JPH08277226A - 経鼻吸収用生理活性ペプチド組成物 - Google Patents

経鼻吸収用生理活性ペプチド組成物

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JPH08277226A
JPH08277226A JP8022958A JP2295896A JPH08277226A JP H08277226 A JPH08277226 A JP H08277226A JP 8022958 A JP8022958 A JP 8022958A JP 2295896 A JP2295896 A JP 2295896A JP H08277226 A JPH08277226 A JP H08277226A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鼻腔内投与(経鼻投与)に際し、製剤安定性
に優れ、組成物中に含有される有効成分の生体内吸収性
に優れた経鼻吸収用生理活性ペプチド組成物を提供す
る。 【解決手段】 生理活性ペプチドの有効投与量を、平均
粒子径5μm〜2000μmの多孔質結晶化ガラスであ
るキャリヤに均一に分散・付着させた経鼻吸収用生理活
性ペプチド組成物。当該多孔質結晶化ガラスであるキャ
リヤは、重量%でSiO2 :22〜50%、P25
8〜30%、CaO:20〜53%、MgO:1〜16
%、F2 :0.1〜2%、Al23 :0〜9%、B2
3 :0〜5%の組成を有し、アパタイトとウオラスト
ナイトおよびジオプサイドの少なくとも1種以上を析出
し、平均孔径が20〜2000μm、気孔率が66〜9
5体積%であり、三次元網状構造を有する多孔質結晶化
ガラスである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、経鼻吸収用生理活
性ペプチド組成物に関し、詳細にはペプチドホルモン、
生理活性タンパク、酵素タンパク等の生理活性ペプチド
を鼻腔内投与(経鼻投与)するに際し、製剤的安定性に
優れ、かつ体内吸収性に優れた経鼻吸収用生理活性ペプ
チド組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】カルシトニン、インシュリン等をはじめ
とする生理活性ペプチドは、その特異的生理活性を示す
ゆえ、種々の医薬用途として治療の現場で使用されてい
る高分子化合物である。しかしながらこれら生理活性ペ
プチドは、消化管内のプロテアーゼにより分解を受けた
り、高分子量で極性が高いため、そのままでは腸管粘膜
からはほとんど吸収されず、したがって経口投与が困難
であり、これら薬物の投与方法としては注射投与に限ら
れている。ところで、このような投与方法は、患者にと
って注射部位での疼痛を与え、好ましいものではなく、
また通常の間隔で投与を行なう場合には患者に著しい苦
痛を与える。したがって、安全、かつ頻回に投与するた
めには簡便であり、自己投与可能な非注射的投与方法の
開発が望まれている。かかる投与方法のひとつとして、
例えば、カルシトニンについては、フッ化炭化水素を噴
射剤とする粉末懸濁剤の鼻吸入用エアゾール剤が開発さ
れている。さらには、経鼻投与方法として鼻内投与液剤
として鼻内スプレイ剤の開発も検討され、カルシトニン
に吸収促進剤としての界面活性剤を配合した製剤も提案
されている。また最近に至り、カルシトニンを多糖類セ
ルロースに吸着させて、吸収性を向上させた経鼻投与型
粉末剤のいくつかも提案されている。このように最近積
極的に検討が加えられている経鼻投与方法を考えた場
合、投与部位である鼻腔の鼻粘膜固有層には静脈叢が発
達しており、薬物はこの鼻粘膜をとおして吸収され、全
身循環系に入ることより、経口投与が困難な薬物である
生理活性ペプチドの投与方法として優れたものであり、
種々の製剤適用例が提案されてはいるものの、これまで
の製剤例では、薬物の吸収性あるいは局所刺激性の点で
十分なものとはいえず、いまだ実用化に至ったものはな
