
浴、もしくは次亜塩素酸などの酸化剤を主成分とする浴
中で浸漬処理する方法(特開昭60-121275 号公報)が、
短時間処理で安定した暗色皮膜が得られる方法として行
われている。これらの着色めっき金属板においては、耐
食性および着色表面の美観を向上させることを目的とし
て、亜鉛めっき後、電解処理または浸漬処理してめっき
層を着色させた後の表面に直接、もしくはさらにクロメ
ート処理を施した後、シリカを含有する水溶液を塗布
し、乾燥させてシリカを含有する皮膜を形成させたり、
ニッケルめっき層を着色処理した後クロメート処理皮膜
や燐酸塩処理皮膜を形成させ、さらにその上層として有
機高分子皮膜を形成させている。しかし、これらの着色
めっき金属板は通常の環境で使用する場合には十分な耐
食性を有しているが、高温多湿の環境における使用には
耐食性が不十分であり、かつ複写機などの内装に用いら
れた場合、コピー用紙の出し入れ時に、コピー用紙が着
色めっき金属板上を擦過することによって生じる表面処
理皮膜の疵付き、および摩耗に対する耐久性が必ずしも
十分ではない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、高温多湿の
環境においても優れた耐食性を有し、かつ表面が紙など
に擦過される場合の表面処理皮膜の耐疵付き性および耐
摩耗性に優れた着色亜鉛めっき金属板を提供することを
課題とする。
環境においても優れた耐食性を有し、かつ表面が紙など
に擦過される場合の表面処理皮膜の耐疵付き性および耐
摩耗性に優れた着色亜鉛めっき金属板を提供することを
課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、亜鉛めっき
後、電解処理または浸漬処理を施して着色した着色亜鉛
めっき金属板を、クロム酸塩、または重クロム酸塩のい
ずれかを 5〜100g/l含む水溶液に、20 % 濃度のコロイ
ダルシリカを 5〜300g/l添加した水溶液中で、1〜10 A/
m2 の電流密度で電解処理することを特徴とする表面処
理亜鉛めっき金属板の製造方法であり、さらに亜鉛めっ
き後、電解処理または浸漬処理を施して着色した着色亜
鉛めっき金属板を、クロム酸塩、または重クロム酸塩の
いずれかを 5〜100g/l含む水溶液に、20 %濃度のコロイ
ダルシリカを 5〜300g/l添加した水溶液中で、1〜10 A/
m2の電流密度で電解処理した後、表面処理液を塗布し、
乾燥することを特徴とする表面処理亜鉛めっき金属板の
製造方法である。またさらに本発明は、着色亜鉛めっき
金属板を、クロム酸カリウム、クロム酸ナトリウム、ク
ロム酸アンモニウムのいずれかを 5〜100g/l含む水溶液
に、20 %濃度のコロイダルシリカを 5〜300g/l添加した
水溶液中で、1〜10 A/m2の電流密度で電解処理すること
を特徴とする表面処理亜鉛めっき金属板の製造方法であ
る。
後、電解処理または浸漬処理を施して着色した着色亜鉛
めっき金属板を、クロム酸塩、または重クロム酸塩のい
ずれかを 5〜100g/l含む水溶液に、20 % 濃度のコロイ
ダルシリカを 5〜300g/l添加した水溶液中で、1〜10 A/
m2 の電流密度で電解処理することを特徴とする表面処
理亜鉛めっき金属板の製造方法であり、さらに亜鉛めっ
き後、電解処理または浸漬処理を施して着色した着色亜
鉛めっき金属板を、クロム酸塩、または重クロム酸塩の
いずれかを 5〜100g/l含む水溶液に、20 %濃度のコロイ
ダルシリカを 5〜300g/l添加した水溶液中で、1〜10 A/
m2の電流密度で電解処理した後、表面処理液を塗布し、
乾燥することを特徴とする表面処理亜鉛めっき金属板の
