JPH06199681A - 生理活性ペプチド組成物 - Google Patents

生理活性ペプチド組成物

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JPH06199681A
JPH06199681A JP5248702A JP24870293A JPH06199681A JP H06199681 A JPH06199681 A JP H06199681A JP 5248702 A JP5248702 A JP 5248702A JP 24870293 A JP24870293 A JP 24870293A JP H06199681 A JPH06199681 A JP H06199681A
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JP
Japan
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physiologically active
calcitonin
active peptide
peptide composition
composition
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JP5248702A
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English (en)
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Akira Yanagawa
明 柳川
Noriyuki Sasaki
則幸 佐々木
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DOTSUTO KK
Original Assignee
DOTSUTO KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 生理活性ペプチドを特殊なキャリヤに均一に
分散、付着結合させた生理活性ペルチド組成物を提供す
る。 【構成】 生理活性ペプチドの有効投与量を、アルギン
酸プロピレングリコールエステルおよびヒアルロン酸ブ
チレングリコールエステルから選択される少なくとも一
種である高分子多糖セルロース脂肪酸エステルからなる
キャリヤに均一に分散、付着結合してなる生理活性ペプ
チド組成物。かかる組成物は、経鼻投与粉末組成物とし
て使用される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、生理活性ペプチド組成
物に関し、特にペプチドホルモン、生理活性タンパク、
酵素タンパク等の生理活性ペプチド組成物に係り、詳細
には、例えば鼻腔内投与(経鼻投与)に際し、製剤的安
定性に優れ、かつ体内吸収性に優れた生理活性ペプチド
組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】カルシトニン、インシュリン等をはじめ
とする生理活性ペプチドは、その特異的生理活性を示す
ゆえ、種々の医薬用途として治療の現場で使用されてい
る高分子化合物である。しかしながらこれら生理活性ペ
プチドは、消化管内のプロテアーゼにより分解を受けた
り、高分子量で極性が高いため、そのままでは腸管粘膜
からはほとんど吸収されず、したがって経口投与が困難
であり、これら薬物の投与方法としては注射投与に限ら
れている。ところで、このような投与方法は、患者にと
って注射部位での疼痛を与え、好ましいものではなく、
また通常の間隔で投与を行なう場合には患者に著しい苦
痛を与える。したがって、安全、かつ頻回に投与するた
めには簡便であり、自己投与可能な非注射的投与方法の
開発が望まれている。かかる投与方法のひとつとして、
例えば、カルシトニンについては、フッ化炭化水素を噴
射剤とする粉末懸濁剤の鼻吸入用エアゾール剤が開発さ
れている。さらには、経鼻投与方法として鼻内投与液剤
として鼻内スプレイ剤の開発も検討され、カルシトニン
に吸収促進剤としての界面活性剤を配合した製剤も提案
されている。また最近に至り、カルシトニンを多糖類セ
ルロースに吸着させて、吸収性を向上させた経鼻投与型
粉末剤のいくつかも提案されている。このように最近積
極的に検討が加えられている経鼻投与方法を考えた場
合、投与部位である鼻腔の鼻粘膜固有層には静脈叢が発
達しており、薬物はこの鼻粘膜をとおして吸収され、全
身循環系に入ることより、経口投与が困難な薬物である
