JPH08276011A - 注射器 - Google Patents

注射器

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JPH08276011A
JPH08276011A JP7102997A JP10299795A JPH08276011A JP H08276011 A JPH08276011 A JP H08276011A JP 7102997 A JP7102997 A JP 7102997A JP 10299795 A JP10299795 A JP 10299795A JP H08276011 A JPH08276011 A JP H08276011A
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JP
Japan
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outer cylinder
injection
syringe
port
plug
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JP7102997A
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Keinosuke Isono
啓之介 磯野
Hiroshi Motobayashi
博志 本林
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Material Engineering Technology Laboratory Inc
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Material Engineering Technology Laboratory Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 滅菌等が簡単にできると共に、注射時の取扱
や汚染等に対する安全性が十分に確保される予め液充填
された注射器を提供。 【構成】 先端部に注射針が取り付けられる射出口を有
した外筒と、ガスケットが取り付けられて上記外筒に挿
入されるプランジャーとからなり、また上記外筒内の先
端奥部に栓体を配して上記射出口を塞ぎ該栓体とガスケ
ットとの間に注射液が液密充填される注射器において、
上記栓体は、上記射出口から一定間隔あけて上記ガスケ
ット側に設けられ、上記栓体と射出口との間の上記外筒
部分の壁には、バイパス孔が設けられると共に、該外筒
部分の外側から該バイパス孔を覆うカバー部材が設けら
れ、上記バイパス孔とカバー部材とは、上記栓体が射出
口まで達する際に上記注射液が射出口に流通するバイパ
スとなることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、予め注射剤が充填され
た注射器に関するものであり、より詳細には、注射剤を
外筒内に液密に充填して滅菌処理が簡単にでき、また注
射剤に第二成分の薬剤を簡単且つ無菌的に混合操作して
注射可能状態とすることができる注射器に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】最近、医療事故を未然に防止するため
に、また院内感染等を極力防止するために、予め滅菌又
は無菌状態で外筒内に薬剤又は薬液等の注射剤が充填さ
れたプレフィールドシリンジと一般に称される注射器が
提案されている。また、かかるプレフィールドシリンジ
には二医薬成分以上の注射剤がその注射時まで分離して
充填されている多成分用注射器も提案されている。
【0003】従来、このような注射器には、先端部に注
射針が取り付けられる射出口を有した外筒及び液密に外
筒に挿入されるガスケットを有したプランジャー以外
に、上記射出口を塞ぎ液密に挿入されて上記外筒内の先
端奥部に配せられる栓体を有し、その栓体とガスケット
との間に注射液が液密充填されたものが提案されている
(実開平2−51560号公報)。このような注射器で
は所定量の注射液がほぼ満杯(充填室にエア等の侵入が
殆どない状態)に外筒に液密に充填することができる。
また、蒸気滅菌等も極めて容易であり、滅菌時にガスケ
ットをある程度、摺動可能とすれば、充填室内に圧もか
からない状態でスムーズに滅菌できる方法等が採用でき
る(特開平5−253296号公報、特開平5−305