い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、これまで
経口投与が困難であった生理活性ペプチドについて、吸
収性が良く、また刺激性のない経鼻投与製剤を開発すべ
く検討を加えた。すなわち本発明は、これまでに提案さ
れている経鼻投与製剤に比較し、生体利用能(バイオア
ベイラビリティ)の点で優れた鼻腔内投与組成物を提供
することを課題とする。本発明者は、かかる課題を解決
すべく鋭意検討した結果、カルシトニン、インシュリン
等の生理活性ペプチドを、これまで経鼻投与製剤のキャ
リヤとして検討されていなかった特定のキャリヤに均一
に分散、付着結合させた組成物を、経鼻ルートで投与す
ること、すなわち鼻粘膜に適用することにより、有効な
臨床的治療が可能であることを見いだした。すなわち、
本発明者は、本発明が提案する特殊なキャリヤにカルシ
トニン、インシュリン等の生理活性ペプチドを分散、付
着結合させる技術により、標準的注射投与で得られるの
と同等以上のバイオアベイラビリティが得られることを
見いだし本発明を完成させるに至った。
【0004】
【課題を解決するための手段】しかして本発明は、生理
活性ペプチドの有効投与量を、平均粒子径5μm〜20
00μmの多孔質結晶化ガラスであるキャリヤに均一に
分散・付着させた経鼻吸収用生理活性ペプチド組成物の
提供にある。
【0005】本発明における、生理活性ペプチドを均一
に分散、付着・結合させるキャリヤとしての多孔質結晶
化ガラスは、骨や歯根の欠損部を補填するために用いら
れる人工骨補填材であり、生体組織と一体化しやすく、
その機械的強度が高いものとして広く整形外科領域で使
用されているものではあるが、経鼻投与製剤のキャリヤ
としての適用はこれまでなんら検討されていなかったも
のである。今回、本発明者らによってはじめて経鼻ルー
トでの製剤投与キャリヤとなり得ることが見いだされ
た。すなわち、多孔質結晶化ガラスの多孔質性を利用
し、その平均粒子径が5μm〜2000μmのものは、
キャリヤとしてそこに生理活性ペプタイドを封じ込める
ことにより経鼻製剤とし、鼻腔内に投与すれば、鼻粘膜
よりこれら生理活性ペプチドが効率よく吸収されること
を見いだした。従来検討されている鼻腔内投与製剤にお
けるキャリヤは、有効成分の生体内吸収性のためには水
溶性のキャリヤがよいと考えられ検討されてはいるもの
の、本発明者の知見によれば、必ずしも水溶性のキャリ
ヤが良いものとは認められず、本発明のキャリヤである
多孔質結晶化ガラスの如く水に溶解しないキャリヤに有
効成分を均一に分散、付着・結合させ、経鼻投与しても
良好な結果が得られることが判明した。
【0006】したがって、そのような水に溶解しないキ
ャリヤとしては、本発明で提供する多孔質結晶化ガラス
のみならず、鼻腔内投与において人体に生理的に悪影響
を与えないキャリヤであればどのようなものであっても
よく、多孔質結晶化ガラス以外に例えば、結晶セルロー
ス、α−セルロース、架橋カルボキシメチルセルロース
ナトリウムのような水難溶性のセルロース類;ヒドロキ
シプロピル澱粉、カルボキシメチル澱粉、架橋澱粉、ア
ミロース、アミロペクチン、ペクチン等の水難溶性の澱
粉類;ゼラチン、カゼイン、カゼインナトリウム等の水
難溶性の蛋白類;アラビアゴム、トラガントガム、グル
コマンナン等の水難溶性のガム類;ポリビニルピロリド
ン、架橋ポリアクリル酸およびその塩、架橋ポリビニル
アルコール、ポリヒドロキシエチルメタアクリレート等
の水難溶性の架橋ビニル重合体;アンバーライト(Am
berlite:登録商標)、ダウエックス(Dowe
x:登録商標)、セファデックス(Sephadex:
登録商標)等のイオン交換樹脂;ナイロン、ビニロン等
の各種の合成繊維化合物の微粒子;一般的なプラスチッ
ク微粒子;活性炭等も生理活性ペプチドの鼻腔内投与用
キャリヤとして有効なものである。すなわち、上記した
これらのキャリヤについても、その平均粒子径が5μm
〜2000μmのものにあっては、生理活性ペプチドを
均一に分散・付着させた経鼻吸収用組成物としたとこ