製造方法である。またさらに本発明は、着色亜鉛めっき
金属板を、クロム酸カリウム、クロム酸ナトリウム、ク
ロム酸アンモニウムのいずれかを 5〜100g/l含む水溶液
に、20 %濃度のコロイダルシリカを 5〜300g/l添加した
水溶液中で、1〜10 A/m2の電流密度で電解処理すること
を特徴とする表面処理亜鉛めっき金属板の製造方法であ
る。
【0005】
【作用】本発明においては、上記のように、亜鉛めっき
後陽極処理または陰極処理する電解処理、または浸漬処
理を施してしてめっき層を着色させた金属板の表面に電
解クロメート処理を施す際に、クロメート浴にコロイダ
ルシリカを添加して電解処理することにより、高温多湿
の環境において耐食性に優れた皮膜が得られる。さらに
この上層に無機系、または有機系の皮膜を形成させるこ
とにより、耐食性および耐疵付き性に優れた皮膜が得ら
れる。
後陽極処理または陰極処理する電解処理、または浸漬処
理を施してしてめっき層を着色させた金属板の表面に電
解クロメート処理を施す際に、クロメート浴にコロイダ
ルシリカを添加して電解処理することにより、高温多湿
の環境において耐食性に優れた皮膜が得られる。さらに
この上層に無機系、または有機系の皮膜を形成させるこ
とにより、耐食性および耐疵付き性に優れた皮膜が得ら
れる。
【0006】
【実施例】以下、本発明を実施例にて詳細に説明する。
本発明の表面処理亜鉛めっき金属板に用いられる基体金
属板としては、スケールを除去した熱延鋼板、冷延鋼
板、ぶりき、ニッケルめっき鋼板、コバルトめっき鋼
板、ステンレス鋼板などの鋼板の他に、銅板または銅合
金板、アルミニウムまたはアルミニウム合金板などの各
種非鉄金属板が使用可能である。
本発明の表面処理亜鉛めっき金属板に用いられる基体金
属板としては、スケールを除去した熱延鋼板、冷延鋼
板、ぶりき、ニッケルめっき鋼板、コバルトめっき鋼
板、ステンレス鋼板などの鋼板の他に、銅板または銅合
金板、アルミニウムまたはアルミニウム合金板などの各
種非鉄金属板が使用可能である。
【0007】着色亜鉛めっきを得る方法としては特に限
定するものではないが、前述した公知の方法、すなわ
ち、亜鉛をコバルト、ニッケル、モリブデンなどととも
に合金亜鉛として電着させた後、合金めっき用の浴と同
一の浴中で陽極処理する方法、合金亜鉛を電着させた
後、金属イオンを含む水溶性化合物を含む水溶液中で陽
極処理する方法、亜鉛または亜鉛合金めっき後、コバル
トイオンおよびまたはニッケッルイオンと他の塩を含む
水溶液中で陰極処理する方法、亜鉛または亜鉛合金めっ
き後、硝酸あるいは硝酸を主成分とする混酸、あるいは
混酸に硝酸塩または硫酸塩を添加した浴、もしくは次亜
塩素酸などの酸化剤を主成分とする浴中で浸漬処理する
方法などを用い、導電性を有する皮膜を形成させること
が本発明においては好ましい。
定するものではないが、前述した公知の方法、すなわ
ち、亜鉛をコバルト、ニッケル、モリブデンなどととも
に合金亜鉛として電着させた後、合金めっき用の浴と同
一の浴中で陽極処理する方法、合金亜鉛を電着させた
後、金属イオンを含む水溶性化合物を含む水溶液中で陽
極処理する方法、亜鉛または亜鉛合金めっき後、コバル
トイオンおよびまたはニッケッルイオンと他の塩を含む
水溶液中で陰極処理する方法、亜鉛または亜鉛合金めっ
き後、硝酸あるいは硝酸を主成分とする混酸、あるいは
混酸に硝酸塩または硫酸塩を添加した浴、もしくは次亜
塩素酸などの酸化剤を主成分とする浴中で浸漬処理する
方法などを用い、導電性を有する皮膜を形成させること
が本発明においては好ましい。
【0008】次に、上記の着色亜鉛めっき層の上に、シ
リカを含むクロメート浴中で電解処理により、Cr6+を含
