JPH08274700A - 無線通信システム - Google Patents

無線通信システム

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Publication number
JPH08274700A
JPH08274700A JP7100345A JP10034595A JPH08274700A JP H08274700 A JPH08274700 A JP H08274700A JP 7100345 A JP7100345 A JP 7100345A JP 10034595 A JP10034595 A JP 10034595A JP H08274700 A JPH08274700 A JP H08274700A
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JP
Japan
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base station
downlink
wireless
radio
transmission
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JP7100345A
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English (en)
Inventor
Koji Ogura
浩嗣 小倉
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】下り回線が上り回線に比べて高速な無線通信シ
ステムにおいて、安定した品質の無線回線を提供するこ
と。 【構成】無線基地局1001と無線通信端末1003との間に高
速な下り回線1004と低速な上り回線1006を設けて通信す
ると共に、下り回線には中継局1002を設け、基地局‐中
継局間の下り回線には鋭い指向性の指向性アンテナを用
い、中継局‐端末間の下り回線には無指向性のアンテナ
を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は無線伝送路において、無
線通信端末から無線基地局への上り回線に比べ、高速の
伝送を行う下り回線を備えるSDL(Super‐hi
gh‐speed Down‐Link)伝送を行う無
線通信システムに関する。
【0002】
【従来の技術】有線通信システムが設置位置固定の端末
との間での通信に使用するシステムであるのに対し、無
線通信は、移動する端末との間、あるいは離島や僻地、
空中や、宇宙など通信ケーブルを利用できない場合での
通信に使用するシステムであり、近年、その重要度はと
みに拡大している。
【0003】ところで、無線通信においては、画像伝送
等のようなデータ量の極めて多いデータを高速伝送でき
るようにしたいという要求から、回線の広帯域化を目指
す試みが種々図られている。そして、世の中がマルチメ
ディアの方向に向かうにつれ、無線通信の広帯域化は移
動通信だけでなく、無線LAN(ローカルエリアネット
ワーク)やその他の様々な無線サービスで共通の課題と
なっている。
【0004】ところでひとくちに無線通信の広帯域化と
いっても、既存の周波数割り当ての関係から、使い易い
周波数帯は利用できず、従って、利用できるのは波長の
短い周波数帯に限られることになる。短い波長の周波数
帯とは、具体的にはマイクロ波帯以上の高い周波数帯で
あり、周波数帯が高くなればなるほど、電波の減衰が大
きく、伝搬距離が短くなる傾向があって、しかも、遮蔽
物に弱く、見通しの通信出なければ通信できなくなる。
【0005】このような観点から、できればマイクロ波
帯を使用するのが良いが、しかし、画像伝送等を考慮し
た場合、望まれる伝送速度は100Mbps程度もあ
り、これに必要な周波数帯域幅は100MHz程度にも
なる。
【0006】しかし、マイクロ波帯でこのような広い帯
域幅を1ユーザが占有するということは電波が公共のも
のであるだけに極めて困難であり、現実的でない。
【0007】従って、広い帯域幅を確保するためには指
向性が高い準ミリ波帯やミリ波帯を用いるか、もしくは
周波数幅等の制限の無い赤外線を使わなければならない
ことになる。
【0008】しかしながら、ミリ波帯の電波や赤外線は
その伝搬の性質上、見通しで用いなければならない。そ
のため、基地局BSと端末PTとの間での通信に際し、
遮蔽物が基地局と端末との間に存在してしまうと、その
通信伝送の特性は著しく劣化し、通信不能となる場合も
多い。
【0009】図13に、マイクロ波等で実施されていた
無線通信システムの従来例を示す。このシステムでは、
無線基地局3101と無線端末3102とが遮蔽物であ
るパーテイション3103で遮られているとする。従っ
て、無線基地局3101と無線端末3102とは見通し
状態ではないが、マイクロ波などの比較的低い周波数帯
を使用している場合では、電波の回り込みがあるため、
遮蔽物による障害回避のための特別な施策をとらなくと
も通信障害はないから、基地局‐端末間での通信は支障
なく行える。
【0010】一方、ミリ波や赤外線ではその直進性から
図14に示すように、基地局3201と端末3202と
が見通しでなければ良好な品質の通信は行えず、これら
基地局3201と端末3202が遮蔽物3203で遮ら
れ、見通しでない領域3204に位置するところには端
末の設置が出来ないという問題が生じていた。
【0011】さらにまた、ミリ波帯の距離による減衰は
大きく、基地局と移動局である端末との間が数10mの
距離を隔てているような場合、無指向性アンテナで電波
を放射して相互に所定の通信品質を得ることができるよ
うにするためには非常に大きな送信電力を必要とすると
いった問題もあり、端末側での省エネ対策上、大きな障
害となる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】無線通信は移動通信ば
かりでなく、近年ではLANなどへの応用も広がり、画
像伝送等の要求に伴って、広帯域化が進んでいる。無線
通信システムに広帯域なものを要求する場合、周波数の
割り当てなどからマイクロ波以上の周波数帯の利用しか
望めず、マイクロ波帯では1ユーザが広い帯域を占有す
ることは事実上、不可能であるから準ミリ波やミリ波、
あるいは赤外線などの指向性の強い周波数帯を使用せざ
るを得ない。
【0013】しかしながら、このような電波や光を使用
する場合にはその特性上、見通し状態で通信する必要が
あり、通信路に遮蔽物があると通信品質は著しく劣化す
るか、あるいは通信不能の状態になる。
【0014】そこで、この問題点を克服するシステムと
して、例えば、モトローラ社のアルテアJシステムの如
きシステムがある。図15にその概要を示す。このシス
テムは、無線基地局であるCM 3301と、無線終端
局であるUM 3303からなり、このCM 3301
に対して見通しの位置にUM 3303を配置し、この
UM 3303と端末3302,3304との間はケー
ブル3305で接続する。
【0015】これにより、端末3302が遮蔽物330
4の陰に隠れて無線基地局であるCM 3301と見通
しの位置関係になくとも、基地局であるUM 3301
と端末3302との通信路を確保できるようにしてい
る。
【0016】しかしながら、このシステムは固定された
無線終端局であるUMと複数端末とを、ケーブルにより
接続する構成であるため、固定された端末の収容しか行
えないという問題点があった。
【0017】さらに、CM‐UM間で下り回線・上り回
線共に同じ周波数帯での見通しの通信を行っているた
め、CM‐UM間を人が通り、見通しでなくなった場合
では双方のリンクが切断されてしまい、完全に通信不能
な状況となってしまうという問題点があった。
【0018】このように、従来技術では、無線通信にミ
リ波帯や赤外線に適用しようとする場合、見通しでない
場所での通信品質は著しく低下するので、無線LANな
どのように室内や構内に構築する通信システムでは人の
活動や、物の移動などで通信路を遮蔽される危険が多
く、通信を阻害されて運用上の大きな問題となる。
【0019】さらには、これを避けるべく無線終端局と
基地局を見通し位置に配置し、無線終端局と端末をケー
ブルを介して接続する方式では、端末の移動性を著しく
阻害してしまい、近年のように、端末は小形軽量化さ