ろ、良好なバイオアベイラビリティーが得られることが
判明した。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明が提供する組成物における
キャリヤとしての多孔質結晶化ガラスは、なかでも、重
量%でSiO2 :22〜50%、P25 :8〜30
%、CaO:20〜53%、MgO:1〜16%、F
2 :0.1〜2%、Al23 :0〜9%、B23
0〜5%の組成を有し、アパタイト(Ca10(PO4
6 O)とウオラストナイト(CaO・SiO2 )および
ジオプサイド(CaO・MgO・2SiO2 )の少なく
とも1種以上を析出し、平均孔径が20〜2000μ
m、気孔率が66〜95体積%であり、三次元網状構造
を有するものである、多孔質結晶化ガラスが良いことが
判明した。そのような多孔質結晶化ガラスは、例えば、
セラボーン(登録商標)なる販売名で市場にでている人
工骨補填材が挙げられる。このような多孔質結晶化ガラ
スを微粉砕化し、その平均粒子径が5μm〜2000μ
mのものは、特に生理活性ペプチドの経鼻吸収用キャリ
ヤとして優れたものであることが判明した。
【0008】一方、上記のキャリヤに均一に分散・付着
結合させる本発明の有効成分である生理活性ペプチドと
しては、ペプチドホルモン、生理活性タンパク、酵素タ
ンパクである。かかる使用可能な生理活性ペプチドとし
ては、例えば、ペプチドホルモン、例えばパラトルモン
(副甲状腺ホルモン)、カルシトニン、インシュリン、
アンギオテンシン、グルカゴン、ガストリン、セクレチ
リン、成長ホルモン、プロラクチン(黄体刺激ホルモ
ン)、ゴナドトロピン(性腺刺激ホルモン)、サイロト
ロピックホルモン、副腎皮質刺激ホルモン、メラニン細
胞刺激ホルモン、バソプレシン、オキシトシン、プロチ
レリン、黄体形成ホルモン、コルチコトロピン、ソマト
ロピン、チロトロピン(甲状腺刺激ホルモン)、ソマト
スタチン(成長ホルモン刺激因子)、視床下部ホルモン
(GnRH)およびその誘導体、G−CSF、エリスロ
ポエチン、スーパーオキサイドジスムターゼ(SOD)
等である。また、インターフェロン、インターロイキ
ン、ウロキナーゼ、リゾチーム、ワクチン等もあげるこ
とができる。これら生理活性ペプチドは、上記したもの
に限定されず、経鼻投与可能なものであれば本発明の組
成物とすることができることはいうまでもない。
【0009】上述の生理活性ペプチドのなかでも、ペプ
チドホルモンが特に好ましく、これらのペプチドホルモ
ンのなかでは、カルシトニン、インシュリン、ソマトス
タチンが望ましく、インシュリン、カルシトニンがとり
わけ好ましい。カルシトニンとしては、サケカルシトニ
ン、ヒトカルシトニン、サケヒトキメラカルシトニン、
ブタカルシトニン、ニワトリカルシトニン、ウシカルシ
トニン、エル(ウナギ)カルシトニン等があげられ、こ
れらのカルシトニンはいずれも天然に存在する、抽出可
能なものであり、市販されている。これらカルシトニン
にあっては、その安定性がエルカルシトニン−ヒトカル
シトニン−サケカルシトニンの順であるといわれている
が、比較的安定性の悪いといわれているサケカルシトニ
ンについてさえも、本発明の特殊なキャリヤに分散、付
着結合させ本発明の組成物とすることにより、例えばバ
イオアベイラビリティおよび血中有効濃度が極めて良好
であることが判明した。したがって、いわゆる市販のカ
ルシトニンは、本発明で使用する生理活性ペプチドとし
て最も適したものである。
【0010】
【特に好ましい発明の実施の形態】したがって、本発明
の最も好ましい具体的態様としては、インシュリンの有
効投与量を、以下のキャリヤ:重量%でSiO2 :22
〜50%、P25 :8〜30%、CaO:20〜53
%、MgO:1〜16%、F2 :0.1〜2%、Al2
3 :0〜9%、B23 :0〜5%の組成を有し、ア
パタイトとウオラストナイトおよびジオプサイドの少な
くとも1種以上を析出し、平均孔径が20〜2000μ
m、気孔率が66〜95体積%であり、三次元網状構造
を有し、その平均粒子径が5μm〜2000μmである