生理活性ペプチドの投与方法として優れたものであり、
種々の製剤適用例が提案されてはいるものの、これまで
の製剤例では、薬物の吸収性あるいは局所刺激性の点で
十分なものとはいえず、いまだ実用化に至ったものはな
い。
【0003】
【発明が解決しようとする問題点】本発明者らは、これ
まで経口投与が困難であった生理活性ペプチドについ
て、吸収性が良く、また刺激性のない経鼻投与製剤を開
発すべく検討を加えた。すなわち本発明は、これまでに
提案されている経鼻投与製剤に比較し、生体利用能(バ
イオアベイラビリティ)の点で優れた鼻腔内投与組成物
を提供することを課題とする。本発明者らは、かかる課
題を解決すべく鋭意検討した結果、カルシトニン、イン
シュリン等の生理活性ペプチドを、これまで経鼻投与製
剤のキャリヤとして検討されていなかった特定のキャリ
ヤに均一に分散、付着結合させた組成物を、経鼻ルート
で投与すること、すなわち鼻粘膜に適用することによ
り、有効な臨床的治療が可能であることを見いだした。
すなわち、本発明者らは、本発明が提案する特殊なキャ
リヤにカルシトニン等の生理活性ペプチドを分散、付着
結合させる技術により、標準的注射投与で得られるのと
同等以上のバイオアベイラビリティが得られることを見
いだし本発明を完成させるに至った。また本発明者ら
は、本発明の組成物に用いる特殊なキャリヤが単に生理
活性ペプチドの経鼻投与製剤キャリヤとして作用するば
かりでなく、該生理活性ペプチド自体の生体内への吸収
促進効果が特に顕著であることを新規に見いだし、本発
明を完成させるに至った。
【0004】
【課題を解決するための手段】しかして本発明によれ
ば、生理活性ペプチドの有効投与量を、アルギン酸プロ
ピレングリコールエスエテルおよびヒアルロン酸ブチレ
ングリコールエステルから選択される少なくとも一種で
ある高分子多糖セルロース多価アルコール脂肪酸エステ
ルからなるキャリヤに均一に分散、付着結合してなる生
理活性ペプチド組成物が提供される。すなわち、本発明
の第一の目的は、鼻腔内投与可能な生理活性ペプチド組
成物の提供にあり、具体的には、生理活性ペプチドの有
効投与量を、アルギン酸プロピレングリコールエスエテ
ルまたはヒアルロン酸ブチレングリコールエステルに均
一に分散、付着結合してなる、鼻腔内投与生理活性ペプ
チド組成物が提供され、かかる組成物は粉末製剤として
好ましく提供される。さらに本発明の第二の目的は、生
理活性ペプチドの生体内への吸収性を向上させる吸収促
進剤を含有する生理活性ペプチド組成物の提供にあり、
具体的には、吸収促進剤としてアルギン酸プロピレング
リコールエスエテルまたはヒアルロン酸ブチレングリコ
ールエステルから選択される少なくとも一種である高分
子多糖セルロース多価アルコール脂肪酸エステルを含有
してなる組成物が提供され、かかる組成物は、鼻腔内投
与水溶液として、あるいは直腸投与製剤として適用され
る。
【0005】本発明における、生理活性ペプチドを均一
に分散、付着・結合させるキャリヤとしての高分子多糖
セルロース多価アルコール脂肪酸エステル、すなわち、
アルギン酸プロピレングリコールエスエテルまたはヒア
ルロン酸ブチレングリコールエステルは、これまで医薬
品の乳化剤、増粘剤等として使用されていたものである
が、経鼻投与製剤のキャリヤとしての適用はこれまでな
んら検討されていなかったものである。今回、本発明者
らによってはじめて経鼻ルートでの製剤投与キャリヤと
なり得ることが見いだされた。その中でもアルギン酸プ
ロピレングリコールエステルは、キミロイド(KIMI
LOIDO)として市販されているものであり、本発明
の組成物としての使用される鼻腔内投与キャリヤとして
特に優れたものである。さらに本発明者らは、本発明の
組成物に用いる特殊なキャリヤが単に生理活性ペプチド
の鼻腔内投与キャリヤとして作用するばかりでなく、該
生理活性ペプチド自体の生体内吸収促進効果があること
を新規に見いだした。したがって、本発明の別の好まし
い目的は、生理活性ペプチドの有効投与量を、吸収促進
剤であるアルギン酸プロピレングリコールエステルまた
はヒアルロン酸ブチレングリコールエステルと共に配合
してなる生理活性ペプチド組成物を提供することにあ
り、より具体的な態様としては、該組成物を水溶液製剤
として鼻腔内投与するか、あるいは直腸投与製剤として
使用することにある。
【0006】
【作用】本発明の有効成分である生理活性ペプチドとし
ては、ペプチドホルモン、生理活性タンパク、酵素タン
パク等である。かかる使用可能な生理活性ペプチドとし
ては、例えば、ペプチドホルモン、例えばパラトルモン