れ、個人々々が携えてどこでも自由に使用できるように
する方向に技術が進む中で、このような利用のために開
発された携帯用無線端末をシステムに組み入れることは
ケーブル接続という点がネックとなって導入が甚だ困難
となる。
【0020】ゆえに、既存の技術では無線通信端末との
間で、大量の情報を高速に授受することを可能にしたい
という要求を実現することができず、非接触で基地局と
端末との間での通信を行えるようにすると共に、システ
ムの省エネ化を図ることができ、しかも、高速な伝送速
度のデ−タ伝送を実現できる無線通信システムの開発が
嘱望されている。
【0021】そこで、この発明の目的とするところは、
広い帯域幅、例えば、100MHz以上もの帯域幅を確
保できて高速なデータ伝送を可能にすると共に、基地局
側と移動局側とが離れていても送信電力を少なくできて
低消費電力化を図ることができ、しかも、通信障害を起
こしにくい構成とした無線通信システムを提供すること
にある
【0022】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決し、目的
を達成するために本発明は、第1には、無線基地局と無
線中継局と無線通信端末から構成される無線通信システ
ムであって、前記無線基地局から前記無線通信端末への
情報伝送のための下り回線は、高い周波数の電波を使用
し、かつ、伝送は前記無線中継局を介して広帯域で行う
構成とし、前記無線通信端末から前記無線基地局への情
報伝送のための上り回線は前記下り回線より低い周波数
の電波を使用すると共に、前記無線基地局から前記無線
中継局への伝送には、少なくとも前記無線基地局側に指
向性アンテナを用い、前記無線中継局と前記無線通信端
末間の伝送には無指向性アンテナを用い、また少なくと
も前記無線中継局には前記無線基地局からの前記下り回
線受信用に前記無線基地局の指向性アンテナと同等もし
くはそれよりも緩い指向性の指向性アンテナを用いるこ
とを特徴とする。
【0023】第2には、前記無線通信端末から前記無線
基地局への上り回線は前記無線中継局を介さないで行わ
れ、下り回線のみが無線中継局を介して行われ、前記無
線基地局と前記無線中継局間の下り回線の伝送には、少
なくとも前記無線基地局側に指向性アンテナが用いら
れ、前記無線中継局と前記無線端末間の下り回線の伝送
には無指向性アンテナ、あるいは少なくとも前記無線中
継局には前記無線基地局‐前記無線中継局間の下り回線
に用いられる指向性アンテナよりもゆるい指向性の指向
性アンテナが用いられ、前記無線通信端末と無線基地局
間の上り回線の伝送には無指向性アンテナ、あるいは少
なくとも前記無線基地局には指向性アンテナを用いるこ
とを特徴とする。
【0024】第3には、無線基地局と無線中継局と無線
通信端末から構成され、無線基地局と無線端末間の通信
は広帯域の下りの片方向の回線と狭帯域の上り下りの双
方向の回線により接続され、少なくとも広帯域の下り回
線は無線中継局を介して行われ、広帯域の下り回線のう
ち、前記無線基地局と前記無線中継局間では、少なくと
も前記無線基地局には指向性アンテナを用い、広帯域の
下り回線のうち、前記無線中継局と前記無線端末間では
無指向性アンテナ、あるいは少なくとも前記無線中継局
には前記無線基地局と前記無線中継局間の下り回線の用
いられる指向性アンテナよりもゆるい指向性の指向性ア
ンテナが用いられ、前記無線通信端末と無線基地局間の
狭帯域の下り回線の伝送には無指向性アンテナ、あるい
は少なくとも無線基地局には指向性アンテナが用いら
れ、前記無線通信端末と無線基地局間の上り回線の伝送
には無指向性アンテナ、あるいは少なくとも無線基地局
には指向性アンテナが用いられることを特徴とする。
【0025】ここで、広帯域/狭帯域という曖昧な表現
の定義を行う。SDLシステムでは下り回線の伝送速度
は上り回線の伝送速度の10倍程度を想定している。本
発明では広帯域の下り回線の伝送速度をR1、狭帯域の
上り回線の伝送速度をR2、狭帯域の下り回線の伝送速
度をR3とし、次の様な条件で定義する。
【0026】R1・R2・R3は固定の伝送速度とは限
らず、可変伝送速度である場合も考えられるが、いかな
る場合にも R1>R2 R1>R3 が成り立つとき、この伝送速度R1を広帯域、伝送速度
R2,R2を狭帯域という。
【0027】第4には、基地局と中継局の間の下り回線
は赤外線で接続し、中継局と無線端末の間の下り回線は
電波により接続する。
【0028】基地局と端末間は中継局を介した広帯域の
下り回線と、必ずしも中継局を介さない狭帯域の上り回
線を少なくとも持ち、必ずしも中継局を介さない狭帯域
の上り回線を持つ場合もある。
【0029】中継局‐無線端末間では両方に無指向性ア
ンテナを設置するか、あるいは少なくとも中継局側には
指向性アンテナを設置する。
【0030】第5には、基地局と中継局間の下り回線は
赤外線で接続され、中継局と無線端末間の下り回線も赤
外線で接続される。基地局と無線端末間は広帯域の下り
回線と、狭帯域の上り回線を少なくとももち、他に狭帯
域の下り回線をもつ場合もある。
【0031】第6には、基地局と中継局の広帯域の下り
回線は赤外線で接続され、中継局と無線端末の広帯域の
下り回線は赤外線で接続され、無線端末と基地局の狭帯
域の上り回線は電波により接続されることを特徴とす
る。
【0032】
【作用】上記第1の構成の場合、無線基地局と無線中継
局と無線通信端末から構成される無線通信システムで、
前記無線基地局から前記無線通信端末への少なくとも下
り回線は広帯域の高い周波数の伝送媒体により、前記無
線中継局を介して行われ、前記無線通信端末から前記無
線基地局への上り回線は下り回線の帯域より狭い帯域で
かつ下り回線の周波数より低い周波数の伝送媒体によ
り、伝送されるようになる。
【0033】そして、前記無線基地局から前記中継局を
介して行われる前記無線通信端末への下り回線の伝送速
度よりも前記無線通信端末から前記無線基地局への上り
回線の伝送速度は遅くすることで、大量の情報の伝送を
高速で行う必要のある下り回線のみを広帯域とし、その
必要性の低い上り回線は狭い帯域で低速伝送としたこと
で、周波数の有効利用を図り、合理的な通信システムと
するようになる。
【0034】すなわち、このような非対象な伝送速度を
持つ通信システム(SDLシステム)とすることで、大
量の情報の伝送を高速で行う必要のある下り回線のみを
広帯域とし、その必要性の低い上り回線は狭い帯域で低
速伝送として、周波数の有効利用を図り、合理的な通信
システムとするようにした。
【0035】また、前記無線基地局と前記無線中継局間
の伝送には、少なくとも前記無線基地局側に指向性アン
テナが用いられており、これにより送信電力の省電力化
を図るとともに、前記無線中継局と前記無線通信端末間
の伝送には無指向性アンテナ、あるいは少なくとも前記
無線中継局には前記無線基地局‐前記無線中継局間に用
いられる指向性アンテナよりもゆるい指向性の指向性ア
ンテナを用いることでアンテナの調整精度を緩和して、
しかも、前記無線通信端末の移動の自由度を向上させ
た。
【0036】SDLのようなシステムでは広帯域な下り
回線が要求されるため、広い周波数帯域幅を確保するた
めに少なくとも下り回線には準ミリ波帯やミリ波帯以上
の高い周波数帯や赤外線での伝送が必要となる。
【0037】本発明では、無線中継局は無線基地局と無
線中継局間でのミリ波帯や赤外線を用いた伝送において
良好な品質の得られる位置に設置される。さらに中継局
と無線端末間でも良好な品質の得られる位置に中継局は
設置される。
【0038】この設置により、無線基地局と無線端末間
が見通しでない場合にも、SDLシステムの広帯域な下
り無線回線の良好な品質を保つことが可能となる。
【0039】無線基地局と中継局間の下り回線に関して
は、少なくとも無線基地局に強い指向性をもった指向性
アンテナを設置する。SDLシステムの広帯域な下り回
線は、100Mbps以上の伝送速度、ミリ波での伝送
が有力となる。ミリ波帯はその周波数の高さにより伝搬
損失が大きい。無線基地局と無線中継局の距離をある程
度とろうとした場合、非常に広い帯域幅とその伝搬損失
の大きさから基地局側ではかなりの大きな送信電力で出
力しなければならない。無線基地局と中継局の間で指向
性アンテナを用いることで、基地局側出力の送信電力を
劇的に減少させることが可能になる。
【0040】無線中継局と無線端末間では双方に無指向