むクロム酸化物と水和酸化物、およびシリカからなる層
を形成させることが、本発明の目的とする高温多湿の環
境における優れた耐食性を有する表面処理亜鉛めっき金
属板を得るうえで、極めて重要である。クロメート浴は
クロム酸ナトリウム、クロム酸カリウム、クロム酸アン
モニウムなどのクロム酸塩、または重クロム酸ナトリウ
ム、重クロム酸カリウム、重クロム酸アンモニウムなど
の重クロム酸塩のいずれかを5〜100 g/l含有する水溶液
に、粒径が 5〜50nmの 20 %濃度のコロイダルシリカを5
〜300g/l添加した水溶液であることが好ましく、10〜10
0g/l添加した水溶液であることがより好ましく、さら
に、水溶液中に 20〜75g/l添加されていることが最も好
ましい。このクロメート浴中で常温〜60゜Cで着色亜鉛め
っき金属板を1〜10A/dm2の電流密度で 1〜10秒間陽極処
理または陰極処理などの電解処理を施すことにより、着
色亜鉛めっき層上にCr6+を含むクロム酸化物と水和酸化
物、およびシリカからなる層が形成される。この場合ク
ロム酸塩を含む水溶液中で電解処理することにより、形
成される皮膜においてシリカの量がより多く含まれ、耐
食性に優れた皮膜が得られる。
リカを含むクロメート浴中で電解処理により、Cr6+を含
むクロム酸化物と水和酸化物、およびシリカからなる層
を形成させることが、本発明の目的とする高温多湿の環
境における優れた耐食性を有する表面処理亜鉛めっき金
属板を得るうえで、極めて重要である。クロメート浴は
クロム酸ナトリウム、クロム酸カリウム、クロム酸アン
モニウムなどのクロム酸塩、または重クロム酸ナトリウ
ム、重クロム酸カリウム、重クロム酸アンモニウムなど
の重クロム酸塩のいずれかを5〜100 g/l含有する水溶液
に、粒径が 5〜50nmの 20 %濃度のコロイダルシリカを5
〜300g/l添加した水溶液であることが好ましく、10〜10
0g/l添加した水溶液であることがより好ましく、さら
に、水溶液中に 20〜75g/l添加されていることが最も好
ましい。このクロメート浴中で常温〜60゜Cで着色亜鉛め
っき金属板を1〜10A/dm2の電流密度で 1〜10秒間陽極処
理または陰極処理などの電解処理を施すことにより、着
色亜鉛めっき層上にCr6+を含むクロム酸化物と水和酸化
物、およびシリカからなる層が形成される。この場合ク
ロム酸塩を含む水溶液中で電解処理することにより、形
成される皮膜においてシリカの量がより多く含まれ、耐
食性に優れた皮膜が得られる。
【0009】さらに、上記と同一のクロメート浴を用い
て、着色亜鉛めっき金属板を 1〜10A/dm2の電流密度で1
〜10秒間電解処理してCr6+を含むクロム酸化物と水和酸
化物およびシリカからなる層を形成させた後、その上層
としてシリカを 5〜40%含む無機系または有機系の処理
液を例えば浸漬、スプレー塗装、ロール塗装およびその
他の手段を用い、乾燥後の塗布量がSiとして10〜400mg/
m2となるように塗布した後乾燥させて処理皮膜を形成さ
せることにより、耐食性および耐疵付き性に優れた皮膜
が得られる。この場合、クロメート浴中における処理は
重クロム酸塩、またはクロム酸塩含む水溶液中における
陽極処理、陰極処理のいずれを用いても差し支えない
が、陰極処理を用いると安定したクロメート皮膜が得ら
れるので好ましい。
て、着色亜鉛めっき金属板を 1〜10A/dm2の電流密度で1
〜10秒間電解処理してCr6+を含むクロム酸化物と水和酸
化物およびシリカからなる層を形成させた後、その上層
としてシリカを 5〜40%含む無機系または有機系の処理
液を例えば浸漬、スプレー塗装、ロール塗装およびその