(副甲状腺ホルモン)、カルシトニン、インシュリン、
アンギオテンシン、グルカゴン、ガストリン、セクレチ
リン、成長ホルモン、プロラクチン(黄体刺激ホルモ
ン)、ゴナドトロピン(性腺刺激ホルモン)、サイロト
ロピックホルモン、副腎皮質刺激ホルモン、メラニン細
胞刺激ホルモン、バソプレシン、オキシトシン、プロチ
レリン、黄体形成ホルモン放出ホルモン、コルチコトロ
ピン、ソマトロピン、チロトロピン(甲状腺刺激ホルモ
ン)、ソマトスタチン(成長ホルモン抑制因子)等であ
る。生理活性タンパクの例は、インターフェロン、イン
ターロイキン、G−CSF、エリスロポエチン、スーパ
ーオキサイドジスムターゼ(SOD)等である。酸素タ
ンパクの例は、ウロキナーゼ、リゾチーム等である。ま
た、ワクチン等もあげられる。これら生理活性ペプチド
は、上記したものに限定されず、経鼻投与可能なもので
あれば本発明の組成物とすることができることはいうま
でもない。上述の生理活性ペプチドのなかでも、ペプチ
ドホルモンが特に好ましく、これらのペプチドホルモン
のなかでは、カルシトニン、インシュリン、ソマトスタ
チンが望ましく、カルシトニンがとりわけ好ましい。こ
のカルシトニンとしては、サケカルシトニン、ヒトカル
シトニン、ブタカルシトニン、ニワトリカルシトニン、
ウシカルシトニン、エル(ウナギ)カルシトニン等があ
げられ、これらのカルシトニンはいずれも天然に存在す
る、抽出可能なものであり、市販されている。これらカ
ルシトニンにあっては、その安定性がエルカルシトニン
−ヒトカルシトニン−サケカルシトニンの順であるとい
われているが、比較的安定性の悪いといわれているサケ
カルシトニンについてさえも、本発明の特殊なキャリヤ
に分散、付着結合させ本発明の組成物とすることによ
り、例えばバイオアベイラビリティおよび血中有効濃度
が極めて良好であることが判明した。したがって、いわ
ゆる市販のカルシトニンは、本発明で使用する生理活性
ペプチドとして最も適したものである。したがって、本
発明の最も好ましい具体的態様としては、カルシトニン
の有効投与量を、アルギン酸プロピレングリコールエス
テルあるいはヒアルロン酸ブチレングリコールエステル
であるキャリヤに均一に分散、付着結合してなる生理活
性ペプチド粉末組成物を提供することにあり、該組成物
を鼻腔内投与組成物として使用することにある。
【0007】本発明の組成物に含有される生理活性ペプ
チドの有効投与量としての使用量は、選択すべき個々の
活性物質(例えば、カルシトニンであれば、その相対活
性力価)、処置すべき対象疾患、所望の投与回数、必要
とする個々の治療効果等によって異なる。本発明の組成
物を鼻腔内投与により使用する場合には、例えば、該活
性物質を含有している既知の他の製剤とのバイオアベイ
ラビリティとの比較において決定することができる。例
えば、カルシトニンを例にとってみれば、従来カルシト
ニン、例えばサケカルシトニンによる治療を、筋肉内注
射により行なう場合、約50ないし100MRC(I
U)単位の個別用量が約1回×日ないし約3回×週の割
合で適用されている。したがって、本発明による組成物
を鼻腔投与による場合には、約50ないし約400MR
C単位、更に好ましくは約100ないし約200MRC
単位の用量を約1回×日ないし約3回×週の割合で投与
して治療するのが適当である。上記用量は1回の適用で
投与すること、すなわち、約50ないし約400MRC
単位、好ましくは約100ないし約200MRC単位の
カルシトニンからなる1回鼻腔内用量の投与で治療を行
なうのが便利である。したがって、本発明の組成物を製
造させる場合において、生理活性ペプチドの含有量は、
たとえば製剤重量100%あたり0.005〜30%、
好ましくは0.01〜20%、より好ましくは0.1〜
5.0%配合させるのが良い。また、本発明の組成物を
構成する特定のキャリヤである高分子多糖セルロース多
価アルコール脂肪酸エステルであるアルギン酸プロピレ
ングリコールエステルあるいはヒアルロン酸ブチレング
リコールエステルの配合量は、たとえば製剤重量100
%あたり70〜99.995%、好ましくは80〜9
9.99%、より好ましくは95〜99.9%配合させ
ることにより、良好な経鼻吸収が得られることが判明し
た。一方、本発明の高分子多糖セルロース多価アルコー
ル脂肪酸エステルであるアルギン酸プロピレングリコー
ルエステルあるいはヒアルロン酸ブチレングリコールエ
ステルを吸収促進剤として使用する経鼻投与水溶液を得
る場合には、カルシトニンを例にとってみれば、例えば
前記したカルシトニンの有効投与量を、例えばpH4.