性アンテナを用いるか、あるいは中継局側に緩い指向性
アンテナを用いる。緩い指向性アンテナを用いた場合で
も、端末が存在しうるであろう所定のエリアをカバーす
る様な指向性を持たせるか、複数のアンテナを用いて所
定のエリアをカバーする様な方策をとる。これにより、
無線端末の移動性を損なわずに通信を行うことが可能で
ある。
【0041】SDLシステムでは、無線端末から基地局
への上り回線は狭帯域の回線であり、マイクロ波帯等の
適用可能である。マイクロ波では見通し外でも一定の通
信品質を得ることが可能であるため、中継局を介さない
で直接基地局との通信を行うことが出来る。また、中継
局を介して基地局と通信を行う場合でも、人などが通る
ことにより基地局‐中継局間の見通しが遮られてしまっ
たとしても、マイクロ波帯での見通し外通信が可能であ
ることから、その接続が遮断されることは少ない。この
様なシステムを構築することで、上り下りの回線が同時
に瞬断されてしまう事態を回避することが可能である。
【0042】従って、本発明によれば、100Mbps
の伝送速度を得るに必要な100MHz以上の帯域幅を
確保できると共に、基地局側と移動局側とが離れていて
も、送信電力を少なくすることができて低消費電力化を
図ることができ、しかも、通信障害を起こしにくい構成
とした無線通信システムを提供することができる。
【0043】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
て説明する。まず初めに、本発明の前提条件を説明す
る。
【0044】本発明者等は、高速な通信を行うことがで
きるようにすると共に、周波数の有効利用を図ることが
でき、かつ、利用者側の携帯性や実用上の利便のために
小型・高機能な携帯型の無線通信端末を利用できるよう
にするという観点から、基地局より端末への下り回線の
伝送速度が、端末から基地局への上り回線の伝送速度に
比べて一桁以上高い、非対称な伝送速度を持つ無線通信
システム(SDLシステム)を提案した(例えば、特願
平6‐137621号参照)。
【0045】このSDLシステムというのは、図1に示
す如きものであって、公衆網 Networkに繋がる無線基地
局BSがあり、各無線基地局BSでは広い周波数帯域を持
つ下り回線R1と、狭い周波数帯域を持つ上り回線R2
とを持つ。各無線基地局BSではこの下り回線R1によ
る通信可能なサービスエリアA内の無線通信端末termin
alと、下り回線R1および上り回線R2を用いて通信す
ることができ、移動可能な無線通信端末(移動端末)を
含めて各サービスエリアA内の無線通信端末と、公衆網
Networkに繋がる端末やデータベース等との間では情報
の授受を行うことができるものである。
【0046】ここで、個人々々が携帯する無線通信端末
は、普通一般的には一人の人間が入出力を行う個人専用
機である。従って、一人の個人が送受信する情報の量に
整合のとれた伝送容量と方式が要求される。また、個人
々々が携帯するわけであるからこのような個人向け無線
通信端末は、当然、小形軽量化が要求され、重量のある
電池を余分に携行せずとも済むように省電力化も要求さ
れる。
【0047】そして、個人々々が携帯する無線通信端末
の用途を考えると、当該端末では例えば、マルチメディ
アを想定した場合、映画の鑑賞、音楽の鑑賞、ショッピ
ング、データベースの利用、通話、書面の転送、売り上
げデータや予約データ伝送、チケット予約、雑誌や新聞
等のマスメディアの情報取得(読書等)などがあり、こ
れらのうち、端末側から基地局に送る必要があるのは音
声や、文書データ、予約データ、コマンドなどであり、
これらはデータ圧縮の技術を併用することで、1秒間に
数キロビット程度に抑えるようにすることができ、それ
ほど高速伝送が要求されないものである。
【0048】一方、最も高速伝送の必要があるのは映画
(動画)の場合の画像データであり、このような大容量
のデータを高速で伝送する必要があるのは基地局側から
のみであるとの制限を与えれば、周波数帯域の有効利用
という観点から考えると、基地局側からのダウンリン
ク、すなわち、下り回線のみ広帯域とし、端末側から基
地局への上り回線(基地局側へのアップリンク)では狭
い帯域(つまり、低速伝送)の伝送路が確保できれば良
い。
【0049】そのため、SDLシステムでは上述のよう
に、広帯域の下り回線と、狭帯域の上り回線という基本
構成を採用した。
【0050】このSDLシステムにおける無線通信基地
局BSと無線通信可能な移動端末との関係をもう少し詳
しく説明する。図2にその概念図を示すように、無線通
信基地局BSとそのサービスエリアA内にある無線通信
可能な移動端末である個人携帯端末電子装置PTとは、
これらの間の無線回線として基地局BSから個人携帯端
末電子装置PTへの広帯域の下り回線R1と、端末(個
人携帯端末電子装置PT)から基地局BSへの狭帯域の
上り回線R2が用意されていてこれら回線で互いに通信
することが可能である。
【0051】SDLシステムでは下り回線R1において
は広帯域(例えば、100Mbps以上)で情報の伝送
がなされる。そのため、SDLシステムを電波による無
線伝送で実現するには100MHz以上(但し、これは
多値変調を行わない場合)の周波数帯域幅を確保しなけ
ればならない。電波は周波数が低い方が、障害物の存在
に対しても通信の阻害要因となりにくいから、低い周波
数帯を使用したいところであるが、低い周波数帯はすで
に他の様々な用途に割り当てられており、使用できな
い。
【0052】そこで、次善の策としてはマイクロ波帯を
使用するのが良いが、しかし、マイクロ波帯ではこのよ
うに100MHz以上という極めて広い帯域幅を1ユー
ザが占有するということは問題であり、現実的でない。
【0053】従って、100MHz以上という帯域幅を
確保するためには指向性が高い準ミリ波帯やミリ波帯を
用いるか、もしくは周波数幅等の制限の無い赤外線を使
わなければならないことになる。
【0054】準ミリ波帯やミリ波帯、あるいは赤外線を
用いる場合、これらは見通しで通信する必要があり、ま
た、伝搬距離に対応して減衰も大きくなるから、省エネ
化の観点からもその実現には様々な難問が残る。
【0055】そこで、この発明では基本的には見通しで
通信することを前提に、省電力化を図ることができ、端
末の自由度(移動度)を確保しつつ、高い通信品位が得
られることを目的として以下のように実施するようにし
た。
【0056】(第1の実施例)第1の実施例において
は、下り回線については準ミリ波あるいはミリ波を使用
し、端末と無線基地局との間に無線中継局を介在させ
て、この無線中継局を利用して通信し、上り回線につい
ては帯域が狭いのでマイクロ波を利用して端末と無線基
地局で直接、通信するようにしたものである。
【0057】図3は本発明の第1の実施例の構成を示し
た概念図である。
【0058】図3において、1001は無線基地局、1
002は無線中継局、1003は携帯無線端末、100
4は下り回線、1005は下り回線、1006は上り回
線、1007は通信エリア、1008は遮蔽物である。
【0059】携帯無線端末1003は移動可能な小形軽
量の無線通信端末であり、無線基地局1001と無線回
線である下り回線1004と上り回線1006とにより
双方向に通信できて情報の授受ができる。
【0060】無線基地局1001と携帯無線端末100
3間では準ミリ波帯やミリ波帯を使用した通信回線10
0Mbpsの伝送速度の下り回線(高速な下り無線通信
回線)1004と、マイクロ波帯を使用した30kbp
sの伝送速度の上り回線(低速な上り無線通信回線)1
006を用いた通信が行われるように無線基地局100
1と携帯無線端末1003は構成してある。
【0061】下り回線1004は無線基地局1001か
ら他への伝送用の回線であり、図1におけるR1に該当
するものであって、指向性アンテナを使用して高速通信
することができる回線となっている。上り回線1006
は他から無線基地局1001への伝送用の回線であり、
図1のR2に該当するものであって、無指向性アンテナ
を用いて低速通信することができる回線となっている。
【0062】遮蔽物1008は準ミリ波やミリ波を使用
した通信回線にとって、通信の妨げになるような障害物
であり、壁やついたて、あるいはロッカーや本箱など、
見通しを遮るようなもの全てが該当することになる。
【0063】無線中継局1002はこのような遮蔽物1