140号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
注射器では、注射時に射出口と充填室とを連通させるた
めに、両端に刺針部を有する両端刺針型注射針が使用さ
れる。かかる注射針は射出口の装着時に外筒内の栓体を
一旦刺針するため、注射針の取扱に対する耐汚染性が失
われるおそれがある。また注射時の現場で注射針の装着
手続が必要となるため、操作上の汚染に対する安全性も
低める。また、二医薬成分型の注射器にあっては、抗生
物質等の熱に弱い薬剤が高圧滅菌ができないため、無菌
操作によって注射器の外筒内に充填しなければならな
い。しかも、既に高圧蒸気滅菌をした第一成分である薬
液を充填した状態で外筒に第二成分である薬剤を無菌充
填しなければならないという製造上の煩雑さがある。ま
た、第二成分の薬剤の充填に際しては、凍結乾燥等を行
うが、かかる乾燥時に二成分を分ける栓体の隙間から第
一成分の薬液が漏れでることがある。このため、無菌的
な注射液が外筒内に確実にプレフィールドする安全性も
低く、問題となっている。
【0005】従って、本発明の目的は、滅菌等が簡単に
できると共に、注射時の取扱や汚染等に対する安全性が
十分に確保される予め液充填された注射器を提供するこ
とにある。本発明の目的はまた、注射剤の充填及び滅菌
が簡単且つ確実になされ、製造上の滅菌操作や使用上の
操作が煩雑でない注射器を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、先端部に注射
針が取り付けられる射出口を有した外筒と、ガスケット
が取り付けられて上記外筒に挿入されるプランジャーと
からなり、また上記外筒内の先端奥部に栓体を配して上
記射出口を塞ぎ該栓体とガスケットとの間に注射液が液
密充填される注射器において、上記栓体は、上記射出口
から一定間隔あけて上記ガスケット側に設けられ、上記
栓体と射出口との間の上記外筒部分の壁には、バイパス
孔が設けられると共に、該外筒部分の外側から該バイパ
ス孔を覆うカバー部材が設けられ、上記バイパス孔とカ
バー部材とは、上記栓体が射出口まで達する際に上記注
射液が射出口に流通するバイパスとなることを特徴とす
る注射器を提供することにより、上記目的を達成したも
のである。上記バイパス孔は、上記栓体の液密幅以上の
長孔に形成されること、また上記栓体の液密幅以上離間
した位置に一対形成され、且つそれぞれ離間する一対の
孔を連通する連通溝が上記外筒外壁面或いはカバー内壁
面に形成されることを特徴としうる。また、上記カバー
部材は、外筒外壁面を覆う円筒部材であり、且つ上記液
密充填された栓体の外側の位置にも配されていることが
望ましい。
【0007】本発明はまた、先端部に注射針が取り付け
られる射出口を有した外筒と、ガスケットが取り付けら
れて上記外筒に挿入されるプランジャーとからなり、ま
た上記外筒内の先端奥部に栓体を配して上記射出口を塞
ぎ該栓体とガスケットとの間に注射液が液密充填される
注射器において、上記栓体は、上記外筒外からの操作或
いは上記プランジャーの押し込み操作により開放される
開放機構を有し、また注射液の通路口が設けられたハウ
ジングを有し、且つ該通路口が無菌的に上記射出口に脱
抜可能に接続される除菌フィルタを具備し、該除菌フィ
ルタは上記射出口が接続される通路口と反対側の通路口
に、上記注射液と混合する第二成分の薬剤容器と連通す
るための連通手段が設けられていることを特徴とする注
射器を提供することにより、上記目的を達成したもので
ある。上記開放機構は、上記栓体と射出口との間の上記
外筒部分の壁に、バイパス孔が設けられると共に、該外
筒部分の外側から該バイパス孔を覆うカバー部材が設け
られ、上記バイパス孔と上記カバー部材とは、上記栓体
が射出口まで達する際に上記注射液が射出口に流通する
バイパスであることを特徴とする。上記開放機構は、上
記栓体と接している上記外筒の壁面の一部に操作用孔が
形成され、また上記栓体は該操作用孔からの操作により
回動されて上記注射液の充填部分と上記射出口とを連通
してなることを特徴とする。上記開放機構は、上記栓体
と接している上記外筒の壁面の一部に操作用孔が形成さ
れ、また上記栓体には上記注射液の充填室内と上記射出
口とを連通する連通路が形成され、上記栓体内に上記連
通路を遮断し、且つ上記連通路に一部挿入しうる遮断部
材が摺動可能に埋設されると共に、上記操作用孔からの
該遮断部材の摺動操作により上記連通路が遮断又は開放
される。
【0008】
【作用】上記注射器にあっては、その製造時に外筒内に