5〜5.5、好ましくはpH5.0程度の水溶液とし、
そこにカルシトニンの安定化剤としてゼラチンを例えば
1%程度、およびアスパラギン酸を例えば0.1〜1
%、好ましくは0.2〜0.4%程度加え、更に吸収促
進剤として本発明のアルギン酸プロピレングリコールエ
ステルあるいはヒアルロン酸ブチレングリコールエステ
ルを加えれば良い。この場合の本発明の吸収促進剤であ
るアルギン酸プロピレングリコールエステルあるいはヒ
アルロン酸ブチレングリコールエステルの配合量は、例
えば水溶液製剤の製剤重量に対し、0.01〜20%、
好ましくは0.1〜10%、より好ましくは0.5〜
5.0%である。
【0008】本発明の生理活性ペプチド粉末組成物を得
るには、キャリヤである高分子多糖セルロース多価アル
コール脂肪酸エステルと生理活性ペプチドとを混合する
ことにより得ることができる。例えばこの混合は、乳鉢
による混合のように、圧力や剪断力を加えながら行な
う。本発明の組成物の製造において使用するキャリヤで
ある高分子多糖セルロース多価アルコール脂肪酸エステ
ルの平均粒子径は20〜250μm、好ましくは、30
〜60μmである。一方、生理活性ペプチドはできるだ
け微粉末であることが好ましく、その平均粒子径は、通
常20μm以下、好ましくは10μm以下である。かか
る本発明の組成物を用いて鼻腔内投与生理活性ペプチド
組成物とするには、例えば以下のようにして製造するこ
とができる。すなわち、生理活性ペプチドとしてサケカ
ルシトニンあるいはエルカルシトニンを使用した場合、
カルシトニンの有効量を、カルシトニンの安定化剤とし
てゼラチンを例えば1%およびアスパラギン酸を例えば
0.1〜0.5%,好ましくは0.38%程度含有する
pH4.5〜5.5の水溶液と混合しこの混合液を凍結
乾燥する。次いで、この凍結乾燥粉末を、本発明の特定
キャリヤである高分子多糖セルロース多価アルコール脂
肪酸エステルとしてのアルギン酸プロピレングリコール
エステルとを順次2ないし3回程度に分けて、連合湿度
55%程度にて練合し、目的とするキャリヤに生理活性
ペプチドが均質に付着結合した微粉末(鼻腔内投与組成
物)を得る。かくして得られた鼻腔内投与組成物は、使
用前(例えば、鼻腔内への投与前)の活性物質の損失を
防止するため、low−greaseタイプのカプセル
に充填をした後、適当な包装、好ましくは密閉包装とす
る。かかる密閉包装としては、ブリスター包装−アルミ
ニウム包装を組み合わせるのが良い。なお、他の生理活
性ペプチドならびにヒアルロン酸ブチレングリコールエ
ステルについても同様の処理を行なうことによりそれぞ
れ目的とする組成物とすることができる。また、均質湿
度として55%前後が好ましいことが、製剤例検討試験
の結果から判明したが、この点は後記する。
【0009】以下に、本発明の組成物の特異的効果を試
験例にて示す。
【試験例】
試験例1:キャリヤとしてアルギン酸プロピレングリコ
ールエステルを使用し、生理活性ペプチドとしてサケカ
ルシトニンを選び、その含有量としては200MRC
(IU)/25mg組成物の割合となる本発明の鼻腔内
投与組成物を用いた。正常人男子6名を対象とし、上記
の組成物を経鼻投与(単回)し、血液試料を2.5ml
づつを、0時間、5、10、20、30、45、60、
90分、2時間、3時間、5時間毎にヘパリンLi塩上
に採血し、標準RIA検定キットを使用してサケカルシ
トニンの血中濃度の測定を行なった。その結果からの薬
物動態力学的パラメータを表1にまとめた。
【0010】
【表1】
【0011】表中の結果から明らかなように、キャリヤ
としてはアルギン酸プロピレングリコールエステルの使
用は、経鼻投与によりカルシトニンの血中への吸収が優
れたものであることを示しており、特にアルギン酸プロ
ピレングリコールエステルは、カルシトニンの吸収に効
果的であることが判明する。
【0012】試験例2:キャリヤとしてヒアルロン酸ブ
チレングリコールエステルを使用し、生理活性ペプチド