他の手段を用い、乾燥後の塗布量がSiとして10〜400mg/
m2となるように塗布した後乾燥させて処理皮膜を形成さ
せることにより、耐食性および耐疵付き性に優れた皮膜
が得られる。この場合、クロメート浴中における処理は
重クロム酸塩、またはクロム酸塩含む水溶液中における
陽極処理、陰極処理のいずれを用いても差し支えない
が、陰極処理を用いると安定したクロメート皮膜が得ら
れるので好ましい。
【0010】上記のめっき金属板にシリカを含むクロメ
ート浴中で電解処理により、Cr6+を含むクロム酸化物と
水和酸化物、およびシリカからなる層を形成させた後、
その上層として無機系または有機系の処理液を塗布した
後乾燥させて処理皮膜を形成させる方法は、亜鉛めっき
後、電解処理または浸漬処理を施して着色した亜鉛めっ
き層上にのみならず、通常の溶融亜鉛めっき金属板や電
気亜鉛めっき金属板にも適用可能である。すなわち、亜
鉛めっき後、電解処理または浸漬処理を施して着色した
亜鉛めっき層上に適用される上記の方法をそのまま用い
て、溶融亜鉛めっき層や電気亜鉛めっき層に、シリカを
含むクロメート浴中で電解処理、好ましくはクロム酸塩
を含む水溶液中における陰極処理により、Cr6+を含むク
ロム酸化物と水和酸化物、およびシリカからなる層を形
成させた後、その上層として無機系または有機系の処理
液を塗布した後乾燥させて処理皮膜を形成させることに
より、高温多湿の環境における優れた耐食性と優れた耐
疵付き性を有する亜鉛めっき金属板が得られる。
ート浴中で電解処理により、Cr6+を含むクロム酸化物と
水和酸化物、およびシリカからなる層を形成させた後、
その上層として無機系または有機系の処理液を塗布した
後乾燥させて処理皮膜を形成させる方法は、亜鉛めっき
後、電解処理または浸漬処理を施して着色した亜鉛めっ
き層上にのみならず、通常の溶融亜鉛めっき金属板や電
気亜鉛めっき金属板にも適用可能である。すなわち、亜
鉛めっき後、電解処理または浸漬処理を施して着色した
亜鉛めっき層上に適用される上記の方法をそのまま用い
て、溶融亜鉛めっき層や電気亜鉛めっき層に、シリカを
含むクロメート浴中で電解処理、好ましくはクロム酸塩
を含む水溶液中における陰極処理により、Cr6+を含むク
ロム酸化物と水和酸化物、およびシリカからなる層を形
成させた後、その上層として無機系または有機系の処理
液を塗布した後乾燥させて処理皮膜を形成させることに
より、高温多湿の環境における優れた耐食性と優れた耐
疵付き性を有する亜鉛めっき金属板が得られる。
【0011】(実施例)焼鈍および調質圧延を施した冷
延鋼板(板厚0.50mm)をめっき原板とし、アルカリ溶液中
で陰極電解脱脂し、硫酸中で酸洗した後、以下に示す条
件で電気亜鉛めっきを施した。 めっき浴組成 ZnSO4・7H2O 250g/l (NH4)2SO4 15g/l CoSO4・7H2O (Coとして) 8g/l ジシアンジアミド・ホルムアルデヒド 1g/l めっき浴温度 38゜C 電流密度 25A/dm2 めっき量 15g/m2 めっき層を暗色に着色するために、得られたコバルトを
含む亜鉛めっき鋼板を陽極として、さらに以下に示す条
件で電解処理を施した。 [着色処理A] 処理浴組成 ZnSO4・7H2O 80g/l (NH4)2SO4 50g/l 処理浴温度 35゜C 処理電気量 (陽極処理) 90Coulomb/dm2 [着色処理B] 処理浴組成 NiSO4・6H2O (Niとして) 3g/l (NH4)2SO4 5g/l 処理浴温度 40゜C 処理電気量 (陰極処理) 75Coulomb/dm2 [着色処理C] 処理浴組成 CoCl2・6H2O (Coとして) 5g/l NH4Cl 5g/l テルル酸 5g/l 処理浴温度 40゜C 処理電気量 (陰極処理) 140Coulomb/dm2