008の上に設置される中継局であり、無線基地局10
01とは見通しの位置に置かれる。無線中継局1002
は下方の所定範囲を無線通信端末1003との通信エリ
アとしており、1007がその通信エリアである。無線
中継局1002は無線基地局1001からの下り回線1
004を通信エリア1007内に中継し、通信エリア1
007内に無線通信端末1003があるとき、この無線
通信端末1003からの上り回線1006を無線基地局
1001に中継する機能を有している。なお、無線中継
局1002は基地局‐中継局間の下り回線と異なったミ
リ波帯で通信エリア1007内に下り回線1004を送
信する構成である。
【0064】このような構成において、携帯用の無線通
信端末1003から無線基地局1001へはマイクロ波
帯を利用した狭帯域の上り回線(上り無線通信回線)1
006で、30kbpsの伝送速度の伝送が直接行われ
る。マイクロ波帯の場合、見通しでなくとも電波の回り
込みがあるため、数十m程度の距離ならば、通信品質を
損なうことなく通信することができる。
【0065】一方、無線基地局1001から無線通信端
末1003への伝送には準ミリ波帯やミリ波帯を使用し
た100Mbpsの伝送速度の下り回線(下り無線通信
回線)1004を用いた通信が行われる。
【0066】この下り回線1004は無線中継局100
2により中継され、その通信エリア1007内に無線通
信端末1003があるときこの無線通信端末1003と
の間で下り回線1004が利用できる。
【0067】ここで、本システムにおいては上述したよ
うに、無線基地局1001と中継局の間の下り回線10
04は準ミリ波帯あるいはミリ波帯により伝送される構
成としてあり、無線基地局1002の下り回線用のアン
テナには指向性アンテナを用いるようにしてある。
【0068】また、無線中継局1002側にも下り回線
1004の受信用には同様に指向性アンテナを用いる。
指向性アンテナを使用すると、電界強度の分布範囲がシ
ャープになるので、送信側と受信側のアンテナの指向方
向を互いに一致させれば、送信側では最小の電力で効率
良く受信側に情報伝送することができ、受信側でも効率
良く情報を受信することができる。
【0069】なお、指向性が強いアンテナを用いること
で、無指向性のアンテナに比べて送信電力の省電力化が
図れるが、サービスエリアが狭くなる。これを解消する
ためには基地局を複数箇所に設けるようにしたり、ある
いは1つの基地局に各中継局に向けて、指向性が強いア
ンテナをそれぞれ設け、これら基地局のアンテナに中継
局のアンテナを向けておけば、点在する各中継局に下り
回線の伝送をすることができる。
【0070】また、指向性が強いアンテナを用いること
で、基地局を複数箇所に設けて各中継局のアンテナを各
基地局に向けるようにしておくこともでき、この場合、
いずれかの基地局の下り回線が遮蔽物に遮蔽されて通信
路が絶たれた場合でも、残りの遮蔽されていない基地局
の下り回線を利用した通信が可能となり、信頼性の高い
システムが構築できるようになる。
【0071】但し、受信側では指向性を強めるとそれだ
け、アンテナの設置時に、基地局アンテナに対する向き
を精度良く合わせなくてはならず、その調整が厄介とな
るので、これを解消する他の例も示しておく。
【0072】本システムにおいて使用可能な指向性アン
テナの特性を示すとつぎの図5の通りである。図5
(a)〜(c)は水平面からみた指向性アンテナのビー
ムパターンを示したものであり、これらは無線基地局1
001と無線中継局1002の広帯域下り回線に用いる
アンテナのパターンであるが、例えば、第1の実施例で
想定している本システムでは図5(a)の如く、基地局
(無線基地局)および中継局(無線中継局)ともに、5
度ほどのビーム幅を持ったビームパターンの指向性アン
テナを用いるようにしている。
【0073】もちろん、これに限るものではなく、その
他の例としては、図5(b)のように、基地局側の下り
回線用送信アンテナは5度ほどのビーム幅を持ったビー
ムパターンの指向性アンテナを用いるが、中継局側の受
信アンテナには基地局側よりも緩い120度程度のビー
ム幅の指向性アンテナを用いるようにした例である。基
地局側よりも緩い指向性にしたことで、中継局側に要求
されるアンテナ設置の調整精度が先の例より緩和され
る。
【0074】また、図5(c)に示すように基地局側は
5度ほどのビーム幅を持ったビームパターンの指向性ア
ンテナを用いるが、中継局側には無指向性アンテナを用
いるようにすることも考えられる。この場合、中継局側
での受信品位が多少悪くなるが、中継局側に要求される
アンテナ設置の調整精度は全く無視でき、設置が非常に
楽になる。
【0075】このように、第1実施例における本システ
ムでは、基地局側には少なくとも指向性アンテナを用い
る。また、端末の移動の自由度と基地局設置密度などを
含めて考えた場合、基地局と移動局(無線通信端末)の
間は数10m程度の距離を隔てても通信可能な構成とす
ることが望ましいので、ここでは基地局と移動局の間は
数10m程度を想定する。
【0076】距離伝搬によるミリ波帯の減衰は大きく、
数10mの距離を無指向性アンテナで放射して所定の品
質を得るには非常に大きな送信電力を必要とする。ま
た、本システムではSDL伝送を行う無線通信システム
を対象としており、このSDL伝送を行う無線通信シス
テムでは、100Mbpsという伝送速度の下り回線を
実現するために100MHz以上の帯域幅を用いている
ため、無指向性アンテナとした場合、さらに大きな送信
電力を必要とする。
【0077】しかし、本システムでは基地局側のアンテ
ナを指向性アンテナとし、また、中継局1002を設け
ると共に、この中継局1002の設置位置を固定として
あり、基地局側でビームを鋭く絞るようにしたことで、
送信電力を劇的に軽減することが可能である。
【0078】また、無線中継局1002は無線基地局1
001と見通し、あるいは十分な通信品質が得られる箇
所に設置でき、当然このような位置を見定めて設置され
ると共に、また端末1003が移動すると考えられる領
域について見通し、あるいは十分な通信品質が得られる
箇所となるような位置を選んで設置される。
【0079】本システムにおいては、無線中継局100
2で中継された下り回線は、無線中継局1002から端
末1003へと伝送されるが、無線中継局1002では
この下り回線は、無指向性のアンテナを用いて伝送が行
われる構成であり、無線中継局1002は自局周辺領域
に端末と通信可能なゾーンである通信エリア1007を
形成することになり、この範囲において端末1003と
通信することができる。なお、当然鋸とながら、端末1
003は自由度を高めるために無指向性アンテナを使用
する。
【0080】上述したように本システムにおいては、無
線中継局1002と端末間の下り回線は、基地局‐中継
局間の下り回線と異なったミリ波帯で送信される構成で
あるが、これは必須の要件ではなく、当然同一の周波数
で実施しても差支えない。
【0081】また、無線中継局1002は複数設けるこ
とができ、無線中継局1002は天井や、ついたての上
等に設置されてその通信エリア1007内における中継
局‐端末間の距離は数10cmから数mであり、中継局
に無指向性のアンテナが用いられても距離が短いために
無線中継局1002での下り回線送信のパワー、すなわ
ち、送信電力は小さくとも、十分な品質を得ることが出
来る。
【0082】中継局‐端末間で用いられるアンテナのパ
ターンを図6に示す。図6(a)〜(d)は中継局‐端
末間の広帯域の下り回線に用いられるアンテナのパター
ンを示したものであり、端末側は無指向性アンテナを用
いるとし、そのアンテナパターンは記載していない。
【0083】上述の例は図6(a)であり、中継局(無
線中継局)に無指向性のアンテナを用いる場合である。
また、図6(b)では中継局は120度程度のビーム幅
を持つ指向性アンテナを用いている。
【0084】これにより、中継局はより小さなパワーで
送信することが可能となる。また、端末が複数存在した
場合にビームの方向で各端末を区別することが可能とな
る。この場合には端末の位置を中継局側で検出する機構
が必要となり、端末の高速な移動に対しては下り回線が
切断されてしまうことも考えられるが、高速で移動しな
い端末や半固定の端末には適している。
【0085】図6(c)は、120度程度のビーム幅で