としてサケカルシトニンを選び、その含有量としては2
00MRC(IU)/25mg組成物の割合となる本発
明の鼻腔内投与粉末組成物を用いた。正常人男子6名を
対象とし、上記の組成物25mgを経鼻投与(単回)
し、投与前、投与後、5、10、15、20、30、4
5、60、90分、2時間、3時間、5時間毎における
サケカルシトニンの血中濃度の測定を、標準RIA検定
キットを用い行なった。その結果を表2にまとめた。
【0013】
【表2】
【0014】表中の結果から明らかなように、キャリヤ
としてはヒアルロン酸ブチレングリコールエステルの使
用にあっても、本発明の粉末組成物は、経鼻投与するこ
とによりカルシトニンの血中への吸収が優れたものであ
ることを示している。この結果から、ヒアルロン酸ブチ
レングリコールエステルは、カルシトニンの吸収に効果
的であることが判明する。
【0015】試験例3:吸収促進剤としてヒアルロン酸
ブチレングリコールエステルを使用し、生理活性ペプチ
ドとしてサケカルシトニンを選び、その含有量としては
400MRC(IU)/10mlの割合となる本発明の
鼻腔内投与水溶液組成物を用いた。本水溶液は、以下の
ように製造した。精製水100ml中に、塩酸を加えp
H5.0に調整し、その中にサケカルシトニン、塩化ベ
ンザルコニウム0.01%、ゼラチン1%、アスパラギ
ン酸0.38%、ヒアルロン酸ブチレングリコールエス
テル2%を加え、混合し、目的とする水溶液組成物を得
た。正常人男子6名を対象とし、上記の水溶液組成物1
0mlを経鼻投与(単回)し、投与前、投与後、5、1
0、15、20、30、45、60、90分、2時間、
3時間、5時間毎におけるサケカルシトニンの血中濃度
の測定を、標準RIA検定キットを用い行なった。その
結果を表3にまとめた。
【0016】
【表3】
【0017】表中の結果から明らかなように、アルギン
酸プロピレングリコールエステルは吸収促進効果が優れ
たものであって、かかる吸収促進剤を含有する本発明の
水溶液は、経鼻投与することによりカルシトニンの血中
への吸収が優れたものであることを示している。この結
果から、アルギン酸プロピレングリコールエステルは、
カルシトニンの吸収に効果的であることが判明する。な
お、ヒアルロン酸ブチレングリコールエステルも同様の
効果を示した。
【0018】次に本発明の組成物の製剤的試験例の結果
を示す。 製剤的試験例1:キャリヤに対するサケカルシトニンの
付着効果 表4に示すキャリヤ(平均粒子径:約40μm)200
mgに、サケカルシトニン(5500MRC(IU)/
mg)の粉末を温度4℃にてメノウ乳鉢を使用して混合
した。次に、このようにして得られた粉末混合物から、
キャリヤ粒子に付着されなかったサケカルシトニンを分
離、除去し、サケカルシトニンが付着した混合物を得
た。次にかくして得られた混合物について、付着したサ
ケカルシトニンの量を測定した。その結果を表4に示
す。
【0019】
【表4】 表中の結果より、キャリヤとして、アルギン酸プロピレ
ングリコールエステルにカルシトニンの付着効果が良い
ことが判明する。
【0020】製剤的試験例2:キャリヤとしてアルギン
酸プロピレングリコールエステルを使用した本発明組成
物の安定性 上記試験の結果より、キャリヤとしてはアルギン酸プロ
ピレングリコールエステルが良いことが判明したが、か
かるアルギン酸プロピレングリコールエステルをキャリ
ヤとして使用した本発明の組成物の安定性試験を行なっ
た。サケカルシトニンを1%ゼラチン、0.38%アス
パラギン酸を含有するpH5.0の水溶液と混合し、凍
結乾燥する。次いでこの凍結乾燥品を用い、キャリヤと
してのアルギン酸プロピレングリコールエステル1gと
を均質混合条件として、室温5、25、40℃、湿度2
5、55、65%のもとに均一に混合し、本発明の組成
物を得た。なお、キャリヤとしてのアルギン酸プロピレ
ングリコールエステルはその粒子径がそれぞれ30〜6
0μmのものを使用した。かくして得られた組成物をガ