多孔質結晶化ガラスであるキャリヤ;に均一に分散、付
着結合させた経鼻吸収用生理活性ペプチド組成物を提供
することにある。
【0011】さらに、本発明の別の最も好ましい具体的
態様としては、カルシトニンの有効投与量を、以下のキ
ャリヤ:重量%でSiO2 :22〜50%、P25
8〜30%、CaO:20〜53%、MgO:1〜16
%、F2 :0.1〜2%、Al23 :0〜9%、B2
3 :0〜5%の組成を有し、アパタイトとウオラスト
ナイトおよびジオプサイドの少なくとも1種以上を析出
し、平均孔径が20〜2000μm、気孔率が66〜9
5体積%であり、三次元網状構造を有し、その平均粒子
径が5μm〜2000μmである多孔質結晶化ガラスで
あるキャリヤ;に均一に分散、付着結合させた経鼻吸収
用生理活性ペプチド組成物を提供することにある。
【0012】本発明の組成物に含有される生理活性ペプ
チドの有効投与量としての使用量は、選択すべき個々の
活性物質(例えば、カルシトニンであれば、その相対活
性力価、インシュリンであればインシュリン単位)、処
置すべき対象疾患、所望の投与回数、必要とする個々の
治療効果等によって異なる。本発明の組成物を鼻腔内投
与により使用する場合には、例えば、該活性物質を含有
している製剤の治療効果を既知の他の製剤とのバイオア
ベイラビリティとの比較において決定することができ
る。例えばインシュリンを例にとってみれば、糖尿病に
使用する場合には、初期には1回4〜20インシュリン
単位を皮下注射し、維持量としては通常1日4〜100
単位を使用し、極量としては1日800単位とされてい
る。したがって、本発明による組成物を鼻腔投与による
場合には、4〜100単位のインシュリンを用いればよ
い。
【0013】またカルシトニンの場合には、従来カルシ
トニン、例えばサケカルシトニンによる治療を筋肉内注
射により行なう場合、約50ないし100MRC(I
U)単位の個別用量が約1回×日ないし約3回×週の割
合で適用されている。したがって、本発明による組成物
を鼻腔投与による場合には、約50ないし約400MR
C単位、更に好ましくは約100ないし約200MRC
単位の用量を約1回×日ないし約3回×週の割合で投与
して治療するのが適当である。上記用量は1回の適用で
投与すること、すなわち、約50ないし約400MRC
単位、好ましくは約100ないし約200MRC単位の
カルシトニンからなる1回鼻腔内用量の投与で治療を行
なうのが便利である。したがって、本発明の組成物を製
造させる場合において、生理活性ペプチドの含有量は、
たとえば製剤重量100%あたり0.005〜30%、
好ましくは0.01〜20%、より好ましくは0.1〜
5.0%配合させるのが良い。また、本発明の組成物を
構成するキャリヤである多孔質結晶化ガラスの配合量
は、たとえば製剤重量100%あたり70〜99.99
5%、好ましくは80〜99.99%、より好ましくは
95〜99.9%配合させることにより、良好な経鼻吸
収が得られることが判明した。
【0014】本発明の生理活性ペプチド粉末組成物を得
るには、キャリヤである多孔質結晶化ガラスと生理活性
ペプチドとを混合することにより得ることができる。例
えばこの混合は、乳鉢による混合のように、圧力や剪断
力を加えながら行なう。本発明の組成物の製造において
使用するキャリヤである多孔質結晶化ガラスの平均粒子
径5μm〜2000μm、すなわち好ましくは20〜2
50μm、より好ましくは、30〜60μmであるのが
よい。一方、生理活性ペプチドはできるだけ微粉末であ
ることが好ましく、その平均粒子径は、通常20μm以
下、好ましくは10μm以下である。
【0015】かかる本発明の組成物を用いて鼻腔内投与
生理活性ペプチド組成物とするには、例えば以下のよう
にして製造することができる。すなわち、生理活性ペプ
チドとしてサケカルシトニンあるいはエルカルシトニン
を使用した場合、カルシトニンの有効量を、カルシトニ
ンの安定化剤としてゼラチンを例えば1%、およびアス
パラギン酸を例えば0.1〜0.5%、好ましくは0.