3つの領域をそれぞれカバーするようにした例である。
これはセクタ化と言い、全てのエリアを複数のビームで
カバーする方式であって、この方式においてはセクタ化
によって通信領域を複数に分割し、周波数の利用効率を
高めることが可能となる。
【0086】図6(d)は、予め端末が存在しない領域
がわかっている場合の例を示している。ある方向が壁で
あったり、棚がある場合など明らかに端末が存在し得な
い領域4001がある場合、それ以外の方向にビームを
向ける。これにより、送信電力を節約することが可能と
なる。
【0087】いずれのケースにせよ、基地局で無指向性
のアンテナを用いてる場合、あるいは基地局側でセクタ
化を行って全範囲を1つの基地局でカバーする場合に比
べ、本システムのように、中継局を配置して距離の長い
基地局‐中継局間は鋭いビームの指向性アンテナを用
い、数10cm程度の短い距離の中継局‐端末間を無指
向性あるいは緩い指向性のアンテナで伝送する方式を採
用するようにした方が、トータルの電力を低く抑えるこ
とが出来るようになる。
【0088】なお、本実施例では基地局‐中継局間を数
10m、中継局‐端末(無線通信端末)間を数10cm
から数mとしたが、これはあくまでも一例であって、そ
の距離は一般的に “基地局‐中継局間の距離” > “中継局‐端末間の距離” となるようなシステムにおいて言えるものである。しか
し、そのようなシステム構成をとったとしても、端末が
基地局近くでの通信を行う場合に中継局を介して行う場
合を除外するものではない。
【0089】このように、基地局と端末との間の中継ぎ
を行う中継局設けて下り回線の中継を行うようにし、中
継局と端末との間の伝送は無指向性アンテナまたは比較
的緩い指向性のアンテナで実施する構成とすることで、
下り回線に準ミリ波帯やミリ波帯を使用していても、端
末の移動性は格段に向上させることができる。
【0090】従来例で説明したようなケーブルによる接
続を前提とした通信システムでは、電源をコンセントか
ら得ているような位置固定の端末を利用するには適して
いたが、小型化,省スペース化が図られた携帯型移動端
末が広く普及している現実を考えたとき、このような携
帯型移動端末はその殆どがバッテリで駆動する電源方式
であるから、ケーブル接続して使用する形態を採用する
ことは、その移動性を著しく妨げることになり甚だ不都
合である。
【0091】中継局を設けず、基地局‐端末間を直接指
向性アンテナを用いて伝送を行うシステムもあるが、こ
の場合には、端末の位置はほとんど固定しておかなけれ
ばならず、また移動に際しては端末の位置を追跡する機
能が必要となり、高速な端末移動を困難にする。
【0092】しかし、以上の実施例のように、基地局‐
端末間の通信に際し、広帯域の下り回線には中継局を設
け、基地局‐中継局間は指向性アンテナを用い、中継局
‐端末間は無指向性あるいは緩い指向性のアンテナを用
いることで、トータルの送信電力を劇的に減少でき、ま
た端末にとってはその移動性が格段に向上する。
【0093】また、本システムにおいては、端末100
3から基地局1001への狭帯域の上り回線1006は
マイクロ波帯を用いて行うようにした。上り回線は30
kbps程度の伝送速度であるので、マイクロ波帯の領
域で十分帯域幅を確保することが可能である。そして、
マイクロ波帯はその伝搬特性から見通しでなくとも十分
な品質を得ることが可能であるため、中継局を介さない
で直接基地局へ伝送することが可能である。
【0094】図7に本システムに採用した基地局‐端末
間の狭帯域上り回線のアンテナ指向性パターンを示す。
本システムにおいては、基地局‐端末間は双方無指向性
アンテナを用いるようにするか、あるいは図7(a)に
示すように、基地局側が120度程度の指向性を持った
ビームを複数用いて全領域をカバーするセクタ化がなさ
れるようにするか、あるいは図7(b)に示すように、
特定の端末に向けて120度程度のビーム幅を持つ指向
性アンテナを用いるようにする。
【0095】そして、いずれの場合も基地局で用いられ
る下り回線のアンテナの指向性よりは緩い指向性のアン
テナが用いられる構成である。
【0096】上り回線に無指向性のアンテナを用いる構
成としたことにより、端末側や基地局側で、ともに鋭い
ビームの指向性アンテナを用いた場合に比べ、端末側の
送信電力は大きくなってしまうことは否めない。しか
し、端末から基地局への伝送路である上り回線の帯域幅
は、せいぜい30kbps(30kHz)であり、しか
も送信距離は数10m程度である。この数10m程度の
距離を直接無指向性のアンテナを用いて送信したとして
も、端末全体の消費電力を著しく増加させるものではな
い。従って、基地局側に比較的緩い指向性アンテナを用
いる構成とする程度で十分である。
【0097】また、本システムでは上り回線に無指向性
アンテナを用いて、マイクロ波帯での伝送を行うように
したことで、基地局‐中継局間に遮蔽物が現れ、下り回
線がこの遮蔽物により遮断されてしまったような場合で
も、上り回線は切断されるがない。そして、上り回線が
接続されていることで、下り回線の切断を基地局側に通
知することが出来、従って、種々の回線切断対策を講じ
ることが可能となる。
【0098】以上、第1の実施例に示したシステムは、
無線通信端末と無線基地局との間で情報授受を行う無線
通信システムであって、無線通信端末から無線基地局へ
の上り回線に比べ、高速の伝送を行う下り回線を備える
SDL伝送を行う無線通信システムにおいて、基地局と
見通しの位置に少なくとも一つの中継局を配置すると共
に、基地局の下り回線には周波数としてミリ波帯を用
い、上り回線にはマイクロ波帯を用いる構成とし、上り
回線の通信は無線通信端末と無線基地局との間で直接行
い、下り回線の通信は無線基地局より中継局を介して行
うようにすると共に、下り回線による無線基地局より中
継局への通信には指向性アンテナを用いて行い、中継局
と無線通信端末への下り回線の授受は互いに無指向性の
アンテナを用いて基地局‐中継局間の下り回線と異なっ
た周波数のミリ波帯で行う構成とした。
【0099】このように、基地局と見通しの位置に中継
局を配置すると共に、端末は中継局を介して下り回線の
授受を行うようにしたので、下り回線はミリ波帯を使用
しても障害物に回線をしゃ断される心配なく安定的に通
信することができる他、下り回線には周波数としてミリ
波帯を用いているのでSDL伝送に対応することがで
き、また、基地局の下り回線用には指向性アンテナを用
いるようにしたことにより、基地局と端末との間の距離
が多少長くとも少ない電力量で伝送することが可能にな
る。また、上り回線にはマイクロ波帯を用いる構成とし
たことで、障害物の影響が少なくなり、従って、上り回
線は中継局を介さずに端末‐基地局間で直接通信を実行
可能になる。
【0100】すなわち、上り回線はマイクロ波帯を用い
て行うが、上り回線は30kbps程度の伝送速度であ
るので、マイクロ波帯の領域で十分帯域幅を確保するこ
とが可能であり、マイクロ波帯はその伝搬特性から見通
しでなくとも十分な品質を得ることが可能であるため、
中継局を介さないで直接基地局へ伝送することが可能で
ある。
【0101】ゆえに、本実施例によれば、下り回線のS
DL伝送が無線通信により実施可能であり、安定した通
信が行えると共に、省電力化を図ることができる他、端
末の移動の自由度が高い等の効果が得られる無線通信シ
ステムが得られる。
【0102】以上は、基本的システムを述べた、本シス
テムにはこの他にも種々のバリエーションが考えられる
のでその実施例をつぎに述べる。
【0103】図4は図3で示した本発明の概念を模式的
に示したブロック図である。無線基地局2001と無線
中継局2002は準ミリ波帯またはミリ波帯による広い
周波数帯域の高速の下り回線2004で接続され、中継
局2002と無線端末2003は同様の高速の下り回線
2005で接続され、端末2003と基地局2001は
低速の上り回線2006で直接接続されている。各回線
の線の太さは伝送速度の高速/低速を示すものとする。
各回線が電波で接続されている場合、各アンテナの指向
性は第1の実施例に従うものとする。
【0104】以下、このような模式図に従って本発明の
他の実施例である第2の実施例乃至第6の実施例を説明
する。
【0105】(第2の実施例)本発明の第2の実施例で
は図4に示す基地局(無線基地局)1001から中継局
(無線中継局)1002への間での下り回線1004の