ラス瓶に入れ密封した後、6か月間放置し、経時的にサ
ケカルシトニンの残存量(%)を求めた。その結果を表
5に示す。
【0021】
【表5】 以上の結果から見れば、本発明の組成物を製造するに当
たっては、キャリヤの粒子径はある程度細かく、また均
質湿度は温度にもよるが、40ないし60%の湿度のも
とで混合して良好な安定性が得られることが判明した。
【0022】以下に本発明の組成物の例を示す。 粉末組成物:サケカルシトニン(エルカルシトニンも同
様に製造される)3mg/3,000〜3,500MR
Cを1%ゼラチンおよび安定化剤として0.38%のア
スパラギン酸を含有するpH4.5〜5.5の水溶液に
溶解し、凍結乾燥する。ついで、得られた凍結乾燥粉末
品を、メノウ乳鉢を用いて、アルギン酸プロピレングリ
コールエステル200mgと10分間混合する。この混
合物にアルギン酸プロピレングリコールエステル300
mgを加え、湿度55%にて20分間混合し、さらにア
ルギン酸プロピレングリコールエステル497mgを加
え、湿度55%にて30分間混合し、本発明の粉末組成
物1,000mgを得た。
【0023】水溶液組成物:精製水100ml中に、塩
酸を加えpH5.0に調整し、その中にサケカルシトニ
ン4mg(4,000MRC)、塩化ベンザルコニウム
0.01%、ゼラチン1%、アスパラギン酸0.38
%、ヒアルロン酸ブチレングリコールエステル2%を加
え、均一に溶解混合し、目的とする本発明の水溶液組成
物を得た。
【0024】 直腸投与組成物(坐薬): 処方1: サケカルシトニン 200MRC 精製水(0.1N−HClにてpH4.0) 適 量 (アスパラギン酸 0.38% ゼラチン 1.00% 含有) アルギン酸プロピレングリコールエステル 10mg 親水性基剤 残 量 ─────────── 総計2〜4g 親水性基剤として、グリセオゼラチンを用い、通常の坐
薬製造技術により本発明の直腸投与組成物(坐薬)を得
た。かくして得られた坐薬を使用し、サケカルシトニン
の血中濃度を測定したところ、投与後10ないし20分
で最高血中濃度に達し、本発明のアルギン酸プロピレン
グリコールエステルは良好な吸収促進効果を示すことが
判明した。なお、他の親水性基剤としてマクロゴール、
ゼラチンカプセルや乳化性基剤を使用しても同様製造さ
れた。
【0025】処方2:親油性基剤をベースとする場合
は、HLB値を4〜6程度に規定する相溶性の良い界面
活性剤を組み合わせ処方すれば良い。 サケカルシトニン 200MRC 精製水(0.1N−HClにてpH4.0) 適 量 (アスパラギン酸 0.38% ゼラチン 1.00% 含有) アルギン酸プロピレングリコールエステル 10〜25mg 界面活性剤 適 量 親油性基剤 残 量 ─────────── 総計2〜4g 親油性基剤として、ウイテップゾールを用い、界面活性
剤としてグリチルリチン酸ジカリウムを使用し、通常の
坐薬製造技術により本発明の直腸投与組成物(坐薬)を
得た。他の親油性基剤として、Estarium A、
B、C、D、E、TV Novata A、AB、B
C、Suppocire A、B、C、AM、BM、天
然カカオ脂を使用し、また他の界面活性剤を使用しても
同様製造された。
【0026】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、これま
で経口投与が困難であった生理活性ペプチドについて、
経鼻投与により吸収性が良く、また刺激性のない製剤、
すなわち鼻腔内投与組成物が提供される。特に、カルシ
トニン、インシュリン等の生理活性ペプチドを、特定な
キャリヤであるアルギン酸プロピレングリコールエステ
ルまたはヒアルロン酸ブチレングリコールエステルに分
散させた本発明の粉末組成物は、経鼻ルートで投与する
こと、すなわち鼻粘膜に適用することにより、そのペプ
チド性体内吸収性が良く、有効な臨床的治療が可能であ
ることが示唆される。また、本発明のアルギン酸プロピ