先ず栓体を挿入し、注射液を充填し、ガスケットを嵌め
て高圧蒸気滅菌を行う。また、注射針等は、予め射出口
に取り付けておいても良い。ここで、プラスチック外筒
等の場合、滅菌時ゴム栓体の弾性作用等によりその接触
部を膨張する傾向にあるが、上記カバー部材が円筒材で
あると、かかるゴム栓体を外筒壁とで二重に覆うことが
でき、強固に保つことができるため高圧蒸気滅菌時の不
都合を少なくする。次に、上記注射器の使用時において
は、外筒の射出口に注射針が取り付けられ、プランジャ
ーを押し込むと、外筒の奥部の栓体は、注射液を介して
プランジャーに押圧され、バイパス孔の位置まで更に押
し込まれる。かかる位置に栓体が来たとき、注射液は外
筒に形成されたバイパス孔を通過して射出口に流通し、
注射が可能となる。従って、外筒の射出口には高圧滅菌
時に予め注射針等を付けておいても、両端刺針型の注射
針の場合と相違して注射針の連通路自体がゴム栓体で汚
染されることはない。また、既に注射針が無菌的に取り
付けられた状態で提供されるため、その操作上院内感染
等を極力防止すると共に、本来の目的である医療事故も
未然に防止される。
【0009】また、上記注射器の栓体における開放機構
に加えて、射出口に上記除菌フィルタを組み合わせた場
合は、二医薬成分型の注射器が容易に提供される。即
ち、上記注射器にあっては、その製造時に外筒内に栓体
を挿入し、注射液を充填し、また射出口に連通針を備え
た除菌フィルタを脱抜可能に取り付けて高圧蒸気滅菌を
行う。尚、除菌フィルタの通路口を高圧滅菌時に予め射
出口に接続させて無菌状態としても良いし、また外筒内
の注射液を先に滅菌した後、通路口を無菌的に射出口に
取り付けても良い。かかる注射器の使用に際しては、除
菌フィルタの連通針を介して第二成分である薬剤の容器
を接続した後、プランジャーを押し込むと、外筒内の注
射液は栓体等が開放されて射出口を通過して、更に除菌
フィルタを通過して薬剤容器内へと流入する。そして、
薬剤容器内の薬剤と混合攪拌後、プランジャーを引き戻
して再び除菌フィルタを通過させて注射液を外筒内に戻
す。これにより、注射液は第二成分と確実に混合し、無
菌状態で外筒内に供給されることとなる。かかる状態
で、射出口から通路口を外して注射針に差し替えて二医
薬成分系の注射が可能となる。またかかる場合、注射液
を定型薬剤容器、例えばバイアル内に流入させる際、バ
イアル内のエアは除菌フィルタによりエアロックされる
ため、流入後バイアル内が陽圧に維持される。このた
め、攪拌混合後、バイアルを転倒させた時、混合注射液
は下方に位置し、バイアル内の陽圧に押されてスムーズ
に外筒内に戻る。
【0010】
【実施例】以下、本発明に係る注射器の好ましい実施例
を添付図面を参照しながら詳述する。図1は本発明の注
射器の第一実施例の側面図、図2(a)及び(b)は本
発明の注射器の第一実施例の使用時の縦断面図である。
【0011】図1及び図2に示す第一実施例の注射器1
は、先端部に注射針が取り付けられる射出口2Aを有し
た外筒2と、ガスケット4が取り付けられて外筒2に嵌
入されるプランジャー3とからなり、また外筒2内の先
端奥部に栓体5を配して射出口2Aを塞ぎ栓体5とガス
ケット4との間に注射液6が液密充填されている。栓体
5は、射出口2Aから一定間隔あけてガスケット4側に
設けられ、栓体5と射出口2Aとの間の外筒2部分の壁
には、バイパス孔11、11、11が設けられると共
に、外筒2部分の外側からバイパス孔11を覆うカバー
部材12が設けられ、バイパス孔11とカバー部材12
とは、栓体5が射出口2Aまで達する際に注射液6が射
出口2Aに流通するバイパスとなる。
【0012】本実施例の注射器1を更に説明すると、本
実施例の注射器1の外筒2は、ガラス筒又はプラスチッ
ク筒でもよい。しかし、外筒2にバイパス孔11等を形
成するため、またカバー部材12を固着するためプラス
チック筒であることが好ましい。使用されるプラスチッ
ク材としては、例えば、低密度或は高密度ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリブタジエン−1等のポリオレ
フィン類、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化
ビニリデン共重合体、ポリメタクリル酸メチル、ポリビ
ニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合
体、アクリロニトリル共重合体、ポリエチレンテレフタ