38%程度含有するpH4.5〜5.5の水溶液と混合
しこの混合液を凍結乾燥する。次いで、この凍結乾燥粉
末を、本発明のキャリヤである平均粒子径5μm〜20
00μmの多孔質結晶化ガラスとを順次2ないし3回程
度に分けて、練合湿度55%程度にて練合し、目的とす
るキャリヤに生理活性ペプチドが均質に付着結合した微
粉末(鼻腔内投与組成物)を得る。かくして得られた鼻
腔内投与組成物は、使用前(例えば、鼻腔内への投与
前)の活性物質の損失を防止するため、low−gre
aseタイプのカプセルに充填をした後、適当な包装、
好ましくは密閉包装とする。かかる密閉包装としては、
ブリスター包装−アルミニウム包装を組み合わせるのが
良い。なお、他の生理活性ペプチド(例えばインシュリ
ン)についても同様の処理を行なうことによりそれぞれ
目的とする組成物とすることができる。
【0016】
【実施例】以下に、本発明の経鼻吸収用組成物の特異的
効果を試験例にて示す。
【0017】
【試験例】
試験例1:生理活性ペプチドとしてインシュリンを選
び、キャリヤとして多孔質結晶化ガラスであるセラボー
ン(登録商標)を微粉砕したものを用いた。インシュリ
ンの含有量としては2.4mg/動物(5インシュリン
単位(IU)/動物)の組成物となる本発明の鼻腔内投
与組成物を調製した。なお、キャリヤとしてのセラボー
ンは、その粒子径が40〜45μmのものを使用した。
雄性ニュージーランドラビットを1群6羽用い、上記の
組成物を経鼻投与(単回)し、投与後0時間、15、3
0、60、120および180分における平均血糖値の
低下を測定した。投与後0時間の血糖値を100%と
し、各測定時における血糖値の低下を百分率で求めた。
なお対象群として、インシュリン2IU/動物量の皮下
注射を行い、投与後0時間、1、2、4、6時間後の血
糖値の低下を同様測定した。その結果を表1にまとめ
た。
【0018】
【表1】
【0019】表中の結果から、キャリヤとしての多孔質
結晶化ガラスの使用は、経鼻吸収によりインシュリンの
血中への吸収性に優れ、その結果有意に血中グルコース
(血糖値)を低下させていることが判明する。
【0020】試験例2:生理活性ペプチドとしてサケカ
ルシトニンを選び、キャリヤとして多孔質結晶化ガラス
であるセラボーン(登録商標)を選び、本発明の経鼻吸
収用組成物を用いた。サケカルシトニンの含有量として
は200MRC(IU)/25mg)の組成物となるよ
うに本発明の鼻腔内投与組成物を調製した。なお、キャ
リヤとしてのセラボーンは、微粉砕化し、その平均粒子
径が40〜45μmのものを用いた。正常人男性3名を
対象として、上記の組成物を経鼻投与(単回)し、血液
資料を2.5mlづつ、0時間、5、10、15、2
0、30、45、60、90分、2時間、3時間ごとに
採血し、標準RIAキットを使用してサケカルシトニン
の血中濃度の測定を行なった。その結果を表2にまとめ
た。
【0021】
【表2】
【0022】表中の結果からも明らかなように、キャリ
ヤとしての多孔質結晶化ガラス(セラボーン:登録商
標)の使用は、経鼻吸収によりサケカルシトニンの血中
への吸収が優れていることが判明する。
【0023】以下に本発明の組成物の例を示す。 粉末組成物1:サケカルシトニン(エルカルシトニンも
同様に製造される)3mg/3,000〜3,500M
RCを1%ゼラチンおよび安定化剤として0.38%の
アスパラギン酸を含有するpH4.5〜5.5の水溶液
に溶解し、凍結乾燥する。ついで、得られた凍結乾燥粉
末品を、メノウ乳鉢を用いて、多孔質結晶化ガラス20
0mgと10分間混合する。この混合物に多孔質結晶化
ガラス300mgを加えて、湿度55%にて20分間混
合し、さらに多孔質結晶化ガラス497mgを加えて、
湿度55%にて30分間混合し、本発明の粉末組成物
1,000mgを得た。なお、多孔質結晶化ガラスとし
ては、セラボーンの微粉砕物であって、その平均粒子径
は50μmのものを用いた。
【0024】粉末組成物2:インシュリンを200単位
とし、メノウ乳鉢を用いて、多孔質結晶化ガラス200
mgと10分間混合する。この混合物に多孔質結晶化ガ
ラス300mgを加えて、湿度55%にて20分間混合
し、さらに多孔質結晶化ガラス497mgを加えて、湿
度55%にて30分間混合し、本発明の粉末組成物1,
000mgを得た。この場合の多孔質結晶化ガラスも、
セラボーンを微粉砕したものでその平均粒子径も、50
μmである。
【0025】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、これま
で経口投与が困難であった生理活性ペプチドについて、
経鼻投与により吸収性が良く、また刺激性のない製剤と
なる経鼻吸収薬物用組成物が提供される。特に、カルシ