レングリコールエステルまたはヒアルロン酸ブチレング
リコールエステルは、生理活性ペプチドの吸収促進効果
があり、このものを含有する本発明の水溶性組成物は、
経鼻ルートで投与することにより、あるいは坐薬として
直腸投与することにより、生理活性ペプチドの生体内吸
収性が増大することが判明し、その医療効果は多大なも
のである。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 37/30 8314−4C 37/34 8314−4C 37/48 8314−4C 37/66 8314−4C 39/00 G 9284−4C 47/36 B 7433−4C

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生理活性ペプチドの有効投与量を、アル
    ギン酸プロピレングリコールエステルおよびヒアルロン
    酸ブチレングリコールエステルから選択される少なくと
    も一種である、高分子多糖セルロース多価アルコール脂
    肪酸エステルからなるキャリヤに均一に分散、付着結合
    させた生理活性ペプチド組成物。
  2. 【請求項2】 安定化剤としてアスパラギン酸を含有す
    る、請求項1記載の生理活性ペプチド組成物。
  3. 【請求項3】 生理活性ペプチドが、ペプチドホルモ
    ン、生理活性タンパク、酵素タンパクである、請求項1
    記載の生理活性ペプチド組成物。
  4. 【請求項4】 ペプチドホルモンが、カルシトニンであ
    る、請求項3記載の生理活性ペプチド組成物。
  5. 【請求項5】 カルシトニンをアルギン酸プロピレング
    リコールエステルに均一に分散、付着結合させた、請求
    項1記載の生理活性ペプチド組成物。
  6. 【請求項6】 カルシトニンをヒアルロン酸ブチレング
    リコールエステルに均一に分散、付着結合させた、請求
    項1記載の生理活性ペプチド組成物。
  7. 【請求項7】 鼻腔内投与の粉末製剤の形態にある、請
    求項1ないし6項のいずれか1項記載の生理活性ペプチ
    ド組成物。
  8. 【請求項8】 カルシトニンをアルギン酸プロピレング
    リコールエステルに均一に分散、付着結合させた、請求
    項7記載の鼻腔内投与生理活性ペプチド組成物。
  9. 【請求項9】 カルシトニンをヒアルロン酸ブチレング
    リコールエステルに均一に分散、付着結合させた、請求
    項7記載の鼻腔内投与生理活性ペプチド組成物。
  10. 【請求項10】 生理活性ペプチドの有効投与量を、吸
    収促進剤であるアルギン酸プロピレングリコールエステ
    ルおよびヒアルロン酸ブチレングリコールエステルから
    選択される少なくとも一種と配合した、生理活性ペプチ
    ド組成物。
  11. 【請求項11】 安定化剤としてアスパラギン酸を含有
    する、請求項10記載の生理活性ペプチド組成物。
  12. 【請求項12】 水溶液の形態にある請求項10記載の
    生理活性ペプチド組成物。
  13. 【請求項13】 鼻腔内投与の水溶液製剤の形態にあ
    る、請求項12記載の生理活性ペプチド組成物。
  14. 【請求項14】 直腸投与製剤の形態にある、請求項1
    0記載の生理活性ペプチド組成物。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002193830A (ja) * 1998-10-19 2002-07-10 High Chem Co Ltd 経鼻投与用医薬製剤
US6623732B1 (en) 1998-05-20 2003-09-23 Highchem Company, Ltd. Pharmaceutical formulation for nasal administration

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