レート等を挙げることができる。特に、ポリオレフィン
類は汎用性及び薬剤に影響を与えない点で好ましく、更
には非晶質の環状のオレフィンコポリマー等の高いガラ
ス転移温度を有し比重が1.1以下の軽量なものが望ま
しい。具体的には、光デイスク基板、光学レンズなどの
材料として最近用いられている商標名ゼオネックス(日
本ゼオン株式会社)、商標名アペル(三井石油化学工業
株式会社)等のポリオレフィン系樹脂である。
【0013】ガスケット4及び栓体5は外筒2の内壁と
液密を保つ程度の弾性体を有するものであれば良い。具
体的にはゴム製のガスケット及びゴム栓が用いられる。
図1及び図2に示す如く栓体5は、射出口2Aから一定
間隔あけてガスケット4側に設けられ、ガスケット4と
栓体5との間の外筒2内には注射液が滅菌状態で充填さ
れる。滅菌は高圧蒸気滅菌がなされており、これ以外に
も無菌充填などが可能であるが、滅菌を確実にするには
高圧蒸気滅菌が望ましい。栓体5と射出口2Aとの間の
外筒2の壁面には、少なくとも1以上のバイパス孔1
1、11・・が形成され、バイパス孔11は長孔に形成
され、栓体5の液密幅Wより長い径Lを有している。バ
イパス孔11は、外筒2の外壁に液密に固着されるカバ
ー部材12に覆われ、カバー部材12は円筒状の樹脂成
形物からなっている。また、ここでのカバー部材12
は、バイパス孔11を覆うだけでなく、外筒2の高圧滅
菌時の栓体5が位置する部分も外筒2を介して覆ってい
る。
【0014】次に、上記注射器1の製造方法を説明する
と、先ず、外筒2にバイパス孔11を形成し、カバー部
材12を外筒2面に固着して取り付ける。外筒2内に栓
体5が挿入され、注射液6が外筒2に充填され、充填
後、外筒2にガスケット4を取り付ける。更にプランジ
ャー3をガスケット4に取り付け、注射針7を射出口2
Aに取り付ける。その後、かかる状態で、注射器1を高
圧蒸気滅菌して注射液6を滅菌する。尚、プランジャー
3及び注射針7は、高圧滅菌後に無菌的に取り付けても
良い。
【0015】次に、本実施例の注射器1を用いて注射す
る場合は、図2(a)の状態まで、プランジャー3を押
し込み、栓体5をバイパス孔11の位置まで押し込む。
この状態では、バイパス孔11は、外筒2の厚み分だ
け、カバー部材12と栓体5の外壁面との間に空隙を形
成する。そして、バイパス孔11の長径Lが栓体5の液
密幅Wより大きいことから、その空隙は、注射液6の充
填側と射出口2Aとを連通するバイパスとなる。次に図
2(b)の状態まで、押し込むことにより、注射液6は
注射針から射出し、注射が可能となる。従って、注射器
1は滅菌処理などが極めて容易となり、また注射器1に
両端刺針型の注射針を用いないため、注射器1には予め
注射針を取り付けることができ、作業現場での汚染事故
を少なくすることができる。また、高圧滅菌時、カバー
部材12により、栓体5の膨張が極力抑えられ、栓体5
の摺動性が高圧滅菌処理により悪くなることがない。
【0016】図3は、第一実施例の変形例を示す注射器
の断面図である。図3に示す注射器は、バイパス孔1
5、15が丸孔となっており、一定間隔離れた一対のバ
イパス孔15、15でバイパスが形成される。即ち、一
対のバイパス孔15、15は、栓体5の液密幅Wより離
間して形成され、カバー部材12の内壁及び外筒2の外
壁には、一対のバイパス孔15、15を連通させるバイ
パス溝条部16、17がそれぞれ形成されている。この
ような構成においても第一実施例と同様な作用効果を奏
する。また、上記実施例では、カバー部材12を円筒状
にして好ましいものとしたが、バイパス孔を覆う限り、
カバー部材の形状は弧状に曲げられたプレートであって
も良い。
【0017】次に、図4乃至図6に従って本発明の第二
実施例の注射器について説明する。図4は本発明の注射
器の第二実施例の側断面図である。図5は第二実施例の
注射器から注射液をバイアル内に流入させる状態を示す
要部断面図である。図6は第一実施例における注射器に
混合した注射液を再び外筒内に戻す状態を示す要部断面
図である。図4乃至図6に示す注射器31は、先端部に
注射針が取り付けられる射出口2Aを有した外筒2と、
ガスケット4が取り付けられて外筒2に挿入されるプラ
ンジャー3とからなり、また外筒2内の先端奥部に栓体
5を配して射出口2Aを塞ぎ栓体5とガスケット4との
間に注射液6が液密充填される注射器であり、上記栓体
5は、プランジャー3の押し込み操作により開放される
開放機構を有し、また注射液の通路口8Aが設けられた