トニン、インシュリン等の生理活性ペプチドを、特定な
キャリヤである平均粒子径5μm〜2000μm、好ま
しくは20μm〜250μm、より好ましくは30μm
〜60μmの多孔質結晶化ガラスに分散させた本発明の
粉末組成物は、経鼻ルートで投与すること、すなわち鼻
粘膜に適用することにより、そのペプチド性体内吸収性
が良く、有効な臨床的治療が可能であることが示唆され
る。すなわち上記した試験例の結果からも判明するよう
に、本発明のカルシトニン、インシュリン等の組成物は
経鼻投与することにより、従来の静脈内投与と同等また
はそれ以上の生体内吸収性を示し、有効に経鼻吸収され
ていることが判明する。したがって、その医療効果は多
大なものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 38/43 A61K 37/26 47/02 37/30 37/48

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生理活性ペプチドの有効投与量を、平均
    粒子径5μm〜2000μmの多孔質結晶化ガラスであ
    るキャリヤに均一に分散・付着させた経鼻吸収用生理活
    性ペプチド組成物。
  2. 【請求項2】 多孔質結晶化ガラスであるキャリヤが、
    重量%でSiO2 :22〜50%、P25 :8〜30
    %、CaO:20〜53%、MgO:1〜16%、F
    2 :0.1〜2%、Al23 :0〜9%、B23
    0〜5%の組成を有し、アパタイトとウオラストナイト
    およびジオプサイドの少なくとも1種以上を析出し、平
    均孔径が20〜2000μm、気孔率が66〜95体積
    %であり、三次元網状構造を有するものである、請求項
    1記載の経鼻吸収用生理活性ペプチド組成物。
  3. 【請求項3】 生理活性ペプチドの有効投与量を、以下
    のキャリヤ:重量%でSiO2 :22〜50%、P2
    5 :8〜30%、CaO:20〜53%、MgO:1〜
    16%、F2 :0.1〜2%、Al23 :0〜9%、
    23 :0〜5%の組成を有し、アパタイトとウオラ
    ストナイトおよびジオプサイドの少なくとも1種以上を
    析出し、平均孔径が20〜2000μm、気孔率が66
    〜95体積%であり、三次元網状構造を有し、その平均
    粒子径が5μm〜2000μmある多孔質結晶化ガラス
    であるキャリヤ;に均一に分散、付着結合させた経鼻吸
    収用生理活性ペプチド組成物。
  4. 【請求項4】 生理活性ペプチドが、ペプチドホルモ
    ン、生理活性タンパク、酵素タンパクである、請求項1
    記載の経鼻吸収用生理活性ペプチド組成物。
  5. 【請求項5】 ペプチドホルモンが、カルシトニンまた
    はインシュリンである、請求項1記載の経鼻吸収用生理
    活性ペプチド組成物。
  6. 【請求項6】 カルシトニンを、以下のキャリヤ:重量
    %でSiO2 :22〜50%、P25 :8〜30%、
    CaO:20〜53%、MgO:1〜16%、F2
    0.1〜2%、Al23 :0〜9%、B23 :0〜
    5%の組成を有し、アパタイトとウオラストナイトおよ
    びジオプサイドの少なくとも1種以上を析出し、平均孔
    径が20〜2000μm、気孔率が66〜95体積%で
    あり、三次元網状構造を有し、その平均粒子径が5μm
    〜2000μmである多孔質結晶化ガラスであるキャリ
    ヤ;に均一に分散、付着結合させた経鼻吸収用生理活性
    ペプチド組成物。
  7. 【請求項7】 インシュリンを、以下のキャリヤ:重量
    %でSiO2 :22〜50%、P25 :8〜30%、
    CaO:20〜53%、MgO:1〜16%、F2
    0.1〜2%、Al23 :0〜9%、B23 :0〜
    5%の組成を有し、アパタイトとウオラストナイトおよ
    びジオプサイドの少なくとも1種以上を析出し、平均孔
    径が20〜2000μm、気孔率が66〜95体積%で
    あり、三次元網状構造を有し、その平均粒子径が5μm
    〜2000μmである多孔質結晶化ガラスであるキャリ
    ヤ;に均一に分散、付着結合させた経鼻吸収用生理活性
    ペプチド組成物。
  8. 【請求項8】 生理活性ペプチドの有効投与量を、平均
    粒子径5μm〜2000μmのイオン交換樹脂であるキ
    ャリヤに均一に分散・付着させた経鼻吸収用生理活性ペ
    プチド組成物。
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