伝送については、第1の実施例のように電波ではなく、
赤外線で行うようにしたものである。その他は第1の実
施例と同様とする。
【0106】赤外線は光であり、その性質上、直進性に
優れており、固定局間の伝送には適している。従って、
固定局である基地局と中継局において、その下り回線は
赤外線のビームで伝送される構成とした。
【0107】第1の実施例では基地局‐中継局間の伝送
と中継局‐端末間の伝送が同じ周波数あるいは周波数帯
で行われていたため、その周波数設計においては混信す
る場合が考えられる。
【0108】しかし、第2の実施例のように基地局‐中
継局間の下り回線を赤外線利用とすることで、その問題
点を克服することができる。
【0109】(第3の実施例)本発明の第3の実施例を
示す。第3の実施例においては図4の構成において中継
局から端末への下り回線1005のみを赤外線利用とし
た。その他は第1の実施例に従う。赤外線による伝送に
は赤外線を散乱させたゾーン内の端末と通信を行う手法
も提案されている(IEEE Personal Co
mmunications,Second Quart
er,PP.12‐25,(1994))。
【0110】赤外線による伝送では蛍光灯などの照明の
発する光が妨害波となる。また、散乱による伝送といえ
ども光による通信である以上見通しで条件であることに
変わりはない。
【0111】中継局‐端末間の通信は中継局を机上のつ
いたての上に設置したりロッカーの上や本箱の上等にお
く場合に、天井などに配置されている照明との距離に比
べ非常に近くすることが可能であれば、照明などの影響
を受けにくい。そのため、このような条件を満たすエリ
アについては第3の実施例を適用することが可能にな
る。
【0112】中継局と端末はほぼ見通しに近い位置に設
置できるため、赤外線での伝送に適している。
【0113】すなわち、先に記述したように第1の実施
例では基地局‐中継局間と中継局‐端末間で同様の周波
数帯を用いることで混信するおそれがあるという問題点
がある。本実施例においては中継局‐端末間の下り回線
伝送を赤外線利用とすることで、前記問題点を解決する
ものである。
【0114】(第4の実施例)本発明の第4の実施例を
示す。この実施例も下り回線に赤外線を利用する構成で
あり、この第4の実施例は図4の構成において基地局‐
中継局間の下り回線1004に鋭いビームの赤外線を使
用し、中継局‐端末間の下り回線1005には散乱型の
赤外線を使用する構成である。
【0115】このような構成でシステムを構築出来るこ
とは、第4の実施例が第2の実施例および第3の実施例
の組み合わせである点から説明を要しないであろう。
【0116】本実施例ではミリ波帯の周波数を用いるこ
となしに下り回線の伝送を可能にするシステムを構築で
きる。準ミリ波帯やミリ波帯用のデバイスは非常に高価
であり、またデバイス間のアイソレーションをとるため
のシールドの問題が深刻である。さらに、現在存在する
ミリ波帯デバイスは大型のものが多く、端末や中継局、
基地局の小型化・低価格化には適していない。
【0117】本実施例によれば、それぞれの広帯域の下
り回線を赤外線で構成することで、端末・基地局・中継
局の小型化・低価格化を実現することが可能になる。
【0118】(第5の実施例)つぎに本発明の第5の実
施例を示す。第5の実施例は図4の構成において中継局
1002‐端末1003間をマイクロ波帯などの低い周
波数帯で行うようにする構成としたものである。
【0119】中継局‐端末間は見通しであり、せいぜい
数10cm乃至数m程度の距離であり、非常に狭い領域
である。そこで、中継局‐端末間での下り回線の伝送に
はその狭い領域以外にはほとんど漏れない程度の非常に
微弱なマイクロ波帯を利用するようにする。
【0120】この場合、外には漏れない事を条件に低い
周波数帯域で100MHz程度の帯域幅を確保すること
が許されれば、その帯域を用いての伝送を行う。また、
見通しであるため伝送路の変動がほとんど無く、QAM
等の多値変調を用いることが出来るので、多値変調を用
いて狭い帯域で100Mbpsの伝送を行うことが可能
となり、マイクロ波程度の周波数帯での伝送が可能とな
る。
【0121】この実施例の場合、端末はミリ波帯デバイ
スを用いなくて良いので、小型化・低価格化が可能とな
り、また、基地局‐中継局、中継局‐端末で異なる周波
数を用いるために、これらの間での混信の問題点は解消
される。
【0122】(第6の実施例)本発明の第6の実施例を
示す。第6の実施例は図4の構成において基地局‐中継
局の高速な下り回線1004の伝送を、QAMなどの多
値変調を用いて行うようにしたものである。
【0123】基地局‐中継局間は見通しであり、それぞ
れ指向性の高いアンテナを用いて接続される。基地局‐
中継局はそれぞれ固定局であり、この間の伝送路の変動
はほとんどなくなる。そこで、伝送路変動には弱い多値
変調を用いることが可能となる。
【0124】多値変調を用いれば、使用する帯域幅を狭
めることが可能であり、より低い周波数帯(例えば12
GHz帯やマイクロ波帯)での伝送が可能となる。
【0125】そして、これにより、基地局・中継局の小
型化・低消費電力が可能となる。また、基地局‐中継局
間はポイント・ツウ・ポイントであるため、他への電波
の漏れ込みは少ない。従って、マイクロ波による伝送を
行っても、他のシステムへの悪影響はほとんどないシス
テムが構築である。
【0126】以上は、広い周波数帯域の下り回線と狭い
周波数帯域の上り回線とを使用する構成のシステムにお
いて、下り回線は中継局を使用し、上り回線は中継局を
介さない構成とするとともに、下り回線の伝送に赤外線
を使用したり、多値変調によるマイクロ波の使用を進め
た実施例であった。
【0127】これを上り回線の伝送にも中継局を介在さ
せる実施例をつぎに第7の実施例として説明する。
【0128】(第7の実施例)図8は本発明の第7の実
施例を示した模式図である。図8において6005は基
地局(無線基地局)であり、6003は中継局(無線中
継局)であり、6004は端末(無線通信端末)であ
り、6001,6002はそれぞれ上り回線、6000
は下り回線である。これらの各要素は、第1の実施例に
おいて同一名称をもつ各要素の機能と基本的には同じで
ある。
【0129】但し、この構成において第1の実施例と異
なるところは、第1の実施例において狭帯域の上り回線
1006を端末1003から基地局1001へ直接伝送
していたものを、第7の実施例では中継局6003を介
して伝送するようにした点にある。従って、この相違点
について実施可能なように、中継局6003は端末60
04からの上り回線6002を基地局6005へ中継
し、基地局6005は中継局6003で中継された上り
回線6001を受信することができるように構成するも
のとする。
【0130】このような構成にすることで、端末100
3‐中継局6003間、中継局6003‐基地局600
5が見通しとなり、上り回線についても赤外線などを用
いた見通しでしか行えない伝送媒体で通信することが可
能となる。さらに、端末‐基地局間を直接送信する場合
に比べて端末‐中継局間の距離は短いため、端末の送信
電力を非常に小さくすることが可能である。
【0131】本実施例で中継局‐基地局間の上り回線に
マイクロ波帯等の低い周波数帯を用いた場合には、この
間には遮蔽物が入り、下り回線が切断された場合にも、
上り回線は切断されることなしに通信を継続することが
可能となる。
【0132】以上はいずれも広い周波数帯域の下り回線
と狭い周波数帯域の上り回線とを使用する構成のシステ
ムにおいて、下り回線は中継局を使用し、上り回線は中
継局を介さない構成とするものであった。そのため、基
地局からはデータ送信にあたり、データ量やそのデータ
に要求される速度に無関係に、広い周波数帯域の下り回
線を利用せざるを得なかった。そこで、これを解消する
例をつぎに、説明する。
【0133】(第8の実施例)図9は本発明の第8の実
施例を示した模式図である。第8の実施例においては第
3の回線として狭い周波数帯域の下り回線2000を追
加した構成としたものである。すなわち、第8の実施例
において第1の実施例と異なるのは、広い周波数帯域を
使用する下り回線1004,1005の他に、端末‐基
地局間に直接マイクロ波等の見通しで無くても良好な通
信品質を得られる無線回線でさらに下り回線2000を