ハウジング8を有し、且つ通路口8Aが無菌的に射出口
2Aに脱抜可能に接続される除菌フィルタ10を具備
し、除菌フィルタ10は射出口2Aが接続される通路口
8Aと反対側の通路口9Aに、注射液6と混合する第二
成分の薬剤容器(バイアル)21と連通するための連通
針23が設けられている。
【0018】本実施例を更に説明すると、注射器31の
本体部分は、第一実施例の注射器1の構造と同様であ
り、かかる注射器31の本体部分において、栓体5の開
放機構とは、上述したバイパス孔11及びカバー部材1
2によってプランジャー3の押し込み時に形成されるバ
イパスをいう。従って、ここでは、本体部分の部材及び
その構成の詳しい説明を省略する。除菌フィルタ10に
は一対のハウジング8、9が設けられ、各ハウジング
8、9はそれぞれ通路口8A、9Aが形成される。ハウ
ジング8は、通路口8Aが細長く形成され、通路口8A
は無菌状態で射出口2Aに接続部材22を介して接続さ
れる。ハウジング8には、除菌フィルタ10の周縁を挟
んで反対側のハウジング9が熱融着される。また除菌フ
ィルタ10は図示しない支持ネットにより両面から支持
され、除菌フィルタ10の押出側であるハウジング9の
通路口9Aにはバイアル21の接続用の連通針23が取
り付けられる。尚、連通針23には汚染防止用のキャッ
プ24が取り付けられる。ハウジング8、9及び連通針
23は熱融着可能な樹脂成形物からなり、ハウジング
8、9は除菌フィルタ10を挟んで互いに液密に固着さ
れ、連通針23は液密に通路口9Aに挿入固着される。
尚、注射器31の本体及び除菌フィルタ10は、射出口
2Aと通路口8Aが接続部材22で接続された後、高圧
蒸気滅菌にかけられ接続部が無菌化される。但し、本体
のみを高圧蒸気滅菌した後に、通路口8Aを無菌的に接
続部材22を介して接続しても良い。
【0019】除菌フィルタ10はメンブレンフィルタか
らなるが、一般的なスクリーンタイプ、デプスタイプ、
アニソトロピックタイプ等の一般フィルタ等も使用でき
る。またフィルタ10の膜の孔径は、0.6μm以下、
好ましくは0.45μm以下、更に好ましくは0.22
μm以下である。上記範囲内の孔径であれば、細菌の通
過をほぼ完全に阻止し、更に0.45μm以下では細菌
の破片等の毒性成分の除去ができ、0.22μm以下で
は破片等の毒性成分を殆ど除去しうる。
【0020】除菌フィルタ10は親水性であり、本実施
例においては、親水化処理したポリビニリデンフロライ
ドが用いられ、注射液6中の溶質物の付着をさけてい
る。除菌フィルタ10は本実施例のものに限ることは無
く、例えば、酢酸セルロース、セルロースエステル、硝
酸セルロース、再生セルロース等セルロース系膜、ナイ
ロン等を中心としたポリアミド系膜、粉末或は分散媒中
のフッ化エチレン系樹脂等から製造されるテフロン系
膜、ポリスチレン、フタル酸等からなるビニル系膜、結
晶性ポリプロピレン等を融解押出し急速延伸等して得ら
れるポリオレフィン系膜、アクリル系膜、ポリカーボネ
ート系膜、塩化ビニリデン系膜等を挙げることができ
る。
【0021】図5に示す如く本実施例に使用されるバイ
アル21は、ガラス瓶からなり、薬剤25はゴム密栓2
6を有した取出口27から無菌的に充填される。尚、薬
剤容器は、本実施例の如くガラス製のバイアル21に限
ることはなく、プラスチック製の容器でもよく、また非
定型性のバックや可撓性のボトル等であってもよい。薬
剤25は粉末の抗性物質である。しかし、本実施例にあ
っては、薬剤25を粉末に限る必要はなく液剤であって
も良い。また具体的な液剤としては、アミノ酸の一種で
あるグルタミン酸がある。特に、グルタミン酸水溶液を
100℃に加熱すると一部ヒロリドン化し変質してしま
うので、高圧蒸気滅菌ができない。このように水溶液の
状態で滅菌できない薬剤も対象となる。
【0022】次に、本実施例の注射器31を用いて注射
を行うする場合は、図5に示す如く除菌フィルタ10の
連通針23をバイアル21のゴム栓26に刺針すると共
に、プランジャー3を少し押し込んで、栓体5を注射液
6を介してバイパス孔11の位置まで移動し、栓体5の
液密性を開放する。これにより、外筒2内の注射液6の
充填部とバイアル21内とは、射出口2A、バイパス孔
11、ハウジング8の通路口8A、除菌フィルタ10、
ハウジング9及び連通針23を介して連通する。図5の
状態で、外筒2内のガスケット4が外筒2深くプランジ
ャー3により押し込まれると、上記連通により注射液6
はバイアル21内へと流入する。流入が完了すると、バ