延鋼板(板厚0.50mm)をめっき原板とし、アルカリ溶液中
で陰極電解脱脂し、硫酸中で酸洗した後、以下に示す条
件で電気亜鉛めっきを施した。 めっき浴組成 ZnSO4・7H2O 250g/l (NH4)2SO4 15g/l CoSO4・7H2O (Coとして) 8g/l ジシアンジアミド・ホルムアルデヒド 1g/l めっき浴温度 38゜C 電流密度 25A/dm2 めっき量 15g/m2 めっき層を暗色に着色するために、得られたコバルトを
含む亜鉛めっき鋼板を陽極として、さらに以下に示す条
件で電解処理を施した。 [着色処理A] 処理浴組成 ZnSO4・7H2O 80g/l (NH4)2SO4 50g/l 処理浴温度 35゜C 処理電気量 (陽極処理) 90Coulomb/dm2 [着色処理B] 処理浴組成 NiSO4・6H2O (Niとして) 3g/l (NH4)2SO4 5g/l 処理浴温度 40゜C 処理電気量 (陰極処理) 75Coulomb/dm2 [着色処理C] 処理浴組成 CoCl2・6H2O (Coとして) 5g/l NH4Cl 5g/l テルル酸 5g/l 処理浴温度 40゜C 処理電気量 (陰極処理) 140Coulomb/dm2
【0012】これらのめっき鋼板上に、表1〜2に示す
組成のクロメート処理皮膜を表1〜2に示す条件で形成
させ、さらに、後処理としてその上層に表3に示す条件
でリチウムシリケートを用いる無機系のケイ酸系処理皮
膜、あるいは表4〜6に示す条件で水性ポリウレタン樹
脂にシリカを添加した水溶液を塗布する処理、アクリル
樹脂にシリカを添加した水溶液を塗布する処理、エチレ
ン−アクリル共重合体にシリカを添加した水溶液を塗布
する処理などの有機系の表面処理皮膜を形成させ、供試
用表面処理亜鉛めっき鋼板とした。表1〜6に供試用表
面処理亜鉛めっき鋼板の作成条件を示す。特性評価につ
いては以下に示す項目について実施し、表7〜9にその
特性評価結果を示す。 (1) 耐食性 試料を90゜折り曲げ試験片に加工し、JIS Z 2371に基づ
く塩水噴霧試験を、クロメート処理のみを施した試料に
ついては24時間、クロメート処理後表面処理を施した試
料については72時間実施し、錆の発生率を目視評価し
た。 評点 ○:錆の発生が認められない。 ×:錆の発生が認められる。 (2) 耐水性 クロメート処理後表面処理を施した試料についてのみ実
施した。試料を90゜折り曲げ試験片に加工し、50℃、95
%の湿潤条件下で 8時間、60℃、50%の乾燥条件下で8
時間放置するサイクルを5サイクル実施し、錆の発生率
を目視評価した。 評点 ○:錆の発生が認められない。 ×:錆の発生が認められる。 (3) 耐疵付き性 クロメート処理後表面処理を施した試料についてのみ実
施した。直径6mmの消しゴム(A.W.FABER-CASTELL社製、N
6-W825R)を用いて、115gの荷重をかけ、摺動速度100mm/
sec、摺動距離70mmで皮膜面を摺動させ、肉眼観察によ
り皮膜に疵が発生した摺動回数で評価した。 評点 ○:200回以上でも疵の発生が認められない。 △:100〜200で疵の発生が認めらる。 ×:100回以下で疵の発生が認めらる。
組成のクロメート処理皮膜を表1〜2に示す条件で形成
させ、さらに、後処理としてその上層に表3に示す条件
でリチウムシリケートを用いる無機系のケイ酸系処理皮
膜、あるいは表4〜6に示す条件で水性ポリウレタン樹
脂にシリカを添加した水溶液を塗布する処理、アクリル
樹脂にシリカを添加した水溶液を塗布する処理、エチレ
ン−アクリル共重合体にシリカを添加した水溶液を塗布