増設し、狭い周波数帯域用の上り回線1006と合わせ
て狭い周波数帯域での双方向の通信を行えるようにした
点にある。
【0134】なお、第8の実施例において、第1の実施
例との相違点について実施可能なように、基地局100
1は狭帯域の下り回線2000を端末1003に伝送す
ることができるように構成すると共に、端末1003で
は狭帯域の下り回線2000を受信することができる構
成とするものとする。
【0135】このような双方向の狭帯域のリンクを持つ
ことで、広帯域の下り回線1004,1005が切断さ
れた場合においても狭い周波数帯域用の上り回線100
6および下り回線2000による双方向の通信が可能で
あり、制御情報等の交換が行え、広帯域の下り回線10
04,1005が再接続された時に即座にデータの受信
が可能となる他、速い伝送速度の要求されないデータの
下り回線伝送をこの第3の回線2000により行うこと
で、常に広帯域の下り回線1004,1005を使用す
る場合に比べて、省電力化を図ることができるようなシ
ステム構築が可能になる。
【0136】(第9の実施例)図10は本発明の第9の
実施例を示した模式図である。第9の実施例は図8に示
した第7の実施例の構成に、第8の実施例における第3
の回線である狭い周波数帯域の下り回線2000および
上り回線1006共に、広帯域の下り回線1004,1
005と同様、中継局6003を介して基地局6005
へ伝送する構成としたものである。
【0137】このように、第8の実施例のように、第3
の回線2000を含め端末1003‐基地局1001間
で直接伝送されていた狭帯域の下り回線2000(図1
0では2000a,2000bが対応する),上り回線
1006(図10では6001,6002が対応する)
を、第9の実施例では中継局6003を介して接続する
構成としたことにより、広帯域の下り回線と共に全ての
回線が中継局を介して伝達されるようになることから、
第7の実施例と同様、端末の送信電力を抑えることが可
能である。
【0138】すなわち、このような構成にすることで、
端末‐中継局間、中継局‐基地局が見通しとなり、狭い
帯域の下り回線・上り回線を含め全ての回線について、
赤外線などを用いた見通しでしか行えない伝送媒体で通
信することが可能となる。さらに、端末‐基地局間を直
接送信する場合に比べて端末‐中継局間の距離は短いた
め、端末の送信電力を非常に小さくすることが可能であ
る。
【0139】本実施例で中継局‐基地局間の上り回線に
マイクロ波帯等の低い周波数帯を用いた場合には、この
間には遮蔽物が入り、下り回線が切断された場合にも、
上り回線は切断されることなしに通信を継続することが
可能となる。
【0140】なお、第9の実施例において、第7および
第8の実施例との相違点について実施可能なように、中
継局6003は端末1003からの上り回線6002を
基地局6005へ中継し、基地局6005は中継局60
03で中継された上り回線6001を受信し、また、基
地局6005は狭帯域の下り回線2000aを中継局6
003に伝送し、中継局6003をこれをさらに下り回
線2000bとして端末1003に中継することができ
るように構成すると共に、端末1003では狭帯域の下
り回線2000bを受信することができる構成とするも
のとする。
【0141】(第10の実施例)図11は本発明の第1
0の実施例を示した概念図である。第10の実施例は中
継局を複数設けて一つの端末との通信は複数の中継局を
介して同時に行う構成とするものである。図中、900
1は基地局(無線基地局)であり、9002,9003
は中継局(無線中継局)であり、9008は端末(無線
通信端末)であり、9004〜9006はそれぞれ広帯
域の上り回線、9009は狭帯域の下り回線である。こ
れらの各要素は、第1の実施例において同一名称をもつ
各要素の機能と基本的には同じである。
【0142】但し、この構成において第1の実施例と異
なるところは、第1の実施例において広帯域の下り回線
を一つの中継局を介して伝送b送していたものを、第1
0の実施例では複数の中継局を介して端末に伝送するよ
うにした点にあり、従って、この相違点について実施可
能なように、以下に説明する機能を含めて端末の機能を
構成してあるものとする。
【0143】図11に示すように、第10の実施例にお
いては、基地局9001から移動端末9007へは高速
の下り回線1104,1107で中継局9002,90
03を介して通信を行い、移動端末9007から基地局
9001へは低速の上り回線9009により直接通信を
行う。
【0144】上り回線9009は端末から基地局900
1へ直接伝送されるが、このとき上り回線9009では
端末9007は無指向性アンテナを用い、基地局はセク
タ化された緩い指向性アンテナを用いる。
【0145】下り回線1104,1107は中継局を用
いて行われるが、基地局9001‐中継局9002,9
003間ではそれぞれビーム幅の狭い指向性アンテナを
双方で用いて伝送される。基地局9001では端末90
08との下り回線での通信を、複数の中継局9002・
9003を用いて同時に行う。中継局‐無線端末間は無
指向性アンテナを用いて行われる。
【0146】このようなシステム構成とすることで、端
末はある一つの中継局との伝送路状態が劣化し、誤りの
多い状態となっても、他の中継局からの下り回線を受信
することで常に良好な通信品質を保つことが出来る。
【0147】また、この方式の場合、下り回線において
二つの中継局によるマイクロダイバーシチを行うことが
出来、無線端末の移動が行われても基地局‐端末間の下
り回線の品質を一定に保つことが可能となる。
【0148】(第11の実施例)図12に本発明の第1
1の実施例を示す。第11の実施例は第9の実施例と第
7の実施例を合わせた構成であり、中継局を複数設けて
一つの端末との通信は複数の中継局を介して同時に行う
構成とするものであって、下り回線ばかりでなく上り回
線も含めて複数の中継局を介して同時に行う構成とした
ものである。
【0149】すなわち、第11の実施例と第9および第
7の実施例と異なるのは、上り回線9009を端末90
03から直接基地局9001へ接続するのではなく、複
数の中継局9002,9003を介しているところにあ
る。なお、9006a〜9009dが上り回線である。
【0150】このように、上り回線を端末から直接基地
局へ伝送するのではなく、複数の中継局を介して行うシ
ステム構成をとることで、下り回線ばかりでなく、上り
回線においてもダイバーシチ効果を得ることが可能とな
り、伝送路の変動があっても上り回線の品質を一定に保
つことが可能となる。
【0151】なお、第11の実施例において、第9およ
び第7の実施例との相違点について実施可能なように、
中継局、基地局を機能構成しておくものとする。
【0152】以上種々の実施例を述べたが、要するに本
発明は、基地局と端末間で高速の伝送速度の下り回線と
低速の上り回線を備えた無線通信システムにおいて、高
速下り回線用に中継局を配置し、基地局‐中継局間の下
り回線では指向性アンテナを用い、中継局‐端末間の下
り回線では無指向性アンテナを用いるようにしたもので
ある。
【0153】このようなシステム構成をとることで、基
地局の送信電力を劇的に小さくすることが可能になる。
また、基地局・中継局を含めた下り回線の送信に用いる
トータルの電力を小さく抑えることが可能になる。さら
に、端末の移動性を格段に向上させることが可能とな
る。加えて、基地局‐中継局間に人などの遮蔽物が入っ
て下り回線が切断されてしまった場合においても上り回
線は切断されることなしに一定の品質の通信が行え、制
御情報の受け渡しや下り回線が再接続された場合のいち
早いデータ伝送を可能とする。
【0154】また、基地局が中継局を複数用いて複数の
リンクにより端末との通信を行うことが出来、その結果
ダイバーシチ効果が得られ、一定の品質の通信を保つこ
とが可能となる。
【0155】なお、本発明は上述した実施例に限定され
るものではなく、種々変形して実施可能である。
【0156】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明は基地局と
端末間で高速の伝送速度の下り回線と低速の上り回線を
備えた無線通信システムにおいて、高速下り回線用に中
継局を配置し、基地局‐中継局間の下り回線では指向性
アンテナを用い、中継局‐端末間の下り回線では無指向
性アンテナを用いるようにしたことから、基地局の送信