イアル21内の薬剤25は注射液6に溶解混合する。ま
た、バイアル21内のエアは除菌フィルタ10によりエ
アロックを受け、その結果、バイアル21内は注射液6
が流入した時、陽圧化状態となる。図6に示す如く、注
射液6が薬剤25と混合されると、バイアル21が転倒
される。これにより、バイアル21内の注射液6は除菌
フィルタ10の通過が可能となり、この場合、外筒2内
のプランジャー3を軽く引き戻すだけで、除菌フィルタ
10に濾過された注射液6が外筒2内に戻る。即ち、バ
イアル21内は、エアロックを受けたエア30Aの存在
により陽圧化されているため、注射液6が戻るように作
用する。
【0023】次に、注射液6が戻った外筒2の射出口2
Aから、通路口8Aを脱抜し、その代わりに図示しない
注射針を取り付け、患者に注射を行う。これにより、注
射液6は第二成分であるバイアル21内の薬剤25と十
分に混合され、無菌状態で外筒2内に再び供給され、現
場での二成分注射が簡単且つ無菌的にできる。上記第二
実施例では、除菌フィルタ10のハウジング8における
通路口8Aを接続部材22を介して射出口2Aに接続し
たが、直接射出口2Aと通路口8Aを無菌的に接続して
も良い。
【0024】図7(a)及び(b)は、第二実施例の注
射器31の変形例を示したものである。かかる変形例の
注射器32は、連通針23を備えた除菌フィルタ10を
有し、除菌フィルタ10の通路口8Aが無菌的に外筒2
の射出口2Aに脱抜可能に取り付けられている点は、第
二実施例と同様である。ここで、相違する点は、外筒2
に設けられる栓体33の開放機構が異なること、及び通
路口8Aが直接脱抜可能に取り付けられる点である。
【0025】栓体33の開放機構を更に説明すると、栓
体33と接している外筒2の壁面の一部に操作用孔34
が形成され、また栓体33からの操作により回動されて
注射液6の充填部分と射出口2Aとを連通するものであ
る。即ち、図8(a)及び(b)に示す如く、栓体33
と接する外筒2の内壁面には凸部35が形成され、また
栓体33の外壁面には凸部35と嵌合する凹部36が形
成され、栓体33の回動により凸部35と凹部36とが
互いにはずれて、図7(b)に示す如く注射液6の充填
部分と射出口2Aとが連通する。栓体33は、弾性体か
らなるゴム栓体であり、外筒内壁が接するその側周面に
は回動操作用の突起部37が形成される。突起部37は
外筒2内への装着時に外筒2の操作用孔34に挿通され
て外部に突出され、また突起部37の形成位置のほぼ反
対側の栓体33の側周面には凹部36が形成される。
【0026】注射液6を外筒に充填する方法は、先ず外
筒2の奥深く栓体33を挿入し、栓体33の突起部37
を外筒2の操作用孔34に挿通させた状態で配する。次
に、操作用孔34からの突起部37を操作して栓体34
の凹部36が外筒2の凸部35から外れるように操作し
て射出口2Aと外筒2内とを連通する。そして、ガスケ
ット4を外筒2内の所定位置まで押し込んでセットし、
充填ノズル等を使用して所定量の注射液6を射出口2A
より充填する。充填後、栓体33を突起部37を介して
回動し、栓体33の凹部36と外筒2の凸部35とを嵌
合する。その後、除菌フィルタ10を射出口2Aに取り
付け、更に、ガスケット4にプランジャー3を取り付け
高圧蒸気滅菌を行い、注射液6の滅菌及び通路口8Aの
滅菌を確実に行う。
【0027】従って、かかる栓体33の開放機構であっ
ても、第二実施例の注射器31と同様な作用効果を奏す
ることができる。尚、本実施例の注射器32において
は、栓体33に凹部36を設け、外筒2の内壁に凸部3
5を設けたが、凹部36と凸部35の作用効果が同様で
ある限り、外筒2の壁面に凹部又は嵌合孔を形成し、ま
た栓体の外壁面に凸部を形成して、栓体の回動により凸
部又は凹部又は嵌合孔とが互いにずれて注射液の充填部
分と射出口とを連通するよにしても良い。
【0028】図9(a)及び(b)及び図10(a)及
び(b)は、第二実施例の注射器31の第二の変形例を
示したものである。かかる変形例の注射器38は、連通
針23を備えた除菌フィルタ10を有し、除菌フィルタ
10の通路口8Aが無菌的に外筒2の射出口2Aに脱抜
可能に取り付けられている点は、第二実施例と同様であ
る。ここで、相違する点は、外筒2に設けられる栓体3
9の開放機構が異なること、及び通路口8Aが直接脱抜
可能に取り付けられる点である。
【0029】栓体39の開放機構を更に説明すると、栓
体39と接している外筒2の壁面の一部に操作用孔40
が形成され、また栓体39には注射液6の充填部分と射