する処理などの有機系の表面処理皮膜を形成させ、供試
用表面処理亜鉛めっき鋼板とした。表1〜6に供試用表
面処理亜鉛めっき鋼板の作成条件を示す。特性評価につ
いては以下に示す項目について実施し、表7〜9にその
特性評価結果を示す。 (1) 耐食性 試料を90゜折り曲げ試験片に加工し、JIS Z 2371に基づ
く塩水噴霧試験を、クロメート処理のみを施した試料に
ついては24時間、クロメート処理後表面処理を施した試
料については72時間実施し、錆の発生率を目視評価し
た。 評点 ○:錆の発生が認められない。 ×:錆の発生が認められる。 (2) 耐水性 クロメート処理後表面処理を施した試料についてのみ実
施した。試料を90゜折り曲げ試験片に加工し、50℃、95
%の湿潤条件下で 8時間、60℃、50%の乾燥条件下で8
時間放置するサイクルを5サイクル実施し、錆の発生率
を目視評価した。 評点 ○:錆の発生が認められない。 ×:錆の発生が認められる。 (3) 耐疵付き性 クロメート処理後表面処理を施した試料についてのみ実
施した。直径6mmの消しゴム(A.W.FABER-CASTELL社製、N
6-W825R)を用いて、115gの荷重をかけ、摺動速度100mm/
sec、摺動距離70mmで皮膜面を摺動させ、肉眼観察によ
り皮膜に疵が発生した摺動回数で評価した。 評点 ○:200回以上でも疵の発生が認められない。 △:100〜200で疵の発生が認めらる。 ×:100回以下で疵の発生が認めらる。
【0013】
【表1】
【0014】
【表2】
【0015】
【表3】 (注) クロメート処理 : 極性以外は試料 No.12〜16 で同一条件で実施; 処理浴 : Na2CrO4 25g/l 電解条件 : 4A/dm2−3sec. コロイタ゛ル シリカ : 20%濃度, pH 10, 25g/l
【0016】
【表4】 (注) クロメート処理 処理浴 : Na2CrO4 25g/l 電解条件 : 4A/dm2−3sec. コロイタ゛ル シリカ : 20%濃度, pH 10, 25g/l
【0017】
【表5】 (注) クロメート処理 処理浴 : Na2CrO4 25g/l 電解条件 : 4A/dm2−3sec. コロイタ゛ル シリカ : 20%濃度, pH 10, 25g/l
【0018】
【表6】 (注) クロメート処理 処理浴 : Na2CrO4 25g/l 電解条件 : 4A/dm2−3sec. コロイタ゛ル シリカ : 20%濃度, pH 10, 25g/l
【0019】
【表7】 (注) クロメート皮膜中Si量 (mg/m2) : 蛍光X線法により測定。
【0020】
【表8】 (注) クロメート皮膜中Si量 (mg/m2) : 蛍光X線法により測定。
【0021】
【表9】 (注) 皮膜中Si量 (mg/m2) : 蛍光X線法により測定。
【0022】表7〜9の実施例に示すように、本発明の
製造方法によるクロメート処理を施した表面処理亜鉛め
っき鋼板は優れた耐食性を示した。また、表7〜9の実
施例に示すように、クロメート処理後さらに無機系、ま
たは有機系の表面処理皮膜を形成させた場合は、耐食性
に加えて、耐水性、耐疵つき性のいずれにおいても良好
な性状を示した。
製造方法によるクロメート処理を施した表面処理亜鉛め
っき鋼板は優れた耐食性を示した。また、表7〜9の実
施例に示すように、クロメート処理後さらに無機系、ま
たは有機系の表面処理皮膜を形成させた場合は、耐食性
に加えて、耐水性、耐疵つき性のいずれにおいても良好
な性状を示した。
【0023】
【発明の効果】本発明の方法による表面処理亜鉛めっき
金属板は、高温多湿の環境においても優れた皮膜の耐食
性を示し、さらにその上層として形成された皮膜は耐水