電力を劇的に小さくすることが可能になり、また、基地
局・中継局を含めた下り回線の送信に用いるトータルの
電力を小さく抑えることが可能になる。
【0157】さらに、端末の移動性を格段に向上させる
ことが可能となり、加えて、基地局‐中継局間に人など
の遮蔽物が入って下り回線が切断されてしまった場合に
おいても上り回線は切断されることなしに一定の品質の
通信が行え、制御情報の受け渡しや下り回線が再接続さ
れた場合のいち早いデータ伝送を可能とする。
【0158】また、基地局が中継局を複数用いて複数の
リンクにより端末との通信を行うことが出来、その結果
ダイバーシチ効果が得られ、一定の品質の通信を保つこ
とが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を説明するための図であって、
本発明を適用する前提となるSDLシステムの概念図。
【図2】本発明の実施例を説明するための図であって、
本発明の一実施例を示すシステム概念図。
【図3】本発明の実施例を説明するための図であって、
本発明の第1の実施例を示すシステム概念模式図。
【図4】本発明の実施例を説明するための図であって、
本発明の一実施例を示すシステム概念模式図。
【図5】本発明の実施例を説明するための図であって、
本発明の実施例における基地局と中継局の下り回線に用
いられるアンテナの指向性パターンを示したアンテナ利
得パターン図。
【図6】本発明の実施例を説明するための図であって、
本発明の実施例中の中継局と端末の下り回線に用いられ
るアンテナの指向性パターンを示したアンテナ利得パタ
ーン図。
【図7】本発明の実施例を説明するための図であって、
本発明の実施例中の基地局と端末の上り回線に用いられ
るアンテナの指向性パターンを示したアンテナ利得パタ
ーン図。
【図8】本発明の実施例を説明するための図であって、
本発明の第7の実施例を示したシステム概念模式図。
【図9】本発明の実施例を説明するための図であって、
本発明の第8の実施例を示したシステム概念模式図。
【図10】本発明の実施例を説明するための図であっ
て、本発明の第9の実施例を示したシステム概念模式
図。
【図11】本発明の実施例を説明するための図であっ
て、本発明の第10の実施例を示したシステム概念図。
【図12】本発明の実施例を説明するための図であっ
て、本発明の第11の実施例を示したシステム概念図。
【図13】従来のマイクロ波を用いた無線通信システム
を示したシステム概念図。
【図14】従来のマイクロ波を用いた無線通信システム
にミリ波や赤外線を適用した場合を示した説明図。
【図15】従来の無線通信システムを示したシステム概
念図。
【符号の説明】
1001,6005,9001…無線基地局 1002,6003,9002,9003…無線中継局 1003,9008…無線通信端末 1008…遮蔽物 1004,9004,9005…高速の下り回線 2000,2000a ,2000b …低速の下り回線 1006,6001,60001 ,6002,9009,9009a 〜9009d …低
速の上り回線。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無線基地局と無線中継局と無線通信端末
    から構成される無線通信システムであって、前記無線基
    地局から前記無線通信端末への情報伝送のための下り回
    線は、相対的に高い周波数の無線信号を使用し、かつ、
    伝送は前記無線中継局を介して広帯域で行う構成とし、 前記無線通信端末から前記無線基地局への情報伝送のた
    めの上り回線は前記下り回線より相対的に低い周波数の
    無線信号を使用すると共に、 前記無線基地局から前記無線中継局への伝送には、少な
    くとも前記無線基地局側に指向性アンテナを用い、 前記無線中継局と前記無線通信端末間の伝送には無指向
    性アンテナを用い、また少なくとも前記無線中継局には
    前記無線基地局からの前記下り回線受信用に前記無線基
    地局の指向性アンテナと同等もしくはそれよりも緩い指
    向性の指向性アンテナを用いることを特徴とした無線通
    信システム。
  2. 【請求項2】 無線通信端末から前記無線基地局への上
    り回線は前記無線中継局を介さず直接行う構成とすると
    共に、 無線基地局から無線中継局への下り回線の伝送には、少
    なくとも前記無線基地局側に指向性アンテナを用い、 無線中継局と無線端末間の下り回線の伝送には無指向性
    アンテナ、または少なくとも無線中継局には前記無線基
    地局‐前記無線中継局間の下り回線に用いられる指向性
    アンテナよりもゆるい指向性の指向性アンテナを用い、 無線通信端末と無線基地局間の上り回線の伝送には双方
    に無指向性アンテナ、あるいは少なくとも前記無線基地
    局に指向性アンテナを用いることを特徴とする請求項1
    記載の無線通信システム。
  3. 【請求項3】 無線基地局と無線中継局との無線通信端
    末から構成される無線通信システムであって、前記無線
    基地局から前記無線通信端末への情報伝送のための下り
    回線は、前記無線中継局を介して伝送する広帯域の相対
    的に高い周波数による第1の伝送速度の第1の下り回線
    と、前記無線基地局から前記無線通信端末へ直接伝送す
    る狭帯域でかつ第1の下り回線より相対的に遅い第2の
    伝送速度の第2の下り回線とにより構成し、 前記無線通信端末から前記無線基地局への情報伝送のた
    めの上り回線は、狭帯域で前記第1の伝送速度より相対
    的に遅い伝送速度の回線とすると共に、 前記第1の下り回線のうちの前記無線基地局と前記無線
    中継局間の下り回線の伝送には、少なくとも前記無線基
    地局には指向性アンテナを用い、 前記第1の下り回線のうちの前記無線中継局と前記無線
    端末との間の下り回線の伝送には双方に無指向性アンテ
    ナを使用するか、または少なくとも前記無線中継局には
    前記無線基地局からの前記第1の下り回線受信用に前記
    無線基地局の下り回線伝送に用いられる指向性アンテナ
    よりもゆるい指向性の指向性アンテナを用いることを特
    徴とする請求項1記載の無線通信システム。
  4. 【請求項4】 無線基地局と無線中継局との無線通信端
    末から構成される無線通信システムであって、前記無線
    基地局から前記無線通信端末への情報伝送のための下り
    回線は、前記無線中継局を介して伝送する広帯域の相対
    的に高い周波数による第1の伝送速度の第1の下り回線
    と、前記無線基地局から前記無線通信端末へ直接伝送す
    る狭帯域で第1の下り回線より相対的に遅い第2の伝送
    速度の第2の下り回線とにより構成し、 前記無線通信端末から前記無線基地局への情報伝送のた
    めの上り回線は、狭帯域で前記第1の伝送速度より相対
    的に遅い伝送速度の回線とすると共に、 前記第1の下り回線のうちの前記無線基地局と前記無線
    中継局間の下り回線の伝送には、少なくとも前記無線基
    地局に指向性アンテナを用い、 前記無線中継局と前記無線端末との間での前記第1の下
    り回線の伝送には無指向性アンテナを使用し、また、少
    なくとも前記無線中継局には前記無線基地局からの前記
    第1の下り回線受信用に前記無線基地局の下り回線伝送
    に用いる指向性アンテナと同等もしくはそれよりもゆる
    い指向性の指向性アンテナを用い、 前記第2の下り回線の伝送には双方に無指向性アンテナ
    を用いるか、あるいは少なくとも無線基地局に指向性ア
    ンテナを用いる構成とすることを特徴とする無線通信シ
    ステム。
  5. 【請求項5】 無線基地局と無線中継局と無線通信端末
    から構成される無線通信システムであって、前記無線基
    地局から前記無線通信端末への情報伝送のための下り回
    線は、光波周波数の変調波を使用し、前記無線中継局を
    介して広帯域で行う構成とし、 前記無線通信端末から前記無線基地局への情報伝送のた
    めの上り回線は前記下り回線より低い周波数の無線信号
    を使用することを特徴とした無線通信システム。
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