出口2Aを連通する連通路41が形成され、栓体39内
に連通路41を遮断しうるスライド板42が摺動可能に
埋設されると共に、操作孔用孔40からのスライド板4
2の摺動操作により連通路41が遮断又は開放される。
また、図10に示す如く、上記栓体39は相互に嵌着す
る一対の半体39A、39Bで形成され、スライド板4
2は半体39A、39B同士が嵌着する面にはそれぞれ
複数の蟻溝43と蟻溝43に嵌合する凸状部44が形成
される。半体39Aと半体39Bとのそれぞれの連通路
41は、その嵌着時に連結され、スライド板42がかか
る連通路41を遮断して半体39A、39Bに挟持され
る。
【0030】栓体39は弾性体からなるゴム栓体であ
り、半体39A、39B同士の境界が接する外筒2の壁
面には上述の操作用孔40が形成され、スライド部材4
2は外筒2の外側から、かかる操作用孔40を貫通させ
て半体39A、39B同士の間に挿入可能となってい
る。そして、挿入時は図9(a)に示す如く、連通路4
1が遮断され、引き抜き時は、連通路41が開放され
る。従って、このような構成にある注射器38にあって
も、第二実施例と同様な作用効果を奏することができ
る。
【0031】上記各実施例では、除菌フィルタ10に設
けられる連通手段をバイアル21のゴム栓26に刺針す
る連通針23としたが、これに限るものではなく、逆に
連通針等が刺針されるゴム栓型の連通手段を有していて
もの良い。更に、上記第二の各実施例では、連通手段2
3まで除菌フィルタ21に接続したが、図11に示す如
く連通手段の薬剤容器を受ける部分に薬剤容器のホルダ
ー50を設け、薬剤容器21、連通手段23、除菌フィ
ルタ10、及び外筒2が一体となった、予め薬剤容器を
具備する薬剤キット型シリンジとしても良い。尚、ホル
ダー50は、菌汚染防止のケーシング52とケーシング
52の上部に摺動可能に取り付けられる保持キャップ5
1とからなる。また、連通針23に対向して薬剤バイア
ル21が予めキャップ51により保持されるケーシング
52は連通針23側に取り付けられ、ケーシング52内
は無菌的に維持され、連通針23とゴム栓26面とを無
菌状態にしている。また、キャップ51の内面にはバイ
アル21が支持され、外側に吊り下げ部が形成される。
【0032】
【発明の効果】以上説明したように本発明の注射器の上
記栓体は、上記射出口から一定間隔あけて上記ガスケッ
ト側に設けられ、上記栓体と射出口との間の上記外筒部
分の壁には、バイパス孔が設けられると共に、該外筒部
分の外側から該バイパス孔を覆うカバー部材が設けら
れ、上記バイパス孔とカバー部材とは、上記栓体が射出
口まで達する際に上記注射液が射出口に流通するバイパ
スとなるので、滅菌等が簡単にできると共に、注射時の
取扱や汚染等に対する安全性が十分に確保される。ま
た、本発明の注射器では、上記栓体は、上記外筒外から
の操作或いは上記プランジャーの押し込み操作により開
放される開放機構を有し、また濾液の通路口が形成され
たハウジングを有し、且つ該通路口が無菌的に上記射出
口に脱抜可能に接続される除菌フィルタを具備し、該除
菌フィルタは上記射出口が接続される通路口と反対側の
通路口に、上記注射液と混合する第二成分の薬剤容器と
連通するための連通手段が設けられているので、注射剤
の充填及び滅菌が簡単且つ確実になされ、製造上の滅菌
操作や使用上の操作が煩雑とならない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る注射器の第一実施例の分解断面図
である。
【図2】(a)及び(b)は、第一実施例の注射器の断
面図である。
【図3】第一実施例の注射器の変形例の分解断面図であ
る。
【図4】本発明に係る注射器の第二実施例の断面図であ
る。
【図5】第二実施例の注射器で注射液をバイアル内に流
入する際の断面図である。
【図6】第二実施例の注射器でバイアル内の注射液を戻
す際の断面図である。
【図7】(a)及び(b)は、第二実施例の注射器の第
一の変形例を示した断面図である。
【図8】(a)及び(b)は、図7の注射器の栓体部分
の横断面図である。
【図9】(a)及び(b)は、第二実施例の注射器の第
二の変形例を示した断面図である。
【図10】(a)及び(b)は、図9の注射器に使用さ
れる栓体の分解平面図及び側面図である。
【図11】第二実施例に付加されるバイアル部分の要部
断面図である。
【符号の説明】
1 注射器 2 外筒 2A 外筒の射出口 3 プランジャー 4 ガスケット 5 栓体 6 注射液 8、9 除菌フィルタのハウジン