性、耐疵つき性に優れており、皮膜表面が紙などに擦過
されても脱落することが無い。
金属板は、高温多湿の環境においても優れた皮膜の耐食
性を示し、さらにその上層として形成された皮膜は耐水
性、耐疵つき性に優れており、皮膜表面が紙などに擦過
されても脱落することが無い。
Claims (3)
- 【請求項1】 亜鉛めっき後、電解処理または浸漬処理
を施して着色した着色亜鉛めっき金属板を、クロム酸
塩、または重クロム酸塩のいずれかを 5〜100g/l含む水
溶液に、20 %濃度のコロイダルシリカを 5〜300g/l添加
した水溶液中で、1〜10 A/m2の電流密度で電解処理する
ことを特徴とする表面処理亜鉛めっき金属板の製造方
法。 - 【請求項2】 亜鉛めっき後、電解処理または浸漬処理
を施して着色した着色亜鉛めっき金属板を、クロム酸
塩、または重クロム酸塩のいずれかを 5〜100g/l含む水
溶液に、20 %濃度のコロイダルシリカを 5〜300g/l添加
した水溶液中で、1〜10 A/m2の電流密度で電解処理した
後、表面処理液を塗布し、乾燥することを特徴とする表
面処理亜鉛めっき金属板の製造方法。 - 【請求項3】 着色亜鉛めっき金属板を、クロム酸カリ
ウム、クロム酸ナトリウム、クロム酸アンモニウムのい
ずれかを 5〜100g/l含む水溶液に、20 %濃度のコロイダ
ルシリカを 5〜300g/l添加した水溶液中で、1〜10 A/m2
の電流密度で電解処理することを特徴とする請求項1、
または2記載の表面処理亜鉛めっき金属板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10481595A JPH08277497A (ja) | 1995-04-04 | 1995-04-04 | 表面処理亜鉛めっき金属板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10481595A JPH08277497A (ja) | 1995-04-04 | 1995-04-04 | 表面処理亜鉛めっき金属板の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08277497A true JPH08277497A (ja) | 1996-10-22 |
Family
ID=14390913
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10481595A Pending JPH08277497A (ja) | 1995-04-04 | 1995-04-04 | 表面処理亜鉛めっき金属板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH08277497A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR19990038332A (ko) * | 1997-11-04 | 1999-06-05 | 이구택 | 내식성 및 수지밀착성이 우수한 크로메이트 처리방법 |
-
1995
- 1995-04-04 JP JP10481595A patent/JPH08277497A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR19990038332A (ko) * | 1997-11-04 | 1999-06-05 | 이구택 | 내식성 및 수지밀착성이 우수한 크로메이트 처리방법 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20010313 |