グ 8A、9A 通路口 10 除菌フィルタ 11、15 バイパス孔 12 カバー部材 16 カバー部材の溝条部 17 外筒の溝条部 22 接続部材 23 連通針 31、32、38 注射器 33、39 栓体 34、40 操作用孔 35 外筒の凸部 36 栓体の凹部 37 突起部 41 連通路 42 スライド板

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 先端部に注射針が取り付けられる射出口
    を有した外筒と、ガスケットが取り付けられて上記外筒
    に挿入されるプランジャーとからなり、また上記外筒内
    の先端奥部に栓体を配して上記射出口を塞ぎ該栓体とガ
    スケットとの間に注射液が液密充填される注射器におい
    て、 上記栓体は、上記射出口から一定間隔あけて上記ガスケ
    ット側に設けられ、上記栓体と射出口との間の上記外筒
    部分の壁には、バイパス孔が設けられると共に、該外筒
    部分の外側から該バイパス孔を覆うカバー部材が設けら
    れ、 上記バイパス孔とカバー部材とは、上記栓体が射出口ま
    で達する際に上記注射液が射出口に流通するバイパスと
    なることを特徴とする注射器。
  2. 【請求項2】 上記バイパス孔は、上記栓体の液密幅以
    上の長孔に形成されることを特徴とする請求項1記載の
    注射器。
  3. 【請求項3】 上記バイパス孔は、上記栓体の液密幅以
    上離間した位置に一対形成され、それぞれ離間する一対
    の孔を連通する連通溝が上記外筒外壁面或いはカバー内
    壁面に形成されることを特徴とする請求項1記載の注射
    器。
  4. 【請求項4】 上記カバー部材は、外筒外壁面を覆う円
    筒部材であり、且つ上記液密充填された栓体の外側の位
    置にも配されていることを特徴とする請求項1〜3記載
    の注射器。
  5. 【請求項5】 先端部に注射針が取り付けられる射出口
    を有した外筒と、ガスケットが取り付けられて上記外筒
    に挿入されるプランジャーとからなり、また上記外筒内
    の先端奥部に栓体を配して上記射出口を塞ぎ該栓体とガ
    スケットとの間に注射液が液密充填される注射器におい
    て、 上記栓体は、上記外筒外からの操作或いは上記プランジ
    ャーの押し込み操作により開放される開放機構を有し、 また注射液の通路口が設けられたハウジングを有し、且
    つ該通路口が無菌的に上記射出口に脱抜可能に接続され
    る除菌フィルタを具備し、該除菌フィルタは上記射出口
    が接続される通路口と反対側の通路口に、上記注射液と
    混合する第二成分の薬剤容器と連通するための連通手段
    が設けられていることを特徴とする注射器。
  6. 【請求項6】 上記開放機構は、上記栓体と射出口との
    間の上記外筒部分の壁に、バイパス孔が設けられると共
    に、該外筒部分の外側から該バイパス孔を覆うカバー部
    材が設けられ、上記バイパス孔と上記カバー部材とは、
    上記栓体が射出口まで達する際に上記注射液が射出口に
    流通するバイパスであることを特徴とする請求項5記載
    の注射器。
  7. 【請求項7】 上記開放機構は、上記栓体と接している
    上記外筒の壁面の一部に操作用孔が形成され、また上記
    栓体は該操作用孔からの操作により回動されて上記注射
    液の充填部分と上記射出口とを連通してなることを特徴
    とする請求項5記載の注射器。
  8. 【請求項8】 上記開放機構は、上記栓体と接している
    上記外筒の壁面の一部に操作用孔が形成され、また上記
    栓体には上記注射液の充填室内と上記射出口とを連通す
    る連通路が形成され、上記栓体内に上記連通路を遮断
    し、且つ上記連通路に一部挿入しうる遮断部材が摺動可
    能に埋設されると共に、上記操作用孔からの該遮断部材
    の摺動操作により上記連通路が遮断又は開放されること
    を特徴とする請求項5記載の注射器。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103961768A (zh) * 2014-04-24 2014-08-06 江西三鑫医疗科技股份有限公司 一种气动无针注射器

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